JP2007056935A - 動力伝達装置の制御装置 - Google Patents

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Hitoshi Nomasa
斉 野正
Hiroyuki Shioiri
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Abstract

【課題】 動作部材がカム面から離れることを抑制することの可能な動力伝達装置の制御装置を提供する。
【解決手段】 相対回転可能に設けられた入力部材および出力部材と、入力部材または出力部材のいずれか一方の部材に形成されたカム面と、他方の部材に設けられ、カム面に接触して動作する動作部材と、動作部材の動作によりオイルが吸入される油室14とを有しており、油室14の圧力に応じて動作部材がカム面に押し付けられて、カム面と動作部材との係合力に応じて、入力部材と出力部材との間で動力伝達をおこなうことの可能な動力伝達装置の制御装置において、オイルの吸入経路77,79とは別の経路80,81,82,84を経由する流体を、油室14に供給する流体供給機構70が設けられている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、動力源の出力側に配置される動力伝達装置の制御装置に関するものである。
従来、車両には動力源が搭載されており、その動力源の出力側には動力伝達装置が配置されている。この動力伝達装置としては、油圧制御式の動力伝達装置および電磁制御式の動力伝達装置が知られており、油圧制御式の動力伝達装置の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された動力伝達装置の構成を説明すると、動力源により駆動される入力軸と、入力軸から動力が伝達される出力軸とが設けられている。また、入力軸と一体回転する取り付けプレートが設けられており、取り付けプレートにはカム部材が設けられている。このカム部材は、円筒状のカムリングと、カムリングに取り付けられた取り付けプレートと、オイルタンクを形成するタンク壁とを有している。そして、カムリングの内周面にはカム面が形成されている。このカム面は半径方向の凹凸を繰り返しながら波状に周方向に延びている。
一方、出力軸にはシリンダ部材がスプライン結合されており、シリンダ部材には複数のピストン室が放射状に設けられている。このピストン室にはピストンが往復動自在に配置されており、ピストンの頭部にはボールが回転自在に取り付けられている。このボールがカム面に転動自在に摺接する。そして、カムリングの内側に、カムリング、シリンダ部材、取り付けプレート、カバー部材により包囲された空間、すなわちシリンダ室が形成されている。また、シリンダ室は連通孔を介してオイルタンクに連通している。オイルタンクにはオイルが充填されるが、シリンダ室、オイルタンクは完全な密閉構造をなしているので、充填されたオイルは他の油圧回路とは切り離され、これ自体で独立の油圧システムを構成している。
さらに、ピストン室は吸入口および吐出口を介してシリンダ室に通じており、吸入口には吸入用一方向弁が設けられている。また、吐出口には油圧設定装置が設けられている。この油圧設定装置は、主リリーフ弁と、主リリーフ弁を押すスプリングと、シリンダ室に連通された案内孔と、案内孔の油圧が作用する弁体と、弁体を押すスプリングとを有している。そして、主リリーフ弁の凸部が、吐出口に配置されている。
そして、入力軸と出力軸とが相対回転すると、ボールがカム面に沿って摺動し、カム面の形状に沿ってピストンがピストン室内を往復運動する。ピストンがピストン室から抜け出す吸入行程時には、吸入用一方向弁が開いてシリンダ室内のオイルが吸入口を経てピストン室内に吸入される。続いて吐出行程になると、吸入用一方向弁は閉じ、一方、ピストン室内の圧力が一定圧に達するまでは、油圧設定装置により吐出口が閉塞されているので、ピストン室内のオイルは該設定圧まで加圧される。ピストン室内の油圧は案内孔を経由して弁体に伝達され、ピストン室内の油圧が設定圧以上まで上昇すると、弁体がスプリングに抗して動作し、ピストン室内の油圧により、主リリーフ弁がスプリングの押圧力に抗して動作し、吐出口が開く。
そして、ピストン室のオイルがシリンダ室に吐出されて、ピストン室の油圧が低下すると、案内孔を経由して弁体に伝達される油圧が低下して、スプリングの押圧力により弁体が元の位置に戻る。このため、主リリーフ弁に加えられるスプリングの押圧力が高まり、主リリーフ弁が前記とは逆の方向に動作して、吐出口が閉じられる。このようにして、吐出行程状態にあるピストン室の内圧は、弁体を押圧するスプリングにより定まる所定の圧力値に設定される。
特開平8−284977号公報
しかしながら、上記の特許文献1に記載されている動力伝達装置においては、入力軸と出力軸との回転数差が大きくなると、ピストン室に吸入されるオイルの流量が不足してピストン室が負圧となり、ピストンの往復運動性能が低下、より具体的には半径方向で外側に向けて動作しにくくなる。その結果、ボールがカム面から一旦離れ、その後にボールがカム面に衝突することとなり、振動及び騒音が大きくなる恐れがあった。
この発明は上記事情を背景としてなされたものであって、動作部材がカム面から離れることを抑制することの可能な動力伝達装置の制御装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため請求項1の発明は、相対回転可能に設けられた入力部材および出力部材と、この入力部材または出力部材のいずれか一方の部材に形成されたカム面と、他方の部材に設けられ、カム面に接触して動作する動作部材と、この動作部材の動作によりオイル吸入経路からオイルが吸入される油室とを有しており、前記油室の圧力に応じて前記動作部材が前記カム面に押し付けられて、前記カム面と前記動作部材との係合力に応じて、前記入力部材と前記出力部材との間で動力伝達をおこなうことの可能な動力伝達装置の制御装置において、前記オイル吸入経路とは別の経路を経由させて前記油室に流体を供給する流体供給機構が設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、相対回転可能に設けられた入力部材および出力部材と、この入力部材または出力部材のいずれか一方の部材に形成されたカム面と、他方の部材に設けられ、カム面に接触して半径方向に動作する動作部材と、この動作部材の動作によりオイル吸入経路からオイルが吸入される油室とを有しており、前記油室の圧力に応じて前記動作部材が前記カム面に押し付けられて、前記カム面と前記動作部材との係合力に応じて、前記入力部材と前記出力部材との間で動力伝達をおこなうことの可能な動力伝達装置の制御装置において、前記オイル吸入経路とは別の経路を経由させて前記油室に流体を供給する流体供給機構が設けられていることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記流体供給機構は、前記入力部材と前記出力部材との回転数差が大きい場合に、前記流体を前記油室に供給する構成を、更に有していることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの構成に加えて、前記入力部材および前記出力部材を含む動力伝達経路と、この動力伝達経路に対応して設けられたオイル必要部と、前記油室から吐出されたオイルを前記オイル必要部に供給するオイル供給油路とが設けられていることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1ないし3のいずれかの構成に加えて、前記入力部材のトルクが前記出力部材を経由して車輪に伝達されて車両の駆動力が発生するように構成されており、前記流体供給機構は、前記車両における要求駆動力が低い場合に、前記流体を前記油室に供給する構成を、更に有していることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの構成に加えて、前記入力部材および前記出力部材を含む動力伝達経路には、前記入力部材および前記出力部材とは別に回転部材が設けられており、前記流体には、前記回転部材の回転によって飛ばされたオイルが含まれることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、入力部材と出力部材とが相対回転すると、動作部材がカム面に沿って動作し、動作部材とカム面との係合力により、入力部材と出力部材との間で動力伝達がおこなわれる。また、動作部材がカム面に沿って動作する場合に、オイル吸入経路を経由して油室にオイルが吸入されるとともに、オイル吸入経路とは別の経路を経由して流体が油室に供給される。このため、油室の容積の拡大が阻害されにくくなり、例えば、入力部材と出力部材との回転数差が大きくなった場合でも、動作部材をカム面に摺接させやすくなる。したがって、動作部材がカム面から離れ、その後に動作部材がカム面に衝突して振動及び騒音を生じることを抑制できる。
請求項2の発明によれば、入力部材と出力部材とが相対回転すると、動作部材がカム面に沿って半径方向に動作し、動作部材とカム面との係合力により、入力部材と出力部材との間で動力伝達がおこなわれる。また、入力部材及び出力部材の半径方向に動作部材が動作する場合に、オイル吸入経路を経由して油室にオイルが吸入されるとともに、オイル吸入経路とは別の経路を経由して流体が油室に供給される。このため、油室の容積の拡大が阻害されにくくなり、例えば、入力部材と出力部材との回転数差が大きくなった場合でも、動作部材をカム面に摺接させやすくなる。したがって、動作部材がカム面から離れ、その後に動作部材がカム面に衝突して振動及び騒音を生じることを抑制できる。
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の効果を得られる他に、入力部材と出力部材との回転数差が大きい場合に、流体を油室に確実に供給することができる。
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、動作部材の動作によって油室から吐出されたオイルがオイル必要部に供給される。したがって、油室から吐出されたオイルを有効に利用できる。
請求項5の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、入力部材のトルクが出力部材を経由して車輪に伝達されて駆動力が発生するとともに、車両における要求駆動力が低い場合に、流体が油室に供給される。
請求項6の発明によれば、請求項1ないし5のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、回転部材の回転によって飛ばされたオイルが、別の経路を経由して油室に供給される。したがって、油室におけるオイルの吸入不足を抑制できる。
つぎに、この発明を具体例に基づいて説明する。この発明における動力伝達装置は、油室にオイルを吸入するとともに、油室の圧力に応じて動作部材とカム面との間で係合力を生じさせ、入力部材と出力部材との間でトルク伝達がおこなわれるように構成されている。以下、この動力伝達装置の実施例を説明する。
図2には、この発明の動力伝達装置を有する車両Veのパワートレーンおよび制御系統の一例が、模式的に示されている。まず、車両Veのパワートレーンについて説明すれば、動力源としてのエンジン1が設けられており、エンジントルクが、インプットシャフト2およびベルト式無段変速機3およびデファレンシャル4を経由して車輪(前輪)5に伝達される構成となっている。前記インプットシャフト2およびベルト式無段変速機3およびデファレンシャル4は、ケーシング60内に配置されている。
また、エンジン1のクランクシャフト6とインプットシャフト2とが回転軸線A1を中心として同軸上に配置されているとともに、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間にラジアルピストンポンプ(RPP)7が設けられている。このラジアルピストンポンプ7の構成例を図3および図4に基づいて説明する。図3は、回転軸線A1を含む平面における断面図であり、図4は、回転軸線A1と直角な平面における断面図である。このラジアルピストンポンプ7は、クランクシャフト6に設けられたインナーレース8と、インプットシャフト2に設けられたアウターレース9とを有している。
まず、インナーレース8はクランクシャフト6におけるインプットシャフト2側の端部に形成されており、インナーレース8は、回転軸線A1を中心とする円板形状を有している。また、インナーレース8には、円周方向に複数のシリンダ10が形成されている。各シリンダ10は、インナーレース8の外周面に開口された略円筒形状の凹部であり、図3に示すように、各シリンダ10の軸線B1と、回転軸線A1とが略直交する構成となっている。さらに、図1に示すように、軸線B1の延長上に回転軸線A1が位置する。
そして、各シリンダ10内にはピストン11が各々配置されており、各ピストン11は軸線B1方向に往復移動自在に構成されている。つまり、各ピストン11は、インナーレース8の半径方向に移動可能である。また各ピストン11における外側の端面に凹部12が形成されている。この凹部12により転動体13が保持されている。この転動体13としては、ボールまたはローラを用いることが可能である。一方、シリンダ10の奥端面10Aとピストン11との間には油室14が形成されている。この油室14には、金属製の圧縮コイルばね15が設けられており、ピストン11をシリンダ10の外に押し出す向きの力が、圧縮コイルばね15からピストン11に加えられる。
一方、クランクシャフト6には回転軸線方向に吸入油路16および吐出油路17が設けられているとともに、クランクシャフト6の外周面には、2条の環状溝16A,17Aが形成されている。この環状溝16A,17Aは回転軸線方向の異なる位置に配置されている。そして、吸入油路16と環状溝16Aとが接続され、吐出油路17と環状溝17Aとが接続されている。ところで、ケーシング60内には、前記回転軸線A1の半径方向に延ばされた隔壁61が設けられており、この隔壁61には軸孔20が形成されている。この隔壁61は、回転軸線方向においてエンジン1とラジアルピストンポンプ7との間に配置されており、隔壁61には、吸入油路18および吐出油路19が設けられている。また隔壁61は、回転軸線A1に交差する方向に延ばされており、隔壁61の軸孔20内にクランクシャフト6が回転可能に配置されている。吸入油路18および吐出油路19は軸孔20に開口されており、吸入油路18と環状溝16Aとが接続され、吐出油路19と環状溝17Aとが接続されている。
このように、クランクシャフト6が回転している場合、または停止している場合のいずれにおいても、吸入油路16と吸入油路18とが連通され、吐出油路17と吐出油路19とが連通される構成となっている。さらに、吸入油路18および吐出油路19および環状溝16A,17Aのオイルが軸孔20から漏れることを防止する密封装置20Aが設けられている。さらに、ケーシング60の下部には開口部が形成されており、その開口部にはオイルパン21が取り付けられている。そして、オイルパン21から吸入油路18に至る経路に吸入制御弁70が設けられている。この吸入制御弁70は、油室14に吸入されるオイル量を制御する流量制御弁である。
この吸入制御弁70の構成例を、図1に基づいて説明する。吸入制御弁70は、軸線方向に往復移動可能なスプール71と、スプール71に図1で上向きの力を与える弾性部材72と、通電により磁気吸引力を生じるソレノイド73と、磁気吸引力により動作するプランジャ74とを有している。弾性部材72として、例えば金属製の圧縮コイルばねを用いることが可能である。このソレノイド73に電力を供給すると磁気吸引力が生じて、プランジャ74を弾性部材72の力とは逆向きに付勢する。さらに、スプール71にはランド75,76が形成されているとともに、吸入制御弁70は、吸入ポート77,80,81および吐出ポート78を有している。吸入ポート77は油路79を経由してオイルパン21に接続され、吐出ポート78は吸入油路18に接続されている。また、吸入ポート80には油路82が接続されている。この油路82は、ケーシング60の壁面に開口されているとともに、ケーシング60の内部の上方壁面にはガイド83が設けられいる。
このガイド83は回転部材により空中に飛ばされたオイルを、ケーシング60の内面に沿って案内させるためのものであり、このガイド83は、ケーシング60の内面に連続するように湾曲された案内面を有している。また、ガイド83は、ケーシング60内に設けられた回転部材、例えば、プライマリプーリ46や各種のギヤ、例えば、デファレンシャル4のリングギヤ4Aなどの外周端よりも上方に配置されている。さらに、ガイド83は、インプットシャフト2の軸線方向で、これらの回転部材と略同じ位置に配置されている。一方、吸入ポート81には吸気路84が接続されている。この吸気路84の端部が大気中に開放されている。上記スプール71の動作方向において、吸入ポート77と吸入ポート81との間に吸入ポート80が配置され、吸入ポート80と吸入ポート77との間に吐出ポート78が配置されている。そして、弾性部材72からスプール71に加えられる力と、プランジャ74からスプール71に加えられる力との対応関係により、スプール71の動作が制御される。このスプール71の動作により、吐出ポート78に対する各吸入ポート77,80,81の連通・遮断が制御される。
さらに、吸入油路16と油室14とを連通する油路22が設けられ、吐出油路17と油室14とを連通する油路23が設けられており、油路22には逆止弁24が設けられており、油路23には逆止弁25が設けられている。逆止弁24は、吸入油路16のオイルが油室14に吸入されることを許容し、油室14のオイルが吸入油路16に逆流することを防止する構成を有している。これに対して、逆止弁25は、油室14のオイルが吐出油路17に吐出されることを許容し、吐出油路17のオイルが油室14に逆流することを防止する構成を有している。前記吐出油路19と油圧制御装置26とを接続する油路には、吐出制御弁27が設けられている。吐出制御弁27はソレノイドバルブなどにより構成されており、吐出油路19が吐出制御弁27の入口ポートに接続され、吐出制御弁27の出口ポートには油路34が接続されている。この油路34が油圧制御装置26に接続されている。したがって、吐出制御弁27に対する通電電流を制御することにより、ラジアルピストンポンプ7の油室14から、油路34に吐出されるオイルの流量が制御される。このように、吐出制御弁27は、油室14から吐出されるオイルの流量を制御する流量制御弁である。
前記アウターレース9は、インプットシャフト2に形成された外向きフランジ35と、外向きフランジ35に連続する円筒部35Aとを有している。円筒部35Aはインナーレース8の外側を取り囲むように配置されているとともに、円筒部35Aの内周にはカム面36が形成されている。このカム面36は回転軸線A1を中心とする環状に構成されているとともに、回転軸線A1と直交する平面において略波形に構成されている。具体的には、半径方向の内側に向けて突出するように湾曲した凸部36Aが複数設けられ、半径方向の外側に向けて突出するように湾曲した凹部36Bが複数設けられている。さらに、アウターレース9の円周方向において、凸部36Aと凹部36Bとが交互に配置され、かつ、連続して配置されている。そして、このカム面36と、インナーレース8に取り付けられた転動体13とが接触されているとともに、転動体13はカム面36に沿って転動可能である。図3及び図4においては、転動体13としてボールを用いた場合が示されているが、転動体13として円柱形状のローラを用いることも可能である。
前記の図2に示すエンジン1は、燃料の燃焼による熱エネルギを運動エネルギに変換する動力装置であり、エンジン1としては、例えば外燃機関および内燃機関が挙げられる。この実施例では、エンジン1として内燃機関、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを用いる場合について説明する。このエンジン1の出力を制御する装置として、吸入空気量制御装置(電子スロットルバルブ)、燃料噴射量制御装置などが設けられている。
前記インプットシャフト2からベルト式無段変速機3に至る経路には、前後進切換装置37が設けられている。前後進切換装置37は、エンジン1の回転方向が一方向に限られていることに伴って採用されている機構であって、インプットシャフト2の回転方向に対するプライマリシャフト38の回転方向を切り換える機能を備えている。図2に示す例では、前後進切換装置37としてダブルピニオン型の遊星歯車機構が採用されている。すなわち、インプットシャフト2と一体回転するサンギヤ39と、サンギヤ39と同心状に配置されたリングギヤ40と、サンギヤ39に噛合したピニオンギヤ41と、ピニオンギヤ41およびリングギヤ40に噛合した他のピニオンギヤ42とが設けられ、ピニオンギヤ41,42がキャリヤ43によって、自転かつ公転自在に保持されている。このキャリヤ43とプライマリシャフト38とが一体回転するように連結されている。
さらに、インプットシャフト2と、キャリヤ43とを選択的に連結・解放する前進用クラッチ44が設けられている。またリングギヤ40を選択的に固定することにより、インプットシャフト2の回転方向に対するプライマリシャフト38の回転方向を反転する後進用ブレーキ45が設けられている。そして、前進用クラッチ44の係合圧を制御する油圧室44Aが設けられ、後進用ブレーキ45の係合圧を制御する油圧室45Aが設けられている。これらの油圧室44A,45Aの油圧は、油圧制御装置26により制御される構成となっている。
前記ベルト式無段変速機3は、互いに平行に配置されたプライマリプーリ46とセカンダリプーリ47とを有するとともに、プライマリプーリ46およびセカンダリプーリ47にはベルト48が巻き掛けられている。また、プライマリプーリ46からベルト48に加えられる挟圧力を制御する油圧サーボ機構49と、セカンダリプーリ47からベルト48に加えられる挟圧力を制御する油圧サーボ機構50とが設けられている。この油圧サーボ機構49の油圧室49A、および油圧サーボ機構50の油圧室50Aに供給される圧油の流量および油圧が、油圧制御装置26により制御される構成となっている。
前記プライマリプーリ46はプライマリシャフト38と一体回転するように構成され、セカンダリプーリ47はセカンダリシャフト51と一体回転するように構成されている。プライマリシャフト38とセカンダリシャフト51とは相互に並行に配置され、セカンダリシャフト51のトルクが、伝動機構52およびデファレンシャル4を経由して車輪5に伝達される構成となっている。伝動機構52は、例えば、歯車伝動機構により構成されている。このように、エンジン1から車輪5に至る動力伝達経路G1に、クランクシャフト6、ラジアルピストンポンプ7、インプットシャフト2、前後進切換装置37、ベルト式無段変速機3、伝動機構52、デファレンシャル4が配置されている。
つぎに、図2に示された車両Veの制御系統を説明すれば、車両Veの全体を制御するコントローラとしての電子制御装置53が設けられている。この電子制御装置53には、イグニッションスイッチ、加速要求(例えば、アクセルペダルの操作状態)を検知するセンサ、制動要求(例えば、ブレーキペダルの操作状態)を検知するセンサ、エンジン回転数を検知するセンサ、スロットル開度を検知するセンサ、インプットシャフト2の回転数を検知するセンサ、プライマリシャフト38の回転数を検知するセンサ、セカンダリシャフト51の回転数を検知するセンサ、シフトポジションを検知するセンサ、車速を検知するセンサなどの信号が入力される。
これに対して、電子制御装置53からは、油圧制御装置26を制御する信号、吐出制御弁27および吸入制御弁70を制御する信号、エンジン1を制御する信号などが出力される。また、油圧制御装置26から潤滑系統80にオイルが供給されるように構成されている。ここで、潤滑系統80としては、例えば、前後進切換装置37を構成するギヤの噛み合い部分、伝動機構52を構成するギヤの噛み合い部分、ベルト式無段変速機3におけるプーリとベルト48との接触部分などが挙げられる。
まず、エンジン1が運転されると、クランクシャフト6から、ラジアルピストンポンプ7を経由してインプットシャフト2に伝達されるトルクを制御可能である。なお、ラジアルピストンポンプ7を介在させたトルクの伝達原理は後述する。ここで、クランクシャフト6のトルクがインプットシャフト2に伝達され、かつ、シフトポジションとしてドライブポジションが選択された場合は、前後進切換装置37において、前進用クラッチ44が係合され、かつ後進用ブレーキ45が解放される。その結果、インプットシャフト2およびキャリヤ43が一体回転可能に連結されて、インプットシャフト2のトルクがプライマリシャフト38に伝達される。この場合、インプットシャフト2の回転方向とプライマリシャフト38の回転方向とが同じになる。
これに対して、シフトポジションとしてリバースポジションが選択された場合は、後進用ブレーキ45が係合されて、前進用クラッチ44が解放される。その結果、リングギヤ40が反力要素となり、インプットシャフト2のトルクがプライマリシャフト38に伝達される。この場合、プライマリシャフト38の回転方向は、インプットシャフト2の回転方向とは逆になる。このように、ドライブポジションまたはリバースポジションが選択された場合は、前後進切換装置37が、動力伝達をおこなうことが可能な状態となる。これに対して、ニュートラルポジションまたはパーキングポジションが選択された場合は、前進用クラッチ44および後進用ブレーキ45が、共に解放されて、前後進切換装置37が、動力伝達をおこなうことが不可能な状態となる。
一方、ベルト式無段変速機3においては、油圧サーボ機構49,50における圧油の供給状態が油圧制御装置26により制御される。具体的には、油圧サーボ機構49に供給される圧油の流量が制御されて、プライマリプーリ46におけるベルト48の巻き掛け半径、およびセカンダリプーリ47におけるベルト48の巻き掛け半径が制御され、ベルト式無段変速機3の変速比、つまり、プライマリシャフト38の回転速度と、セカンダリシャフト51の回転速度との比を無段階(連続的)に制御することができる。また、この変速制御に加えて、セカンダリプーリ47からベルト48に加える挟圧力が調整されて、ベルト式無段変速機3のトルク容量が制御される。
例えば、車速および加速要求(例えばアクセル開度)などに基づいて、車両における必要駆動力が判断され、その判断結果に基づいて目標エンジン回転数および目標エンジントルクが求められる。具体的には、必要駆動力に応じて、目標エンジン出力が求められ、その目標エンジン出力を最適燃費で達成する目標エンジン回転数が求められ、その目標エンジン回転数に応じて目標エンジントルクが求められる。そして、実エンジン回転数を目標エンジン回転数に近づけるように、ベルト式無段変速機3の変速比が制御される。また、ベルト式無段変速機3の変速比の制御と並行して、電子スロットルバルブの制御などにより、実エンジントルクが目標エンジントルクに近づけられる。上記のようにして、インプットシャフト2のトルクが、前後進切換装置37およびベルト式無段変速機3を経由して伝動機構52に伝達されるとともに、伝動機構52のトルクがデファレンシャル4を経由して車輪5に伝達される。なお、エンジン1から車輪5に至る経路に配置されている回転部材、例えば、プライマリプーリ46やリングギヤ4Aが回転すると、その回転部材がオイルパン21のオイルに浸漬されている場合は、オイルが撹拌されて空中に飛ばされる。また、回転部材がオイルパン21のオイルに浸漬していない場合でも、回転部材に付着しているオイルが遠心力によりはじき飛ばされる。このように、回転部材の回転によってはじき飛ばされたオイルは、ガイド83に沿ってケーシング60の壁面に至るとともに、ケーシング60の壁面から油路82に流れ込む。
つぎに、インプットシャフト2とクランクシャフト6との間におけるトルクの伝達原理およびトルク制御方法、言い換えれば、ラジアルピストンポンプ7におけるトルクの伝達原理、およびラジアルピストンポンプ7における伝達トルクの制御方法を説明し、かつ、ラジアルピストンポンプ7のオイル吸入量およびオイル吐出量の制御について説明する。エンジン1が運転されると、インナーレース8を、図4で時計方向に回転させる向きのトルクが発生する。この実施例においては、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間で伝達されるトルクの容量、ラジアルピストンポンプ7におけるオイル吸入量およびオイル吐出量が、以下のようにして制御される。まず、インナーレース8に取り付けられているピストン11および転動体13には、油室14の油圧および圧縮コイルばね15の付勢力に応じた力が加えられ、転動体13がカム面36に接触される。油室14内が低圧である場合は、インナーレース8とアウターレース9とが相対回転し、転動体13がアウターレース9のカム面36に沿って転動する。すると、転動体13およびピストン11が、シリンダ10内を軸線B1方向に往復移動する。ピストン11の往復動により圧縮コイルばね15が伸縮する。
ピストン11がシリンダ10内を往復移動することにより、油室14の容積が変化する。すなわち、ピストン11が、軸線B1に沿って外側に動作すると油室14の容積が拡大され、ピストン11が、軸線B1に沿って内側に動作すると油室14の容積が縮小される。油室14の容積が拡大される場合は、油室14が負圧となる。すると、逆止弁24が開いて、オイルパン21のオイルが、吸入油路18および吸入油路16を経由して油室14に吸引される。この場合、逆止弁25が閉じられるため、吐出油路17のオイルが油室14に逆流することはない。
ついで、インナーレース8とアウターレース9との相対回転に連動して、ピストン11が内側に動作すると、油室14の容積が縮小されて、その内部の油圧が上昇する。そして、油室14の油圧が吸入油路16の油圧よりも高圧となった場合は、逆止弁24が閉じられる。その結果、吸入油路16のオイルが油室14に吸入されなくなるとともに、油室14のオイルが吸入油路16に逆流することが防止される。一方、油室14の容積の縮小により、その内部の油圧が吐出油路17の油圧よりも高圧になると、逆止弁25が開く。その結果、油室14のオイルは、吐出油路17および吐出油路19を経由して、吐出制御弁27に供給される。以後、ピストン11が往復運動を繰り返すことにより、ラジアルピストンポンプ7へのオイルの吸入と、ラジアルピストンポンプ7からのオイルの吐出とが、交互に繰り返される。
この実施例においては、ラジアルピストンポンプ7に吸入されるオイル量およびラジアルピストンポンプ7から吐出されるオイル量を、つぎのようにして制御することが可能である。まず、ラジアルピストンポンプ7の油室14に吸入されるオイル量を制御する場合を説明する。前記吸入制御弁70において、スプール71が上向きに動作されて、吸入ポート77と吐出ポート78との接続面積が拡大すると、オイルパン21から吸入制御弁70を経由して油室14に吸入されるオイルの流量が増加する。基本的には、吐出ポート78の開口面積の制御により、油室14に吸入されるオイル量が制御される。なお、油室14に吸入されるオイル量の他の制御については後述する。一方、吐出制御弁27においては、ラジアルピストンポンプ7におけるオイル吐出量、具体的には、ラジアルピストンポンプ7の油室14から油圧制御装置26に供給されるオイル量が制御される。
このようにして、油室14のオイル量および油圧を調整可能であり、油室14の油圧は、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間で伝達されるトルクに影響を及ぼす。この実施例においては、転動体13とカム面36との係合力により、インナーレース8とアウターレース9との間で動力伝達がおこなわれるため、油室14における油圧に応じて、伝達されるトルクが変化する。具体的には、油室14の油圧が低下して、転動体13とカム面36との係合力すると、伝達されるトルクが低下する。一方、油室14の油圧が上昇して、転動体13とカム面36との係合力が高まると、伝達されるトルクが増加する。なお、転動体13とカム面36との係合力が所定値以上に高まると、インナーレース8とアウターレース9とが一体回転する。
ところで、クランクシャフト6とインプットシャフト2との回転数差が所定値以上になった場合は、油室14におけるオイルの吸入不足が生じて油室14が負圧となり、ピストン11の動作抵抗が高まる可能性がある。すると、ピストン11が図1で上昇するべき時に、転動体13がカム面36から離れて、その後にカム面36に接触することとなり、その衝撃で騒音・振動が生じる可能性がある。このような不具合を未然に防止するための制御例を、図5のフローチャートに基づいて説明する。まず、吸入制御弁70の吸入ポート77と吐出ポート78とが連通されている場合において、ラジアルピストンポンプ7から、油圧制御装置26を経由させて、油圧室49A,50Aおよび潤滑系統80に供給するべき必要オイル量が確保されているか否かが判断される(ステップS1)。ステップS1で肯定的に判断された場合は、クランクシャフト6とインプットシャフト2との回転数差が所定値以上になったか否かが判断される(ステップS2)。このステップS2において、所定値は、前述した不具合が発生すると考えられる値であり、例えば実験的に求めて電子制御装置53に記憶されている。このステップS2で肯定的に判断された場合は、油室14に吸入されるオイル量が不足する可能性があるため、吐出ポート78に吸入ポート77を接続した状態を維持しつつ、図1でスプール71をさらに上側に動作させて、吐出ポート78に吸入ポート78,80を共に接続させる制御を実行し(ステップS3)、リターンする。
前述のように、ケーシング60の壁面を伝わったオイルが油路82に導入されており、吸入ポート80が吐出ポート78に接続されると、油路82に存在するオイルの動圧により、そのオイルが吸入制御弁70を経由して油室14に供給される。このようにして、油室14におけるオイルの吸入量不足が抑制され、油室14が負圧になることを回避できる。したがって、「転動体13がカム面36から離れて、その後に転動体13がカム面36に衝突し、その衝撃で騒音・振動が生じる」という不具合を回避できる。また、ステップS3においては、吐出ポート78に吸入ポート77,80を接続した状態を維持しつつ、図1でスプール71をさらに上向きに動作させて、吐出ポート78に吸入ポート81を接続する処理を実行することも可能である。吐出ポート78に吸入ポート81が接続された場合は、空気が油室14に吸入されるため、油室14が負圧になることを、一層確実に抑制できる。なお、吸入ポート81を吐出ポート78に接続する制御は、クランクシャフト6とインプットシャフト2との回転数差が第2の所定値以上になった場合、または、ドライバーによる急制動操作(ブレーキペダルの踏力が所定値以上)が発生した場合に実行することも可能である。ここで、第2の所定値とは、ステップS2の判断に用いる「所定値」よりも大きい値である。
一方、ステップS2で否定的に判断された場合は、前述した不具合が発生する可能性が低いため、スプール71の動作範囲が通常となるように、吸入制御弁70が制御され(ステップS4)、この制御ルーチンを終了する。このステップS4の処理では、吸入ポート77が吐出ポート78に接続され、吸入ポート80,81は吐出ポート78に接続されない。また、ステップS1で否定的に判断された場合は、この制御ルーチンを終了する。その理由は、オイル必要部でオイル不足が生じている場合に、空気が油室14に吸入されて、その空気がオイル必要部に供給されることを回避するためである。
つぎに、吸入制御弁70の他の制御例を、図6のフローチャートに基づいて説明する。この図6のフローチャートにおいては、図5のステップS2の処理に代えて、ステップS10の処理が実行される他は、図5のフローチャートと同じである。すなわち、ステップS1で肯定的に判断された場合は、車両Veにおける駆動力要求が所定値以下であるか否か、言い換えれば、所定車速以下で走行する(クリープ走行)要求があるか否かが判断される(ステップS10)。例えば、停止している車両Veが発進する場合は、このステップS10で肯定的に判断されてステップS3に進み、吸入ポート81を吐出ポート78に接続する制御を実行し、リターンする。車両Veの発進時にステップS3の処理を実行すると、油室14に吸入されるオイルに空気が混入されるが、空気はオイルよりも漏れやすく、ピストン11が図2で下降する場合における油室14の圧力上昇が抑制される。また、空気はオイルよりも圧縮率が大きいため、油室14の容積が縮小される場合に油室14における圧力の上昇が抑制される。このため、転動体13とカム面36との係合力の増加が抑制されて、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間で伝達されるトルクの増加を抑制できる。したがって、車両Veが発進する場合に、伝達トルクが急激に増加することが抑制されて、スムースな発進をおこなうことが可能となる。なお、ステップS10で否定的に判断された場合は、ステップS4に進む。
また、図1の構成においては、単数の吸入制御弁70が、油室14にオイル及び空気を吸入させる機能を兼備しているため、バルブの数を増加することなく、油室14に空気を供給することができる。さらに、ステップS3に進んだ場合は必要以上のオイルを油室14に吸入および吐出することがないため、ラジアルピストンポンプ7の駆動による動力損失の増加を抑制できる。さらに、油路82に存在するオイルの動圧を利用して、そのオイルを油室14に供給できるため、ストレスなく多量のオイルを処理でき、大きな伝達トルクまで対応できる。
つぎに、ラジアルピストンポンプ7を用いた他の実施例を、図7および図8に基づいて説明する。この図7においては、クランクシャフト6にダンパ機構100を介してインプットシャフト2が連結されている。クランクシャフト6とインプットシャフト2とが同軸上に配置されている。インプットシャフト2は軸受101により回転可能に保持されている。そして、インプットシャフト2の軸線方向において、ラジアルピストンポンプ7とダンパ機構100との間に、ベルト式無段変速機3が配置されている。ベルト式無段変速機3は、中空のプライマリシャフト38を有しており、プライマリシャフト38が、インプットシャフト2の外周に相対回転可能に取り付けられている。ラジアルピストンポンプ7のインナーレース8は、インプットシャフト2に設けられており、アウターレース9は、インナーレース8の外側を取り囲むように配置されている。
また、アウターレース9には円筒部102に連続する内向きフランジ103が形成されており、円筒部102の内周面には前記カム面36が形成されている。また、内向きフランジ103の内周端にはスリーブ104が連続されている。なお、アウターレース9が半径方向に移動することを規制する軸受(図示せず)などが設けられている。さらに、ケーシング60の端部を形成するリヤカバー105にはスリーブ106が形成されており、スリーブ106の内周に軸受101が取り付けられている。また、スリーブ106の外側にスリーブ104が配置されている。さらにリヤカバー105に前記油路79が形成されている。そして、リヤカバー105には、図1に示された構成の吸入制御弁70が設けられている。
一方、インナーレース8には、ラジアルピストンポンプ7の油室14に連通する吸入口109が形成されている。この吸入口109はインナーレース8を軸線方向に貫通して形成されている。この実施例2においては、吸入油路18がリヤカバー105に設けられている。そして、吸入口109は吸入油路18に接続されており、吸入口109には逆止弁110が設けられている。逆止弁110は、吸入油路18のオイルが油室14に吸入されることを許容し、油室14のオイルが油路18に逆流することを防止する構成を有している。さらに、インプットシャフト2には吐出油路111が軸線方向に形成されており、この吐出油路111と油室14とを接続する吐出口112が設けられている。吐出口112には逆止弁113が設けられており、逆止弁113は、油室14のオイルが吐出油路111に吐出されることを許容し、吐出油路111のオイルが油室14に逆流することを防止する構成を有している。さらに、アウターレース9の円筒部102には、ベルト式無段変速機3のプライマリシャフト38が動力伝達可能に接続されている。なお、クランクシャフト6からデファレンシャル4に至る経路の途中に、回転部材の回転方向を正逆に切り換える前後進切換装置(図示せず)が設けられている。
この図7および図8に示されたラジアルピストンポンプ7においても、インナーレース8とアウターレース9とが相対回転すると、転動体13がカム面36に沿って転動し、実施例1と同様の原理により、油室14へのオイルの吸入および吐出がおこなわれ、インプットシャフト2とプライマリシャフト38との間で動力伝達がおこなわれる。そして、この実施例2に示す構成においても、図5および図6の制御を実行可能であり、実施例1と同様の効果を得られる。また、この実施例2においても、ケーシング60の内部にガイド部83が設けられているため、回転体により掻き上げられたオイルをガイド部83により案内し、その動圧によりオイルを吸入油路に導くことができる。
ここで、前述した実施例1で説明した構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、クランクシャフト6およびインナーレース8が、この発明の入力部材に相当し、インプットシャフト2およびアウターレース9が、この発明の出力部材に相当し、ピストン11および転動体13が、この発明における動作部材に相当し、カム面36が、この発明のカム面に相当し、油室14が、この発明の油室に相当し、油路79および吸入ポート77が、この発明における「オイル吸入経路」に相当し、油路82および吸入ポート80,81および吸気路84が、この発明における「別の経路(異なる経路)」に相当し、吸入ポート80を経由して油室14に吸入されるオイル、および吸入ポート81を経由して油室14に吸入される空気が、この発明における「流体」に相当し、油路82および吸入ポート80,81および吸気路84および吸入制御弁70および電子制御装置53が、この発明における「流体供給機構」に相当する。
また、油圧室49A,50Aおよび潤滑系統80が、この発明における「オイル必要部」に相当する。つまり、この発明における「オイル必要部」とは、そのオイルを作動油として用いたり、潤滑および冷却用に用いる機構もしくは部品を意味している。さらに、「動力伝達経路に対応して設けられたオイル必要部」とは、動力がオイル必要部を経由して伝達される構成と、動力がオイル必要部を経由することなく伝達される構成とがあることを意味する。ここで、動力がオイル必要部を経由して伝達される構成とは、潤滑系統80の一例である「ベルト48とプライマリプーリ46およびセカンダリプーリ47との接触部分」に相当する。また、動力がオイル必要部を経由することなく伝達される構成とは、「油圧室49A,50A」に相当する。また、図6のフローチャートのステップS10で否定的に判断される場合が、この発明における「車両における要求駆動力が低い場合」に相当し、プライマリプーリ46およびリングギヤ4Aが、この発明における「回転部材」に相当する。また、実施例2においては、インプットシャフト2およびインナーレース8が、この発明における入力部材に相当し、アウターレース9およびプライマリシャフト38が、この発明における出力部材に相当する。
なお、実施例1および実施例2においては、吸入制御弁70に吸入ポート80,81が両方設けられているが、吸入ポート80または吸入ポート81のいずれか一方を備えた吸入制御弁を用いることも可能である。なお、図6の制御例は、吸入ポート81を有する吸入制御弁70に適用される。また、実施例1においては、クランクシャフト6にインナーレース8が設けられており、インプットシャフト2にアウターレース9が設けられているが、インプットシャフト2にインナーレース8を設け、クランクシャフト6にアウターレース9を設けた構成の動力伝達装置(図示せず)も、この発明の実施例に含まれる。この場合は、クランクシャフト6およびアウターレース9が、この発明における入力部材に相当し、インプットシャフト2およびインナーレース8が、この発明における出力部材に相当する。さらに、実施例2においては、インプットシャフト2にインナーレース8が設けられており、プライマリシャフト38にアウターレース9が設けられているが、インプットシャフト2にアウターレース9を設け、プライマリシャフト38にインナーレース8を設けた構成の動力伝達装置(図示せず)も、この発明の実施例に含まれる。この場合は、インプットシャフト2およびアウターレース9が、この発明における入力部材に相当し、プライマリシャフト38およびインナーレース8が、この発明における出力部材に相当する。
つぎに、図2および図3および図4および図7および図8に示されたオイルポンプ7に代えて用いることの可能な他のオイルポンプの構成例を、図9に基づいて説明する。図9に示されたオイルポンプ132は、軸線C1を中心として同軸上に配置された第1シャフト133および第2シャフト134を有している。第1シャフト133の端部には円板状のボス部135が形成されており、ボス部135であって、第2シャフト134側の端面に開口するシリンダ136が設けられている。このシリンダ136は、軸線C1を中心とする同一円周上に複数設けられている。複数のシリンダ36は第1シャフト133の円周方向に略等間隔で配置されている。
そして、各シリンダ136内にはピストン137が各々配置されており、各ピストン137は各シリンダ136内に、第1シャフト133の回転軸線方向に往復動自在に配置されている。また各ピストン133の先端には転動体138が取り付けられている。この転動体138としては、ボールまたはローラを用いることが可能である。一方、シリンダ136内には油室139が形成されているとともに、この油室139には、金属製の圧縮コイルばね140が設けられている。そして、ピストン137をシリンダ136の外に押し出す向き、つまり、ピストン137を第2シャフト134に近づける向きのスラスト力が、圧縮コイルばね140からピストン137に加えられる。さらに、第1シャフト133には吸入油路(図示せず)および吐出油路(図示せず)が設けられており、この吸入油路および吐出油路が各油室139にそれぞれ接続されている。さらに、吸入油路から油室139に至る経路には逆止弁(図示せず)が設けられているとともに、油室139から吐出油路に至る経路にも逆止弁(図示せず)が設けられている。逆止弁の構成は、オイルポンプ7の構成で説明した逆止弁と同じである。
一方、前記第2シャフト134には、軸線C1を中心とする環状のカム面141が形成されている。このカム面141は略波形に構成されている。具体的には、第2シャフト134の軸線方向で第1シャフト133側に向けて突出するように湾曲した山部142と、第2シャフト134の軸線方向で変速機3側に向けて窪むように湾曲した谷部143とが、円周方向で交互に、かつ、連続して配置されている。すなわち、カム面141であって、軸線C1と直角な平面(図示せず)よりも第1シャフト133側に位置する部分が山部142であり、軸線C1と直角な平面よりも変速機3側に位置する部分が谷部143である。そして、このカム面142と転動体138とが接触されているとともに、転動体138はカム面142に沿って円周方向に転動可能である。そして、図2ないし図3のオイルポンプ7に代えて、オイルポンプ132を用いる場合、第1シャフト133をクランクシャフト6に連結し、第2シャフト134をインプットシャフト2に連結することが可能である。これに対して、図7および図8のオイルポンプ7に代えて、オイルポンプ132を用いる場合、第1シャフト133をインプットシャフト2に連結し、第2シャフト134をプライマリシャフト38に連結することが可能である。
上記のように構成されたオイルポンプ132を用いた場合において、動力源1のトルクが第1シャフト133に伝達されると、以下のような原理により、第2シャフト134にトルクが伝達される。例えば、第1シャフト133と第2シャフト134とが相対回転すると、転動体138がカム面141に沿って転動する。より具体的には、転動体138が山部142に乗り上げ、ついで、山部142を降りて谷部143に至る。このようにして、ピストン137が、シリンダ136内を軸線C1と平行に往復移動する。そして、ピストン137が往復移動することにともない油室139にオイルが吸入され、かつ、油室139からオイルが吐出される。なお、油室139に吸入されるオイル量および油室139から吐出されるオイル量が制御されて、油室139の油圧が制御される。そして、前述したオイルポンプ7に代えて、オイルポンプ132を用いる場合も、油室139に吸入されるオイル量および空気量を、吸入制御弁70により制御することにより、油室139の油圧を制御することが可能である。例えば、油室139の油圧が上昇した場合は、転動体138とカム面141との係合力、より具体的には、転動体138と山部142との係合力が高まる。したがって、第1シャフト133と第2シャフト134との間で伝達されるトルクが増加し、第1シャフト133と第2シャフト134との回転数差が少なくなる。さらに、油室139の油圧が所定油圧以上まで上昇した場合は、第1シャフト133と第2シャフト134とが一体回転する。
これに対して、油室139の油圧が低下した場合は、転動体138とカム面141との係合力、より具体的には、転動体138と山部142との係合力が弱まる。したがって、第1シャフト133と第2シャフト134との間で伝達されるトルクが低下し、第1シャフト133と第2シャフト134との回転数差が多くなる。なお、油室139の油圧が所定油圧以下に低下された場合は、第1シャフト133と第2シャフト134との間でトルクが伝達されなくなる。以上のように、動力源1のトルクがオイルポンプ132を経由して変速機3に伝達される。この図9に示されたオイルポンプ132を、図2ないし図4に示されたオイルポンプ7に代えて用いる場合は、第1シャフト133をインプットシャフト2に連結し、第2シャフト134をクランクシャフト6に連結することも可能である。さらに、図7および図8のオイルポンプ7に代えて、オイルポンプ132を用いる場合、第1シャフト133をプライマリシャフト38に連結し、第2シャフト134をインプットシャフト2に連結することも可能である。そして、図9のオイルポンプ132を用いる場合も、図5および図6の制御例を実行可能である。
ここで、図9に示された構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、第1シャフト133およびボス部135が入力部材となる場合は、第2シャフト134が出力部材となり、第1シャフト133およびボス部135が出力部材となる場合は、第2シャフト134が入力部材となる。また、カム面141が、この発明のカム面に相当し、ピストン137および転動体138が、この発明の動作部材に相当し、油室139が、この発明の油室に相当する。
さらに、この発明において、動力源から車輪に至る動力の伝達経路において、上流側に配置されている回転部材が「入力部材」であり、下流側に配置されている回転部材が「出力部材」である。さらに、この発明において、入力部材および出力部材は、動力が伝達されて回転する部材であり、例えば、軸、回転メンバ、各種のギヤ、コネクティングドラム、遊星歯車機構のキャリヤなどの構成要素が含まれる。また、油室に供給される流体は、気体または液体のいずれでもよく、「オイル吸入経路」を経由して油室に供給されるオイルと、「流体」とを比べた場合、機械的特性、圧縮率、粘度などの特性が同じでもよいし、異なっていてもよい。また、動力源は、車輪に動力を伝達することの可能な動力装置であればよく、例えば、動力源として、電気エネルギを運動エネルギに変換するモータ・ジェネレータを用いた車両にも、この発明を適用可能である。さらに、動力源として、エンジンおよびモータ・ジェネレータの両方を用いた車両、すなわち、ハイブリッド車にも、この発明を適用可能である。
この発明の動力伝達装置に用いる流体供給機構を示す概念図である。 この発明の動力伝達装置を有する車両およびその制御系統の実施例1を示す概念図である。 図2に示されたオイルポンプの構成例を示す断面図である。 図2に示されたオイルポンプの構成例を示す断面図である。 図2の車両で実行可能な制御例を示すフローチャートである。 図2の車両で実行可能な他の制御例を示すフローチャートである。 この発明の動力伝達装置を有する車両およびその制御系統の実施例2を示す概念図である。 図7に示されたラジアルピストンポンプの構成を示す断面図である。 この発明で用いるオイルポンプの他の構成例を示す断面図である。
符号の説明
2…インプットシャフト、 3…ベルト式無段変速機、 6…クランクシャフト、 8…インナーレース、 9…アウターレース、 11,137…ピストン、 13,138…転動体、 14,139…油室、 36,141…カム面、 38…プライマリシャフト、 46…プライマリプーリ、 49A,50A…油圧室、 53…電子制御装置、 70…吸入制御弁、 77,80,81…吸入ポート、 79,82…油路、 80…潤滑系統、 84…吸気路、 133…第1シャフト、 134…第2シャフト、 135…ボス部、 Ve…車両。

Claims (6)

  1. 相対回転可能に設けられた入力部材および出力部材と、この入力部材または出力部材のいずれか一方の部材に形成されたカム面と、他方の部材に設けられ、カム面に接触して動作する動作部材と、この動作部材の動作によりオイル吸入経路からオイルが吸入される油室とを有しており、前記油室の圧力に応じて前記動作部材が前記カム面に押し付けられて、前記カム面と前記動作部材との係合力に応じて、前記入力部材と前記出力部材との間で動力伝達をおこなうことの可能な動力伝達装置の制御装置において、
    前記オイル吸入経路とは別の経路を経由させて前記油室に流体を供給する流体供給機構が設けられていることを特徴とする動力伝達装置の制御装置。
  2. 相対回転可能に設けられた入力部材および出力部材と、この入力部材または出力部材のいずれか一方の部材に形成されたカム面と、他方の部材に設けられ、カム面に接触して半径方向に動作する動作部材と、この動作部材の動作によりオイル吸入経路からオイルが吸入される油室とを有しており、前記油室の圧力に応じて前記動作部材が前記カム面に押し付けられて、前記カム面と前記動作部材との係合力に応じて、前記入力部材と前記出力部材との間で動力伝達をおこなうことの可能な動力伝達装置の制御装置において、
    前記オイル吸入経路とは別の経路を経由させて前記油室に流体を供給する流体供給機構が設けられていることを特徴とする動力伝達装置の制御装置。
  3. 前記流体供給機構は、前記入力部材と前記出力部材との回転数差が大きい場合に、前記流体を前記油室に供給する構成を、更に有していることを特徴とする請求項1または2に記載の動力伝達装置の制御装置。
  4. 前記入力部材および前記出力部材を含む動力伝達経路と、この動力伝達経路に対応して設けられたオイル必要部と、前記油室から吐出されたオイルを前記オイル必要部に供給するオイル供給油路と
    が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の動力伝達装置の制御装置。
  5. 前記入力部材のトルクが前記出力部材を経由して車輪に伝達されて車両の駆動力が発生するように構成されており、前記流体供給機構は、前記車両における要求駆動力が低い場合に、前記流体を前記油室に供給する構成を、更に有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の動力伝達装置の制御装置。
  6. 前記入力部材および前記出力部材を含む動力伝達経路には、前記入力部材および前記出力部材とは別に回転部材が設けられており、前記流体には、前記回転部材の回転によって飛ばされたオイルが含まれることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の動力伝達装置の制御装置。
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