ところで、このような潤滑油供給装置Saにあっては、上記の射出成形機に限らず、機械の潤滑条件によっては、例えば、第1管路P1の単一定量バルブVtの間欠時間より長い間欠時間あるいは短い間欠時間にして少量ずつ給油したい部位がある場合に、この部位を第1管路P1に設けた単一定量バルブVtから潤滑油を供給すると、この単一定量バルブVtの給油と同期して第1管路P1に設けられる他の単一定量バルブVtも作動してしまうので、他の単一定量バルブVtが必要以上に作動してしまい、供給する潤滑油にロスが生じてしまうという問題があった。
即ち、従来は、2系統の管路に間欠時間を異ならせて潤滑油を供給することはできるが、3系統以上の管路に潤滑油を個別に給油できないので、潤滑油の供給方法の自由度が劣る。この問題の解決には、新たなポンプを設けてこれに上記2系統の管路とは別の管路を接続してこの管路に潤滑油を供給することも考えられるが、その分コスト高になってしまう。
さらに、従来の潤滑油供給装置Saでは射出成形機に潤滑油を供給していたが、近年では技術の進歩などにより射出成形機で成形された部品を作業者ではなくロボットなどが取り扱うようになっており、そのロボットの特に摩擦が生じる部位(例えば、関節部位など)に対しても同一の潤滑油供給装置Saを用いて潤滑油を供給する必要が生じてきている。このため、これからの潤滑油供給装置Saは、射出成形機に関連する関連機器に対しても潤滑油を供給する必要がある。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みて為されたもので、3系統以上の管路に1つのポンプから各管路に個別に潤滑油を供給できるようにし潤滑油の供給の自由度を高めて汎用性を向上させるとともに、射出成形機に関連する関連機器の所定の部位に対しても潤滑油を供給することができる潤滑油供給システム及びその潤滑油供給方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、複数の管路と、複数の前記管路の少なくとも1つの管路に接続され前記管路から潤滑油が導かれる、射出成形機に関連する関連機器と、潤滑油貯溜部に貯溜された潤滑油を複数の前記管路に供給するポンプと、前記ポンプに接続され切換えられて複数の前記管路のうちいずれか1つの管路に前記ポンプからの潤滑油を供給する複数の切替バルブと、を含んで構成されたことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、複数の切替バルブが切換えられることにより、複数の管路のうちいずれか1つの管路にポンプからの潤滑油が供給される。管路にポンプからの潤滑油が供給されると、その管路と関連機器とが接続されていれば、その潤滑油は管路を介して射出成形機に関連する関連機器に導かれる。これにより、射出成形機に関連する関連機器の所定の部位に潤滑油を供給することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の潤滑油供給システムにおいて、前記関連機器は、前記射出形成機で成形された成形物を取り扱う成形物取扱機構であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、関連機器は射出形成機で成形された成形物を取り扱う成形物取扱機構であることにより、成形物取扱機構に潤滑油を供給することができる。これにより、成形物取扱機構の摩擦が生じる部位などを保護することができ、また成形物取扱機構の駆動を円滑にすることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の潤滑油供給システムにおいて、前記関連機器は、前記射出形成機の近傍に配置され前記射出形成機で成形された成形物を取り扱うロボットであることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、関連機器は射出形成機の近傍に配置され射出形成機で成形された成形物を取り扱うロボットであることにより、ロボットに潤滑油を供給することができる。これにより、ロボットの摩擦が生じる部位などを保護することができ、またロボットの駆動を円滑にすることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の潤滑油供給システムにおいて、複数の前記管路の少なくとも一部は、前記射出成形機と接続され、前記管路から前記射出成形機に潤滑油が導かれることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、複数の管路の少なくとも一部は射出成形機と接続されており、射出成形機の所定の部位に管路から潤滑油が導かれることにより、複数の管路のうち一部は関連機器に潤滑油を供給することができ、また複数の管路のうち他の一部は射出成形機に潤滑油を供給することができる。これにより、同一(1台)の潤滑油供給システムで射出成形機とその関連機器のそれぞれに潤滑油を供給することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の潤滑油供給システムにおいて、複数の前記管路のうち少なくとも1つの管路は潤滑油が供給された後に脱圧が必要な脱圧管路で構成され、少なくとも他の1つの管路は潤滑油が供給された後に脱圧が不要な非脱圧管路で構成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、複数の管路のうち少なくとも1つの管路は潤滑油が供給された後に脱圧が必要な脱圧管路で構成され、少なくとも他の1つの管路は潤滑油が供給された後に脱圧が不要な非脱圧管路で構成されていることにより、脱圧管路及び非脱圧管路を介して、射出成形機に関連する関連機器に潤滑油を供給することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の潤滑油供給システムにおいて、前記脱圧管路は、供給される潤滑油の加圧及び脱圧により作動させられて潤滑油を吐出する第1バルブと接続され前記第1バルブの作動のために脱圧が必要な第1脱圧管路及び第2脱圧管路からなる2系統の脱圧管路で構成され、前記非脱圧管路は、供給される潤滑油の加圧により作動させられて潤滑油を吐出する第2バルブと接続されるとともに前記第2バルブの作動のために脱圧が不要な1系統の非脱圧管路で構成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、脱圧管路は供給される潤滑油の加圧及び脱圧により作動させられて潤滑油を吐出する第1バルブと接続され第1バルブの作動のために脱圧が必要な第1脱圧管路及び第2脱圧管路からなる2系統の脱圧管路で構成され、非脱圧管路は供給される潤滑油の加圧により作動させられて潤滑油を吐出する第2バルブと接続されるとともに第2バルブの作動のために脱圧が不要な1系統の非脱圧管路で構成されていることにより、第1脱圧管路及び第2脱圧管路からなる2系統の脱圧管路を介して射出成形機に関連する関連機器に潤滑油を供給することができ、また、第2バルブの作動のために脱圧が不要な1系統の非脱圧管路を介しても射出成形機に関連する関連機器に潤滑油を供給することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の潤滑油供給システムにおいて、複数の前記切換バルブのうち最下位の前記切換バルブより上位にある前記切換バルブを、前記ポンプの吐出口側に接続される入力ポート、前記潤滑油貯溜部側に開放するドレンポート、複数の前記管路のうちいずれか1つの管路側であって下位の前記切換バルブの入力ポートに接続されるメインポート、他のいずれか1つの管路に接続されるサブポート及び下位の前記切換バルブのドレンポートに接続され自身のドレンポートと連通したドレン接続ポートを有し、通電されるオン時に前記入力ポートとサブポートとを接続するとともに前記ドレンポート、ドレン接続ポート及びメインポートを前記入力ポート及びサブポートから遮断し、非通電になるオフ時に前記入力ポートとメインポートとを接続し、前記ドレンポートとサブポートとを接続するとともに前記入力ポートと前記サブポートとを遮断するソレノイドバルブで構成し、最下位の前記切換バルブを、前記ポンプの吐出口側に接続される入力ポート、前記潤滑油貯溜部側に開放するドレンポート、複数の前記管路のうちいずれか1つの管路に接続されるメインポート及び他のいずれか1つの管路に接続されるサブポートを有し、通電されるオン時に前記入力ポートとサブポートとを接続するとともに前記ドレンポート及びメインポートを前記入力ポート及びサブポートから遮断し、非通電になるオフ時に前記入力ポートとメインポートとを接続し、前記ドレンポートとサブポートとを接続するとともに前記入力ポートと前記サブポートとを遮断するソレノイドバルブで構成したことを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、この潤滑油供給システムは、最下位の切換バルブよりも上位の切換バルブ1個と、最下位の切換バルブ1個との合計2個の切換バルブで作動可能になる。この潤滑油供給システムを用いて3系統の管路に個別に潤滑油を供給する際には、次のようにして行う。
各切換バルブのサブポートに接続される管路のいずれかに供給する場合には、潤滑油を供給したい管路が接続されるサブポートのある切換バルブのソレノイドバルブを操作により通電し、入力ポートとサブポートとを接続しドレンポートとメインポートとを接続するとともに入力ポート及びサブポートをドレンポート及びメインポートから遮断する。また、この切換バルブよりも上位の切換バルブを非通電にして、入力ポートとメインポートとを接続し、ドレンポートとサブポートとを接続するとともに入力ポートとサブポートとを遮断する。そのため、ポンプからの潤滑油は、通電された切換バルブより上位の切換バルブでは、入力ポートとメインポートとを通って下位の切換バルブに供給されていく。そして、通電された切換バルブでは、上位のメインポートからの潤滑油が入力ポート及びサブポートを通ってこのサブポートに接続される管路に供給される。
さらに、潤滑油の供給を停止する際には、ポンプの作動を非作動にし、通電された切換バルブを操作により非通電にする。この非通電にされた切換バルブは、入力ポートとメインポートとを接続し、ドレンポートとサブポートとを接続するとともに入力ポートとサブポートとを遮断する。この際、この切換バルブのサブポートに接続される管路の潤滑油は、サブポート及びドレンポートを通り、この非通電にされた切換バルブよりも上位の切換バルブのドレン接続ポート及びドレンポートを通って潤滑油貯溜部側に抜ける。そのため、この非通電にされた切換バルブの管路が脱圧される。これにより、切換バルブのサブポートに接続された管路が例えば単一定量バルブのような管路の脱圧が必要なバルブを備えていても、脱圧されて作動可能になるので、次にこの管路に潤滑油が供給される際においても、この管路の単一定量バルブが一回作動し潤滑油が吐出されて、給油する部位に供給される。
また次に、最下位の切換バルブのメインポートに接続される管路に潤滑油を供給する際には、ポンプの作動及び全ての切換バルブのソレノイドバルブの非通電が行われる。これにより、最下位のよりも上位の切換バルブにおいては、非通電になるので、入力ポートとメインポートとが接続され、ドレンポートとサブポートとを接続するとともに入力ポートとサブポートとが遮断される。また、最下位の切換バルブにおいても、非通電なので、ドレンポートとサブポートとが接続されるとともに入力ポートとサブポートとが遮断される。そのため、ポンプからの潤滑油は、上位の切換バルブの入力ポート及びメインポートを通って、最下位の入力ポート及びメインポートを通りこのメインポートに接続される管路に供給される。これにより、各切換バルブの通電、非通電により、複数の各管路に、1つのポンプで系統の異なる3系統の管路に潤滑油を供給できるようになり、単位時間当たり1回の給油で所定の給油量を確保する部位と、1回の給油量を少なくし何回かに分けて給油して単位時間当たりの所定の給油量を確保する部位とが混在するような間欠時間の異なる3系統の各管路に潤滑油を供給できるようになる。
また、この潤滑油供給システムにおいては、通電された切換バルブ以外の切換バルブのサブポートに接続される管路の潤滑油は、サブポート及びドレンポートを通り、この管路が接続される切換バルブよりも上位の切換バルブのドレン接続ポート及びドレンポートを通って潤滑油貯溜部側に抜ける。そのため、通電された切換バルブ以外の切換バルブのサブポートに接続される管路は、この切換バルブのオン時以外は常時脱圧されるので、脱圧が確実になる。
さらに、これらの切換バルブは、ポンプに順次連接されているので、切換バルブを別途設ける場合に比較して、コンパクトで取扱も容易になり、また、配管作業も簡単にでき、設置作業効率を向上させることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の潤滑油供給システムにおいて、最下位の前記切換バルブより上位にある前記切換バルブの前記ソレノイドバルブを、通電されるオン時に前記ドレンポートと前記メインポートとを接続するとともに、最下位の前記切換バルブの前記ソレノイドバルブを、通電されるオン時に前記ドレンポートと前記メインポートとを接続する構成としたことを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、最下位の切換バルブより上位にある切換バルブのソレノイドバルブを、通電されるオン時にドレンポートとメインポートとを接続するとともに、最下位の切換バルブのソレノイドバルブを、通電されるオン時にドレンポートとメインポートとを接続する構成とされている。ここで、最下位の切換バルブのメインポートに接続される管路の潤滑油は、操作されて通電される切換バルブよりも下位の切換バルブのメインポート及び入力ポートを通り、オンになった切換バルブのメインポート及びドレンポートを通るとともに、オンになった切換バルブよりも上位の切換バルブのドレン接続ポート及びドレンポートを通って潤滑油貯溜部側に抜けるので、このメインポートに接続された管路も脱圧される。そのため、最下位の切換バルブのメインポートに接続される管路に、例えば、単一定量バルブのような脱圧が必要なバルブを備えることもできるようになる。
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の潤滑油供給システムにおいて、前記ポンプの作動及び全ての前記ソレノイドバルブをオフ状態にする停止モードと、いずれか1つの前記ソレノイドバルブをオン状態にし前記ポンプの作動のオン,オフを行っていずれか1つの前記ソレノイドバルブの前記サブポートに接続される管路に潤滑油を供給するサブポート供給モードと、全ての前記ソレノイドバルブをオフ状態にし前記ポンプの作動のオン,オフを行って最下位の前記切換バルブの前記メインポートに接続される管路に潤滑油を供給する最下位メインポート供給モードとのいずれかのモードに設定可能なコントローラを備えたことを特徴とする。
請求項9に記載の発明によれば、ポンプの作動及び全てのソレノイドバルブをオフ状態にする停止モードと、いずれか1つのソレノイドバルブをオン状態にしポンプの作動のオン,オフを行っていずれか1つのソレノイドバルブのサブポートに接続される管路に潤滑油を供給するサブポート供給モードと、全てのソレノイドバルブをオフ状態にしポンプの作動のオン,オフを行って最下位の切換バルブのメインポートに接続される管路に潤滑油を供給する最下位メインポート供給モードとのいずれかのモードに設定可能なコントローラを備えていることにより、コントローラのモード切換により種々の潤滑パターンを実現でき、各管路毎の間欠時間の設定が容易になり、潤滑油のロスを減少させることができる。
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の潤滑油供給システムにおいて、前記ポンプに対して複数の前記切換バルブを着脱可能にしたことを特徴とする。
請求項10に記載の発明によれば、ポンプに対して複数の切換バルブを着脱可能にしていることにより、切換バルブの替わりに、例えば非脱圧管路専用の吐出口が設けられたブロックを装着できる等、別形態のポンプに容易に代えることができ、汎用性をさらに増すことができる。
請求項11に記載の発明は、請求項6乃至10のいずれか1項に記載の潤滑油供給システムにおいて、前記第1バルブ及び前記第2バルブの口径が全て同一であることを特徴とする。
請求項11に記載の発明によれば、第1バルブ及び第2バルブの口径が全て同一であることにより、各バルブの製造時において成形型が単一のもので足り、各バルブを容易に製造することができ、また各バルブの管理も容易になる。また、各バルブのメンテナンス時において、各バルブの口径が統一されているため、交換が必要なバルブの口径を容易に特定することができる。これにより、メンテナンス性を向上させることができる。
請求項12に記載の発明は、複数の管路と、複数の前記管路の少なくとも1つの管路に接続され前記管路から潤滑油が導かれる、射出成形機に関連する関連機器と、潤滑油貯溜部に貯溜された潤滑油を複数の前記管路に供給するポンプと、前記ポンプに接続され切換えられて複数の前記管路のうちいずれか1つの管路に前記ポンプからの潤滑油を供給する複数の切替バルブと、を有する潤滑油供給システムの潤滑油供給方法であって、複数の前記切替バルブが切換えられることにより複数の前記管路のうちいずれか1つの管路に前記ポンプからの潤滑油が供給される第1工程と、前記管路に供給された潤滑油が前記管路を介して射出成形機に関連する関連機器の所定の部位に導かれる第2工程と、を有することを特徴とする。
請求項12に記載の発明によれば、第1工程において、複数の切替バルブが切換えられることにより複数の管路のうちいずれか1つの管路にポンプからの潤滑油が供給される。第2工程において、管路に供給された潤滑油が管路を介して射出成形機に関連する関連機器の所定の部位に導かれる。これにより、射出成形機に関連する関連機器の所定の部位に潤滑油を供給することができる。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の潤滑油供給システムの潤滑油供給方法において、前記関連機器は、前記射出形成機で成形された成形物を取り扱う成形物取扱機構であることを特徴とする。
請求項13に記載の発明によれば、関連機器は射出形成機で成形された成形物を取り扱う成形物取扱機構であることにより、成形物取扱機構に潤滑油を供給することができる。これにより、成形物取扱機構の摩擦が生じる部位などを保護することができ、また成形物取扱機構の駆動を円滑にすることができる。
請求項14に記載の発明は、請求項12又は13に記載の潤滑油供給システムの潤滑油供給方法において、前記関連機器は、前記射出形成機の近傍に配置され、前記射出形成機で成形された成形物を取り扱うロボットであることを特徴とする。
請求項14に記載の発明によれば、関連機器は射出形成機の近傍に配置され射出形成機で成形された成形物を取り扱うロボットであることにより、ロボットに潤滑油を供給することができる。これにより、ロボットの摩擦が生じる部位などを保護することができ、またロボットの駆動を円滑にすることができる。
請求項15に記載の発明は、請求項12乃至14のいずれか1項に記載の潤滑油供給システムの潤滑油供給方法において、複数の前記管路の少なくとも一部は前記射出成形機と接続され、前記管路から前記射出成形機に潤滑油が導かれる第3工程を有することを特徴とする。
請求項15に記載の発明によれば、複数の管路の少なくとも一部は射出成形機と接続されており、射出成形機の所定の部位に管路から潤滑油が導かれることにより、複数の管路のうち一部は第2工程で関連機器に潤滑油を供給することができ、また複数の管路のうち他の一部は第3工程で射出成形機に潤滑油を供給することができる。これにより、同一(1台)の潤滑油供給システムで射出成形機とその関連機器のそれぞれに潤滑油を供給することができる。
本発明によれば、3系統以上の管路に、1つのポンプから各管路に個別に潤滑油を供給できるようになり、潤滑油供給の仕方の自由度が高められて汎用性が向上されるとともにシステムが簡略化されてコストダウンを図ることができる。また、各管路に個別に潤滑油を供給可能なので、潤滑油供給の仕方の自由度が高くなり、各管路の間欠時間をそれぞれ異ならせて潤滑油を供給することもでき、汎用性が向上させられる。さらに、従来の潤滑システムと比較して供給する潤滑油のロスを減少させることができる。
また、本発明によれば、複数の切替バルブが切換えられることにより、複数の管路のうちいずれか1つの管路にポンプからの潤滑油が供給される。管路にポンプからの潤滑油が供給されると、その潤滑油は管路を介して射出成形機に関連する関連機器の所定の部位に導かれる。これにより、射出成形機に関連する関連機器の所定の部位に潤滑油を供給することができる。
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態に係る潤滑油供給システムについて詳細に説明する。この潤滑油供給システムは、樹脂あるいは金属の射出成形機の他に、射出成形機の近傍に配置された関連機器(例えば、成形物を取り扱うロボットなど)に潤滑油であるグリス(又はオイル)を供給するものである。
図1乃至図20には、本発明の一実施形態に係る潤滑油供給システムは、潤滑油供給装置Sを備えている。ここでは、潤滑油供給装置Sは3系統の管路P1、P2、P3に潤滑油を供給できるように構成されている。この潤滑油供給装置Sの基本的構成は、潤滑油貯溜部20に貯溜された潤滑油を供給する1つのポンプ10と、このポンプ10に順次連設されて接続され切換えられて複数の管路に個別に潤滑油を供給する複数の切換バルブを備えた構成としている。図1乃至図20に示す潤滑油供給装置Sは、切換バルブを介して、系統の異なる3系統の第1管路P1、第2管路P2及び第3管路P3に潤滑油を供給するものである。
詳しくは、図2乃至図4に示すように、ポンプ10は、ピストン11及びシリンダ12を備えたプランジャ型のポンプであり、駆動モータ13によってカム機構14を介して往復駆動される。また、ポンプ10の上側には潤滑油貯溜部20が設けられ、下側に切換バルブの取付部15が形成されている。図4に示すように、ポンプ10の下側の取付部15には、潤滑油を吐出する吐出口16が設けられるとともに、潤滑油貯溜部20側に連通して開放する戻り口17が露出して設けられている。潤滑油貯溜部20は、図3に示すように、グリスからなる潤滑油のカートリッジ21と、カートリッジ21が取付けられるカートリッジ取付部22と、カートリッジ取付部22に取付けられカートリッジ21を覆うカバー23とを備えて構成されている。
複数の切換バルブは、最下位の切換バルブより上位にある第1切換バルブ30と、最下位の切換バルブである第2切換バルブ50とからなる。
第1切換バルブ30は、第1ソレノイドバルブ30aで構成され、ポンプ10の吐出口16側に接続される第1入力ポート31、戻り口17に接続され潤滑油貯溜部20側に開放する第1ドレンポート32、後述の第2切換バルブ50の第2入力ポート51に接続される第1メインポート33、第1管路P1に接続される第1サブポート34及び後述の第2切換バルブ50の第2ドレンポート52に接続され自身の第1ドレンポート32と連通したドレン接続ポート35を有して構成されている。
第1入力ポート31及び第1ドレンポート32は切換バルブ30の上側のポンプ10への被取付部36に形成され、第1サブポート34は第1切換バルブ30の正面を向いて形成され、第1メインポート33及びドレン接続ポート35は第1切換バルブ30の下側の下位の切換バルブ(第2切換バルブ50)への取付部37に形成されている。符号38は、加工上形成される空きポートであり、プラグ39により閉塞されている。
図1、図7乃至図9、図13乃至図16、図19及び図20に示すように、符号40はスプール、符号41はスプール40を駆動する第1ソレノイド、符号42はスプール40を定常位置に復帰させるスプリングである。スプール40は、第1ソレノイド41の通電されるオン時に第1ソレノイド41の励磁により引っ張られて、第1入力ポート31と第1サブポート34とを接続し、第1ドレンポート32と第1メインポート33とを接続するとともに第1ドレンポート32、ドレン接続ポート35及び第1メインポート33を第1入力ポート31及び第1サブポート34から遮断し、第1ソレノイド41の非通電になるオフ時にスプリング42で定常位置に復帰させられ、第1入力ポート31と第1メインポート33とを接続し、第1ドレンポート32と第1サブポート34とを接続するとともに第1入力ポート31と第1サブポート34とを遮断する。
第2切換バルブ50は、第2ソレノイドバルブ50aで構成され、ポンプ10の吐出口16側である第1切換バルブ30の第1メインポート33に接続される第2入力ポート51、第1切換バルブ30のドレン接続ポート35に接続され潤滑油貯溜部20側に開放する第2ドレンポート52、第3管路P3に接続される第2メインポート53及び第2管路P2に接続される第2サブポート54を有して構成されている。第2入力ポート51は、第1切換バルブ30を介してポンプ10に接続可能になっており、また、第2ドレンポート52は第1切換バルブ30のドレン接続ポート35及び第1ドレンポート32を介して潤滑油貯溜部20側に開放される。
第2入力ポート51及び第2ドレンポート52は第2切換バルブ50の上側の第1切換バルブ30への被取付部56に形成され、第2サブポート54は切換バルブ50の正面を向いて形成され、第2メインポート53は第2切換バルブ50の下側に形成されている。符号58は、加工上形成される空きポートであり、プラグ59により閉塞されている。
図1、図10乃至図14、図17及び図18に示すように、符号60はスプール、符号61はスプール60を駆動する第2ソレノイド、符号62はスプール60を定常位置に復帰させるスプリングである。スプール60は、第2ソレノイド61の通電されるオン時に第2ソレノイド61の励磁により引っ張られて、第2入力ポート51と第2サブポート54とを接続し、第2ドレンポート52と第2メインポート53とを接続するとともに第2ドレンポート52及び第2メインポート53を第2入力ポート51及び第2サブポート54から遮断し、非通電になるオフ時にスプリング62で定常位置に復帰させられ、第2入力ポート51と第2メインポート53とを接続し、第2ドレンポート52と第2サブポート54とを接続するとともに第2入力ポート51と第2サブポート54とを遮断する。
図中符号66は、第1切換バルブ30の第1ソレノイド41及び第2切換バルブ50の第2ソレノイド61を保護するためのカバーである。
また、第1切換バルブ30は、ポンプ10に対して着脱可能に形成されている。詳しくは、ポンプ10の取付部15と第1切換バルブ30の被取付部36とは互いに密着する形状に形成されており、図4に示すように、ポンプ10には、第1切換バルブ30を取付けるための4つの雌ネジ18が形成され、図5、図7、図9、図15及び図16に示すように、第1切換バルブ30には、ポンプ10の雌ネジ18に螺合するボルト(図示せず)が挿通されボルト頭でポンプ10側に押圧してこの第1切換バルブ30をポンプ10に取付けるための4つの取付孔45が設けられている。そして、ポンプ10の取付部15と第1切換バルブ30の被取付部36とを密着させた状態でボルトを取付孔45に挿通して雌ネジ18にねじ込むことにより、第1切換バルブ30はポンプ10に取付けられる。
また、第1切換バルブ30の取付部37と第2切換バルブ50の被取付部56とは互いに密着する形状に形成されており、図9に示すように、第1切換バルブ30には、第2切換バルブ50を取付けるための4つの雌ネジ46が形成され、図6、図10、図12、図17及び図18に示すように、第2切換バルブ50には、第1切換バルブ30の雌ネジ46に螺合するボルト(図示せず)が挿通されボルト頭でポンプ10側に押圧してこの第2切換バルブ50をポンプ10に取付けるための4つの取付孔65が設けられている。そして、第1切換バルブ30の取付部37と第2切換バルブ50の被取付部56とを密着させた状態でボルトを取付孔65に挿通して雌ネジ46にねじ込むことにより、第2切換バルブ50は第1切換バルブ30に取付けられる。
さらに、ボルトをゆるめて外すことにより、第1切換バルブ30はポンプ10から、第2切換バルブ50は第1切換バルブ30からそれぞれ取外される。そのため、切換バルブ30、50を容易にポンプ10に一体化することができる。また、切換バルブ30、50がポンプ10に一体に付設されるので、切換バルブ30、50を別途設ける場合に比較して、コンパクトで取扱も容易になる。なお、図示しないが、第1切換バルブ30の代わりに、ポンプ10の取付部15にボルトで取付けられ、ポンプ10の吐出口16にのみ連通する接続口が形成されたブロックが装着可能になっている。
また、この潤滑油供給装置Sには、ポンプ10の作動及び全てのソレノイドバルブ30a、50aをオフ状態にする停止モードMrと、いずれか1つのソレノイドバルブ30a、50aをオン状態にしポンプ10の作動のオン、オフを行っていずれか1つのソレノイドバルブ30a、50aのサブポート34、54に接続される管路に潤滑油を供給するサブポート供給モードMsと、全てのソレノイドバルブ30a、50aをオフ状態にしポンプ10の作動のオン、オフを行って最下位の切換バルブ50のメインポート53に接続される管路に潤滑油を供給する最下位メインポート供給モードMmとのいずれかのモードに設定可能なコントローラ70が備えられている。
図21に示すように、このコントローラ70は、ポンプ10の作動及びソレノイドバルブ30a、50aをオフ状態にする停止モードMrと、第1ソレノイドバルブ30aをオン状態にし第2ソレノイドバルブ50aをオフ状態にしポンプ10の作動のオン、オフを行って第1管路P1に潤滑油を供給するサブポート供給モードMsである第1サブポート供給モードM1と、第2ソレノイドバルブ50aをオン状態にし第1ソレノイドバルブ30aをオフ状態にしポンプ10の作動のオン、オフを行って第2管路P2に潤滑油を供給するサブポート供給モードMsである第2サブポート供給モードM2と、ソレノイドバルブ30a、50aをオフ状態にしポンプ10の作動のオン、オフを行って第2切換バルブ50の第2メインポート53に接続される第3管路P3に潤滑油を供給するメインポート供給モードMmである第2メインポート供給モードM3のいずれかに設定可能になっている。
即ち、このコントローラ70は、ポンプ10のオン、オフと、第1ソレノイド41のオン、オフと、第2ソレノイド61のオン、オフとを行っている。コントローラ70は停止モードMrにおいては、ポンプ10の作動、第1ソレノイド41及び第2ソレノイド61をオフにし、第1サブポート供給モードM1(Ms)においては、ポンプ10の作動のオン、第1ソレノイド41のオン及び第2ソレノイド61のオフとを同期して行い、第2サブポート供給モードM2(Ms)においては、ポンプ10の作動のオン、第2ソレノイド61のオン及び第1ソレノイド41のオフとを同期して行い、第2メインポート供給モードM3(Mm)においては、ポンプ10の作動のオンと第1及び第2ソレノイドバルブ30a、50aのオフ状態とを同期して行う。
この潤滑油供給装置Sが設けられている潤滑油供給システムは、図1に示すように、比較的給油量の少なくて良い部位(例えば、短時間駆動の射出成形機X1の摺動部位など、あるいは短時間駆動小型のロボットR1の関節部位、摺動部位など)と、比較的給油量を多く必要とする部位(例えば、長時間駆動の射出成形機X2の摺動部位など)とを分ける。そして、比較的給油量の少なくて良い部分のうち、1回の給油で単位時間当たりの所定の給油量を確保する部位(例えば、短時間駆動の射出成形機X1の摺動部位など)と、1回の給油量を小さくし何回かに分けて給油して単位時間当たりの所定の給油量を確保する部位(例えば、短時間駆動小型のロボットR1の関節部位、摺動部位など)とに分けられている。
これらの比較的給油量の少なくて良い各部位には、潤滑油の加圧及び脱圧によって往復動させられて潤滑油を吐出する単一のピストン(図示せず)及びこのピストンに対応した1つの吐出口を備え1ショットの吐出量が0.03ml〜1.5ml程度の周知の単一定量バルブVt1、Vt2を用いて該当する複数カ所に配管している。図1に示すように、この単一定量バルブVt1は射出成形機X1の所定の部位に潤滑油を供給するものであり、単一定量バルブVt2はロボットR1の所定の部位に潤滑油を供給するものである。
一方、比較的給油量を多く必要とする部位には、潤滑油の加圧によって順番に往復動させられて潤滑油を吐出する複数のピストン(図示せず)及びこのピストンに対応した一対の吐出口の複数の組を備えた周知の進行型定量バルブVsを用いて該当する複数カ所に配管している。進行型定量バルブVsにおいては、ピストンの1ストローク当たりの吐出量が例えば0.1ml程度に設定され、ピストンを所定ストローク作動させ一定時間休止させて定量で比較的多量の潤滑油を間欠的に供給している。図1に示すように、この進行型定量バルブVsは、射出成形機X2の所定の部位に潤滑油を供給するものである。
なお、単一定量バルブVt1、Vt2及び進行型定量バルブVsの口径を全て統一にするように各バルブVt1、Vt2、Vsを設定するようにしてもよい。各バルブVt1、Vt2、Vsの口径を全て統一にすることにより、各バルブVt1、Vt2、Vsの製造時において成形型が単一のもので足り、各バルブVt1、Vt2、Vsを容易に製造することができ、また各バルブVt1、Vt2、Vsの管理も容易になる。また、各バルブVt1、Vt2、Vsのメンテナンス時において、各バルブVt1、Vt2、Vsの口径が統一されているため、交換が必要なバルブの口径を容易に特定することができる。これにより、各バルブVt1、Vt2、Vsのメンテナンス性を向上させることができる。
図1に示すように、単一定量バルブVt1は、1回の給油で単位時間当たりの所定の給油量を確保する部位(例えば、短時間駆動の射出成形機X1の摺動部位など)に設けられるものであり、第1管路P1に接続されている。また、単一定量バルブVt2は、1回の給油量を小さくし何回かに分けて給油して単位時間当たりの所定の給油量を確保する部位(例えば、短時間駆動のロボットR1の関節部位、摺動部位など)に設けられるものであり、第2管路P2に接続されている。また、進行型定量バルブVsは、比較的給油量を多く必要とする部位(例えば、長時間駆動の射出成形機X2の摺動部位など)に設けられるものであり、第3管路P3に接続されている。
従って、この潤滑油供給装置Sを用いるときは、まず、第1サブポート34に第1管路P1を、第2サブポート54に第2管路P2を、第2メインポート53に第3管路P3をそれぞれ接続する。この場合、別の切換バルブを別途設ける場合に比較して、配管作業が容易になり、設置作業効率が向上させられる。
次に、本実施形態に係る潤滑油供給システムによって潤滑油を供給する潤滑油供給方法について説明をする。
ここでは、図21に示すように、潤滑油供給装置Sがコントローラ70によって、第1サブポート供給モードM1(Ms)、停止モードMr、第2サブポート供給モードM2(Ms)、停止モードMr、第2メインポート供給モードM3(Mm)、停止モードMr、第2サブポート供給モードM2(Ms)、停止モードMrを1サイクルとして作動させられる場合について説明する。
先ず、コントローラ70が停止モードMrから第1サブポート供給モードM1(Ms)になると、図21に示すように、ポンプ10の作動のオン、第1ソレノイド41のオン及び第2ソレノイド61のオフが行われる。これにより、図13(b)、図15(b)及び図19(b)に示すように、第1切換バルブ30においては、第1ソレノイド41が通電されるオン時なので、第1ソレノイド41の励磁によりスプール40が引っ張られて、このスプール40は、第1入力ポート31と第1サブポート34とを接続し第1ドレンポート32と第1メインポート33とを接続するとともに第1入力ポート31及び第1サブポート34を第1ドレンポート32及び第1メインポート33から遮断する。そのため、ポンプ10からの潤滑油は、第1入力ポート31及び第1サブポート34を通って第1管路P1に供給される。この際、第1管路P1に接続されている単一定量バルブVt1が1回作動して潤滑油が吐出させられて射出成形機X1の潤滑部位(例えば、摺動部位など)に供給される。
そして、図21に示すように、所定時間後に、コントローラ70が第1サブポート供給モードM1(MS)から停止モードMrになり、ポンプ10の作動及び第1切換バルブ30のオフが行われる。これにより、図13(a)、図15(a)、図17(a)及び図19(a)に示すように、第1切換バルブ30においては、第1ソレノイド41の非通電になるオフ時なので、スプール40がスプリング42により定常位置に復帰させられ、このスプール40は、第1入力ポート31と第1メインポート33とを接続し、第1ドレンポート32と第1サブポート34とを接続するとともに第1入力ポート31と第1サブポート34とを遮断する。この際、第1管路P1の潤滑油は、第1サブポート34及び第1ドレンポート32を通って潤滑油貯溜部20側に抜けるので、第1管路P1が脱圧される。そのため、第1管路P1が脱圧されているので、第1管路P1の単一定量バルブVt1が作動可能になり、次の第1サブポート供給モードM1(Ms)においては、第1管路P1の単一定量バルブVt1が一回作動し潤滑油が吐出されて、比較的給油量の少なくて良い射出成形機X1の各部位(例えば、非潤滑部位など)に確実に供給される。
次に、図21に示すように、コントローラ70が停止モードMrなので、ポンプ10の作動のオフ、第1ソレノイド41及び第2ソレノイド61のオフが行われ、潤滑油供給装置Sからは潤滑油が供給されず、単一定量バルブVt1、Vt2及び進行型定量バルブVsは作動しない。この状態で、所定時間経過すると、コントローラ70が停止モードMrから第2サブポート供給モードM2(Ms)に設定して潤滑油供給装置Sを作動させ、ポンプ10の作動のオン、第2ソレノイド61のオン、第1ソレノイド41のオフが行われる。
これにより、図14(a)、図16(a)、図18(a)及び図20(a)に示すように、第1切換バルブ30においては、第1ソレノイド41の非通電になるオフ時なので、スプール40がスプリング42により定常位置に復帰させられた状態にあり、このスプール40は、第1入力ポート31と第1メインポート33とを接続し、第1ドレンポート32と第1サブポート34とを接続するとともに第1入力ポート31と第1サブポート34とを遮断している。また、第2切換バルブ50においては、第2ソレノイド61の通電されるオン時なので、第2ソレノイド61の励磁によりスプール60が引っ張られて、このスプール60は、第2入力ポート51と第2サブポート54とを接続し第2ドレンポート52と第2メインポート53とを接続するとともに第2入力ポート51及び第2サブポート54を第2ドレンポート52及び第2メインポート53から遮断する。そのため、ポンプ10からの潤滑油は、第1入力ポート31、第1メインポート33、第2入力ポート51及び第2サブポート54を通って第2管路P2に供給される。この際、第2管路P2に接続されている単一定量バルブVt2が1回作動して潤滑油が吐出されて射出成形機により成形された成形物を取り扱うロボットR1の潤滑部位(例えば、関節部位や摺動部位など)に供給される。
次にまた、図21に示すように、所定時間後に、コントローラ70が第2サブポート供給モードM2(Ms)から停止モードMrになり、ポンプ10の作動のオフ及び第2切換バルブ50のオフが行われる。
これにより、図13(a)、図15(a)、図17(a)及び図19(a)に示すように、第2切換バルブ50においては、第2ソレノイド61の非通電になるオフ時なので、スプール60がスプリング62により定常位置に復帰させられ、このスプール60は、第2入力ポート51と第2メインポート53とを接続し、第2ドレンポート52と第2サブポート54とを接続するとともに第2入力ポート51と第2サブポート54とを遮断する。この際、第2管路P2の潤滑油は、第2サブポート54、第2ドレンポート52、ドレン接続ポート35及び第1ドレンポート32を通って潤滑油貯溜部20側に抜けるので、第2管路P2が脱圧される。そのため、第2管路P2が脱圧されて、第2管路P2の単一定量バルブVt2が作動可能になっているので、次の第2サブポート供給モードM2(Ms)において、第2管路P2の単一定量バルブVt2が一回作動し潤滑油が吐出されて、比較的給油量が少なくて良いロボットR1の各部位(例えば、非関節部位及び非摺動部位など)に確実に供給される。
また次に、図21に示すように、コントローラ70が停止モードMrなので、ポンプ10の作動のオフ、第1ソレノイド41及び第2ソレノイド61のオフが行われ、潤滑油供給装置Sからは潤滑油は供給されず、単一定量バルブVt1、Vt2及び進行型定量バルブVsは作動しない。
この状態で、所定時間経過すると、コントローラ70が停止モードMrから第2メインポート供給モードM3(Mm)に設定して潤滑油供給装置Sを作動させ、図21に示すように、ポンプ10の作動のオン、第1ソレノイド41及び第2ソレノイド61のオフが行われる。これにより、図14(b)、図16(b)、図18(b)及び図20(b)に示すように、第1切換バルブ30においては、第1ソレノイド41の非通電になるオフ時なので、スプール40がスプリング42により定常位置に復帰させられた状態にあり、スプール40は、第1入力ポート31と第1メインポート33とを接続し、第1ドレンポート32と第1サブポート34とを接続するとともに第1入力ポート31と第1サブポート34とを遮断している。また、第2切換バルブ50においては、第2ソレノイド61の非通電になるオフ時なので、スプール60がスプリング62により定常位置に復帰させられた状態にあり、スプール60は、第2入力ポート51と第2メインポート53とを接続し、第2ドレンポート52と第2サブポート54とを接続するとともに第2入力ポート51と第2サブポート54とを遮断している。そのため、ポンプ10からの潤滑油は、第1入力ポート31、第1メインポート33、第2入力ポート51及び第2メインポート53を通って第3管路P3に供給される。そして、第3管路P3に設けられる進行型定量バルブVsが作動して潤滑油が吐出されて射出成形機X2の潤滑部位(例えば、摺動部位など)に供給される。
そして、図21に示すように、所定時間後に、コントローラ70が第2メインポート供給モードM3(Mm)から停止モードMrになり、ポンプ10の作動及び第2切換バルブ50のオフが行われる。これにより、図13(a)、図15(a)、図17(a)及び図19(a)に示すように、第2メインポート供給モードM3(Mm)の状態のままポンプ10が停止されるので、第3管路P3への潤滑油も停止される。
この状態で、所定時間経過すると、コントローラ70が停止モードMrから第2サブポート供給モードM2(Ms)に設定して潤滑油供給装置Sを作動させ、図21に示すように、ポンプ10の作動のオン、第2ソレノイド61のオン、第1ソレノイド41のオフが行われる。これにより、図14(a)、図16(a)、図18(a)及び図20(a)に示すように、上記の第2サブポート供給モードM2(Ms)の際と同様に、ポンプ10からの潤滑油は、第1入力ポート31、第1メインポート33、第2入力ポート51及び第2サブポート54を通って第2管路P2に供給される。また、この場合、第3管路P3の潤滑油が、第2メインポート53、第2ドレンポート52、ドレン接続ポート35及び第1ドレンポート32を通って潤滑油貯溜部20側に開放され、第3管路P3が脱圧される。第3管路P3が脱圧可能なので、第3管路P3に進行型定量バルブVsの代わりに単一定量バルブVt1(Vt2)を設けた場合であっても、この単一定量バルブVt1(Vt2)からの潤滑油の供給が行われる。その後、コントローラ70が停止モードMrになり第2管路P2が脱圧される。
このようなサイクルを繰り返し、1回の給油で所定の給油量を確保する部位(例えば、射出成形機X1の摺動部位など)には第1管路P1に接続されている単一定量バルブVt1から、1回の給油量を小さくし何回かに分けて給油して単位時間当たりの所定の給油量を確保する部位(例えば、ロボットR1の関節、摺動部位など)には第2管路P2に接続されている単一定量バルブVt2から、比較的給油量を多く必要とする部位(例えば、射出成形機X2の摺動部位など)には第3管路P3に接続されている進行型定量バルブVsから、それぞれ潤滑油が供給される。これにより、第1管路P1と第2管路P2と第3管路P3に分かれているので、潤滑油の供給方法の自由度が高くなる。即ち、第1管路P1、第2管路P2及び第3管路P3の間欠時間をそれぞれ異ならせて潤滑油を供給することもでき、例えば、1回の給油で所定の給油量を確保する部位(例えば、射出成形機X1の摺動部位など)と、1回の給油量を小さくし何回かに分けて給油して単位時間当たりの所定の給油量を確保する部位(例えば、ロボットR1の関節、摺動部位など)とが混在していても、同一の潤滑油供給装置Sを用いて潤滑油を供給できるようになり、汎用性が向上させられる。また、従来の潤滑システムと比較して供給する潤滑油のロスを減少させることができる。
また、1つのポンプ10で潤滑油を3つの管路P1、P2、P3に供給でき、しかも、切換バルブ30、50の切換だけで第1、第2及び第3管路P1、P2、P3の脱圧が可能なので、管路毎に別々のポンプ10を設けなくてもよくそれだけシステムを簡略化でき、コストダウンを図ることができる。
さらに、本実施形態では、各バルブVt1、Vt2、Vsにより各射出成形機X1、X2、ロボットR1に潤滑油を供給することができることにより、各射出成形機X1、X2やロボットR1の摩擦が生じる部位(関節部位や摺動部位など)などを保護することができ、また、各射出成形機X1、X2やロボットR1の駆動を円滑にすることができる。この結果、無人化によりロボットなどの関連機器が増加した場合でも、その関連機器に対しても潤滑油を確実に供給することができる。
なお、本実施形態においては、各バルブVt1、Vt2、Vsにより各射出成形機X1、X2やロボットR1に潤滑油を供給することができる構成について説明したが、この構成に限られるものではなく、ロボットR1に替えて、射出成形機に関連する関連機器、例えば、射出成形機により成形される成形物を取り扱う成形物取扱機構に対しても潤滑油を確実に供給することができる。
また、本実施形態においては、第2切換バルブ50の第2ソレノイド61をオンすることで第3管路P3の脱圧を行ったが、第1切換バルブ30の第1ソレノイド41をオンすることによっても第3管路P3の脱圧が可能である。この場合、第1切換バルブ30においては、第1ソレノイド41の通電になるオン時なので、第1ソレノイド41によりスプール40が引っ張られて、第1入力ポート31と第1サブポート34とを接続し、第1ドレンポート32と第1メインポート33とを接続するとともに第1入力ポート31と第1メインポート33とを遮断している。また、第2切換バルブ50においては、第2ソレノイド61が通電されないオフ時なので、第2入力ポート51と第2メインポート53とを接続し第2ドレンポート52と第2サブポート54とを接続するとともに第2入力ポート51及び第2メインポート53を第2ドレンポート52及び第2サブポート54から遮断する。この場合、第3管路P3の潤滑油が、第2メインポート53、第2入力ポート51、第1メインポート33及び第1ドレンポート32を通って潤滑油貯溜部20側に開放され、第3管路P3が脱圧される。即ち、第1切換バルブ30の第1ソレノイド41及び第2切換バルブ50の第2ソレノイド61のいずれかがオン状態になると、第3管路P3が脱圧される。そのため、停止モードMr中にポンプ10のオフ状態で、第1ソレノイド41または第2ソレノイド61をオン状態にして第3管路P3の脱圧を行うようにしてもよい。
次に、本発明の一実施形態に係る潤滑油供給システムの変形例について説明する。
上記実施形態では管路が3系統の場合について説明したが、上記実施形態の潤滑油供給システムの変形例となる潤滑油供給システムは、系統の異なる4系統以上の管路の場合に適用したものである。まず、4系統の管路である場合について説明する。この場合、この潤滑油供給システムは、4系統の管路Pを、最下位の切換バルブ50よりも上位に設けた第1切換バルブ30と同様の構成である上位の切換バルブ30のサブポート34に接続する。
この切換バルブ30は、予め、上側の被取付部36が下側の取付部37に取り付け可能かつ密着可能な形状にも形成されている。そのため、この切換バルブ30の複数を、最下位の切換バルブ50よりも上位側に容易に連設可能になっている。
3系統の管路に潤滑油を供給する潤滑油供給装置Sに1個の切換バルブ30を追加して4系統の管路Pに潤滑油を個別に供給する場合には、例えば、まず、第2切換バルブ50を取り外し、次に、追加しようとする切換バルブ30の入力ポート31及びドレンポート32をポンプ10に接続された上位の切換バルブ30のメインポート33及びドレン接続ポート35にそれぞれ接続する。さらに、追加しようとする切換バルブ30のメインポート33及びドレン接続ポート35を最下位の切換バルブ50の入力ポート51とドレンポート52にそれぞれ接続する。そして、この切換バルブ30、50のサブポート34、54及び切換バルブ50のメインポート53に管路Pを接続する。
さらにまた、図22乃至図24に示すように、1つのポンプから潤滑油を5系統以上の管路に個別に供給する場合も同様にして、管路Pの数に応じて最下位の切換バルブ50よりも上位の切換バルブ30の数を追加し、この追加された切換バルブ30のサブポート34に管路Pを接続し、ポンプ10からの潤滑油をこれらの複数の管路Pにそれぞれ供給するようにする。
また、この潤滑油供給装置Sのコントローラ70は、上記と同様にサブポート供給モードMsにおいて追加された切換バルブ30のソレノイド41のオン、オフを制御して、この追加された切換バルブ30のサブポート34に接続される各管路Pにも潤滑油が供給されるように構成されている。
この潤滑油供給装置Sを用いるときは、先ず、各切換バルブ30、50のサブポート34、54及び最下層の切換バルブ50のメインポート53にそれぞれ管路Pを接続する。この場合、別のポンプを別途設ける等する場合に比較して、配管作業が容易になり、設置作業効率が向上させられる。
この潤滑油供給装置Sによって潤滑を行う際には、上記の3系統の管路に潤滑油を供給する潤滑油供給装置Sの場合と同様に、潤滑油供給装置Sは、コントローラ70によって、停止モードMr、サブポート供給モードMs、最下位メインポート供給モードMmのいずれかに設定されて作動させられる。
停止モードMrにおいては、最下位の切換バルブ50よりも上位の切換バルブ30は、ソレノイド41の非通電になるオフ時なので、各スプール40はスプリング42により定常位置に復帰させられ、入力ポート31とメインポート33とをそれぞれ接続し、ドレンポート32とサブポート34とをそれぞれ接続するとともに入力ポート31とサブポート34とをそれぞれ遮断する。また、最下位の切換バルブ50は、ソレノイド61の非通電になるオフ時なので、各スプール60はスプリング62により定常位置に復帰させられ、入力ポート51とメインポート53とをそれぞれ接続し、ドレンポート52とサブポート54とをそれぞれ接続するとともに入力ポート51とサブポート54とをそれぞれ遮断する。この際、各切換バルブ30、50のサブポート34、54に接続された管路Pが加圧されている場合には、この管路Pが接続されるサブポート34、54から、上記と同様にドレンポート32、52と、上位側の切換バルブ30のドレン接続ポート35及びドレンポート32を順に通って最上位の切換バルブ30のドレンポート32から潤滑油貯溜部20側に抜けるので、このサブポート34、54に接続される管路Pは脱圧される。
また、サブポート供給モードMsにおいては、いずれか1つのソレノイドバルブ30a、50aをオン状態にしポンプ10の作動のオン、オフを行って、いずれか1つのソレノイドバルブ30a、50aのサブポート34、54に接続される管路Pに潤滑油を供給する。このオンになった切換バルブ30、50においては、ソレノイド41、61が通電されるオン時なので、スプール40、60はソレノイド41、61の励磁により引っ張られて、入力ポート31、51とサブポート34、54とを接続しドレンポート32、52とメインポート33、53とを接続するとともに入力ポート31、51及びサブポート34、54をドレンポート32、52及びメインポート33、53から遮断する。また、このオンになった切換バルブ30、50以外の切換バルブ30、50は、ソレノイド41、61の非通電になるオフ時なので、スプール40、60がスプリング42、62により定常位置に復帰させられた状態にあり、スプール40、60は入力ポート31、51とメインポート33、53とをそれぞれ接続し、ドレンポート32、52とサブポート34、54とをそれぞれ接続するとともに入力ポート31、51とサブポート34、54とをそれぞれ遮断する。
この際、最上位の切換バルブ30がオンになった場合及び最下位の切換バルブ50がオンになった場合は、上記した3系統の場合と略同様である。また、この際、最上位の切換バルブ30及び最下位の切換バルブ50以外の切換バルブ30がオンになった場合には、ポンプ10からの潤滑油は、オンになった切換バルブ30よりも上位の切換バルブ30では、入力ポート31とメインポート33とを通って下位の切換バルブ30に供給されていく。そして、オンになった切換バルブ30では、上位のメインポート33からの潤滑油が入力ポート31及びサブポート34を通ってこのサブポート34に接続される管路Pに供給される。また、この際、最下位の切換バルブ50のメインポート53に接続される管路Pが加圧されている場合には、この管路Pの潤滑油は、オンになった切換バルブ30よりも下位の切換バルブ30、50ではそのメインポート33、53及び入力ポート31、51を通り、オンになった切換バルブ30のメインポート33及びドレンポート32を通り、オンになった切換バルブ30よりも上位の切換バルブ30では、ドレン接続ポート35及びドレンポート32を通って潤滑油貯溜部20側に抜けるので、このメインポート53に接続された管路Pも脱圧される。そのため、最下位の切換バルブ50のメインポート53に接続される管路Pに、進行型定量バルブVsの代わりに、脱圧が必要な単一定量バルブVt1(Vt2)を備えることもできる。
その後、所定時間経過してから、コントローラ70がサブポート供給モードMsから停止モードMrになり、ポンプ10の作動及び切換バルブ30、50のオフが行われる。これにより、この切換バルブ30、50においては、ソレノイド41、61の非通電になるオフ時なので、上記した停止モードMrの状態になり、サブポート34、54に接続された管路Pが脱圧される。そのため、この管路Pの単一定量バルブVt1(Vt2)が作動可能になっているので、次の潤滑油供給時においても、この管路Pの単一定量バルブVt1(Vt2)が一回作動し潤滑油が吐出されて、比較的給油量が少なくて良い射出成形機X1(ロボットR1)の各部位に確実に供給される。
次にまた、コントローラ70が最下位メインポート供給モードMmに設定して潤滑油供給装置Sを作動させると、全てのソレノイド41、61をオフにしてポンプ10の作動のオンが行われる。これにより、最下位の切換バルブ50よりも上位の切換バルブ30においては、ソレノイド41の非通電になるオフ時なので、スプール40がスプリング42により定常位置に復帰させられ、スプール40は入力ポート31とメインポート33とをそれぞれ接続し、ドレンポート32とサブポート34とをそれぞれ接続するとともに入力ポート31とサブポート34とをそれぞれ遮断する。また、最下位の切換バルブ50においても、ソレノイド61の非通電になるオフ時なので、スプール60はスプリング62により定常位置に復帰させられ、入力ポート51とメインポート53とを接続し、ドレンポート52とサブポート54とを接続するとともに入力ポート51とサブポート54とを遮断する。そのため、ポンプ10からの潤滑油は、上位の切換バルブ30の入力ポート31及びメインポート33を通って、最下位の入力ポート51及びメインポート53を通りこのメインポート53に接続される管路Pに供給される。
そのため、この潤滑油供給装置Sは、最下位の切換バルブ50よりも上位の切換バルブ30を追加することで、管路P毎にさらに細かく間欠時間を異ならせて設定できるようになり、潤滑油のロスを減少させられるだけでなく、1つのポンプ10で潤滑油を3系統以上の管路Pに供給できるようになる。即ち、各管路P毎に間欠時間をそれぞれ別々に設定すればより潤滑油の供給方法の自由度が増すので、それだけ汎用性が向上させられる。
さらに、この潤滑油供給装置Sの構成においては、最下位の切換バルブ50のメインポート53に接続される管路Pに、比較的多くの量を必要とする進行型定量バルブVsを設けると、この管路Pに潤滑油を供給する際に、最下位の切換バルブ50よりも上位の切換バルブ30内の入力ポート31とメインポート33間にある潤滑油は、頻繁に下位の切換バルブ50のメインポート53から管路Pに供給される。この際、最下位の切換バルブ50よりも上位の切換バルブ30内の入力ポート31とメインポート33間にある潤滑油は、潤滑油貯溜部20からのフレッシュなものになり、潤滑油の固化が抑えられるという効果も期待できる。
なお、この実施の形態に係る潤滑油供給装置Sにあっては、コントローラ70がどのモードに設定されていても、オンになった切換バルブ30、50以外の切換バルブ30、50においては、サブポート34、54及びドレンポート32、52が接続されていることから、この切換バルブ30、50のサブポート34、54に接続される管路Pの潤滑油は、ソレノイドバルブ30a、50aのオン時以外は、常時、潤滑油貯溜部20側に開放されているので、脱圧が確実になる。
以上のように、管路Pの系統が増加した場合でも、各管路Pに接続されている単一定量バルブや進行型定量バルブから複数の射出形成機やこの射出成形機に関連するロボットに対して潤滑油を確実に供給することができる。