JP2007162491A - 圧縮膨張タービンシステム - Google Patents

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孝美 尾崎
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健一 鈴木
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Abstract

【課題】転がり軸受の長期耐久性を向上させること。
【解決手段】磁気軸受の電磁石17は、スラスト板13aに非接触で対向するように、ハウジング14に取付けられる。コンプレッサ側翼車6aおよびタービン側翼車7aは、前記スラスト板13aと共通の主軸13に嵌合し、タービン側翼車7aで発生した動力により、コンプレッサ側翼車6aを駆動させる。アキシアル方向の力を検出するセンサ18の出力に応じて電磁石17を制御するコントローラ19が設けられる。転がり軸受15,16とこの転がり軸受の支持系とで形成される合成バネの剛性値は、電磁石17の負の剛性値よりも大という関係に設定される。コンプレッサ側ケーシング6bの流入口6cまたはタービン側ケーシング7bの流出口7dに、主軸13の軸方向移動を規制する部材43,45と、これらの部材43,45と前記流出口7dまたは流入口6cの周壁部を結合する部材44,46とが配置される。
【選択図】図1

Description

この発明は、冷媒として空気が用いられ、冷凍倉庫、零度以下の低温室、空調等に利用される空気サイクル冷凍冷却システムの圧縮膨張タービンシステムに関する。
空気サイクル冷凍冷却システムは、冷媒として空気を用いるため、フロンやアンモニアガス等を用いる場合に比べてエネルギー効率が不足するが、環境保護の面では好ましい。また、冷凍倉庫等のように、冷媒空気を直接に吹き込むことができる施設では、庫内ファンやデフロストの省略等によってトータルコストを引下げられる可能性があり、このような用途で空気サイクル冷凍冷却システムが提案されている(例えば特許文献1)。
また、−30℃〜−60℃のディープ・コール領域では、空気冷却の理論効率は、フロンやアンモニアガスと同等以上になることが知られている。ただし、上記空気冷却の理論効率を得ることは、最適に設計された周辺装置があって、始めて成り立つとも述べられている。周辺装置は、圧縮機や膨張タービン等である。
圧縮機,膨張タービンとしては、コンプレッサ翼車および膨張タービン翼車を共通の主軸に取付けたタービンユニットが用いられている(特許文献1)。
なお、プロセスガスを処理するタービン・コンプレッサとしては、主軸の一端にタービン翼車、他端にコンプレッサ翼車を取付け、前記主軸を電磁石の電流で制御するジャーナルおよびスラスト軸受で支承した磁気軸受式タービン・コンプレッサが提案されている(特許文献2)。
また、ガスタービンエンジンにおける提案ではあるが、主軸支持用の転がり軸受に作用するスラスト荷重が軸受寿命の短縮を招くことを回避するため、転がり軸受に作用するスラスト荷重をスラスト磁気軸受により低減することが提案されている(特許文献3)。
特許第2623202号公報 特開平7−91760号公報 特開平8−261237公報
上記のように、空気サイクル冷凍冷却システムとして、ディープ・コール領域で高効率となる空気冷却の理論効率を得るためには、最適に設計された圧縮機や膨張タービンが必要となる。
圧縮機,膨張タービンとしては、上記のようにコンプレッサ翼車および膨張タービン翼車を共通の主軸に取付けたタービンユニットが用いられている。このタービンユニットは、膨張タービンの生じる動力によりコンプレッサ翼車を駆動できることで空気サイクル冷凍機の効率を向上させている。
しかし、実用的な効率を得るためには、各翼車とハウジングとの隙間を微小に保つ必要がある。この隙間の変動は、安定した高速回転の妨げとなり効率の低下を招く。
また、コンプレッサ翼車やタービン翼車に作用する空気により、主軸にスラスト力が作用し、主軸を支持する軸受にスラスト荷重が荷される。空気サイクル冷凍冷却システムにおけるタービンユニットの主軸の回転速度は、1分間に8万〜10万回転であり、一般的な用途の軸受に比べて非常に高速となる。そのため、上記のようなスラスト荷重は、主軸を支持する軸受の長期耐久性の低下、寿命低下を招き、空気サイクル冷凍冷却用タービンユニットの信頼性を低下させる。このような軸受の長期耐久性の課題を解消しなくては、空気サイクル冷凍冷却用タービンユニットの実用化が難しい。しかし、上記特許文献1に開示の技術は、この高速回転下におけるスラスト荷重の負荷に対する軸受の長期耐久性の低下については解決されるに至っていない。
特許文献2の磁気軸受式タービン・コンプレッサのように、主軸を磁気軸受からなるジャーナル軸受およびスラスト軸受で支承したものでは、ジャーナル軸受にアキシアル方向の規制機能がない。そのため、スラスト軸受の制御の不安定要因等があると、上記翼車とディフューザ間の微小隙間を保って安定した高速回転を行うことが難しい。磁気軸受の場合は、電源停止時における接触の問題もある。
そこで、本発明者等は、上記課題を解決するものとして、先に図6に示すような構成の空気サイクル冷凍冷却用の圧縮膨張タービンユニットを提案した(特願2005−239464)。このタービンユニットでは、主軸63の両端にコンプレッサ56のコンプレッサ翼車56aおよび膨張タービン57のタービン翼車57aを取付け、主軸63を回転自在に支持する軸受として、転がり軸受65,66と、磁気軸受を構成する電磁石67とを併用し、転がり軸受65,66がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷を支持し、電磁石67は、主軸63に垂直かつ同軸に設けられた強磁性体からなるスラスト板63aに非接触で対向するように配置し、アキシアル方向の力を検出するセンサ68の出力に応じてコントローラ69で電磁石67を制御する。
タービンユニット全体のハウジング62は、スピドルハウジング64と、コンプレッサ側ケーシング56bと、タービン側ケーシング57bとで構成される。上記2個の転がり軸受65,66のうち、例えばコンプレッサ翼車56aの近傍に配置された転がり軸受65は、スピンドルハウジング64に対してアキシアル方向に移動自在に設置され、軸受予圧ばね76によって弾性支持されている。
しかし、上記構成のタービンユニットでは、コンプレッサ56側と膨張タービン57側の温度差が大きい場合に、主軸63の温度分布とユニットハウジング62の温度分布が異なることにより、主軸63とユニットハウジング62間において熱膨張差が生じる。最悪の場合には、コンプレッサ翼車56aとコンプレッサ側ケーシング56b、もしくはタービン翼車57aとタービン側ケーシング57bが接触し、コンプレッサ翼車56aやタービン翼車57aが破損するといった問題がある。
また、上記した熱膨張差が生じない場合でも、磁気軸受の電源停止時には、コンプレッサ翼車56aとタービン翼車57aの背圧差で発生した軸推力が、熱膨張による主軸63の軸長変化を吸収するために軸方向に移動自在とした転がり軸受65に作用し、最悪の場合には、コンプレッサ翼車56aとコンプレッサ側ケーシング56b、もしくはタービン翼車57aとタービン側ケーシング57bが接触し、コンプレッサ翼車56aもしくはタービン翼車57aが破損する。
この発明の目的は、転がり軸受の長期耐久性を向上させることができ、また簡単な構成のコントローラで安定した制御が行え、各翼車の適切な隙間を保って安定した高速回転が得られ、特に主軸の熱膨張や主軸とハウジングの熱膨張差に起因するコンプレッサ翼車やタービン翼車の破損を防止できる圧縮膨張タービンシステムを提供することである。
この発明の第1の発明にかかる圧縮膨張タービンシステムは、転がり軸受と磁気軸受を併用し、転がり軸受がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持し、前記磁気軸受の電磁石は主軸に設けられた強磁性体からなるフランジ状のスラスト板に非接触で対向するように、スピンドルハウジングに取付けられており、コンプレッサ側翼車およびタービン側翼車は、前記スラスト板と共通の主軸に嵌合し、タービン側翼車で発生した動力により、コンプレッサ側翼車を駆動させるものであり、アキシアル方向の力を検出するセンサの出力に応じて、前記電磁石を制御するコントローラを有し、転がり軸受と転がり軸受の支持系とで形成される合成バネの剛性値が、前記電磁石の負の剛性値よりも大という関係を有し、圧縮膨張タービンユニットのハウジングが、スピンドルハウジング、転がり軸受支持部、タービン側ケーシング、およびコンプレッサ側ケーシングから構成され、コンプレッサ側ケーシングの流入口またはタービン側ケーシングの流出口に、主軸の軸方向移動を規制する部材と、この部材と前記流出口または前記流入口の周壁部を結合する部材とが配置されていることを特徴とする。
この構成によると、転がり軸受と磁気軸受を併用し、転がり軸受がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持するものであるため、アキシアル方向の精度の良い支持が行え、かつ転がり軸受の長期耐久性が得られる。そのため、各翼車の適切な隙間を保って安定した高速回転が得られる。磁気軸受のみの支持の場合における電源停止時の損傷も回避される。
また、コンプレッサ側ケーシングの流入口またはタービン側の流出口に、主軸の軸方向移動を規制する部材と、この部材と前記流出口または前記流入口の周壁部を結合する部材とを配置したため、コンプレッサ側ケーシングとコンプレッサ翼車、またはタービン側ケーシングとタービン翼車とが接触する前に、主軸の軸方向移動を規制する部材と主軸の軸端部が接触して主軸の軸長の伸びが規制される。その結果、主軸の熱膨張や、主軸とユニットハウジングの熱膨張差に起因して、コンプレッサ翼車やタービン翼車が破損することが防止される。
また、転がり軸受とこの転がり軸受の支持系とで形成される合成バネの剛性値が、電磁石部の負の剛性値よりも大である関係に設定されているので、制御帯域において、機械システムの位相が180°遅れとなることを防止できて、制御対象を安定なものとでき、コントローラの回路構成を比例または比例積分等の簡単な構成のものとしても、安定した制御が行える。
この発明の第2の発明にかかる圧縮膨張タービンシステムは、転がり軸受と磁気軸受を併用し、転がり軸受がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持し、前記磁気軸受の電磁石は主軸に設けられた強磁性体からなるフランジ状のスラスト板に非接触で対向するように、スピンドルハウジングに取付けられており、コンプレッサ側翼車とタービン側翼車およびモータロータは前記スラスト板と共通の主軸に嵌合し、モータロータは両側にある前記転がり軸受の間に配置され、モータステータは前記モータロータと対向して配置され、前記モータステータからの磁気力ないしローレンツ力によって、主軸を駆動させるものであり、アキシアル方向の力を検出するセンサの出力に応じて、電磁石の支持力を制御するコントローラを有し、前記転がり軸受と転がり軸受の支持系とで形成される合成バネの剛性値が、前記電磁石と前記モータとで形成される合成バネの負の剛性値よりも大である関係を有し、圧縮膨張タービンユニットのハウジングが、スピンドルハウジング、モータハウジング、転がり軸受支持部、タービン側ケーシング、およびコンプレッサ側ケーシングから構成され、コンプレッサ側ケーシングの流入口またはタービン側ケーシングの流出口に、主軸の軸方向移動を規制する部材と、この部材と前記流出口または前記流入口の周壁部を結合する部材とが配置されていることを特徴とする。
この場合も、転がり軸受と磁気軸受を併用し、転がり軸受がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持するものであるため、アキシアル方向の精度の良い支持が行え、かつ転がり軸受の長期耐久性が得られる。そのため、各翼車の適切な隙間を保って安定した高速回転が得られる。磁気軸受のみの支持の場合における電源停止時の損傷も回避される。
また、コンプレッサ側ケーシングの流入口またはタービン側の流出口に、主軸の軸方向移動を規制する部材と、この部材と前記流出口または前記流入口の周壁部を結合する部材とを配置したため、コンプレッサ側ケーシングとコンプレッサ翼車、またはタービン側ケーシングとタービン翼車とが接触する前に、主軸の軸方向移動を規制する部材と主軸の軸端部が接触して主軸の軸長の伸びが規制される。その結果、主軸の熱膨張や、主軸とユニットハウジングの熱膨張差に起因して、コンプレッサ翼車やタービン翼車が破損することが防止される。
また、転がり軸受と転がり軸受の支持系とで形成される合成バネの剛性値が、電磁石部とモータ部とで形成される合成バネの負の剛性値よりも大である関係に設定されているので、制御帯域において、機械システムの位相が180°遅れとなることを防止できて、制御対象を安定なものとでき、コントローラの回路構成を比例または比例積分等の簡単な構成のものとしても、安定した制御が行える。
これら第1および第2の発明において、前記主軸の軸方向移動を規制する部材と、前記主軸端部との間に、隙間が形成されていても良い。この場合に、主軸の軸方向移動を規制する部材と、主軸端部との間に形成された隙間が、コンプレッサ側ケーシングとコンプレッサ側翼車との隙間以下に、またはタービン側ケーシングとタービン側翼車との隙間以下に形成されていても良い。主軸の軸方向移動を規制する部材には、比較的柔らかな材質であるカーボンまたは銅または銅合金を使用することが望ましい。
このように、主軸の軸方向移動を規制する部材と主軸端部との間に隙間を形成した場合に、この隙間を上記の範囲に設定することで、コンプレッサ側ケーシングとコンプレッサ翼車とが接触する前に、あるいはタービン側ケーシングとタービン側翼車とが接触する前に、主軸の軸方向移動を規制する部材に主軸の軸端部が確実に接触して主軸の軸長の伸びを規制できる。
この発明において、前記圧縮膨張タービンシステムが、流入空気に対して、タービンユニットのコンプレッサによる圧縮、他の熱交換器による冷却、前記タービンユニットの膨張タービンによる断熱膨張、もしくは予圧縮手段による圧縮、熱交換器による冷却、タービンユニットのコンプレッサにより圧縮、他の熱交換器による冷却、前記タービンユニットの膨張タービンによる断熱膨張、を順次行う空気サイクル冷凍冷却システムに使用されたものであっても良い。
前記圧縮膨張タービンシステムを、このような空気サイクル冷凍冷却システムに適用した場合、圧縮膨張タービンシステムにおいて、各翼車の適切な隙間を保って主軸の安定した高速回転が得られ、かつ軸受長期耐久性の向上、寿命の向上が得られることから、圧縮膨張タービンシステムの全体として、しいては空気サクル冷凍冷却システムの全体としても信頼性が向上する。また、空気サイクル冷凍冷却システムのネックとなっている圧縮膨張タービンシステムの主軸軸受の安定した高速回転、長期耐久性、信頼性が向上することから、空気サイクル冷凍冷却システムの実用化が可能となる。
この発明の第1の発明にかかる圧縮膨張タービンシステムは、転がり軸受と磁気軸受を併用し、転がり軸受がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持し、前記磁気軸受の電磁石は主軸に設けられた強磁性体からなるフランジ状のスラスト板に非接触で対向するように、スピンドルハウジングに取付けられており、コンプレッサ側翼車およびタービン側翼車は、前記スラスト板と共通の主軸に嵌合し、タービン側翼車で発生した動力により、コンプレッサ側翼車を駆動させるものであり、アキシアル方向の力を検出するセンサの出力に応じて、前記電磁石を制御するコントローラを有し、転がり軸受と転がり軸受の支持系とで形成される合成バネの剛性値が、前記電磁石の負の剛性値よりも大という関係を有し、圧縮膨張タービンユニットのハウジングが、スピンドルハウジング、転がり軸受支持部、タービン側ケーシング、およびコンプレッサ側ケーシングから構成され、コンプレッサ側ケーシングの流入口またはタービン側の流出口に、主軸の軸方向移動を規制する部材と、この部材と前記流出口または前記流入口の周壁部を結合する部材とが配置されているため、転がり軸受の長期耐久性を向上させることができ、また簡単な構成のコントローラで安定した制御が行え、各翼車の適切な隙間を保って安定した高速回転が得られ、特に、主軸の熱膨張や主軸とハウジングの熱膨張差に起因するコンプレッサ翼車やタービン翼車の破損を防止することができる。
この発明の第2の発明にかかる圧縮膨張タービンシステムは、転がり軸受と磁気軸受を併用し、転がり軸受がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持し、前記磁気軸受の電磁石は主軸に設けられた強磁性体からなるフランジ状のスラスト板に非接触で対向するように、スピンドルハウジングに取付けられており、コンプレッサ側翼車とタービン側翼車およびモータロータは前記スラスト板と共通の主軸に嵌合し、モータロータは両側にある前記転がり軸受の間に配置され、モータステータは前記モータロータと対向して配置され、前記モータステータからの磁気力ないしローレンツ力によって、主軸を駆動させるものであり、アキシアル方向の力を検出するセンサの出力に応じて、電磁石の支持力を制御するコントローラを有し、前記転がり軸受と転がり軸受の支持系とで形成される合成バネの剛性値が、前記電磁石と前記モータとで形成される合成バネの負の剛性値よりも大である関係を有し、圧縮膨張タービンユニットのハウジングが、スピンドルハウジング、モータハウジング、転がり軸受支持部、タービン側ケーシング、およびコンプレッサ側ケーシングから構成され、コンプレッサ側ケーシングの流入口またはタービン側ケーシングの流出口に、主軸の軸方向移動を規制する部材と、この部材と前記流出口または前記流入口の周壁部を結合する部材とが配置されているため、転がり軸受の長期耐久性を向上させることができ、また簡単な構成のコントローラで安定した制御が行え、各翼車の適切な隙間を保って安定した高速回転が得られ、特に、主軸の熱膨張や主軸とハウジングの熱膨張差に起因するコンプレッサ翼車やタービン翼車の破損を防止することができる。
この発明の第1の実施形態を図1および図2と共に説明する。図1は、この実施形態の圧縮膨張タービンシステムを構成する圧縮膨張タービンユニット5の断面図を示す。この圧縮膨張タービンユニット5は、コンプレッサ6および膨張タービン7を有し、コンプレッサ6のコンプレッサ翼車6aおよび膨張タービン7のタービン翼車7aが主軸13の両端にそれぞれ取付けられている。また、タービン翼車7aで発生した動力によりコンプレッサ翼車6aが駆動されるものであり、別の駆動源は設けられていない。
圧縮膨張タービンユニット5のハウジング12は、コンプレッサ側ケーシング6bと、スピンドルハウジング14と、前記コンプレッサ側ケーシング6bとスピンドルハウジング14との間に介在する転がり軸受支持部20と、タービン側ケーシング7bとを結合して構成される。
図1において、コンプレッサ6は、コンプレッサ翼車6aと、このコンプレッサ翼車6aと微小の隙間d1を介して対向する前記コンプレッサ側ケーシング6bとでなり、中心部の流入口6cから軸方向に吸入した空気を、コンプレッサ翼車6aで圧縮し、外周部の出口(図示せず)から矢印6dで示すように排出する。
膨張タービン7は、タービン翼車7aと、このタービン翼車7aと微小の隙間d2を介して対向するタービン側ケーシング7bとでなり、外周部から矢印7cで示すように吸い込んだ空気を、タービン翼車7aで断熱膨張させ、中心部の流出口7dから軸方向に排出する。
この圧縮膨張タービンユニット5では、主軸13をラジアル方向に対し複数の転がり軸受15,16で支持し、主軸13にかかるアキシアル荷重と軸受予圧のどちらか一方もしくは両方を磁気軸受である電磁石17により支持するものとされる。この圧縮膨張タービンユニット5は、転がり軸受16に作用するアキシアル方向の負荷を検出するセンサ18と、このセンサ18の出力に応じて前記電磁石17による支持力を制御する磁気軸受用コントローラ19とを有している。電磁石17は、主軸13の中央で主軸13に垂直かつ同軸に一体構造として設けられた強磁性体からなるフランジ状のスラスト板13aの両面に非接触で対向するように、スピンドルハウジング14に設置され、スラスト板13aが電磁石ターゲットとされる。スラスト板13aの付け根部分は、R2以上の角R処理がなされている。主軸13の材料には、磁気特性の良好な低炭素鋼が使用される。
主軸13を支持する転がり軸受15,16は、アキシアル方向位置の規制機能を有するものであり、例えば深溝玉軸受やアンギュラ玉軸受が用いられる。深溝玉軸受の場合、両方向のスラスト支持機能を有し、内外輪のアキシアル方向位置を中立位置に戻す作用を持つ。これら2個の転がり軸受15,16は、それぞれユニットハウジング12におけるコンプレッサ翼車6aおよびタービン翼車7aの近傍に配置されている。
主軸13は、中央部の大径部13cと、両端部の小径部13dとを有する段付き軸とされている。両側の転がり軸受15,16は、その内輪15a,16aが小径部13dに圧入状態に嵌合し、片方の幅面が大径部13cと小径部13d間の段差面に係合する。また、主軸13の両端部の小径部13dに、前記コンプレッサ翼車6aおよびタービン翼車7aの中央部に設けられた貫通孔6aa,7aaを圧入状態に嵌合させることで、コンプレッサ翼車6aおよびタービン翼車7aが主軸13に取付けられる。
前記センサ18は、タービン翼車7a側の転がり軸受16の近傍における静止側、つまりスピンドルハウジング14側に設けられている。このセンサ18を近傍に設けた転がり軸受16は、その外輪16bが軸受ハウジング23内に固定状態に嵌合している。軸受ハウジング23は、リング状に形成されて一端に転がり軸受16の外輪16bの幅面に係合する内鍔23aを有しており、スピンドルハウジング14に設けられた内径面24にアキシアル方向に移動自在に嵌合している。内鍔23aは、アキシアル方向の中央側端に設けられている。
センサ18は主軸13の回りの円周方向複数箇所(例えば2箇所)に分配配置され、軸受ハウジング23の内鍔23a側の幅面と、スピンドルハウジング14に固定された部材である片方の電磁石17との間に介在させてある。また、センサ18は、センサ予圧ばね25により予圧が印加されている。センサ予圧ばね25は、タービン側ケーシング7bに設けられた収容凹部内に収容されて転がり軸受16の外輪16bをアキシアル方向に付勢するものとされ、外輪16bおよび軸受ハウジング23を介してセンサ18を予圧する。センサ予圧ばね25は、例えば主軸13の回りの円周方向複数箇所に設けられたコイルばね等からなる。
センサ予圧ばね25による予圧は、押し付け力によってスラスト力を検出するセンサ18が、主軸13のアキシアル方向のいずれの向きの移動に対しても検出できるようにするためであり、圧縮膨張タービンユニット5の通常の運転状態で主軸13に作用する平均的なスラスト力以上の大きさとされる。
センサ18の非配置側の転がり軸受15は、転がり軸受支持部20に対してアキシアル方向に移動自在に設置され、かつ軸受予圧ばね26によって弾性支持されている。この例では転がり軸受15の外輪15bが、転がり軸受支持部20の内径面にアキシアル方向移動自在に嵌合していて、軸受予圧ばね26は、外輪15bとコンプレッサ側ケーシング6bとの間に介在している。軸受予圧ばね26は、内輪15aの幅面が係合した主軸13の段面に対向して外輪15bを付勢するものとされ、転がり軸受15に予圧を与えている。軸受予圧ばね26は、主軸13回りの円周方向複数箇所に設けられたコイルばね等からなり、それぞれコンプレッサ側ケーシング6bに設けられた収容凹部内に収容されている。軸受予圧ばね26は、センサ予圧ばね25よりもばね定数が小さいものとされる。
コンプレッサ側ケーシング6bにおける転がり軸受15よりもコンプレッサ翼車6a側の部分、およびタービン側ケーシング7bにおける転がり軸受16よりもタービン翼車7a側の部分は、それぞれ内径面が主軸13に近接する径に形成され、この内径面に非接触シール21,22が形成されている。この実施形態では、非接触シール21,22は、前記各ケーシング6b,7bの内径面に複数の円周溝を軸方向に並べて形成したラビリンスシールとしているが、その他の非接触シール手段でも良い。
前記コンプレッサ側ケーシング6bと前記コンプレッサ6側の転がり軸受支持部20の両端面が結合する面には、コンプレッサ側ケーシング6bから転がり軸受支持部20への熱流入を絞るための隙間27が形成されている。この実施形態では、転がり軸受支持部20の端面の外径側に突起20aを形成し、この突起20aのコンプレッサ側ケーシング6bへの面接触もしくは点接触により前記隙間27を形成している。突起20aは、円周方向の全周にわたってリング状に形成したものでも、円周方向に断続的に分散配置して形成したものでも良い。また、突起20aは、コンプレッサ側ケーシング6bの端面に形成しても良い。
前記隙間27の形成により、定常動作時に高温となるコンプレッサ側ケーシング6bからコンプレッサ6側の転がり軸受支持部20への熱流入が抑制され、グリース潤滑で回転する転がり軸受15のグリース寿命が向上し、転がり軸受15の長期耐久性を向上させることができる。
また、転がり軸受支持部20における前記隙間27の近傍には、ユニットハウジング12を冷却する冷却経路28が形成されている。冷却経路28はコンプレッサ側ケーシング6bに形成しても良い。この冷却経路28に流す冷却用の媒体には、水、油ないし空気が使用される。このように、前記冷却経路28に冷却用媒体を流す冷却システムを構成することで、転がり軸受支持部20の温度、さらには転がり軸受15の温度が、使用する転がり軸受15の許容温度以下の適温に制御される。
前記コンプレッサ側ケーシング6bの流入口6cには、主軸13の軸方向移動を規制する主軸移動規制部材43が、コンプレッサ翼車6aの貫通孔6aaに嵌合する主軸13の軸端部と一定の隙間g1を保つように配置されている。この主軸移動規制部材43は、結合部材44を介して前記流入口6cの周壁部における流入側開口縁に結合されている。主軸移動規制部材43には、比較的柔らかい材質であるカーボンや銅、もしくは銅合金等を使用することが望ましい。前記主軸移動規制部材43と主軸13の端部との軸方向隙間g1は、コンプレッサ側ケーシング6bとコンプレッサ翼車6aとの隙間d1以下に設定されている。
上記と同様に、前記タービン側ケーシング7bの流出口7dにも、主軸13の軸方向移動を規制する主軸移動規制部材45が、タービン翼車7aの貫通孔7aaに嵌合する主軸13の軸端部と一定の隙間g2を保つように配置され、この主軸移動規制部材45は、結合部材46を介して前記流出口7dの周壁部における流出側開口縁に結合されている。この主軸移動規制部材45と主軸13の端部との軸方向隙間g2は、タービン側ケーシング7bとタービン翼車7aとの隙間d2以下に設定されている。この場合の主軸移動規制部材45も、コンプレッサ側ケーシング6bの流入口6cに配置される主軸移動規制部材43と同じ材質のものを使用することが望ましい。
この実施形態では、コンプレッサ側ケーシング6bの流入口6cと、タービン側ケーシング7bの流出口7dのそれぞれに主軸移動規制部材43,45を配置しているが、いずれか一方にだけ配置しても良い。
上記圧縮膨張タービンユニット5における磁気軸受装置の力学モデルは簡単なバネ系で構成することができる。すなわち、このバネ系は、転がり軸受15,16とこれら軸受の支持系(センサ予圧ばね25、軸受予圧ばね26、軸受ハウジング23など)とで構成される合成バネと、電磁石17のバネとが並列となった構成である。このバネ系において、転がり軸受15,16とこれら軸受の支持系とで構成される合成バネは、変位した方向と逆の方向に変位量に比例して作用する剛性となるのに対し、電磁石17のバネは、変位した方向に変位量に比例して作用する負の剛性となる。
このため、上記した合成バネの剛性と電磁石17のバネの負の剛性との大小関係を、
合成バネの剛性値<電磁石の負の剛性値……(1)
とした場合、機械システムの位相は180°遅れとなり不安定な系となることから、電磁石17を制御する磁気軸受用コントローラ19において、予め位相補償回路を付加する必要が生じ、コントローラ19の構成が複雑なものになる。
そこで、この実施形態では、上記した合成バネの剛性と電磁石17のバネの負の剛性との大小関係を、
合成バネの剛性値>電磁石の負の剛性値……(2)
としている。これにより、制御帯域において、機械システムの位相が180°遅れとなることを防止できるので、コントローラ19の制御対象を安定なものとでき、コントローラ19の回路構成を図2のように比例もしくは比例積分で簡単に構成できる。
ブロック図で示す図2のコントローラ19では、各センサ18の検出出力P1,P2をセンサ出力演算回路31で加減し、その演算結果を比較器32で基準値設定手段33の目標値と比較して偏差を演算し、さらに演算した偏差をPI補償回路(もしくはP補償回路)34により圧縮膨張タービンユニット5に応じて適宜設定される比例積分(もしくは比例)処理を行うことで、電磁石17の制御信号を演算するようにしている。PI補償回路(もしくはP補償回路)34の出力は、ダイオード35,36を介して各方向の電磁石171 ,172 を駆動するパワー回路37,38に入力される。電磁石171 ,172 は、図1に示したスラスト板13aに対向する一対の電磁石17であり、吸引力しか作用しないため、予めダイオード35,36で電流の向きを決め、2個の電磁石171 ,172 を選択的に駆動するようにしている。
この構成の圧縮膨張タービンユニット5は、例えば空気サイクル冷凍冷却システムに適用されて、冷却媒体となる空気を後段の熱交換器(ここでは図示せず)により効率良く熱交換できるように、コンプレッサ6で圧縮して温度上昇させ、さらに後段の前記熱交換器で冷却された空気を、膨張タービン7により、目標温度、例えば−30℃〜−60℃程度の極低温まで断熱膨張により冷却して排出するように使用される。
このような使用例において、この圧縮膨張タービンユニット5は、コンプレッサ翼車6aおよびタービン翼車7aを共通の主軸13に取付け、タービン翼車7aで発生した動力によりコンプレッサ翼車6aは駆動される。
このように、圧縮膨張タービンユニット5として構成されたこの実施形態の圧縮膨張タービンシステムでは、主軸13の軸方向移動を規制する主軸移動規制部材43をコンプレッサ側ケーシング6bの流入口6cに配置し、主軸移動規制部材43を結合部材44を介して前記流入口6cに結合しているので、コンプレッサ側ケーシング6bとコンプレッサ翼車6aとが接触する前に、主軸13の軸端部が主軸移動規制部材43に接触して主軸13の軸長の伸びを規制する。
また、タービン側ケーシング7bの流出口7dにも、主軸13の軸方向移動を規制する主軸移動規制部材45を配置し、主軸移動規制部材45を結合部材46を介して前記流出口7dに結合しているので、タービン側ケーシング7bとタービン翼車7aとが接触する前に、主軸13の軸端部が主軸移動規制部材45に接触して主軸13の軸長の伸びを規制する。これにより、主軸13の熱膨張や、主軸13とユニットハウジング12の熱膨張差に起因して、コンプレッサ翼車6aやタービン翼車7aが破損するのを防止できる。
この実施形態では、コンプレッサ側ケーシング6bの流入口6cに配置される主軸移動規制部材43と主軸13の軸端部との間に隙間g1が設定され、この隙間g1がコンプレッサ側ケーシング6bとコンプレッサ翼車6aとの隙間d1以下とされているので、コンプレッサ側ケーシング6bとコンプレッサ翼車6aとが接触する前に、主軸13の軸端部が主軸移動規制部材43に確実に接触して主軸13の軸長の伸びを規制できる。
また、タービン側ケーシング7bの流出口7dに配置される主軸移動規制部材45と主軸13の軸端部との間にも隙間g2が設定され、この隙間g2がタービン側ケーシング7bとタービン翼車7aとの隙間d2以下とされているので、タービン側ケーシング7bとタービン翼車7aとが接触する前に、主軸13の軸端部が主軸移動規制部材43に確実に接触して主軸13の軸長の伸びを規制できる。
さらに、この実施形態では、コンプレッサ翼車6aおよびタービン翼車7aが、スラスト板13aと共通の主軸13に嵌合し、タービン翼車7aで発生した動力により、コンプレッサ翼車6aを駆動させる圧縮膨張タービンシステムを構成する圧縮膨張タービンユニット5において、主軸13の支持に上記構成の磁気軸受装置を適用したので、各翼車6a,7aの適切な隙間d1,d2を保って主軸13の安定した高速回転が得られ、かつ転がり軸受15,16の長期耐久性の向上、寿命の向上が得られる。
すなわち、圧縮膨張タービンユニット5の圧縮,膨張の効率を確保するためには、各翼車6a,7aとケーシング6b,7bとの隙間d1,d2を微小に保つ必要がある。例えば,この圧縮膨張タービンユニット5を空気サイクル冷凍冷却システムに適用する場合には、この効率確保が重要となる。これに対して、主軸13を転がり軸受15,16により支持するため、転がり軸受の持つアキシアル方向位置の規制機能により、主軸13のアキシアル方向位置がある程度規制され、各翼車6a,7aとハウジング6b,7b間の微小隙間d1,d2を一定に保つことができる。
しかし、タービンユニット5の主軸13には、各翼車6a,7aに作用する空気の圧力等でスラスト力がかかる。また、空気冷却システムで使用するタービンユニット5では、1分間に例えば8万〜10万回転程度の非常に高速の回転となる。そのため、主軸13を回転支持する転がり軸受15,16に上記スラスト力が作用すると、転がり軸受15,16の長期耐久性が低下する。
この実施形態は、上記スラスト力を電磁石17で支承するため、非接触でトルクの増大を抑えながら、主軸13の支持用の転がり軸受15,16に作用するスラスト力を軽減することができる。この場合に転がり軸受16に作用するスラスト力を検出するセンサ18と、このセンサ18の出力に応じて前記電磁石17による支持力を制御する磁気軸受用コントローラ19とを設けたため、転がり軸受15,16を、その軸受仕様に応じてスラスト力に対し最適な状態で使用することができる。
図3および図4は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態の圧縮膨張タービンシステムは、図1に示す第1の実施形態において、主軸13を転がり軸受15,16と磁気軸受である電磁石17で支持すると共に、主軸13を回転駆動するアキシアルギャップ型のモータ39を設けたものである。モータ39は、電磁石17とは独立にモータ用コントローラ29で制御される。
電磁石17は、主軸13の軸方向中間部において軸方向に並ぶように主軸13に垂直かつ同軸に一体構造として設けられた強磁性体からなるフランジ状の2つのスラスト板13a,13bの各片面に非接触で対向するように、一対のものがスピンドルハウジング14に設置されている。具体的には、磁気軸受ユニットを構成する一方の電磁石17は、膨張タービン7寄りに位置するスラスト板13aの膨張タービン7側に向く片面を電磁石ターゲットとして、この片面に非接触で対向するようにスピンドルハウジング14に設置される。また、磁気軸受ユニットを構成する他方の電磁石17は、コンプレッサ6寄りに位置するスラスト板13bのコンプレッサ6側に向く片面を電磁石ターゲットして、この片面に非接触で対向するようにスピンドルハウジング14に設置される。
モータ39は、前記電磁石17と並んで主軸13に設けられたモータロータ39aと、このモータロータ39aに対し軸方向に対向するモータステータ39bとでなるモータユニットである。具体的には、モータユニットの一部品を構成するモータロータ39aは、主軸13における前記各スラスト板13a,13bの電磁石17が対向する側とは反対側の各片面に、円周方向に等ピッチで並ぶ永久磁石39aaを配置することで左右一対のものが構成される。永久磁石39aaは接着剤により各スラスト板13a,13bの各片面に接着固定される。このように軸方向に対向配置される永久磁石39aaの間では、その磁極が互いに異極となるように設定される。主軸13には磁気特性の良好な低炭素鋼を使用しているので、主軸13と一体構造となるように設けられる前記各スラスト板13a,13bを、永久磁石39aaのバックヨークおよび電磁石ターゲットに兼用できる。
モータユニットの他の部品であるモータステータ39bは、前記左右一対のモータロータ39aに挟まれる軸方向中央の位置において、これら両モータロータ39aの各面に非接触で対向するようにコアの無い状態で配置したコイル39baを、モータハウジング40を介してスピンドルハウジング14に設置して構成される。このモータ39は、前記モータロータ39aとモータステータ39b間に作用するローレンツ力により、主軸13を回転させる。このように、このアキシアルギャップ型のモータ39はコアレスモータとされていることから、モータロータ39aとモータステータ39b間の磁気カップリングによる負の剛性はゼロとなっている。
上記の圧縮膨張タービンユニット5におけるモータ一体型の磁気軸受装置の力学モデルは、転がり軸受15,16とこれら軸受の支持系(センサ予圧ばね25、軸受予圧ばね26、軸受ハウジング23など)とで形成される合成バネと、モータ部(モータ39と電磁石17)で形成される合成バネとが並列となったバネ系で構成することができる。このバネ系において、転がり軸受15,16とこれら軸受の支持系とで形成される合成バネは、変位した方向と逆の方向に変位量に比例して作用する剛性となるのに対し、モータ部で形成される合成バネは、変位した方向に変位量に比例して作用する負の剛性となる。
このため、上記した両合成バネの剛性の大小関係を、
軸受等による合成バネの剛性値<モータ部による合成バネの負の剛性値…(3)
とした場合、機械システムの位相は180°遅れとなり不安定な系となることから、電磁石17を制御する磁気軸受用コントローラ19において、予め位相補償回路を負荷する必要が生じ、コントローラ19の構成が複雑なものになる。
そこで、この実施形態におけるモータ一体型の磁気軸受装置では、上記した両合成バネの剛性の大小関係を、
軸受等による合成バネの剛性値>モータ部による合成バネの負の剛性値…(4)
としている。とくに、このモータ一体型の磁気軸受装置では、上記したようにアキシアルギャップ型のモータ39をコアレスモータとしているので、モータ39に作用する負の剛性値をゼロとすることができ、モータ39が高負荷動作し過大なアキシアル荷重が作用した状態においても上記(4)式の大小関係を保つことができる。
その結果、制御帯域において、機械システムの位相が180°遅れとなることを防止できるので、モータ39が高負荷動作し過大なアキシアル荷重が作用した状態でも磁気軸受用コントローラ19の制御対象を安定なものとでき、コントローラ19の回路構成を第1の実施形態における図4のように比例もしくは比例積分を用いた簡単なものに構成できる。
図4にブロック図で示すモータ用コントローラ29では、回転同期指令信号を基に、モータロータ39aの回転角をフィードバック信号として位相調整回路47でモータ駆動電流の位相調整が行われ、その調整結果に応じたモータ駆動電流をモータ駆動回路48からモータステータ39bに供給することによって、定回転制御が行われる。前記回転同期指令信号は、モータロータ39aに設けられた回転角度検出センサ(図示せず)の出力に応じて演算される。この実施形態におけるその他の構成は、第1の実施形態の場合と同様である。
図5は、例えば前記第1の実施形態における圧縮膨張タービンユニット5を用いた空気サイクル冷凍冷却システムの全体の構成を示すが、図3の実施形態における圧縮膨張タービンユニット5を用いても良い。この空気サイクル冷凍冷却システムは、冷凍倉庫等の被冷却空間10の空気を直接に冷媒として冷却するシステムであり、被冷却空間10にそれぞれ開口した空気の取入口1aから排出口1bに至る空気循環経路1を有している。この空気循環経路1に、予圧縮手段2、第1の熱交換器3、空気サイクル冷凍冷却用タービンユニット5のコンプレッサ6、第2の熱交換器3、中間熱交換器9、および前記タービンユニット5の膨張タービン7が順に設けられている。中間熱交換器9は、同じ空気循環経路1内で取入口1aの付近の流入空気と、後段の圧縮で昇温し、冷却された空気との間で熱交換を行うものであり、取入口1aの付近の空気は熱交換器9a内を通る。
予圧縮手段2はブロア等からなり、モータ2aにより駆動される。第1の熱交換器3および第2の熱交換器8は、冷却媒体を循環させる熱交換器3a,8aをそれぞれ有し、熱交換器3a,8a内の水等の冷却媒体と空気循環経路1の空気との間で熱交換を行う。各熱交換器3a,8aは、冷却塔11に配管接続されており、熱交換で昇温した冷却媒体が冷却塔11で冷却される。なお、前記予圧縮手段2を含まない構成の空気サイクル冷凍冷却システムでもよい。
この空気サイクル冷凍冷却システムは、被冷却空間10を0℃〜−60℃程度に保つシステムであり、被冷却空間10から空気循環経路1の取入口1aに0℃〜−60℃程度で1気圧の空気が流入する。なお、以下に示す温度および気圧の数値は、一応の目安となる一例である。取入口1aに流入した空気は、中間熱交換器9により、空気循環経路1中の後段の空気の冷却に使用され、30℃まで昇温する。この昇温した空気は1気圧のままであるが、予圧縮手段2により1.4気圧に圧縮させられ、その圧縮により、70℃まで昇温する。第1の熱交換器3は、昇温した70℃の空気を冷却すれば良いため、常温程度の冷水であっても効率良く冷却することができ、40℃に冷却する。
熱交換により冷却された40℃,1.4気圧の空気が、タービンユニット5のコンプレッサ6により、1.8気圧まで圧縮され、この圧縮により70℃程度に昇温した状態で、第2の熱交換器8により40℃に冷却される。この40℃の空気は、中間熱交換器9で−30℃の空気により−20℃まで冷却される。気圧はコンプレッサ6から排出された1.8気圧が維持される。
中間熱交換器9で−20℃まで冷却された空気は、タービンユニット5の膨張タービン7により断熱膨張され、−55℃まで冷却されて排出口1bから被冷却空間10に排出される。この空気サイクル冷凍冷却システムは、このような冷凍サイクルを行う。
この空気サイクル冷凍冷却システムでは、タービンユニット5において、各翼車6a,7aの適切な隙間d1,d2を保って主軸13の安定した高速回転が得られ、かつ軸受15,16の長期耐久性の向上、寿命の向上が得られることで、軸受15,16の長期耐久性が向上することから、タービンユニット5の全体として、しいては空気サイクル冷凍冷却システムの全体としての信頼性が向上する。このように、空気サイクル冷凍冷却システムのネックとなっているタービンユニット5の主軸軸受15,16の安定した高速回転、長期耐久性、信頼性が向上するため、空気サイクル冷凍冷却システムの実用化が可能となる。
この発明の第1の実施形態にかかる圧縮膨張タービンシステムの断面図である。 図1の圧縮膨張タービンシステムにおける磁気軸受用コントローラの一例を示すブロック図である。 この発明の他の実施形態にかかる圧縮膨張タービンシステムの断面図である。 同圧縮膨張タービンシステムにおけるモータ用コントローラの一例を示すブロック図である。 同圧縮膨張タービンシステムを適用した空気サイクル冷凍冷却システムの系統図である。 提案例の断面図である。
符号の説明
2…予圧縮手段
3…第1の熱交換器
5…圧縮膨張タービンユニット
6…コンプレッサ
6a…コンプレッサ翼車
6b…コンプレッサ側ケーシング
6c…流入口
7…膨張タービン
7a…タービン翼車
7b…タービン側ケーシング
7d…流出口
12…ユニットハウジング
13…主軸
13a,13b…スラスト板
14…スピンドルハウジング
15,16…転がり軸受
17…電磁石
18…センサ
19…磁気軸受用コントローラ
20…転がり軸受支持部
39…モータ
39a…モータロータ
39b…モータステータ
43,45…主軸移動規制部材
44,46…結合部材
d1,d2,g1,g2…隙間

Claims (7)

  1. 転がり軸受と磁気軸受を併用し、転がり軸受がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持し、前記磁気軸受の電磁石は主軸に設けられた強磁性体からなるフランジ状のスラスト板に非接触で対向するように、スピンドルハウジングに取付けられており、コンプレッサ側翼車およびタービン側翼車は、前記スラスト板と共通の主軸に嵌合し、タービン側翼車で発生した動力により、コンプレッサ側翼車を駆動させるものであり、アキシアル方向の力を検出するセンサの出力に応じて、前記電磁石を制御するコントローラを有し、転がり軸受と転がり軸受の支持系とで形成される合成バネの剛性値が、前記電磁石の負の剛性値よりも大という関係を有し、圧縮膨張タービンユニットのハウジングが、スピンドルハウジング、転がり軸受支持部、タービン側ケーシング、およびコンプレッサ側ケーシングから構成され、コンプレッサ側ケーシングの流入口またはタービン側ケーシングの流出口に、主軸の軸方向移動を規制する部材と、この部材と前記流出口または前記流入口の周壁部を結合する部材とが配置されていることを特徴とする圧縮膨張タービンシステム。
  2. 転がり軸受と磁気軸受を併用し、転がり軸受がラジアル負荷を支持し、磁気軸受がアキシアル負荷と軸受予圧のどちらか一方または両方を支持し、前記磁気軸受の電磁石は主軸に設けられた強磁性体からなるフランジ状のスラスト板に非接触で対向するように、スピンドルハウジングに取付けられており、コンプレッサ側翼車とタービン側翼車およびモータロータは前記スラスト板と共通の主軸に嵌合し、モータロータは両側にある前記転がり軸受の間に配置され、モータステータは前記モータロータと対向して配置され、前記モータステータからの磁気力ないしローレンツ力によって、主軸を駆動させるものであり、アキシアル方向の力を検出するセンサの出力に応じて、電磁石の支持力を制御するコントローラを有し、前記転がり軸受と転がり軸受の支持系とで形成される合成バネの剛性値が、前記電磁石と前記モータとで形成される合成バネの負の剛性値よりも大である関係を有し、圧縮膨張タービンユニットのハウジングが、スピンドルハウジング、モータハウジング、転がり軸受支持部、タービン側ケーシング、およびコンプレッサ側ケーシングから構成され、コンプレッサ側ケーシングの流入口またはタービン側ケーシングの流出口に、主軸の軸方向移動を規制する部材と、この部材と前記流出口または前記流入口の周壁部を結合する部材とが配置されていることを特徴とする圧縮膨張タービンシステム。
  3. 請求項1または請求項2において、前記主軸の軸方向移動を規制する部材と、前記主軸端部との間に、隙間が形成されている圧縮膨張タービンシステム。
  4. 請求項3において、前記主軸の軸方向移動を規制する部材と、前記主軸端部との間に形成された隙間が、コンプレッサ側ケーシングとコンプレッサ側翼車との隙間以下に形成されている圧縮膨張タービンシステム。
  5. 請求項3において、前記主軸の軸方向移動を規制する部材と、前記主軸端部との間に形成された隙間が、タービン側ケーシングとタービン側翼車との隙間以下に形成されている圧縮膨張タービンシステム。
  6. 請求項4または請求項5において、前記主軸の軸方向移動を規制する部材が、カーボンまたは銅または銅合金で形成されている圧縮膨張タービンシステム。
  7. 請求項6において、前記圧縮膨張タービンシステムが、流入空気に対して、タービンユニットのコンプレッサによる圧縮、他の熱交換器による冷却、前記タービンユニットの膨張タービンによる断熱膨張、もしくは予圧縮手段による圧縮、熱交換器による冷却、タービンユニットのコンプレッサにより圧縮、他の熱交換器による冷却、前記タービンユニットの膨張タービンによる断熱膨張、を順次行う空気サイクル冷凍冷却システムに使用されたものである圧縮膨張タービンシステム。
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