JP2007053909A - 鶏唐揚の製造方法 - Google Patents

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諭 野村
Toshiyuki Miyazaki
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Abstract

【課題】油揚げ直後はもとより、一度油揚げし、冷凍保管した後に油揚げ等で再加熱しても、柔らかく、肉汁が保持されたジューシー感に富む鶏唐揚の提供。
【解決手段】鶏肉に皮を除去したバナナ磨砕物を付着させた後、油揚げすることを特徴とする鶏唐揚の製造方法。又、鶏肉に対し、バナナ磨砕物と共にパイナップル磨砕物を付着させた後、油揚げすることを特徴とする鶏唐揚の製造方法。更に、上記鶏唐揚を冷凍する冷凍鶏唐揚の製造方法も含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、柔らかく、肉汁が保持されたジューシー感に富む鶏唐揚の製造法に関する。
従来、パパイヤやパイナップル等の果汁に肉を浸して、それら果汁に含まれる蛋白質分解酵素の作用により肉を軟化させる方法が知られている。例えば、特許文献1には、パパイヤ由来のパパイン蛋白分解酵素を唐揚粉に配合して肉質を柔らかくし、ジューシー感に富む唐揚を製造する方法が開示されている。
また、特許文献2には、パパイヤ又はパイナップルの果汁に焼酎等のアルコールを混ぜ、所定時間放置後、抽出液を晒し等で搾り、この搾り汁に苦汁等の凝固剤を加え固めて上澄み液を採取し、この上澄み液を含有する漬け汁に肉を漬け、唐揚げ粉をまぶして油で揚げることにより、肉を柔らかくすると共に果実の色や匂いが肉に付くのを防止する唐揚げの製造法が開示されている。
しかしながら、いずれの方法によっても、一度油揚げし、冷凍保管した後に再油揚げして得られる鶏唐揚の場合には、衣が硬く揚げ色が濃くなってしまい、油揚げ直後と同様の柔らかく、ジューシー感に富む鶏唐揚を得ることは難しいのが実状であった。
特開平5−252911号公報 特開2004−329069号公報
本発明は、上記の如き従来の実状に鑑みてなされたものであり、油揚げ直後はもとより、一度油揚げし、冷凍保管した後に油揚げ等で再加熱しても、柔らかく、肉汁が保持されたジューシー感に富む鶏唐揚を提供することを課題とする。
本発明者は、当該課題を解決すべく種々の果実の肉質軟化作用について鋭意検討を行った結果、バナナの磨砕物を用いれば、油揚げ直後だけでなく、一度油揚げし、冷凍保管した後に再加熱しても、肉質が柔らかく、肉汁が保持されたジューシー感に富む鶏唐揚が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、鶏肉に皮を除去したバナナ磨砕物を付着させた後、油揚げすることを特徴とする鶏唐揚の製造方法により上記課題を解決したものである。
本発明によれば、肉質が軟化され、油揚げ直後の鶏肉中に肉汁を保持することができるので、ジューシーで柔らかい鶏唐揚を得ることができる。しかも、一度油揚げし、冷凍保管した後に再加熱した場合でも、斯かる特質を有するので、特に冷凍経時耐性に優れた鶏唐揚を得ることができる。
本発明の鶏唐揚は、カットした鶏肉に皮を除去したバナナ磨砕物を付着させ、次いで必要により調味液に浸漬した後、これに衣付けして油揚げすることにより得られる。
以下、各工程について具体的に説明する。
本発明の鶏唐揚に用いられる鶏肉としては、生肉をそのまま、あるいは冷凍後解凍したもの等何れにも好適に用いることができる。カット後の鶏肉の大きさは、扱いやすさを考慮して一口大、すなわち25g程度とするのが好ましい。
本発明に用いられるバナナ磨砕物は、バナナを剥皮処理した後、例えば卓上型ミキサー、フードプロセッサー等により磨砕することで得られる。原料となるバナナは、特に制限されないが、良く熟し、スウィートスポットが発現しているものを用いるのが好ましい。
カットした鶏肉にバナナ磨砕物を付着させる方法としては、特に限定されないが、バナナ磨砕物に水を添加混合して調製したものをまぶす方法がバナナ磨砕物を肉に均一に付着することができるので望ましい。
バナナ磨砕物は、鶏肉に対し、0.1〜0.4質量%、特に0.2〜0.3質量%付着させるのが好ましい。0.1質量%より少ないと肉への軟化作用は十分ではなく、他方0.4質量%を超えると肉質が柔らかくなりすぎ、衣が黒ずみ易くなる。
また、水は、鶏肉に対し、1.5〜4.0質量%添加するのが好ましい。
本発明において、バナナ磨砕物は、さらにパイナップル磨砕物と共に用いるのが好ましい。バナナ磨砕物とパイナップル磨砕物を併用することで、油揚げ後における鶏唐揚の衣の黒ずみ、ねちゃつき感を防止することができる。一方、パイナップル磨砕物のみを用いると、油揚げ後の鶏唐揚にパイナップル臭さが残り、また衣に硬さが生じ易くなる。
パイナップル磨砕物は、バナナ磨砕物と同様に皮部を除去後、適宜磨砕することで得られる。
パイナップル磨砕物は、鶏肉に対し、0.2〜0.6質量%、特に0.3〜0.5質量%付着させるのが好ましい。
また、バナナ磨砕物やパイナップル磨砕物の付着の際には、必要に応じて、更にニンニクや生姜等の香辛料を加えてもよい。これらの香辛料を使用する場合には、予めバナナ磨砕物に水と共に添加混合して調製するのが好ましい。これらの香辛料を添加することで、より肉に味が染み込み易くなる。ニンニクを加える場合、鶏肉に対し、0.4〜1.4質量%付着させるのが好ましく、生姜も同量の0.4〜1.4質量%付着させるのが好ましい。なお、ニンニクや生姜等の香辛料は、バナナ磨砕物やパイナップル磨砕物の付着の際に加えるのではなく、次工程において用いる調味液に添加してもよい。
バナナ磨砕物等を付着させた後は、20〜40分間程度放置するのが好ましい。
次いで、バナナ磨砕物等を付着させた鶏肉を必要により、下味付けのため調味液に浸漬する。その時間は例えば30分間程度が好ましい。また、タンブリング処理を施してもよく、その場合の処理時間は30〜50分間程度である。タンブリング処理は、通常用いられる調味液に肉塊を浸してドラムに投入し、これを回転させることで肉塊に味を染み込ませる処理のことで、鶏唐揚げやステーキ肉等の前処理を工業的に行う際に用いられている操作である。タンブリング処理は常圧下、あるいは肉中心への調味液の染み込み速度を早める点から、ドラム内を2.6×104〜5.3×104Pa程度に減圧して行うのが好ましい。
調味液としては、特に制限されず、醤油、酒、味醂、砂糖等の原料を混ぜたものを用いることができ、上述したようにニンニクや生姜等の香辛料を添加してもよい。
調味液に浸漬あるいはタンブリング処理を施した鶏肉は、1時間程度放置するのが好ましい。
次いで、調味液で下味付けされた鶏肉に、必要に応じて打ち粉をし、バッター液を付着させて衣付けする。ここで、打ち粉としては特に制限されず、一般に使用される片栗粉や馬鈴薯澱粉が挙げられるが、衣の脱落防止や油揚げ後の色調・食感の点から、特にタピオカ澱粉、卵白粉を添加したものが好適に用いられる。バッター液としては、小麦粉、澱粉、糖類、粉乳類、香辛料等を混合したバッター粉に適宜水や液卵を加え攪拌して調製したもの、あるいは液卵を用いることができる。
次いで、衣付けした鶏肉を170〜180℃の油中で4〜5分間油揚げ処理することで鶏唐揚を得ることができる。この条件により得られた鶏唐揚は、油揚げ後にそのまま喫食するのに適している。
また、衣付けした鶏肉を170℃程度で約1分間油揚げ(プリフライ)した後、スチームコンベクションオーブン(加熱加湿オーブン)を用いて追加熱することもできる。スチームコンベクションオーブンで追加熱することにより余分な油が抜けるため、高品質な鶏唐揚を得ることができる。この条件により得られた鶏唐揚は、常法により凍結して冷凍保管しから油揚げ処理(例えば170℃、4分間)等により再加熱して喫食状態とするのに適している。
以下、本発明について実施例をあげて具体的に説明するが、本発明はこれらによって何等限定されるものではない。
実施例1−4
鶏肉を一口大の大きさにカットしたもの(1ヶ約25g)を各1,000gずつ計4,000g用意した。他方、表1に示した原料を用いてそれぞれバナナ磨砕物含有混合物を調製した。ここで、バナナ磨砕物としては、果実から皮を剥いたものを磨砕してピューレ状にしたものを用いた。次いで、カットした各鶏肉1,000gに前記混合物をそれぞれ万遍なくまぶし、30分間放置した。
次いで、各鶏肉を、表2に示した組成の調味液に浸漬して、30分間タンブリング処理を行った。尚、ドラム内の圧力は4.0×104Paとした。
次いで、各鶏肉の表面にそれぞれ表3に示した打ち粉をまんべんなくふり、さらに表4に示したバッターを均一に付着させた。
次いで、各鶏肉をそれぞれ170℃の油中で4分30秒間油揚げしてそれぞれ鶏唐揚を得た。
比較例1
バナナ磨砕物を付着せしめなかった以外は上記実施例1と同様にして鶏唐揚を得た。
比較例2
バナナ磨砕物に代えてパイナップル磨砕物を付着せしめた以外は上記実施例1と同様にして鶏唐揚を得た。
評価1
実施例1−4並びに比較例1、2で得られた鶏唐揚を、下記の評価基準に従い、パネラー10名により評価した。その評価結果を表5に示す。なお、評価は10名の評価点の合計値を記した。
<肉の食感>
柔らかいもの最高点を10点、
硬いもの最低点を1点とした。
<肉汁>
肉汁が多くジューシーなもの最高点を10点、
肉汁が少なくパサパサしたもの最低点を1点とした。
<衣の色調>
明るく鮮やかなもの最高点を10点、
色調が悪くくすんだもの最低点を1点とし、
<衣の食感>
サクッとソフトなもの最高点を10点、
くちゃついたもの最低点を1点とした。
実施例5−8
実施例1−4と同様にしてバッターを付着させて得た各鶏肉を170℃で1分間油揚げした後、スチームコンベクションオーブンにて130℃で7分間加熱した。さらにそれらをそれぞれ急速凍結してから冷凍保管し、1週間後に170℃で4分間油揚げして、それぞれの鶏唐揚を得た。
比較例3、4
比較例1及び2と同様にしてバッターを付着させて得た各鶏肉を170℃で1分間油揚げした後、スチームコンベクションオーブンにて130℃で7分間加熱した。さらにそれらをそれぞれ急速凍結してから冷凍保管し、1週間後に170℃で4分間油揚げして、それぞれの鶏唐揚を得た。
評価2
実施例5−8および比較例3、4で得られた鶏唐揚を、上記と同様の評価基準に従い、パネラー10名により評価した。その評価結果を表6に示す。なお、評価は10名の評価点の合計値を記した。
上記結果より、バナナ磨砕物を鶏肉に付着させると肉質を軟化させ、鶏肉中に肉汁を保持することができるので、油揚げ後も柔らかい食感を持ち肉汁のたっぷり残ったジューシーな鶏唐揚が得られることが確認された。
また、上記効果は、プリフライ後、スチームコンベクションオーブンで追加熱し、凍結して冷凍保管しから油揚げ等の再加熱して喫食状態とするタイプの鶏唐揚においても同様に認められ、冷凍経時耐性のある鶏唐揚を得られることが確認された。つまり、これは2度の油揚げ工程を経るような鶏唐揚にも好適である。
また、バナナ磨砕物とパイナップル磨砕物を併用すると、衣の色調が向上し、くすみの少ないものとなり、衣の食感もサクッとソフトな良好なものとなることが確認された。

Claims (6)

  1. 鶏肉に皮を除去したバナナ磨砕物を付着させた後、油揚げすることを特徴とする鶏唐揚の製造方法。
  2. バナナ磨砕物を水に添加混合して付着させることを特徴とする請求項1記載の鶏唐揚の製造方法。
  3. 鶏肉に対し、バナナ磨砕物を0.1〜0.4質量%付着させることを特徴とする請求項1又は2記載の鶏唐揚の製造方法。
  4. バナナ磨砕物と共に、パイナップル磨砕物を付着させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の鶏唐揚の製造方法。
  5. 鶏肉に対し、パイナップル磨砕物を0.2〜0.6質量%付着させることを特徴とする請求項4記載の鶏唐揚の製造方法。
  6. 請求項1〜5で得られた鶏唐揚を冷凍することを特徴とする冷凍鶏唐揚の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009095323A (ja) * 2007-10-19 2009-05-07 Ajinomoto Co Inc 冷凍鶏唐揚げ用下処理液及び冷凍鶏唐揚げ並びに冷凍鶏唐揚げの製造方法
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