JP5881148B2 - ポーラスメタルの製造方法 - Google Patents
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Description
どちらのタイプも軽量部材であるが、オープンセル型は連続孔であるため放熱材やフィルターに、クローズドセル型は防音材や電磁波シールド材に適している。
また、従来のスペーサー法で用いられている焼結条件と比較して、遙かに低い温度で焼結でき、時間も短縮することができる。これにより、製造時に必要となるエネルギーを大幅に低減することができ、この点でも製造コストを低減することができる。
まず、図8Aに示すように、アルミニウム等のポーラスメタルの原料の金属微粉末11と、塩(塩化ナトリウム)等のスペーサー粒子12とを用意する。
次に、図8Bに示すように、容器21中で攪拌羽22等を使用することにより、金属微粉末11とスペーサー粒子12とを混合する。
次に、図8Cに示すように、ダイ(型枠)51に混合品を入れて、高温(例えば、610℃)の状態にして、上下からパンチ(押圧材)52による圧力(例えば、200MPa)を加えて、焼結させる。これにより、スペーサー粒子12を内部に含むメタルが形成される。
その後、図8Dに示すように、スペーサー粒子12を内部に含むメタル13を水25に浸けることによって、スペーサー粒子12の塩を除去して、メタル13を残す。
このようにして、図8Eに示すように、メタル13の内部に気孔13Aが形成されたポーラスメタル10を製造することができる。
また、上述した従来の方法では、高温と圧力を加えて焼結させるので、外部熱源や押圧用の設備等を必要とすることから、製造装置が複雑になり、製造コストも大きくなってしまう。
まず、図1Aに示すように、アルミニウム等のポーラスメタルの原料の金属微粉末11と、塩(塩化ナトリウム)等のスペーサー粒子12とを用意する。
次に、図1Bに示すように、容器21中で攪拌羽22等を使用することにより、金属微粉末11とスペーサー粒子12とを混合する。
ここまでは、図8に示した従来の製造方法と同様である。
次に、図1Cに示すように、摩擦及び圧力を利用して、型23の内部に収納した金属微粉末11とスペーサー粒子12に対して、治具24を回転させながら加圧することによって、摩擦熱で金属微粉末11とスペーサー粒子12とを焼結させる。これにより、スペーサー粒子12を内部に含むメタルが形成される。
その後、図1Dに示すように、従来法と同様に、スペーサー粒子12を内部に含むメタル13を水25に浸けることによって、スペーサー粒子12の塩を除去して、メタル13を残す。
このようにして、図1Eに示すように、メタル13の内部に気孔13Aが形成されたポーラスメタル10を製造することができる。
まず、図2Aに示すように、アルミニウム等のポーラスメタルの原料の金属の板材14と、塩(塩化ナトリウム)等のスペーサーの板材15とを用意する。スペーサーの板材15としては、例えば、市販の角塩を使用することや、塩を焼結させて作製することが可能である。
次に、図2Bに示すように、型23の内部に、金属の板材14とスペーサーの板材15とを所定の割合で収納する。なお、図2Bでは、金属の板材14とスペーサーの板材15を1:1の割合で配置しているが、他の割合でも構わない。
次に、図2Cに示すように、摩擦及び圧力を利用して、金属の板材14とスペーサーの板材15に対して、治具24を加圧しながら回転させることで、摩擦及び圧力で金属とスペーサーとを混合し、同時に焼結させる。これにより、スペーサーを含むメタルが形成される。
その後は、図1Dに示したと同様に、スペーサーを含むメタルを水に浸けてスペーサーの塩を除去して、メタルを残す。
このようにして、メタルの内部に気孔が形成されたポーラスメタルを製造することができる。
本発明によれば比較的低い温度で焼結させることができるため、粉末爆発の危険があるマグネシウム合金等にも、本発明を適用することが可能である。
そして、治具24をNCフライスと同様に移動させることにより、さらなる大型化が可能になる。
SPS法等、従来提案されている製造方法では、ポーラスメタルの大型化は困難である。
一方、発泡剤を使用する従来の製造方法では、薄い板材のポーラスメタルを作製することは困難である。
(1)原料の金属は、微粉末に限定されず、板材や金属切削屑も原料として使用可能である。金属切削屑等を使用すれば、リサイクル性も良好になる。
(2)外部からの加熱が不要になり、また、溶解工程、発泡工程等が不要になるため、エネルギー効率が高い。また、従来のスペーサー法で用いられている焼結条件と比較して、遙かに低い温度(200℃程度以下)でかつ短時間(数分程度)で焼結できる。これらのことから、製造時に必要となるエネルギーを大幅に低減することができる。そして、加熱熱源が不要となることから、従来のスペーサー法と比較して、製造設備を簡略化することができるので、製造コストを低減することができる。
(3)通常のフライス盤や旋盤を用いて、焼結が可能である。また、単純な工程で、高速に焼結させることが可能である。
(4)回転体による摩擦熱を利用するため、金属表面にせん断力が加わり、金属の組織の微細化ができる。また、固相プロセスであるため、結晶粒の粗大化を防止することができる。さらに、所要時間も短縮することができるため、その点でも結晶粒の粗大化を防止することができる。これらのことから、ポーラスメタルの機械的性質の向上を図ることができる。
(5)アルミニウムのように表面が酸化しやすい金属の場合、摩擦及び圧力により、表面の酸化膜を破壊することができる。これにより、金属同士が容易に接合されるので、酸化膜を除去するための真空中の放電プラズマ処理等が不要になる。
(6)異種材料による傾斜機能材の作製が容易になる。例えば、金属の種類を変えること、気孔の大きさを変えること、一部をポーラスメタルとして残りを気孔のない金属材とすること、等が可能である。
(7)治具(ツール)に接触していた面及びその付近の部分と、それ以外の部分とが、母材内の気孔が異なる形状であるポーラスメタルを製造することが可能になる。これらの部分では、気孔が異なる形状であることから、強度特性に差を有している。
次に、これらの粉末を、Al:NaCl=3:7の比率(質量比率)として、図1Bに示したように混合した。
次に、図1Cに示した型23の代わりに、図3に示すように、直径14mmの円形の穴27を形成した厚さ10mmのA1050板(Al板)26を用いて、穴27の中に混合した粉末を投入した。
そして、先端部が平坦な直径16mmの円柱状のSUS304製の治具(ツール)24を、回転させながら穴27の上部から押込んだ。治具(ツール)24の回転数は950rpm、送り速度は約1mm/min、押し込み量は3.5mmとして、治具(ツール)24をA1050板26に押し込んだ状態で30秒保持した。
押し込み時の治具(ツール)24と母材(A1050板及びAl粉末)との摩擦により生じる摩擦熱及びせん断力、並びに、押込み時の圧力により、原材料粉末が焼結する。
焼結の後に、機械加工にて、5mm×5mm×5mmの大きさに切り出した。
その後、図1Dに示したように、水25に浸けて水洗を行った。これにより、水25にスペーサー粒子12のNaClが溶けて取り除かれ、気孔が形成されて、ポーラスAlが作製される。
このようにして、ポーラスAlの試料を作製した。
水洗時間毎の撮像及び測定は、その度に、水25から試料を取り出して行った。必要に応じて、不要な水分を除去した。
CT画像の撮像は、マイクロフォーカスX線CTシステム(島津製作所製SMX−225CT)を使用して、試料中からNaClが除去される過程を観察した。
各時点の質量の測定結果を、水洗前の質量の測定結果と比較して、これらの質量の比率と元の混合比(Al:NaCl=3:7)から、NaClの除去率を求めた。
比較対照として、前述した放電プラズマ焼結(SPS)法によりポーラスAlを作製し、比較を行った。
圧縮試験の条件は、室温にてクロスヘッド速度を0.5mm/minとした。
水洗前(0min)と水洗時間30min,60min,120minにおける、ポーラスAlのX線CT画像を、図5(a)〜図5(d)に示す。
図5(a)〜図5(d)より、ポーラスAl中のNaClは全方向にほぼ均一な割合で取り除かれていくことが分かった。これにより、NaClは、全ての面の外側から除去される。しかし、ポーラスAlの中心に近づくにつれて、奥まで十分な水が届きにくくなるため、除去に長い時間を要するようになると考えられる。
上述した実施例で作製したポーラスAlにおいて、治具(ツール)24との接触面側を上部として、治具(ツール)24から最も遠い面側を下部とした。
そして、実施例で作製したポーラスAlの上部と下部、SPS法によりAlとNaClの粉末を3:7の比率で混合し作製した試料、並びに、使用したNaCl粉末について、電子顕微鏡写真を撮影した。
撮影して得られた写真を、図6(a)〜図6(d)に示す。図6(a)は、実施例のポーラスAlの上部の写真であり、図6(b)は、実施例のポーラスAlの下部の写真であり、図6(c)はSPS法により作製した試料の写真であり、図6(d)は使用したNaCl粉末の写真である。
通常、SPS法等の圧粉焼結法では、図6(c)に見られるように、スペーサーとして用いたNaCl粉末の形状がほぼ転写されたような気孔形態を持つ。
図6(b)より、実施例のポーラスAlの下部は、図6(c)のSPS法により作製した試料と同様な気孔形態となっている。
一方、ポーラスAlの下部には、摩擦熱と押込み圧力のみが加わり、せん断力は伝わらなかったため、上部とは気孔形態に違いが生じたと考えられる。
このことから、ツールの回転による摩擦熱及び押込み圧力によっても、SPS法を用いた場合と同様に、原料粉末の焼結が可能であると考えられる。
また、図6(b)におけるセル壁を詳細に観察した結果、セル壁中に微小な穴の存在を確認した。この穴を通じて、水洗によりポーラスAl中のNaClが除去されたと考えられる。
なお、使用したNaCl粉末の粒径は不明であるが、図6(d)の写真の範囲では、200〜500μmの範囲となっている。
実施例により作製したポーラスAlの圧縮試験結果を、図7に示す。
図7からわかるように、従来のポーラスアルミニウムと同様に、弾性領域、プラトー領域、緻密化領域の3領域が確認された。
ただし、圧縮時の変形はポーラスAlの下部から始まっており、上部はプラトー領域の後半で変形し、下部が変形している間はほとんど変形しなかった。
これは、図6(a)及び図6(b)におけるポーラスAl内の上部と下部の気孔形態の相違が原因となり、ポーラスAl内で若干の強度差を生じたためと考えられる。
Claims (2)
- 金属又は合金から成る母材内に気孔を有するポーラスメタルを製造する方法であって、
所定の配合比とした、前記金属又は前記合金と、スペーサーとを混合する工程と、
回転する治具により加えられる摩擦及び圧力により、混合した前記金属又は前記合金と前記スペーサーとを焼結する工程と、
その後、前記スペーサーを除去して、前記金属又は前記合金から成るポーラスメタルを残す工程とを有し、
前記スペーサーが水溶性であり、水に浸けることにより前記スペーサーを除去し、
前記治具によりせん断力を加えることにより、前記治具に接触していた面及びその付近の部分の気孔を、それ以外の部分の気孔とは異なる形状に形成する
ポーラスメタルの製造方法。 - 前記金属又は前記合金の板材と、前記スペーサーの板材とを、所定の配合比で混合する、請求項1に記載のポーラスメタルの製造方法。
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