JP2007063638A - 燃料タンク用フェライト系ステンレス鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動車燃料タンク部材へのプレス成形において、「割れ」の発生を防止し、かつ「しわ」の発生も顕著に抑止できる成形性の良いフェライト系ステンレス鋼板を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:0.015%以下、Si:1%以下、Mn:1%以下、P:0.05%以下、Cr:16〜25%、Ti:0.05〜0.5%、Nb:0.1〜0.5%、必要に応じてNi:2%以下、Mo:3%以下、N:0.02%以下、B:0.01%以下、Cu:2%以下、Al:0.5%以下を含み、残部が実質的にFeの組成をもち、初期ブランク径D0=76mm、パンチ径Dp=40mm、しわ押さえ力=3kNで、円筒絞り加工を施したときの成形体円筒部の真円度が0.05以下となる歪み分布をもつ燃料タンク用フェライト系ステンレス鋼板。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車の燃料タンクに加工して使用するのに適したプレス成形性の良好なフェライト系ステンレス鋼板に関する。
自動車の燃料タンクは、通常、複雑な形状を有している。図1に、自動車のガソリンタンクの外観を模式的に例示する。このようなタンクは、一般にアッパー部材1とロアー部材2を溶接等で接合した構成を有する。アッパー部材1とロアー部材2はそれぞれ鋼板をプレス成形して作られる。これらいずれの部材も、その素材鋼板には優れた張り出し成形性が要求され、また、ガソリンが劣化して生じる有機酸などに対する耐食性が要求される。従来、自動車の燃料タンクには、このような条件を比較的良好にクリアする材料として、ターンめっき鋼板やSn−Znめっき鋼板が使用されてきた。
近年では、自動車の排ガス規制対応などに伴う保証期間の長期化のために、従来材のターンめっき鋼板やSn−Znめっき鋼板などでは耐久性が不足する場合が生じ、材料の見直しが必要になってきた。また燃料タンクは自動車の床下に設置されることが多く、道路凍結防止剤などの塩化物が付着しやすい。このため、燃料タンクの耐久性を向上させるには、内部の燃料環境に対する耐食性だけでなく、外部の塩化物環境に対する耐食性も改善する必要がある。
自動車部材は樹脂化される場合も少なくないが、燃料タンクではガソリン透過の問題があり、樹脂化は困難である。そこで、耐食性を有し、ガソリン透過のない材料としてステンレス鋼が有望となる。燃料タンク用鋼板は厳しい張り出し加工に耐える必要があるので、加工性の面でフェライト系ステンレス鋼よりもオーステナイト系ステンレス鋼の方が有利となる。しかし、オーステナイト系ステンレス鋼は、わずかなCl-イオン存在下であっても比較的高温の環境では孔食や隙間腐食を起こしやすく、さらに加工部の残留応力により応力腐食割れを起こしやすいという欠点を有する。また一般にフェライト系より素材コストは高くなる。これらの点からはフェライト系ステンレス鋼が有利となる。特許文献1には、燃料タンクへの適用を考慮して成形性を改善したフェライト系ステンレス鋼板が開示されている。
特開2002−363711号公報
前述のように、燃料タンクのアッパー部材、ロアー部材とも、鋼板をプレス成形することによって製造される。プレス成形に際しては、材料に「割れ」が生じないことが絶対条件となるが、その他、最終形状にプレスしたとき「しわ」が発生しにくいことも品質上重要な要素となる。プレス時に「しわ押さえ力(BHF)」を小さくすると「割れ」は発生しにくくなるが、反面、「しわ」が発生しやすくなる。「割れ」の防止と「しわ」の防止は一般にプレス成形においてトレードオフの関係にあり、燃料タンクのような厳しい成形加工が施される場合、フェライト系ステンレス鋼板にとってその両立は容易ではない。特許文献1に開示の技術によれば、割れの発生を防止する効果は得られるものの、しわに関しては安定的に改善することが困難である。
本発明は、複雑形状の燃料タンク部材にプレス成形した際、「割れ」の発生を防止するとともに「しわ」の発生も安定して顕著に抑制することのできる、成形性の高いフェライト系ステンレス鋼板を開発し提供しようというものである。
上記目的は、質量%で、C:0.015%以下、Si:1%以下、Mn:1%以下、P:0.05%以下、Cr:16〜25%、Ti:0.05〜0.5%、Nb:0.1〜0.5%、残部が実質的にFeの組成をもち、下記(A)の条件で円筒絞り加工を施したときの成形体円筒部の真円度が0.05以下となる歪み分布をもつ燃料タンク用フェライト系ステンレス鋼板によって達成される。
(A)初期ブランク径D0=76mm、パンチ径Dp=40mm、パンチ先端丸み半径Rp=3mm、ダイス肩部丸み半径Rd=3mm、クリアランス=25%、しわ押さえ力=3〜12kN、絞り速度Vp=60mm/min、成形高さ=25mm
ここで、成形高さ=25mmとは、ダイス面を基準にしたパンチの運動距離を25mmとすることを意味する。クリアランスは、{(ダイス径Dd−パンチ径Dp)/(初期板厚t×2)}×100によって算出される。
成形体の円筒部(高さの中央付近)について、直径(外径)を周方向360°にわたって測定し、そのときの(最大径−最小径)の値を真円度とする。
上記組成において、さらにNi:2%以下、Mo:3%以下、N:0.02%以下、B:0.01%以下の1種以上を含むことができる。あるいはまた、さらにCu:2%以下、Al:0.5%以下の1種以上を含むことができる。金属組織については、平均結晶粒径40μm以下であることが望ましい。
本発明のフェライト系ステンレス鋼板は極めて均一な歪み分布をもつため、しわ押さえ力が低い条件でプレス成形を行っても「しわ」が発生しにくい。同時に「割れ」を防止する性能も向上した。つまり、プレス成形におけるしわ押さえ力の設定自由度が拡がった。このため、本発明のフェライト系ステンレス鋼板を使用すれば、燃料タンク部材へのプレス成形に際し、「割れ」を防止し、かつ「しわ」の発生を顕著に抑止することのできるプレス条件を容易に設定することが可能である。これは、従来のフェライト系ステンレス鋼板では実現が困難であったことである。
また、素材がフェライト系鋼種であるため、オーステナイト系鋼種で問題となる応力腐食割れの心配がなく、素材コストも低減できる。従来の普通鋼ベースの材料との対比では耐食性が大幅に向上し、保証期間の延長にも対応しうる。樹脂材料との対比ではガソリン透過性の点で優れる。したがって本発明は、自動車燃料タンク用素材としてフェライト系ステンレス鋼の普及に寄与するものである。
燃料タンクのような厳しい成形性が要求される部材に使用する鋼板の加工性は、これまで一般に破断伸び、r値、加工硬化指数、限界絞り比などのパラメーターにより評価されてきた。しかしながら発明者らの調査によれば、プレス成形時の「割れ」とトレードオフの関係にある「しわ」の発生に関しては、これらのパラメーターでは安定した改善手段を見出すことはできないことがわかった。そして、詳細な検討の結果、円筒絞りに供したときの成形体における「真円度」が、「割れ」と「しわ」を同時に改善できる鋼板であるかどうかを評価するうえで重要なパラメーターであることを見出すに至った。
すなわち、円筒絞りに供したとき、広い範囲のしわ押さえ力(BTF)において優れた真円度の成形体が安定して得られる鋼板では、実際のプレス成形において、しわ押さえ力の許容範囲が拡がる。しわ押さえ力を低くしても「しわ」が発生しにくくなり、かつ、比較的高めのしわ押さえ力に設定しても「割れ」が生じにくくなるのである。
従来のフェライト系ステンレス鋼板では、燃料タンクのような厳しいプレス成形において、しわの発生までを十分に抑止することは困難であった。しわが発生しないような高いしわ押さえ力に設定すると割れが発生してしまうからである。この点、本発明の鋼板では、しわ押さえ力をあまり高めなくても、しわの発生が顕著に抑止され、「割れ」と「しわ」の発生防止が両立できる。
以下、本発明を特定するための事項について説明する。
〔組成〕
Cは、再結晶フェライトのランダム化に有効な再結晶核となる炭化物を形成する。再結晶粒のランダム化は円筒絞り成形体の真円度向上、すなわち歪み分布の均一化にも有利に働く。しかし、過剰なC含有は鋼板の延性低下を招くので、C含有量の上限は0.015質量%以下に制限される。0.01質量%以下が一層好ましい。
Siは、脱酸剤として使用される成分元素である。しかし、Siは固溶強化能が高く、過剰の含有は材質硬化、延性低下を招くので、Si含有量の上限は1質量%に制限される。0.5質量%以下が一層好ましい。
Mnは、固溶強化能が小さく材質への悪影響はあまりないが、多量に含有すると介在物を形成して表面性状が劣化し、また、溶製時にヒュームが発生しやすくなり製造性の低下を招く。したがって、Mn含有量は2質量%以下とすることが望ましく、1質量%以下が一層好ましい。
Crは、ステンレス鋼の耐食性を付与する上で必須の元素であり、燃料タンク用途としては16質量%以上のCr含有量を確保することが望ましい。しかし、Cr含有量が高くなると靱性や加工性が低下するので、上限は25質量%に制限される。
TiおよびNbは、フェライト結晶粒の微細化に有効であり、歪み分布の均一化に寄与する。また、耐衝撃特性、耐二次加工割れ性の向上にも有効である。これらの作用を十分に引き出すために、Tiは0.05質量%以上、Nbは0.1質量%以上含有させることが望ましい。Tiは0.1質量%以上、Nbは0.2質量%以上とすることが一層好ましい。ただし多量のTi含有はTi系介在物起因の表面欠陥の発生を招くので、Ti含有量は0.5質量%以下とすることが望ましく、0.3質量%以下が一層好ましい。また、Nbの過剰添加は材質硬化、加工性低下を招くので、Nb含有量は0.5質量%以下とすることが望ましく、0.4質量%以下が一層好ましい。
Niは、スクラップ等から混入しやすい元素であるが、オーステナイト形成元素であり、過剰の含有は材料の硬質化、コスト上昇の原因となる。Niが含有される場合は、その含有量を2質量%以下とすることが望ましい。1質量%以下とすることが一層好ましい。
Moは、耐食性を改善する作用を呈する。その作用を十分に得るには0.5質量%以上のMoを含有させることが望ましい。ただし、Moは高価な元素であり、またMoの過剰添加によって熱間加工性が低下するので、Moを含有する場合は3質量%以下の範囲とすることが望ましい。
Nは、再結晶フェライトのランダム化に有効な再結晶核となる窒化物を形成する。しかし、過剰のN含有は冷延焼鈍板の強度を上昇させ延性の低下を招く。また、耐食性や加工性を阻害することにもなる。このため、Nを含有する場合は0.02質量%以下の含有量範囲とすることが望ましい。
Bは、Nを固定し耐食性や加工性を改善する元素であり、その作用は0.0005質量%以上のB含有によって顕在化する。しかし、過剰のB含有は熱間加工性に悪影響を及ぼす。したがってBを含有する場合は0.01質量%以下の含有量とすることが望ましく、0.005質量%以下が一層好ましい。
Cuは、スクラップ等の原料から混入する場合があるが、過剰のCu含有は熱間加工性や耐食性を低下させる原因となる。このため、Cuが含有される場合は、2質量%以下とすることが望ましく、1質量%以下が一層好ましい。
Alは、製鋼での脱酸剤として有効な元素である。しかし、Al含有量が多くなると表面欠陥が発生しやすくなり、燃料タンク部材の成形性にも影響することがある。このため、Alを添加する場合は0.5質量%以下の範囲で行うことが望ましく、0.2質量%以下とすることが一層好ましい。
その他、V、Zrはそれぞれ0.3質量%以下の範囲で含まれていても本発明の効果は阻害されず、むしろ0.01〜0.3質量%の範囲で含まれることにより、加工性や靱性の改善に有利となることがある。P、Sは少ない方がよく、Pは0.05質量%以下、Sは0.02質量%以下に規制することが好ましい。Ca、Mg、Co、REM(希土類元素)等も原料から混入することがあるが、過剰に含まれない限りプレス成形性には特に悪影響を及ぼさない。これらの元素は本発明の効果を阻害しない範囲で含有が許容される。
〔真円度〕
円筒絞りにおいて高い真円度の成形体が得られるフェライト系ステンレス鋼板は、歪み分布が均一化されており、形状凍結性に優れる。上記組成に調整されたフェライト系ステンレス鋼の冷延焼鈍鋼板において、歪み分布が顕著に均一化されていると、自動車燃料タンクの複雑形状の部材にプレス成形した際、しわが発生しにくく、かつ割れも発生しにくい。
燃料タンク部材へのプレス成形性を評価するための円筒絞り方法としては、下記(A)に示す条件が採用できる。
(A)初期ブランク径D0=76mm、パンチ径Dp=40mm、パンチ先端丸み半径Rp=3mm、ダイス肩部丸み半径Rd=3mm、クリアランス=25%、しわ押さえ力=3kN、絞り速度Vp=60mm/min、成形高さ=25mm
クリアランスは、初期板厚に応じてダイス径を調整することによって25%に設定する。
しわ押さえ力については3kNという低い値で実施する。発明者らによるフェライト系ステンレス冷延焼鈍鋼板を用いた広範な実験によれば、しわ押さえ力を高くするほど成形体の真円度は良好になる(小さい値となる)傾向を示すことが確かめられた。このため、低いしわ押さえ力での真円度が良好であれば、その鋼板はプレス成形時の「しわ」と「割れ」の同時改善を実現する上で極めて有利な、均一化された歪み分布を有していると評価できる。
詳細な検討の結果、しわ押さえ力を3kNとする上記(A)の条件で作製した成形体円筒部の真円度が0.05以下になるような歪み分布をもつフェライト系ステンレス鋼板は、自動車燃料タンク部材にプレス成形した際、「割れ」が生じず、かつ「しわ」も顕著に抑制された成形体を実現できることがわかった。
この評価方法は板厚が概ね0.6〜2.0mmのフェライト系ステンレス冷延焼鈍鋼板に適用できる。
〔平均結晶粒径〕
鋼板のフェライト結晶粒径は、できるだけ微細化していることが歪み分布の均一化に有利である。平均結晶粒径が40μm以下の組織を呈するものであることが望ましい。
〔製造方法〕
以上のような均一化された歪み分布をもつフェライト系ステンレス鋼板は、前述の組成を有するフェライト系ステンレス鋼を対象として、以下のような工程で製造することができる。
溶製→熱間圧延(850〜1000℃)→熱延板焼鈍(800〜1100℃)→冷間圧延→中間焼鈍(900〜980℃)→冷間圧延→仕上焼鈍(900〜1000℃)
工程中には必要に応じて酸洗を行うことができる。また、仕上焼鈍後の表面は酸洗仕上としてプレス成形用途に供すればよい。
ここで、中間焼鈍は完全再結晶が起こり、最終的に均一化された歪み分布をもつ温度で行うことが重要であり、少なくとも900℃以上とする必要がある。上記工程において中間焼鈍前の冷間圧延率は30〜50%とすることが望ましく、中間焼鈍後の冷間圧延率は50〜80%とすることが望ましい。中間焼鈍前の冷間圧延率を30〜50%にしたものにおいて、中間焼鈍温度として940℃を超える温度、例えば945℃以上の温度が採用できる。
表1に示すフェライト系ステンレス鋼を溶製し、以下の工程X、工程Yの2通りの工程で板厚0.6mmおよび2.0mmの冷延焼鈍鋼板(供試鋼板)を作製した。なお、Mn含有量はいずれも1質量%以下である。
〔工程X〕
溶製→熱間圧延(圧延温度範囲850〜1000℃、板厚5.5mm)→熱延板焼鈍(950℃)→酸洗→冷間圧延(45%、板厚3.0mm)→中間焼鈍(950℃×均熱30sec、ただし鋼Gは850℃×均熱30sec)→酸洗→冷間圧延(80%、板厚0.6mm)→仕上焼鈍(900℃×均熱30sec)→酸洗
〔工程Y〕
溶製→熱間圧延(圧延温度範囲850〜1000℃、板厚7.0mm)→熱延板焼鈍(950℃)→酸洗→冷間圧延(35%、板厚4.5mm)→中間焼鈍(950℃×均熱30sec、ただし鋼Gは850℃×均熱30sec)→酸洗→冷間圧延(55%、板厚2.0mm)→仕上焼鈍(900℃×均熱30sec)→酸洗
Figure 2007063638
各供試鋼板から初期ブランク径76mmの円板を切り出し、これらについて前記(A)で示した条件により円筒絞りを実施した。ただし、しわ押さえ力については3kNの他、7kN、12kNでも実施した。クリアランスは、板厚に応じてダイス径を変えることによって25%に調整した。得られた成形高さ25mmの成形体の円筒部(高さの中央付近)について、三次元座標測定器によって周方向360°にわたって直径を測定し、そのときの(最大径−最小径)の値を求め、これを真円度とした。
また、各供試鋼板の圧延方向に平行な断面(L断面)を倍率200倍の光学顕微鏡で観察沿し、450μm×350μmを1視野とする5視野について切片法によりフェライト結晶粒の粒径を求め、その平均値を平均結晶粒径とした。
結果を表2に示す。
Figure 2007063638
表2からわかるように、いずれのフェライト系ステンレス冷延焼鈍鋼板でも、しわ押さえ力が大きいほど成形体の真円度は高くなる傾向がある。また板厚が薄いと真円度に対してより厳しい状態となる。
本発明例のものは、いずれも3kNという低いしわ押さえ力で0.05以下の真円度が得られた。すなわち、これらは極めて均一化された歪み分布をもつものである。また、平均結晶粒径は40μm以下であった。
これに対し、比較例No.7は本発明で規定する組成を満たしているにもかかわらず、中間焼鈍温度が低すぎたことにより真円度が悪かった。No.8およびNo.9はそれぞれCr含有量およびNb含有量が本発明の規定を外れていることにより、円筒絞りにおいて材料の入り込みが不均一となり真円度が悪かった。
実施例1で得られた各供試鋼板を用いて図1に示した形状の自動車燃料タンクを構成するアッパー部材の成形を試みた。1500トン油圧式プレス機を用いて1段プレスにて成形した。その際、しわ押さえ力は従来のフェライト系ステンレス鋼板において割れが発生しない製品が製造できた条件を採用した。
得られたプレス成形体(アッパー部材)について、割れの発生状況を目視で観察し、割れの発生が認められないものを○(良好)、認められるものを×(不良)と評価し、○評価を合格と判断した。
また、しわの発生状況を目視で観察し、従来のフェライト系ステンレス鋼板を用いた成形体との対比において、しわの発生が非常に少ないものを○(良好)、やや少ないものを△(やや不良)、同等または多いものを×(不良)と評価し、○評価を合格と判断した。
結果を表3に示す。
Figure 2007063638
表3からわかるように、実施例1で真円度が0.05以下となった本発明例のものはいずれも、「割れ」および「しわ」について、合格評価であった。すなわち、フェライト系ステンレス鋼板でありながら自動車燃料タンクの部材へのプレス成形において、「割れ」の防止と「しわ」の顕著な抑制が達成できた。
これに対し、比較例No.7は本発明で規定する組成をもつにもかかわらず、製造条件が不適切であったため上記(A)の条件で成形体の真円度が0.05以下となったものであり、燃料タンク部材において割れが発生した。No.8およびNo.9はしわが多発し、燃料タンクの製品化には適用困難な鋼板であった。
自動車のガソリンタンクの外観を模式的に例示した図。
1 アッパー部材
2 ロアー部材

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.015%以下、Si:1%以下、Mn:1%以下、P:0.05%以下、Cr:16〜25%、Ti:0.05〜0.5%、Nb:0.1〜0.5%、残部が実質的にFeの組成をもち、下記(A)の条件で円筒絞り加工を施したときの成形体円筒部の真円度が0.05以下となる歪み分布をもつ燃料タンク用フェライト系ステンレス鋼板。
    (A)初期ブランク径D0=76mm、パンチ径Dp=40mm、パンチ先端丸み半径Rp=3mm、ダイス肩部丸み半径Rd=3mm、クリアランス=25%、しわ押さえ力=3kN、絞り速度Vp=60mm/min、成形高さ=25mm
  2. さらにNi:2%以下、Mo:3%以下、N:0.02%以下、B:0.01%以下の1種以上を含む組成をもつ請求項1に記載の燃料タンク用フェライト系ステンレス鋼板。
  3. さらにCu:2%以下、Al:0.5%以下の1種以上を含む組成をもつ請求項1または2に記載の燃料タンク用フェライト系ステンレス鋼板。
  4. 平均結晶粒径が40μm以下の組織を有する請求項1〜3に記載の燃料タンク用フェライト系ステンレス鋼板。
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