JP2007045701A - 球状シリカ系メソ多孔体の製造方法 - Google Patents

球状シリカ系メソ多孔体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】得られる全粒子の粒径の均一性及び細孔配列の規則性が極めて高く、しかも中心細孔直径が2.6nm以上となるような大きな細孔径を有する球状シリカ系メソ多孔体を効率良く且つ確実に得ることが可能な球状シリカ系メソ多孔体の製造方法を提供する。
【解決手段】溶媒中でシリカ原料とアルキルアンモニウムハライドからなる界面活性剤とを混合し、シリカ中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る、前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤を除去して粒径均一性の高い球状シリカ系メソ多孔体を得ることを特徴とする。

[R、R及びRはアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは19〜25の整数を示す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、ケイ素原子及び酸素原子を主成分として骨格が形成されているシリカ系材料からなる球状シリカ系メソ多孔体の製造方法に関する。
近年、様々な物質を吸着、貯蔵等するための材料として、孔径1〜50nm程度のメソサイズの細孔(メソ孔)が非常に規則的に配列したシリカ系メソ多孔体が注目されており、このようなシリカ系メソ多孔体の合成及び機能開発の研究が積極的に行われてきた。
例えば、Grunらは、アルキルアミンとテトラエトキシシランから球状多孔体を製造する方法を報告している(M.Grun et al.,Stud.Surf.Sci.Catal.,2000年発行,vol.128,p.155(非特許文献1))。しかしながら、Grunらの方法により得られる多孔体は、球状の多孔体が得られるものの、その細孔の規則性は低く、粒径の均一性にも劣るため、吸着容量が小さいという問題があった。
また、Schumacherらは、ホモポリマーを鋳型とした大粒径球状多孔体の製造方法を報告している(K.Schumacher et al.,Stud.Surf.Sci.Catal.,2000年発行,vol.129,p.1(非特許文献2))。しかしながら、Schumacherらの方法により得られる多孔体にも、やはり吸着容量が小さいという問題があった。
さらに、Luoらは、N,N−ジメチルホルムアミドを共溶媒とした球状多孔体の製造方法を報告している(Q.Luo et al.,Stud.Surf.Sci.Catal.,2000年発行,vol.129,p.37(非特許文献3))。しかしながら、Luoらの方法により得られる多孔体は、細孔が不均一であり、メソ孔とマクロ孔とが共存したものとなるという問題があった。
また、シリカ多孔体の合成においては、通常その細孔径は合成時に用いる界面活性剤の鎖長に応じて規定されることが知られており、Bauteらは、シリカ源と界面活性剤との複合体として析出した前駆体中のシリカネットワークが非常に柔軟であることを報告している(Baute.D et al.,J.Phys.Chem.B.,2005年発行,P.7807(非特許文献4))。また、Hamoudiらは、シリカ源と界面活性剤との複合体として析出した前駆体を高温で数日間水熱処理を行う方法によって、構造の再構築を促進させて得られる多孔体の特性を向上させたということを報告している(Hamoudi.S et al.,JOURNAL OF POROUS MATERIALS.,2004年発行,P.47(非特許文献5))。そして、このような水熱処理を行う方法によれば、加熱による効果によって得られる多孔体の細孔径を拡大させることが可能であった。しかしながら、このような水熱処理を行う方法では、前記前駆体中のアルキルトリメチルアンモニウムイオンが水中に容易に溶出しやすい傾向にあるため、水熱処理後の前駆体を焼成する際に、前記前駆体中には界面活性剤が十分に導入されていない状態となるため、細孔構造が崩れやすくなり、得られる多孔体の規則性が低くなるという問題があった。また、このような水熱処理を行う方法では、シリカの再構築が促進されるために粒子形状や粒子サイズが変化してしまうため、球状粒子の球状形状が崩れたり、単分散性が低下したりするという問題があった。
また、特開2005−89218号公報(特許文献1)においては、特定の溶媒中でシリカ原料と特定の界面活性剤とを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤を除去して球状シリカ系メソ多孔体を得る第2の工程とを含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法が開示されている。しかしながら、このような特許文献1に記載の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法においては、炭素数20〜26の長鎖アルキル基を有する特定のアルキルアンモニウムハライドを界面活性剤として用いた場合には、得られる球状粒子の粒径の均一性が必ずしも十分なものではなかった。
特開2005−89218号公報 M.Grun et al.,Stud.Surf.Sci.Catal.,2000年発行,vol.128,p.155 K.Schumacher et al.,Stud.Surf.Sci.Catal.,2000年発行,vol.129,p.1 Q.Luo et al.,Stud.Surf.Sci.Catal.,2000年発行,vol.129,p.37 Baute.D et al.,J.Phys.Chem.B.,2005年発行,P.7807 Hamoudi.S et al.,JOURNAL OF POROUS MATERIALS.,2004年発行,P.47
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、得られる全粒子の粒径の均一性及び細孔配列の規則性が極めて高く、しかも中心細孔直径が2.6nm以上となるような大きな細孔径を有する球状シリカ系メソ多孔体を効率良く且つ確実に得ることが可能な球状シリカ系メソ多孔体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、下記(i)あるいは(ii)の構成により、上記目的が達成可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明者らは、(i)炭素数20〜26の長鎖アルキル基を有する特定のアルキルアンモニウムハライドを界面活性剤として用いると共にアルコール含有量の高い水とアルコール及び/又はエーテル混合溶媒を用い、更に界面活性剤及びシリカ原料の濃度を低濃度に制御することにより、従来は困難であった炭素数20以上の長鎖アルキル基を有する特定のアルキルアンモニウムハライドを界面活性剤として用いた球状シリカ系メソ多孔体の合成が可能となり、上記目的が達成可能であることを見出し、本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法を完成するに至った。
また、本発明者らは、(ii)先ず、第一の界面活性剤を用いて第一の多孔体前駆体粒子を得た後に、第一の界面活性剤のアルキル基の長さとアルキル基の長さが同じかそれよりも長いアルキルアンモニウムハライド(第二の界面活性剤)、鎖炭化水素、環状炭化水素及びヘテロ環化合物からなる群から選択される少なくとも1種を拡張剤(エキスパンダー)として用い、前記拡張剤を含む溶媒中で前記第一の多孔体前駆体粒子を混合することによって、細孔構造が崩れたり、多孔体の規則性が低くなったりすることなく、粒径の均一性を保ちながら得られる球状シリカ系メソ多孔体の細孔径を拡大することができ、上記目的が達成可能であることを見出し、本発明の第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法は、
溶媒中でシリカ原料と界面活性剤とを混合し、シリカ中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤を除去して球状シリカ系メソ多孔体を得る第2の工程と、
を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、前記界面活性剤として下記一般式(1):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは19〜25の整数を示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記溶媒として水と、アルコール及び/又はエーテルとの混合溶媒を用い、前記溶媒中におけるアルコール及び/又はエーテルの含有量が40〜85容量%であり、前記溶媒中における前記界面活性剤の濃度が0.0003〜0.001mol/Lであり、且つ、前記溶媒中における前記シリカ原料の濃度がSi濃度換算で0.0005〜0.01mol/Lであることを特徴とする粒径均一性の高い球状シリカ系メソ多孔体の製造方法である。
上記本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法においては、前記シリカ原料がアルコキシシランであり、前記溶媒中で前記シリカ原料と前記界面活性剤とを塩基性条件下で混合することが好ましく、前記アルコキシシランが、3−アミノプロピルトリメトキシシラン及び/又は3−アミノプロピルトリエトキシシランであることがより好ましい。
上記本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法においては、前記球状シリカ系メソ多孔体の平均粒径が0.01〜3μmであり、中心細孔直径が2.6nm以上であり、且つ、全粒子の95質量%以上が前記平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有していることが好ましい。
また、本発明の第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法は、
第一の溶媒中でシリカ原料と第一の界面活性剤とを混合し、シリカ中に前記第一の界面活性剤が導入されてなる第一の多孔体前駆体粒子を得る工程(A)と、
拡張剤を含む第二の溶媒中で、前記第一の多孔体前駆体粒子中に前記拡張剤が導入されてなる第二の多孔体前駆体粒子を得る工程(B)と、
前記第二の多孔体前駆体粒子に含まれる前記第一の界面活性剤及び前記拡張剤を除去して球状シリカ系メソ多孔体を得る工程(C)と、
を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、
工程(A)において、前記第一の界面活性剤として下記一般式(2):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは7〜25の整数を示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記第一の溶媒として水と、アルコール及び/又はエーテルとの混合溶媒を用い、前記第一の溶媒中におけるアルコール及び/又はエーテルの含有量が85容量%以下であり、前記第一の溶媒中における前記第一の界面活性剤の濃度が0.0001〜0.03mol/Lであり、前記第一の溶媒中における前記シリカ原料の濃度がSi濃度換算で0.0005〜0.03mol/Lであり、且つ、前記シリカ原料と前記第一の界面活性剤とを0〜40℃の温度条件下で混合すること、及び、
工程(B)において、前記拡張剤として下記一般式(3):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、zは17〜25の整数であって且つ前記第一の界面活性剤として選択されたアルキルアンモニウムハライドの式(2)中のmの値以上の整数を示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライド、鎖状炭化水素、環状炭化水素及びヘテロ環化合物からなる群から選択される少なくとも1種を用い、前記第二の溶媒として水とアルコールとの混合溶媒を用い、前記第二の溶媒中におけるアルコールの含有量が40〜90容量%であり、前記第二の溶媒中における前記拡張剤の濃度が0.05〜10mol/Lであり、且つ、前記第二の溶媒中で前記第一の多孔体前駆体粒子を60〜150℃の温度条件下で混合すること、
を特徴とする粒径均一性の高い球状シリカ系メソ多孔体の製造方法である。
上記本発明の第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法においては、前記シリカ原料がアルコキシシランであり、前記第一の溶媒中で前記シリカ原料と前記第一の界面活性剤とを塩基性条件下で混合することが好ましい。
上記本発明の第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法においては、前記鎖状炭化水素の炭素数が6〜26であり、前記環状炭化水素の環数が1〜3で炭素数が6〜18であり、且つ、前記ヘテロ環化合物の環数が1〜3で炭素数が4〜18でヘテロ原子が窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1種の原子であることが好ましい。
上記本発明の第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法においては、前記球状シリカ系メソ多孔体の平均粒径が0.01〜3μmであり、中心細孔直径が2.6nm以上であり、且つ、全粒子の95質量%以上が前記平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有していることが好ましい。
本発明によれば、得られる全粒子の粒径の均一性及び細孔配列の規則性が極めて高く、しかも中心細孔直径が2.6nm以上となるような大きな細孔径を有する球状シリカ系メソ多孔体を効率良く且つ確実に得ることが可能な球状シリカ系メソ多孔体の製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法]
先ず、本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法について説明する。すなわち、本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法は、
溶媒中でシリカ原料と界面活性剤とを混合し、シリカ中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤を除去して球状シリカ系メソ多孔体を得る第2の工程と、
を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、前記界面活性剤として下記一般式(1):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは19〜25の整数を示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記溶媒として水と、アルコール及び/又はエーテルとの混合溶媒を用い、前記溶媒中におけるアルコール及び/又はエーテルの含有量が40〜85容量%であり、前記溶媒中における前記界面活性剤の濃度が0.0003〜0.001mol/Lであり、且つ、前記溶媒中における前記シリカ原料の濃度がSi濃度換算で0.0005〜0.01mol/Lであることを特徴とする粒径均一性の高い球状シリカ系メソ多孔体の製造方法である。
このような方法により、従来は困難であった炭素数20以上の長鎖アルキル基を有する特定のアルキルアンモニウムハライドを界面活性剤として用いた球状シリカ系メソ多孔体の合成が可能となり、得られる全粒子の粒径の均一性及び細孔配列の規則性が極めて高く、中心細孔直径が2.6nm以上となるような大きな細孔径を有し、しかも吸着容量が大きな球状シリカ系メソ多孔体を効率良く且つ確実に得ることが可能となる。以下において、このような本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法を第1の工程と第2の工程とで分けて説明する。
(第1の工程)
本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法における第1の工程は、溶媒中でシリカ原料と界面活性剤とを混合し、シリカ中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る工程である。
本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法において用いられるシリカ原料は、反応によりケイ素酸化物(ケイ素複合酸化物を含む)を形成可能なものであればよく特に制限されるものではないが、反応効率や得られるケイ素酸化物の物性の観点から、アルコキシシラン、ケイ酸ナトリウム、層状シリケート、シリカ、又はこれらの任意の混合物を用いることが好ましく、中でもアルコキシシランを用いることがより好ましい。
前記アルコキシシランとしては、アルコキシ基を4個有するテトラアルコキシシラン、アルコキシ基を3個有するトリアルコキシシラン、アルコキシ基を2個有するジアルコキシシランを用いることができる。このようなアルコキシ基の種類は特に制限されないが、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のようにアルコキシ基中の炭素原子の数が比較的少ないもの(炭素数として1〜4程度のもの)が反応性の点から有利である。また、前記アルコキシシランが有するアルコキシ基が3又は2個である場合は、アルコキシシラン中のケイ素原子には有機基、水酸基等が結合していてもよく、当該有機基はアミノ基やメルカプト基等の官能基をさらに有していてもよい。
また、前記テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等が挙げられ、前記トリアルコキシシランとしては、トリメトキシシラノール、トリエトキシシラノール、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。また、前記ジアルコキシシランとしては、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン等が挙げられる。
また、このようなアルコキシシランの中でも、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランを用いることがより好ましい。このようにして3−アミノプロピルトリメトキシシラン及び/又は3−アミノプロピルトリエトキシシランをシラン原料として用いることで、得られる球状シリカ系メソ多孔体の細孔径を拡大することができるとともに、その多孔体に酸性物質を吸着させることが可能となる。そのため、3−アミノプロピルトリメトキシシラン及び/又は3−アミノプロピルトリエトキシシランをシラン原料として用いることによって、吸着剤や塩基触媒として好適に利用することが可能な球状シリカ系メソ多孔体を製造することが可能となる。
このようなアルコキシシランは、単独で用いることもできるが2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。また、上記のアルコキシ基を2〜4個有するアルコキシシランは、アルコキシ基を1個有するモノアルコキシシランと組み合わせて使用することも可能である。このようにして用いることのできるモノアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、3−クロロプロピルジメチルメトキシシラン等が挙げられる。
また、前記アルコキシシランは、加水分解によりシラノール基を生じ、生じたシラノール基同士が縮合することによりケイ素酸化物が形成される。この場合において、分子中のアルコキシ基の数が多いアルコキシシランは、加水分解及び縮合で生じる結合が多くなる。したがって、本発明において、アルコキシ基の多いテトラアルコキシシランをアルコキシシランとして用いることが好ましく、テトラアルコキシシランとしては、反応速度の観点からテトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランを用いることが特に好ましい。
本発明においてシリカ原料として用いられるケイ酸ナトリウムとしては、メタケイ酸ナトリウム(NaSiO)、オルトケイ酸ナトリウム(NaSiO)、二ケイ酸ナトリウム(NaSi)、四ケイ酸ナトリウム(NaSi)等が挙げられる。ケイ酸ナトリウムとしては、このような単一物質の他、水ガラス(NaO・nSiO、n=2〜4)等のように組成が場合により異なるものを使用することもできる。
層状シリケートとしては、カネマイト(NaHSi・3HO)、二ケイ酸ナトリウム結晶(α、β、γ、δ−NaSi)、マカタイト(NaSi・5HO)、アイアライト(NaSi17・xHO)、マガディアイト(NaSi1417・xHO)、ケニヤイト(NaSi2041・xHO)等が挙げられる。また、セピオライト、モンモリロナイト、バーミキュライト、雲母、カオリナイト、スメクタイト等の粘土鉱物を酸性水溶液で処理してシリカ以外の元素を除去したものも層状シリケートとして使用可能である。
本発明においてシリカ原料として用いられるシリカとしては、Ultrasil(Ultrasil社)、Cab−O−Sil(Cabot社)、HiSil(Pittsburgh Plate Glass社)等の沈降性シリカ;コロイダルシリカ;Aerosil(Degussa−Huls社)等のフュームドシリカを挙げることができる。
上述のシリカ原料は、単独で用いることもできるが2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。但し、2種類以上のシリカ原料を用いる場合は、製造時の反応条件が複雑化することがあるため、本発明においては、シリカ原料は単独のものを使用することが好ましい。
本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法において用いられる界面活性剤は、下記一般式(1):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは19〜25の整数を示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライドである。
このように、一般式(1)におけるR、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示す。このようなアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、これらが一分子中に混在してもよいが、界面活性剤分子の対称性の観点からR、R及びRは全て同一であることが好ましい。界面活性剤分子の対称性が優れる場合は、界面活性剤同士の凝集(ミセルの形成等)が容易となる傾向にある。更に、R、R及びRのうち少なくとも1つはメチル基であることが好ましく、R、R及びRの全てがメチル基であることがより好ましい。
また、一般式(1)におけるnは19〜25の整数を示し、19〜21の整数であることがより好ましい。前記nが18以下であるアルキルアンモニウムハライドでは、球状の多孔体は得られるものの、中心細孔直径が2.6nm未満なってしまい、分子量の大きい色素や酵素等を細孔内に導入することができなくなる。他方、前記nが26以上のアルキルアンモニウムハライドでは、界面活性剤の疎水性相互作用が強すぎるため、層状の化合物が生成してしまい、球状の多孔体を得ることができなくなる。
さらに、一般式(1)におけるXはハロゲン原子を示し、このようなハロゲン原子の種類は特に制限されないが、入手の容易さの観点からXは塩素原子または臭素原子であることが好ましい。
したがって、上記一般式(1)で表される界面活性剤としては、R、R及びR全てがメチル基でありかつ炭素数20〜26の長鎖アルキル基を有するアルキルトリメチルアンモニウムハライドであることが好ましく、中でもエイコシルトリメチルアンモニウムハライド、ドコシルトリメチルアンモニウムハライド、テトラコシルトリメチルアンモニウムハライド、ヘキサコシルトリメチルアンモニウムハライドがより好ましい。
このような界面活性剤は、シリカ原料と共に溶媒中で複合体を形成する。複合体中のシリカ原料は反応によりケイ素酸化物へと変化するが、界面活性剤が存在している部分ではケイ素酸化物が生成しないため、界面活性剤が存在している部分に孔が形成されることになる。すなわち、界面活性剤はシリカ原料中に導入されて孔形成のためのテンプレートとして機能する。本発明において、界面活性剤は1種類もしくは2種類以上を組み合わせて用いることが可能であるが、上記のように界面活性剤はシリカ原料の反応生成物に孔を形成させる際のテンプレートとして働き、その種類は多孔体の孔の形状に大きな影響を与えるため、より均一な球状多孔体が得るためには、界面活性剤は1種類のみを用いることが好ましい。
本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法においては、前記シリカ原料及び前記界面活性剤を混合するための溶媒として、水と、アルコール及び/又はエーテルとの混合溶媒を用いる。このようなアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン等が挙げられ、シリカ原料の溶解性の観点からメタノールまたはエタノールが好ましい。また、前記エーテルとしては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル等が挙げられ、シリカ原料の溶解性の観点から、ジエチルエーテルが好ましい。
そして、本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法においては、前記シリカ原料中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を合成する際に、前記溶媒中のアルコール及び/又はエーテルの含有量が40〜85容量%であり、アルコール及び/又はエーテルの含有量が55〜75容量%のものを用いることがより好ましい。このように比較的多量のアルコール及び/又はエーテルを含有する混合溶媒を使用することにより、均一な球状体の発生及び成長が実現され、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径が高度に均一に制御されることとなる。アルコール及び/又はエーテルの含有量が50容量%未満の場合は、粒径及び粒径分布の制御が困難となり、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。他方、アルコール及び/又はエーテルの含有量が85容量%を超える場合も、粒径及び粒径分布の制御が困難となり、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。
また、本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法においては、前記溶媒中の水と、アルコール及び/又はエーテルとの比率を変化させることにより、粒径の均一性は高水準に保持しつつ、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径を容易に制御することができる。すなわち、水の比率が高い場合は多孔体が析出し易くなるために粒径が小さくなり、逆にアルコールの比率が高い場合は大きい粒径の多孔体を得ることができる。
更に、本発明においては、前記溶媒中で前記シリカ原料及び前記界面活性剤を混合して多孔体前駆体粒子を得る際に、上述した界面活性剤の濃度を溶液の全容量を基準として0.0003〜0.001mol/L(好ましくは、0.0005〜0.0008mol/L)とし、上述したシリカ原料の濃度を溶液の全容量を基準としてSi濃度換算で0.0005〜0.01mol/L(好ましくは、0.003〜0.006mol/L)とする必要がある。このように界面活性剤及びシリカ原料の濃度を厳密に制御することと、前述の混合溶媒を使用することとが相俟って、炭素数20〜26の長鎖アルキル基を有するアルキルトリメチルアンモニウムハライドを界面活性剤として用いているにも拘らず、十分に均一な球状体の発生及び成長を実現し、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径を高度に均一に制御するとともに、その細孔直径を2.6nm以上とすることができる。
前記界面活性剤の濃度が0.0003mol/L未満の場合は、テンプレートとなるべき界面活性剤の量が不足するために良好な多孔体を得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。他方、前記界面活性剤の濃度が0.001mol/Lを超える場合は、形状が球状である多孔体を高比率で得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。
また、前記シリカ原料の濃度が0.0005mol/L未満の場合は、形状が球状である多孔体を高比率で得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。他方、前記シリカ原料の濃度が0.01mol/Lを超える場合は、テンプレートとなるべき界面活性剤の比率が不足するために良好な多孔体を得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。
また、本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法においては、前記シリカ原料及び前記界面活性剤を混合する際に、塩基性条件下で混合することが好ましい。シリカ原料は、一般に塩基性条件下においても酸性条件下においても反応が生じケイ素酸化物へと変化するが、本発明におけるシリカ原料と界面活性剤の濃度は従来技術の方法に比較してかなり低いものとなっているために、酸性条件下では反応がほとんど進行しない。したがって、本発明においては塩基性条件下でシリカ原料を反応させることが好ましい。なお、シリカ原料は、酸性条件で反応させる場合よりも塩基性条件で反応させる場合の方がケイ素原子の反応点が増加し、耐湿性や耐熱性等の物性に優れたケイ素酸化物を得ることができるため、塩基性条件下で混合することはこの点においても有利である。
上記混合溶媒を塩基性にするためには、通常、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性物質を添加する。反応時の塩基性条件に関しては特に制限されないが、添加する塩基性物質のアルカリ当量を全シリカ原料中のケイ素原子モル数で除した値が0.1〜0.9となるようにすることが好ましく、0.2〜0.5となるようにすることがより好ましい。添加する塩基性物質のアルカリ当量を全シリカ原料中のケイ素原子モル数で除した値が0.1未満である場合は、収率が低下してしまう傾向があり、他方、0.9を超える場合は、多孔体の形成が困難となる傾向がある。
前述の第1の工程における反応条件(反応温度、反応時間等)は特に制限されず、反応温度としては、例えば−20℃〜100℃(好ましくは0℃〜80℃、より好ましくは10℃〜40℃)とすることができる。また、反応は攪拌状態で進行させることが好ましい。具体的な反応条件は、用いるシリカ原料の種類等に基づいて決定することが好ましい。
すなわち、シリカ原料としてアルコキシシランを用いる場合は、例えば、以下のようにして多孔体前駆体粒子を得ることができる。先ず、水とアルコールの混合溶媒に対して、界面活性剤及び塩基性物質を添加して界面活性剤の塩基性溶液を調製し、この溶液にアルコキシシランを添加する。添加されたアルコキシシランは溶液中で加水分解(または、加水分解及び縮合)するために、添加後数秒〜数十分で白色粉末が析出する。この場合において、反応温度は0℃〜80℃とすることが好ましく、10℃〜40℃とすることがより好ましい。また、溶液は攪拌することが好ましい。
沈殿物が析出した後、0℃〜80℃(好ましくは10℃〜40℃)で1時間〜10日、溶液をさらに攪拌してシリカ原料の反応を進行させる。攪拌終了後、必要に応じて室温で一晩放置して系を安定化させ、得られた沈殿物を必要に応じてろ過及び洗浄することによって本発明にかかる多孔体前駆体粒子が得られる。
また、シリカ原料として、アルコキシシラン以外のシリカ原料(ケイ酸ナトリウム、層状シリケートまたはシリカ)を用いる場合は、シリカ原料を、界面活性剤を含有する水とアルコールの混合溶媒に添加し、シリカ原料中のケイ素原子と等モル程度になるように、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性物質をさらに添加して均一な溶液を調製する。その後、希薄酸溶液をシリカ原料中のケイ素原子に対して1/2〜3/4倍モル添加するという方法により本発明にかかる多孔体前駆体粒子を作製することができる。塩基性物質は、シリカ原料中に既に形成されているSi−(O−Si)結合の一部を切断する目的のために過剰分必要となるが、その過剰分を酸により中和する必要がある。酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸等の有機酸のいずれを用いてもよい。
(第2の工程)
本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法における第2の工程は、前記第1の工程で得られた多孔体前駆体粒子に含まれる界面活性剤を除去して球状シリカ系メソ多孔体を得る工程である。このように界面活性剤を除去する方法としては、例えば、焼成による方法、有機溶媒で処理する方法、イオン交換法等を挙げることができる。
このような焼成による方法においては、多孔体前駆体粒子を300〜1000℃、好ましくは400〜700℃で加熱する。加熱時間は30分程度でもよいが、完全に界面活性剤を除去するには1時間以上加熱することが好ましい。また、焼成は空気中で行うことが可能であるが、多量の燃焼ガスが発生するため、窒素等の不活性ガスを導入して行ってもよい。また、有機溶媒で処理する場合は、用いた界面活性剤に対する溶解度が高い良溶媒中に多孔体前駆体粒子を浸漬して界面活性剤を抽出する。イオン交換法においては多孔体前駆体粒子を酸性溶液(少量の塩酸を含むエタノール等)に浸漬し、例えば50〜70℃で加熱しながら攪拌を行う。これにより、多孔体前駆体粒子の孔中に存在する界面活性剤が水素イオンでイオン交換される。なお、イオン交換により孔中には水素イオンが残存することになるが、水素イオンのイオン半径は十分小さいため孔の閉塞の問題は生じない。
[第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法]
次に、本発明の第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法について説明する。すなわち、本発明の第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法は、
第一の溶媒中でシリカ原料と第一の界面活性剤とを混合し、シリカ中に前記第一の界面活性剤が導入されてなる第一の多孔体前駆体粒子を得る工程(A)と、
拡張剤を含む第二の溶媒中で、前記第一の多孔体前駆体粒子中に前記拡張剤が導入されてなる第二の多孔体前駆体粒子を得る工程(B)と、
前記第二の多孔体前駆体粒子に含まれる前記第一の界面活性剤及び前記拡張剤を除去して球状シリカ系メソ多孔体を得る工程(C)と、
を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、
工程(A)において、前記第一の界面活性剤として下記一般式(2):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは7〜25の整数を示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記第一の溶媒として水と、アルコール及び/又はエーテルとの混合溶媒を用い、前記第一の溶媒中におけるアルコール及び/又はエーテルの含有量が85容量%以下であり、前記第一の溶媒中における前記第一の界面活性剤の濃度が0.0001〜0.03mol/Lであり、前記第一の溶媒中における前記シリカ原料の濃度がSi濃度換算で0.0005〜0.03mol/Lであり、且つ、前記シリカ原料と前記第一の界面活性剤とを0〜40℃の温度条件下で混合すること、及び、
工程(B)において、前記拡張剤として下記一般式(3):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、zは17〜25の整数であって且つ前記第一の界面活性剤として選択されたアルキルアンモニウムハライドの式(2)中のmの値以上の整数を示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライド、鎖状炭化水素、環状炭化水素及びヘテロ環化合物からなる群から選択される少なくとも1種を用い、前記第二の溶媒として水とアルコールとの混合溶媒を用い、前記第二の溶媒中におけるアルコールの含有量が40〜90容量%であり、前記第二の溶媒中における前記拡張剤の濃度が0.05〜10mol/Lであり、且つ、前記第二の溶媒中で前記第一の多孔体前駆体粒子を60〜150℃の温度条件下で混合すること、
を特徴とする粒径均一性の高い球状シリカ系メソ多孔体の製造方法である。
このように、本発明の第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法においては、第一の多孔体前駆体粒子を前記第二の溶媒中で混合し、水熱処理を行うことで細孔径を拡大(ポストシンセシスによる細孔径の拡大)して、球状シリカ系メソ多孔体を得る。そして、本発明においては、このような水熱処理を施す方法であるにも拘らず、得られる全粒子の粒径の均一性及び細孔配列の規則性が極めて高く、しかも2.6nm以上という大きな中心細孔直径を有する球状シリカ系メソ多孔体を効率良く且つ確実に得ることが可能となる。
上述のように、本発明の第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法がいわゆる水熱処理を採用する方法であるにも拘らず、細孔構造が崩れたり、多孔体の規則性が低くなったりすることなく、上述のような球状シリカ系メソ多孔体を効率良く且つ確実に得ることができる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明明の第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法は、第一の多孔体前駆体粒子に導入されているアルキルアンモニウムハライド(第一の界面活性剤)のアルキル基の炭素鎖の長さとアルキル基の炭素鎖の長さが同じかそれよりも長いアルキルアンモニウムハライド、鎖状炭化水素、環状炭化水素及びヘテロ環化合物からなる群から選択される少なくとも1種の拡張剤(エキスパンダー)を含む溶媒中で、前記第一の多孔体前駆体粒子に対して水熱処理を施す方法である。ここで、先ず、前記拡張剤として、第一の界面活性剤のアルキル基の炭素鎖の長さとアルキル基の炭素鎖の長さが同じかそれよりも長い一般式(3)で表されるアルキルアンモニウムハライドを含有させた場合について説明する。なお、このような一般式(3)で表されるアルキルアンモニウムハライドは、界面活性剤として機能するものである。以下において、このような一般式(3)で表されるアルキルアンモニウムハライドを、場合により「第二の界面活性剤」という。このような第二の界面活性剤を用いた場合において、第二の界面活性剤のアルキル基が第一の界面活性剤のアルキル基の鎖長よりも長い場合には、第一の界面活性剤の方が溶媒に対する溶解度が高いため、前記第一の多孔体前駆体粒子中の第一の界面活性剤は、溶媒中に存在する第二の界面活性剤と容易に置換して溶媒中に溶出する。従来の水熱処理を施す技術とは異なり、本発明においては、水熱処理によって置換反応を引き起こして、前記第一の多孔体前駆体粒子のシリカネットワーク中に第二の界面活性剤を導入することができるとともに、前記第一の多孔体前駆体粒子のシリカネットワークが非常に柔軟であるため水熱処理により細孔径を拡大することが可能となる。そして、多孔体前駆体粒子中に第二の界面活性剤が十分に導入されていることから、焼成の際にも細孔構造が崩れることがないものと本発明者らは推察する。
また、第二の界面活性剤のアルキル基と第一の界面活性剤のアルキル基との鎖長が同じである場合においても、第二の界面活性剤の濃度を十分に調節していることから、加熱によって第一の多孔体前駆体粒子の細孔内部への第二の界面活性剤の導入が促進されるため細孔径の拡大が図れ、更には、多孔体前駆体粒子中に第二の界面活性剤が十分に導入されていることから焼成の際にも細孔構造が崩れることがないものと本発明者らは推察する。
次に、拡張剤(エキスパンダー)として鎖状炭化水素、環状炭化水素及びヘテロ環化合物のうちの少なくとも1種を含有させた場合について説明する。先ず、鎖状炭化水素、環状炭化水素又はヘテロ環化合物は、一般に水に対する溶解性が低いことから溶媒中に存在するよりも疎水性の高い前記第一多孔体前駆体粒子の細孔内に導入され易い。また、細孔内に導入された鎖状炭化水素、環状炭化水素又はヘテロ環化合物は、前記第一の界面活性剤との疎水性相互作用によって細孔内で安定化される。そのため、鎖状炭化水素、環状炭化水素及びヘテロ環化合物のうちの少なくとも1種を用いた場合においては、水熱処理後においても多孔体前駆体粒子の細孔内に第一の界面活性剤と鎖状炭化水素、環状炭化水素又はヘテロ環化合物とが安定化されて存在する。従って、鎖状炭化水素、環状炭化水素及びヘテロ環化合物のうちの少なくとも1種を用いた場合においては、焼成による細孔構造の低下を抑制することが可能となる。また、前述のように前記第一の多孔体前駆体粒子のシリカネットワークは非常に柔軟であるために、細孔内に鎖状炭化水素、環状炭化水素及びヘテロ環化合物のうちの少なくとも1種を導入することによって水熱処理前よりも細孔径の拡大が図れる。また、このような系に更に第二の界面活性剤を加えた場合においては、前述のようにして、第二の界面活性剤と鎖状炭化水素、環状炭化水素及びヘテロ環化合物のうちの少なくとも1種とが共に前記第一多孔体前駆体粒子のメソ細孔内に導入されるため、水熱処理前よりも細孔径の拡大が図れるとともに、多孔体前駆体粒子中に第二の界面活性剤と鎖状炭化水素、環状炭化水素及びヘテロ環化合物のうちの少なくとも1種とが十分に導入されていることから、焼成の際にも細孔構造が崩れることがないものと本発明者らは推察する。
そのため、本発明においては、得られる全粒子の粒径の均一性及び細孔配列の規則性が極めて高く、しかも2.6nm以上という大きな中心細孔直径を有する球状シリカ系メソ多孔体を効率良く且つ確実に得ることが可能となるものと本発明者らは推察する。
以下において、本発明の第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法を、工程(A)〜(C)に分けて説明する。
(工程(A))
本発明の第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法における工程(A)は、第一の溶媒中でシリカ原料と第一の界面活性剤とを混合し、シリカ中に前記第一の界面活性剤が導入されてなる第一の多孔体前駆体粒子を得る工程である。
ここで、本発明の第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法において用いられるシリカ原料は、前述の本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法に用いられるシリカ原料と同様のものである。
前記第一の界面活性剤は、下記一般式(2):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは7〜25の整数を示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライドである。
そして、一般式(2)におけるR、R及びR及びXについては、前述の一般式(1)におけるR、R及びR及びXと同義のものである。また、一般式(2)におけるmは7〜25の整数を示し、13〜21の整数であることがより好ましい。前記mが6以下であるアルキルアンモニウムハライドでは、球状の第一の多孔体前駆体粒子は得られるものの、中心細孔直径が小さくなって、工程(B)において第一の界面活性剤と第二の界面活性剤とを置換反応させることが困難となる。他方、前記mが26以上のアルキルアンモニウムハライドでは、第一の界面活性剤の疎水性相互作用が強すぎるため、層状の化合物が生成してしまい、球状の多孔体を得ることができなくなる。
従って、上記一般式(2)で表される第一の界面活性剤としては、R、R、Rの全てがメチル基であり且つ炭素数8〜26の長鎖アルキル基を有するアルキルトリメチルアンモニウムハライドであることが好ましく、中でもテトラデシルトリメチルアンモニウムハライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムハライド、エイコシルトリメチルアンモニウムハライド、ドコシルトリメチルアンモニウムハライドがより好ましい。
このような第一の界面活性剤は、シリカ原料と共に溶媒中で複合体を形成する。複合体中のシリカ原料は反応によりケイ素酸化物へと変化するが、第一の界面活性剤が存在している部分ではケイ素酸化物が生成しないため、第一の界面活性剤が存在している部分に孔が形成されることになる。すなわち、第一の界面活性剤はシリカ原料中に導入されて孔形成のためのテンプレートとして機能する。本発明において、第一の界面活性剤は1種類もしくは2種類以上を組み合わせて用いることが可能であるが、上記のように第一の界面活性剤はシリカ原料の反応生成物に孔を形成させる際のテンプレートとして働き、その種類は多孔体の孔の形状に大きな影響を与えるため、より均一な球状多孔体を得るためには、界面活性剤は1種類のみを用いることが好ましい。
工程(A)において、前記シリカ原料及び前記第一の界面活性剤を混合するための第一の溶媒としては、水と、アルコール及び/又はエーテルとの混合溶媒を用いる。このようなアルコールやエーテルは、本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法の溶媒に用いられるアルコールやエーテルと同様のものである。
そして、本発明においては、前記シリカ原料中に前記第一の界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を合成する際に、前記第一の溶媒中のアルコール及び/又はエーテルの含有量は85容量%以下である必要があり、アルコール及び/又はエーテルの含有量が20〜85容量%であることがより好ましく、25〜75容量%であることがより好ましい。このように比較的多量のアルコール及び/又はエーテルを含有する混合溶媒を使用することにより、均一な球状体の発生及び成長が実現され、得られる第一の多孔体前駆体粒子の粒径が高度に均一に制御されることとなる。アルコール及び/又はエーテルの含有量が85容量%を超える場合には、粒径及び粒径分布の制御が困難となり、得られる第一の多孔体前駆体粒子の粒径の均一性が低くなる。他方、アルコール及び/又はエーテルの含有量が20容量%未満の場合は、粒径及び粒径分布の制御が困難となり、得られる第一の多孔体前駆体粒子の均一性が低くなる傾向にある。
また、本発明においては、前記第一の溶媒中の水と、アルコール及び/又はエーテルとの比率を変化させることにより、粒径の均一性を高水準に保持しつつ、得られる第一の多孔体前駆体粒子の粒径を容易に制御することができる。すなわち、水の比率が高い場合は多孔体が析出し易くなるために粒径が小さくなり、逆にアルコールの比率が高い場合は大きい粒径の第一の多孔体前駆体粒子を得ることができる。
更に、本発明においては、前記第一の溶媒中で前記シリカ原料及び前記第一の界面活性剤を混合して第一の多孔体前駆体粒子を得る際に、上述した第一の界面活性剤の濃度を溶液の全容量を基準として0.0001〜0.03mol/L(好ましくは、0.0003〜0.02mol/L)とし、上述したシリカ原料の濃度を溶液の全容量を基準としてSi濃度換算で0.0005〜0.03mol/L(好ましくは、0.001〜0.02mol/L)とする必要がある。本発明においては、このように第一の界面活性剤及びシリカ原料の濃度を厳密に制御することと、前述の第一の溶媒を使用することとが相俟って、均一な球状体の発生及び成長が実現され、得られる第一の多孔体前駆体粒子の粒径が高度に均一に制御されることとなる。
前記第一の界面活性剤の濃度が0.0001mol/L未満の場合は、テンプレートとなるべき第一の界面活性剤の量が不足するために良好な多孔体を得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる第一の多孔体前駆体粒子の粒径の均一性が低くなる。他方、前記第一の界面活性剤の濃度が0.03mol/Lを超える場合は、形状が球状である多孔体を高比率で得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる第一の多孔体前駆体粒子の粒径の均一性が低くなる。
また、前記シリカ原料の濃度が0.0005mol/L未満の場合は、形状が球状である多孔体を高比率で得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる第一の多孔体前駆体粒子の粒径の均一性が低くなる。他方、前記シリカ原料の濃度が0.03mol/Lを超える場合は、テンプレートとなるべき第一の界面活性剤の比率が不足するために良好な多孔体を得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。
工程(A)において、前記シリカ原料と前記第一の界面活性剤とを混合する際には、0〜40℃の温度条件下で混合する必要があり、5〜30℃の温度条件下で混合することが好ましい。このような温度が0℃未満ではシリカ原料の反応が非常に遅くなるために粒径の均一性が低くなり、他方、40℃を超えるとシリカ原料の反応が速くなるために形状が球状である多孔体を高比率で得ることが困難となる。
工程(A)における前記温度以外のその他の条件(反応時間等)は特に制限されず、具体的な反応条件は、用いるシリカ原料の種類等に基づいて決定することが好ましい。また、反応は攪拌状態で進行させることが好ましい。
また、本発明にかかる工程(A)においては、前記シリカ原料及び前記第一の界面活性剤を混合する際に、塩基性条件下で混合することが好ましい。シリカ原料は、一般に塩基性条件下においても酸性条件下においても反応が生じケイ素酸化物へと変化するが、本発明におけるシリカ原料と第一の界面活性剤の濃度は従来技術の方法に比較して低いものとなっているために、酸性条件下では反応がほとんど進行しない。したがって、工程(A)においては、塩基性条件下でシリカ原料を反応させることが好ましい。なお、シリカ原料は、酸性条件で反応させる場合よりも塩基性条件で反応させる場合の方がケイ素原子の反応点が増加し、耐湿性や耐熱性等の物性に優れたケイ素酸化物を得ることができるため、塩基性条件下で混合することはこの点においても有利である。
上記第一の溶媒を塩基性にするためには、通常、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性物質を添加する。反応時の塩基性条件に関しては特に制限されないが、添加する塩基性物質のアルカリ当量を全シリカ原料中のケイ素原子モル数で除した値が0.1〜0.9となるようにすることが好ましく、0.2〜0.5となるようにすることがより好ましい。添加する塩基性物質のアルカリ当量を全シリカ原料中のケイ素原子モル数で除した値が0.1未満である場合は、収率が低下してしまう傾向があり、他方、0.9を超える場合は、多孔体の形成が困難となる傾向がある。
工程(A)において、シリカ原料としてアルコキシシランを用いる場合は、例えば、以下のようにして第一の多孔体前駆体粒子を得ることができる。先ず、水とアルコール及び/又はエーテルの混合溶媒に対して第一の界面活性剤及び塩基性物質を添加して、第一の界面活性剤を含有する塩基性溶液を調製し、この溶液にアルコキシシランを添加する。添加されたアルコキシシランは溶液中で加水分解(又は、加水分解及び縮合)するために、添加後数秒〜数十分で白色粉末が析出する。この場合において、反応温度は0℃〜40℃である。また、溶液は攪拌することが好ましい。
沈殿物が析出した後、0℃〜40℃(好ましくは5℃〜30℃)で1時間〜10日、溶液をさらに攪拌してシリカ原料の反応を進行させる。攪拌終了後、必要に応じて室温で一晩放置して系を安定化させ、得られた沈殿物を必要に応じてろ過及び洗浄することによって本発明にかかる第一の多孔体前駆体粒子が得られる。
また、シリカ原料として、アルコキシシラン以外のシリカ原料(ケイ酸ナトリウム、層状シリケートまたはシリカ)を用いる場合は、シリカ原料を、第一の界面活性剤を含有する水とアルコール及び/又はエーテルの混合溶媒に添加し、シリカ原料中のケイ素原子と等モル程度になるように、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性物質をさらに添加して均一な溶液を調製する。その後、希薄酸溶液をシリカ原料中のケイ素原子に対して1/2〜3/4倍モル添加するという方法により本発明にかかる第一の多孔体前駆体粒子を作製することができる。塩基性物質は、シリカ原料中に既に形成されているSi−(O−Si)結合の一部を切断する目的のために過剰分必要となるが、その過剰分を酸により中和する必要がある。酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸等の有機酸のいずれを用いてもよい。
(工程(B))
本発明の第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法における工程(B)は、拡張剤(エキスパンダー)を含む第二の溶媒中で、前記第一の多孔体前駆体粒子中に前記拡張剤が導入されてなる第二の多孔体前駆体粒子を得る工程である。そして、本発明においては、このような工程(B)で行う水熱処理によって、細孔径の拡大が可能となる。
このような拡張剤としては、下記一般式(3):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、zは17〜25の整数であって且つ前記第一の界面活性剤として選択されたアルキルアンモニウムハライドの式(2)中のmの値以上の整数を示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライド(第二の界面活性剤)、鎖状炭化水素、環状炭化水素及びヘテロ環化合物からなる群から選択される少なくとも1種が用いられる。
このような一般式(3)におけるR、R及びR並びにXについては、前述の一般式(1)におけるR、R及びR並びにXと同義のものである。また、一般式(3)におけるzは17〜25の整数を示し、20〜25の整数でありことがより好ましく、21〜24の整数であることが更に好ましい。前記zが16以下であるアルキルアンモニウムハライドでは、工程(B)において、第一の多孔体前駆体粒子の細孔径を十分に拡大することが困難となる。他方、前記zが26以上のアルキルアンモニウムハライドでは、アルキル鎖が大きくなりすぎて、第一の界面活性剤と置換反応させてシリカ中に第二の界面活性剤を導入することが困難となる。
また、前記一般式(3)で表されるアルキルアンモニウムハライド(第二の界面活性剤)の前記式(3)中のzの値が、前記第一の界面活性剤として選択されたアルキルアンモニウムハライドの式(2)中のmの値以上である必要がある。実際に選択されるzの値がmの値よりも小さいと、第二の界面活性剤のアルキル基の鎖長の方が第一の界面活性剤のアルキル基の鎖長よりも短くなってしまい、第一の界面活性剤の溶解度が第二の界面活性剤の溶解度よりも小さくなるため、水熱反応によっても第一の界面活性剤と第二の界面活性剤との置換反応が起こらず、細孔径の拡大が図れなくなる。
このような一般式(3)で表されるアルキルアンモニウムハライドとしては、R、R、Rの全てがメチル基であり且つ炭素数21〜26の長鎖アルキル基を有するアルキルトリメチルアンモニウムハライドであることが好ましく、中でもドコシルトリメチルアンモニウムハライド、テトラコシルトリメチルアンモニウムハライドがより好ましい。
また、前記鎖状炭化水素としては、鎖状の炭化水素であればよく特に制限されないが、炭素数が6〜26(より好ましくは6〜12)の鎖状炭化水素が好ましい。前記鎖状炭化水素の炭素数が前記下限未満では、疎水性が小さくなり、第一の多孔体前駆体粒子の細孔内に導入され難くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると溶解性が低下する傾向にある。
このような鎖状炭化水素としては、例えば、ヘキサン、メチルペンタン、ジメチルブタン、ヘプタン、メチルへキサン、ジメチルペンタン、トリメチルブタン、オクタン、メチルヘプタン、ジメチルへキサン、トリメチルペンタン、イソプロピルペンタン、ノナン、メチルオクタン、エチルヘプタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン等が挙げられ、疎水性や溶解性等の観点から、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカンが好ましい。
また、前記環状炭化水素としては、その骨格に環状の炭化水素を含有するものであればよく特に制限されないが、環数が1〜3で炭素数が6〜20(より好ましくは6〜16)の環状炭化水素が好ましい。前記環状炭化水素の炭素数が前記下限未満では、疎水性が小さくなり、第一の多孔体前駆体粒子の細孔内に導入され難くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると溶解性が低下するため細孔径の拡大が図れなくなる傾向にある。また、前記環状炭化水素の環数が3を超えると溶解性が低下するため、細孔径の拡大が図れなくなる傾向にある。
さらに、このような環状炭化水素としては、例えば、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、トリイソプロピルベンゼン、インデン、ナフタレン、テトラリン、アズレン、ビフェニレン、アセナフチレン、フルオレン、フェナントレン、アントラセン等が挙げられ、疎水性や溶解性の観点から、シクロヘキサン、ベンゼン、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、トリイソプロピルベンゼン、ナフタレンが好ましい。
また、前記ヘテロ環化合物としては、その骨格にヘテロ環を含有するものであればよく特に制限されないが、環数が1〜3で炭素数が4〜18(より好ましくは5〜12)でヘテロ原子が窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1種の原子であるヘテロ環化合物が好ましい。前記ヘテロ環化合物の炭素数が前記下限未満では、疎水性が小さくなり、第一の多孔体前駆体粒子の細孔内に導入され難くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると溶解性が低下するため、細孔径の拡大が図れなくなる傾向にある。また、前記ヘテロ環化合物の環数が3を超えると溶解性が低下するため、細孔径の拡大が図れなくなる傾向にある。
このようなヘテロ環化合物としては、例えば、ピロール、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン等が挙げられ、疎水性や溶解性の観点から、ピリジン、キノリン、アクリジン、フェナントロリンが好ましい。
工程(B)における第二の溶媒は、水とアルコールとの混合溶媒である。このようなアルコールとしては、本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法の溶媒に用いられるアルコールと同様のものが用いられる。
このような工程(B)においては、前記第二の溶媒中のアルコールの含有量が40〜90容量%である必要があり、アルコールの含有量が50〜85容量%であることが好ましく、55〜75容量%であることがより好ましい。前記第二の溶媒中におけるアルコールの含有量が90容量%を超える場合には、第一の界面活性剤と第二の界面活性剤の置換反応や細孔内への鎖状炭化水素や環状炭化水素やヘテロ環化合物の導入が十分に進まなくなる。他方、前記第二の溶媒中におけるアルコールの含有量が40容量%未満の場合は、水の割合が多くなるため長いアルキル鎖を有するアルキルアンモニウムハライド、鎖状炭化水素、環状炭化水素、ヘテロ環化合物が第二の溶媒中に十分に溶解しなくなり、更に、高温の水によって、シリカネットワークの再構築が促進されて得られるシリカ多孔体の形状が変化してしまったり、多孔体前駆体粒子のシリカネットワークが崩壊したりする。
更に、本発明においては、前記第二の溶媒中における前記拡張剤の濃度は、溶液の全容量を基準として0.05〜10mol/L(好ましくは0.05〜5mol/L、より好ましくは0.1〜1mol/L)とする必要がある。また、このような第二の溶媒中における前記拡張剤の濃度の上限値としては、溶液の全容量を基準として0.2mol/L以下であることが更に好ましく、0.18mol/L以下であることが特に好ましい。前記拡張剤の濃度が0.05mol/L未満の場合は、第一の界面活性剤と第二の界面活性剤の置換反応や細孔内への鎖状炭化水素や環状炭化水素やヘテロ環化合物の導入が十分に進行せず、得られる粒子の粒径や細孔構造の規則性が低下し、更には細孔径を十分に拡大することができない。他方、前記拡張剤の濃度が10mol/Lを超える場合は、粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる第二の多孔体前駆体粒子の粒径の均一性が低くなる。
工程(B)において、前記第一の多孔体前駆体粒子を第二の溶媒中で混合する際には、60〜150℃の温度条件下で混合する必要があり、70〜120℃の温度条件下で混合することが好ましい。また、このような温度条件の上限の値としては100℃(更に好ましくは90℃、特に好ましくは80℃)以下であることがより好ましい。このような温度が60℃未満では多孔体前駆体粒子に含有されている第一の界面活性剤と第二の界面活性剤の置換反応や細孔内への鎖状炭化水素や環状炭化水素やヘテロ環化合物の導入が十分に進行せず、他方、150℃を超えると、粒径及び粒径分布の制御が困難となる。
工程(B)における前記温度条件以外のその他の条件は特に制限されず、第一の多孔体前駆体粒子の種類等に基づいて適宜決定することが好ましい。また、反応は攪拌状態で進行させることが好ましい。
工程(B)においては、例えば、以下のようにして第二の多孔体前駆体粒子を得ることができる。先ず、水とアルコールとの混合溶媒に対して第二の界面活性剤を添加して溶液を調製し、この溶液に第一の多孔体前駆体粒子を添加し、オートクレーブ等で60〜150℃に加熱し、その温度条件下において20時間〜14日程度、第一の界面活性剤と第二の界面活性剤との置換反応を進行させて第一の多孔体前駆体中に第二の界面活性剤が導入されてなる第二の多孔体前駆体粒子を得ることができる。
(工程(C))
本発明の第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法における工程(C)は、前記第二の多孔体前駆体粒子に含まれる前記第一の界面活性剤及び前記拡張剤を除去して球状シリカ系メソ多孔体を得る工程である。このような工程(C)は、前述の本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法における第2の工程と同様の方法である。
上述した本発明の第1及び第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法により、平均粒径が0.01〜3μmである球状シリカ系メソ多孔体であって、得られる全粒子の95質量%以上が平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有するという極めて粒径の均一性が高く、しかも中心細孔直径が2.6nm以上という球状シリカ系メソ多孔体が効率良くかつ確実に得られる。このように本発明の方法により得られる球状シリカ系メソ多孔体は粒径が極めて均一であることから、フォトニッククリスタルをはじめとした光デバイス関係に用いる材料として非常に有用である。また、本発明の方法により得られる球状シリカ系メソ多孔体は比較的大きな細孔径を有することから、分子量の大きい色素や酵素等を細孔内に確実に導入することが可能となる。
なお、本発明でいう「球状」とは、真の球体に限定されるものではなく、最小直径が最大直径の80%以上(好ましくは90%以上)である略球体も包含するものである。また、略球体の場合、その粒径は原則として最小直径と最大直径との平均値をいう。更に、前記中心細孔直径とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径である。なお、細孔径分布曲線は、次に述べる方法により求めることができる。すなわち、シリカ系メソ多孔体粒子を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法あるいは重量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし、吸着等温線を得る。この吸着等温線を用い、Cranston−Inklay法、Dollimore−Heal法、BJH法等の計算法により細孔径分布曲線を求めることができる。
本発明により得られる球状シリカ系メソ多孔体は、前記界面活性剤を鋳型として前記シリカ源を原料として作製されるものであり、ケイ素原子が酸素原子を介して結合した骨格−Si−O−を基本とし、高度に架橋した網目構造を有している。このようなシリカ系材料は、ケイ素原子及び酸素原子を主成分とするものであればよく、ケイ素原子の少なくとも一部が有機基の2箇所以上で炭素−ケイ素結合を形成しているものでもよい。このような有機基としては、例えば、アルカン、アルケン、アルキン、ベンゼン、シクロアルカン等の炭化水素から2以上の水素がとれて生じる2価以上の有機基が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、有機基は、アミド基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、スルフォン基、カルボキシル基、エーテル基、アシル基、ビニル基等を有するものであってもよい。
また、本発明により得られる球状シリカ系メソ多孔体は、細孔径分布曲線における中心細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の60%以上が含まれることが好ましい。このような条件を満たすシリカ系メソ多孔体粒子は、細孔の直径が非常に均一であることを意味する。また、かかる球状シリカ系メソ多孔体の比表面積については特に制限はないが、700m/g以上であることが好ましい。比表面積は、吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができる。
さらに、本発明により得られる球状シリカ系メソ多孔体は、そのX線回折パターンにおいて1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有することが好ましい。X線回折ピークはそのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中にあることを意味する。したがって、1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列していることを意味する。
また、本発明にかかる球状シリカ系メソ多孔体が有する細孔は、多孔体の表面のみならず内部にも形成される。かかる多孔体における細孔の配列状態(細孔配列構造又は構造)は特に制限されないが、2d−ヘキサゴナル構造、3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造であることが好ましい。また、このような細孔配列構造は、ディスオーダの細孔配列構造を有するものであってもよい。
ここで、多孔体がヘキサゴナルの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が六方構造であることを意味する(S.Inagaki,et al.,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,680,1993;S.Inagaki,et al.,Bull.Chem.Soc.Jpn.,69,1449,1996、Q.Huo,et al.,Science,268,1324,1995参照)。また、多孔体がキュービックの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が立方構造であることを意味する(J.C.Vartuli,et al.,Chem.Mater.,6,2317,1994;Q.Huo,et al.,Nature,368,317,1994参照)。また、多孔体がディスオーダの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が不規則であることを意味する(P.T.Tanev,et al.,Science,267,865,1995;S.A.Bagshaw,et al.,Science,269,1242,1995;R.Ryoo,et al.,J.Phys.Chem.,100,17718,1996参照)。また、前記キュービック構造は、Pm−3n、Im−3m又はFm−3m対称性であることが好ましい。前記対称性とは、空間群の表記法に基づいて決定されるものである。なお、本発明においては、用いる界面活性剤が前記一般式(1)で表される化学構造を有しており、前記のような条件でシリカ原料を反応させるため、前記中心細孔直径を有する細孔が2次元ヘキサゴナルに配列したものが得られやすい。また、本発明によれば、メソ細孔が規則性を保ちながら粒子中心から球状粒子の外側に向かって配置されている球状シリカ系メソ多孔体を得ることが可能となり、そのようなメソ多孔体を用いればエネルギー、電子の移動をその方向にだけ正確に起こさせることが可能となる。
本発明により得られる球状シリカ系メソ多孔体は、粉末のまま使用してもよいが、必要に応じて成形して使用してもよい。成形する手段はどのようなものでも良いが、押出成形、打錠成形、転動造粒、圧縮成形、CIPなどが好ましい。その形状は使用箇所、方法に応じて決めることができ、たとえば円柱状、破砕状、球状、ハニカム状、凹凸状、波板状等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜4(第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法)及び比較例1〜3]
(実施例1)
水279gと、エタノール520gとからなる混合溶媒に、ドコシルトリメチルアンモニウムクロリド(界面活性剤)0.296g(7.80×10−4mol/L)及び1規定水酸化ナトリウム1.14mLをそれぞれ添加した。これにテトラメトキシシラン(シリカ原料)0.661g(4.62×10−3mol/L)を添加すると完全に溶解し、約360秒後に白色粉末が析出してきた。室温で8時間攪拌した後、一晩放置(14時間)放置した後、ろ過と洗浄を3回繰り返して白色粉末(多孔体前駆体粒子)を得た。このようにして得られた白色粉末を熱風乾燥機で3日間乾燥した後、550℃で焼成することにより界面活性剤を含む有機成分を除去し、球状シリカ系メソ多孔体を得た。
得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線回折パターンを図1に示す。図1に示されたX線回折パターンより、得られた多孔体は高次のピークも有しており、この粉末が規則性の高いハニカム多孔体であることが確認された。また、d(100)ピーク位置から求めたd(100)面間隔は36.9Åであった。
さらに、得られた球状シリカ系メソ多孔体の窒素吸着等温線を図2に示す。図2に示された窒素吸着等温線から求めた中心細孔直径は2.66nmであった。
次に、得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。得られたSEM写真を図3に示す。SEMにより観察した結果、多孔体はいずれも粒子径が均一な球状粒子の形状を有しており、任意の100個の粒子の粒径分布は0.86〜0.96μm(平均粒径0.91μm、標準偏差4.7%)であった。
(実施例2)
水239gとエタノール480g及びメタノール80.0gとからなる混合溶媒に、ドコシルトリメチルアンモニウムクロリド(界面活性剤)0.296g(7.71×10−4mol/L)及び1規定水酸化ナトリウム1.14mLをそれぞれ添加した。これに、テトラメトキシシラン(シリカ原料)0.661g(4.57×10−3mol/L)を添加すると完全に溶解し、約400秒後に白色粉末が析出してきた。室温で8時間攪拌した後、一晩(14時間)放置し、ろ過と洗浄を3回繰り返して白色粉末(多孔体前駆体粒子)を得た。このようにして得られた白色粉末を熱風乾燥機で3日間乾燥した後、550℃で焼成することにより界面活性剤を含む有機成分を除去し、球状シリカ系メソ多孔体を得た。
このようにして得られた球状シリカ系メソ多孔体のd(100)面間隔及び中心細孔直径の測定を行ったところ、X線回折パターンにおけるd(100)ピーク位置から求めたd(100)面間隔は37.6Åであった。また、窒素吸着等温線から求めた中心細孔直径は2.71nmであった。
次に、得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。得られたSEM写真を図4に示す。SEMにより観察した結果、多孔体はいずれも粒子径が均一な球状粒子の形状を有しており、任意の100個の粒子の粒径分布は0.72〜0.82μm(平均粒径0.75μm、標準偏差4.3%)であった。
(実施例3)
水399gと、エタノール400gとからなる混合溶媒に、ドコシルトリエチルアンモニウムブロミド(界面活性剤)0.180g(4.04×10−4mol/L)及び1規定水酸化ナトリウム1.14mLをそれぞれ添加した。これにテトラメトキシシラン(シリカ原料)0.661g(4.79×10−3mol/L)を添加すると完全に溶解し、約720秒後に白色粉末が析出してきた。室温で8時間攪拌した後、一晩(14時間)放置し、ろ過と洗浄を3回繰り返して白色粉末(多孔体前駆体粒子)を得た。この白色粉末を熱風乾燥機で3日間乾燥した後、550℃で焼成することにより界面活性剤を含む有機成分を除去し、球状シリカ系メソ多孔体を得た。
このようにして得られた球状シリカ系メソ多孔体のd(100)面間隔及び中心細孔直径の測定を行ったところ、X線回折パターンにおけるd(100)ピーク位置から求めたd(100)面間隔は38.9Åであった。また、窒素吸着等温線から求めた中心細孔直径は2.81nmであった。
次に、得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。得られたSEM写真を図5に示す。SEMにより観察した結果、多孔体はいずれも粒子径が均一な球状粒子の形状を有しており、任意の100個の粒子の粒径分布は0.42〜0.51μm(平均粒径0.46μm、標準偏差4.8%)であった。
(実施例4)
水239gと、エタノール520g及びジエチルエーテル40.0gとからなる混合溶媒に、ドコシルトリメチルアンモニウムクロリド(界面活性剤)0.296g(7.66×10−4mol/L)及び1規定水酸化ナトリウム1.52mLをそれぞれ添加した。これにテトラメトキシシラン(シリカ原料)0.880g(6.05×10−3mol/L)を添加すると完全に溶解し、約240秒後に白色粉末が析出してきた。室温で8時間攪拌した後、一晩(14時間)放置し、ろ過と洗浄を3回繰り返して白色粉末(多孔体前駆体粒子)を得た。この白色粉末を熱風乾燥機で3日間乾燥した後、550℃で焼成することにより界面活性剤を含む有機成分を除去し、球状シリカ系メソ多孔体を得た。
このようにして得られた球状シリカ系メソ多孔体のd(100)面間隔及び中心細孔直径の測定を行ったところ、X線回折パターンにおけるd(100)ピーク位置から求めたd(100)面間隔は36.7Åであった。また、窒素吸着等温線から求めた中心細孔直径は2.64nmであった。
次に、得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。SEMにより観察した結果、多孔体はいずれも粒子径が均一な球状粒子の形状を有しており、任意の100個の粒子の粒径分布は0.31〜0.39μm(平均粒径0.36μm、標準偏差4.0%)であった。
(比較例1)
水278gと、エタノール520gとからなる混合溶媒に、ドコシルトリメチルアンモニウムクロリド0.445g(1.17×10−3mol/L)及び1規定水酸化ナトリウム2.28mLをそれぞれ添加した。これにテトラメトキシシラン(シリカ原料)1.32g(9.22×10−3mol/L)を添加すると完全に溶解し、約150秒後に白色粉末が析出してきた。室温で8時間攪拌した後、一晩(14時間)放置し、ろ過と洗浄を3回繰り返して白色粉末を得た。この白色粉末を熱風乾燥機で3日間乾燥した後、550℃で焼成することにより界面活性剤を含む有機成分を除去し、比較としての球状シリカ系メソ多孔体を得た。
このようにして得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。SEMにより観察した結果、任意の100個の粒子の粒径分布は0.77〜0.90μm(平均粒径0.83μm、標準偏差5.7%)であった.
(比較例2)
水198gと、エタノール560g及びエチレングリコール40.0gとからなる混合溶媒に、ドコシルトリメチルアンモニウムクロリド(界面活性剤)0.445g(1.16×10−3mol/L)および1規定水酸化ナトリウムを2.28mL添加した。これにテトラメトキシシラン(シリカ原料)1.32g(9.16×10−3mol/L)を添加すると完全に溶解し、約150秒後に白色粉末が析出してきた。室温で8時間攪拌した後、一晩(14時間)放置し、ろ過と洗浄を3回繰り返して白色粉末を得た。この白色粉末を熱風乾燥機で3日間乾燥した後、550℃で焼成することにより界面活性剤を含む有機成分を除去し、比較としての球状シリカ系メソ多孔体を得た。
このようにして得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。SEMにより観察した結果、任意の100個の粒子の粒径分布は0.76〜0.89μm(平均粒径0.84μm、標準偏差5.3%)であった。
(比較例3)
水279gと、エタノール520gとからなる混合溶媒に、ドコシルトリメチルアンモニウムクロリド(界面活性剤)0.0900g(2.37×10−4mol/L)及び1規定水酸化ナトリウム0.761mLをそれぞれ添加した。これにテトラメトキシシラン(シリカ原料)0.439g(3.07×10−3mol/L)を添加すると完全に溶解し、約30分後に白色粉末が析出してきた。室温で8時間攪拌した後、一晩(14時間)放置し、ろ過と洗浄を3回繰り返して白色粉末を得た。この白色粉末を熱風乾燥機で3日間乾燥した後、550℃で焼成することにより界面活性剤を含む有機成分を除去し、比較としての球状シリカ系メソ多孔体を得た。
このようにして得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。SEMにより観察した結果、任意の100個の粒子の粒径分布は0.28〜0.38μm(平均粒径0.34μm、標準偏差8.2%)であった。
<実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた球状シリカ系メソ多孔体の比較>
前述の結果からも明らかなように、本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法を用いた場合(実施例1〜4)は、中心細孔直径がいずれも2.6nm以上であり、しかも粒子の粒径分布に関する標準偏差がいずれも5.0%未満であり、粒子の均一性の高いものが得られることが確認された。
一方、界面活性剤の濃度等が本発明の範囲外である比較例1〜3で用いられた製造方法においては、得られた粒子の粒径分布に関する標準偏差がいずれも5.0%を超えており、本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法と比べると、得られる粒子の均一性が低いことが確認された。
このような結果から、本発明の第1の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法においては、得られる全粒子の粒径の均一性及び細孔配列の規則性が極めて高く、しかも中心細孔直径が2.6nm以上となるような大きな細孔径を有する球状シリカ系メソ多孔体を効率良く且つ確実に得ることが可能となることが確認された。
[実施例5〜13(第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法)及び比較例4〜11]
(実施例5)
水800gと、メタノール800gとからなる第一の溶媒に、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(第一の界面活性剤)7.04g(0.014mol/L)及び1規定水酸化ナトリウム9.12mLをそれぞれ添加した。これにテトラメトキシシラン(シリカ原料)5.28g(0.022mol/L)を添加すると完全に溶解し、約200秒後に白色粉末が析出してきた。室温で8時間攪拌した後、一晩(14時間)放置し、ろ過と洗浄を3回繰り返して白色粉末を得た。そして、この白色粉末を熱風乾燥機で3日間乾燥することで第一の多孔体前駆体粒子を得た。
次に、得られた第一の多孔体前駆体粒子0.2gを、エイコシルトリメチルアンモニウムハライド(拡張剤:第二の界面活性剤)0.26g(0.1mol/L)を含む、イオン交換水3mLとエタノール3mLとからなる第二の溶媒に加えて、オートクレーブで80℃の温度条件下において7日間水熱処理を行った。その後、ろ過により回収したサンプルを550℃で焼成することにより界面活性剤を含む有機成分を除去し、球状シリカ系メソ多孔体を得た。
(比較例4)
水800gと、メタノール800gとからなる混合溶媒に、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(界面活性剤)7.04g(0.014mol/L)及び1規定水酸化ナトリウム9.12mLをそれぞれ添加した。これにテトラメトキシシラン(シリカ原料)5.28g(0.022mol/L)を添加すると完全に溶解し、約200秒後に白色粉末が析出してきた。室温で8時間攪拌した後、一晩(14時間)放置し、ろ過と洗浄を3回繰り返して白色粉末を得た。そして、この白色粉末を熱風乾燥機で3日間乾燥した後、550℃で焼成することにより界面活性剤を含む有機成分を除去し、比較としての球状シリカ系メソ多孔体を得た。
実施例5と比較例4で得られた球状シリカ系メソ多孔体の窒素吸着等温線を図6に示す。次に、得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。実施例5で得られた球状シリカ系メソ多孔体のSEM写真を図7に、比較例4で得られた比較としての球状シリカ系メソ多孔体のSEM写真を図8にそれぞれ示す。また、実施例5と比較例4で得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線回折パターンにおけるd(100)ピーク位置から求めたd(100)面間隔、窒素吸着等温線から求めた細孔容積及び中心細孔直径を表1に示す。
このような図6〜8及び表1に示す結果からも明らかなように、本発明の第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法によって、得られる多孔体のd(100)面間隔が6.5Å、細孔容積が0.11cc/g、中心細孔径が0.69nm、それぞれ拡大されていることが確認された。
また、図7の走査電子顕微鏡写真において、任意の100個の粒子から平均粒径等を算出したところ、比較例4で得られた比較としての球状シリカ系メソ多孔体の粒径分布は、平均粒径0.657μm、標準偏差2.43%であった。他方、実施例5で得られた球状シリカ系メソ多孔体の粒径分布は、平均粒径0.642μm、標準偏差2.95%であった。
(比較例5)
得られた第一の多孔体前駆体粒子0.2gを、イオン交換水3mL及びエタノール3mLのみからなる混合溶液に加えてオートクレーブで80℃の温度条件下において7日間水熱処理を行った以外は実施例5と同様にして比較としての球状シリカ系メソ多孔体を得た。
得られた比較としての球状シリカ系メソ多孔体のX線回折パターンを測定したところ、そのピークはほとんど消滅しており、規則性の低い多孔体であることが確認された。また、得られた比較としての球状シリカ系メソ多孔体の窒素吸着等温線から吸着容量を測定したところ、多孔体の吸着容量が大きく低下していることが確認された。このような結果から、従来の水熱処理を施す方法では、均一性の高い多孔体粒子が得られず、その細孔容積が低下することが確認された。
(実施例6)
水300gとメタノール100gとからなる第一の溶媒に、デシルトリメチルアンモニウムブロミド(第一の界面活性剤)1.54g(0.013mol/L)及び1規定水酸化ナトリウム2.28mLをそれぞれ添加した。これにテトラメトキシシラン(シリカ原料)1.32g(0.021mol/L)を添加すると完全に溶解し、約100秒後に白色粉末が析出してきた。室温で8時間攪拌した後、一晩(14時間)放置し、ろ過と洗浄を3回繰り返して白色粉末を得た。そして、この白色粉末を熱風乾燥機で3日間乾燥することで第一の多孔体前駆体粒子を得た。
次に、得られた第一の多孔体前駆体粒子0.2gを、ドコシルトリメチルアンモニウムハライド(拡張剤:第二の界面活性剤)0.27g(0.15mol/L)を含む、イオン交換水2.4mLとエタノール3.6mLとからなる第二の溶媒に加えて、オートクレーブで70℃の温度条件で10日間水熱処理を行った。その後、ろ過により回収したサンプルを550℃で焼成することにより界面活性剤を含む有機成分を除去し、球状シリカ系メソ多孔体を得た。
次に、得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。SEMにより観察した結果、任意の100個の粒子の粒径分布を求めた結果、平均粒子径0.59μm、標準偏差3.0%であった。また、窒素吸着等温線から細孔容積及び中心細孔直径を求めたところ、細孔容積は0.69cc/g、中心細孔直径は2.97nmであることが確認された。
(比較例6)
水300gとメタノール100gとからなる溶媒に、デシルトリメチルアンモニウムブロミド(界面活性剤)1.54g(0.013mol/L)及び1規定水酸化ナトリウム2.28mLをそれぞれ添加した。これにテトラメトキシシラン(シリカ原料)1.32g(0.021mol/L)を添加すると完全に溶解し、約100秒後に白色粉末が析出してきた。室温で8時間攪拌した後、一晩(14時間)放置し、ろ過と洗浄を3回繰り返して白色粉末を得た。そして、この白色粉末を熱風乾燥機で3日間乾燥した後、550℃で焼成することにより界面活性剤を含む有機成分を除去し、比較としての球状シリカ系メソ多孔体を得た。
次に、得られた比較としての球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。SEMにより観察した結果、任意の100個の粒子の粒径分布を求めた結果、平均粒子径0.60μm、標準偏差2.4%であった。また、窒素吸着等温線から細孔容積及び中心細孔直径を求めたところ、細孔容積は0.38cc/g、中心細孔直径は1.97nmであることが確認された。
(比較例7)
得られた第一の多孔体前駆体粒子0.2gを、イオン交換水3mL及びエタノール3mLのみからなる混合溶液に加えてオートクレーブで70℃の温度条件下において10日間水熱処理を行った以外は実施例6と同様にして比較としての球状シリカ系メソ多孔体を得た。
次に、得られた比較としての球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。SEMにより観察した結果、球状粒子が存在していないことが明らかになった。また、窒素吸着等温線から細孔容積を求めたところ、細孔容積が0.20cc/gと非常に小さいことが分かった。
(実施例7)
水158gと、メタノール640gとからなる第一の溶媒に、ドコシルトリメチルアンモニウムクロリド(第一の界面活性剤)0.296g(7.55×10−4mol/L)及び1規定水酸化ナトリウムを1.52mL添加した。これにテトラメトキシシラン(シリカ原料)0.880g(5.95×10−3mol/L)を添加すると完全に溶解し、約540秒後に白色粉末が析出してきた。室温で8時間攪拌した後、一晩(14時間)放置し、ろ過と洗浄を3回繰り返して白色粉末を得た後、熱風乾燥機で3日間乾燥することで第一の多孔体前駆体粒子を得た。
得られた第一の多孔体前駆体粒子0.2gを、ドコシルトリメチルアンモニウムクロリド(拡張剤:第二の界面活性剤)0.485g(1.00×10−1mol/L)を含む、水6mlと、エタノール6mLとからなる第二の溶媒に加えて、オートクレーブで80℃の温度条件において7日間水熱処理を行った。その後、ろ過により回収したサンプルを550℃で焼成することにより界面活性剤を含む有機成分を除去し、球状シリカ系メソ多孔体を得た。
このようにして得られた球状シリカ系メソ多孔体のd(100)面間隔及び中心細孔直径の測定を行ったところ、X線回折パターンにおけるd(100)ピーク位置から求めたd(100)面間隔は61.4Åであった。また、窒素吸着等温線から求めた中心細孔直径は3.73nmであった。
次に、得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。SEMにより観察した結果、任意の100個の粒子の粒径分布は0.76〜0.86μm(平均粒径0.81μm、標準偏差4.9%)であった.
(比較例8)
水158gと、メタノール640gとからなる第一の溶媒に、ドコシルトリメチルアンモニウムクロリド(第一の界面活性剤)0.296g(7.55×10−4mol/L)及び1規定水酸化ナトリウムを1.52mL添加した。これにテトラメトキシシラン(シリカ原料)0.880g(5.95×10−3mol/L)を添加すると完全に溶解し、約540秒後に白色粉末が析出してきた。室温で8時間攪拌した後、一晩(14時間)放置し、ろ過と洗浄を3回繰り返して白色粉末を得た。そして、この白色粉末を熱風乾燥機で3日間乾燥した後、550℃で焼成することにより界面活性剤を含む有機成分を除去し、比較としての球状シリカ系メソ多孔体を得た。
このようにして得られた比較としての球状シリカ系メソ多孔体のd(100)面間隔及び中心細孔直径の測定を行ったところ、X線回折パターンにおけるd(100)ピーク位置から求めたd(100)面間隔は38.0Åであった。また、窒素吸着等温線から求めた中心細孔直径は2.71nmであった。
次に、得られた比較としての球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。SEMにより観察した結果、任意の100個の粒子の粒径分布は0.76〜0.90μm(平均粒径0.85μm、標準偏差4.8%)であった。
(実施例8)
先ず、水672gと、メタノール928gとからなる第一の溶媒1600g(水/メタノール(質量比)=42/58)に、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド(第一の界面活性剤)6.72g(1.2×10−2mol/L)を溶解し、恒温水槽中で25℃に保って攪拌して溶液を得た。次に、この溶液に1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を6.84g添加した。これに、予め乾燥窒素気流中で混合したテトラメトキシシラン(TMOS)と3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)との混合物(シリカ原料:TMOS/APTMS(モル比)=9/1)3.47×10−2molを添加すると完全に溶解し、数分後に白色粉末が析出し、溶液が白濁した。その後、室温で8時間攪拌した後、一晩(14時間)放置し、ろ過と水に再分散させる操作を2回繰り返し、45℃の温度条件下において一晩乾燥させ、第一の多孔体前駆体粒子を得た。
次に、得られた第一のシリカ多孔体前駆体粒子1gを、ドコシルトリメチルアンモニウムクロリド(拡張剤:第二の界面活性剤)0.1mol/Lを含む、イオン交換水30mLとメタノール30mLとからなる第二の溶媒に加えて、オートクレーブで80℃の温度条件下において7日間水熱処理を行った。その後、ろ過と水に再分散させる操作を2回繰り返した後、45℃の温度条件下において一晩乾燥させて第二の多孔体前駆体粒子を得た。
次いで、このようにして得られた第二の多孔体前駆体粒子0.5gを、エタノール50mLに分散させ、これに塩酸0.5mLを加えた後、オイルバス中60℃の温度条件で3時間攪拌して、第二の多孔体前駆体粒子から界面活性剤を抽出し、エタノールで十分に洗浄した後、45℃で乾燥して球状シリカ系メソ多孔体を得た。
(比較例9)
得られた第一のシリカ多孔体前駆体粒子0.5gを、エタノール50mLに分散させ、これに塩酸0.5mLを加えた後、オイルバス中60℃の温度条件で3時間攪拌して、第一のシリカ多孔体前駆体粒子から界面活性剤を抽出し、エタノールで十分に洗浄した後、45℃で乾燥した以外は実施例8と同様にして比較としての球状シリカ系メソ多孔体を得た。
実施例8及び比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。実施例8で得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図9に示し、比較例9で得られた比較としての球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図10に示す。
SEMにより観察した結果、実施例8で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては、任意の50個の粒子の粒径分布は0.48〜0.61μmであり、平均粒径は0.55μmであった。また、実施例8で得られた球状シリカ系メソ多孔体においては、平均粒径の±10%の範囲内の粒子径を有する粒子の割合が全粒子の95重量%であり、得られた粒子は単分散球状であった。一方、比較例9で得られた比較としての球状シリカ系メソ多孔体においては、任意の50個の粒子の粒径分布は0.46〜0.59μmであり、平均粒径は0.53μmであった。さらに、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の96質量%であり、得られた粒子は単分散球状であった。
また、実施例8及び比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線解析パターンを測定した。実施例8及び比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線解析パターンのグラフを図11に示す。このような測定した結果、実施例8及び比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体は、ともに細孔のヘキサゴナル配列に対応する(100),(110),(200)のピークが観測され、細孔の規則性が高い事が確認された。また、第二の界面活性剤を用いて処理を行った実施例8においてはd(100)面間隔が44.8Åから49.6Åに拡大していることが確認された。
さらに、実施例8及び比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体の窒素吸着等温線及び細孔分布曲線の測定を行った。なお、細孔分布曲線は、BJH法で求めた。実施例8及び比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体の窒素吸着等温線を示すグラフを図12に示し、実施例8及び比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体の細孔分布曲線を示すグラフを図13に示す。
図12及び13に示す結果からも明らかなように、拡張剤(第二の界面活性剤)を用いて処理を行って得られた球状シリカ系メソ多孔体(実施例8)においては、第二の界面活性剤を用いずに得られた比較としての球状シリカ系メソ多孔体(比較例9)と比べて窒素吸着量が増加した。また、実施例8で得られた球状シリカ系メソ多孔体の中心細孔直径は3.51nmであり、比較例9で得られた比較としての球状シリカ系メソ多孔体の中心細孔直径は2.49nmであった。このような結果から、本発明のように拡張剤(第二の界面活性剤)を用いて水熱処理を行う(実施例8)ことで、細孔構造が崩れることなく、中心細孔直径が2.49nm(比較例9)から3.51nm(実施例8)へと拡大されることが確認された。更に、算出された細孔容積は、実施例8で得られた球状シリカ系メソ多孔体が0.75mL/gであり、比較例9で得られた比較としての球状シリカ系メソ多孔体が0.64mL/gであった。
また、実施例8及び比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体のNMR測定を行った。実施例8及び比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体の29Si−MAS NMRのチャートを図14に示し、13C−CP MAS NMRのチャートを図15に示す。
図14及び15からも明らかなように、本発明の製造方法を採用することで、得られた球状シリカ系メソ多孔体(実施例8)においては、細孔径が拡大された後においても、有機官能基(3−アミノプロピル基)がシリカ細孔壁に導入されていることが確認された。なお、13C−CP MAS NMRチャートの中の星印(★)は界面活性剤を塩酸とエタノールとによって抽出する際にシラノール基の一部がエトキシ化されたものである。
さらに、実施例8及び比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体を用いて、色素の吸着試験を行った。すなわち、色素としてAcid−Blue25を用い、各球状シリカ系メソ多孔体40mgに20mMのAcid−Blue25水溶液0.8mlを添加し、室温で振とうさせて、色素吸着を行った。そして、このようにして色素吸着を行った後、所定時間の上清をサンプリングし、602nmの吸光度を測定することにより、時間と色素の吸着量との関係を測定した。実施例8及び比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体の色素の吸着量と時間との関係を示すグラフを図16に示す。なお、図16に示すグラフの縦軸は100mgの球状シリカ系メソ多孔体に対する色素の吸着量(mg)を示す。
色素の吸着試験の結果、実施例8で得られた球状シリカ系メソ多孔体は、より小さな細孔径の比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体と比べて、色素吸着能力が向上し、24時間後に約1.3倍の吸着量となっていることが確認された。このような結果から、本発明のように拡張剤(第二の界面活性剤)を用いて処理を行って細孔径の拡大することで、嵩高い色素に対する吸着能力が大幅に向上することが確認された。
(実施例9)
水946.32gと、メタノール1440gとからなる第一の溶媒に、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド(第一の界面活性剤)11.49g(0.033mol)及び1mol/Lの水酸化ナトリウム13.68g(0.014mol)を添加した。これに、テトラメトキシシラン(シリカ原料)7.92g(0.052mol)を添加して撹拌を続けたところテトラメトキシシランは完全に溶解し、約80秒後に白色粉末が析出してきた。室温で8時間撹拌した後、一晩(14時間)放置し、ろ過と脱イオン水による洗浄を3回繰り返して白色粉末(第一の多孔体前駆体粒子)を得た。
次に、得られた第一の多孔体前駆体粒子0.3gを、メシチレン(拡張剤:環状炭化水素)0.6750g(0.299mol/L)を含む、水9mlとエタノール9mlとからなる第二の溶媒に加えて、オートクレーブで80℃の温度条件下において7日間水熱処理を行った。その後、ろ過により回収したサンプルを熱風乾燥機で3日間乾燥した後、550℃で6時間焼成することにより界面活性剤を含む有機成分を除去し、球状シリカ系メソ多孔体を得た。
次に、得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線解析パターンを測定した。このような測定の結果得られたX線回折パターンを図17に示す。図17に示すX線回折パターンからも明らかなように、1°付近の低角側にピークを有しており、得られた球状シリカ系メソ多孔体が規則性のハニカム多孔体であることが確認された。また、d(100)ピーク位置から求めたd(100)面間隔は69.5Åであった。さらに、窒素吸着等温線から求めた中心細孔直径は51.7Åであった。なお、得られた球状シリカ系メソ多孔体の窒素吸着等温線を示すグラフを図18に示す。
また、得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。SEMにより観察した結果、任意の50個の粒子から求めた平均粒径は0.912μm、標準偏差は4.3%であり、粒子径の均一な球状粒子が得られたことが確認された。
(実施例10)
得られた第一の多孔体前駆体粒子0.3gを、1,10−フェナントロリン(拡張剤:ヘテロ環化合物)0.6750g(0.189mol/L)を含む、水9mlとエタノール9mlとからなる第二の溶媒に加えて、オートクレーブで80℃の温度条件下において7日間水熱処理を行った以外は実施例9と同様にして球状シリカ系メソ多孔体を得た。
次に、得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線解析パターンを測定したところ、低角側にピークを有しており、得られた球状シリカ系メソ多孔体が規則性のハニカム多孔体であることが確認された。また、d(100)ピーク位置から求めたd(100)面間隔は39.6Åであった。また、窒素吸着等温線から求めた中心細孔直径は30.6Åであった。
また、得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。SEMにより観察した結果、任意の50個の粒子から求めた平均粒径は0.962μm、標準偏差は9.1%であり、粒子径の均一な球状粒子が得られたことが確認された。
(実施例11)
得られた第一の多孔体前駆体粒子0.3gを、ヘキサン(拡張剤:鎖状炭化水素)0.6750g(0.412mol/L)を含む、水9mlとエタノール9mlとからなる第二の溶媒に加えて、オートクレーブで80℃の温度条件下において7日間水熱処理を行った以外は実施例9と同様にして球状シリカ系メソ多孔体を得た。
次に、得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線解析パターンを測定したところ、低角側にピークを有しており、得られた球状シリカ系メソ多孔体が規則性のハニカム多孔体であることが確認された。また、d(100)ピーク位置から求めたd(100)面間隔は58.1Åであった。また、窒素吸着等温線から求めた中心細孔直径は45.5Åであった。
また、得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。SEMにより観察した結果、任意の50個の粒子から求めた平均粒径は0.927μm、標準偏差は7.4%であり、粒子径の均一な球状粒子が得られたことが確認された。
(実施例12)
得られた第一の多孔体前駆体粒子0.3gを、ドデカン(拡張剤:鎖状炭化水素)0.6750g(0.210mol/L)を含む、水9mlとエタノール9mlとからなる第二の溶媒に加えて、オートクレーブで80℃の温度条件下において7日間水熱処理を行った以外は実施例9と同様にして球状シリカ系メソ多孔体を得た。
次に、得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線解析パターンを測定したところ、低角側にピークを有しており、得られた球状シリカ系メソ多孔体が規則性のハニカム多孔体であることが確認された。また、d(100)ピーク位置から求めたd(100)面間隔は53.2Åであった。また、窒素吸着等温線から求めた中心細孔直径は39.9Åであった。
また、得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。得られた走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図19に示す。このようにしてSEMにより観察した結果、任意の50個の粒子から求めた平均粒径は0.912μm、標準偏差は9.7%であり、粒子径の均一な球状粒子が得られたことが確認された。
(実施例13)
得られた第一の多孔体前駆体粒子0.45gを、メシチレン(拡張剤:環状炭化水素)1.0912g(0.321mol/L)及びドコシルトリメチルアンモニウムクロリド(拡張剤:第二の界面活性剤)1.0912g(0.0955mol/L)を含む、水13.5mlとエタノール13.5mlとからなる第二の溶媒に加えて、オートクレーブで80℃の温度条件下において7日間水熱処理を行った以外は実施例9と同様にして球状シリカ系メソ多孔体を得た。
次に、得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線解析パターンを測定したところ、低角側にピークを有しており、得られた球状シリカ系メソ多孔体が規則性のハニカム多孔体であることが確認された。また、d(100)ピーク位置から求めたd(100)面間隔は58.1Åであった。また、窒素吸着等温線から求めた中心細孔直径は42.4Åであった。なお、得られた球状シリカ系メソ多孔体の窒素吸着等温線を示すグラフを図18に示す。
また、得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。SEMにより観察した結果、任意の50個の粒子から求めた平均粒径は1.039μm、標準偏差は4.9%であり、粒子径の均一な球状粒子が得られたことが確認された。
(比較例10)
得られた第一の多孔体前駆体粒子を550℃で6時間焼成することによって界面活性剤を含む有機成分を除去した以外は実施例9と同様にして比較としての球状シリカ系メソ多孔体を得た。
次に、得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線解析パターンを測定したところ、低角側にピークを有しており、得られた球状シリカ系メソ多孔体が規則性のハニカム多孔体であることが確認された。また、d(100)ピーク位置から求めたd(100)面間隔は34.9Åであった。また、窒素吸着等温線から求めた中心細孔直径は23.9Åであった。なお、得られた球状シリカ系メソ多孔体の窒素吸着等温線を示すグラフを図18に示す。
また、得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。SEMにより観察した結果、任意の50個の粒子から求めた平均粒径は0.825μm、標準偏差は5.0%であった。
(比較例11)
得られた第一の多孔体前駆体粒子0.3gを、メシチレン(拡張剤:環状炭化水素)0.6750g(0.299mol/L)を含むエタノール18mlからなる溶媒に加えて、オートクレーブで80℃の温度条件下において7日間水熱処理を行った以外は実施例9と同様にして比較としての球状シリカ系メソ多孔体を得た。
次に、得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線解析パターンを測定したところ、低角側にピークを有しており、得られた球状シリカ系メソ多孔体が規則性のハニカム多孔体であることが確認された。また、d(100)ピーク位置から求めたd(100)面間隔は34.9Åであった。また、窒素吸着等温線から求めた中心細孔直径は23.9Åであった。
また、得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。SEMにより観察した結果、任意の50個の粒子から求めた平均粒径は0.861μm、標準偏差は4.3%であった。
<実施例5〜13及び比較例4〜11で得られた球状シリカ系メソ多孔体の比較>
実施例5〜13及び比較例4〜11で得られた球状シリカ系メソ多孔体を比較することで、本発明の第2の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法を採用した場合には、水熱処理を施しているにもかかわらず、細孔径や粒子の均一性が崩れることなく、得られる粒子の均一性が十分に高いことが確認された。
なお、各実施例及び各比較例で得られた球状シリカ系メソ多孔体の特性を評価する際には、以下のような方法を採用した。すなわち、メソ細孔構造の規則性を評価する際には、X線回折パターンの測定のために理学製の粉末XRD装置 RINT−2200を用いた。また、粒子の形態を評価するために、走査電子顕微鏡(SEM)は、明石製作所製のSIGMA−V又は日立ハイテクノロジーズ製のS−3600Nを用い、加速電圧15〜20eVの条件下で観察を行った。また、SEM写真において、任意の50個又は100個の粒子の直径を計測し、平均粒径および標準偏差を算出した。更に、窒素吸着等温線は、日本ベル製のBELSORP−mini II又はユアサアイオニクス製のAUTOSORB−1により、液体N温度(77K)で定容量法を採用して測定した。なお、窒素吸着等温線の測定前に試料を100℃で2時間真空脱気処理した。また、このようにして得られた窒素吸着等温線から、BJH法により細孔径を算出した。また、29Si−MAS NMRと13C−CP MAS NMRの測定は、Bruker製AVANCE400を用いて測定した。
以上説明したように、本発明によれば、得られる全粒子の粒径の均一性及び細孔配列の規則性が極めて高く、しかも中心細孔直径が2.6nm以上となるような大きな細孔径を有する球状シリカ系メソ多孔体を効率良く且つ確実に得ることが可能な球状シリカ系メソ多孔体の製造方法を提供することが可能となる。
従って、本発明の方法により得られる球状シリカ系メソ多孔体は、粒径が極めて均一であることから、フォトニッククリスタルをはじめとした光デバイス関係に用いる材料として非常に有用であり、更には、分子量の大きい色素や酵素等を細孔内により確実に導入することが可能となり、酵素センサー等として用いることも可能となる。
実施例1で得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線回折パターンを示すグラフである。 実施例1で得られた球状シリカ系メソ多孔体の窒素吸着等温線を示すグラフである。 実施例1で得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例2で得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例3で得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例5と比較例4で得られた球状シリカ系メソ多孔体の窒素吸着等温線を示すグラフである。 実施例5で得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 比較例4で得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例8で得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例8及び比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線解析パターンのグラフである。 実施例8及び比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体の窒素吸着等温線を示すグラフである。 実施例8及び比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体の細孔分布曲線を示すグラフである。 実施例8及び比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体の29Si−MAS NMRのチャートである。 実施例8及び比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体の13C−CP MAS NMRのチャートである。 実施例8及び比較例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体の色素の吸着量と時間との関係を示すグラフである。 実施例9で得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線解析パターンである。 実施例9、13及び比較例10で得られたた球状シリカ系メソ多孔体の窒素吸着等温線を示すグラフである。 実施例12で得られた球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)である。

Claims (8)

  1. 溶媒中でシリカ原料と界面活性剤とを混合し、シリカ中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
    前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤を除去して球状シリカ系メソ多孔体を得る第2の工程と、
    を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、前記界面活性剤として下記一般式(1):
    [式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは19〜25の整数を示す。]
    で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記溶媒として水と、アルコール及び/又はエーテルとの混合溶媒を用い、前記溶媒中におけるアルコール及び/又はエーテルの含有量が40〜85容量%であり、前記溶媒中における前記界面活性剤の濃度が0.0003〜0.001mol/Lであり、且つ、前記溶媒中における前記シリカ原料の濃度がSi濃度換算で0.0005〜0.01mol/Lであることを特徴とする粒径均一性の高い球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
  2. 前記シリカ原料がアルコキシシランであり、前記溶媒中で前記シリカ原料と前記界面活性剤とを塩基性条件下で混合することを特徴とする請求項1に記載の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
  3. 前記アルコキシシランが、3−アミノプロピルトリメトキシシラン及び/又は3−アミノプロピルトリエトキシシランであることを特徴とする請求項2に記載の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
  4. 前記球状シリカ系メソ多孔体の平均粒径が0.01〜3μmであり、中心細孔直径が2.6nm以上であり、且つ、全粒子の95質量%以上が前記平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有していることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
  5. 第一の溶媒中でシリカ原料と第一の界面活性剤とを混合し、シリカ中に前記第一の界面活性剤が導入されてなる第一の多孔体前駆体粒子を得る工程(A)と、
    拡張剤を含む第二の溶媒中で、前記第一の多孔体前駆体粒子中に前記拡張剤が導入されてなる第二の多孔体前駆体粒子を得る工程(B)と、
    前記第二の多孔体前駆体粒子に含まれる前記第一の界面活性剤及び前記拡張剤を除去して球状シリカ系メソ多孔体を得る工程(C)と、
    を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、
    工程(A)において、前記第一の界面活性剤として下記一般式(2):
    [式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは7〜25の整数を示す。]
    で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記第一の溶媒として水と、アルコール及び/又はエーテルとの混合溶媒を用い、前記第一の溶媒中におけるアルコール及び/又はエーテルの含有量が85容量%以下であり、前記第一の溶媒中における前記第一の界面活性剤の濃度が0.0001〜0.03mol/Lであり、前記第一の溶媒中における前記シリカ原料の濃度がSi濃度換算で0.0005〜0.03mol/Lであり、且つ、前記シリカ原料と前記第一の界面活性剤とを0〜40℃の温度条件下で混合すること、及び、
    工程(B)において、前記拡張剤として下記一般式(3):
    [式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、zは17〜25の整数であって且つ前記第一の界面活性剤として選択されたアルキルアンモニウムハライドの式(2)中のmの値以上の整数を示す。]
    で表されるアルキルアンモニウムハライド、鎖状炭化水素、環状炭化水素及びヘテロ環化合物からなる群から選択される少なくとも1種を用い、前記第二の溶媒として水とアルコールとの混合溶媒を用い、前記第二の溶媒中におけるアルコールの含有量が40〜90容量%であり、前記第二の溶媒中における前記拡張剤の濃度が0.05〜10mol/Lであり、且つ、前記第二の溶媒中で前記第一の多孔体前駆体粒子を60〜150℃の温度条件下で混合すること、
    を特徴とする粒径均一性の高い球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
  6. 前記シリカ原料がアルコキシシランであり、前記第一の溶媒中で前記シリカ原料と前記第一の界面活性剤とを塩基性条件下で混合することを特徴とする請求項5に記載の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
  7. 前記鎖状炭化水素の炭素数が6〜26であり、前記環状炭化水素の環数が1〜3で炭素数が6〜18であり、且つ、前記ヘテロ環化合物の環数が1〜3で炭素数が4〜18でヘテロ原子が窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1種の原子であることを特徴とする請求項5又は6に記載の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
  8. 前記球状シリカ系メソ多孔体の平均粒径が0.01〜3μmであり、中心細孔直径が2.6nm以上であり、且つ、全粒子の95質量%以上が前記平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有していることを特徴とする請求項5〜7のうちのいずれか一項に記載の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
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