JP2007042711A - 静電気保護部を備えるオペアンプ回路 - Google Patents

静電気保護部を備えるオペアンプ回路 Download PDF

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Abstract

【課題】 静電気対策としてオペアンプ101の出力端子104と外部出力端子114との間に50Ω程度の静電気保護用の拡散抵抗105を入れる必要があるが、オペアンプ101から電流を取り出した場合、たとえば2mAの電流を取り出すと0.1V程度の大きな電圧降下が発生する。そこで、静電気保護用の拡散抵抗を挿入した場合でも電圧降下を抑え、且つ静電気耐性に優れたオペアンプ回路を提供する。
【解決手段】 オペアンプ101の出力端子104から負帰還を掛けずに、50Ω程度の静電気保護用の拡散抵抗105を介した外部出力端子114からオペアンプ101の反転入力端子102との間で負帰還を掛ける。負帰還量は通常40dB以上掛けられるので、50Ω程度の静電気保護用の拡散抵抗105の影響は1/100以下に圧縮され、0.001V以下の誤差となり、電圧降下の影響を小さく抑えることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、静電気保護部を備えるオペアンプ回路に関する。
オペアンプは通常数10V程度以下の電圧で動作するよう形成されているため、例えば静電気等による数100〜数1000Vの電圧を有する静電気がオペアンプの出力端子に直接流入すると前記オペアンプが損傷する場合がある。そのため静電気が前記オペアンプの前記出力端子に直接伝播されないよう前記オペアンプの前記出力端子と、電子部品又は導線を用いて前記出力端子と接続されている外部出力端子との間に静電気保護部が接続される。
例えば特許文献1に示すように、前記外部出力端子と出力端子との間に100Ω程度の抵抗値を有する薄膜抵抗を直列に挿入し、静電気放電による電気的ストレスの印加履歴の有無を前記薄膜抵抗の溶断、非溶断で判断する技術が知られている。
特開2004−304052号公報
しかしながら、上記した技術では、100Ω程度という抵抗値を有する前記薄膜抵抗が前記出力端子と前記外部出力端子の間に直列に挿入されるため、静電気放電が印加されない場合には、前記外部出力端子から見た等価抵抗値は100Ω程度とかなり大きな値となり、例えば1mAの電流を前記外部出力端子から外部に出力した場合、前記外部出力端子での電圧誤差は、100Ω×1mA=0.1Vという大きな電圧誤差が発生してしまうという問題点を有している。
また、上記した技術では、前記薄膜抵抗の溶断、非溶断により静電気の印加履歴を知ることはできる。しかしながら、前記薄膜抵抗が溶断した後は、前記オペアンプからの出力から前記外部出力端子に信号を送ることが著しく困難になり、オペアンプ回路として判断すると故障した状態となるという問題点があった。
そこで、本発明では従来のこのような問題点を解決し、静電気が印加された場合にはオペアンプの損傷の発生を抑制し、且つ静電気が印加されない場合には、出力抵抗が低く抑えられる静電気保護部を備えるオペアンプ回路を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明の静電気保護部を備えるオペアンプ回路は、反転入力端子と非反転入力端子を備えるオペアンプと、第1の電流制限端子と第2の電流制限端子を有し、且つ前記オペアンプの出力端子と前記第1の電流制限端子とは接続されており、前記第2の電流制限端子は外部出力端子と接続されており、前記第2の電流制限端子に静電気が印加された場合には、前記第2の電流制限端子から流入し前記第1の電流制限端子へ流出する電流を制限することで前記オペアンプの静電気損傷の発生を抑制する単一若しくは複数の電子素子からなる複数の端子を備える第1の静電気保護部と、第1の電圧制限端子と第2の電圧制限端子を有し、且つ前記第2の電流制限端子と前記第1の電圧制限端子とは接続されており、且つ前記第2の電圧制限端子は接地又は前記第1の電圧制限端子に静電気に起因する電流が印加された場合に前記第2の電圧制限端子との間に前記オペアンプを損傷させる電位差の発生を抑制しうる低抵抗領域と接続されており、前記第1の電圧制限端子と前記第2の電圧制限端子との間に前記静電気に起因する電流が印加された場合に前記第1の電圧制限端子と前記第2の電圧制限端子間に発生する電圧を制限することで前記オペアンプの静電気損傷の発生を抑制する単一若しくは複数の電子素子からなる複数の端子を備える第2の静電気保護部と、少なくとも第1の帰還端子と第2の帰還端子を有し、前記第2の電流制限端子と前記第1の帰還端子が接続された位置に前記外部出力端子が配置され、前記外部出力端子を通して前記オペアンプの出力は前記第1の静電気保護部を介して電気的に接続され、前記オペアンプの前記反転入力端子と第2の帰還端子とが接続されることで前記第1の静電気保護部を前記オペアンプの負帰還経路内に含め、静電気が印加された場合には、前記第1の静電気保護部と前記第2の静電気保護部により前記オペアンプへの静電気起因の電流の流入を抑え、静電気が印加されない場合には前記第1の静電気保護部のインピーダンスを負帰還量に応じて低減させるように形成した、単一若しくは複数の電子素子又は導線からなる複数の端子を備える帰還部と、(1)前記非反転入力端子と前記外部入力端子とが単一若しくは複数の電子素子または導線を介在して接続されている、(2)前記非反転入力端子と前記外部入力端子とが単一若しくは複数の電子素子または導線を介在して接続されていることに加え、少なくとも第1の帰還量制御端子と第2の帰還量制御端子を有し、前記非反転入力端子と前記第1の帰還量制御端子とが接続された単一若しくは複数の電子素子または導線を用いて形成した第1の帰還量制御部とを備え、前記第2の帰還量制御端子は接地若しくは前記第1の帰還量制御部外で接続されている、(3)前記非反転入力端子は接地、又は単一若しくは複数の電子素子または導線を用いて形成した第3帰還量制御部外で電気的に接続されており、加えて前記外部入力端子と前記反転入力端子は単一若しくは複数の電子素子または導線を用いて形成した第4の帰還量制御部を介在して接続されている、上記(1)〜(3)の何れか一つの構成を有することを特徴とする。
この構成によれば、前記外部出力端子から見た前記第1の静電気保護部のインピーダンスは負帰還量に応じて低減されるため、静電気損傷の発生を抑制するために前記第1の静電気保護部にインピーダンスの大きな素子を用いても前記オペアンプ回路の前記外部出力端子から見た出力インピーダンスの値は負帰還量に応じて低減した値として扱え、前記外部出力端子から電流を取り出しても前記外部出力端子での電圧降下は負帰還量分だけ圧縮されるため、前記外部出力端子から電流を取り出した場合でも前記外部出力端子での電圧精度を維持することができる。
また、上記した本発明の静電気保護部を備えるオペアンプ回路は、前記第1の静電気保護部は拡散抵抗であることを特徴とする。
この構成によれば、放熱性に優れた基板内に形成された拡散層を前記第1の静電気保護部として用いるため、静電気が印加された場合に前記第1の静電気保護部の温度上昇を抑えることができ、信頼性に優れた前記第1の静電気保護部を得ることができる。
また、上記した本発明の静電気保護部を備えるオペアンプ回路は、前記第2の静電気保護部は静電気が印加されない場合は前記オペアンプの前記演算処理に与える影響が抑制されるよう前記第1の電圧制限端子と前記第2の電圧制限端子間に流れる電流が抑えられるよう動作し、静電気が印加された場合は前記オペアンプの損傷の発生が抑制されるよう前記第1の電圧制限端子と前記第2の電圧制限端子間に流れる電流を大きくすることで前記第1の電圧制限端子と前記第2の電圧制限端子間電圧を低減させる非線形特性を備えることを特徴とする。
この構成によれば、静電気が印加されない場合には前記第2の静電気保護部に流れる電流が抑えられるよう動作するため、前記オペアンプの消費電力を抑えることができる。また、前記第1の静電気保護部に生じる、前記第2の静電気保護部に流れる電流に起因した誤差電圧を低減することができる。
また、静電気が印加された場合には、前記オペアンプの損傷の発生が抑制されるよう前記第1の電圧制限端子と前記第2の電圧制限端子間に流れる電流を大きくすることで前記第1の電圧制限端子と前記第2の電圧制限端子間電圧を低減させ、前記オペアンプの出力端子に印加される電圧を低下させることで前記オペアンプの静電気による損傷の発生を抑制することができる。
また、上記した本発明の静電気保護部を備えるオペアンプ回路は、前記第2の静電気保護部はサイリスタ、バイポーラトランジスタ、トライアック、MOSトランジスタ、またはダイオードであることができる。
以下、本発明に係る半導体素子の製造方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
<等価回路図>
図1は、本実施形態に係る静電気保護部を備えるオペアンプ回路の等価回路図である。オペアンプ回路100で用いられるオペアンプ101には、反転入力端子102、非反転入力端子103、及び出力端子104とが備えられている。
第1の静電気保護部としての拡散抵抗105には、第1の電流制限端子106と第2の電流制限端子107とが備えられており、出力端子104と第1の電流制限端子106とは接続されている。拡散抵抗105の抵抗値は、例えば50Ω程度を用いることができる。
第2の静電気保護部としてのサイリスタ108には、第1の電圧制限端子109と、第2の電圧制限端子110とが備えられており、拡散抵抗105の第2の電流制限端子107と第1の電圧制限端子109とは接続されている。第2の電圧制限端子110は接地させている。なお、本実施形態では、第2の電圧制限端子110を接地させているが、これは回路構成によっては接地に代えて第2の電圧制限端子110間とのインピーダンスが低い電源領域等と接続させても良い。また、サイリスタ108に代えて、第2の静電気保護部としてMOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ、MOSトランジスタ、またはダイオード等を用いても良い。
帰還部としての拡散抵抗111には第1の帰還端子112と、第2の帰還端子113とが備えられており、第2の電流制限端子107と第1の電圧制限端子109とが接続されている位置に第1の帰還端子112が接続されている。また、第1の帰還端子112が接続されている端子には、オペアンプ回路100の外部へ信号を取り出すための外部出力端子が設けられている。拡散抵抗111の第2の帰還端子113は、オペアンプ101の反転入力端子102と接合されている。
帰還量制御部としての拡散抵抗115には、第1の帰還量制御端子116と第2の帰還量制御端子117とが備えられており、オペアンプ101の反転入力端子102と第1の帰還量制御端子116は接続されている。第2の帰還量制御端子117は接地されている。オペアンプ回路100への外部入力端子118としては、オペアンプ101の非反転入力端子103が割り当てられている。
<サイリスタの構造>
図2は等価回路図を重畳して示したサイリスタの断面図である。シリコン基板200には、P型ウェル領域202及びN型ウェル領域204が形成されている。
P型ウェル領域202の表層には、STI(シャロー・トレンチ・アイソレーション:浅溝素子分離)層210と隣接して、第1のP型不純物拡散領域212と、第1のN型不純物拡散領域214とが形成されている。
P型ウェル領域202の表層には、STI層220にて第1のN型不純物拡散領域214と電気的に絶縁された第2のP型不純物拡散領域222が形成されている。なお、STI層210、STI層220は第2のP型不純物拡散領域212と隣接して、P型ウェル領域202及びN型ウェル領域204の表層には、第2のN型不純物拡散領域224が形成されている。
P型ウェル領域202には、第2のP型不純物拡散領域222、第2のN型不純物拡散領域224の下面に接合された第3のN型不純物拡散領域226が形成されている。また、この第3のN型不純物拡散領域226の下面に接合された第3のP型不純物拡散領域228が設けられている。
第3のN型不純物拡散領域226には、例えば質量数31のリン(P)がイオンドーピングされ、第3のP型不純物拡散領域228には、例えば質量数11のボロン(B)がイオンドーピングされている。これら2種のイオンドーピングは、同一マスクを兼用して実施することができる。
第1のSTI層210、第2のSTI層220を除く基板表面には、低抵抗層例えばシリサイド層230が形成されている。第1の電圧制限端子109は、シリサイド層230を介して第2のP型不純物拡散領域222、第2のN型不純物拡散領域224に接続されている。GND電源線242は、第1のP型不純物拡散領域212及びN型不純物拡散領域214に接続されている。第3のN型不純物拡散領域226及びP型不純物拡散領域228からなるPN接合にて、ツェナーダイオード250が構成されている。
第1のN型不純物拡散領域214、P型ウェル領域202及びN型ウェル領域などにてNPNバイポーラトランジスタ262が構成されている。第2のN型不純物拡散領域214がエミッタとなり、P型ウェル領域202及び第1のP型不純物拡散領域212がベースとなり、N型ウェル領域204及び第3のN型不純物拡散領域226がコレクタとなる。
第2のP型不純物拡散領域222、第3のN型不純物拡散領域226及び第3のP型不純物拡散領域228にて、PNPバイポーラトランジスタ264が構成されている。第2のP型不純物拡散領域222がエミッタとなり、第3のN型不純物拡散領域226がベースとなり、第3のP型不純物拡散領域228がコレクタとなる。
NPNバイポーラトランジスタ262とPNPバイポーラトランジスタ264とでサイリスタ108を構成している。サイリスタ108はツェナーダイオード250からのトリガによってオン駆動される。
<オペアンプの構造>
図3は、オペアンプの基本部分の回路図である。NMOSトランジスタ301、NMOSトランジスタ302及び定電流源305から構成される差動増幅部313には、反転入力端子102、非反転入力端子103が備えられている。差動増幅部313の負荷として、PMOSトランジスタ303、PMOSトランジスタ304からなるカレントミラー回路314が備えられており、差動入力信号をシングルエンド信号に変換して出力している。
増幅されシングルエンド信号に変換された信号は、PMOSトランジスタ306に入力される。PMOSトランジスタ306には発振防止用の位相補償コンデンサ307が接続されている。PMOSトランジスタ306の負荷には、後述するバイアス電圧を発生させるためのNMOSトランジスタ308、PMOSトランジスタ309がダイオード接続されており、定電流源310を負荷として更に増幅を行っている。
増幅された信号は、NMOSトランジスタ311、PMOSトランジスタ312をソースフォロア接続した出力段315に入力される。詳細には、増幅された信号は、NMOSトランジスタ311、PMOSトランジスタ312のクロスオーバ歪を抑えるために、ダイオード接続されたNMOSトランジスタ308、PMOSトランジスタ309により発生させたバイアス電圧を重畳してNMOSトランジスタ311、PMOSトランジスタ312に加えられる。出力段315を経由して増幅された信号は、出力端子である104から外部に出力される。
<静電気が印加されない場合での動作>
図1に示されたオペアンプ回路の等価回路図に基づいて、静電気が印加されない場合での動作を説明する。オペアンプ回路100で用いられているオペアンプ101は差動入力、シングルエンド出力を有している。オペアンプ101は本実施形態では非反転増幅状態で動作している。
オペアンプ101のオープンループゲインは50dB、クローズドループゲインは6dBであり、負帰還量は44dBとなる。負帰還量が44dBと大きな値を有しているため、オペアンプ101が能動動作をしている範囲ではオペアンプ101の反転入力端子102と、非反転入力端子103との端子の電位はほぼ等しくなる(電位差があれば、オペアンプ101の出力が飽和してしまう)。従って、入力端子から非反転入力端子103に加えられた入力電位と、反転入力端子102の電位とはほぼ等しくなる。
また、オペアンプ101の入力段にMOSトランジスタを用いた場合には反転入力端子102、非反転入力端子103を駆動するために必要とする入力電流値は高々pA〜nAオーダーの電流であるため、反転入力端子102及び非反転入力端子103を駆動するために必要な入力電流はほぼ零と見積もることができる。
上記したように、外部入力端子118から非反転入力端子103に加えられた電位と、反転入力端子102の電位とはほぼ等しくなるため、反転入力端子102と接続されている拡散抵抗115の第1の帰還量制御端子116の電位は外部入力端子118の電位とほぼ等しくなる。第2の帰還量制御端子117は接地されているため、拡散抵抗115に印加される電位差は外部入力端子118に印加された入力電位とほぼ等しくなる。拡散抵抗115に流れる電流は外部入力端子118の電位を拡散抵抗115の抵抗値で除した値となる。
また、上記したようにオペアンプ101の反転入力端子102に流れ込む電流はほぼ零であるため、拡散抵抗115に流れる電流は電流値を維持した状態で拡散抵抗111に流れて行く。従って、拡散抵抗111の第1の帰還端子112と、第2の帰還端子113との間に発生する電位差は、拡散抵抗111に流れる電流と拡散抵抗111の抵抗値を乗じた値となる。
拡散抵抗111に流れる電流は、外部入力端子118の電位を拡散抵抗115の抵抗値で除した値なので、拡散抵抗111の両端に位置する第1の帰還端子112と、第2の帰還端子113との電位差は、拡散抵抗111の抵抗値を拡散抵抗115の抵抗値を除した値と、外部入力端子118の電位を乗じた値となる。
第2の帰還端子113の電位は、上記した動作機構に従い、外部入力端子118の電位とほぼ等しくなるため、第1の帰還端子112に発生する電位は、外部入力端子118と第2の帰還端子113との電位差は、拡散抵抗111の抵抗値を拡散抵抗115の抵抗値を除した値と、外部入力端子118の電位を乗じた値の和となる。外部出力端子114は拡散抵抗111の第1の帰還端子112と接続されているため、外部出力端子114には第1の帰還端子112に発生した電位が出力されることとなる。
上記したように外部出力端子114から出力される電圧は、外部入力端子118に加えられた電圧と、拡散抵抗115の抵抗値と、拡散抵抗111の抵抗値の3つの値のみにより決定される。更には、拡散抵抗115の抵抗値を拡散抵抗111の抵抗値を除した値と、外部入力端子118に加えられた電圧という2つの値のみで決定される。
そのため、第1の静電気保護部としての拡散抵抗105の抵抗値を変えても、オペアンプ101が能動動作を行う範囲であれば、外部出力端子114から出力される電圧には影響を殆ど及ぼさないため、後述する<静電気が印加された場合での動作>で静電気が印加された場合、より損傷の発生を抑制できる条件を選択することができる。また、第2の静電気保護部としてのサイリスタ108にトリガを掛けるための電圧が低下すると、ツェナーダイオード250の動作は漏れ電流の大きなトンネル動作が主体となるが、外部出力端子114から出力される電圧はツェナーダイオード250に流れる電流により生じる拡散抵抗105での電圧降下も負帰還量が大きいため実用上の問題は発生せず、安定した動作を行わせることができる。
なお、外部出力端子114から出力される電圧を制御しているのは、拡散抵抗115の抵抗値を拡散抵抗111の抵抗値を除した値と、外部入力端子118に加えられた電圧であるため、例えば拡散抵抗115と拡散抵抗111とを近接した位置に配置することが有効である。
温度変動やプロセスばらつきで発生する拡散抵抗115や拡散抵抗111の抵抗値が同様な傾向を持って変動することで、拡散抵抗115と拡散抵抗111との抵抗値の絶対値は変動するものの、相対値の変動を抑えることができ、外部出力端子114から出力される電圧の変動を抑えることができる。
<静電気が印加された場合での動作>
図1に示されたオペアンプ回路の等価回路図に基づいて、静電気が印加された場合での動作を説明する。オペアンプ回路100で用いられているオペアンプ101は差動入力、シングルエンド出力を有している。オペアンプ101は本実施形態では非反転増幅状態で動作している。静電気による影響は静電気波形等により大きく異なるため、規格化された静電気波形として、例えば1000V程度の電圧を蓄えた100pFの容量を持つコンデンサから、1.5kΩの抵抗を介して外部出力端子114に静電気模擬信号を供給する。静電気による静電気模擬信号が印加される時間は、電流値がピーク値の半分になるまでの時間としておよそ100ns程度の時間印加される。
外部出力端子114から逆流するように入力された静電気模擬信号により、サイリスタ108を構成するツェナーダイオード250が導通しトリガが掛かり、サイリスタ108は導通する。サイリスタ108が導通することで、第1の電圧制限端子109と、第2の電圧制限端子110(接地されている)との間の電位差を低下させる。同時に、第1の電流制限端子106と第2の電流制限端子107とが備えられた拡散抵抗105はサイリスタ108で下げ切れず、第1の電圧制限端子109からオペアンプ101の出力端子104に流入する電流を制限し、オペアンプ101の損傷の発生を抑制する。オペアンプ101の出力端子104に流入する電流を制限するための拡散抵抗105の抵抗値を大きくしても、<静電気が印加されない場合での動作>で示したように外部出力端子114に現れる電位には影響しないため、高い電位精度を有し、且つ静電気損傷の発生を抑制しうる静電気保護部を備えるオペアンプ回路を提供することができる。
<本実施形態の効果>
次に、上述した本実施形態の効果について説明する。
(1)外部出力端子114から見た拡散抵抗105のインピーダンスは負帰還量に応じて低減されるため、静電気損傷の発生を抑制するために拡散抵抗105にインピーダンスの大きな素子を用いてもオペアンプ回路100の外部出力端子114から見た出力インピーダンスの値は負帰還量に応じて低減した値として扱える。外部出力端子114から電流を取り出しても外部出力端子114での電圧降下は負帰還量分だけ圧縮されるため、外部出力端子114から電流を取り出した場合でも外部出力端子114での電圧精度を維持することができる。
(2)放熱性、均熱性に優れた拡散層を抵抗として拡散抵抗105を第1の静電気保護部として用いるため、静電気が印加された場合に拡散抵抗105の温度上昇を抑えることができ、信頼性に優れた第1の静電気保護部を得ることができる。また、拡散抵抗115についても拡散層を用い、拡散抵抗105の近傍に拡散抵抗115を形成することで、拡散抵抗105と拡散抵抗115との温度差を小さく抑えることができ、抵抗値の相対精度を保つことができるため、使用温度に関わらずオペアンプ101の利得を安定化させることができる。
(3)静電気が印加されない場合には第2の静電気保護部としてのサイリスタ108に流れる電流は十分小さいため、オペアンプ101に流れる電流が抑えられるためオペアンプ101の消費電力を抑えることができる。また、拡散抵抗105に生じる、第2の静電気保護部としてのサイリスタ108に流れる電流に起因した誤差電圧を低減することができる。
(4)静電気が印加された場合には、オペアンプ101の損傷の発生が抑制されるよう第2の静電気保護部としてのサイリスタ108に流れる電流を大きくすることで第1の電圧制限端子109と、第2の電圧制限端子110との端子間電圧を低減させ、オペアンプ101の出力端子104に印加される電圧を低下させることでオペアンプ101の静電気による損傷の発生を抑制することができる。
<変形例>
(1)オペアンプ101を非反転増幅として用いることに代えて、反転増幅として使用しても良い。図4はオペアンプを反転増幅で用いた場合の等価回路図である。第4の帰還量制御部としての拡散抵抗401を介して外部出力端子114と外部入力端子118とが接続されている。この場合、オペアンプ101の反転入力端子102、非反転入力端子103に同相入力は掛からないため、高い同相信号除去比を有するオペアンプ回路100を形成することができる。
(2)拡散抵抗111を単独で用いることに代えて、複数の素子数を用いて拡散抵抗111と並列にコンデンサを接続しても良い。この場合、拡散抵抗111とコンデンサにより形成される時定数で示される周波数以上の信号は減衰するため、交流的なノイズの影響を抑えることができる。
(3)拡散抵抗111を用いることに代えて、コンデンサと、例えばリセットスイッチとして機能するNMOSトランジスタを並列に接続し、サンプル−ホールド回路等を形成しても良い。この場合、スイッチを動作させるために、第1の帰還端子と第2の帰還端子以外に、リセットスイッチを駆動するための第3の帰還端子を備えることで、サンプル−ホールド回路を形成することができる。
(4)オペアンプ101を利得1の非反転増幅器(バッファ)として用いても良い。図5はオペアンプ101を利得1の非反転増幅器(バッファ)として用いる場合の等価回路図である。この場合、出力端子104と反転入力端子102の間を導体で直結する方法や、出力端子104と反転入力端子102の間に例えば1kΩ程度の入力保護抵抗501を入れる構成をとることができる。特に、抵抗を入れた場合には、オペアンプ101内部の回路の損傷の発生を効果的に抑制することができる。
(5)<オペアンプの構造>で差動入力型のオペアンプの例について説明したが、これは差動型のオペアンプに本実施形態を限定する主旨のものではなく、上記した差動入力型のオペアンプ101に代えて、例えばトランスコンダクタンス型のオペアンプやトランスインピーダンス型のオペアンプを用いても良い。また、CMOSトランジスタに限定する事なくバイポーラトランジスタや接合型トランジスタ及びこれらを混用して形成したオペアンプを用いても良い。
(6)サイリスタ108を用いることに代えて、バイポーラトランジスタ、トライアック、MOSトランジスタ、またはダイオードを用いて第2の静電気保護部を形成しても良い。また、出力端子104と接地との間に限定されず、例えば出力端子104と電源との間、若しくは両方に接続されていても良い。さらに、出力端子104と静電気に起因する電流のインピーダンスが低い端子との間にでも接続可能である。
本発明に係る静電気保護部を備えるオペアンプ回路の等価回路図。 等価回路図を重畳して示したサイリスタの断面図。 オペアンプの基本部分の回路図。 変形例(1)を説明するための反転増幅を用いた場合のオペアンプ回路の等価回路図。 変形例(4)を説明するための、オペアンプを利得1の非反転増幅器(バッファ)として用いる場合の等価回路図。
符号の説明
100…オペアンプ回路、101…オペアンプ、102…反転入力端子、103…非反転入力端子、104…出力端子、105…第1の静電気保護部としての拡散抵抗、106…第1の電流制限端子、107…第2の電流制限端子、108…第2の静電気保護部としてのサイリスタ、109…第1の電圧制限端子、110…第2の電圧制限端子、111…帰還部としての拡散抵抗、112…第1の帰還端子、113…第2の帰還端子、114…外部出力端子、115…第1の帰還量制御部としての拡散抵抗、116…第1の帰還量制御端子、117…第2の帰還量制御端子、118…外部入力端子、200…シリコン基板、202…P型ウェル領域、204…N型ウェル領域、210…STI層、212…P型不純物拡散領域、214…N型不純物拡散領域、220…STI層、222…P型不純物拡散領域、224…N型不純物拡散領域、226…N型不純物拡散領域、228…P型不純物拡散領域、230…シリサイド層、242…GND電源線、250…ツェナーダイオード、262…NPNバイポーラトランジスタ、264…PNPバイポーラトランジスタ、301、NMOS…NMOSトランジスタ、302…NMOSトランジスタ、303、PMOS…PMOSトランジスタ、304…PMOSトランジスタ、305…定電流源、306…PMOSトランジスタ、307…位相補償コンデンサ、308、PMOS…NMOSトランジスタ、309…PMOSトランジスタ、310…定電流源、311、PMOS…NMOSトランジスタ、312…PMOSトランジスタ、313…差動増幅部、314…カレントミラー回路、315…出力段、401…第4の帰還量制御部としての拡散抵抗、501…入力保護抵抗。

Claims (4)

  1. 反転入力端子と非反転入力端子を備えるオペアンプと、
    第1の電流制限端子と第2の電流制限端子を有し、且つ前記オペアンプの出力端子と前記第1の電流制限端子とは接続されており、前記第2の電流制限端子は外部出力端子と接続されており、前記第2の電流制限端子に静電気が印加された場合には、前記第2の電流制限端子から流入し前記第1の電流制限端子へ流出する電流を制限することで前記オペアンプの静電気損傷の発生を抑制する単一若しくは複数の電子素子からなる複数の端子を備える第1の静電気保護部と、
    第1の電圧制限端子と第2の電圧制限端子を有し、且つ前記第2の電流制限端子と前記第1の電圧制限端子とは接続されており、且つ前記第2の電圧制限端子は接地又は前記第1の電圧制限端子に静電気に起因する電流が印加された場合に前記第2の電圧制限端子との間に前記オペアンプを損傷させる電位差の発生を抑制しうる低抵抗領域と接続されており、前記第1の電圧制限端子と前記第2の電圧制限端子との間に前記静電気に起因する電流が供給された場合に前記第1の電圧制限端子と前記第2の電圧制限端子間に発生する電圧を制限することで前記オペアンプの静電気損傷の発生を抑制する単一若しくは複数の電子素子からなる複数の端子を備える第2の静電気保護部と、
    少なくとも第1の帰還端子と第2の帰還端子を有し、前記第2の電流制限端子と前記第1の帰還端子が接続された位置に前記外部出力端子が配置され、前記外部出力端子を通して前記オペアンプの出力は前記第1の静電気保護部を介して電気的に接続され、前記オペアンプの前記反転入力端子と第2の帰還端子とが接続されることで前記第1の静電気保護部を前記オペアンプの負帰還経路内に含め、静電気が印加された場合には、前記第1の静電気保護部と前記第2の静電気保護部により前記オペアンプへの静電気起因の電流の流入を抑え、静電気が印加されない場合には前記第1の静電気保護部のインピーダンスを負帰還量に応じて低減させるように形成した、単一若しくは複数の電子素子又は導線からなる複数の端子を備える帰還部と、
    (1)前記非反転入力端子と外部入力端子とが単一若しくは複数の電子素子または導線を介在して接続されていることと、
    (2)前記非反転入力端子と前記外部入力端子とが単一若しくは複数の電子素子または導線を介在して接続されていることに加え、少なくとも第1の帰還量制御端子と第2の帰還量制御端子を有し、前記非反転入力端子と前記第1の帰還量制御端子とが接続された単一若しくは複数の電子素子または導線を用いて形成した第1の帰還量制御部とを備え、前記第2の帰還量制御端子は接地若しくは前記第1の帰還量制御部外で接続されていることと、
    (3)前記非反転入力端子は接地、又は単一若しくは複数の電子素子または導線を用いて形成した第3帰還量制御部外で電気的に接続されており、加えて前記外部入力端子と前記反転入力端子は単一若しくは複数の電子素子または導線を用いて形成した第4の帰還量制御部を介して接続されていることと、の
    上記(1)〜(3)の何れか一つの構成を有することを特徴とするオペアンプ回路。
  2. 前記第1の静電気保護部は拡散抵抗であることを特徴とする請求項1に記載の静電気保護部を備えるオペアンプ回路。
  3. 前記第2の静電気保護部は静電気が印加されない場合は前記オペアンプの前記演算処理に与える影響が抑制されるよう前記第1の電圧制限端子と前記第2の電圧制限端子間に流れる電流が抑えられるよう動作し、静電気が印加された場合は前記オペアンプの損傷の発生が抑制されるよう前記第1の電圧制限端子と前記第2の電圧制限端子間に流れる電流を大きくすることで前記第1の電圧制限端子と前記第2の電圧制限端子間電圧を低減させる非線形特性を備えることを特徴とする請求項1に記載の静電気保護部を備えるオペアンプ回路。
  4. 前記第2の静電気保護部はサイリスタ、バイポーラトランジスタ、トライアック、MOSトランジスタ、またはダイオードであることを特徴とする請求項3に記載の静電気保護部を備えるオペアンプ回路。
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