JP2004347400A - 微粒子試料加工保持材、その加工方法および加工装置 - Google Patents

微粒子試料加工保持材、その加工方法および加工装置 Download PDF

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Abstract

【課題】FIB加工時間短縮、イオンビームによる変質防止、被エッチング物低減、汚染物発生減少、真空度低下防止、エッチング精度低下防止可能の、微粒子試料加工保持材、その加工方法および加工装置の提供。
【解決手段】多孔質の包埋材に微粒子試料を保持させた微粒子試料加工保持材。多孔質の包埋材の少なくとも一部が発泡体基材で構成されてい前記微粒子試料加工保持材。多孔質の包埋材の少なくとも一部が発泡性微粒子で構成されている前記微粒子試料加工保持材。発泡性微粒子の少なくとも一部が内部に気体または液体を封入した微粒子で構成されている前記微粒子試料加工保持材。前記各微粒子試料加工保持材にFIB(集束イオンビーム)加工する試料加工方法。紫外光を併用する試料加工方法。前記の微粒子試料加工保持材の固定部、微粒子試料加工保持材にFIBを照射するFIB照射系および真空減圧系を備えた加工室を具備した試料加工装置。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、材料の微小領域の構造評価を行う電子顕微鏡等に用いる微粒子試料の保持材に関し、特に、微粒子の薄膜化過程(FIBなどのイオンエッチング加工時、オージェ電子分光法やX線光電子分光法でのイオンエッチング加工処理時)により微粒子の断面を露出させて、断面状態をSEM観察等に供するための微粒子試料加工保持材、その微粒子試料保持材の加工方法およびその加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
微粒子材料を加工、成形し、製品とする数多くの技術分野が存在する。したがって、原材料である微粒子材料の構造を電子顕微鏡により解析する必要がある。
【0003】
従来、微粒子試料用の透過電子顕微鏡TEM(Transmission Electron Microscope)用試料として用いる試料保持具として、有機薄膜を有するシートメッシュ上に微粒子試料を分散固定したものが知られている。ところが、この試料保持具の場合、粉末試料の粒径が微小であるか、あるいは電子線が透過可能な粉末粒子端部の薄い部分に限り、構造解析が可能であるという分析微粒子試料に制約があり、また微粒子試料加工保持材の製作手順が煩雑で時間を要するものであった。
【0004】
また、電子顕微鏡などの試料作成に当って、Gaイオンの集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FBI)照射により分析対象物の任意部分の薄膜化が可能となり、試料作成に有効な手段として利用されている。
【0005】
そこで、前記の如き微粒子試料加工保持材の改良として、メッシュ状の板状基盤の最端部に、前記板状基盤の板厚方向にわたって開口した微粒子試料加工用保持材の保持用の凹部を設け、該凹部を含む面に、試薬微粒子を含む樹脂溶液を塗布して、微粒子が凹部に保持された状態で、その塗布面に対して、FBI加工を施して、メッシュの網部分と溶融樹脂との表面張力作用により、微粒子を包埋する樹脂分を減少させて、FIB加工に要する時間を短縮する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、この微粒子試料加工保持材を用いた電子顕微鏡用微粒子試料の製作方法は、微粒子試料加工保持材の製作手順が煩雑で時間を要するものであった。
【0006】
その他に、試料用微粒子を樹脂に混合して、微粒子試料加工用保持材(微粒子試料包埋材)板体を製造し、その板体に対してFBI加工を施して、電子顕微鏡用微粒子試料を製作する方法も知られている(例えば特許文献2参照)。しかしながら、この方法は、微粒子試料加工用保持材板体を製造する際には、複雑な手順を要しないが、樹脂の形態がバルク状態であるから、FBI加工時に長時間を要する欠点があり、またその結果、加工したい試料がイオンビームにさらされる時間が長くなり、ダメージを受けやすく、だれなどの変質が起こりやすい。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−30575号公報
【特許文献2】
特開平9−200771号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、従来技術の有する前記問題点を解消して、加工されにくい(加工速度が小さい)材料でも、エッチングされや易いこと、FIB加工時間を大幅に短縮できること、微粒子試料がイオンビームにさらされる時間を短くできること、イオンビームによってダメージを受けやすい材料でも変質を防止できること、エッチングで発生する被エッチング物を低減できること、汚染物発生を減少でき、真空度低下を防止できること、またエッチング精度低下が防げ得ること等の多くの改善点を有する、微粒子試料加工保持材、その加工方法および加工装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため1番目の発明によれば、多孔質の包埋材に微粒子試料を保持させた微粒子試料加工保持材が提供される。
【0010】
2番目の発明によれば、上記1番目の発明において、多孔質の包埋材の少なくとも一部が発泡体基材で構成されている。
【0011】
3番目の発明によれば、上記1番目の発明において、多孔質の包埋材の少なくとも一部が発泡性微粒子で構成されている。
【0012】
4番目の発明によれば、上記1番目の発明において、多孔質の包埋材が発泡体基材および発泡性微粒子で構成されている。
【0013】
5番目の発明によれば、上記3番目または4番目の発明において、発泡性微粒子の少なくとも一部が内部に有機又は無機気体または液体を封入した微粒子で構成されている。
【0014】
6番目の発明によれば、上記1番目〜5番目のいずれかの発明において、さらに添加剤を含む。
【0015】
7番目の発明によれば、上記1番目〜6番目のいずれかの発明の微粒子試料加工保持材にFIB(集束イオンビーム)加工する試料加工方法が提供される。
【0016】
8番目の発明によれば、上記1番目〜6番目のいずれかの発明の微粒子試料加工保持材にエネルギー線を照射しながらFIB加工する試料加工方法が提供される。
【0017】
9番目の発明によれば、上記8番目の発明において、エネルギー線が紫外光である。
【0018】
10番目の発明によれば、上記1番目〜6番目のいずれかの発明の微粒子試料加工保持材の固定部、微粒子試料加工保持材にFIBを照射するFIB照射系および真空減圧系を備えた加工室を具備した試料加工装置が提供される。
【0019】
11番目の発明によれば、10番目の発明の試料加工装置において、さらに微粒子試料加工保持材にエネルギー線を照射するエネルギー線照射系を具備している。
【0020】
12番目の発明によれば、11番目の発明の試料加工装置において、エネルギー線が紫外光である。
【0021】
13番目の発明によれば、9番目〜12番目の発明のいずれかの試料加工装置において、さらにデポジションガス供給系を具備している。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、以下に説明する。
本発明の微粒子試料加工保持材は、多孔質の包埋材に、分析対象となる微粒子の試料を保持したものである。そして、その後、FIB加工室内で、FIBの照射により、微粒子の分析されるべき形状、構造、組織等が表出するようにエッチング加工されるものである。そして、例えば微粒子の切断面が鮮明に現れた状態の加工された試料は、切断面にデポジションガスの蒸着等の必要な処理を行った後、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)等により、分析に提供される。
【0023】
以下に具体的態様を参照して、特にFIB加工を用いる場合について、その微粒子試料加工保持材の形態、その加工方法および加工装置の概容を説明する。
【0024】
図1は、粉末等の微粒子試料1を微細な空孔(図1には表示されていない。図4参照)を多孔質の包埋材2で固定した状態を表す、微粒子試料加工保持材(A)の概略説明図である。図1において、分析対象となる微粒子試料1は、多孔質体(発泡体基材または発泡性微粒子を含むもの)である包埋材2中に一体に成形されている。図1中には発泡性微粒子を図示していない。
【0025】
図2は、図1に示す微粒子試料加工保持材(A)をFIB加工(図中矢印の方向からGa等のイオン照射をする。)に供して、図中凹部で示された部分をエッチングして微粒子試料断面3を露出させた状態の微粒子試料加工保持材を表す、FIB加工後の微粒子試料加工保持材(A’)の概略説明図である。
【0026】
図3は、エネルギー線源としての紫外線光源4、Ga等のイオンのFIBイオン源5、試料台6、その上に載置した微粒子試料加工保持材(A)を加工室(真空チャンバー)(B)を具備した微粒子試料加工保持材加工装置(C)とその使用形態を説明する概略説明図である。この加工装置(C)を用いた実施形態では、試料台6上の微粒子試料加工保持材(A)にFIBイオン源よりGa等のイオンFIBイオン照射して、エッチングによりに微粒子試料断面3を露出させるに当って、紫外光線源4より紫外線を同時に照射することにより、保持材(A)を構成する包埋材の化学結合等を弱化させて、エッチング効率を向上させるものである。加工に当っては、真空吸引系(図示せず)により真空状態(10−3〜10−5Pa程度)に維持する。また、加工室には、デポジットガス供給系を設置して、エッチングにより露出された試料断面を保護処理することも可能とすることができる。
【0027】
上記の使用目的から明らかなとおり、微粒子試料加工保持材は、加工前、加工中、加工後(分析中を含む)を通して微粒子試料を確実に保持するものでなければならない。さらに、分析用試料の加工が容易である等、前記本件発明の各課題を解決すべきものである必要がある。以下に、さらに具体的に各構成について説明する。
【0028】
本発明に係る分析対象となる「微粒子試料」用の微粒子には、無機微粒子、例えば金属粒子、合金粒子、無機酸化物粒子、それらの混合物など、有機微粒子、例えば低分子有機化合物粒子、高分子化合物粒子、それらの混合物粒子等が含まれる。その粒度は、1〜50μm程度のものが考えられる。その微粒子の利用分野は様々であるが、半導体材料、超伝導材料、各種素材等様々である。
【0029】
また、本発明に係る微粒子を分析試料の加工時、加工中および加工後(分析時を含む)を通して確実に保持する「多孔質の包埋材」は、「微粒子試料」を包埋して、FBI加工中および加工後(分析中を含め)を通して保持する機能を果たし、多孔質である材料であってFBI加工により容易にエッチングされて除去、消散するものであれば、どのような材料でも採用できるが、取扱い性、利用簡便性、加工性、適用範囲が広いこと等により、高分子系材料を用いるのが適切である。
【0030】
多孔質の形態は、包埋材自体が発泡性材料(例えば、発泡性エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂)から形成された発泡性基材であっても、それら発泡性材料と他の包埋材材料である非発泡性材料との混合物から構成されたものであっても良い。
【0031】
また、多孔質の包埋材を構成する場合、包埋材の少なくとも一部として発泡性微粒子が含まれていても良い。その発泡性微粒子には、シラスバルーン、高分子材料から生成されたマイクロバルーンが含まれる。
【0032】
包埋材用材料として、好ましいものは、各種熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂、例示すればエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等、通常に知られた各種樹脂が使用され得るが、好ましくは、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂であり、特にエポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂等が、ホモポリマー、コポリマー或いはブレンドの形態で使用できる。先に述べたとおり、この包埋材材料自体として発泡性のものを選択する、発泡剤を混入するか、あるいは、例えば発泡性微粒子を混入するか等の選択は、分析対象となる微粒子試料、加工保持材の加工条件等に応じてなし得る。
【0033】
また内部に気体または液体を封入する材料は、上記包埋材として例示したものと同様のものが選択できる。勿論、封入される気体または液体をFBI加工等が行われるまでは確実に保持し、FBI加工に当って内包する気体または液体を包埋材内に開放して、包埋材の化学結合等に作用して、結合を弱化して、エッチングを促進させ得るものから選択され得る。
【0034】
その気体または液体としては、有機または無機のものがあり、有機溶剤が好ましい。その作用は、上記のとおり包埋材の化学結合等に作用して、結合を弱化して、エッチングを促進させることにあるから、包埋材との関連で選択されるべきである。例えば、包埋材としてエポキシ樹脂を選択する場合は、ジメチルホルムアミドが好ましい。この発泡性微粒子には、気体または液体を封入することができる。この封入された気体または液体として、例えば、FIB加工に当って、包埋材のエッチングが容易に行えるように、包埋材の構成材料である高分子材料に対して攻撃性(分解促進性)を有するものを用いることができる。
【0035】
これらの気体および液体として攻撃性のものを選択した場合、それを封入する材料自体を攻撃するものでなく、FIB加工によって封入が解かれたときに、包埋材を攻撃し、分解を促進するものが、各材料との関係において選択されねばならない。
【0036】
この気体または液体としてはベンゼン、トルエン等の有機性ガスが好ましいが、特に、エポキシ樹脂を包埋材素材として用いる場合は、ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0037】
この多孔質包埋材の気孔率、すなわち包埋材中に占める気孔の割合は50〜70体積%であることが好ましい。また、包埋材中の微粒子試料の含有率は70〜80wt%であることが好ましい。
【0038】
その他、微粒子試料加工保持材には、上記の本件発明の趣旨に反しない限り、樹脂組成物に添加される各種のもの、充填材、強化剤、着色剤、保存剤等を添加することができる。
【0039】
FIB加工装置において、エネルギー線として利用可能なものは、電子線、紫外線等があるが、簡便性を考慮すると、紫外線が好ましい。その他の付属装置、真空吸引系、蒸着系等は、従来公知の装置において使用されているものを具備することができる。
【0040】
【実施例】
本発明について、実施例を参照してより詳細に説明する。
実施例1
エポキシ樹脂(2液混合型硬化性樹脂、すなわちエポキシ樹脂+硬化剤)に発泡剤としてアジゾカルボンアミド(C)をエポキシ樹脂に対して2〜5wt%部添加して高速で撹拌して温度120〜130℃で発泡させた。そこへAu−Cu合金微粒子(粒径2〜3μm:エポキシ樹脂に対して70〜80wt%)を添加して撹拌したのち、型に流し込んで硬化させ、サイズ約10×5×2mmの包埋試料を得た(図1)。この微粒子試料加工保持材の包埋材の空孔径は3〜10μm、空孔率は約60%であった(図4)。この空孔率は、包埋試料の単位容積(かさ)中に合金粒子が上記比較例と同様の存在量を確保できる率である。
【0041】
これを図3に示すような加工装置を用いて(但し、紫外線光源は使用しない)FIB(集束イオンビーム)にて厚さ方向で約30μm、幅約80μm、奥行き20μmのサイズに加工(図2)した結果、Au−Cu合金微粒子が脱落することなく、微粒子断面を露出させることができた。加工時間は約2時間であった。SEM観察の結果、合金粒子の断面露出状態は良好であり、粒子の脱落やイオン照射による変質(だれなど)は見られず、合金中の100nmレベルの気孔を観察できた。また、この実施形態により、樹脂容積が低減されたため、エッチングで発生する樹脂成分が少ないため、装置内のコンタミネーションが低減され、真空度が下がるのを防止できた。
【0042】
比較例(従来法)
比較例として、実施例1において、エポキシ樹脂を発泡させないでバルク状態で包埋試料を作製した他は、同じ手順により微粒子試料加工保持材を作成し、加工し、その加工後の微粒子試料に基づいてSEM観察を行った。この結果、加工時間に4時間要した。また合金中の100nmレベルの気孔を観察できないくらい断面はだれが見られた。
【0043】
実施例1の結果と比較例の結果を対比すると、実施例1では加工に要する時間が1/2になり大きく短縮されたことが確認された。これは、樹脂は合金粒子に比べてエッチングレートが小さいため、樹脂が律速となっていたが、空孔形成により樹脂容積を低減した効果であると考えられる。
【0044】
実施例2
ジメチルホルムアミドを封入したポリビニルアルコール製ビーズ(外径3〜10μm、肉厚1〜3μm)を、実施例1と同様のエポキシ樹脂液体に、樹脂液体の体積比50〜70%添加し、そこへAu−Cu合金微粒子(粒径2〜3μm)を添加して撹拌したのち、硬化剤(5〜10Vol%、樹脂100質量部に対して)を添加し、型に流し込んで硬化させ、サイズ約10×5×2mmの包埋試料を得た(図1)。
【0045】
これを図3に示すような加工装置を用いて(但し、紫外線光源は使用しない)FIBにて厚さ方向で約30μm、幅約80μm、奥行き20μmのサイズに加エした結果、セラミックス微粒子が脱落することなく、微粒子断面を露出させることができた(図5)。このとき加工時間は約1.5時間であり、前出の比較例の4時間と比べ、約60%時間が短縮された。
【0046】
SEM観察の結果、合金粒子の断面露出状態は良好であり、粒子の脱落やイオン照射による変質(だれなど)は見られず、合金中の100nmレベルの気孔を観察できた。
【0047】
実施例3
エポキシ樹脂で包埋したAu−Cu合金微粒子(粒径2〜3μm)試料(サイズ約10×5×2mm)を図3に示すFIB装置の加工室に導入し、紫外光発生装置にて紫外光(出力10〜100W)を照射しながらFIB加工を行った。約30μm、幅約80μm、奥行き20μmのサイズに加工した結果、Au−Cu合金微粒子が脱落することなく、微粒子断面を露出させることができた。加工時間は約2時間要した。したがって前記比較例と比べると加工時間が約50%短縮され、大幅な効果が確認できた。これは、紫外光により、樹脂の結合状態が分子レベルで弱くなり、エッチングされやすくなったためと考えられる。
【0048】
SEM観察の結果、合金粒子の断面露出状態は良好であり、粒子の脱落やイオン照射による変質(だれなど)は見られず、合金中の100nmレベルの気孔を観察できた。
【0049】
実施例4
実施例1に準じて作製した微粒子試料を、実施例3の紫外光照射法にて同様の条件でFIB加工した結果、加工時間は約1.3時間であり、従来法より約70%の大幅な時間短縮が確認出来た。これは、FIBと紫外光線とを併用した相乗効果によるものであると考えられる。
【0050】
実施例5
実施例2に準じて作製した微粒子試料を、実施例3の紫外光照射法にて同様の条件でFIB加工した結果、加工時間は約1.0時間であり、従来法より約75%の大幅な時間短縮が確認出来た。これは、FIBと紫外光線とを併用した相乗効果によるものであると考えられる。
【0051】
実施例6
実施例1〜5ともFIBだけでなく、オージェ電子分光法やX線光電子分光法でのイオンエッチングを用いた深さ方向分析においても、エッチング速度が増すため同様の効果がある。
【0052】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなとおり、本発明は前記説明のとおりの各構成を有することにより、従来技術の有する前記問題点を解消して、加工されにくい(加工速度小)材料でも、エッチングされや易いこと、FIB加工時間を大幅に短縮できること、微粒子試料がイオンビームにさらされる時間を短くできること、イオンビームによってダメージを受けやすい材料でも、変質を防止できること、エッチングで発生する被エッチング物を低減でき、汚染物発生を減少できること、真空度低下を防止できこと、またエッチング精度低下が防げ得ること等の多くの改善点を有する、微粒子試料加工保持材、その加工方法および加工装置を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【図1】粉末等の微粒子試料1を微細な空孔を持つ多孔質の包埋材2で固定した状態を表す、微粒子試料加工保持材(A)の概略説明図である。
【図2】図1に示す微粒子試料加工保持材(A)をFIB加工(図中矢印の方向からGa等のイオン照射をする。)に供して、図中凹部で示された部分をエッチングして微粒子試料断面3を露出させた状態の微粒子試料加工保持材を表す、FIB加工後の微粒子試料加工保持材(A’)の概略説明図である。
【図3】エネルギー線源としての紫外線光源4、Ga等のイオンのFIBイオン源5、試料台6、その上に載置した微粒子試料加工保持材(A)を加工室(真空チャンバー)(B)を具備した微粒子試料加工保持材加工装置と、その装置を使用した、紫外線を照射しながらFIB加工する方法の概略説明図である。
【図4】実施例1に基づいて製作したFIB加工後の微粒子試料の断面図である。
【図5】実施例2に基づいて製作したFIB加工後の微粒子試料の断面図である。
【符号の説明】
1…微粒子試料
2…包埋材
3…微粒子試料断面
4…紫外線光源
5…FIBイオン源
6…試料台
7…包埋材中の空孔
8…内部に有機気体または液体を封入したビーズ
A…微粒子試料加工保持材
A’…FIB加工後の微粒子試料加工保持材
B…FIB加工室
C…微粒子試料加工保持材加工装置

Claims (13)

  1. 多孔質の包埋材に微粒子試料を保持させた微粒子試料加工保持材。
  2. 多孔質の包埋材の少なくとも一部が発泡体基材で構成されている請求項1に記載の微粒子試料加工保持材。
  3. 多孔質の包埋材の少なくとも一部が発泡性微粒子で構成されている請求項1に記載の微粒子試料加工保持材。
  4. 多孔質の包埋材が発泡体基材および発泡性微粒子で構成されている請求項1に記載の微粒子試料加工保持材。
  5. 発泡性微粒子の少なくとも一部が内部に有機又は無機気体または液体を封入した微粒子で構成されている請求項3または4に記載の微粒子試料加工保持材。
  6. さらに添加剤を含む請求項1〜5のいずれかに記載の微粒子試料加工保持材。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の微粒子試料加工保持材にイオンエッチング加工する試料加工方法。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の微粒子試料加工保持材にエネルギー線を照射しながらイオンエッチング加工する試料加工方法。
  9. エネルギー線が紫外光である請求項8に記載の試料加工方法。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載の微粒子試料加工保持材の固定部、微粒子試料加工保持材にFIB(集束イオンビーム)を照射するFIB照射系および真空減圧系を備えた加工室を具備した試料加工装置。
  11. さらに微粒子試料加工保持材にエネルギー線を照射するエネルギー線照射系を具備した請求項10に記載の試料加工装置。
  12. エネルギー線が紫外光である請求項11に記載の試料加工装置。
  13. さらにデポジションガス供給系を具備した請求項9〜12のいずれかに記載の試料加工装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012225789A (ja) * 2011-04-20 2012-11-15 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 電子顕微鏡用薄片試料の作製方法とこの試料の観察方法
JP2016145768A (ja) * 2015-02-09 2016-08-12 住友金属鉱山株式会社 電子顕微鏡用試料の作製方法および反応生成物金属含有粒子の分析方法

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