JP2007045976A - ポリウレタン樹脂用水性プライマー組成物及びそれを用いた成型品 - Google Patents
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Abstract
基材とポリウレタン樹脂を注入した成型品において、基材とポリウレタン樹脂との良好な接着性を発揮する水性プライマー組成物を提供すること。
【解決手段】
スルホン酸化合物と界面活性剤と水との混合物を水性プライマー組成物とする。
【選択図】なし
Description
このため、このような有機溶剤系のプライマーに代えて、接着性を同程度に維持しながら、溶剤臭が無く、引火の危険性が少なく、良好な衛生環境が確保できるような水性のプライマー組成物が望まれるようになってきている。
本発明の別の目的は、水性プライマー組成物の基材(特に、電着塗装されたアルミ金属)の表面への塗布時に起こるはじき(材料面上で凝集した点状あるいは球状の不連続部分ができ均一に付着していない状態)を無くし、均一に塗布できることで、基材とポリウレタン樹脂を良好に接着する水性プライマー組成物を提供することにある。
加えて、本発明は、基材とポリウレタン樹脂からなる成型品において、請求項1に記載の水性プライマー組成物を使用して、基材の上にポリウレタン樹脂が形成されていることを特徴とする成型品をも提供する。
さらに、本発明は、基材とポリウレタン樹脂からなる成型品を製造する方法であって、請求項1に記載の水性プライマー組成物を使用することを特徴とする方法をも提供する。
本発明に用いられるスルホン酸化合物の具体例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、オクタンスルホン酸などの脂肪族スルホン酸;ベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸などの芳香族スルホン酸;クロルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−4−スルホン酸、2−ナフチルアミン−1−スルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリドデシルベンゼンスルホン酸、テトラドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルトルエンスルホン酸などの核置換基を有する芳香族スルホン酸;脂環式スルホン酸などが挙げられる。価格や作業性の面などで良くまた接着性も良好であるので、ドデシルベンゼンスルホン酸が好ましい。
このように、有機溶剤を用いずに水だけを用いてスルホン酸化合物を溶解することで、有機溶剤の臭気や引火の危険性が無くなり、作業環境やVOC問題など大きくも改善される。
非イオン性界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型などのポリアルキレングリコール型界面活性剤、多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性剤(例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル)が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼン硫酸塩などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、N−オクチルベタインおよびN−ドデシルベタインなどのベタイン化合物が挙げられる。非イオン性と両性の両方の性質を有する界面活性剤として、n−オクチルピロリドンおよびn−ドデシルピロリドンなどのピロリドン化合物が挙げられる。
界面活性剤の存在によって、水性プライマー組成物を基材に塗布しても、基材表面でのはじきも無く、速やかに均一に広がっていく優れた効果が得られる。
界面活性剤の量は、水100重量部に対して、0.01〜2.0重量部、好ましくは0.05〜1.5重量部、更に好ましくは0.1〜1.0重量部である。
界面活性剤の量が0.01〜2.0重量部の範囲であれば、基材表面上で水性プライマー組成物が基材表面にはじかれることもなくより均一に塗布でき、結果、基材とポリウレタン樹脂との間で均一に接着することでより高い接着強度が得られる。
界面活性剤として、ピロリドン化合物と他の界面活性剤のとの組合せを使用することが好ましい。界面活性剤の中でもオキシエチレン基を有する界面活性剤(特に、非イオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤)が好ましく用いられ、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体が挙げられる。これらのオキシエチレン系界面活性剤の中でも特に好ましいのはアニオン性界面活性剤であり、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が挙げられる。
ピロリドン化合物と他の界面活性剤の合計量は、水100重量部に対して、水100重量部に対して、0.01〜2.0重量部、好ましくは0.05〜1.5重量部、更に好ましくは0.1〜1.0重量部である。他の界面活性剤の量は、ピロリドン化合物と他の界面活性剤の合計量100重量部に対して、0.1〜30重量部、例えば1〜20重量部であってよい。
本発明の水性プライマー組成物は、水溶性の塗料(樹脂)が電着塗装された材料と、断熱樹脂であるポリウレタン樹脂を接着するためのプライマーとして用いることが好ましい。
ポリウレタン樹脂の反応性は、ライズタイムで10〜120秒にするのが好ましい。特に好ましくは15〜60秒である。更に好ましいのは20〜35秒である。(ライズタイムとは、25℃液温で主剤と硬化剤を混合し、その混合開始から反応硬化までの時間を言う)
水性プライマー組成物の塗布量としては、出来るだけ少量で均一塗布できることが望ましく、10g/m2〜100g/m2であることが好ましい。
成型品の用途の例は、建材、例えば、断熱窓枠(例えば、アルミサッシ)、外壁(例えば、メッキされていてよい鋼)である。成型品は、断熱窓枠などの建材に用いられても衛生環境面において良好である。
(1)アクリル樹脂が電着塗装された35℃に温調されたアルミニウム窓枠型材に、水性プライマー組成物を1回スプレーして、水性プライマー組成物を乾かさずに、15分後にポリウレタン樹脂を注入し、室温にて反応硬化させ、成型品の作成を行った。
(2)水性プライマー組成物をスプレーし、15分後に水性プライマー組成物を風乾(35℃、5分)した以外は、上記(1)と同様にして成型品を作成した。
次の2液反応硬化型ポリウレタン樹脂を使用した。
(1)主剤
ポリオキシプロピレントリオール(3f、MW450) 100 部
[住化バイエルウレタン(株)社製・スミフェンTM]
トリエチレンジアミンの33%ジプロピレングリコール溶液 2.0 部
ジブチル錫ジラウレート 0.1 部
(2)硬化剤
ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート
[住化バイエルウレタン(株)社製・スミジュール44V20]
(3)主剤と硬化剤の混合比
主剤/硬化剤=55/45 部
(4)反応性(25℃原料温度)
ライズ タイム 30秒
(5)密度 1.05g/cm3
(6)硬度 ショアーD 65
アクリル樹脂が電着塗装されたアルミニウム窓枠型材面上への水溶性プライマー組成物の塗布状態を目視にて行い、次のように判断をした。
○:アルミニウム窓枠型材面上ではじきも無く均一に塗布されていて良好
×:アルミニウム窓枠型材面上ではじきが見られ均一でないため不良
(1)水性プライマー組成物を乾かさなかった成型品は、作成60分後にオートグラフにより、20℃、せん断剥離強度速度(引張速度)5mm/分の条件でせん断剥離強度を測定した。
(2)水性プライマー組成物を塗布後風乾した成型品は、作成60分後にせん断剥離強度を測定した以外は、上記(1)と同様にした。
(3)せん断剥離強度の評価基準としては次の通り。
せん断剥離強度が700N/cm以上であれば良好。
○ :アクリル樹脂部が材料破壊状態で良好
× :ウレタン樹脂部での界面剥離状態が多くみられ不良
××:ウレタン樹脂部の全面が界面剥離状態で不良
水100部にメタンスルホン酸1.0部を加え混合溶解し、n−オクチルピロリドン(インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ社製・SURFADONE LP)0.1部を加えて、水性プライマー組成物を作成した。
この水性プライマー組成物を、アクリル樹脂が電着塗装された35℃のアルミニウム窓枠型材の面にスプレーによる塗布を行った。水性プライマー組成物の塗布量は20g/m2で、塗布された水性プライマー組成物は、アルミニウム窓枠型材の面ではじくことも無く均一な状態であった。
塗布した水性プライマー組成物は風乾を行わずに、水性プライマー組成物の塗布15分後に、2液型ポリウレタン樹脂用原料を注入し、室温にて反応硬化させて 成型品を作成した。
作成60分後に、せん断剥離強度と接着性(状態)を確認したところ、せん断剥離強度が720N/cmと良好であり、またアクリル樹脂塗膜部の全面が材料破壊状態であり良好な接着性を示した。
また、水性プライマー組成物を塗布後風乾した場合は、せん断剥離強度が890N/cmと良好であり、またアクリル樹脂塗膜部の全面が材料破壊状態であり良好な接着性を示した。
スルホン酸化合物をプロパンスルホン酸1.0部にした以外は、実施例1と同様にして成型品を作成した。
この時も、塗布された水性プライマー組成物は、アルミニウム窓枠型材の上ではじくことも無く均一な状態であった。
せん断剥離強度と接着性(状態)を確認したところ、せん断剥離強度が810N/cmと良好であり、またアクリル樹脂塗膜部が材料破壊状態であり良好な接着性を示した。
また、水性プライマー組成物を塗布後風乾した場合は、せん断剥離強度が920N/cmと良好であり、またアクリル樹脂塗膜部が材料破壊状態であり良好な接着性を示した。
スルホン酸化合物をヘキサンンスルホン酸1.0部にした以外は、実施例1と同様にして成型品を作成した。
この時も、塗布された水性プライマー組成物は、アルミニウム窓枠型材の面上ではじくことも無く均一な状態であった。
せん断剥離強度と接着性(状態)を確認したところ、せん断剥離強度が780N/cmと良好であり、またアクリル樹脂塗膜部が材料破壊状態で良好な接着性を示した。
また、水性プライマー組成物を塗布後風乾した場合は、せん断剥離強度が910N/cmと良好であり、またアクリル樹脂塗膜部が材料破壊状態であり良好な接着性を示した。
スルホン酸化合物をエタンスルホン酸1.0部にした以外は、実施例1と同様にして成型品を作成した。
この時も、塗布された水性プライマー組成物は、アルミニウム窓枠型材の上ではじくことも無く均一な状態であった。
せん断剥離強度と接着性(状態)を確認したところ、せん断剥離強度が800N/cmと良好であり、アクリル樹脂塗膜部が材料破壊状態であり良好な接着性を示した。
また、水性プライマー組成物を塗布後風乾した時は、せん断剥離強度が930N/cmと良好であり、アクリル樹脂塗膜部も材料破壊状態であり良好な接着性を示した。
スルホン酸化合物をドデシルベンゼンスルホン酸1.0部にした以外は、実施例1と同様にして成型品を作成した。
この時も、塗布された水性プライマー組成物は、アルミニウム窓枠型材の上ではじくことも無く均一な状態であった。
せん断剥離強度と接着性(状態)を確認したところ、せん断剥離強度が870N/cmと良好であり、またアクリル樹脂塗膜部が材料破壊状態であり良好な接着性を示した。
また、水性プライマー組成物を塗布後風乾した時は、せん断剥離強度が990N/cmと良好であり、アクリル樹脂塗膜部も材料破壊状態であり良好な接着性を示した
水性プライマー組成物を用いずに、ポリウレタン樹脂のみを注入して実施例1と同様の条件で、成型品を作成した。
せん断剥離強度と接着性(状態)を確認したところ、せん断剥離強度が61N/cmと低く、またポリウレタン樹脂の全面が界面剥離の状態であり接着性不良であった。
水100部に対してドデシルベンゼンスルホン酸の量を1.0部にし、n−オクチルピロリドンを加えなかった以外は、実施例1と同様にして成型品を作成した。
この時、塗布された水とドデシルベンゼンスルホン酸の混合液は、アルミニウム窓枠型材の面上で殆どがはじかれて球状になり、塗布されていない部分が殆どで有り均一な塗布状態にならなかった。
せん断剥離強度と接着性(状態)を確認したところ、せん断剥離強度が100N/cmと低く、ポリウレタン樹脂面の大部分に界面剥離が見られ接着性は良好とは言えない状態であった。
水100部に対してn−オクチルピロリドンを0.1部にし、ドデシルベンゼンスルホン酸を加えなかった以外は、実施例1と同様にして成型品を作成した。
この時、塗布された水とn−オクチルピロリドンの混合液は、アルミニウム窓枠型材の面上ではじかれることなく均一な塗布状態になっていたが、せん断剥離強度と接着性(状態)を確認したところ、せん断剥離強度が60N/cmと低く、ポリウレタン樹脂の全面が界面剥離の状態であり接着性不良であった。
Claims (6)
- スルホン酸化合物、界面活性剤および水を含んでなるポリウレタン樹脂用水性プライマー組成物。
- スルホン酸化合物の量が、水100重量部に対して0.005〜30重量部である請求項1に記載の水性プライマー組成物。
- 界面活性剤の量が、水100重量部に対して0.01〜2.0重量部である請求項1に記載の水性プライマー組成物。
- 界面活性剤がピロリドン化合物である請求項1に記載の水性プライマー組成物。
- 基材とポリウレタン樹脂からなる成型品において、請求項1に記載の水性プライマー組成物を使用して、基材の上にポリウレタン樹脂が形成されていることを特徴とする成型品。
- 基材とポリウレタン樹脂からなる成型品を製造する方法であって、請求項1に記載の水性プライマー組成物を使用することを特徴とする方法。
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