JP2007039877A - 免震装置用保護カバー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下部躯体7と上部躯体8との間に配設され、下部躯体側に設けられた平滑板2と、上部躯体側に設けられた弾性支承部のすべり材3とが相互にそれぞれの摺動面を接触して配設されるすべり免震装置を覆う保護カバーであって、該保護カバー9が耐紫外線材料、特にクロロプレンゴムの弾性成形体であり、下部躯体側に設けられた平滑板の摺動面に樹脂被覆層を有する。
【選択図】 図1
Description
例えばすべり免震装置がある。このすべり免震装置は、建物側に固定される弾性支承部と、地盤側に固定されるすべり板部からなり、弾性支承部を構成するすべり材とすべり板部を構成する平滑板とが相互に接触して摺動する。この平滑板は平滑板取り付けプレートに取り付けられ、その表面には特殊コーティングが施された金属板からなる。
従来、保護カバーとしては、すべり板のすべり面上に塵埃や異物が付着することを防止し、装着作業が簡単にできることを目的に、弾性変形可能な2分割したシートですべり面を覆う養生シートが知られている(特許文献1参照)。
また、保護カバーの材質として、エチレンプロピレンゴム等の弾性体を用いることが知られている(特許文献2参照)。
しかしながら、建物竣工後はプラスチックベニアカバーが取り外されるため、すべり面に施されている被覆層が直射日光に曝される結果、紫外線に侵される危険がある。また、すべり免震装置の設置場所が多様化すると、設置後もすべり免震装置の耐紫外線性が要求されるようになってきた。すべり面の被覆層以外に、弾性支承部を構成する積層ゴムのゴム材等が紫外照射によって劣化したり、金属板への吸着作用、潤滑剤劣化等が生じたりしてすべり免震装置の初期特性を発揮できなくなるおそれがある。
また、下部躯体側に設けられた平滑板の摺動面に樹脂被覆層を有することを特徴とする。
また、上記耐紫外線材料がクロロプレンゴムであることを特徴とする。
特に平滑板の摺動面に樹脂被覆層を有する場合であっても、樹脂被覆層が紫外線により経時劣化を生じることがない。
すべり免震装置1は、下部躯体7に固定される平滑板2と、この平滑板2と摺動するすべり材3と、すべり材3の上端面に固定される中板5と、中板5の上端面に接着固定される単層ゴム材または積層ゴム材からなる弾性支承4と、弾性支承4を中板5との間で挟み込んでその下端面が弾性支承4の上端面と接着固定されて上部躯体8に固定される上板6と、すべり免震装置を覆う免震装置用保護カバー9とから構成されている。免震装置用保護カバー9の材料が直接平滑板2に接触するのを防止するため、保護カバー9の裏面に柱状体10が固着されている。柱状体10が平滑板2に接触する面にはポリエチレン樹脂フィルムなどの摩擦係数の小さい材料10aが貼着されている。
また、ステンレス鋼板の表面に樹脂被覆層を形成することが好ましい。用いることができる樹脂被覆材としては、フッ素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。さらに樹脂被覆材の表面に潤滑油または潤滑グリースなどの潤滑層を設けることができる。
PTFE系樹脂としては、PTFE樹脂と変性PTFE樹脂とが挙げられる。PTFE樹脂は四フッ化エチレンの単独重合体であって、 310〜390℃で軟化して圧縮成形および押出成形は可能であるが通常の射出成形は不可能な樹脂である。変性PTFE樹脂は、四フッ化エチレン単位と、四フッ化エチレンのフッ素が他の有機基(−Χ)で置換された置換四フッ化エチレン単位とから構成される共重合体である。有機基(−Χ)は特に限定するものではないがパーフルオロアルキルエーテル基あるいはフルオロアルキル基などが好ましい。
PTFE系樹脂に配合できる配合剤の中で、繊維状配合剤はガラス繊維、炭素繊維、あるいはウィスカ類が挙げられる。炭素繊維はピッチ系あるいはパン系炭素繊維のいずれでもよい。繊維状配合剤の他の例として、短繊維の各種ウィスカが挙げられる。例えば、硫酸カルシウムウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硫酸マグネシウムウィスカ等が挙げられる。
樹脂粉末および無機化合物粉末としては、熱硬化性ポリイミド樹脂などのPTFEの成形温度 380℃に耐えうる粉末、二硫化モリブデン、酸化亜鉛、酸化チタン、黒鉛、金属酸化粉末、ガラスビーズ、シリカ粉末等が挙げられる。
耐紫外線材料としては、免震装置の平滑板や弾性支承に直接日光が照射されないよう遮光性材料であるとともに、直接日光が照射される材料自身として紫外線による劣化が生じない材料である。使用できる耐紫外線材料としては、ゴム弾性体、プラスチックス等が挙げられる。本発明においては、弾性変形が大きいゴム材料が好ましい。ゴム材料としては、天然ゴム材料および/または合成ゴム材料を使用できる。
天然ゴム材料としては、天然ゴム、塩化ゴム、塩酸ゴム、環化ゴム、マレイン酸化ゴム、水素化ゴム、天然ゴムの二重結合にメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、メタクリル酸エステル等のビニルモノマーをグラフトさせてなるグラフト変性ゴム、窒素気流中でモノマー存在下に天然ゴムを粗練してなるブロックポリマー等を挙げることができる。
合成ゴム材料としては、クロロプレンゴム、イソブチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンプロピレンターポリマー、クロロスルホン化ポリエチレンゴム等のポリオレフィン系エラストマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー等のスチレン系ゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、ナイロン12、ブチルゴム、ブタジエンゴム、ポリノルボルネンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム等を挙げることができる。
クロロプレンゴムの成形は、未加硫の生ゴムに、金属酸化物などの加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、充填剤、補強剤などを配合し、保護カバー形状となる型に入れて成形し、その後加硫することでなされる。未発泡ゴム体の場合、その厚さ(t)は1〜3mmであることが好ましい。また、成形体とすることなくシート材であってもよい。
または、上記配合剤に発泡剤を加えて、成形、加硫することで発泡ゴム体とすることができる。または加硫発泡ゴム成形体を切削加工することにより発泡ゴム弾性体の成形体とすることができる。発泡ゴム体の場合、その厚さ(t)は10〜30mmであることが好ましい。
本発明においては、保護カバー9全体として軽量化でき、形態が変形し難い発泡ゴム体が好ましい。
また、この箱型はすべり免震装置に組み付ける時の作業性を向上させるために、分割体とすることができる。さらに、箱型の裏面が平滑板2に接触するのを避けるために、柱状体10を設けることが好ましい。
この保護カバー9の裏面に固着される柱状体10は、上記ゴム成形時に一体成形してもよく、あるいは個別に成形して保護カバーの裏面に接着剤などで固着させてもよい。柱状体10の形状、個数は、保護カバー9の裏面が直接平滑板2に接触しない形状および個数であればよく、例えば円柱状、角柱状を挙げることができる。
また、柱状体10が平滑板2に接触する面は、摩擦係数の小さい材料であることが好ましく、ポリエチレンフィルム、フッ素樹脂フィルム等が貼着されていることが好ましい。
2 平滑板
3 すべり材
4 弾性支承
5 中板
6 上板
7 下部躯体
8 上部躯体
9 免震装置用保護カバー
10 柱状体
Claims (3)
- 下部躯体と上部躯体との間に配設され、前記下部躯体側に設けられた平滑板と前記上部躯体側に設けられた弾性支承部のすべり材とが相互にそれぞれの摺動面を接触して配設されるか、もしくは前記上部躯体側に設けられた平滑板と前記下部躯体側に設けられた弾性支承部のすべり材とが相互にそれぞれの摺動面を接触して配設されるすべり免震装置を覆う保護カバーであって、
該保護カバーは、耐紫外線材料の弾性体であることを特徴とする免震装置用保護カバー。 - 前記平滑板の摺動面に樹脂被覆層を有することを特徴とする請求項1記載の免震装置用保護カバー。
- 前記耐紫外線材料がクロロプレンゴムであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の免震装置用保護カバー。
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