JP2006112459A - 動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 オイルポンプと伝動装置とを別々に設けずに済む動力伝達装置を提供する。
【解決手段】 動力伝達経路に第1の回転部材6と第2の回転部材2とが配置され、第1の回転部材6と第2の回転部材2との相対回転により駆動されるオイルポンプ7が設けられている動力伝達装置において、オイルポンプ7が、第1の回転部材6と第2の回転部材2との相対回転に連動して動作し、かつ、第1の回転部材6と第2の回転部材2とを動力伝達可能に連結するピストン11と、ピストン11の動作を制御する油室14と、油室14におけるオイルの吸入状態を制御することにより、第1の回転部材6と第2の回転部材2との間における動力伝達状態を制御する吸入制御弁70とを有している。
【選択図】 図1
【解決手段】 動力伝達経路に第1の回転部材6と第2の回転部材2とが配置され、第1の回転部材6と第2の回転部材2との相対回転により駆動されるオイルポンプ7が設けられている動力伝達装置において、オイルポンプ7が、第1の回転部材6と第2の回転部材2との相対回転に連動して動作し、かつ、第1の回転部材6と第2の回転部材2とを動力伝達可能に連結するピストン11と、ピストン11の動作を制御する油室14と、油室14におけるオイルの吸入状態を制御することにより、第1の回転部材6と第2の回転部材2との間における動力伝達状態を制御する吸入制御弁70とを有している。
【選択図】 図1
Description
この発明は、第1の回転部材と第2の回転部材との相対回転に連動して駆動されるオイルポンプを有する動力伝達装置に関するものである。
従来、車両には動力源が搭載されており、その動力源の出力側には動力伝達装置が配置されている。この動力伝達装置には、クラッチ、変速機、前後進切換装置などの要素が含まれており、各要素の種類および配置位置は、車両性能および車両仕様などの諸元により任意に選択される。このような動力伝達装置を有する車両の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された車両にはエンジンが搭載されており、エンジンの出力側に、前後進切換装置およびベルト式無段変速機および最終減速機が配置されている。この前後進切換装置は、遊星歯車装置およびクラッチおよびブレーキを有しており、クラッチおよびブレーキの係合・解放を制御する油圧制御装置が設けられている。
また、ベルト式無段変速機は、プライマリプーリおよびセカンダリプーリおよびベルトを有しており、プライマリプーリの油圧室およびセカンダリプーリの油圧室の油圧が、油圧制御装置により制御される構成となっている。さらに、エンジンのクランクシャフトと、前後進切換装置に連結されたインプットシャフトとの間の動力伝達経路には、トルクコンバータとロックアップクラッチとが並列に設けられている。このトルクコンバータは、クランクシャフトに連結されたポンプインペラと、インプットシャフトに連結されたタービンランナとを有している。このトルクコンバータに供給されるオイル量、およびロックアップクラッチの係合圧も、前記油圧制御装置により制御される構成となっている。さらに、油圧制御装置は、油圧回路およびソレノイドバルブを有しており、その油圧回路にオイルを供給するオイルポンプが設けられている。このオイルポンプは、ボデーおよびロータを有し、ボデーはトランスアクスルケースに固定され、ロータはポンプインペラと一体的に回転するように連結されている。
上記構成により、エンジンの動力がポンプインペラを経由してロータに伝達されて、オイルポンプが駆動されてオイルが吐出される。そして、ロックアップクラッチが解放されている場合は、エンジンの動力がトルクコンバータに伝達されると、流体の運動エネルギにより動力の伝達がおこなわれる。ロックアップクラッチが係合された場合は、エンジンの動力がトルクコンバータに伝達されると、摩擦力により動力の伝達がおこなわれる。このようにして、エンジンの動力が前後進切換装置に伝達される。
特開2001−323978号公報
しかしながら、上記の特許文献1に記載されている動力伝達装置においては、エンジンの動力が、トルクコンバータなどの伝動装置を経由して車輪に伝達されるとともに、トルクコンバータおよび前後進切換装置およびベルト式無段変速機に供給するオイルを吐出するオイルポンプを、伝動装置とは別に設ける必要がある。そのため、動力伝達装置の全体としての構成、あるいは動力伝達装置に付随する機器を含めた全体としての構成が大型化し、車載性を向上する場合に改善の余地があった。
この発明は上記事情を背景としてなされたものであって、伝動装置とオイルポンプとを別々に設けずに済むようにして、全体としての小型化を図り、ひいては車両への搭載性を向上させることのできる動力伝達装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため請求項1の発明は、動力伝達経路に第1の回転部材および第2の回転部材が配置され、かつ、前記第1の回転部材と第2の回転部材との相対回転により駆動されるオイルポンプが設けられている動力伝達装置において、前記オイルポンプが、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との相対回転に連動して動作し、かつ、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材とを動力伝達可能に連結するピストンと、このピストンの動作を制御する油室と、この油室におけるオイルの吸入状態を制御することにより、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間における動力伝達状態を制御する吸入制御弁とを有していることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、車輪に接続される動力伝達経路に、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材および前記オイルポンプを配置した車両が設けられており、この車両を発進させる操作がおこなわれる前は、前記油室に吸入されるオイル量を減少させるように、前記吸入制御弁を閉じる一方、前記車両を発進させる操作がおこなわれた場合は、前記油室に吸入されるオイル量を増加させるように、前記吸入制御弁を開放する第1の吸入状態制御手段を、更に有していることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1または2の構成に加えて、エンジンから車輪に至る動力伝達経路に、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材および前記オイルポンプを配置した車両が設けられており、この車両は、前記動力伝達経路で動力伝達をおこなうことの可能な駆動ポジションと、前記動力伝達経路で動力伝達をおこなうことの不可能な非駆動ポジションとを選択的に切り換え可能な構成を有しており、前記駆動ポジションが選択され、かつ、前記車両に対する制動要求がある場合に、前記油室に吸入されるオイル量を減少させるように、前記吸入制御弁を閉じる第2の吸入状態制御手段を、更に有していることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの構成に加えて、前記オイルポンプと前記車輪との間の動力伝達経路に、機械的エネルギを他のエネルギに変換する回生装置が設けられており、前記車両の惰力走行にともなう機械的エネルギを回生装置で他のエネルギに変換する場合に、前記油室に吸入されるオイル量を減少させるように、前記吸入制御弁を閉じる第3の吸入状態制御手段を、更に有していることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの構成に加えて、エンジンから車輪に至る動力伝達経路に前記第1の回転部材および前記第2の回転部材および前記オイルポンプが配置された車両が設けられており、この車両が登坂路にある場合は、前記油室に吸入されるオイル量を増加させるように、前記吸入制御弁を開放する第4の吸入状態制御手段を、更に有していることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの構成に加えて、前記オイルポンプにおけるオイル吐出状態を制御する吐出制御弁が、更に設けられていることを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項2または6の構成に加えて、前記ピストンが前記第2の回転部材に形成されているカム面に沿って動作することにより、前記ピストンが前記第1の回転部材および前記第2の回転部材の半径方向に動作するように構成されているとともに、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材および前記オイルポンプを有する車両が停止し、かつ、前記吸入制御弁が閉じられている場合に、前記車両を発進させる操作がおこなわれた場合は、前記オイルポンプのオイル吐出状態を制御する吐出制御弁を閉じ、かつ、前記吸入制御弁を開放させ、ついで、前記吐出制御弁を開放させる複合制御手段を、更に有していることを特徴とするものである。
請求項8の発明は、請求項1の構成に加えて、車輪に接続される動力伝達経路に、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材および前記オイルポンプを配置した車両が設けられており、この車両を発進させる操作がおこなわれる前は、前記油室に吸入されるオイル量を減少させて、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間における動力伝達効率を低下させるように、前記吸入制御弁を閉じる一方、前記車両を発進させる操作がおこなわれた場合は、前記油室に吸入されるオイル量を増加させて、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間における動力伝達効率を高めるように、前記吸入制御弁を開放する第5の吸入状態制御手段を、更に有していることを特徴とするものである。
請求項9の発明は、請求項1または請求項8の構成に加えて、エンジンから車輪に至る動力伝達経路に、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材および前記オイルポンプを配置した車両が設けられており、この車両は、前記動力伝達経路で動力伝達をおこなうことの可能な駆動ポジションと、前記動力伝達経路で動力伝達をおこなうことの不可能な非駆動ポジションとを選択的に切り換え可能な構成を有しており、前記駆動ポジションが選択され、かつ、前記車両に対する制動要求がある場合に、前記油室に吸入されるオイル量を減少させて、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間における動力伝達効率を低下させるように、前記吸入制御弁を閉じる第6の吸入状態制御手段を、更に有していることを特徴とするものである。
請求項10の発明は、請求項1または請求項8または請求項9の構成に加えて、前記オイルポンプと前記車輪との間の動力伝達経路に、機械的エネルギを他のエネルギに変換する回生装置が設けられており、前記車両の惰力走行にともなう機械的エネルギを回生装置で他のエネルギに変換する場合に、前記油室に吸入されるオイル量を減少させて前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間における動力伝達効率を低下させるように、前記吸入制御弁を閉じる第7の吸入状態制御手段を、更に有していることを特徴とするものである。
請求項11の発明は、請求項1または請求項8または請求項9または請求項10の構成に加えて、エンジンから車輪に至る動力伝達経路に前記第1の回転部材および前記第2の回転部材および前記オイルポンプが配置された車両が設けられており、この車両が登坂路にある場合は、前記油室に吸入されるオイル量を増加させて、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間における動力伝達効率を高めるように、前記吸入制御弁を開放する第8の吸入状態制御手段を、更に有していることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、第1の回転部材と第2の回転部材との相対回転に連動してオイルポンプが駆動されるとともに、第1の回転部材と第2の回転部材と間で動力伝達がおこなわれる。そして、吸入制御弁を経由して油室に吸入されるオイルの吸入状態を制御することにより、第1の回転部材と第2の回転部材との間における動力伝達状態を制御することが可能である。つまり、単数の部品であるオイルポンプが、オイル圧送装置としての機能と、伝動装置としての機能とを兼備しているため、オイルポンプの他に伝動装置を設けずに済む。したがって、動力伝達装置の部品点数が低減され、動力伝達装置を小型化することが可能であり、車載性が向上する。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、車両を発進させる操作がおこなわれる前は、油室に吸入されるオイル量が減少されており、第1の回転部材と第2の回転部材との間における動力伝達効率が変化する。ついで、車両を発進させる操作がおこなわれた場合は、油室に吸入されるオイル量が増加されて、第1の回転部材と第2の回転部材との間における動力伝達効率が、前述とは逆の特性で変化する。したがって、車両を発進させる操作がおこなわれた時点では、車両の駆動力が急激に高まることを抑制でき、ショックを回避できる。
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の効果を得られる他に、非駆動ポジションが選択され、かつ、車両に対する制動要求がある場合は、油室に吸入されるオイル量が減少されて、第1の回転部材と第2の回転部材との間における動力伝達効率が変化する。したがって、エンジンが走行負荷により引きずられて動力損失が生じることを抑制でき、エンジンの燃費が低下することを抑制できる。
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、車両の惰力走行にともなう機械的エネルギを回生装置で他のエネルギに変換する場合に、油室に吸入されるオイル量が減少されて、第1の回転部材と第2の回転部材との間における動力伝達効率が変化する。したがって、回生装置における回生効率を向上させることができる。
請求項5の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、車両が登坂路にある場合は、油室に吸入されるオイル量が増加されて、第1の回転部材と前記第2の回転部材との間における動力伝達効率を変化させることが可能である。したがって、車両が登坂路で後退することを回避できる。
請求項6の発明によれば、請求項1ないし5のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、オイルポンプにおけるオイル吐出状態を制御することにより、第1の回転部材と第2の回転部材との間における動力伝達状態を制御することが可能である。
請求項7の発明によれば、請求項2または6の発明と同様の効果を得られる他に、車両が停止し、かつ、吸入制御弁が閉じられている場合に、車両を発進させる操作がおこなわれた場合は、吐出制御弁を閉じ、かつ、吸入制御弁が開放されるため、油室の油圧が上昇して、ピストンがカム面に押し付けられる。したがって、第1の回転部材と第2の回転部材とが相対回転する時点で、ピストンがカム面に衝突することを回避でき、衝突によるショックを未然に防止できる。
請求項8の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、車両を発進させる操作がおこなわれる前は、油室に吸入されるオイル量が減少されており、第1の回転部材と第2の回転部材との間における動力伝達効率が低下する。ついで、車両を発進させる操作がおこなわれた場合は、油室に吸入されるオイル量が増加されて、第1の回転部材と第2の回転部材との間における動力伝達効率が高められる。したがって、車両を発進させる操作がおこなわれた時点では、車両の駆動力が急激に高まることを抑制でき、ショックを回避できる。
請求項9の発明によれば、請求項1または請求項8の発明と同様の効果を得られる他に、非駆動ポジションが選択され、かつ、車両に対する制動要求がある場合は、油室に吸入されるオイル量が減少されて、第1の回転部材と第2の回転部材との間における動力伝達効率が低下する。したがって、エンジンが走行負荷により引きずられて動力損失が生じることを抑制でき、エンジンの燃費が低下することを抑制できる。
請求項10の発明によれば、請求項1または請求項8または請求項9の発明と同様の効果を得られる他に、車両の惰力走行にともなう機械的エネルギを回生装置で他のエネルギに変換する場合に、油室に吸入されるオイル量が減少されて、第1の回転部材と第2の回転部材との間における動力伝達効率が低下する。したがって、回生装置における回生効率を向上させることができる。
請求項11の発明によれば、請求項1または請求項8または請求項9または請求項10の発明と同様の効果を得られる他に、車両が登坂路にある場合は、油室に吸入されるオイル量が増加されて、第1の回転部材と前記第2の回転部材との間における動力伝達効率を高めることが可能である。したがって、車両が登坂路で後退することを回避できる。
つぎに、この発明を具体例に基づいて説明する。図1には、この発明の動力伝達装置を有する車両Veのパワートレーンおよび制御系統の一例が、模式的に示されている。まず、車両Veのパワートレーンについて説明すれば、駆動力源としてのエンジン1が設けられており、エンジントルクが、インプットシャフト2およびベルト式無段変速機3およびデファレンシャル4を経由して車輪5に伝達される構成となっている。前記インプットシャフト2およびベルト式無段変速機3およびデファレンシャル4は、ケーシング60内に配置されている。
また、エンジン1のクランクシャフト6とインプットシャフト2とが回転軸線A1を中心として配置されているとともに、クランクシャフト6からインプットシャフト2に至る動力伝達経路に、ラジアルピストンポンプ7が設けられている。このラジアルピストンポンプ7の構成例を図2および図3に基づいて説明する。図2は、回転軸線A1を含む平面における断面図であり、図3は、回転軸線A1に直交する平面における断面図である。このラジアルピストンポンプ7は、クランクシャフト6に設けられたインナーレース8と、インプットシャフト2に設けられたアウターレース9とを有している。
まず、インナーレース8はクランクシャフト6におけるインプットシャフト2側の端部に形成されており、インナーレース8は、回転軸線A1を中心とする円板形状を有している。また、インナーレース8には、円周方向に所定間隔をおいて複数のシリンダ10が形成されている。各シリンダ10は、インナーレース8の外周面に開口された略円筒形状の凹部であり、図2に示すように、各シリンダ10の軸線B1と、回転軸線A1とが略直交する構成となっている。さらに、図3に示すように、軸線B1の延長上に回転軸線A1が位置する。
そして、各シリンダ10内にはピストン11が各々配置されており、各ピストン11は軸線B1方向に往復移動自在に構成されている。つまり、ピストン11は、インナーレース8の半径方向に移動可能である。また各ピストン11における外側の端面に凹部12が形成されている。この凹部12は半球形状に構成されており、凹部12によりボール13が保持されている。ボール13は凹部12内で転動可能である。一方、シリンダ10の奥端面10Aとピストン11との間には油室14が形成されている。この油室14には弾性部材15が設けられており、ピストン11をシリンダ10の外に押し出す向きの力が、弾性部材15からピストン11に加えられる。
一方、クランクシャフト6には回転軸線方向に吸入油路16および吐出油路17が設けられているとともに、クランクシャフト6の外周面には、2条の環状溝16A,17Aが形成されている。この環状溝16A,17Aは回転軸線方向の異なる位置に配置されている。そして、吸入油路16と環状溝16Aとが接続され、吐出油路17と環状溝17Aとが接続されている。ところで、ケーシング60内には、前記回転軸線A1の半径方向に延ばされた隔壁61が設けられており、この隔壁61には軸孔20が形成されている。この隔壁61は、回転軸線方向においてエンジン1とラジアルピストンポンプ7との間に配置されており、隔壁61には、吸入油路18および吐出油路19が設けられている。また隔壁61は、回転軸線A1に交差する方向に延ばされており、隔壁61の軸孔20内にクランクシャフト6が回転可能に配置されている。吸入油路18および吐出油路19は軸孔20に開口されており、吸入油路18と環状溝16Aとが接続され、吐出油路19と環状溝17Aとが接続されている。
このように、クランクシャフト6が回転している場合、または停止している場合のいずれにおいても、吸入油路16と吸入油路18とが連通され、吐出油路17と吐出油路19とが連通される構成となっている。さらに、吸入油路18および吐出油路19および環状溝16A,17Aのオイルが軸孔20から漏れることを防止する密封装置20Aが設けられている。さらに、オイルパン21が設けられており、オイルパン21から吸入油路18に至る経路に吸入制御弁70が設けられている。
この吸入制御弁70の構成例を、図4に基づいて説明する。吸入制御弁70は、略直線状に往復移動可能なスプール71と、スプール71に図4で上向きの付勢力を与える弾性部材72と、通電により磁気吸引力を生じるソレノイド73と、磁気吸引力により動作するプランジャ74とを有している。このソレノイド73に電力を供給すると磁気吸引力が生じて、プランジャ74を弾性部材72の力とは逆向きに付勢する。さらに、スプール71にはランド75,76が形成されているとともに、吸入制御弁70は吸入ポート77および吐出ポート78を有している。吸入ポート77は油路79を経由してオイルパン21に接続され、吐出ポート78は吸入油路18に接続されている。そして、弾性部材72からスプール71に加えられる力と、プランジャ74からスプール71に加えられる力との対応関係により、スプール71の動作が制御される。このスプール71の動作により、吸入ポート77と吐出ポート78との連通面積(開度)が調整されて、オイルパン21からラジアルピストンポンプ7の油室14に吸入されるオイルの流量が制御される。
さらに、吸入油路16と油室14とを連通する油路22が設けられ、吐出油路17と油室14とを連通する油路23が設けられており、油路22には逆止弁24が設けられており、油路23には逆止弁25が設けられている。逆止弁24は、吸入油路16のオイルが油室14に吸入されることを許容し、油室14のオイルが吸入油路16に逆流することを防止する機能を有している。これに対して、逆止弁25は、油室14のオイルが吐出油路17に吐出されることを許容し、吐出油路17のオイルが油室14に逆流することを防止する機能を有している。
前記吐出油路19と油圧制御装置26とを接続する油路には、吐出制御弁27が設けられている。吐出制御弁27は図5に示すように、略直線状に往復移動可能なスプール28と弾性部材29とソレノイド30とプランジャ30Aとを有している。弾性部材29からは、スプール28を所定の向き、例えば、図5で上向きに付勢する力が加えられる。また、ソレノイド30に電力を供給すると磁気吸引力が生じて、プランジャ30Aを弾性部材29の力とは逆向きに付勢する。さらに、スプール28にはランド31が形成されているとともに、吐出制御弁27は吸入ポート32および吐出ポート33を有している。吸入ポート32は吐出油路19に接続され、吐出ポート33は、油路34を経由して油圧制御装置26に接続されている。さらに、バルブボデーとランド31の外周面との間にポートC1が形成される。そして、弾性部材29からスプール28に加えられる力と、プランジャ30Aからスプール28に加えられる力との対応関係により、スプール28の動作が制御される。このスプール28の動作により、ポートC1の断面積(開度)が制御されて、油室14から油路34に吐出されるオイルの流量が制御される。
前記アウターレース9は、インプットシャフト2に形成された外向きフランジ35と、外向きフランジ35に連続する円筒部35Aとを有している。円筒部35Aはインナーレース8の外側を取り囲むように配置されているとともに、円筒部35Aの内周にはカム面36が形成されている。このカム面36は回転軸線A1を中心とする環状に構成されているとともに、略波形に構成されている。つまり、半径方向の外側に向けて突出するように湾曲した凸部と、半径方向の内側に向けて突出するように湾曲した凹部とが、円周方向で交互に、かつ、連続して配置されている。そして、このカム面36と、インナーレース8に取り付けられたボール13とが接触されているとともに、ボール13はカム面36に沿って転動可能である。
前記エンジン1は、燃料の燃焼による熱エネルギを運動エネルギに変換する動力装置であり、エンジン1としては、例えば内燃機関、具体的には、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを用いることができる。このエンジン1は、吸入空気量制御装置、燃料噴射量制御装置などを有している。
前記インプットシャフト2からベルト式無段変速機3に至る経路には、前後進切換装置37が設けられている。前後進切換装置37は、エンジン1の回転方向が一方向に限られていることに伴って採用されている機構であって、インプットシャフト2の回転方向に対するプライマリシャフト38の回転方向を切り換える機能を備えている。図1に示す例では、前後進切換装置37としてダブルピニオン型の遊星歯車機構が採用されている。すなわち、インプットシャフト2と一体回転するサンギヤ39と、サンギヤ39と同心状に配置されたリングギヤ40と、サンギヤ39に噛合したピニオンギヤ41と、ピニオンギヤ41およびリングギヤ40に噛合した他のピニオンギヤ42とが設けられ、ピニオンギヤ41,42がキャリヤ43によって、自転かつ公転自在に保持されている。このキャリヤ43とプライマリシャフト38とが一体回転するように連結されている。
さらに、インプットシャフト2と、キャリヤ43とを選択的に連結・解放する前進用クラッチ44が設けられている。またリングギヤ40を選択的に固定することにより、インプットシャフト2の回転方向に対するプライマリシャフト38の回転方向を反転する後進用ブレーキ45が設けられている。上記前進用クラッチ44および後進用ブレーキ45の係合・解放は、油圧制御装置26により制御される構成となっている。
前記ベルト式無段変速機3は、互いに平行に配置されたプライマリプーリ46とセカンダリプーリ47とを有するとともに、プライマリプーリ46およびセカンダリプーリ47にはベルト48が巻き掛けられている。また、プライマリプーリ46からベルト48に加えられる挟圧力を制御する油圧サーボ機構49と、セカンダリプーリ47からベルト48に加えられる挟圧力を制御する油圧サーボ機構50とが設けられている。この油圧サーボ機構49,50に供給される圧油の油圧が油圧制御装置26により制御される構成となっている。
前記プライマリプーリ46はプライマリシャフト38と一体回転するように構成され、セカンダリプーリ47はセカンダリシャフト51と一体回転するように構成されている。プライマリシャフト38とセカンダリシャフト51とは相互に並行に配置され、セカンダリシャフト51のトルクが、伝動機構52およびデファレンシャル4を経由して車輪5に伝達される構成となっている。さらに、ラジアルピストンポンプ7と車輪5との間の動力伝達経路に、モータ・ジェネレータ80が配置されている。図1に示す例では、セカンダリシャフト51と同軸上にモータ・ジェネレータ80が設けられている。モータ・ジェネレータ80は、ケーシング60に固定されたステータ81と、セカンダリシャフト51と動力伝達可能に連結されたロータ82とを有している。このモータ・ジェネレータ80は、インバータ(図示せず)を経由して蓄電装置(図示せず)に接続されている。
つぎに、図1に示された車両Veの制御系統を説明すれば、車両Veの全体を制御するコントローラとしての電子制御装置53が設けられている。この電子制御装置53は、演算処理装置(CPUまたはMPU)と、記憶装置(RAMおよびROM)と、入出力インターフェースとを有するマイクロコンピュータにより構成されており、電子制御装置53には、イグニッションスイッチ、加速要求を(例えば、アクセルペダルの操作状態)検知するセンサ、制動要求(例えば、ブレーキペダルの操作状態)を検知するセンサ、エンジン回転数を検知するセンサ、スロットル開度を検知するセンサ、インプットシャフト2の回転数を検知するセンサ、プライマリシャフト38の回転数を検知するセンサ、セカンダリシャフト51の回転数を検知するセンサ、シフトポジションを検知するセンサ、道路勾配センサ、車速を検知するセンサなどの信号が入力される。これに対して、電子制御装置53からは、油圧制御装置26を制御する信号、吐出制御弁27、吸入制御弁70を制御する信号、エンジン1を制御する信号、モータ・ジェネレータ80を制御する信号などが出力される。
まず、エンジン1が運転されると、クランクシャフト6のトルクはラジアルピストンポンプ7を経由してインプットシャフト2に伝達される。なお、ラジアルピストンポンプ7を介在させたトルクの伝達原理は後述する。ここで、シフトポジションとしてドライブポジションが選択された場合は、前後進切換装置37において、前進用クラッチ44が係合され、かつ後進用ブレーキ45が解放される。その結果、インプットシャフト2およびキャリヤ43が一体回転可能に連結されて、インプットシャフト2のトルクがプライマリシャフト38に伝達される。この場合、インプットシャフト2の回転方向とプライマリシャフト38の回転方向とが同じになる。
これに対して、シフトポジションとしてリバースポジションが選択された場合は、後進用ブレーキ45が係合されて、前進用クラッチ44が解放される。その結果、リングギヤ40が反力要素となり、インプットシャフト2のトルクがプライマリシャフト38に伝達される。この場合、プライマリシャフト38の回転方向は、インプットシャフト2の回転方向とは逆になる。
このように、ドライブポジションまたはリバースポジションが選択された場合は、前後進切換装置37が、動力伝達をおこなうことが可能な状態となる。これに対して、ニュートラルポジションまたはパーキングポジションが選択された場合は、前進用クラッチ44および後進用ブレーキ45が、共に解放されて、前後進切換装置37が、動力伝達をおこなうことが不可能な状態となる。
一方、ベルト式無段変速機3においては、油圧サーボ機構49,50における圧油の供給状態が油圧制御装置26により制御される。具体的には、油圧サーボ機構49に供給される圧油の流量が制御されて、プライマリプーリ46におけるベルト48の巻き掛け半径、およびセカンダリプーリ47におけるベルト48の巻き掛け半径が制御され、ベルト式無段変速機3の変速比、つまり、プライマリシャフト38の回転速度と、セカンダリシャフト51の回転速度との比を無段階(連続的)に制御することができる。また、この変速制御に加えて、セカンダリプーリ47からベルト48に加える挟圧力が調整されて、ベルト式無段変速機3のトルク容量が制御される。
例えば、車速および加速要求(例えばアクセル開度)などに基づいて、車両における必要駆動力が判断され、その判断結果に基づいて目標エンジン回転数および目標エンジントルクが求められる。具体的には、必要駆動力に応じて、目標エンジン出力および目標モータ・ジェネレータ出力が求められ、その目標エンジン出力を最適燃費で達成する目標エンジン回転数が求められ、その目標エンジン回転数に応じて目標エンジントルクが求められる。そして、実エンジン回転数を目標エンジン回転数に近づけるように、ベルト式無段変速機3の変速比が制御される。上記のようにして、インプットシャフト2のトルクが、前後進切換装置37およびベルト式無段変速機3を経由して伝動機構52に伝達されるとともに、伝動機構52のトルクがデファレンシャル4を経由して車輪5に伝達される。
また、蓄電装置からモータ・ジェネレータ80に電力を供給して、モータ・ジェネレータ80を力行させると、モータ・ジェネレータ80のトルクは、セカンダリシャフト51を経由して車輪5に伝達される。このように、車両Veは、エンジン1またはモータ・ジェネレータ80の少なくとも一方を駆動力源として走行可能なハイブリッド車である。これに対して、車両Veが惰力走行する場合は、車両Veの運動エネルギに対応する機械的エネルギが、デファレンシャル4を経由してセカンダリシャフト51に伝達される。ここで、モータ・ジェネレータ80を電動機として起動させ、モータ・ジェネレータ80で得られた電気エネルギを、蓄電装置に蓄電する制御、いわゆる回生制御を実行することも可能である。
つぎに、インプットシャフト2とクランクシャフト6との間におけるトルクの伝達原理およびトルク制御方法、言い換えれば、ラジアルピストンポンプ7におけるトルクの伝達原理、およびラジアルピストンポンプ7における伝達トルクの制御方法を説明し、かつ、ラジアルピストンポンプ7のオイル吸入量およびオイル吐出量の制御について説明する。エンジン1が運転されると、インナーレース8を図3の所定方向、例えば、時計方向に回転させる向きのトルクが発生する。この実施例においては、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間で伝達されるトルクの容量、ラジアルピストンポンプ7におけるオイル吸入量およびオイル吐出量が、以下のようにして制御される。まず、インナーレース8に取り付けられているボール13が、弾性部材15の付勢力により、シリンダ10の外側に向けて付勢されており、押圧インナーレース8が回転すると、ボール13は、アウターレース9のカム面36に沿って転動するとともに、カム面36の半径方向の凹凸形状により、ボール13およびピストン11が、シリンダ10内を軸線B1方向に往復移動する。
ピストン11がシリンダ10内を往復移動することにより、油室14の容積が変化する。すなわち、ピストン11が、軸線B1に沿って外側に動作すると油室14の容積が拡大され、ピストン11が、軸線B1に沿って内側に動作すると油室14の容積が縮小される。油室14の容積が拡大される場合は、油室14が負圧となる。すると、逆止弁24が開いて、オイルパン21のオイルが、吸入油路18および吸入油路16を経由して油室14に吸引される。この場合、逆止弁25が閉じられるため、吐出油路17のオイルが油室14に逆流することはない。
ついで、インナーレース8とアウターレース9との相対回転に連動して、ピストン11が内側に動作すると、油室14の容積が縮小されて、その内部の油圧が上昇する。そして、油室14の油圧が吸入油路16の油圧よりも高圧となった場合は、逆止弁24が閉じられる。その結果、吸入油路16のオイルが油室14に吸入されなくなるとともに、油室14のオイルが吸入油路16に逆流することが防止される。一方、油室14の容積の縮小により、その内部の油圧が吐出油路17の油圧よりも高圧になると、逆止弁25が開く。その結果、油室14のオイルは、吐出油路17および吐出油路19を経由して、吐出制御弁27に供給される。以後、ピストン11が往復運動を繰り返すことにより、ラジアルピストンポンプ7へのオイルの吸入と、ラジアルピストンポンプ7からのオイルの吐出とが、交互に繰り返される。
この実施例においては、ラジアルピストンポンプ7に吸入されるオイル量およびラジアルピストンポンプ7から吐出されるオイル量を、つぎのようにして制御することが可能である。まず、ラジアルピストンポンプ7の油室14に吸入されるオイル量を制御する場合を説明する。前記吸入制御弁70において、図4の右半分に示すように、スプール71が上向きに動作した場合は、吸入制御弁70の開度が増加し、吸入制御弁70および吸入油路18を経由して油室14に吸入されるオイルの流量が増加する。これに対して、図4でスプール71が下向きに動作した場合は、吸入制御弁70の開度が減少し、油室14に吸入されるオイルの流量が減少する。なお、図4で左半分に示すように、吸入ポート77と吐出ポート78とが遮断された場合は、油室14にはオイルが吸入されなくなる。このように、吸入ポート77と吐出ポート78との連通開度を制御することにより、油室14に吸入されるオイル量を調整可能である。
一方、吐出制御弁27においては、吸入ポート32と吐出ポート33との間に形成されたポートC1の断面積(開度)が制御され、ポートC1の断面積に応じて、ラジアルピストンポンプ7におけるオイル吐出量、具体的には、ラジアルピストンポンプ7から油圧制御装置26に供給されるオイル量が制御される。
そして、この実施例においては、ソレノイド30に供給される電力の電流値により、スプール28の動作が制御され、ポートC1の断面積が調整される。このポートC1の断面積に応じて、吐出油路19から油路34に吐出されるオイルの流通抵抗が変化する。具体的には、ポートC1の断面積が拡大されるほど、オイルの流通抵抗が低下し、油室14のオイル量が減少しやすくなる。これに対して、ポートC1の断面積が縮小されるほど、オイルの流通抵抗が増加して、油室14のオイル量が減少しにくくなる。
このようにして、油室14のオイル量を調整可能であり、油室14のオイル量は、シリンダ10におけるピストン11の動作特性に影響を及ぼす。つまり、ピストン11を内側に押圧する力が同じであった場合、油室14の流量が多く油圧が高いほど、ピストン11を内側に動作させるために必要な荷重が増加する。一方、油室14のオイル量が少なく、油室14の油圧が低いほど、ピストン11を内側に動作させるために必要な荷重が低下する。この実施例においては、インナーレース8とアウターレース9とが相対回転することにより、ボール13がカム面36を転動して、アウターレース9からピストン11を内側に押圧する荷重が加えられる構成となっている。
したがって、ピストン11を内側に動作させるために必要な荷重が高くなるほど、インナーレース8とアウターレース9とを相対回転させるために必要な円周方向の荷重が高くなる。つまり、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間で、ラジアルピストンポンプ7を経由して伝達されるトルクの容量が増加する。これに対して、ピストン11を内側に動作させるために必要な荷重が低下するほど、インナーレース8とアウターレース9とを相対回転させるために必要な円周方向の荷重が低くなる。つまり、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間で、ラジアルピストンポンプ7を経由して伝達されるトルクの容量が低下する。
以上のように、図1ないし図5に示された構成によれば、吐出制御弁27または吸入制御弁70の少なくとも一方の開度を制御することにより、油室14のオイル量を制御することができる。したがって、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間で伝達されるトルクの容量を制御することが可能である。なお、ラジアルピストンポンプ7のトルク容量を制御可能であるということは、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間の相対回転数差を制御可能、または、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間における動力伝達効率を制御可能であるともいえる。このように、ラジアルピストンポンプ7は、油圧制御装置26にオイルを供給する機能と、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間における動力伝達状態を制御する機能(伝動装置としての機能)とを兼備している。つまり、単一の機器が、複数の機能を有しているため、伝動装置を新たに設けずに済み、動力伝達装置の部品点数の低減および小型化に寄与することが可能であり、ひいては、動力伝達装置の車載性が向上する。
つぎに、吸入制御弁70の他の構成例を、図6に基づいて説明する。図6の吸入制御弁70において、図4の吸入制御弁70と同じ構成については同じ符号を付してある。図6に示す吸入制御弁70は、スプール71を軸線方向に付勢する油圧が入力される制御圧ポート83が設けられている。この制御圧ポ−ト83の油圧に応じて、スプール71を弾性部材72の付勢力とは逆向きに付勢する力が生じる。つまり、図6に示された吸入制御弁70においては、制御圧ポート83の油圧に応じた付勢力と、弾性部材72の付勢力とに基づいてスプール71が動作し、オイルパン21からラジアルピストンポンプ7の油室14に吸入されるオイル量が制御される。
さらに、制御圧ポート83の油圧を制御する構成について説明する。ソレノイドバルブ84を設け、ソレノイドバルブ84から出力される制御油圧を、制御圧ポート83に伝達する油路85を形成することが可能である。また、ブレーキペダル86の踏力がブレーキブースタ87に伝達されるとともに、ブレーキブースタ87からブレーキマスタシリンダ88に油圧を伝達する油路89を設け、この油路89の油圧を制御圧ポート83に伝達する油路90を設けることも可能である。この図6に示された吸入制御弁70を、図4の吸入制御弁70に替えて用いた場合でも、前述と同様の効果を得られる。また、図6の吸入制御弁70を、油路90の油圧により制御可能に構成した場合は、吸入制御弁70を制御する専用のアクチュエータ、例えばソレノイドバルブなどを設けずに済み、システムの製造コストの上昇を抑制できる。また、ブレーキペダル86に加えられる踏力を、ブレーキブースタ87で増幅して油路90の油圧を得ることができるため、吸入制御弁70の作動信頼性が向上する。
ここで、図1ないし図6の実施例で示された構成と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、クランクシャフト6およびインナーレース8が、この発明の第1の回転部材に相当し、インプットシャフト2およびアウターレース9が、この発明の第2の回転部材に相当し、ラジアルピストンポンプ7が、この発明のオイルポンプに相当し、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間で伝達されるトルクの容量、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間における動力伝達効率、クランクシャフト6とインプットシャフト2との回転数差などが、この発明における「第1の回転部材と第2の回転部材との間における動力伝達状態」に相当し、吸入制御弁70のオイル吸入量が、この発明のオイル吸入状態に相当し、吐出制御弁27のオイル吐出量が、この発明のオイル吐出状態に相当する。上記のように構成された吸入制御弁70の制御例を順次説明する。
(制御例1)
(制御例1)
まず、図4に示された吸入制御弁70および、図6の吸入制御弁70をソレノイドバルブ84により制御する場合に実行可能な制御例を、図7のフローチャートに基づいて説明する。図7のフローチャートは、請求項2および請求項8の発明に相当する制御例である。まず、車両Veが停止し、かつ、パーキングポジションまたはニュートラルポジションが選択され、かつ、エンジン1が始動されている場合(ステップS1)に、車両Veを発進させる操作が実行されたか否かが判断される(ステップS2)。このステップS2の判断時点で、パーキングポジションまたはニュートラルポジションが維持されている場合は、吸入ポート77と吐出ポート78とを遮断するように吸入制御弁70が制御され、(ステップS3)、この制御ルーチンを終了する。これに対して、ステップS2の判断時点で、パーキングポジションまたはニュートラルポジションから、ドライブポジションまたはリバースポジションに変更する操作が実行された場合は、ステップS2で肯定されて、吸入ポート77と吐出ポート78とを連通するように吸入制御弁70が制御され(ステップS4)、この制御ルーチンを終了する。
上記のステップS3のように、吸入ポート77と吐出ポート78とが遮断されると、エンジントルクによりクランクシャフト6とインプットシャフト2とが相対回転した場合でも、油室14にはオイルが吸入されないため、ピストン11が半径方向で外側に向けて動作せず、ピストン11がシリンダ10内に没入した状態に維持される。つまり、クランクシャフト6とインプットシャフト2との間で伝達されるトルク容量が最低となり、エンジントルクは車輪5には伝達されない。
ついで、ステップS2肯定的に判断されて、ステップS4に進んだ場合は、油室14にオイルが吸入されて、ピストン11が半径方向で外側に向けて動作するとともに、油室14の油圧の上昇により、ラジアルピストンポンプ7のトルク容量が増加する。すなわち、動力伝達効率が高まる。このような制御および動作により、エンジン1を駆動力源として車両Veを走行させることが可能な状態となる。
このように、図7の制御例においては、パーキングポジションまたはニュートラルポジションから、ドライブポジションまたはリバースポジションに変更する操作がおこなわれる時点では、ラジアルピストンポンプ7のトルク容量が低く、エンジントルクが車輪5に急激に伝達されることを回避できる。したがって、駆動力が急激に増加することによるショックを低減することが可能である。
ここで、図7に示された機能的手段と、請求項2および請求項8の発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS1ないしステップS4が、この発明の第1の吸入状態制御手段および第5の吸入状態制御手段に相当する。
(制御例2)
(制御例2)
つぎに、図4に示す吸入制御弁70、および図6の示す吸入制御弁70をソレノイドバルブ84で制御する場合に実行可能な他の制御例を、図8のフローチャートに基づいて説明する。図8のフローチャートは、請求項3および請求項9の発明に対応する制御例である。まず、エンジン1が運転され、かつ、ドライブポジションまたはパーキングポジションが選択され、かつ、制動要求が発生している場合(ステップS11)において、車両Veが停止しているか否かが判断される(ステップS12)。このステップS12で肯定的に判断された場合は、吸入ポート77と吐出ポート78とを遮断するように、吸入制御弁70が制御され(ステップS13)、この制御ルーチンを終了する。これに対して、ステップS12で否定的に判断された場合は、吸入ポート77と吐出ポート78とを連通するように、吸入制御弁70が制御され(ステップS14)、この制御ルーチンを終了する。
例えば、エンジン1がアイドリング状態にある場合に、上記のステップS12で肯定的に判断されて、ステップS13の処理が実行されると、油室14にオイルが吸入されずに、ラジアルピストンポンプ7のトルク容量が低下して、クランクシャフト6のトルクはインプットシャフト2には伝達されず、駆動力は発生しない。言い換えれば、車両Veの停止負荷による引き摺りトルクがエンジン1に伝達されることがない。したがって、エンジン1の動力損失の増加を抑制でき、アイドル回転状態にあるエンジン1の燃料消費量が増加することを抑制でき、燃費が向上する。
一方、車両Veが惰力走行していることにより、ステップS12で否定的に判断されてステップS14に進んだ場合は、油室14にオイルが吸入されて、ラジアルピストンポンプ7のトルク容量が増加する。このため、車両Veの運動エネルギに対応する機械的エネルギが、デファレンシャル4およびベルト式無段変速機3およびラジアルピストンポンプ7を経由してエンジン1に伝達されて、エンジン回転数の低下が抑制される。したがって、フューエルカット制御を実行しても、エンジン回転数を所定回転数以上に保持することが可能であり、エンジン1における燃料消費量を削減することができる。
この図8に示された機能的手段と、請求項3および請求項9の発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS11,S12,S13の処理が、この発明の第2の吸入状態制御手段および第6の吸入状態制御手段に相当する。また、ドライブポジションおよびリバースポジションが、この発明の駆動ポジションに相当し、ニュートラルポジションおよびパーキングポジションが、この発明の非駆動ポジションに相当する。
(制御例3)
(制御例3)
つぎに、図4に示す吸入制御弁70を用いる場合、または、図6の示す吸入制御弁70をソレノイドバルブ84で制御する場合、または、図6に示す吸入制御弁70を油路90の油圧により制御する場合に実行可能な制御例を、図9のフローチャートに基づいて説明する。図9のフローチャートは、請求項4および請求項10の発明に対応する制御例である。
まず、車両Veの走行中(ステップS21)に、加速要求の減少、または制動要求の増加のいずれか一方が検知されているか否かが判断される(ステップS22)。このステップS22で肯定的に判断された場合は、モータ・ジェネレータ80で前述した回生制御が実行され、かつ、吸入制御弁70を閉じる制御が実行され(ステップS23)、この制御ルーチンを終了する。前述した図6において、油路90の油圧により吸入制御弁70を制御する構成によれば、ステップS22で制動要求の増加を検知して、吸入制御弁70を閉じる処理を実行可能である。
また、図6において、ソレノイドバルブ84により吸入制御弁70を制御する構成、および図4の吸入制御弁70によれば、ステップS22で制動要求の増加を検知する場合、または加速要求の減少を検知する場合のいずれにおいても、ステップS23で吸入制御弁70を閉じる処理を実行可能である。なお、ステップS22で否定的に判断された場合は、吸入制御弁70を開放する制御を実行し(ステップS24)、この制御ルーチンを終了する。
このように、ステップS23で、モータ・ジェネレータ80の回生制御と並行して吸入制御弁70が閉じられると、ラジアルピストンポンプ7の動力伝達効率が低下して、車両Veの運動エネルギに対応する機械的エネルギがエンジン1に伝達されることを抑制できる。したがって、エンジンブレーキ力が増加することを防止でき、モータ・ジェネレータ80で実行される回生制御の効率を向上(回生エネルギ量の増加)させることが可能である。
ここで、図9に示された機能的手段と、請求項4および請求項10の発明との対応関係を説明すれば、ステップS21,22,S23が、この発明の第3の吸入状態制御手段および第7の吸入状態制御手段に相当する。また、モータ・ジェネレータ80が、この発明の回生装置に相当し、モータ・ジェネレータ80で発生する電気エネルギが、この発明の「他のエネルギ」に相当する。
(制御例4)
(制御例4)
つぎに、図4に示す吸入制御弁70を用いる場合、または、図6の示す吸入制御弁70をソレノイドバルブ84で制御する場合に実行可能な制御例を、図10のフローチャートに基づいて説明する。図10のフローチャートは、請求項5および請求項11の発明に対応する制御例である。まず、制動要求がある場合(ステップS31)に、加速要求があるか否かが判断される(ステップS32)。このステップS32で否定的に判断された場合は、車両Veが登坂路に位置しているか否かが、道路勾配センサの信号により判断される(ステップS33)。このステップS33で肯定的に判断された場合は、吸入制御弁70を開放する制御が実行され(ステップS34)、この制御ルーチンを終了する。このステップS34の制御により、油室14にオイルが吸入されて、ラジアルピストンポンプ7のトルク容量が増加して、エンジントルクが車輪5に伝達されて駆動力が発生する。したがって、車両Veが登坂路で後退してしまうことを防止でき、ドライバビリティが向上する。
一方、ステップS33で否定的に判断された場合は、駆動力を発生させる必要がないため、吸入制御弁70が閉じられ(ステップS35)、この制御ルーチンを終了する。つまり、油室14にはオイルが吸入されず、ラジアルピストンポンプ7のトルク容量が最低値に維持され、エンジントルクは車輪5には伝達されない。
上記のように、ステップS35を経由して制御が終了し、再度、ステップS32に進み、ステップS32で肯定的に判断された場合は、ステップS34に進む。このように、制動要求があっても、ステップS31ステップS32で肯定的に判断されるということは、駆動力を増加する必要がある。例えば、坂道でブレーキを踏んで車両Veが停止している場合に、車両Veが発進するために、ブレーキペダルを踏んだまま、アクセルペダルをも踏むような場合が、これに相当する。このような場合もステップS34に進み、前述と同じ効果を得られる。このように、ステップS32,S33は、異なる判断基準より、登坂路(坂道)か否かを判断している。
ここで、図10に示された機能的手段と、請求項5および請求項11の発明の構成との対応関係を説明すると、ステップS31,S32,S33,S34が、この発明の第4の吸入状態制御手段および第8の吸入状態制御手段に相当する。
(制御例5)
(制御例5)
つぎに、吐出制御弁27および吸入制御弁70の両方を制御するフローチャートを、図11に基づいて説明する。図11のフローチャートは、図4に示す吸入制御弁70を用いる構成、または、図6の示すように、吸入制御弁70をソレノイドバルブ84で制御する構成において実行可能である。この図11のフローチャートは、請求項6および請求項7の発明に対応する制御例である。
まず、ニュートラルポジションまたはパーキングポジションが選択され、かつ、車両Veが停止しているか否かが判断され(ステップS41)、このステップS41で否定的に判断された場合は、このステップS41を繰り返す。このステップS41で肯定的に判断された場合は、吸入制御弁70が閉じられているか否かが判断される(ステップS42)。このステップS42で否定的に判断された場合は、この制御ルーチンを終了する。これに対して、ステップS42で肯定的に判断された場合は、車両Veを発進させる操作が開始されたか否かが判断される(ステップS43)。ここで、ニュートラルポジションまたはパーキングポジションが維持され、かつ、ブレーキペダルが踏まれている場合は、ステップS43で否定的に判断されて、ステップS42に戻る。
これに対して、ニュートラルポジションまたはパーキングポジションから、ドライブポジションに変更され、かつ、ブレーキペダルが戻された場合は、ステップS43で肯定的に判断されて、吐出制御弁27が閉じられる(ステップS44)。さらに、吸入制御弁70が開放されるとともに(ステップS45)、アクセルペダルが踏み込まれると、吐出制御弁27が開放され、かつ、吸入制御弁70の制御により油室14のオイル量が制御され(ステップS46)、この制御ルーチンを終了する。
ここで、図11の制御の技術的意義を具体的に説明する。前述のように、ニュートラルポジションまたはパーキングポジションが選択されて車両Veが停止すると、吸入制御弁70が閉じられ、かつ、吐出制御弁27が開放されて、油室14のオイル量が減少する。すると、クランクシャフト6とインプットシャフト2との円周方向の位置関係によっては、図12に示すように、ボール13が、カム面36であって内側に突出した部分の略中央と同じ位相となって、クランクシャフト6とインプットシャフト2とが停止する場合がある。ボール13は二点鎖線で示すように、カム面36に沿って転動しているため、カム面36から半径方向で内側に向けた力がボール13に対して加えられており、ボール13の転動の慣性力によって、ボール13が実線で示すようにカム面36から離れる可能性がある。ここで、前述のように、吸入制御弁70が閉じられていると、前述と同様の原理により、ピストン11がシリンダ10内に没入した位置で停止する。その結果、ボール13とカム面36との間に隙間L1が形成された状態で、クランクシャフト6とインプットシャフト2とが停止する可能性がある。
ついで、車両Veを発進させる操作が開始された場合は、ステップS43で肯定的に判断されて、吸入制御弁70が開放されるため、弾性部材15の付勢力によってピストン11が外側に向けて動作し、図13に示すように、ボール13がカム面36に接触する。そして、ステップS46のように、アクセルペダルが踏み込まれて、吐出制御弁27が解放され、吸入制御弁70により油室14のオイル量が調整される。このアクセルペダルの踏み込みにより、エンジントルクが上昇するとともに、吸入制御弁70の開度が増加されて、油室14の油圧が一層上昇する。その結果、エンジントルクがクランクシャフト6に伝達されて、クランクシャフト6とインプットシャフト2とが相対回転し、ボール13がカム面36に沿って転動するか、もしくは、クランクシャフト6とインプットシャフト2とが一体回転することにより、車輪5にトルクが伝達されて車両Veが発進する。
このように、図11の制御例を実行すると、車両Veが停止し、かつ、吸入制御弁70が閉じられて、ボール13とカム面36と間に隙間L1が形成された状態で、クランクシャフト6とインプットシャフト2が共に停止した後、車両Veを発進させる操作が開始された場合は、吐出制御弁27を閉じ、かつ、吸入制御弁70を開放させることにより、油室14の油圧が上昇されてピストン11が外側に動作し、ボール13がカム面36に接触される。つまり、アクセルペダルが踏み込まれてクランクシャフト6に伝達されるトルクが増加する前に、ボール13がカム面36に接触される。
したがって、「アクセルペダルが踏み込まれてクランクシャフト6に伝達されるトルクが増加して、クランクシャフト6とインプットシャフト2とが相対回転し、隙間L1が大きくなった時点で、油室14の油圧が上昇してピストン11が外側に動作し、ボール13がカム面36に衝突して騒音が生じる。」という不都合を未然に防止することが可能である。さらに、ピストン11およびボール13およびカム面36の耐久性が低下することを抑制できる。ここで、図11に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS41ないしステップS46が、この発明の複合制御手段に相当する。また、ニュートラルポジションまたはパーキングポジションから、ドライブポジションに変更され、かつ、ブレーキペダルが戻された場合が、この発明の「車両を発進させる操作がおこなわれた場合」に相当する。
また、この実施例において、「吸入制御弁を閉じる」には、吸入制御弁70の吐出ポート78を全閉にすること、吸入制御弁70の吐出ポート78の開度を減少させること(または開口面積を縮小すること)が含まれる。つまり、吸入制御弁70が全閉でない場合も含まれる。さらに、この実施例において、「吸入制御弁を開放する」には、吸入制御弁70の吐出ポート78を全開にすること、吸入制御弁70の吐出ポート78の開度を増加させること(または開口面積を拡大すること)が含まれる。つまり、吸入制御弁70が全開でない場合も含まれる。
なお、制御例1ないし制御例5のうち、複数の制御例を組み合わせて実行することも可能である。また、特に図示していないが、モータ・ジェネレータのロータを、インプットシャフト2と一体回転するように構成した動力伝達装置においても、制御例3を実行可能である。さらに、制御例1、制御例2、制御例4、制御例5は、モータ・ジェネレータを設けていない車両でも実行可能である。
1…エンジン、 2…インプットシャフト、 6…クランクシャフト、 7…ラジアルピストンポンプ、 8…インナーレース、 9…アウターレース、 11…ピストン、 14…油室、 27…吐出制御弁、 70…吸入制御弁、 80…モータ・ジェネレータ、 Ve…車両。
Claims (11)
- 動力伝達経路に第1の回転部材および第2の回転部材が配置され、かつ、前記第1の回転部材と第2の回転部材との相対回転により駆動されるオイルポンプが設けられている動力伝達装置において、
前記オイルポンプが、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との相対回転に連動して動作し、かつ、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材とを動力伝達可能に連結するピストンと、このピストンの動作を制御する油室と、この油室におけるオイルの吸入状態を制御することにより、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間における動力伝達状態を制御する吸入制御弁とを有していることを特徴とする動力伝達装置。 - 車輪に接続される動力伝達経路に、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材および前記オイルポンプを配置した車両が設けられており、
この車両を発進させる操作がおこなわれる前は、前記油室に吸入されるオイル量を減少させるように、前記吸入制御弁を閉じる一方、前記車両を発進させる操作がおこなわれた場合は、前記油室に吸入されるオイル量を増加させるように、前記吸入制御弁を開放する第1の吸入状態制御手段を、更に有していることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。 - エンジンから車輪に至る動力伝達経路に、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材および前記オイルポンプを配置した車両が設けられており、この車両は、前記動力伝達経路で動力伝達をおこなうことの可能な駆動ポジションと、前記動力伝達経路で動力伝達をおこなうことの不可能な非駆動ポジションとを選択的に切り換え可能な構成を有しており、
前記駆動ポジションが選択され、かつ、前記車両に対する制動要求がある場合に、前記油室に吸入されるオイル量を減少させるように、前記吸入制御弁を閉じる第2の吸入状態制御手段を、更に有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の動力伝達装置。 - 前記オイルポンプと前記車輪との間の動力伝達経路に、機械的エネルギを他のエネルギに変換する回生装置が設けられており、
前記車両の惰力走行にともなう機械的エネルギを回生装置で他のエネルギに変換する場合に、前記油室に吸入されるオイル量を減少させるように、前記吸入制御弁を閉じる第3の吸入状態制御手段を、更に有していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の動力伝達装置。 - エンジンから車輪に至る動力伝達経路に前記第1の回転部材および前記第2の回転部材および前記オイルポンプが配置された車両が設けられており、この車両が登坂路にある場合は、前記油室に吸入されるオイル量を増加させるように、前記吸入制御弁を開放する第4の吸入状態制御手段を、更に有していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の動力伝達装置。
- 前記オイルポンプにおけるオイル吐出状態を制御する吐出制御弁が、更に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の動力伝達装置。
- 前記ピストンが前記第2の回転部材に形成されているカム面に沿って動作することにより、前記ピストンが前記第1の回転部材および前記第2の回転部材の半径方向に動作するように構成されているとともに、
前記第1の回転部材および前記第2の回転部材および前記オイルポンプを有する車両が停止し、かつ、前記吸入制御弁が閉じられている場合に、前記車両を発進させる操作がおこなわれた場合は、前記オイルポンプのオイル吐出状態を制御する吐出制御弁を閉じ、かつ、前記吸入制御弁を開放させ、ついで、前記吐出制御弁を開放させる複合制御手段を、更に有していることを特徴とする請求項2または請求項6に記載の動力伝達装置。 - 車輪に接続される動力伝達経路に、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材および前記オイルポンプを配置した車両が設けられており、
この車両を発進させる操作がおこなわれる前は、前記油室に吸入されるオイル量を減少させて、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間における動力伝達効率を低下させるように、前記吸入制御弁を閉じる一方、前記車両を発進させる操作がおこなわれた場合は、前記油室に吸入されるオイル量を増加させて、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間における動力伝達効率を高めるように、前記吸入制御弁を開放する第5の吸入状態制御手段を、更に有していることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。 - エンジンから車輪に至る動力伝達経路に、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材および前記オイルポンプを配置した車両が設けられており、この車両は、前記動力伝達経路で動力伝達をおこなうことの可能な駆動ポジションと、前記動力伝達経路で動力伝達をおこなうことの不可能な非駆動ポジションとを選択的に切り換え可能な構成を有しており、
前記駆動ポジションが選択され、かつ、前記車両に対する制動要求がある場合に、前記油室に吸入されるオイル量を減少させて、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間における動力伝達効率を低下させるように、前記吸入制御弁を閉じる第6の吸入状態制御手段を、更に有していることを特徴とする請求項1または請求項8に記載の動力伝達装置。 - 前記オイルポンプと前記車輪との間の動力伝達経路に、機械的エネルギを他のエネルギに変換する回生装置が設けられており、
前記車両の惰力走行にともなう機械的エネルギを回生装置で他のエネルギに変換する場合に、前記油室に吸入されるオイル量を減少させて前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間における動力伝達効率を低下させるように、前記吸入制御弁を閉じる第7の吸入状態制御手段を、更に有していることを特徴とする請求項1または請求項8または請求項9に記載の動力伝達装置。 - エンジンから車輪に至る動力伝達経路に前記第1の回転部材および前記第2の回転部材および前記オイルポンプが配置された車両が設けられており、この車両が登坂路にある場合は、前記油室に吸入されるオイル量を増加させて、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間における動力伝達効率を高めるように、前記吸入制御弁を開放する第8の吸入状態制御手段を、更に有していることを特徴とする請求項1または請求項8または請求項9または請求項10に記載の動力伝達装置。
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JP2004297880A JP2006112459A (ja) | 2004-10-12 | 2004-10-12 | 動力伝達装置 |
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JP2006112459A true JP2006112459A (ja) | 2006-04-27 |
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2004
- 2004-10-12 JP JP2004297880A patent/JP2006112459A/ja active Pending
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