JP2006112460A - 動力伝達装置およびラジアルピストンポンプ - Google Patents

動力伝達装置およびラジアルピストンポンプ Download PDF

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広行 塩入
Hitoshi Nomasa
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Abstract

【課題】 動力源の出力側に、専用の伝動装置を設けずに済む動力伝達装置を提供する。
【解決手段】 第1の回転部材6と第2の回転部材2との相対回転に連動して駆動されるラジアルピストンポンプ7を有する動力伝達装置において、ラジアルピストンポンプ7は、第1の回転部材に取り付けられたピストン11と、ピストン11の動作によりオイルが吸入および吐出される油室14とを有しており、油室14へのオイルの吸入状態を制御する吸入状態制御弁、または油室14からのオイルの吐出状態を制御する吐出状態制御弁の少なくとも一方が設けられており、第2の回転部材2には、ピストン11が係合され、かつ、ピストン11を第1の回転部材6および第2の回転部材2の半径方向に動作させるカム36,81が設けられている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、動力源の出力側に配置される動力伝達装置およびラジアルピストンポンプに関するものである。
従来、車両には動力源が搭載されており、その動力源の出力側には動力伝達装置が配置されている。この動力伝達装置には、クラッチ、変速機、前後進切換装置などの要素が含まれており、各要素の種類および配置位置は、車両性能および車両仕様などの諸元により任意に選択される。このような動力伝達装置を有する車両の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された車両にはエンジンが搭載されており、エンジンの出力側に、前後進切換装置およびベルト式無段変速機および最終減速機が配置されている。この前後進切換装置は、遊星歯車装置およびクラッチおよびブレーキを有しており、クラッチおよびブレーキの係合・解放を制御する油圧制御装置が設けられている。
また、ベルト式無段変速機は、プライマリプーリおよびセカンダリプーリおよびベルトを有しており、プライマリプーリの油圧室およびセカンダリプーリの油圧室の油圧が、油圧制御装置により制御される構成となっている。さらに、エンジンのクランクシャフトと、前後進切換装置に連結されたインプットシャフトとの間の動力伝達経路には、トルクコンバータとロックアップクラッチとが並列に設けられている。このトルクコンバータは、クランクシャフトに連結されたポンプインペラと、インプットシャフトに連結されたタービンランナとを有している。このトルクコンバータに供給されるオイル量、およびロックアップクラッチの係合圧も、前記油圧制御装置により制御される構成となっている。さらに、油圧制御装置は、油圧回路およびソレノイドバルブを有しており、その油圧回路にオイルを供給するオイルポンプが設けられている。このオイルポンプは、ボデーおよびロータを有し、ボデーはトランスアクスルケースに固定され、ロータはポンプインペラと一体的に回転するように連結されている。
上記構成により、エンジンの動力がポンプインペラを経由してロータに伝達されて、オイルポンプが駆動されてオイルが吐出される。そして、ロックアップクラッチが解放されている場合は、エンジンの動力がトルクコンバータに伝達されると、流体の運動エネルギにより動力の伝達がおこなわれる。ロックアップクラッチが係合された場合は、エンジンの動力がトルクコンバータに伝達されると、摩擦力により動力の伝達がおこなわれる。このようにして、エンジンの動力が前後進切換装置に伝達される。なお、オイルポンプを有する動力伝達装置の一例は、特許文献2にも記載されている。
特開2001−323978号公報 特開平10−220557号公報
しかしながら、上記の特許文献1に記載されている動力伝達装置においては、エンジンの動力を車輪に伝達するためにトルクコンバータなどの伝動装置を設ける他に、トルクコンバータおよび前後進切換装置およびベルト式無段変速機に供給するオイルを吐出するオイルポンプを別途設ける必要があった。そのため、動力伝達装置の全体としての構成、あるいは動力伝達装置に付随する機器を含めた全体としての構成が大型化し、車載性を向上する場合に改善の余地があった。
この発明は上記事情を背景としてなされたものであって、トルクコンバータなどの伝動装置とオイルポンプとを個別に設けずに済むようにして、全体としての小型化を図り、ひいては車両への搭載性を向上させることのできる動力伝達装置およびラジアルピストンポンプを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため請求項1の発明は、動力伝達がおこなわれる第1の回転部材および第2の回転部材と、この第1の回転部材と第2の回転部材との相対回転に連動して駆動されるラジアルピストンポンプとを有する動力伝達装置において、前記ラジアルピストンポンプは、前記第1の回転部材に取り付けられ、かつ、前記第1の回転部材および第2の回転部材の半径方向に動作するピストンと、このピストンの動作によりオイルが吸入および吐出され、かつ、前記第1の回転部材と第2の回転部材との間における動力伝達状態を制御する油室とを有しており、前記油室へのオイルの吸入状態を制御する吸入状態制御弁、または前記油室からのオイルの吐出状態を制御する吐出状態制御弁の少なくとも一方が設けられているとともに、前記第2の回転部材には、前記ピストンと一体的に半径方向に動作する部材が係合され、かつ、このピストンを前記第1の回転部材および第2の回転部材の半径方向に動作させるカムが設けられていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記ピストンと一体的に半径方向に動作する部材は、このピストンに取り付けられ、かつ、前記第1の回転部材と第2の回転部材との相対回転にともない、前記カムに接触した状態で転動するローラであることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項2の構成に加えて、前記ローラは、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材の回転軸線と平行な軸線を中心として回転可能に前記ピストンに取り付けられており、前記カムは、前記回転軸線を中心として半径方向に変位する波形形状の外側カム面と、この外側カム面よりも内側に形成され、かつ、この外側カム面と相似する波形形状を有する内側カム面とを有しており、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との相対回転にともない、前記ピストンが前記外側カム面に接触して転動する動作と、前記ピストンが前記内側カム面に接触して転動する動作とを交互に繰り返すように構成されていることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、第1の回転部材および第2の回転部材と、この第1の回転部材と第2の回転部材との相対回転に連動して駆動されるラジアルピストンポンプにおいて、前記第1の回転部材に取り付けられ、かつ、前記第1の回転部材および第2の回転部材の半径方向に動作するピストンと、このピストンの動作によりオイルが吸入および吐出される油室とが設けられており、前記油室へのオイルの吸入状態を制御する吸入状態制御弁、または前記油室からのオイルの吐出状態を制御する吐出状態制御弁の少なくとも一方が設けられているとともに、前記第2の回転部材に形成されたカムと、前記ピストンに取り付けられ、かつ、前記第1の回転部材と第2の回転部材との相対回転にともない、前記カムに接触した状態で転動することにより、前記ピストンを前記第1の回転部材および第2の回転部材の半径方向に動作させるローラとを有することを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項4の構成に加えて、前記ローラは、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材の回転軸線と平行な軸線を中心として回転可能に前記ピストンに取り付けられており、前記カムは、前記回転軸線を中心として半径方向に変位する波形形状の外側カム面と、この外側カム面よりも内側に形成され、かつ、この外側カム面と相似する波形形状を有する内側カム面とを有しており、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との相対回転にともない、前記ピストンが前記外側カム面に接触して転動する動作と、前記ピストンが前記内側カム面に接触して転動する動作とを交互に繰り返すように構成されていることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、第1の回転部材と第2の回転部材とが相対回転すると、ピストンが動作してオイルが油室に吸入され、かつ、油室からオイルが吐出される。また、吸入状態制御弁または吐出状態制御弁により、油室に吸入されるオイルの吸入状態およびオイルの吐出状態を制御することにより、第1の回転部材と第2の回転部材との間における動力伝達状態を制御することが可能である。このように、ラジアルピストンポンプが伝動装置としての機能をも兼備しているため、クラッチなどの伝動装置を新たに用いずに済む。また、ピストンがカムに沿って動作するため、第1の回転部材と第2の回転部材との相対回転と、ピストンの動作との連動が確実におこなわれる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、ローラがカムに接触して転動し、転がり摩擦状態となるため、第1の回転部材と第2の回転部材との間で伝達される動力が、カムとローラとの滑りにより損失されることを抑制できる。
請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同様の効果を得られる他に、第1の回転部材と第2の回転部材との相対回転にともない、ピストンが外側カム面に接触して転動する動作と、ピストンが内側カム面に接触して転動する動作とを交互に繰り返すことにより、ピストンが半径方向に動作する。
請求項4の発明によれば、第1の部材と第2の部材との相対回転にともない、ローラがカムに接触して転動することにより、ピストンが第1の部材および第2の部材の半径方向に動作して、オイルが油室に吸引され、かつ、油室からオイルが吐出される。また、ローラがカムに接触して転動するため、第1の部材と第2の部材とを相対回転させる動力が、カムとローラとの滑りにより損失されることを抑制できる。
請求項5の発明によれば、請求項4の発明と同様の効果を得られる他に、第1の回転部材と第2の回転部材との相対回転にともない、ピストンが外側カム面に接触して転動する動作と、ピストンが内側カム面に接触して転動する動作とを交互に繰り返すことにより、ピストンが半径方向に動作する。
つぎに、この発明を具体例に基づいて説明する。図2には、この発明の動力伝達装置を有する車両Veのパワートレーンおよび制御系統の一例が、模式的に示されている。まず、車両Veのパワートレーンについて説明すれば、動力源としてのエンジン1が設けられており、エンジントルクが、インプットシャフト2およびベルト式無段変速機3およびデファレンシャル4を経由して車輪5に伝達される構成となっている。前記インプットシャフト2およびベルト式無段変速機3およびデファレンシャル4は、ケーシング60内に配置されている。
また、エンジン1のクランクシャフト6とインプットシャフト2とが回転軸線A1を中心として配置されているとともに、クランクシャフト6からインプットシャフト2に至る動力伝達経路に、ラジアルピストンポンプ7が設けられている。このラジアルピストンポンプ7の構成例を図1および図3に基づいて説明する。図1は、回転軸線A1を含む平面における断面図であり、図3は、回転軸線A1に直交する平面における断面図である。このラジアルピストンポンプ7は、クランクシャフト6に設けられたインナーレース8と、インプットシャフト2に設けられたアウターレース9とを有している。
まず、インナーレース8はクランクシャフト6におけるインプットシャフト2側の端部に形成されており、インナーレース8は、回転軸線A1を中心とする円板形状を有している。また、インナーレース8には、円周方向に所定間隔をおいて複数のシリンダ10が形成されている。各シリンダ10は、インナーレース8の外周面に開口された略円筒形状の凹部であり、図1に示すように、各シリンダ10の軸線B1と、回転軸線A1とが略直交する構成となっている。さらに、図3に示すように、軸線B1の延長上に回転軸線A1が位置する。
そして、各シリンダ10内にはピストン11が各々配置されており、各ピストン11は軸線B1方向に往復移動自在に構成されている。つまり、ピストン11は、インナーレース8の半径方向に移動可能である。また各ピストン11には円柱形状のローラ12が取り付けられている。ローラ12は、回転軸線A1と平行な軸線(図示せず)を中心として回転可能となるように、ピストン11により支持されている。また、各ピストン11の外側には、円柱形状のピン13が設けられている。このピン13はインプットシャフト2側に向けて突出されており、ピン13の軸線(図示せず)は回転軸線A1と平行になっている。このピン13は、回転不可能に構成されていてもよいし、軸線を中心として回転可能に構成されていてもよい。さらに、シリンダ10の奥端にはプレート15が取り付けられており、シリンダ10内であって、プレート15とピストン11との間に油室14が形成されている。
一方、クランクシャフト6には回転軸線方向に吸入油路16および吐出油路17が設けられているとともに、クランクシャフト6の外周面には、2条の環状溝16A,17Aが形成されている。この環状溝16A,17Aは回転軸線方向の異なる位置に配置されている。そして、吸入油路16と環状溝16Aとが接続され、吐出油路17と環状溝17Aとが接続されている。ところで、ケーシング60内には、前記回転軸線A1の半径方向に延ばされた隔壁61が設けられており、この隔壁61には軸孔20が形成されている。この隔壁61は、回転軸線方向においてエンジン1とラジアルピストンポンプ7との間に配置されており、隔壁61には、吸入油路18および吐出油路19が設けられている。また隔壁61は、回転軸線A1に交差する方向に延ばされており、隔壁61の軸孔20内にクランクシャフト6が回転可能に配置されている。吸入油路18および吐出油路19は軸孔20に開口されており、吸入油路18と環状溝16Aとが接続され、吐出油路19と環状溝17Aとが接続されている。
このように、クランクシャフト6が回転している場合、または停止している場合のいずれにおいても、吸入油路16と吸入油路18とが連通され、吐出油路17と吐出油路19とが連通される構成となっている。さらに、吸入油路18および吐出油路19および環状溝16A,17Aのオイルが軸孔20から漏れることを防止する密封装置20Aが設けられている。
さらに、吸入油路16と油室14とを連通する油路22が設けられ、吐出油路17と油室14とを連通する油路23が設けられており、油路22には逆止弁24が設けられており、油路23には逆止弁25が設けられている。逆止弁24は、吸入油路16のオイルが油室14に吸入されることを許容し、油室14のオイルが吸入油路16に逆流することを防止する機能を有している。これに対して、逆止弁25は、油室14のオイルが吐出油路17に吐出されることを許容し、吐出油路17のオイルが油室14に逆流することを防止する機能を有している。
前記吸入油路18とオイルパン21とを接続する経路には、制御弁70が設けられている。制御弁70は図4に示すように、略直線状に往復移動可能なスプール71と、スプール71に図4で上向きの付勢力を与える弾性部材72と、通電により磁気吸引力を生じるソレノイド73と、磁気吸引力により動作するプランジャ74とを有している。このソレノイド73に電力を供給すると磁気吸引力が生じて、プランジャ74を弾性部材72の力とは逆向きに付勢する。さらに、スプール71にはランド75,76が形成されているとともに、制御弁70は吸入ポート77および吐出ポート78を有している。吸入ポート77は油路79を経由してオイルパン21に接続され、吐出ポート78は吸入油路18に接続されている。そして、弾性部材72からスプール71に加えられる力と、プランジャ74からスプール71に加えられる力との対応関係により、スプール71の動作が制御される。このスプール71の動作により、オイルパン21から油路79を経由して吸入油路18に供給されるオイルの流量が制御される。
一方、前記吐出油路19と油圧制御装置26とを接続する油路には、制御弁27が設けられている。制御弁27は図5に示すように、略直線状に往復移動可能なスプール28と弾性部材29とソレノイド30とプランジャ30Aとを有している。弾性部材29からは、スプール28を所定の向き、例えば、図5で上向きに付勢する力が加えられる。また、ソレノイド30に電力を供給すると磁気吸引力が生じて、プランジャ30Aを弾性部材29の力とは逆向きに付勢する。さらに、スプール28にはランド31が形成されているとともに、制御弁27は吸入ポート32および吐出ポート33を有している。吸入ポート32は吐出油路19に接続され、吐出ポート33は、油路34を経由して油圧制御装置26に接続されている。さらに、バルブボデーとランド31の外周面との間にポートC1が形成される。そして、弾性部材29からスプール28に加えられる力と、プランジャ30Aからスプール28に加えられる力との対応関係により、スプール28の動作が制御される。このスプール28の動作により、ポートC1の断面積が制御されて、吸入ポート32から吐出ポート33に吐出されるオイルの流量が制御される。
前記アウターレース9は、図1および図3に示すように、インプットシャフト2に形成された外向きフランジ35と、外向きフランジ35に連続する円筒部35Aとを有している。円筒部35Aはインナーレース8の外側を取り囲むように配置されているとともに、円筒部35Aの内周にはカム面36が形成されている。このカム面36は回転軸線A1を中心とする環状に構成されているとともに、略波形に構成されている。つまり、半径方向の外側に向けて突出するように湾曲した凸部と、半径方向の内側に向けて突出するように湾曲した凹部とが、円周方向で交互に、かつ、連続して配置されている。そして、このカム面36と、ピストン11に取り付けられたローラ12の外周面とが接触可能であるるとともに、ローラ12はカム面36に沿って転動可能である。
さらに、外向きフランジ35であって、回転軸線A1と直交する端面79には、回転軸線方向に突出した突条80が形成されている。この突条80は、回転軸線A1を中心として環状に形成されているとともに、突条80の外周にはカム面81が形成されている。カム面81は略波形に構成されている。つまり、半径方向の外側に向けて突出するように湾曲した凸部と、半径方向の内側に向けて突出するように湾曲した凹部とが、円周方向で交互に、かつ、連続して配置されている。言い換えれば、カム面81とカム面36とが相似形状に構成されている。また、円周方向における凹部の位相および凸部の位相は、カム面36とカム面81とで一致している。そして、カム面81にピン13が接触可能である。ピン13が回転可能に構成されていれば、ピン13はカム面81に沿って転動することが可能である。
前記エンジン1は、燃料の燃焼による熱エネルギを運動エネルギに変換する動力装置であり、エンジン1としては、例えば内燃機関、具体的には、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを用いることができる。エンジン1は吸排気装置および燃料噴射装置などを有している。
前記インプットシャフト2からベルト式無段変速機3に至る経路には、前後進切換装置37が設けられている。前後進切換装置37は、エンジン1の回転方向が一方向に限られていることに伴って採用されている機構であって、インプットシャフト2の回転方向に対するプライマリシャフト38の回転方向を切り換える機能を備えている。図1に示す例では、前後進切換装置37としてダブルピニオン型の遊星歯車機構が採用されている。すなわち、インプットシャフト2と一体回転するサンギヤ39と、サンギヤ39と同心状に配置されたリングギヤ40と、サンギヤ39に噛合したピニオンギヤ41と、ピニオンギヤ41およびリングギヤ40に噛合した他のピニオンギヤ42とが設けられ、ピニオンギヤ41,42がキャリヤ43によって、自転かつ公転自在に保持されている。このキャリヤ43とプライマリシャフト38とが一体回転するように連結されている。
さらに、インプットシャフト2と、キャリヤ43とを選択的に連結・解放する前進用クラッチ44が設けられている。またリングギヤ40を選択的に固定することにより、インプットシャフト2の回転方向に対するプライマリシャフト38の回転方向を反転する後進用ブレーキ45が設けられている。上記前進用クラッチ44および後進用ブレーキ45の係合・解放は、油圧制御装置26により制御される構成となっている。
前記ベルト式無段変速機3は、互いに平行に配置されたプライマリプーリ46とセカンダリプーリ47とを有するとともに、プライマリプーリ46およびセカンダリプーリ47にはベルト48が巻き掛けられている。また、プライマリプーリ46からベルト48に加えられる挟圧力を制御する油圧サーボ機構49と、セカンダリプーリ47からベルト48に加えられる挟圧力を制御する油圧サーボ機構50とが設けられている。この油圧サーボ機構49,50に供給される圧油の油圧が油圧制御装置26により制御される構成となっている。
前記プライマリプーリ46はプライマリシャフト38と一体回転するように構成され、セカンダリプーリ47はセカンダリシャフト51と一体回転するように構成されている。プライマリシャフト38とセカンダリシャフト51とは相互に並行に配置され、セカンダリシャフト51のトルクが、伝動機構52およびデファレンシャル4を経由して車輪5に伝達される構成となっている。
つぎに、図2に示された車両Veの制御系統を説明すれば、車両Veの全体を制御するコントローラとしての電子制御装置53が設けられている。これらの電子制御装置53は、演算処理装置(CPUまたはMPU)と、記憶装置(RAMおよびROM)と、入出力インターフェースとを有するマイクロコンピュータにより構成されており、電子制御装置53には、加速要求、制動要求、エンジン回転数、スロットル開度、インプットシャフト2の回転数、プライマリシャフト38の回転数、セカンダリシャフト51の回転数、シフトポジションなどの信号が入力される。これに対して、電子制御装置53からは、油圧制御装置26を制御する信号、制御弁27,70を制御する信号、エンジン1を制御する信号などが出力される。
まず、エンジン1が運転されると、クランクシャフト6のトルクはラジアルピストンポンプ7を経由してインプットシャフト2に伝達される。なお、ラジアルピストンポンプ7を介在させたトルクの伝達原理は後述する。ここで、シフトポジションとしてドライブポジションが選択された場合は、前後進切換装置37において、前進用クラッチ44が係合され、かつ後進用ブレーキ45が解放される。その結果、インプットシャフト2およびキャリヤ43が一体回転可能に連結されて、インプットシャフト2のトルクがプライマリシャフト38に伝達される。この場合、インプットシャフト2の回転方向とプライマリシャフト38の回転方向とが同じになる。これに対して、シフトポジションとしてリバースポジションが選択された場合は、後進用ブレーキ45が係合されて、前進用クラッチ44が解放される。その結果、リングギヤ40が反力要素となり、インプットシャフト2のトルクがプライマリシャフト38に伝達される。この場合、プライマリシャフト38の回転方向は、インプットシャフト2の回転方向とは逆になる。
一方、ベルト式無段変速機3においては、油圧サーボ機構49,50における圧油の供給状態が油圧制御装置26により制御される。具体的には、油圧サーボ機構49に供給される圧油の流量が制御されて、プライマリプーリ46におけるベルト48の巻き掛け半径、およびセカンダリプーリ47におけるベルト48の巻き掛け半径が制御され、ベルト式無段変速機3の変速比、つまり、プライマリシャフト38の回転速度と、セカンダリシャフト51の回転速度との比を無段階(連続的)に制御することができる。また、この変速制御に加えて、セカンダリプーリ47からベルト48に加える挟圧力が調整されて、ベルト式無段変速機3のトルク容量が制御される。
例えば、車速および加速要求(例えばアクセル開度)などに基づいて、車両における必要駆動力が判断され、その判断結果に基づいて目標エンジン回転数および目標エンジントルクが求められる。具体的には、必要駆動力に応じて、目標エンジン出力が求められ、その目標エンジン出力を最適燃費で達成する目標エンジン回転数が求められ、その目標エンジン回転数に応じて目標エンジントルクが求められる。そして、実エンジン回転数を目標エンジン回転数に近づけるように、ベルト式無段変速機3の変速比が制御される。また、実エンジントルクを目標エンジントルクに近づけるように、吸排気装置および燃料噴射装置などが制御される。上記のようにして、インプットシャフト2のトルクが、前後進切換装置37およびベルト式無段変速機3を経由して伝動機構52に伝達されるとともに、伝動機構52のトルクがデファレンシャル4を経由して車輪5に伝達される。
つぎに、インプットシャフト2とクランクシャフト6との間におけるトルクの伝達原理およびトルク制御方法、言い換えれば、ラジアルピストンポンプ7におけるトルクの伝達原理、およびラジアルピストンポンプ7における伝達トルクの制御方法を説明し、かつ、ラジアルピストンポンプ7におけるオイル吸入量の制御、およびラジアルピストンポンプ7におけるオイル吐出量の制御について説明する。エンジン1が運転されると、インナレース8を図3の所定方向、例えば、時計方向に回転させる向きのトルクが発生する。この実施例においては、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間で伝達されるトルクの容量、ラジアルピストンポンプ7におけるオイル吸入量およびオイル吐出量が、以下のようにして制御される。
まず、インナーレース8とアウターレース9とが相対回転すると、ローラ12がカム面36,81に沿って転動し、かつ、カム面36,81の半径方向の凹凸形状により、ローラ12およびピストン11が、シリンダ10内を軸線B1方向に往復移動する。具体的に説明すると、円周方向の位相において、カム面81が外側に突出している領域では、カム面81に沿ってピン13が移動することで、ローラ12およびピストン11が一体的に外側に付勢される。これに対して、円周方向の位相において、カム面36が内側に窪んでいる領域では、ローラ12がカム面36に沿って転動することにより、ローラ12およびピストン11が一体的に内側に付勢される。このようにして、カム面36およびカム面81から、ピストン11に対して、内向きの力と外向きの力値と交互に加えられることにより、ピストン11がシリンダ10内を往復移動する。
このようなピストン11の動作により、油室14の容積が変化する。すなわち、ピストン11が、軸線B1に沿って外側に動作すると油室14の容積が拡大され、ピストン11が、軸線B1に沿って内側に動作すると油室14の容積が縮小される。油室14の容積が拡大される場合は、油室14が負圧となる。すると、逆止弁24が開いて、オイルパン21のオイルが、吸入油路18および吸入油路16を経由して油室14に吸引される。この場合、逆止弁25が閉じられるため、吐出油路17のオイルが油室14に逆流することはない。
ついで、インナレース8とアウターレース9との相対回転に連動して、ピストン11が内側に動作すると、油室14の容積が縮小されて、その内部の油圧が上昇する。そして、油室14の油圧が吸入油路16の油圧よりも高圧となった場合は、逆止弁24が閉じられる。その結果、吸入油路16のオイルが油室14に吸入されなくなるとともに、油室14のオイルが吸入油路16に逆流することが防止される。一方、油室14の容積の縮小により、その内部の油圧が吐出油路17の油圧よりも高圧になると、逆止弁25が開く。その結果、油室14のオイルは、吐出油路17および吐出油路19を経由して、制御弁27に供給される。以後、ピストン11が往復運動を繰り返すことにより、ラジアルピストンポンプ7へのオイルの吸入と、ラジアルピストンポンプ7からのオイルの吐出とが、交互に繰り返される。
この実施例においては、ラジアルピストンポンプ7に吸入されるオイル量およびラジアルピストンポンプ7から吐出されるオイル量を、つぎのようにして制御することが可能である。まず、ラジアルピストンポンプ7の油室14に吸入されるオイル量を制御する場合を説明する。前記制御弁70において、図4の右半分に示すように、スプール71が上向きに動作した場合は、吸入ポート77と吐出ポート78とが連通し、油路79から制御弁70を経由して吸入油路18に供給されるオイルの流量が増加する。これに対して、図4でスプール71が下向きに動作した場合は、油路79から制御弁70を経由して吸入油路18に供給されるオイルの流量が減少する。なお、図4で左半分に示すように、吸入ポート77と吐出ポート78とが遮断された場合は、油室14にはオイルが吸入されなくなる。
一方、制御弁27においては、吸入ポート32と吐出ポート33との間に形成されたポートC1の断面積が制御され、ポートC1の断面積に応じて、ラジアルピストンポンプ7におけるオイル吐出量、具体的には、ラジアルピストンポンプ7から油圧制御装置26に供給されるオイル量が制御される。
そして、この実施例においては、ソレノイド30に供給される電力の電流値により、スプール28の動作が制御され、ポートC1の断面積が調整される。このポートC1の断面積に応じて、吐出油路19から油路34に吐出されるオイルの流通抵抗が変化する。具体的には、ポートC1の断面積が拡大されるほど、オイルの流通抵抗が低下し、油室14のオイル量が減少しやすくなる。これに対して、ポートC1の断面積が縮小されるほど、オイルの流通抵抗が増加して、油室14のオイル量が減少しにくくなる。
このようにして、油室14のオイル量を調整可能であり、油室14のオイル量は、シリンダ10におけるピストン11の動作特性に影響を及ぼす。つまり、ピストン11を内側に押圧する力が同じであった場合、油室14の流量が多く油圧が高いほど、ピストン11を内側に動作させるために必要な荷重が増加する。一方、油室14のオイル量が少なく、油室14の油圧が低いほど、ピストン11を内側に動作させるために必要な荷重が低下する。この実施例においては、インナーレース8とアウターレース9とが相対回転することにより、ローラ12がカム面36を転動して、アウターレース9からピストン11を内側に押圧する荷重が加えられる構成となっている。
したがって、ピストン11を内側に動作させるために必要な荷重が高くなるほど、インナーレース8とアウターレース9とを相対回転させるために必要な円周方向の荷重が高くなる。つまり、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間で、ラジアルピストンポンプ7を経由して伝達されるトルクの容量が増加する。これに対して、ピストン11を内側に動作させるために必要な荷重が低下するほど、インナーレース8とアウターレース9とを相対回転させるために必要な円周方向の荷重が低くなる。つまり、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間で、ラジアルピストンポンプ7を経由して伝達されるトルクの容量が低下する。なお、ラジアルピストンポンプ7のトルク容量を制御可能であるということは、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間の相対回転数差を制御可能であるともいえる。さらに、油室14のオイル量は、制御弁27または制御弁70のうちの少なくとも一方を制御すれば調整可能である。
以上のように、図1ないし図5に示された構成によれば、制御弁27,70によりラジアルピストンポンプ7のオイル吐出量を制御することにより、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間で伝達されるトルクの容量を制御することが可能である。つまり、ラジアルピストンポンプ7は、油圧制御装置26にオイルを供給する機能と、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間におけるトルク容量を制御する機能(発進装置としての機能)とを兼備している。つまり、単一の機器が、複数の機能を有しているため、動力伝達装置の部品点数の低減および小型化に寄与することが可能であり、ひいては、動力伝達装置の車載性が向上する。また、クランクシャフト6とインプットシャフト2とが相対回転すると、ピン13がカム面36,81に沿って転動して、そのカム面36,81からピストン11に動作力が加えられるため、クランクシャフト6とインプットシャフト2との相対回転と、ピストン11の動作との連動が一層確実となる。
また、図1および図3に示されたラジアルピストンポンプ7においては、カム面81に沿ってピン13を移動させることにより、ピストン11を外側に向けて動作させる構成となっているため、ピストン11を内側に移動させるために必要な荷重は、専ら油室14の油圧に基づいた値となる。例えば、ニュートラルポジションまたはパーキングポジションが選択された場合のように、駆動力が不要である場合は、油室14のオイル量を調整して油室14の油圧を低下させることにより、クランクシャフト6からインプットシャフト2にトルクが伝達されないようにすることが可能である。これにより、ニュートラルポジションまたはパーキングポジションが選択され、かつ、加速要求が発生しておらず、かつ、エンジン1がアイドリング状態にある場合において、エンジントルクの変動がインプットシャフト2よりも下流側に伝達されて振動が発生することを抑制できる。
また、ニュートラルポジションまたはパーキングポジションからドライブポジションに変更された場合でも、加速要求が所定値以下であれば、油室14の油圧を制御してクランクシャフト6からインプットシャフト2にトルクが伝達されないように制御することが可能である。したがって、ニュートラルポジションまたはパーキングポジションからドライブポジションに変更された時点で、車輪5に急激にトルクが伝達されてショックが生じることを未然に回避することができる。
さらに図1および図3に示されたラジアルピストンポンプ7によれば、アウターレース9が金属材料で構成されており、ローラ12が接触するカム面36、およびピン13が接触するカム面81は、いずれも剛体であり、ピストン11が往復動する場合に、ピストン11の動作力でカム面36,81がばねのように弾性変形することはない。このため、ピストン11が内側に向けて動作し、ついで、ピストン11が外側に向けて動作する切り換え点(下死点)を経由し、ピストン11が外側に向けて動作する場合に、ローラ12がカム面36から離れることを回避することができ、カム面36に対するローラ12の追従性が向上する。つまり、ローラ12の外周面がカム面36に常時接触した状態で、ローラ12が転動することが可能である。したがって、「ピストン11が往復移動する切り換え点で、ローラ12がカム面36から一旦離れて、その後にカム面36にローラ12が衝突して異音が生じる。」という不具合を未然に防止することが可能である。さらにローラ12とカム面36との接触状態は転がり摩擦状態となるため、クランクシャフト6からインプットシャフト2に伝達される動力の損失を抑制することが可能である。
図1ないし図5に示された実施例は、請求項1および請求項2および請求項4の発明に対応するものであり、図1ないし図5に示された実施例の構成と、請求項1および請求項2および請求項4の発明との対応関係を説明すると、クランクシャフト6およびインナーレース8が、この発明の第1の回転部材に相当し、インプットシャフト2およびアウターレース9が、この発明の第2の回転部材に相当し、制御弁70が、この発明の吸入状態制御弁に相当し、制御弁27が、この発明の吐出状態制御弁に相当し、カム面36,81が、この発明のカムに相当する。また、ピン13およびローラ12が、この発明における「ピストンと一体的に動作する部材」に相当する。つまり、カムに接触する部材は、ピストン自体でもよいし、ピストンと一体的に半径方向に動作する部材のいずれでもよい。
また、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間で伝達されるトルクの容量および、クランクシャフト6とインプットシャフト2との回転数差が、この発明における「第1の回転部材と第2の回転部材との間における動力伝達状態」に相当する。なお、特に図示しないが、インプットシャフトにインナーレースおよびピストンを設け、クランクシャフトにアウターレースを設ける構成も、請求項1および請求項2の発明に含まれる。この場合は、インプットシャフトおよびインナーレースが、この発明の第1の回転部材に相当し、クランクシャフトおよびアウターレースが、この発明の第2の回転部材に相当する。
なお、特に図示しないが、インプットシャフトにインナーレースおよびピストンを設け、クランクシャフトにアウターレースを設け、かつ、このアウターレースにカム面を設ける構成も、請求項1および請求項2の発明に含まれる。この場合は、インプットシャフトおよびインナーレースが、この発明の第1の部材に相当し、クランクシャフトおよびアウターレースが、この発明の第2の部材に相当する。さらに、請求項4の発明においては、第1の部材または第2の部材のいずれか一方が回転し、他方が固定されていてもよい。
つぎに、ラジアルピストンポンプ7の他の構成例を、図6に基づいて説明する。図6は、回転軸線A1を含む平面における正面断面図である。図6の実施例では、ピストン11に凹部11Aが形成されており、その凹部11Aにローラ12が軸線B1を中心として回転可能に保持されている。軸線B1は回転軸線A1と平行である。また、凹部11Aの内周面の周長は、ローラ12の外周面の周長の1/2よりも長く構成されている。なお、凹部11Aにブッシュ(滑り軸受)を設け、このブッシュによりローラ12を回転可能に保持してもよい。また、ローラ12の軸線方向における長さは、ローラ12の一端がピストン11の外周面から突出する長さに構成されている。そして、ローラ12の外周面が、カム面36およびカム面81の両方に接触することが可能となっている。また、クランクシャフト6の半径方向において、カム面36またはカム面81のいずれか一方にローラ12の外周面が接触した状態で、他方のカム面とローラ12の外周面との間に微小な隙間が形成される構成となっている。
この図6に示されたラジアルピストンポンプ7において、クランクシャフト6とインプットシャフト2とが相対回転する場合、例えば、図7でクランクシャフト6が時計方向に回転した場合について説明する。この図7においては、クランクシャフト6が時計方向に回転した場合を想定し、回転方向(円周方向)の領域を以下のように区分している。すなわち、ローラ12の公転方向における下流に進むことにともないカム面36,81が小径化している部分を領域X1としている。これに対して、ローラ12の公転方向における下流に進むことにともないカム面36,81が大径化している部分を領域Y1としている。そして、円周方向に領域X1と領域Y1とが交互に配置されている。この図6および図7のラジアルピストンポンプ7も、図2,図4,図5の構成と組み合わせて実施される。
つぎに、図6および図7に示すラジアルピストンポンプ7の動作を説明する。まず、ローラ12の回転中心C1が領域X1の範囲にある場合は、ローラ12がカム面36に接触し、かつ、ローラ12が転動して、図7で反時計方向に自転しながら時計方向に公転する。このように、ローラ12の回転中心C1が領域X1内にある場合は、カム面36からピストン11に対して内側向きの力が加えられるとともに、ローラ12の外周面とカム面81とが非接触の状態にある。そして、ローラ12の回転中心C1が領域X1と領域Y1との境界を通過する際に、ローラ12がカム面36から離れてカム面81に接触する。ついで、クランクシャフト6がさらに図7で時計方向に回転すると、ローラ12はカム面81に接触しながら転動して、図7で時計方向に自転しながら時計方向に公転する。
このように、ローラ12の回転中心C1が領域Y1内にある場合は、カム面81からピストン11に対して外側向きの力が加えられるとともに、ローラ12の外周面とカム面36とが非接触の状態にある。以下、クランクシャフト6の回転にともない、上記の動作を繰り返すこととなる。このように、ローラ12がカム面36に沿って転動する場合の自転方向と、ローラ12がカム面81に沿って転動する場合の自転方向とが逆となる。このように、図6および図7に示されたラジアルピストンポンプ7においては、ローラ12自体がカム面36,81を転動するため、図1および図3に示したようなピン13などを設けずに済む。したがって、部品点数の増加を抑制できるとともに、製造コストの上昇を抑制できる。また、ローラ12とカム面36,81との接触状態は、転がり摩擦状態となるため、動力損失を抑制できる。図6および図7の構成において、図1および図3と同じ構成部分については、前述と同様の効果を得られる。
この図6および図7の実施例は、請求項1ないし5の発明に対応する実施例であり、ローラ12が係合されるカム面36,81が、この発明のカムに相当し、カム面36が、この発明の外側カム面に相当し、カム面81が、この発明の内側カム面に相当する。図6および図7の実施例におけるその他の構成と、この発明の構成との対応関係は、図1および図3の実施例の構成と、この発明の構成との対応関係と同じである。なお、特に図示しないが、ローラ12の端部にローラ12よりも小径のピンを設け、そのピンがカム面36,81に沿って転動するように構成してもよい。このように構成すると、ピンがローラ12よりも小径である分、イナーシャの低減を図ることが可能であるとともに、アウターレースに形成するカム面およびアウターレース自体の小径化および小型化を図ることが可能である。
上記の実施例に開示された特徴的な構成を記載すると、相対回転可能に設けられ、かつ、同軸上に配置された第1の部材および第2の部材と、前記第1の部材に設けられたカムと、前記第2の部材に設けられ、かつ、前記第1の部材と前記第2の部材との相対回転に連動して前記カムに沿って動作し、かつ、前記第1の部材および前記第2の部材の半径方向に動作することにより、オイルを吸入および吐出するピストンとを有するラジアルピストンポンプにおいて、前記カムに接触して転動するローラが前記ピストンに設けられており、前記ローラが前記カムに沿って転動することにより、前記第1の部材および前記第2の部材の半径方向に前記ピストンが動作する構成であることを特徴とするラジアルピストンポンプである。
この発明の動力伝達装置に用いられるラジアルピストンポンプの構成例を示す正面断面図である。 この発明の動力伝達装置を有する車両およびその制御系統を示す概念図である。 図1に示されたラジアルピストンポンプの側面断面図である。 図2に示された制御弁の構成を示す図である。 図2に示された制御弁の構成を示す図である。 この発明の動力伝達装置に用いられるラジアルピストンポンプの他の構成例を示す正面断面図である。 図6に示されたラジアルピストンポンプの側面断面図である。
符号の説明
2…インプットシャフト、 6…クランクシャフト、 7…ラジアルピストンポンプ、 8…インナーレース、 9…アウターレース、 11…ピストン、 12…ローラ、 13…ピン、 14…油室、 27,70…制御弁、 36,81…カム面、 A1…回転軸線、 B1…軸線。

Claims (5)

  1. 動力伝達がおこなわれる第1の回転部材および第2の回転部材と、この第1の回転部材と第2の回転部材との相対回転に連動して駆動されるラジアルピストンポンプとを有する動力伝達装置において、
    前記ラジアルピストンポンプは、前記第1の回転部材に取り付けられ、かつ、前記第1の回転部材および第2の回転部材の半径方向に動作するピストンと、このピストンの動作によりオイルが吸入および吐出され、かつ、前記第1の回転部材と第2の回転部材との間における動力伝達状態を制御する油室とを有しており、
    前記油室へのオイルの吸入状態を制御する吸入状態制御弁、または前記油室からのオイルの吐出状態を制御する吐出状態制御弁の少なくとも一方が設けられているとともに、
    前記第2の回転部材には、前記ピストンと一体的に半径方向に動作する部材が係合され、かつ、このピストンを前記第1の回転部材および第2の回転部材の半径方向に動作させるカムが設けられていることを特徴とする動力伝達装置。
  2. 前記ピストンと一体的に半径方向に動作する部材は、このピストンに取り付けられ、かつ、前記第1の回転部材と第2の回転部材との相対回転にともない、前記カムに接触した状態で転動するローラであることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
  3. 前記ローラは、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材の回転軸線と平行な軸線を中心として回転可能に前記ピストンに取り付けられており、前記カムは、前記回転軸線を中心として半径方向に変位する波形形状の外側カム面と、この外側カム面よりも内側に形成され、かつ、この外側カム面と相似する波形形状を有する内側カム面とを有しており、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との相対回転にともない、前記ピストンが前記外側カム面に接触して転動する動作と、前記ピストンが前記内側カム面に接触して転動する動作とを交互に繰り返すように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の動力伝達装置。
  4. 第1の回転部材および第2の回転部材と、この第1の回転部材と第2の回転部材との相対回転に連動して駆動されるラジアルピストンポンプにおいて、
    前記第1の回転部材に取り付けられ、かつ、前記第1の回転部材および第2の回転部材の半径方向に動作するピストンと、このピストンの動作によりオイルが吸入および吐出される油室とが設けられており、
    前記油室へのオイルの吸入状態を制御する吸入状態制御弁、または前記油室からのオイルの吐出状態を制御する吐出状態制御弁の少なくとも一方が設けられているとともに、
    前記第2の回転部材に形成されたカムと、前記ピストンに取り付けられ、かつ、前記第1の回転部材と第2の回転部材との相対回転にともない、前記カムに接触した状態で転動することにより、前記ピストンを前記第1の回転部材および第2の回転部材の半径方向に動作させるローラとを有することを特徴とするラジアルピストンポンプ。
  5. 前記ローラは、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材の回転軸線と平行な軸線を中心として回転可能に前記ピストンに取り付けられており、前記カムは、前記回転軸線を中心として半径方向に変位する波形形状の外側カム面と、この外側カム面よりも内側に形成され、かつ、この外側カム面と相似する波形形状を有する内側カム面とを有しており、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との相対回転にともない、前記ピストンが前記外側カム面に接触して転動する動作と、前記ピストンが前記内側カム面に接触して転動する動作とを交互に繰り返すように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のラジアルピストンポンプ。
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