JP2007047053A - 透過電子顕微鏡観察用試料作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】一度に多くのミクロン以上〜100μm以下の粉末、またはサブミクロンの粉末を短時間に加工することのできるTEM観察用試料作製方法を提供する。
【解決手段】粉末を透過電子顕微鏡観察用試料に加工する方法において、粉末を樹脂に混合しこの組成物をTEMに挿入できる大きさの単孔もしくは多孔シートメッシュの孔に充填して硬化し、硬化後組成物の断面を出すように半分に切断し、さらに集束イオンビーム加工装置で断面側からイオンビームを当てて薄片化する。使用する単孔もしくは多孔シートメッシュの厚さまたは挿入した組成物の厚さが50μm以下であることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】粉末を透過電子顕微鏡観察用試料に加工する方法において、粉末を樹脂に混合しこの組成物をTEMに挿入できる大きさの単孔もしくは多孔シートメッシュの孔に充填して硬化し、硬化後組成物の断面を出すように半分に切断し、さらに集束イオンビーム加工装置で断面側からイオンビームを当てて薄片化する。使用する単孔もしくは多孔シートメッシュの厚さまたは挿入した組成物の厚さが50μm以下であることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、集束イオンビーム加工装置(以下、FIB)を用いて、粉末を透過電子顕微鏡(以下、TEM)観察用に加工する方法において、一度に多くの粉末を短時間に加工することのできる透過電子顕微鏡観察用試料作製方法に関する。
近年、電子材料や機能材料で使用される粉末材料の多くは高機能化するに従いより微細かつ複雑な構造を有するものが多く開発されている。これらの開発には、ミクロンオーダーからナノオーダーの領域へとより微細な領域の解析が必要であり、更なる技術の向上が求められている。このような原子レベルに近い微細構造の解析にはTEMが用いられることが多いが、TEMで観察するには試料を数千オングストローム以下の厚さまで薄片化する必要があり、試料作製に多大な労力と時間を要している。
TEM観察用試料の作製方法には、Arイオンを試料に照射し薄片化する方法(以下、イオンシニング法と記す)などがよく用いられていた。しかし、粉末材料などの試料では適応することが難しく、機械的な応力が問題になるがミクロトーム法などがつかわれることが多かった。最近ではGaイオンを利用したFIB装置が開発され、粉末材料であっても均一な試料を作製することが比較的簡単にできるようになった。
バルク試料の場合においてFIBを用いたTEM観察用試料作製方法は、FIBで加工し易い30〜50μm程度の厚さまでダイシングソーなどにより粗加工してからFIBで薄片試料を作製する方法と、例えば特開平11−108813号公報に記載のような、バルク試料から所望の特定部位を含む試料片のみを摘出して、試料キャリヤにFIB照射によって形成するデポジション膜を用いて固定し、分析装置の試料ステージに装着するいわゆるマイクロサンプリング法、更にはTEM観察できる厚さまでFIBで加工後マニュピレータを用いて薄片を摘出し支持膜付きのシートメッシュにのせるリフトアウト法などが一般的に用いられている。この内、粉末試料に応用できる手法としてはマイクロサンプリング法が、最も優れた手法である。
特開平11−108813号公報
しかし、マイクロサンプリング法で作製できる試料の大きさは数μm程度であり、それより大きな粉末や、逆にサブμm領域の粒子では摘出することが困難である。また、粒子一つづつしか薄片化することができないため、複数の粒子を観察する場合は何度も摘出しFIB加工する必要性があった。
そこで、本発明は、一度に多くのミクロン以上〜100μm以下の粉末、またはサブミクロンの粉末を短時間に加工することのできるTEM観察用試料作製方法を提供するものである。
上記課題を解決するための本発明の方法は、粉末を樹脂に混合しこの組成物をTEMに挿入できる大きさの単孔もしくは多孔メッシュの孔に充填して硬化後半分に切断し、さらに集束イオンビーム加工装置で薄片化するものである。
本発明による試料作製方法を用いれば、一度に多くの粉末を短時間にTEM観察用試料として加工することができる。
使用する単孔シートメッシュ(図1)もしくは多孔シートメッシュ(図2)は以下の形態のもの用いる。シートメッシュの大きさはTEMの試料ホルダーに挿入できる外周径であれば良い。また、シートメッシュの孔の形状、大きさは特に限定されずTEM観察で必要とされる形態であれば良い。使用するシートメッシュの材質は一般に使用されているモリブデンや銅などの金属および合金や、炭素、高分子材料など試料片を支持できる強度を有するものであれば特に限定されない。
ここで、例として、単孔シートメッシュを図1を参照して説明すると、円形のシートメッシュ10は、3mmの直径を有し、中央に直径1mmの円形の孔12が形成されおり、その厚さは30〜50μmである。また、例として、多孔シートメッシュを図2を参照して説明すると、円形のシートメッシュ20は3mmの直径を有し、多数の一辺が200〜300μmの正方形の孔が整列して形成されており、その厚さは30〜50μmである。これらの孔は、円形または正方形である必要はなく、任意の適切な形状でよい。
シートメッシュに充填する組成物の組成は、粉末試料と樹脂の混合物であるが、粉末試料を樹脂に体積比で1:1以上混合した方が、TEM観察の際より多くの粒子を観察できため望ましい。ただし、シートメッシュに充填する際に、粉末試料が多すぎて組成物が硬くなり十分に充填できなくなることは避けたいため、ある程度の粘性を持った状態を維持できる粉末量が好ましい。
また、分散剤や滑剤を同時に添加することでより多くの粉末を分散することが可能である。混合方法としては手動もしくは混合機、混練機等の装置を使うことができ、試料に対するダメージや分散不足などが無ければ特に限定されない。
また、使用する樹脂は、混合時に液体もしくはゲル状であり、粉末と混合できる状態の物であれば良い。
したがって、試料を混合する雰囲気下において液体もしくはゲル状である常温硬化、加熱硬化型のエポキシ、例えば、ポリエステルなどの樹脂や接着剤、UV照射により硬化するUV樹脂などが好ましいと考えられる。これらの樹脂の種類は特に限定されず、FIB加工、TEM観察において支障がない強度や粉末に化学的な作用を及ぼさないものであれば良い。
組成物のメッシュへの充填は、シートメッシュとの隙間が無く気泡などを取り込まないようにする。巻き込んだ気泡などは真空中に保持するなどして脱泡する。また、シートメッシュの面より多く盛り上がってしまった部分は、樹脂が硬化した後、TEMの前処理で通常使用しているトリミングナイフやアートナイフ、研磨紙などにより取り除く(図3)。もし、取り除かない場合、FIBで薄片化する際に余分な部分を削る必要があり加工に時間を要してしまうため発明の目的を達成することができない。また、シートメッシュの厚さまたは挿入された樹脂組成物の厚さが50μmを越えると、切削加工の時間が長くなるのでよくない。
ここで、図3は、単孔シートメッシュ10への組成物14の充填と、充填後の切削を説明するためのものであり、充填後、組成物14がシートメッシュ10と同一面になるように切削されて組成物14aとなる。
組成物が硬化した後、FIB加工できるように、すなわち、組成物の断面がでるように、シートメッシュを半分に切断する(図4)。このとき使用する工具は特に限定されないが、試料に対してダメージを与えない物でなくてはならない。望ましくは、トリミングナイフやアートナイフを用いると良い。図4は、図3の単孔シートメッシュを半分に切断する状態を示し、半分に切断された組成物14bを持つ半分に切断されたシートメッシュ10aが得られる。図5は、組成物24が充填された多孔シートメッシュ20を半分に切断した状態を示す。
次に本発明の実施例について述べる。
実施例:
シートメッシュとして内径が0.8mmΦ、外形が3mmΦ、厚さが30μm、材質が銅製の市販のTEM観察用単孔シートメッシュを用意した。粉末と混合する樹脂としてコニシ株式会社製の商品名:クイック5(エポキシ樹脂)を用い、平均粒径が0.5μmのNi粉を体積比で1:1で混合し組成物とした。この組成物をシートメッシュの孔に充填して真空中で樹脂を硬化した。樹脂が硬化後、シートメッシュの面より盛り上がっている部分をシートメッシュの裏表とも応研商事株式会社で販売しているトリミング用カミソリ(ステンレススチール製)を使用して削り、さらに同じカミソリを用いてシートメッシュを半分に切断した。
実施例:
シートメッシュとして内径が0.8mmΦ、外形が3mmΦ、厚さが30μm、材質が銅製の市販のTEM観察用単孔シートメッシュを用意した。粉末と混合する樹脂としてコニシ株式会社製の商品名:クイック5(エポキシ樹脂)を用い、平均粒径が0.5μmのNi粉を体積比で1:1で混合し組成物とした。この組成物をシートメッシュの孔に充填して真空中で樹脂を硬化した。樹脂が硬化後、シートメッシュの面より盛り上がっている部分をシートメッシュの裏表とも応研商事株式会社で販売しているトリミング用カミソリ(ステンレススチール製)を使用して削り、さらに同じカミソリを用いてシートメッシュを半分に切断した。
出来上がった試料の厚さをFIB内で測定したところ、25μm程度になっていることが確認された。この試料を、TEM観察用におよそ厚さ100nm、幅10μm、高さ20μmに加工する時間は45分であった。加工は断面側からイオンビームを当てることによって薄片化することによって行なった。図6、図7は、得られたTEM観察用試料24aを示す断面図および斜視図である。
比較例:
樹脂が硬化後シートメッシュの面より盛り上がっている部分を取り除かなかった以外は、実施例1と同様に行った。
比較例:
樹脂が硬化後シートメッシュの面より盛り上がっている部分を取り除かなかった以外は、実施例1と同様に行った。
出来上がった試料の厚さをFIB内で測定したところ、100μm程度になっていることが確認された。この試料を、TEM観察用におよそ厚さ100nm、幅10μm、高さ20μmに加工する時間は190分であり、加工する領域が増え、試料加工に要する時間が非常に多くなった。
10 単孔シートメッシュ
12 孔
14 組成物
20 多孔シートメッシュ
22 孔
24 組成物
12 孔
14 組成物
20 多孔シートメッシュ
22 孔
24 組成物
Claims (2)
- 粉末を透過電子顕微鏡観察用試料に加工する方法において、粉末を樹脂に混合しこの組成物をTEMに挿入できる大きさの単孔もしくは多孔シートメッシュの孔に充填して硬化し、硬化後組成物の断面を出すように半分に切断し、さらに集束イオンビーム加工装置で断面側からイオンビームを当てて薄片化することを特徴とする透過電子顕微鏡観察用試料作製方法。
- 使用する単孔もしくは多孔シートメッシュの厚さまたは挿入した組成物の厚さが50μm以下であることを特徴とする請求項1記載の透過電子顕微鏡観察用試料作製方法。
Priority Applications (1)
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JP2005232734A JP2007047053A (ja) | 2005-08-11 | 2005-08-11 | 透過電子顕微鏡観察用試料作製方法 |
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