しかしながら、特許文献2の技術においては、高濃度色材に対して誤差拡散法を用いるため、孤立ドットの安定性に劣る画像形成装置に適用した場合、高濃度色材の粒状性が悪くなり画質が劣化するという問題があった。特に電子写真のような孤立ドットが不安定に出現するような装置では、低面積率の画像領域はある程度トナーを集めて画像形成するのが好ましく、誤差拡散法よりもディザ法が安定した画像再生ができるものだった。したがって、高濃度色材においても低濃度色材においても、面積率が低い画像領域ではドットを集中させて安定再現でき、粒状性および安定性の両方の要請を満たす方式が要望されていた。
本発明は上記の問題に鑑みてなされ、その目的は、複数の色材を用いた画像形成において、色モアレを抑制しつつ、粒状性や安定性に優れた画像形成が可能な、画像処理装置、画像処理方法、画像形成装置、画像形成方法、およびそれらの方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、画像データに基づいて複数の色材に対応する色信号を生成する色変換手段と、前記色変換手段によって生成された複数の色材に対応する色信号である色材信号に対して第1の階調処理を施す第1の階調処理手段と、前記色材信号の間でスクリーンおよびモアレ現象を含む版干渉が前記第1の階調処理との間で発生しにくい第2の階調処理を施す第2の階調処理手段と、前記色材信号のうち所定の1つの色材信号、およびそれ以外の他の色材信号が生成されたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記1つの色材信号のみ生成されたと判定した場合、前記1つの色材信号に対して前記第1の階調処理手段によって処理を施し、かつ、前記判定手段によって前記1つの色材信号および前記他の色材信号の両方が生成されたと判定した場合、前記1つの色材信号に対しては前記第2の階調処理手段による処理に切り替え、かつ、前記他の色材信号に対しては、前記第1の階調処理手段による処理を施すよう制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記判定手段は、前記他の色材信号として、前記1つの色材信号に対して版干渉を起こしやすい所定の色の色材信号が生成されたか否かを判定するものであることを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項1または2に記載の画像処理装置において、前記色変換手段は、前記複数の色材信号のうち少なくとも1つの同系色による同系色信号から濃度の異なる複数の色材信号を生成し、前記判定手段は、前記同系色から生成された前記複数の色材信号のうちの1つの色材信号を前記1つの色材信号として判定し、かつ、それ以外の色材信号を前記他の色材信号として判定するものであることを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項1〜3のいずれかに1つに記載の画像処理装置において、前記第1の階調処理手段は、前記色材信号に対して面積変調によって階調処理を施し、前記第2の階調処理手段は、前記色材信号に対して濃度変調によって階調処理を施すものであることを特徴とする。
請求項5にかかる発明は、請求項3または4に記載の画像処理装置において、前記色変換手段は、前記複数の色材信号のうち少なくとも1つの同系色から低濃度の色材信号である低濃度信号、および高濃度の色材信号である高濃度信号を生成するものであり、前記判定手段は、前記1つの色材信号として前記低濃度信号が生成されたか否か、および前記他の色材信号として前記高濃度信号が生成されたか否かを判定するものであることを特徴とする。
請求項6にかかる発明は、請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像処理装置において、前記制御手段は、前記判定手段が前記1つおよび他の両方の色材信号の発生を判定した場合、前記制御手段が前記1つの色材信号に対する階調処理を前記第2の階調処理手段による処理に切り替える該切り替え点においては、前記1つの色材信号の前記第2の階調処理手段により生成される画像パターンと、前記他の色材信号の前記第1の階調処理手段により生成される画像パターンとが、同一の画像パターンになるよう制御するものであることを特徴とする。
請求項7にかかる発明は、請求項3〜6のいずれか1つに記載の画像処理装置において、前記色変換手段は、前記同系色から分離された低濃度信号が、前記同系色信号の増加に対して単調増加して飽和点に達した時点で、前記高濃度信号を単調増加に出現開始させるものであることを特徴とする。
請求項8にかかる発明は、請求項3〜7のいずれか1つに記載の画像処理装置において、前記色変換手段は、前記同系色から分離された低濃度信号が、前記同系色信号の増加に対して単調増加して極大点に至った後に、前記高濃度信号を単調増加に出現開始させるものであり、かつ、前記低濃度信号は、極大点以降は広義単調減少するものであり、前記制御手段は、前記極大点を前記第1の階調処理手段および第2の階調処理手段の切り替え点とするものであることを特徴とする。
請求項9にかかる発明は、請求項3〜8のいずれか1つに記載の画像処理装置において、前記第1の階調処理手段は、前記低濃度信号のみが生成される場合において使用するディザスクリーンと、前記高濃度信号に対して使用するディザスクリーンとが同一のスクリーン線数およびスクリーン角であるディザスクリーンを使用して、面積変調による組織的ディザ処理を前記色材信号に対して施すものであることを特徴とする。
請求項10にかかる発明は、請求項1〜9のいずれか1つに記載の画像処理装置において、前記第1の階調処理手段は、ドット集中型の面積変調による階調処理を前記色材信号に対して施し、前記第2の階調処理方式は、ドット分散型の面積変調による階調処理を前記色材信号に対して施すものであることを特徴とする。
請求項11にかかる発明は、請求項10に記載の画像処理装置において、前記第1の階調処理手段は、ドット集中型の面積変調による階調処理を前記色材信号に対して施し、第2の階調処理手段は、前記第1の階調処理手段が用いるドットの集中度合いよりも低いドット集中型の面積変調による階調処理を前記色材信号に対して施すものであることを特徴とする。
請求項12にかかる発明は、色信号を生成する色変換手段と、色信号に階調処理を施す階調処理手段と、色信号を判定する判定手段と、階調処理を制御する制御手段と、を備えた画像処理装置の画像処理方法であって、画像データに基づいて複数の色材に対応する色信号を生成する色変換工程と、前記色変換工程で生成された複数の色材に対応する色信号である色材信号に対して第1の階調処理を施す第1の階調処理工程と、前記色材信号の間でスクリーンおよびモアレ現象を含む版干渉が前記第1の階調処理との間で発生しにくい第2の階調処理を施す第2の階調処理工程と、前記色材信号のうち所定の1つの色材信号、およびそれ以外の他の色材信号が生成されたか否かを判定する判定工程と、前記判定工程で前記1つの色材信号のみ生成されたと判定した場合、前記1つの色材信号に対して前記第1の階調処理工程によって処理を施し、かつ、前記判定工程で前記1つの色材信号および前記他の色材信号の両方が生成されたと判定した場合、前記1つの色材信号に対しては前記第2の階調処理工程による処理に切り替え、かつ、前記他の色材信号に対しては、前記第1の階調処理工程による処理を施すよう制御する制御工程と、を含むことを特徴とする。
請求項13にかかる発明は、請求項12に記載の画像処理方法において、前記判定工程は、前記他の色材信号として、前記1つの色材信号に対して版干渉を起こしやすい所定の色の色材信号が生成されたか否かを判定するものであることを特徴とする。
請求項14にかかる発明は、請求項12または13に記載の画像処理方法において、前記色変換工程は、前記複数の色材信号のうち少なくとも1つの同系色による同系色信号から濃度の異なる複数の色材信号を生成し、前記判定工程は、前記同系色から生成された前記複数の色材信号のうちの1つの色材信号を前記1つの色材信号として判定し、かつ、それ以外の色材信号を前記他の色材信号として判定するものであることを特徴とする。
請求項15にかかる発明は、請求項12〜14のいずれかに1つに記載の画像処理方法において、前記第1の階調処理工程は、前記色材信号に対して面積変調によって階調処理を施し、前記第2の階調処理工程は、前記色材信号に対して濃度変調によって階調処理を施すものであることを特徴とする。
請求項16にかかる発明は、請求項14または15に記載の画像処理方法において、前記色変換工程は、前記複数の色材信号のうち少なくとも1つの同系色から低濃度の色材信号である低濃度信号、および高濃度の色材信号である高濃度信号を生成するものであり、前記判定工程は、前記1つの色材信号として前記低濃度信号が生成されたか否か、および前記他の色材信号として前記高濃度信号が生成されたか否かを判定するものであることを特徴とする。
請求項17にかかる発明は、請求項12〜16のいずれか1つに記載の画像処理方法において、前記制御工程は、前記判定工程が前記1つおよび他の色材信号の両方の発生を判定した場合、前記制御工程が前記1つの色材信号に対する階調処理を前記第2の階調処理工程による処理に切り替える該切り替え点においては、前記1つの色材信号の前記第2の階調処理工程により生成される画像パターンと、前記他の色材信号の前記第1の階調処理工程により生成される画像パターンとが、同一の画像パターンになるよう制御するものであることを特徴とする。
請求項18にかかる発明は、請求項14〜17のいずれか1つに記載の画像処理方法において、前記色変換工程は、前記同系色から分離された低濃度信号が、前記同系色信号の増加に対して単調増加して飽和点に達した時点で、前記高濃度信号を単調増加に出現開始させるものであることを特徴とする。
請求項19にかかる発明は、請求項14〜18のいずれか1つに記載の画像処理方法において、前記色変換工程は、前記同系色から分離された低濃度信号が、前記同系色信号の増加に対して単調増加して極大点に至った後に、前記高濃度信号を単調増加に出現開始させるものであり、かつ、前記低濃度信号は、極大点以降は広義単調減少するものであり、前記制御工程は、前記極大点を前記第1の階調処理手段および第2の階調処理手段の切り替え点とするものであることを特徴とする。
請求項20にかかる発明は、請求項14〜19のいずれか1つに記載の画像処理方法において、前記第1の階調処理工程は、前記低濃度信号のみが生成される場合において使用するディザスクリーンと、前記高濃度信号に対して使用するディザスクリーンとが同一のスクリーン線数およびスクリーン角であるディザスクリーンを使用して、面積変調による組織的ディザ処理を前記色材信号に対して施すものであることを特徴とする。
請求項21にかかる発明は、請求項12〜20のいずれか1つに記載の画像処理方法において、前記第1の階調処理工程は、ドット集中型の面積変調による階調処理を前記色材信号に対して施し、前記第2の階調処理方式は、ドット分散型の面積変調による階調処理を前記色材信号に対して施すものであることを特徴とする。
請求項22にかかる発明は、請求項21に記載の画像処理方法において、前記第1の階調処理工程は、ドット集中型の面積変調による階調処理を前記色材信号に対して施し、第2の階調処理工程は、前記第1の階調処理工程が用いるドットの集中度合いよりも低いドット集中型の面積変調による階調処理を前記色材信号に対して施すものであることを特徴とする。
請求項23にかかる発明は、画像処理装置と、画像形成手段と、を備えた画像形成装置であって、前記画像処理装置は、画像データに基づいて複数の色材に対応する色信号を生成する色変換手段と、前記色変換手段によって生成された複数の色材に対応する色信号である色材信号に対して第1の階調処理を施す第1の階調処理手段と、前記色材信号の間でスクリーンおよびモアレ現象を含む版干渉が前記第1の階調処理との間で発生しにくい第2の階調処理を施す第2の階調処理手段と、前記色材信号のうち所定の1つの色材信号、およびそれ以外の他の色材信号が生成されたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記1つの色材信号のみ生成されたと判定した場合、前記1つの色材信号に対して前記第1の階調処理手段によって処理を施し、かつ、前記判定手段によって前記1つの色材信号および前記他の色材信号の両方が生成されたと判定した場合、前記1つの色材信号に対しては前記第2の階調処理手段による処理に切り替え、かつ、前記他の色材信号に対しては、前記第1の階調処理手段による処理を施すよう制御する制御手段と、を有し、前記画像形成手段は、前記画像処理装置によって処理を施された画像データに基づいて画像形成するものであることを特徴とする。
請求項24にかかる発明は、色信号を生成する色変換手段と、色信号に階調処理を施す階調処理手段と、色信号を判定する判定手段と、階調処理を制御する制御手段と、画像形成手段を備えた画像形成装置の画像形成方法であって、画像データに基づいて複数の色材に対応する色信号を生成する色変換工程と、前記色変換工程で生成された複数の色材に対応する色信号である色材信号に対して第1の階調処理を施す第1の階調処理工程と、前記色材信号の間でスクリーンおよびモアレ現象を含む版干渉が前記第1の階調処理との間で発生しにくい第2の階調処理を施す第2の階調処理工程と、前記色材信号のうち所定の1つの色材信号、およびそれ以外の他の色材信号が生成されたか否かを判定する判定工程と、前記判定工程で前記1つの色材信号のみ生成されたと判定した場合、前記1つの色材信号に対して前記第1の階調処理工程によって処理を施し、かつ、前記判定工程で前記1つの色材信号および前記他の色材信号の両方が生成されたと判定した場合、前記1つの色材信号に対しては前記第2の階調処理工程による処理に切り替え、かつ、前記他の色材信号に対しては、前記第1の階調処理工程による処理を施すよう制御する制御工程と、前記制御工程で制御されて処理を施された色材信号、および前記色変換肯定で生成された色信号に基づいて画像を形成する画像形成工程と、を含むことを特徴とする。
請求項25にかかる発明は、プログラムにおいて、請求項12〜22のいずれか1つに記載の画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
請求項26にかかる発明は、プログラムにおいて、請求項24に記載の画像形成方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
請求項1にかかる発明によれば、画像データに基づいて複数の色材に対応する色信号を生成し、生成された複数の色材信号に対して第1の階調処理を施し、色材信号の間で版干渉が第1の階調処理との間で発生しにくい第2の階調処理を施し、所定の1つの色材信号、および他の色材信号が生成されたか否かを判定し、1つの色材信号のみ生成されたと判定した場合、1つの色材信号に対して第1の階調処理を施し、かつ、1つの色材信号および他の色材信号の両方が生成されたと判定した場合、1つの色材信号に対しては第2の階調処理手段による処理に切り替え、かつ、他の色材信号に対しては、第1の階調処理手段による処理を施すよう制御するので、両方の色材信号が発生する場合であっても、モアレなどの版干渉が起きにくい画像処理装置を提供できるという効果を奏する。
請求項2にかかる発明によれば、他の色材信号として、1つの色材信号に対して版干渉を起こしやすい所定の色の色材信号が生成されたか否かを判定するので、モアレなどの版干渉が起きやすい色材に対して版干渉を抑制することができる画像処理装置を提供できるという効果を奏する。
請求項3にかかる発明によれば、1つの同系色による同系色信号から濃淡の色材信号を生成し、濃淡の色材信号に対して上記のように第1および第2の階調処理を切り替えるので、同系色からの濃淡信号によるモアレなどの版干渉を抑制することができる画像処理装置を提供できるという効果を奏する。
請求項4にかかる発明によれば、第1の階調処理は、面積変調によって階調処理を施し、それに対して版干渉が起きにくい第2の階調処理として濃度変調によって階調処理を施すので、複数の色材信号が発生する場合であっても、有効に、モアレなどの版干渉を抑制することができる画像処理装置を提供できるという効果を奏する。
請求項5にかかる発明によれば、1つの同系色から低濃度の低濃度信号、および高濃度の高濃度信号を生成し、低濃度信号と高濃度信号という版干渉が起きやすい色材信号に対して、低濃度信号のみの場合は面積変調を細越、高濃度色材と共に存在する領域では低濃ウド色材に対しては濃度変調処理を施し、高濃度色材に対しては面積変調で階調処理を施すので、有効にスクリーン干渉を抑制し、併せて低面積率で画像再生を行う領域での粒子性や階調性、安定性が優れたものとなる画像処理装置を提供できるという効果を奏する。
請求項6にかかる発明によれば、1つの色材信号に対する階調処理を第2の階調処理に切り替える該切り替え点においては、生成される画像パターンを同一の画像パターンになるよう制御するので、モアレなどの版干渉を抑制することができる画像処理装置を提供できるという効果を奏する。
請求項7にかかる発明によれば、同系色からの低濃度信号が、同系色信号の増加に対して単調増加して飽和点に達した時点で、高濃度信号を単調増加に出現開始させるので、低濃度信号がベタ状態になってから高濃度信号を出現させるため、モアレなどの版干渉を抑制することができる画像処理装置を提供できるという効果を奏する。
請求項8にかかる発明によれば、同系色からの低濃度信号が、同系色信号の増加に対して単調増加して極大点に至った後に、高濃度信号を単調増加に出現開始させるものであり、かつ、低濃度信号は、極大点以降は広義単調減少させ、かつ、該極大点を階調処理の切り替え点とするので、色材の消費を抑えて、スクリーン干渉を起こさない状態を維持することができる画像処理装置を提供できるという効果を奏する。
請求項9にかかる発明によれば、第1の階調処理は、低濃度信号のみが生成される場合において使用するディザスクリーンと、高濃度信号に対して使用するディザスクリーンとが同一のスクリーン線数およびスクリーン角であるディザスクリーンを使用して、面積変調による組織的ディザ処理を色材信号に対して施すので、濃淡信号に別々のディザスクリーンを使用せずに、4色系のディザスクリーン設定と同一のスクリーンという簡略な装置構成で、モアレなどの版干渉を抑制することができる画像処理装置を提供できるという効果を奏する。
請求項10にかかる発明によれば、第1の階調処理は、ドット集中型の面積変調による階調処理であり、第2の階調処理は、ドット分散型の面積変調による階調処理であるので、いずれも面積変調方式とすることによって、PWMの書き込み方式を持つ画像形成装置に適用したとしても、モアレなどの版干渉を抑制することができる画像処理装置を提供できるという効果を奏する。
請求項11にかかる発明によれば、第1の階調処理手段は、ドット集中型の面積変調による階調処理を施し、第2の階調処理手段は、第1の階調処理手段が用いるドットの集中度合いよりも低いドット集中型の面積変調による階調処理を施すので、第1および第2の階調処理方式の基調を替えない構成にすることによって、基調(テクスチャ)変化が少なく違和感のない画像を再現することができる画像処理装置を提供できるという効果を奏する。
請求項12にかかる発明によれば、画像データに基づいて複数の色材に対応する色信号を生成し、生成された複数の色材信号に対して第1の階調処理を施し、色材信号の間で版干渉が第1の階調処理との間で発生しにくい第2の階調処理を施し、所定の1つの色材信号、および他の色材信号が生成されたか否かを判定し、1つの色材信号のみ生成されたと判定した場合、1つの色材信号に対して第1の階調処理を施し、かつ、1つの色材信号および他の色材信号の両方が生成されたと判定した場合、1つの色材信号に対しては第2の階調処理手段による処理に切り替え、かつ、他の色材信号に対しては、第1の階調処理手段による処理を施すよう制御するので、両方の色材信号が発生する場合であっても、モアレなどの版干渉が起きにくい画像処理方法を提供できるという効果を奏する。
請求項13にかかる発明によれば、他の色材信号として、1つの色材信号に対して版干渉を起こしやすい所定の色の色材信号が生成されたか否かを判定するので、モアレなどの版干渉が起きやすい色材に対して版干渉を抑制することができる画像処理方法を提供できるという効果を奏する。
請求項14にかかる発明によれば、1つの同系色による同系色信号から濃淡の色材信号を生成し、濃淡の色材信号に対して上記のように第1および第2の階調処理を切り替えるので、同系色からの濃淡信号によるモアレなどの版干渉を抑制することができる画像処理方法を提供できるという効果を奏する。
請求項15にかかる発明によれば、第1の階調処理は、面積変調によって階調処理を施し、それに対して版干渉が起きにくい第2の階調処理として濃度変調によって階調処理を施すので、複数の色材信号が発生する場合であっても、有効に、モアレなどの版干渉を抑制することができる画像処理方法を提供できるという効果を奏する。
請求項16にかかる発明によれば、1つの同系色から低濃度の低濃度信号、および高濃度の高濃度信号を生成し、低濃度信号と高濃度信号という版干渉が起きやすい色材信号に対して、低濃度信号のみの場合は面積変調を細越、高濃度色材と共に存在する領域では低濃ウド色材に対しては濃度変調処理を施し、高濃度色材に対しては面積変調で階調処理を施すので、有効にスクリーン干渉を抑制し、併せて低面積率で画像再生を行う領域での粒子性や階調性、安定性が優れたものとなる画像処理方法を提供できるという効果を奏する。
請求項17にかかる発明によれば、1つの色材信号に対する階調処理を第2の階調処理に切り替える該切り替え点においては、生成される画像パターンを同一の画像パターンになるよう制御するので、モアレなどの版干渉を抑制することができる画像処理方法を提供できるという効果を奏する。
請求項18にかかる発明によれば、同系色からの低濃度信号が、同系色信号の増加に対して単調増加して飽和点に達した時点で、高濃度信号を単調増加に出現開始させるので、低濃度信号がベタ状態になってから高濃度信号を出現させるため、モアレなどの版干渉を抑制することができる画像処理方法を提供できるという効果を奏する。
請求項19にかかる発明によれば、同系色からの低濃度信号が、同系色信号の増加に対して単調増加して極大点に至った後に、高濃度信号を単調増加に出現開始させるものであり、かつ、低濃度信号は、極大点以降は広義単調減少させ、かつ、該極大点を階調処理の切り替え点とするので、色材の消費を抑えて、スクリーン干渉を起こさない状態を維持することができる画像処理方法を提供できるという効果を奏する。
請求項20にかかる発明によれば、第1の階調処理は、低濃度信号のみが生成される場合において使用するディザスクリーンと、高濃度信号に対して使用するディザスクリーンとが同一のスクリーン線数およびスクリーン角であるディザスクリーンを使用して、面積変調による組織的ディザ処理を色材信号に対して施すので、濃淡信号に別々のディザスクリーンを使用せずに、4色系のディザスクリーン設定と同一のスクリーンという簡略な装置構成で、モアレなどの版干渉を抑制することができる画像処理方法を提供できるという効果を奏する。
請求項21にかかる発明によれば、第1の階調処理は、ドット集中型の面積変調による階調処理であり、第2の階調処理は、ドット分散型の面積変調による階調処理であるので、いずれも面積変調方式とすることによって、PWMの書き込み方式を持つ画像形成装置に適用したとしても、モアレなどの版干渉を抑制することができる画像処理方法を提供できるという効果を奏する。
請求項22にかかる発明によれば、第1の階調処理手段は、ドット集中型の面積変調による階調処理を施し、第2の階調処理手段は、第1の階調処理手段が用いるドットの集中度合いよりも低いドット集中型の面積変調による階調処理を施すので、第1および第2の階調処理方式の基調を替えない構成にすることによって、基調(テクスチャ)変化が少なく違和感のない画像を再現することができる画像処理方法を提供できるという効果を奏する。
請求項23にかかる発明によれば、画像データに基づいて複数の色材に対応する色信号を生成し、生成された複数の色材信号に対して第1の階調処理を施し、色材信号の間で版干渉が第1の階調処理との間で発生しにくい第2の階調処理を施し、所定の1つの色材信号、および他の色材信号が生成されたか否かを判定し、1つの色材信号のみ生成されたと判定した場合、1つの色材信号に対して第1の階調処理を施し、かつ、1つの色材信号および他の色材信号の両方が生成されたと判定した場合、1つの色材信号に対しては第2の階調処理手段による処理に切り替え、かつ、他の色材信号に対しては、第1の階調処理手段による処理を施すよう制御して画像形成を行うので、両方の色材信号が発生する場合であっても、モアレなどの版干渉が起きにくい画像形成装置を提供できるという効果を奏する。
請求項24にかかる発明によれば、画像データに基づいて複数の色材に対応する色信号を生成し、生成された複数の色材信号に対して第1の階調処理を施し、色材信号の間で版干渉が第1の階調処理との間で発生しにくい第2の階調処理を施し、所定の1つの色材信号、および他の色材信号が生成されたか否かを判定し、1つの色材信号のみ生成されたと判定した場合、1つの色材信号に対して第1の階調処理を施し、かつ、1つの色材信号および他の色材信号の両方が生成されたと判定した場合、1つの色材信号に対しては第2の階調処理手段による処理に切り替え、かつ、他の色材信号に対しては、第1の階調処理手段による処理を施すよう制御して画像形成を行うので、両方の色材信号が発生する場合であっても、モアレなどの版干渉が起きにくい画像形成方法を提供できるという効果を奏する。
請求項25にかかる発明によれば、請求項12〜22のいずれか1つに記載の画像処理方法をコンピュータに実行させることができる。
請求項26にかかる発明によれば、請求項24に記載の画像形成方法をコンピュータに実行させることができる。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像処理装置、画像処理方法、画像形成装置、画像形成方法、およびそれらの方法をコンピュータに実行させるプログラムの最良な実施の形態を、実施の形態1〜5に沿って詳細に説明する。
(1.実施の形態1)
図1は、実施の形態1による画像形成装置を説明する図である。図1を参照しながら基本的な画像形成動作を説明する。この画像形成装置はカラー画像形成装置である。
画像形成装置は作像ステーション35〜39、感光体5、11、17、23、29、帯電チャージャ6、12、18、24、30、露光ビーム7、13、19、25、31、現像器8、14、20、26、32、クリーニングブレード9、15、21、27、33、1次転写チャージャ10、16、22、28、34、中間転写ベルト40、2次転写ベルト41、中間転写クリーナ42、定着装置43、給紙コロ2、搬送ローラ対3、およびレジストローラ対4を備える。
記録紙1は給紙コロ2によって一枚ずつ分離して引き出され、搬送ローラ対3へと搬送される。搬送ローラ対3は記録紙1を搬送し、レジストローラ対4へと搬送する。レジストローラ対4は不図示のレジストクラッチによってローラの回転・停止を自在にコントロールできる構成であり、後述する一連の画像形成プロセス完了まで待機するために、一旦、レジストローラ対4で記録紙1を停止させる。
シアン版の作像ステーション35は、図1中、点線で囲んだ符号35の部分である。感光体5の周りに帯電チャージャ6、露光ビーム7、現像器8、クリーニングブレード9、および1次転写チャージャ10が配置され、一連の作像動作を行う。帯電チャージャ6よって一様に帯電された感光体5表面に対して、不図示の書き込みユニットから露光ビーム7が照射され、感光体5上に潜像が形成される。
現像器8では感光体5上の潜像に対してシアントナーを現像せしめ、トナー像として可視化させる。さらにトナー像は、中間転写ベルト40に対して1次転写チャージャ10によって転写される。感光体5上に残留したトナーはクリーニングブレード9によって掻き取られる。さらに、再び帯電チャージャ6により帯電され、以降は上述の画像形成動作を繰り返す。
マゼンタ版の作像ステーション36は、図1中、点線で囲んだ符号36の部分である。シアン版作像ステーション35と同様の構成であり、同様の動作によってマゼンタ版を作像し、中間転写ベルト40にマゼンタ版のトナー像を転写する。さらに、イエロー版、濃ブラック版、淡ブラック版の作像ステーション37、38、39は、同じくそれぞれのトナー像を中間転写ベルト40に転写する。
すべての色のトナー像を転写ベルト40に転写させた後、レジストローラ対4で一旦停止させて待機させておいた記録紙1を、タイミングを合わせて再搬送させ、2次転写チャージャ41にて記録紙上にすべての色のトナーを転写させる。次いで定着装置43に搬送させて、熱と圧力を加えて未定着トナーは記録紙1に定着される。中間転写ベルト40上に残存したトナーは、中間転写クリーナ42をベルトに当接させることによって掻き取られ、中間転写ベルト40はクリーニングされる。
図2は、画像形成装置における画像処理装置を説明する図である。画像処理装置は、図1に示した画像形成装置において、入力する画像データに対して画像処理を施して画像形成のための画像データを生成する。画像処理装置は、スキャナ101、スキャナγ補正部102、入力マスキング部103、フィルタ処理部104、セレクタ105、蓄積部106、色変換部107、プリンタγ補正部108、中間調処理部109、出力エンジン110、ホストインタフェース(I/F)111、および画像展開部112を有する。
画像処理装置は、スキャナ101などの画像撮像部から入力された画像信号を出力するコピー出力と、ホストコンピュータから入力される画像データを出力するプリント出力の両方の機能に対応する。
スキャナ101で入力したデジタルカラー画像信号は、スキャナγ補正部102により反射率リニアな信号から濃度リニアな信号へと変換される。さらに、入力マスキング部103によって、入力デバイスに依存した信号からデバイスに依存しないsRGBのような標準信号へと変換される。
次にフィルタ処理部104は、空間周波数特性の補正を行う。具体的には、文字などの鮮鋭性が求められる画像に対してはエッジ強調フィルタによりシャープに補正し、写真のようななめらかさが求められる画像に対してはスムージングフィルタによりソフトに補正する処理を行う。
以上のように補正された画像信号は、セレクタを介して蓄積部106へと一旦蓄積される。蓄積された画像信号は再び読み出され、色変換部107へと入力される。色変換部107では、標準信号であるRGB信号を出力エンジン110の色材に対応したデバイス依存の信号へと変換を行う。
ここで、出力エンジンは、シアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)のカラー色材と、濃ブラック(bk)、淡ブラック(lk)の無彩色材の合計5つのトナーを用いて画像を再生する構成とする。色変換部ではこれら色材に対応すべく、C,M,Y,K,Bk,Lkの5色への色分解を合わせて行う。色変換部107の動作はさらに詳しく後述する。
色変換部107からの出力はプリンタγ補正部108においてテーブル変換によりγ特性の変換が行われた後、中間調処理部109で所定のディザ処理が施され、出力エンジン110へと出力される。
図3は、色変換部107の機能的ブロック図である。色変換部107は、色補正部1071、UCR(下地除去)部1072、墨生成部1073、およびBk・Bk分版部1074を有する。色変換部107に入力された標準信号RGBは、色補正部1071でデバイス依存のCMY画像信号へと変換される。色補正処理は、さまざまな手法が考えられるが、ここでは以下のようなマスキング演算が行われる構成とする。
C=α11×R+α12×G+α13×B+β1
M=α21×R+α22×G+α23×B+β2
Y=α31×R+α32×G+α33×B+β3 (式1)
但し、α11〜α33およびβ1〜β3は予め定められた色補正係数で、RGB各8bit(0〜255)の画像信号に対して、CMYも8bitの信号を出力するものである。
図4は、墨生成部がC,M,Yの信号値からK信号を生成することを説明する図である。図4は、C,M,Yの最小値に対して墨生成部1074
が生成するK信号のグラフとなる。色補正部1071からのC,M,Yの値のうち最小値をK信号値としてK信号を生成する。即ち、K信号の生成は、次式によって求めらる。
K=Min(C,M,Y) (式2)
さらに、UCR(下色除去)部1072では、C,M,Y信号と、墨生成部1072で生成したK信号に基づいて、墨成分を差し引いたC’,M’,Y’信号を以下の式によって求める。
C’=C−K
M’=M−K
Y’=Y−K (式3)
図5は、実施の形態1による画像処理装置が使用する分版テーブルの一例の模式図である。以下の説明ではB信号の分版について説明するが、しかし、同色系の信号を複数の色材信号に分版することは、B信号にのみ限定されるものではない。
墨生成部1072で生成したK信号は、Bk・Lk分版部1073によって、Bk信号(濃ブラック信号)とLk信号(淡ブラック信号)に分解される。分版テーブルは、図5に示すとおりである。図5のように、Kの値が0〜128ではLkのみが徐々に増加するようになっており、128でLkは一旦飽和する。Kの値が128〜255では、Lkは徐々に減少しK=255ではLk=128となるようにしている。一方、Kの値が128〜255ではBkが徐々に増加するようになっており、K=255では、Bk=255を出力するようにしている。このような分版テーブルを用いることによって、K信号をLk信号とBk信号に分解するよう構成している。
今、Bkの増加とともにLkを減少させ、K=255のポイントでBk=255,Lk=128としているのは、2つの目的がある。第1は、トナー量を節約することである。最高濃度を再現するときにBkとLkをそれぞれ最大量使用するような分版テーブル(例えば、後述する図10の例)では、多量のトナーを消費してしまいランニングコストが増加することとなる。
第2の目的は広い色再現域を実現することである。インクジェットプリンタはもちろんであるが電子写真方式の画像形成装置においても、所謂色材消費の総量規制値がある。記録紙の面積あたりに規定量以上のトナーを付着させようとしても、転写性能や定着性能の限界から高品位な画像が得られなくなる。従って、マシン固有の総量規制値があるのが一般的である。例えば黒成分を表現するために多量のトナーを用いると、色成分を表現するためのC,M,Yトナーを少量しか用いることができなくなり、色再現域が狭くなってしまうからである。
図6は、実施の形態1による画像処理装置における中間調処理部の機能的ブロック図である。中間調処理部109は、面積変調部1091、面積変調部1092、濃度変調部1093、共存判定部1094、およびセレクタ1095を有する。
面積変調部1091は、中間調処理部109が受信するBk信号に対して面積変調による階調処理を施す。
面積変調部1092は、中間調処理部109が受信するLk信号に対して面積変調による階調処理を施す。
濃度変調部1093は、中間調処理部109が受信するLk信号に対して濃度変調処理を施す。
共存判定部1094は、中間調処理部109が受信信号において、Bk信号およびLk信号が共存するか否かを判定する。
セレクタ1095は、共存判定部1094による判定結果に基づいて、受信するLk信号、即ち面積変調部1092により面積変調されたLk信号および濃度変調部1093によって濃度変調されたLk信号のいずれを出力するかを選択する。
即ち、セレクタ1095は、共存判定部1094がLk信号のみであると判定した場合、面積変調部1092により面積変調処理を施されたLk信号を出力する。
一方、共存判定部1094がBk信号およびLk信号が共存すると判定した場合、濃度変調部1093によって濃度変調処理を施されたLk信号を出力する。
この構成によって、Lk信号のみであると判定した場合は、Lk信号に対して粒状性と安定性に優れた面積変調処理を施し、Bkの出現によりLk信号と共存している場合は、濃度変調処理を施されたLk信号を出力することによってBkとLkの版干渉によるモアレの発生を防止する。
再び図5を参照すると、Lkは、K信号が0〜128までの間は、Lk信号のみである。この領域ではディザ法のような面積変調により階調処理を行うよう構成する。この領域は、K信号が0、図5中のK信号が符号601(以下このような場合、K信号601と表記する)、K信号602、およびK信号603の領域である。
BkとLkが共存する領域であるK信号604〜606の領域では、Lkに対して濃度変調により階調処理を施す。一方、Bkに対しては、面積変調によって階調処理を施す。
図7は、図5に示した分版テーブルで記録紙上にトナー層が形成されることを示す模式的断面図である。図7中の断面701および702では、ディザ法により面積率の増加と共に網点ドットが大きくなるように画像を形成する。断面703ではLkが100%となりLkはベタとなる。図5において、K信号604ではLkを減少させるとともに、Bkを増加させる。このとき、Lkは図7の断面704に示したように、Lkは面積率100%であるが、濃度変調によってトナー層を薄く形成することになる。
このように構成することによって、Bk版とLk版のスクリーン干渉が発生を防ぐことができる。かつ、Lkを減少させることによって総トナー量を少なくすることができる。
K信号605および対応する断面705においても同様であって、さらにLkのトナー層が薄くなるように濃度階調を施して形成し、一方、Bkは面積変調によってドットを形成する。そしてK信号606および対応する断面706では、50%の層厚のLkと、100%の層厚のBkが重なるように構成する。
図8は、実施の形態1による画像処理手順を示すフローチャートである。面積変調部1091は、色変換部107およびプリンタγ補正部108によって処理されたBk信号を受信し、面積変調処理を施す(ステップS101)。このステップでの処理は、入力したBk信号の大きさによって決まり、実際は、図5におけるK信号603以上のK信号領域においてである。例えば、図5におけるK603〜606の場合である。
次に、面積変調部1092は、検出するLk信号に対して面積変調処理を施す。ここでの処理は、K=0、K601〜606まで一律に施す(ステップS102)。
さらに、濃度変調部1093は、Lk信号に対して濃度変調処理を施す。ここでの処理は、K=0、K601〜606まで一律に施す(ステップS103)。
共存判定部1094は、Lk信号およびBk信号を検出し、ともに信号値を有する場合は、共存を示す信号をセレクタに対して出力する(ステップS104)。
セレクタ1095は、共存判定部1094から送信された共存を示す信号がアクティブか否かを判定する(ステップS105)。
セレクタ1095は、アクティブであると判定した場合(ステップS105のYes)上記テップS101およびステップS103の処理結果を出力する。即ち、面積変調部1091がBk信号に対して面積変調処理を施したもの、および濃度変調部1093がLk信号に対して濃度変調処理を施したものを出力する。この場合は、図5におけるK603〜606の領域である。即ち、Lkに対しては濃度変調を施しBkに対しては面積変調を施す場合である(ステップS106)。
一方、セレクタ1095は、アクティブであると判定しなかった場合(ステップS105のNo)、上記テップS102の処理結果を出力する。即ち、面積変調部1092がLk信号に対して面積変調処理を施したものを出力する。この場合は、Bk信号が検出されなくて、図5におけるK=0,K601〜603までの領域である(ステップS107)。
このように実施の形態1による画像処理装置は、K信号を分版テーブルによりLk信号とBk信号とに分版して、Lk信号だけの場合は面積変調処理により粒状性と安定性を確保しながらも、Bk信号とLk信号とが共存する場合はBk信号に対して面積変調処理を施しかつLk信号に対しては濃度変調処理を施すように切り替えて階調処理を施すことによって、濃淡2つの信号によって生じる版干渉によるモアレ現象の発生を抑制できる。
なお、この説明においては濃淡ブラック信号処理に本発明を適用しており、Bk以外の例えばシアンなどの色信号に対する中間調処理については、発明の要部でないので、説明を省略してある。Bk以外の中間調処理は、例えば、面積変調処理を施すことによって処理する構成としうる。
例えば、Bkに対して比較的版干渉の起きやすい所定の色、例えばC(シアン)との間において実施の形態1による階調処理を適用する場合、Bkの階調処理方式を2通り制御できる構成にしておき、C版と共存する場合は干渉が起きにくいこれら2つの階調処理を適用し、C版が存在しない場合にはBkの干渉モアレは考慮しなくてもよいので、Bkに対して階調性や粒状性を重視した階調処理を適用する構成とする。本発明において1つの色材信号に対して版干渉を起こしやすい所定の色の色材信号としては、例えば、ブラックとシアンである。
また、実施の形態1では、BkとLk、つまり同系色で濃度の異なる色材間で干渉モアレの発生を抑制する例を挙げたが、特にこれに限定するものではない。版干渉は、実施の形態1で説明したように、BkとLkというように同一色を濃淡2つの色材信号に分ける場合に起きやすい。即ち、本発明において1つの色材信号に対して版干渉を起こしやすい所定の色の色材信号としては、例えば、同系色を濃淡2つの色材信号に分けた場合における該分けられた濃淡の色材信号である。
また、例えば、あるスクリーン角度を有する1色に対して、ほとんど同じスクリーン角度を有する他の色材信号は、基本的に版干渉が起きやすい。このように、ある色に対して、スクリーン角度が近い他の色はモアレを含む版干渉を起こしやすいために、このようにスクリーン角度の近い2色について版干渉を抑制するために本発明を適用することは効果のあることである。即ち、ある1色に対してスクリーン角度が近い他の色との間において、実施の形態1による階調処理を適用すると、この1色の階調処理方式を2通り制御できる構成にしておき、スクリーン角度の近い他の色とが共存する場合は、これら2つの階調処理を別々に適用し、このスクリーン角度の近い他の色が存在しない場合は干渉モアレを考慮しなくてもよいので、この1色に対して階調性や粒状性を重視した階調処理を適用する構成にする。即ち、本発明において1つの色材信号に対して版干渉を起こしやすい所定の色の色材信号としては、例えば、1つの色材信号に対してほぼ同一のスクリーン角を有する他の色材信号である。
ここで、Bk以外の色信号を濃淡2つの信号に分けて実施の形態1による階調処理を施す処理、あるいは、1つの色材信号に対して版干渉を起こしやすい他の色材信号に対して、実施の形態1による階調処理を施す処理については、ここで説明したBkおよびLkへ分けて階調処理を施した場合と同様であるので、説明を省略する。
(実施例および比較例)
図9は、比較例による分版テーブルの例の模式図である。図10は、実施例による分版テーブルの例の模式図である。ここで、さらに総量規制と色再現域の関係について説明する。図9に示す分版テーブルを比較例とし、図10に示す分版テーブルを実施例として画像形成を比較する。
ここで、図9に示す分版テーブルと、図10に示す分版テーブルは、総量規制値が250%の装置であった場合どのような色再現域となるかを考えてみる。ところで、総量規制値の%表示については、ある版においてトナーをベタ(面積率100%)の状態にしたものを総量値100%と呼ぶ。総量規制値250%とは、「2つの版をべた状態+1つの版を50%面積率とした状態」までトナーを記録紙に載せることができる、即ち定着することができるという意味である。
例えば、一次色であるシアンの最高彩度点(シアン100%)からブラックポイントまでの色域を、総量規制が250%条件で、図9のような分版テーブルを用いて黒成分を増やしていく場合を考える。図9ではシアン100%に対して、徐々にLkを増やしていき、一旦シアン100%+Lk100%の状態となる。そこからBkが入り始めるが、図9のテーブルではLkは減少させるので、最終的にシアン100%+Bk100%+Lk50%の使用となり、総量規制値である250%を越えることはない。
これに対して、図10に示す分版テーブルでは、シアン100%+Lk100%の状態(K1003)から、Lkは減らさずにBkを増加させていくため、Bkが50%となった時点で総量規制値に達する。その後はBkを増加させるに従って、同じ量だけシアンを減少させるように制御する。このように図10の分版テーブルでは、総量規制に引っかかったところでは色成分をもつ色材、即ちここでの例ではシアンを減らすように制御する。従って、彩度が減少し、色再現域の狭いものとなってしまう。
図11−1は、図9の分版テーブルにおけるBkとLkの総量を示す図である。図11−2は、図10の分版テーブルにおけるBkとLkの総量を示す図である。図11−1に示されるように、図9の場合は、Bk+Lkの総量が200%にならないような分版テーブルを用いることによってトナー使用量を抑える効果と、総量規制下での色再現域をできるだけ広く確保するという効果を奏することができる。
しかし、図9の分版テーブルでは、Bk版とLk版のスクリーン干渉の問題が生じる。BkとLk共に周期的な構造をもつ組織的ディザ法によって階調処理を施す場合、LkとBkのスクリーン干渉が発生する。
図12は、図9に示した分版テーブルで記録紙上にトナー層を形成することを表す模式的断面図である。断面1201は、図9のK信号が901、即ちK901の場合の、記録紙上のLkトナーの様子を示してある。ディザ法による階調処理が施されるので、周期的にLkトナーが記録紙上に配置されている。さらにKの値が大きくなるに従って、Lkの使用量が増加し、図12の断面1202となる。そしてLkが100%となる図9のK903では、図12での断面1203のようにLkトナーが記録紙上に均一に塗りひろげられた状態となる。そしてK904では断面1204が対応し、Lkは再び減少させるのでLk版は周期的な構造となり、またBk版も周期的な構造となる。さらにBkは増加し、Lkは減少するのでK905では断面1205が対応し、Bk,Lkともに同程度の面積率の周期的構造が重なり合うこととなる。最後にK906では断面1206が対応し、周期構造を持つLkと100%のBkが重なるようになる。
ここで、断面1204と断面1205の状態は、LkもBkも周期的な構造であるので干渉モアレが発生しやすい。また、両者の線数とスクリーン角が近いほど強いモアレとなって現れる。以上のように、図9に示す分版テーブルで、LkとBkを周期性をもつディザ法によって処理する構成として組み合わせる場合は、干渉モアレが発生しやすいものとなる。
図13は、記録紙上に図10に示した分版テーブルでトナー層が形成される様子を示した模式的断面図である。図9の場合に比較して、図10に示す分版テーブルでは、K1001〜1003の状態はLkのみで形成するので、図9の場合と同じである。そして、図13の断面1304の状態では、Lkを減少させないテーブルなので、Lk100%の上に周期構造をもつBkを重ね合わせても干渉は発生しない。図13の断面1305の状態も同様であり干渉は発生しない。図13の断面1306の状態も当然のことながら干渉モアレは発生しない。すでに、Lkが飽和しているからである。
このように、図11−2に示すK信号に対応する図10に示した分版テーブルは、トナー使用量や色再現域の点では不利であるが、干渉モアレに関してはBkとLkの間で干渉を起こす心配がない。つまり、BkとLkのスクリーン設定、即ちスクリーン角とスクリーン線数の設定を同一にすることができる。
これは、設計上、非常にメリットがあり、C,M,Y、Bk、Lkの5色を用いる処理系であっても、従来の一般的なC,M、Y,Bkの4色を用いる処理系と同様のディザスクリーン設定ができることを意味する。また、版干渉による色モアレが従来例よりも増加することがない処理系を構築できる。また、5色の画像形成装置であっても、従来のC,M,Y,Bkの4色で再生する画像処理モードを有する場合でも、5色と4色の2つのモードで同一のスクリーンセットを使用することができるので、ディザマトリクスを記憶しておくメモリを省略することができる。また、プリンタγのパラメータを共通に使えるなど、設計上の効率アップに資することができる。
このように実施の形態1による画像処理装置は、トナー使用量を節約することができ、総量規制下での色再現域を可能な限り広く確保することができ、かつ、版干渉による色モアレの発生を抑制できる画像処理装置を提供できる。また、トナー使用量を低く抑えることは、記録紙にトナーを定着させる際の熱量を節約することにつながり、省エネルギーの点でも貢献することができる。
(2.実施の形態2)
実施の形態2による画像処理装置は、面積変調部1091がLkのK=0〜128の領域で用いる面積変調方式と、面積変調がBkの発生する領域で用いる面積変調方式は、同一の設定によるディザスクリーンを使用する。つまり、いずれも線数とスクリーン角を同一に設定されたものを用いるものである。
図14は、実施の形態2による画像処理装置で同一設定のディザスクリーンによって記録紙上に濃淡のトナー層が形成されることを示した模式的上面図である。図14に示されたそれぞれのトナー状態の上面図(以下、トナー上面図と略記する)1401〜1406は、図5のK信号601〜606および図7の断面図701〜706に対応している。図14では、記録紙に形成されたトナー層を上から見たものである。
図14中に示されたトナー上面図1401および1402で用いるLkのスクリーン設定と、トナー上面図1404および1405で用いているBkのスクリーン設定は同一である。
このように構成することで、K=0〜255の間でのスクリーンの基調は一貫したものを使用でき、黒単色で再生する画像などでも濃度に応じて基調が変わらないので、テクスチャ変化の少ない高品位な画像再生ができる。ここで、モアレが発生しないのは、既述のように階調方式を切り替えて版干渉の発生を抑えているからである。
また、前述したように、濃淡色材を用いて再生する5色以上の画像形成装置であっても、濃淡の色材に対するスクリーンを統一することで、一般的な4版のスクリーンセットで使用するスクリーン角、線数の組合せをそのまま使用することができる。
(3.実施の形態3)
図15−1は、実施の形態3による画像処理装置における中間調処理部の機能的ブロック図である。中間調処理部209は、集中型面積変調部2091、集中型面積変調部2092、分散型面積変調部2093、共存判定部2094、およびセレクタ2095を有する。
集中型面積変調部2091は、中間調処理部209が受信するBk信号に対してドット集中型面積変調(Fattering型)による階調処理を施す。
集中型面積変調部2092は、中間調処理部209が受信するLk信号に対してドット集中型面積変調による階調処理を施す。
分散型面積変調部2093は、中間調処理部209が受信するLk信号に対してドット分散型面積変調(Bayer型)による階調処理を施す。
共存判定部2094は、中間調処理部209が受信信号において、Bk信号およびLk信号が共存するか否かを判定する。
セレクタ2095は、共存判定部2094による判定結果に基づいて、受信するLk信号、即ち集中型面積変調部2092により面積変調されたLk信号および分散型面積変調部2093によって濃度変調されたLk信号のいずれを出力するかを選択する。
即ち、セレクタ2095は、共存判定部2094がLk信号のみであると判定した場合、集中型面積変調部2092により面積変調処理を施されたLk信号を出力する。
一方、共存判定部2094がBk信号およびLk信号が共存すると判定した場合、分散型面積変調部2093によって濃度変調処理を施されたLk信号を出力する。
この構成によって、Lk信号のみであると判定した場合は、Lk信号に対して粒状性と安定性に優れたドット集中型面積変調処理を施し、Bkの出現によりLk信号と共存している場合は、ドット分散型面積変調処理を施したLk信号を出力することによって、BkとLkの版干渉によるモアレの発生を防止する。
図15−2は、実施の形態3による画像処理装置が使用する分版テーブルの一例を示す模式図である。ここでは、Lkに対してはK=0〜128の領域ではドット集中型の面積変調による階調処理を行う。そして、Bkが存在するK=129〜255の領域では、Lkに対してドット分散型の面積変調による階調処理を施す。一方、Bkに対しては、Lkのハイライトでの処理と同様に、ドット集中型の面積変調により処理を行う。このように構成することによって、BkとLkが共に存在する画像領域での、Lk版とBk版の干渉モアレを発生させない、或いは発生したとしても発生したモアレを目立たないレベルに抑えることができる。
実施の形態3による画像形成装置が考え出された背景は、図5に示した実施例では、Lkに対してハイライト領域では面積変調を行い、シャドー領域では濃度変調を行うものであるが、これをLBP(レーザビームプリンタ)で実現しようとすると書き込み装置の駆動方法をPWM(パルス幅変調)方式とPM(パワー変調)方式の2種類の変調方式が可能な駆動部を準備する必要がある。このように複数の変調方式が実現可能な駆動回路はコストがかかる構成であることを改良し、PWM方式のみを用いて、同等の効果が得られる構成としたものである。
図16−1は、記録紙上に図15−2に示した分版テーブルでトナー層が形成される様子を示した模式的断面図である。図16−1に示された断面1603まではLkをドットを集中させて増加させた後、断面1604以降ではドットが分散して発生するような階調処理を行っている様子を断面図で示してある。断面1605および1606に移行するにつれてLkのトナー量を減少させているが、断面1601および1602などのドットを集中させたものとは異なるドット配置を取っている。このようにいわば“間引き”のような態様でLkを減少させることによって、Lk層の上に作像したBk版とのモアレなどの版干渉を抑制することができる。
図16−2は、実施の形態3による画像処理手順を示すフローチャートである。ドット集中型面積変調部2091は、色変換部107およびプリンタγ補正部108によって処理されたBk信号を受信し、ドット集中型面積変調処理を施す。このステップは、入力したBk信号に対してであって、実際は、図17におけるK信号1703以上のK信号領域においてである(ステップS201)。
次に、ドット集中型面積変調部2092は、検出するLk信号に対してドット集中型面積変調処理を施す(ステップS202)。
さらに、ドット分散型面積変調部2093は、Lk信号に対してドット分散型面積変調処理を施す(ステップS203)。
共存判定部2094は、Lk信号およびBk信号を検出し、ともに信号値を有する場合は、共存を示す信号を出力する(ステップS204)。セレクタ2095は、共存判定部2094から送信された共存を示す信号がアクティブか否かを判定する(ステップS205)。
セレクタ2095は、アクティブであると判定した場合(ステップS205のYes)、上記テップS301およびステップS203の処理結果を出力する。即ち、ドット集中型面積変調部2091がBk信号に対して面積変調処理を施したもの、およびドット分散型面積変調部2093がLk信号に対してドット分散型面積変調処理を施したものを出力する(ステップS206)。
一方、セレクタは、アクティブであると判定しなかった場合(ステップS205のNo)、上記ステップS202の処理結果を出力する。即ち、ドット集中型面積変調部がLk信号に対してドット集中型面積変調処理を施したものを出力する(ステップS207)。
ここででは、Lkのシャドー部にドット分散型の面積変調を適用する例を挙げた。しかしながら、ドット分散型の面積変調だけでなく、誤差拡散処理やブルーノイズマスク処理のような周期成分をほとんど持たない階調処理方式を用いて実施することも可能である。
このように実施の形態3による画像処理装置は、B信号を分版テーブルによりLk信号とBk信号とに分版して、Lk信号だけの場合はドット集中型面積変調処理により粒状性と安定性を確保しながらも、Bk信号とLk信号とが共存する場合はBk信号に対してドット集中型面積変調処理を施しかつLk信号に対してはドット分散型面積変調処理を施すように切り替えて階調処理を施すことによって、濃淡2つの信号によって生じる版干渉によるモアレ現象の発生を抑制できる。
(4.実施の形態4)
実施の形態4による画像処理装置が、実施の形態3と異なる点は、実施の形態3において、二つの階調処理方式の切り換え点における画像パターンを同一にしたことである。
図17は、実施の形態4による画像処理装置が使用する分版テーブルの一例を示す模式図である。図17に示した分版テーブルが、図5、9、10、および15に示した分版テーブルと異なる点は、Lkの面積率を100%まで増加させない点である。これにより、Lkトナー使用量の節約が可能である。
既述の図9の分版テーブルでは、Lkを100%まで増加させて後に再び減少させるものであった。図9の分版テーブルのように、Lk成分を一旦100%まで増やすことは階調方式の切り換えを行うときに、確かに非常に有利である。なぜなら、どのような階調処理方式でも100%面積率の画像はベタパターンとなるため、ベタパターンで切り替えることは急激な階調特性の段差の発生を抑制できるからである。
今、図17で示したK信号1703におけるLk=192(面積率は、192/255)のポイントをピークとし、Lk信号において、ハイライト側をドット集中型の面積変調により階調処理を施し、シャドー側をドット分散型の面積変調により階調処理を施す構成とした場合、二つの階調処理方式のデータ値192に対する出力パターンが異なる点のLk=192の前後で階調の段差が発生する可能性が高い。
図18は、図17に示した分版テーブルで記録紙上にトナー層が形成される様子を示した模式的断面図である。断面1801〜1803は既述と同様のドット集中型の階調処理方式である。ただしLkのピーク(極大点)であるK信号1703では、Lkが100%の面積率ではなく、断面図1804が対応し、ドットが埋まっていない状態である。
その後、図17に示すようにLkが減少していく場合、ドットの発生は集中型である断面1801,1802とは異なる分散型の階調処理方式をとる。断面1804では、断面1803のドットパターンの状態から、ドットを間引くように面積率を減らしている。さらに、断面1805および1806も同様にドットを間引くようにLkを減少させることによって分散型の階調処理を実現している。
このように構成することによって版干渉によるモアレの発生しにくい画像再現を実現すると共に、切り換え点であるK信号1703に対応する断面1803のパターンの前後でドットの形成はスムーズにつながっており、階調段差が発生しにくい構成となる。
図19は、実施の形態4による画像処理装置が使用する分版テーブルの他の一例を示す模式図である。図19に示す分版テーブルにおいては、Lkを192まで増加させた後にそのまま192を維持する。
図20は、実施の形態4による画像処理装置が使用する分版テーブルのさらに他の一例を示す模式図である。図20に示す分版テーブルにおいては、Lkを192まで増加させた後、Bkが発生する領域から徐々Lkを増加させる。
図19および20のいずれの場合でも、Lkのみが存在する画像領域ではLkを階調性、粒状性、および安定性を重視したドット集中型で階調処理を行う。
このように、実施の形態4による画像処理装置は、Lkのみが存在する画像領域ではLkを階調性、粒状性、および安定性を重視したドット集中型で階調処理を行う一方、Bk信号とLk信号とが共に発生する領域においては、Lkの階調処理方式をBk版と干渉が起きないドット分散型の階調処理に切り換え、かつ、切り換えポイントでは画像パターンを同一なものとすることによって、階調特性がスムーズにつながり、モアレの発生を抑制することができる。
(5.実施の形態5)
図21−1は、実施の形態5による画像処理装置の中間調処理部の機能的ブロック図である。中間調処理部309は、高集中型面積変調部3091、高集中型面積変調部3092、低集中型面積変調部3093、共存判定部3094、およびセレクタ3095を有する。
高集中型面積変調部3091は、中間調処理部309が受信するBk信号に対してドット集中度の高い高集中型面積変調による階調処理を施す。
高集中型面積変調部3092は、中間調処理部309が受信するLk信号に対してドット集中度の高い高集中型面積変調による階調処理を施す。
低集中型面積変調部3093は、中間調処理部309が受信するLk信号に対してドット集中度合いの低い低集中型面積変調による階調処理を施す。
共存判定部3094は、中間調処理部309が受信信号において、Bk信号およびLk信号が共存するか否かを判定する。
セレクタ3095は、共存判定部3094による判定結果に基づいて、受信するLk信号、即ち高集中型面積変調部3092によりドット集中度の高い面積変調によるされたLk信号および低集中型面積変調部3093によってドット集中度合いの低い面積階調処理されたLk信号のいずれを出力するかを選択する。
即ち、セレクタ3095は、共存判定部3094がLk信号のみであると判定した場合、高集中型面積変調部3092によりドット集中度合いの高い面積階調処理を施されたLk信号を出力する。
一方、共存判定部3094がBk信号およびLk信号が共存すると判定した場合、低集中型面積変調部3093によってドット集中度合いの低い面積階調処理を施されたLk信号を出力する。
この構成によって、Lk信号のみであると判定した場合は、Lk信号に対して粒状性と安定性に優れたドット集中度合いの高い面積階調処理を施し、Bkの出現によりLk信号と共存している場合は、ドット集中度合いの低いLk信号とドット集中度合いの高い面積階調処理を施したBk信号とを出力することによって、BkとLkの版干渉によるモアレの発生を防止する。
図21−2は、実施の形態5による画像処理装置においてドットの低集中による面積変調を説明する図である。既述のように、干渉によるモアレを少なくする方法として、Lkのシャドー領域での階調処理を、濃度変調、あるいはドット分散型の面積変調とした。実施の形態5においては、既述の方式の他に、ドットの集中度合いの低い面積変調タイプの階調処理を行う構成とする。
図21−2における例で示すように、ここではディザマトリクスのサイズは5×5の25画素である。各画素は、2bitの書き込み深さを有して1画素あたり4値を表現できる。また、各画素は位相制御が可能であり、各画素の右から書き始める右位相および左から書き始める左位相の書き込みができるように構成する。
図21−2の画素2101および2102は、ドット集中度合いの高い階調処理であり、図21の画素2101bおよび2102bはドット集中度合いの低い階調処理である。画素2101および2101bはいずれも面積率が13/75である。しかし、画素2101の方がドットが集中しており、画素2101bはドット間にすき間があり集中度合いが低い。
同様に、画素2102および2102bは面積率が23/75の例であり、画素2102よりも画素2102bの方がドット集中度合いが低い。しかし、いずれのディザマトリクスも5×5画素の中心付近にトナー像が形成されるものであり、線数およびスクリーン角は同じである。
これら2種類の方法によって階調表現されたLk画像と、別のスクリーンによって階調表現された画像とを版重ねすると、ドット集中度合いの高い画素2101および2102の方が、干渉モアレが強く発生する。これは、ドット集中度合いの高い階調方式の方が特定の周波数にパワーが集中しているためである。
図22は、図21−2の画素によるディザ処理画像をFFTにより周波数解析し、一次元で表現した図である。図22のグラフの横軸は周波数であり、縦軸はパワーである。図21のディザ処理画像である画素2101および2101bをFFT処理したグラフは、それぞれグラフ2201および2202bである。
図22に示されたグラフのピークの周波数は、スクリーンの線数に対応した周波数である。そしてドット集中度合いが高い画素2101の方がピークの高さが高く、その幅も狭いシャープなプロットとなる(グラフ2201)。一方、集中度合いが低い画素2101bはピークが低く、ブロードに広がったプロットとなる(グラフ2201b)。
つまり、LkとBkが共に存在する領域では、Lkの階調処理をドット集中の低いタイプとすることでBk版との干渉を低く抑えることができる。さらに、両者の基調は同じなので、階調処理の切り替えを行ったとしても、見た目の違和感の少ないスムーズな階調処理切り替えが可能となる。
図23は、実施の形態5による画像処理手順を示すフローチャートである。高集中型面積変調部3091は、色変換部107およびプリンタγ補正部108によって処理されたBk信号を受信し、ドット集中度合いの高い面積階調処理を施す。このステップは、入力したBk信号に対してであって、実際は、図17におけるK信号1703以上のK信号領域においてである(ステップS301)。
次に、高集中型面積変調部3092は、検出するLk信号に対してドット集中型ドット集中度合いの高い面積階調処理を施す(ステップS302)。
さらに、低集中型面積変調部3093は、Lk信号に対してドット集中度合いの低いドット集中度合いの高い面積階調処理を施す(ステップS303)。
共存判定部3094は、Lk信号およびBk信号を検出し、ともに信号値を有する場合は、共存を示す信号を出力する(ステップS304)。セレクタ3095は、共存判定部3094から送信された共存を示す信号がアクティブか否かを判定する(ステップS305)。
セレクタ3095は、アクティブであると判定した場合(ステップS305のYes)、上記テップS301およびステップS303の処理結果を出力する。即ち、高集中型面積変調部3091がBk信号に対して面積階調処理を施したもの、および低集中型面積変調部3093がLk信号に対してドット集中度合いの低いドット集中度合いの高い面積階調処理を施したものを出力する(ステップS306)。
一方、セレクタは、アクティブであると判定しなかった場合(ステップS305のNo)、上記ステップS302の処理結果を出力する。即ち、高集中型面積変調部がLk信号に対してドット集中型面積階調処理を施したものを出力する(ステップS307)。
このように実施の形態5による画像処理装置は、B信号を分版テーブルによりLk信号とBk信号とに分版して、Lk信号だけの場合はドット集中型ドット集中度合いの高い面積階調処理により粒状性と安定性を確保しながらも、Bk信号とLk信号とが共存する場合はBk信号に対してドット集中型ドット集中度合いの高い面積階調処理を施しかつLk信号に対してはドット集中度合いの低いドット集中度合いの高い面積階調処理を施すように切り替えて階調処理を施すことによって、濃淡2つの信号によって生じる版干渉によるモアレ現象の発生を抑制できる。
ところで、Lk(淡ブラック)色材に対する面積変調による階調処理と、濃度変調による階調処理を切り替えるための判別信号が必要であるが、例えば、処理対象の画素値におけるBk(濃ブラック)データが0であればLkのみが存在する領域と判定し面積変調による処理を行い、Bkデータが0より大きい値を有する場合はLkとBkが共に存在する領域と判定しLkデータに対して濃度変調による階調処理を行うよう構成することができる。ここで、変調方式を切り替える際に基調を変えない構成にすることによって、基調(テクスチャ)変化の少ない違和感のない画像を再現することができる。
しかも、このように構成する場合、判別信号を備えずに処理の切り換えを行うことができる。そのためには、既述のようにK信号の入力に対してLkから開始し、所定のK信号からBkの出現が開始する分版テーブルとすれば良い。
(6.ハードウェア構成など)
図24は、実施の形態による画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。この複合機(MFP)は、ファックスやスキャナなどの複合的機能を備えるように構成されている。図に示すように、このMFPは、コントローラ1210とエンジン部2260とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ2210は、MFP全体の制御、表示処理制御、各種制御、画像形成制御など、FCUI/F2230、操作表示部2220からの入力を制御するコントローラである。実施の形態において説明した画像処理装置は、コントローラ2230に含まれる。エンジン部2260は、PCIバスに接続可能な画像処理エンジンなどであり、例えば取得した画像データに対して誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
コントローラ2210は、CPU2211と、ノースブリッジ(NB)2213と、システムメモリ(MEM−P)2212と、サウスブリッジ(SB)2214と、ローカルメモリ(MEM−C)2217と、ASIC(Application Specific Integrated Cercuit)2216と、ハードディスクドライブ2218とを有し、ノースブリッジ2213とASIC2216との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス2215で接続した構成となる。また、MEM−P2212は、ROM(Read Only Memory)2212aと、RAM(Random Access Memory)2212bとをさらに有する。
CPU2211は、MFPの全体制御を行うものであり、NB2213、MEM−P2212およびSB2214からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
NB2213は、CPU2211とMEM−P2212、SB2214、AGP2215とを接続するためのブリッジであり、MEM−P2212に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
MEM−P2212は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM2212aとRAM2212bとからなる。ROM2212aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM2212bは、プログラムやデータの展開用メモリ、画像処理時の画像描画メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
SB2214は、NB2213とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB2214は、PCIバスを介してNB2213と接続されており、このPCIバスには、FCUI/F2230なども接続される。
ASIC2216は、マルチメディア情報処理用のハードウェア要素を有するマルチメディア情報処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP2215、PCIバス、HDD2218およびMEM−C2217をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。
このASIC2216は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC2216の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C2217を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジック等により画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部2260との間でPCIバスを介してUSB(Universal Serial Bus)2240、IEEE(the Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394インタフェース2250が接続される。
MEM−C2217は、送信用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD2218は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストーレジである。
AGP2215は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM−P2212に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィクスアクセラレータカードを高速にするものである。
ASIC2216に接続する操作表示部(キーボード)2220は、操作者からの操作入力を受け付けて、ASIC2216に受け付けられた操作入力情報を送信する。
なお、実施の形態のMFPで実行される画像処理プログラムおよび画像形成プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
実施の形態のMFPで実行される画像処理プログラムおよび画像形成プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、実施の形態によるMFPで実行される画像処理プログラムおよび画像形成プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、実施の形態のMFPで実行される画像処理プログラムおよび画像形成プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
実施の形態のMFPで実行される画像処理プログラムおよび画像形成プログラムは、上述した各部(スキャナγ補正部102、入力マスキング部103、フィルタ処理部104、セレクタ105、蓄積部106、色変換部107、プリンタγ補正部108、中間調処理部109、出力エンジン110、画像展開部112、色補正部1071、墨生成部1072、UCR部1072、Bk・Lk分版部1073、面積変調部1091、濃度変調部1093、共存判定部1094、およびセレクタ1095など)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから画像処理プログラムおよび画像形成プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、スキャナγ補正部102、入力マスキング部103、フィルタ処理部104、セレクタ105、蓄積部106、色変換部107、プリンタγ補正部108、中間調処理部109、出力エンジン110、画像展開部112、色補正部1071、墨生成部1072、UCR部1072、Bk・Lk分版部1073、面積変調部1091、濃度変調部1093、共存判定部1094、およびセレクタ1095などが主記憶装置上に生成されるようになっている。
以上説明した本発明の実施の形態あるいは変形例は、説明のための一例であって、本発明はここに説明したこれらの具体例に限定されるものではない。