JP2007057109A - 空気サイクル冷凍冷却システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 この空気サイクル冷凍冷却システムは、予圧縮手段2による圧縮、熱交換器3による冷却、タービンユニット5のコンプレッサ6による圧縮、他の熱交換器8,9による冷却、前記タービンユニット5の膨張タービン7による断熱膨張、を順次行うシステムである。タービンユニット5は、コンプレッサ翼車6aおよびタービン翼車7aを共通の主軸13に取付け、タービン翼車7aで発生した動力によりコンプレッサ翼車6aを駆動するものである。主軸13は転がり軸受15,16により回転自在に支承し、主軸13にかかるスラスト力の一部もしくは全てを電磁石17により支承する。
【選択図】 図1
Description
圧縮機,膨張タービンとしては、コンプレッサ翼車および膨張タービン翼車を共通の主軸に取付けたタービンユニットが用いられている(特許文献1、非特許文献1)。
また、ガスタービンエンジンにおける提案ではあるが、主軸支持用の転がり軸受に作用するスラスト荷重が軸受寿命の短縮を招くことを回避するため、転がり軸受に作用するスラスト荷重をスラスト磁気軸受により低減することが提案されている(特許文献3)。
圧縮機,膨張タービンとしては、上記のようにコンプレッサ翼車および膨張タービン翼車を共通の主軸に取付けたタービンユニットが用いられている。このタービンユニットは、膨張タービンの生じる動力によりコンプレッサ翼車を駆動できることで空気サイクル冷凍機の効率を向上させている。
また、コンプレッサ翼車やタービン翼車に作用する空気により、主軸にスラスト力が作用し、主軸を支持する軸受にスラスト荷重が荷される。空気サイクル冷凍冷却システムにおけるタービンユニットの主軸の回転速度は、1分間に8万〜10万回転であり、一般的な用途の軸受に比べて非常に高速となる。そのため、上記のようなスラスト荷重は、主軸を支持する軸受の長期耐久性の低下、寿命低下を招き、空気サイクル冷凍冷却用タービンユニットの信頼性を低下させる。このような軸受の長期耐久性の課題を解消しなくては、空気サイクル冷凍冷却用タービンユニットの実用化が難しい。しかし、上記特許文献1,非特許文献2に開示の技術は、この高速回転下におけるスラスト荷重の負荷に対する軸受の長期耐久性の低下については解決されるに至っていない。
この発明の他の目的は、タービンユニットの各翼車とディフューザとの隙間を微小に保って安定した高速回転を得ることができ、高い圧縮および膨張の効率が得られるものとすることである。
タービンユニットは、コンプレッサ翼車および前記膨張タービンのタービン翼車を共通の主軸に取付け、タービン翼車で発生した動力によりコンプレッサ翼車を駆動するものであるため、動力源が不要であり、コンパクトな構成で効率良く冷却できる。このタービンユニットの主軸には、各翼車に作用する空気の圧力等によりスラスト力がかかる。また、空気サイクル冷凍冷却システムで使用するタービンユニットでは、1分間に例えば8万〜10万回転程度の非常に高速の回転となる。そのため、主軸を回転支承する軸受に上記スラスト力が作用すると、主軸の長期耐久性が低下する。
モータを設けて主軸を駆動する場合、コンプレッサよりも前段にブロア等の予圧縮手段を設ける必要がなくなる。
タービンユニットの圧縮,膨張の効率を確保するためには、各翼車とハウジングとの隙間を微小に保つ必要がある。空気冷却システムでは、この効率確保が重要となる。これに対して、翼車の主軸を転がり軸受により支承すると、転がり軸受の持つアキシアル方向位置の規制機能により、主軸位置が規制され、各翼車とハウジングの微小隙間を一定に保つことができる。このようなアキシアル方向位置の規制機能を有する転がり軸受の場合に、高速回転する軸受の上記スラスト力による長期耐久性の低下が問題となるが、電磁石でスラスト力を支承するため、転がり軸受の長期耐久性が確保できる。このように主軸のラジアル方向の支承を転がり軸受で行い、スラスト力を電磁石で行うようにしたため、翼車の微小隙間を保ちながら、主軸の安定した高速回転が得られる。
非接触シールを設けることで、コンプレッサ内と膨張タービン内の気圧差で、各軸受内やこれら軸受とスピンドルハウジングとの接触面から空気が漏れることが防止され、タービンユニットの効率の維持、軸受の通過空気による汚損や潤滑材の乾燥が防止される。
この冷却空気導入路を設けることで、高速回転により高温になる軸受の温度上昇が、簡単な構成で抑制でき、軸受寿命やグリース寿命等が向上する。
この流出経路を設けることで、冷却空気導入路から軸受への空気の流れが良好になり、軸受の冷却効果が向上する。
電磁石による支承力を制御することで、主軸を回転支持する軸受を、スラスト力に対して最適な状態で使用でき、軸受のより一層の高速安定性、長期耐久性の向上、長寿命化が図れ、システムの信頼性向上がより一層向上する。
前記コントローラをスピンドルハウジングに取付けることで、電磁石、センサとコントローラとの接続が簡潔になり、システムがコンパクトにできる。
この発明の空気サイクル冷凍冷却システムにおいて、前記予圧縮手段を設ける代わりに、前記タービンユニットが、前記コンプレッサのコンプレッサ翼車および前記膨脹タービンのタービン翼車およびモータロータを共通の主軸に取付け、前記モータロータに対向させたモータステータからの磁力によって主軸を回転させることにより前記コンプレッサ翼車を駆動するものとした場合も、タービンユニットの主軸を支持する軸受の長期耐久性の向上、長寿命化が図れ、システムの信頼性向上を図ることができる。
中間熱交換器9で−20℃まで冷却された空気は、タービンユニット5の膨張タービン7により断熱膨張され、−55℃まで冷却されて排出口1bから被冷却空間10に排出される。この空気サイクル冷凍冷却システムは、このような冷凍サイクルを行う。
膨張タービン7は、タービン翼車7aと微小の隙間d2を介して対向するタービンハウジング7bを有し、外周部から矢印7cで示すように吸い込んだ空気を、タービン翼車7aで断熱膨張させ、中心部の排出口7dから軸方向に排出する。
前記センサ18の設置側の軸受16は、スピンドルハウジング14内に嵌合した軸受ハウジング23内に嵌合している。
スピンドルハウジング14における両側の軸受15,16よりも各翼車6a,7a側の部分は、内径面が主軸13に近接する径に形成され、この内径面に非接触シール21,22が形成されている。非接触シール21,22は、スピンドルハウジング14の内径面に複数の円周溝を軸方向に並べて形成したラビリンスシールとされている。
このタービンユニット5の圧縮,膨張の効率を確保するためには、各翼車6a,7aとハウジング6b,7bとの隙間d1,d2を微小に保つ必要がある。空気サイクル冷凍冷却システムでは、この効率確保が重要となる。これに対して、主軸13を転がり形式の軸受15,16により支承するため、転がり軸受の持つアキシアル方向位置の規制機能により、主軸13のアキシアル方向位置がある程度規制され、各翼車6a,7aとハウジング6b,7b間の微小隙間d1,d2を一定に保つことができる。
この実施形態は、上記スラスト力を電磁石17で支承するため、非接触でトルクの増大を抑えながら、主軸13の支持用の転がり軸受15,16に作用するスラスト力を軽減することができる。この場合に、コンプレッサ6および膨張タービン7内の空気により主軸13に作用するスラスト力を検出するセンサ18と、このセンサ18の出力に応じて前記電磁石17による支承力を制御するコントローラ19とを設けたため、転がり軸受15,16を、その軸受仕様に応じてスラスト力に対し最適な状態で使用することができる。
特に、センサ18を、軸受16の近傍に配置したため、問題となる軸受16に作用するスラスト力を直接に測定することができて、その測定精度が良く、精密なスラスト力の制御が可能になる。
このように主軸13内に通気孔83を設けた場合、主軸13が通気孔83内を通過する空気で冷却され、高速回転で高温となる軸受15,16が主軸13からの熱伝導により冷却される。このため、軸受15,16の耐久性が向上する。
この構成の場合、コンプレッサ6内の空気が軸受冷却空気導入路84を介してコンプレッサ6側の軸受15の近傍に流入し、この軸受15、および軸受16を冷却した後に軸受冷却空気導入路85を介して膨張タービン側に排出される。
膨張タービン7の入口部の圧力は、コンプレッサ6による圧縮後の圧力であるため、コンプレッサ6の入口部の圧力よりも高い。このため、上記の軸受冷却空気導入路86から流入して流出経路87から流出する空気流れが生じる。膨張タービン7の入口部の空気は図1の第2の熱交換器8および中間熱交換器9を介して冷却された空気であり、例えば−40℃程度と低温となっている。この低温の空気でコンプレッサ6側の軸受15が冷却されるため、高速回転で高温になり易いコンプッサ側の軸受15を効率良く冷却し、耐久性を向上させることができる。
図10に示すように、タービンユニット5内にモータ90を配した構成では、コントローラ19Aをタービンユニット5に内蔵することで、モータ90とコントローラ19A間のケーブルも必要となるため、このようにタービユニット5にコントローラ19Aを内蔵させた構成は、さらに有利となる。なお、この実施形態におけるコントローラ19Aは、上記コントーラ19およびモータコントローラ93を含むものである。
このコントローラ19Aには、外部から電源ラインだけでなく通信ラインを繋げた構成を採ることにより、外部から電磁石17の作動状態を変化させることも可能となる。例えば、主軸13が回転していない場合には、外部からのコントロール信号によって電磁石17に電流を流さないように構成することにより、タービンユニット5への不必要な電源供給を回避し省エネを図ることが可能となる。また、センサ18の出力を通信ラインによって外部に送出することで、外部でそのセンサ出力を基にタービンユニットの状態を監視することも可能となる。
1a…取入口
1b…排出口
2…予圧縮手段
3…第1の熱交換機
5…空気サイクル冷凍冷却用タービンユニット
6…コンプレッサ
6a…コンプレッサ翼車
7…膨張タービン
7a…タービン翼車
8…第2の熱交換器
9…中間熱交換器
10…被冷却空間
13…主軸
13a…スラスト板
14…スピンドルハウジング
15,16…軸受
17…電磁石
18…センサ
19,19A…コントローラ
21,22…非接触シール
83…通気路
84,85…軸受冷却空気導入路
86…軸受冷却空気導入路
70…流出経路
90…モータ
93…モータコントローラ
Claims (12)
- 流入空気に対して、予圧縮手段による圧縮、熱交換器による冷却、タービンユニットのコンプレッサによる圧縮、他の熱交換器による冷却、前記タービンユニットの膨脹タービンによる断熱膨張、を順次行う空気サイクル冷凍冷却システムであって、
前記タービンユニットが、前記コンプレッサのコンプレッサ翼車および前記膨脹タービンのタービン翼車を共通の主軸に取付け、タービン翼車で発生した動力によりコンプレッサ翼車を駆動するものであり、前記主軸を軸受により回転自在に支承し、この主軸にかかるスラスト力の一部または全てを電磁石により支承したことを特徴とする空気サイクル冷凍冷却システム。 - 流入空気に対して、タービンユニットのコンプレッサによる圧縮、熱交換器による冷却、他の熱交換器による冷却、前記タービンユニットの膨脹タービンによる断熱膨張、を順次行う空気サイクル冷凍冷却システムであって、
前記タービンユニットが、前記コンプレッサのコンプレッサ翼車および前記膨脹タービンのタービン翼車およびモータロータを共通の主軸に取付け、前記モータロータに対向させたモータステータからの磁力によって主軸を回転させることにより前記コンプレッサ翼車を駆動するものであり、前記主軸を軸受により回転自在に支承し、この主軸にかかるスラスト力の一部または全てを電磁石により支承したことを特徴とする空気サイクル冷凍冷却システム。 - 請求項1または請求項2において、前記主軸に作用するスラスト力を検出するセンサと、このセンサの出力に応じて前記電磁石による支承力を制御するコントローラとを設けた空気サイクル冷凍冷却システム。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1 項において、前記軸受がグリース潤滑の転がり軸受から構成されることを特徴とした空気サイクル冷凍冷却システム。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1 項において、前記軸受の近傍における静止側に、前記主軸に作用するスラスト力を検出するセンサを配置したことを特徴とした空気サイクル冷凍冷却システム。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記コンプレッサ翼車およびタービン翼車が主軸の両端に設けられたものであり、前記軸受および前記電磁石を、スピンドルハウジングにおける前記コンプレッサ翼車とタービン翼車間に設置した空気サイクル冷凍冷却システム。
- 請求項6において、前記主軸の外周とスピンドルハウジング間における前記コンプレッサ翼車とその近傍の軸受との間、およびタービン翼車とその近傍の軸受との間の少なくとも一方に、非接触シールを設けた空気サイクル冷凍冷却システム。
- 請求項7において、前記非接触シールとして、複数の円周溝を有するラビリンスシールを設けた空気サイクル冷凍冷却システム。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1 項において、前記コンプレッサに流入する空気、または、前記コンプレッサにより圧縮されて他の熱交換器により冷却された空気、または前記膨脹タービンで断熱膨張された空気を前記軸受の周辺へ導く冷却用空気導入路を設けた空気サイクル冷凍冷却システム。
- 請求項9において、前記冷却空気導入路から前記軸受の周辺へ導かれた冷却空気を前記コンプレッサの入口部へ流出させる流出経路を設けた空気サイクル冷凍冷却システム。
- 請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、前記主軸に作用するスラスト力を検出するセンサと、このセンサの出力に応じて前記電磁石による支承力を制御するコントローラとを設け、このコントローラはスピンドルハウジングに取付けられた空気サイクル冷凍冷却システム。
- 請求項11において、コントローラと外部との接続は電源ラインまたは通信ラインを含む空気サイクル冷凍冷却システム。
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