JP2007063052A - 圧電素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 粒界の絶縁性を高めながら、圧電歪み特性に重要な粒内の組成を変化させず、加速電圧負荷特性等に優れた圧電磁器組成物及び圧電素子を提供する。
【解決手段】 Pb、Ti、及びZrを構成元素とする複合酸化物を含む圧電磁器組成物であり、Cuが粒界に偏在した構造を有することを特徴とするものである。圧電素子は、このような圧電磁器組成物により形成される複数の圧電体層と、これら圧電体層間に形成されCuを含有する内部電極層とを備え、圧電体層を構成する圧電磁器組成物がCuが粒界に偏在した構造を有する。
【選択図】 図7

Description

本発明は、アクチュエータや圧電ブザー、発音体、センサ等の各種圧電素子の圧電層に用いて好適な圧電磁器組成物に関するものであり、さらには、これを用いた圧電素子に関する。
例えば圧電効果によって発生する変位を機械的な駆動源として利用したアクチュエータは、消費電力や発熱量が少なく、応答性も良好であること、小型化や軽量化が可能であること等の利点を有し、広範な分野で利用されるようになってきている。
この種のアクチュエータに用いられる圧電磁器組成物には、圧電特性、特に圧電歪定数が大きいことが要求され、これを満たす圧電磁器組成物として、例えば、チタン酸鉛(PbTiO)、ジルコン酸鉛(PbZrO)、及び亜鉛・ニオブ酸鉛[Pb(Zn1/3Nb2/3)O]により構成される3元系の圧電磁器組成物や、前記3元系の圧電磁器組成物の構成元素であるPbの一部をSr、Ba、Ca等で置換した圧電磁器組成物等が開発されている。
ただし、これら従来の圧電磁器組成物は、比較的高温で焼成する必要があり、また焼成が酸化性雰囲気下で行われるため、例えば内部電極を同時焼成する積層型アクチュエータ等においては、高い融点を持ち、酸化性雰囲気下で焼成しても酸化されない貴金属(例えば、PtやPd等)を用いる必要がある。その結果、コスト増を招き、製造される圧電素子の低価格化に支障をきたしている。
このような状況から、本願出願人は、前記3元系の圧電磁器組成物に、Fe、Co、Ni、及びCuから選ばれる少なくとも1種を含む第1副成分、及びSb、Nb及びTaから選ばれる少なくとも1種を含む第2副成分を加えることにより低温焼成を可能とし、内部電極にAg−Pd合金等の安価な材料を使用可能とすることを提案している(特許文献1を参照)。
特許文献1記載の発明は、前記3元系の圧電磁器組成物や、当該3元系の圧電磁器組成物においてPbの一部をSr、Ba、Ca等で置換した圧電磁器組成物に、Fe、Co、Ni、及びCuから選ばれる少なくとも1種を含む第1副成分と、Sb、Nb及びTaから選ばれる少なくとも1種を含む第2副成分を加えることで、高い圧電歪定数を持ち、低温で焼成しても各種圧電特性を損なうことなく緻密化され、機械的強度が高められた圧電磁器組成物を実現し、この圧電磁器組成物で構成される圧電層を有する圧電素子を提供するというものである。
前記のように、特許文献1記載の発明によれば、ある程度の低温焼成化が可能となり、電極材料としてAg−Pd合金等の使用も可能となるが、より安価な金属(Cu)を電極材料として用いることを考えた場合、必ずしも十分とは言えない。例えば、Cuを電極材料として用いた場合、低温で焼成したとしても電極材料が圧電層中で偏析する等して特性に悪影響を及ぼすことが懸念されている。
このCuの偏析については、例えば特許文献2において、その改善が試みられている。特許文献2には、誘電セラミック層と電極層とを交互に積層した積層型誘電素子において、電極層は主に誘電セラミック層を構成するセラミック材料よりも、焼成温度における金属酸化物の標準ギブズ自由エネルギーが大きい導電性卑金属材料からなり、かつ、誘電セラミック層のうち、隣り合う正と負の電極層に挟まれた部分には、導電性卑金属材料を含む材料の偏析がない積層型誘電素子が開示されている。特許文献2によれば、隣り合う正と負の電極層に挟まれた部分に導電性卑金属材料を含む材料の偏析がないことで、誘電セラミック層の特性を十分に発揮させることができるとしている。
特開2004−137106号公報 特開2002−260951号公報
しかしながら、その後の本発明者らの研究によれば、前記特許文献2で検討されているような粒状の偏析の有無だけでは、圧電素子の性能の良否を判断することはできず、例えば前記粒状の偏析が無いからといって必ずしも良好な特性(加速電圧負荷寿命等)を発揮するとは限らないことがわかった。
また、特許文献2記載の発明では、基本的には電極材料としてCuOを用い、いわゆるメタライズ工程においてCuへ還元し、その後、酸素分圧10−4気圧程度の還元雰囲気中で焼成を行っている。卑金属(例えばCu)を電極材料として用いる場合、酸化性雰囲気(例えば空気中)での焼成では、低温で焼成したとしても電極材料が酸化し、導電性が損なわれるという不都合が発生するおそれがある。一方、還元雰囲気下で焼成を行った場合、得られた焼成体は空気中で焼成した焼結体に比較して多くの酸素空孔を含むため、特に高温(100℃以上)における絶縁抵抗の低下を招き、製品の高温負荷寿命(絶縁寿命)の低下を招くという不都合が生ずるおそれがある。100℃〜200℃の温度領域は、製品の作動規格温度でもあることが多く、この温度領域における絶縁抵抗の低下は、製品の信頼性を著しく損ない、大きな問題である。これらのことから、前記特許文献2記載の発明では、比較的酸素分圧の高い雰囲気で焼成を行い、電極材料であるCuの一部が酸化されていることを容認しているが、この場合、電極特性を犠牲にしていることになる。
さらに、前記特許文献2記載の発明では、前記Cuの拡散や偏析を防止するために、溶融抑制物質や融点上昇物質、拡散抑制物質等を電極用ペースト材料に添加しているが、前記各物質の添加は、圧電体層を構成する誘電体磁器組成物の特性に悪影響を及ぼす可能性があり、また、製造コストや製造工数等を考えた場合にも不利である。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、例えばCuを内部電極層に用いた場合における最適構造化を図り、粒界の絶縁性が高められると同時に、圧電歪み特性に重要な粒内の組成を変化させず、加速電圧負荷特性等に優れた圧電磁器組成物及び圧電素子を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明者らは、長期に亘り種々研究を重ねてきた。その結果、前記のようにCuが粒状に偏析することは好ましくないが、Cuの粒界への偏在は、粒界の絶縁性が高められて加速電圧負荷特性の改善に寄与すること、また、前記偏在は粒内の組成をほとんど変化させないので、圧電歪み特性を損なうことがないこと等を知見するに至った。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明の圧電磁器組成物は、Pb、Ti、及びZrを構成元素とする複合酸化物を含み、Cuが粒界に偏在した構造を有することを特徴とする。また、本発明の圧電素子は、Pb、Ti、及びZrを構成元素とする複合酸化物を含む圧電磁器組成物により形成される複数の圧電体層と、これら圧電体層間に形成されCuを含有する内部電極層とを備え、前記圧電体層を構成する圧電磁器組成物は、Cuが粒界に偏在した構造を有することを特徴とする。
例えば、Cuを電極材料として使用した場合等のように、圧電磁器組成物がCuを含む場合、Cuが粒状に偏析していると特性に悪影響を及ぼすことは知られているが、それ以上の詳細構造については検討されていない。Cuが粒状に偏析していない構造であっても、粒界での絶縁性が不足し、加速電圧負荷特性が不足することがあるが、その改善については、これまで試みられたことがない。
本発明では、例えば焼成条件等を制御することにより、圧電磁器組成物をCuが粒界に偏在した構造としており、これにより前記粒界での絶縁性が高まり、加速電圧負荷特性が大きく改善される。また、前記のようにCuを粒界に偏在させた場合、圧電磁器組成物の主体となる結晶粒の組成に影響を及ぼすことがないので、本来の圧電特性を損なうこともない。
前記の通り、本発明の圧電磁器組成物及び圧電素子は、Cuが粒界に偏在するという構造的な特徴をもって前記加速電圧負荷特性等を改善するものであり、前記特許文献2記載の発明のような拡散抑制物質等の添加は不要である。したがって、本発明は、粒状の偏析の有無のみを問題にしている特許文献2記載の発明とは、全く異なる技術と言うことができる。
本発明によれば、Cuを粒界に偏在させた構造とすることで、圧電歪み特性に優れ、且つ加速電圧負荷特性にも優れた圧電磁器組成物及び圧電素子を提供することが可能である。例えば、Cuを内部電極層の電極材料として用いた場合にも、高温での電気抵抗の低下が少なく、電気機械結合係数krにも優れた圧電素子を提供することが可能である。また、拡散抑制物質の添加等が不要であるので、製造コストや製造工数等を削減する上でも有利である。したがって、本発明によれば、安価でありながら、絶縁特性に優れ、信頼性の高い圧電磁器組成物及び圧電素子を提供することが可能である。
以下、本発明を適用した圧電磁器組成物及び圧電素子について、図面を参照して詳細に説明する。
先ず、本発明の圧電磁器組成物は、Pb、Ti、及びZrを構成元素とする複合酸化物を主成分とするものである。ここで、前記複合酸化物は、例えばチタン酸鉛(PbTiO)とジルコン酸鉛(PbZrO)、及び亜鉛・ニオブ酸鉛[Pb(Zn1/3Nb2/3)O]により構成される3元系の複合酸化物や、前記3元系の複合酸化物においてPbの一部をSr、Ba、Ca等で置換した複合酸化物である。
具体的な組成としては、下記(1)式、あるいは(2)式で表される複合酸化物等を挙げることができる。なお、これら(1)式、あるいは(2)式において、酸素の組成は化学量論的に求めたものであり、実際の組成においては、化学量論組成からのずれは許容されるものとする。
Pb[(Zn1/3Nb2/3TiZr]O ・・・(1)
(ただし、0.96≦a≦1.03、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。)
(Pba−bMe)[(Zn1/3Nb2/3TiZr]O ・・・(2)
(ただし、0.96≦a≦1.03、0<b≦0.1、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。また、式中のMeは、Sr、Ca、Baから選ばれる少なくとも1種を表す。)
前記複合酸化物は、いわゆるペロブスカイト構造を有しており、Pb、及び(2)式における置換元素Meについては、ペロブスカイト構造のいわゆるAサイトに位置する。ZnやNb、Ti、Zrは、ペロブスカイト構造のいわゆるBサイトに位置する。
前記(1)式や(2)式で表される複合酸化物において、Aサイト元素の割合aは、0.96≦a≦1.03であることが好ましい。Aサイト元素の割合aが0.96未満であると、低温での焼成が困難になるおそれがある。逆に、Aサイト元素の割合aが1.03を越えると、得られる圧電磁器の密度が低下し、その結果、十分な圧電特性が得られなくなるおそれがあり、機械的強度も低下するおそれがある。
前記(2)式で表される複合酸化物においては、Pbの一部を置換元素Me(Sr,Ca,Ba)で置換しているが、これにより圧電歪定数を大きくすることができる。ただし、置換元素Meの置換量bが多くなりすぎると、焼結性が低下してしまい、その結果、圧電歪定数が小さくなり、機械強度も低下する。また、キュリー温度も置換量bの増加に伴って低下する傾向にある。したがって、置換元素Meの置換量bは、0.1以下とすることが好ましい。
一方、Bサイト元素のうち、ZnとNbの割合xは、0.05≦x≦0.15とすることが好ましい。前記割合xは焼成温度に影響を与え、この値が0.05未満であると焼成温度を低下させる効果が不足するおそれがある。逆に0.15を越えると、焼結性に影響を及ぼし、その結果、圧電歪定数が小さくなるとともに、機械的強度が低下するおそれがある。
Bサイト元素のうちTiの割合y及びZrの割合zは、圧電特性の観点から好ましい範囲が設定される。具体的には、Tiの割合yは、0.25≦y≦0.5であることが好ましく、Zrの割合zは、0.35≦z≦0.6であることが好ましい。前記範囲内に設定することで、モルフォトロピック相境界(MPB)付近において、大きな圧電歪定数を得ることができる。
本発明の圧電磁器組成物は、前記複合酸化物を主成分とするものであるが、これに加えて副成分を含んでいてもよい。この場合、副成分としては、Ta、Sb、Nb、及びWから選ばれる少なくとも1種である。前記副成分を添加することで、圧電特性及び機械的強度を向上させることができる。ただし、これら副成分の含有量は、酸化物換算で1.0質量%以下とすることが好ましい。例えばTaの場合、Ta換算で1.0質量%以下、Sbの場合、Sb換算で1.0質量%以下、Nbの場合、Nb換算で1.0質量%以下、Wの場合、WO換算で1.0質量%以下である。前記副成分の含有量が、前記酸化物換算で1.0質量%を越えると、焼結性が低下し、圧電特性が低下するおそれがある。
本発明の圧電磁器組成物は、前記の通り、Pb、Ti、及びZrを構成元素とする複合酸化物を主成分とするものであるが、その粒界にCuが偏在された構造を有することが大きな特徴である。前記複合酸化物を主成分とする圧電磁器組成物は、例えば図1に模式的に示すように、複合酸化物の結晶粒Aの集合体として構成される。ここで、各結晶粒Aの境界部分、すなわち粒界には、いわゆる粒界層Bが非常に薄い層として存在するが、本発明の圧電磁器組成物においては、この粒界層BにCuが偏在している。
このように粒界層BにCuが偏在することは、例えばEPMAでは解析することができず、解析にはFE−TEM(電界放射型透過電子顕微鏡)等の手法が必要である。本発明の圧電磁器組成物をFE−TEMにより解析すると、粒界、あるいは三重点にCuのピークが見られる。
前記Cuは、粒界のみに偏在することが理想的であるが、前記結晶粒Aの粒界層Bと接する部分に一部Cuが入り込んでいても構わない。ただし、あまり内部にまでCuが入り込むことは好ましくなく、Cuが存在するのは結晶粒1の界面から10nm以内とすることが好ましい。また、前記Cuは、前記粒界層Bに存在する他、例えば粒状に偏析していてもよいが、この粒状の偏析はなるべく少ない方が好ましく、粒状の偏析が全く無いことがより好ましい。
前記Cuを前記粒界に偏在させる方法は任意であるが、例えばCuを接触させた状態で圧電磁器組成物を適正な焼成条件で焼成すればよい。これにより、Cuが圧電磁器組成物中に拡散し、前記構造が得られる。したがって、圧電素子において、内部電極層にCuを用い、適正な条件で焼成すれば、各圧電体層において、前記構造が実現されることになる。そこで、以下においては、圧電素子について説明する。
図2は、積層型の圧電素子の一例を示すものである。積層型の圧電素子1は、図2に示すように、複数の圧電体層2の間に内部電極層3が挿入された積層体4を備えており、この積層体4が活性部分として変位に寄与する。圧電体層2の1層当たりの厚さは、任意に設定することができるが、例えば1μm〜100μm程度に設定するのが通常である。積層体4の両側には、不活性領域として内部電極層3が形成されていない圧電層領域を有するが、この部分の圧電層の厚さは、内部電極層3間の圧電体層2の厚さよりも厚く設定される場合もある。
前記内部電極層3は、例えば交互に逆方向に延長されており、各延長方向の端部には、それぞれ内部電極層3と電気的に接続された端子電極5,6が設けられている。前記端子電極5,6は、例えばAu等の金属をスパッタリングすることにより形成されていてもよいし、電極用ペーストを焼き付けることにより形成されていてもよい。端子電極5,6の厚さは、用途や積層型圧電素子1のサイズ等によって適宜設定されるが、通常は、10μm〜50μm程度である。
圧電素子において、前記内部電極層3は、各圧電体層2に電圧を印加する電極としての機能を有するものであり、当然のことながら導電材料により構成される。この場合、導電材料として、Ag、Au、Pt、Pd等の貴金属を用いることもできるが、本発明では、前記粒界への偏在を目的として、Cuを含む電極材料を用いる。具体的には、Cuペーストを塗布することにより前記内部電極層3を形成する。前記Cuを電極材料として用いることで、積層型圧電素子1の製造コストの削減にも繋がる。一方、前記圧電体層2には圧電磁器組成物を用いるが、使用する圧電磁器組成物は、前述の通り、Pb、Ti、及びZrを構成元素とする複合酸化物を主成分とする圧電磁器組成物である。
以上が積層型の圧電素子1の基本的な構成であるが、本発明の圧電素子1において特徴的なのは、前記の通り、複合酸化物を主成分とする結晶粒の粒界にCuが偏在された構造を有することである。圧電体層2において、Cuが粒界に偏在した構造を有することにより、粒界の絶縁性が高められ、例えば加速電圧負荷特性が向上する。また、前記Cuの偏在により圧電体層2の主体となる前記複合酸化物の結晶粒の組成を変化させることもないので、圧電歪み特性も維持される。
前記圧電素子の圧電体層2において、Cuが粒界に偏在した構造とするには、前記圧電素子を焼成する際の焼成条件を適正に制御する必要がある。例えば、先ず、本発明の圧電素子は、還元焼成条件において焼成されたものであることが好ましい。圧電素子の作製に際し、酸化性雰囲気中で焼成すると、例えば内部電極層3の電極材料として貴金属を用いる必要がある。これに対して、還元焼成条件において焼成すれば、安価なCuを内部電極層3に用いることができる。ここで、還元焼成条件としては、例えば、焼成温度800℃〜1200℃、酸素分圧1×10−10〜1×10−6気圧である。
前記還元焼成条件での焼成を行った場合、高温での電気抵抗の低下が問題になるが、本発明の圧電素子の場合、前記の通り圧電体層2はCuが粒界に偏在した構造を有するので、これを回避することが可能である。すなわち、本発明の積層型圧電素子では、還元焼成条件で焼成されたものであるので、内部電極層3にCuを用いることができ、しかも高温での電気抵抗の低下を解消することが可能である。
以下、本発明の圧電素子1の製造するのに好適な製造方法の一例について説明する。以下に説明する条件で焼成することにより、前記Cuが粒界に偏在する構造を作り出すことができる。
圧電素子1を作製するには、先ず、積層工程を行うが、この積層工程では、圧電体層2の原料を用意し、目的とする組成に応じて秤量した後、バインダー等を加えてセラミック原料混合物とする。圧電体層2の原料には、圧電体層2を構成する元素の酸化物、炭酸塩、シュウ酸塩、水酸化物等が用いられるが、例えば圧電体層2が前記チタン酸ジルコン酸鉛である場合、酸化鉛(PbO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)が原料として用いられる。次いで、このセラミック原料混合物をシート状に成形し、セラミック前駆体層を形成する。
同様に、内部電極層3の原料である例えば金属銅を用意し、バインダー等を加えて内部電極原料混合物とする。内部電極層3の原料としては、前記金属銅を単独で用いても良いし、他の材料と混合して用いても良い。この場合、他の材料としては、例えば焼成後に金属銅となる銅酸化物あるいは有機銅化合物、さらには金属銅以外の金属や金属酸化物、有機金属化合物等を挙げることができる。また、内部電極原料混合物には、必要に応じて分散剤、可塑剤、誘電体材料、絶縁体材料等の添加物を添加してもよい。
前記内部電極原料混合物を前記セラミック前駆体層上に例えばスクリーン印刷することにより、内部電極前駆体層を形成する。以上により内部電極前駆体層を形成したセラミック前駆体層を複数積層し、セラミック前駆体層と内部電極前駆体層を交互に積層した積層体を得る。
前述の積層工程の後、脱脂工程において、得られた積層体に対して脱脂処理を行う。脱脂工程は、積層体を構成する各セラミック前駆体層、内部電極前駆体層に含まれるバインダー等を加熱により分解除去する工程である。
この脱脂工程は、通常は酸素を含む雰囲気(例えば大気中)で行われるものであり、本発明の製造方法においても前記酸素を含む雰囲気で行ってもよいが、脱脂工程での金属銅の酸化を抑えるためには、脱脂工程を還元雰囲気で行うことが好ましい。また、窒素(N)あるいはアルゴン(Ar)等の不活性ガスと水蒸気、必要に応じて水素を含む雰囲気ガスを導入し、式(3)に示した酸素分圧雰囲気中で前記脱脂工程を行うことも、好ましい形態である。
p(O)≦(25331×Kp)2/3 ・・・(3)
[ただし、式中Kpは水の解離平衡定数を表す。また、酸素分圧p(O)の単位はPaである。]
前記のように、不活性ガスと水蒸気を含む雰囲気ガスを導入し、式(3)に示した酸素分圧雰囲気中で脱脂工程を行う場合、酸素分圧は式(4)に示した範囲内であることがより好ましい。
Kp×10≦p(O)≦(25331×Kp)2/3 ・・・(4)
[ただし、式中Kpは水の解離平衡定数を表す。また、酸素分圧p(O)の単位はPaである。]
酸素分圧が前記範囲を下回ると、セラミック前駆体層に含まれる鉛が還元されて金属鉛が生じ易くなり、その結果、セラミック材料の特性が低下したり、金属鉛が内部電極前駆体層に含まれる金属銅と反応して溶出する等の問題が生ずるおそれがある。金属鉛が金属銅と反応して溶出すると、内部電極前駆体層を焼成することにより形成される内部電極層3において、断線等の原因になるおそれがある。
前述のように、不活性ガスと水蒸気を含む雰囲気ガスを用いて脱脂処理を行った場合、水蒸気は、残留炭素成分である炭化水素あるいは炭素と反応し、残留炭素の分解除去を促進する作用を発揮する。したがって、水蒸気の導入量は、前記酸素分圧となるように設定することが好ましく、具体的には7mol%以上とすることが好ましい。水蒸気の導入量がこれよりも少ないと、バインダーの分解除去が不十分となって残留炭素が多くなり、特に、セラミック前駆体層の積層数が多くなったり、各セラミック前駆体層の大きさが大きくなった場合に、内部における残留炭素の量が多くなるおそれがある。また、水蒸気の導入量が多くなり過ぎると、酸素分圧が大きくなり過ぎて、内部電極前駆体層に含まれる金属銅が亜酸化銅(CuO)に変化し易くなることから、水蒸気の導入量は50mol%以下とすることが好ましい。亜酸化銅は、例えば680℃においてセラミック層(圧電体層2)中に拡散し、特性を劣化させる原因となる。
水蒸気は、また、解離平衡により酸素を発生させるとともに、水素濃度が増大しても酸素分圧の変化を抑制する作用も有している。ここで、水蒸気の解離平衡を利用して脱脂処理時における酸素分圧を調整することにより、極めて低い酸素分圧に調整することが可能となる。脱脂処理時の酸素分圧が高いと、内部電極前駆体層に含まれる金属銅が酸化して膨張し、クラックが発生する等の障害が発生するおそれがある。前記水蒸気を利用して酸素分圧を低い値に制御可能であるので、前記金属銅の酸化によるクラックの発生を抑えることが可能である。なお、脱脂処理の際の雰囲気制御としては、例えば雰囲気ガスとして酸素を導入することも考えられるが、酸素の導入では、前記クラックが発生しないように酸素分圧を低く制御することは極めて難しく、この点でも水蒸気による酸素分圧の制御が有利である。
前記不活性ガスと水蒸気を含む雰囲気ガスを導入し、式(3)に示した酸素分圧雰囲気中で脱脂工程を行う場合、雰囲気ガスとして水素を水蒸気とともに導入することも可能である。水素も残留炭素を除去する作用を有するからである。ただし、水素の導入量が多いと酸素分圧が低下して却って残留炭素が多くなったり、セラミック前駆体層に含まれる鉛が還元され易くなる場合があるので、雰囲気ガスにおける水素濃度を10molppm以下とすることが好ましい。
前記脱脂工程において、脱脂処理時の温度は、600℃以下とすることが好ましい。脱脂処理温度が600℃を超えると、鉛系のセラミック材料が焼結し始めるので、緻密化して通気孔が閉塞し、バインダーの分解揮発が妨げられるおそれがあるからである。
前述の脱脂工程の後、焼成工程において積層体を焼成する。本発明の圧電素子1の製造に際しては、この焼成の際の雰囲気コントロールが重要である。以下、焼成工程における雰囲気コントロールについて説明する。
図3は、積層体の焼成時の温度プロファイルの一例を示すものである。焼成に際しては、次第に温度が上昇する昇温期間UT、一定の温度に維持する焼成安定期間AT、及び焼成後の積層体を冷却する降温期間DTを経て積層体の焼成が行われる。ここで、焼成安定期間ATでは、いわゆる焼成到達温度Tに維持することにより実質的な焼成が行われることになる。例えば、前記チタン酸ジルコン酸鉛系のセラミック材料の場合、前記焼成到達温度Tは、900℃〜1000℃に設定される。
前記焼成に際しては、炉内に雰囲気ガスを導入し、炉内雰囲気を所定の雰囲気とするが、本発明では、炉内の温度が100℃を超えた時点で、所定の雰囲気ガスを導入する。この場合、導入するガスは、例えば不活性ガス(窒素やAr等)、水素、及び水蒸気を含有する雰囲気ガスであり、これら成分ガスを酸素分圧が下記式(5)に示される範囲内に入るように調整したものである。
10×Kp≦P(O)≦10×Kp ・・・(5)
前述のように、不活性ガス、水素、及び水蒸気を含有し、所定の酸素分圧となるように調整された雰囲気ガスを炉内に導入する場合、炉内の温度が100℃未満であると、水蒸気が凝縮するおそれがある。ここで、前記水蒸気の凝縮は、前記雰囲気ガスの酸素分圧を調整する上で大きな障害となることから、前記雰囲気ガスを炉内の温度が100℃を超えてから導入するようにしている。当該雰囲気ガスの導入前の炉内雰囲気は任意であり、例えば不活性ガス雰囲気としてもよいし、あるいは空気とすることも可能である。
炉内温度が100℃を超えた後、前記不活性ガス、水素、及び水蒸気を含有する雰囲気ガスを炉内に導入すると、温度上昇とともに水蒸気の解離が進み、酸素分圧が次第に上昇する。図4は、温度上昇に伴う酸素分圧の上昇の様子を示すものであり、線aはP(O)=10×Kpに設定した場合の酸素分圧の変化の様子、線bはP(O)=10×Kpに設定した場合の酸素分圧の変化の様子を示すものである。
一方、図4中、線cは銅の酸素解離圧を示すものであり、線dは鉛(Pb)の酸素解離圧を示すものである。銅の場合、酸素分圧が線cを下回ると金属銅の状態が維持され、酸素分圧が線cを超えると酸化されて亜酸化銅(CuO)になる。鉛(Pb)の場合、酸素分圧が前記線dを下回ると、金属化する。これに対し、酸素分圧が前記線dを超えると、酸化鉛(PbO)の状態が維持される。
これら銅と鉛の酸素解離圧を示す線c,dと、本発明において導入する雰囲気ガスの酸素分圧(線a,b)を比較すると、線a,bは全ての温度域において線c,dで挟まれる領域にあるわけではないが、焼成安定期間ATにおいて設定される焼成到達温度T(900℃〜1000℃)では、前記酸素解離圧近傍(すなわち線d,cの近傍)にある。これよりも温度が低い領域では、線a,bは線cの下である。
本発明者らが検討を重ねた結果、前記焼成の際の雰囲気制御においては、必ずしも全ての温度で金属銅と酸化鉛が共存可能な酸素分圧内(線cと線dに挟まれた領域)に収まるように雰囲気制御を行う必要はなく、前記焼成到達温度Tにおいて雰囲気ガスの酸素分圧を金属銅と酸化鉛が共存可能な酸素分圧近傍に設定すれば、目的が達せられることがわかった。
前記範囲内にあれば、すなわち雰囲気ガスの酸素分圧曲線が線aと線bの間に入れば、銅等の卑金属を内部電極層に使用した場合にも、煩雑な雰囲気制御を行わなくても、内部電極層の酸化や溶出の無い品質に優れた積層圧電素子を製造することが可能となる。この場合、例えば前記焼成到達温度Tが900℃〜1000℃とすると、当該温度での酸素分圧は、概ね1×10−6Pa〜2×10−11気圧になる。
好ましくは、下記式(6)に示される範囲内の酸素分圧p(O)を有する雰囲気ガスを100℃以上の温度に到達した時点で導入することであり、より好ましくは、前記焼成到達温度Tにおいて酸素分圧が前記金属銅と酸化鉛が共存可能な酸素分圧になるような雰囲気ガスを100℃以上の温度に到達した時点で導入することである。なお、前記好ましい範囲を図4中の線e[p(O)=10×Kp]、及び線f[p(O)=10×Kp]で示す。この場合、前記焼成到達温度T(=900℃〜1000℃)での酸素分圧は、概ね1×10−7Pa〜2×10−10Paになる。
10×Kp≦p(O)≦10×Kp ・・・(6)
[ただし、式中Kpは水の解離平衡定数を表す。また、酸素分圧p(O)の単位はPaである。]
前記雰囲気ガスの導入の後、前記図3に示す温度プロファイルにしたがって焼成を行う。このとき、雰囲気ガスの変更は一切必要なく、前記設定の雰囲気ガスに維持した状態で焼成を行う。したがって、煩雑な雰囲気制御が不要となり、生産性を向上することが可能である。また、装置構成の煩雑化や昇温時の炉内雰囲気の不均一化等を招くことがないので、均一な品質の製品の製造が可能である。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果を基に説明する。
積層型圧電素子の作製
圧電磁器組成物は、次のようにして作製した。先ず、主成分の原料として、PbO粉末、SrCO粉末、ZnO粉末、Nb粉末、TiO粉末、ZrO粉末を用意し、下記主成分の組成となるように秤取した。次に、これら原料をボールミルを用いて16時間湿式混合し、大気中において700℃〜900℃で2時間仮焼した。
主成分:(Pb0.965Sr0.03)[(Zn1/3Nb2/30.1Ti0.43Zr0.47]O
得られた仮焼物を微粉砕した後、ボールミルを用いて16時間湿式粉砕した。これを乾燥した後、ビヒクルを加え、混練して圧電層用ペーストを作製した。それとともに、導電材料であるCu粉末をビヒクルと混練し、内部電極用ペーストを作製した。続いて、前記圧電層用ペースト及び内部電極用ペーストを用いて、印刷法により積層体の前駆体であるグリーンチップを作製した。さらに、脱バインダ処理を行い、還元焼成条件で焼成し、積層体を得た。還元焼成条件としては、焼成到達温度T(=950℃)での酸素分圧が金属銅と酸化鉛が共存可能な酸素分圧近傍にあるように導入する雰囲気ガスを設定し、当該雰囲気ガスを100℃に到達した時点で炉内に投入し、1時間安定させてから昇温を開始した。
EPMAによる解析
作製した積層型圧電素子の圧電体層について、EPMA解析を行った。図5は、このEPMAによる解析結果を示すものである。EPMA解析では、Cuの偏析はほとんど見られず、Cuの粒状の偏析は900μm×900μmの視野内に2〜3個程度であった。
FE−TEMによる解析
次に、EPMA解析でCuの偏析が見られなかった領域について、FE−TEMによる解析を行った。図6は、圧電体層のTEM写真である。圧電体層は、結晶粒の集合体として形成されており、写真中の点Dで示す三重点を中心に、3方向に延びる粒界が観察される。図6中の点D(三重点),E(粒界),F(粒界),G(粒界),H(粒内)について、TEM−EDSにより組成分析を行った。結果を図7に示す。点D(三重点)や点E(粒界),点F(粒界),点G(粒界)においては、Cuの存在が確認された。一方、点H(粒内)では、Cuのピークは確認されなかった。
粒界近傍におけるCuの分布
さらに粒界近傍を拡大して、FE−TEMによりCuの分布を調べた。図8は、拡大したTEM写真である。粒界近傍についてTEM−EDSにより組成分析を行った結果が図9である。図9において、(a)は粒内(粒界から10nm)での組成分析結果、(b)は粒内(粒界から5nm)での組成分析結果、(c)は粒界での組成分析結果である。粒界においては、明瞭にCuのピークが観察され、粒界から5nmの位置でもCuのピークが観察されるが、粒界から10nmの位置ではCuのピークはほとんど見られない。
比較例
比較のため、CuOを添加して圧電磁器組成物を作製した。図10は、得られた圧電磁器組成物のTEM写真である。組成分析の結果、点C(粒界)や点E(三重点)ではCuの存在は認められなかった。一方、点Fが存在する結晶粒は、PbO3.7質量%、ZrO0.8質量%、Ta1.9質量%、CuO93.6質量%であり、その大部分がCuOにより構成されていることがわかった。したがって、CuOを添加して作製した圧電磁器組成物では、CuOが粒状に偏析することがわかった。
特性の比較
先に作製した積層型圧電素子(粒界にCuの偏在有り)と、条件を変えて圧電体層にCuを拡散させない積層型圧電素子(粒界にCuの偏在無し)について、加速電圧負荷特性(HALT)を測定した。その結果、粒界にCuの偏在の無い積層型圧電素子(比較例に相当)では、前記加速電圧負荷特性が0秒であったのに対して、粒界にCuの偏在が有る積層型圧電素子(実施例に相当)では、加速電圧負荷特性が2.0×10秒と大幅な改善が見られた。
圧電磁器組成物の粒界を示す模式図である。 積層型圧電素子の一構成例を示す概略断面図である。 焼成時の温度プロファイルの一例を示す図である。 焼成時に導入する雰囲気ガスの酸素分圧範囲を金属銅と酸化鉛が共存可能な酸素分圧とともに示す図である。 実施例で作製した圧電素子のEPMA像である。 実施例で作製した圧電素子のFE−TEM像である。 図6に示すFE−TEM像の各点におけるTEM−EDSによる組成分析結果である。 実施例で作製した圧電素子をさらに拡大して示すFE−TEM像である。 粒界近傍におけるTEM−EDSによる組成分析結果である。 粒状に偏析したCuのTEM像である。
符号の説明
1 圧電素子、2 圧電体層、3 内部電極、4 積層体、5,6 端子電極

Claims (10)

  1. Pb、Ti、及びZrを構成元素とする複合酸化物を含み、Cuが粒界に偏在した構造を有することを特徴とする圧電磁器組成物。
  2. 還元焼成条件で焼成されたものであることを特徴とする請求項1記載の圧電磁器組成物。
  3. 前記還元焼成条件は、焼成温度800℃〜1200℃、酸素分圧1×10−10〜1×10−6気圧であることを特徴とする請求項2記載の圧電磁器組成物。
  4. 前記複合酸化物としてPb[(Zn1/3Nb2/3TiZr]O(ただし、0.96≦a≦1.03、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。)で表される複合酸化物、及び(Pba−bMe)[(Zn1/3Nb2/3TiZr]O(ただし、0.96≦a≦1.03、0<b≦0.1、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。また、式中のMeは、Sr、Ca、Baから選ばれる少なくとも1種を表す。)で表される複合酸化物から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の圧電磁器組成物。
  5. 副成分として、Ta、Sb、Nb及びWから選ばれる少なくとも1種を含有し、前記副成分の含有量が酸化物換算で1.0質量%以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の圧電磁器組成物。
  6. Pb、Ti、及びZrを構成元素とする複合酸化物を含む圧電磁器組成物により形成される複数の圧電体層と、これら圧電体層間に形成されCuを含有する内部電極層とを備え、
    前記圧電体層を構成する圧電磁器組成物は、Cuが粒界に偏在した構造を有することを特徴とする圧電素子。
  7. 還元焼成条件で焼成されたものであることを特徴とする請求項6記載の圧電素子。
  8. 前記還元焼成条件は、焼成温度800℃〜1200℃、酸素分圧1×10−10〜1×10−6気圧であることを特徴とする請求項6記載の圧電素子。
  9. 前記圧電体層を構成する圧電磁器組成物は、複合酸化物として、Pb[(Zn1/3Nb2/3TiZr]O(ただし、0.96≦a≦1.03、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。)で表される複合酸化物、及び(Pba−bMe)[(Zn1/3Nb2/3TiZr]O(ただし、0.96≦a≦1.03、0<b≦0.1、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。また、式中のMeは、Sr、Ca、Baから選ばれる少なくとも1種を表す。)で表される複合酸化物から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項6から8のいずれか1項記載の圧電素子。
  10. 前記圧電体層を構成する圧電磁器組成物は、副成分として、Ta、Sb、Nb及びWから選ばれる少なくとも1種を含有し、前記副成分の含有量が酸化物換算で1.0質量%以下であることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項記載の圧電素子。
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