JP2006308085A - 輸送管の防食構造 - Google Patents

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吉晴 牧野
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Abstract

【課題】周囲に塗膜剤を飛散したり臭気を発生したりすることもなく、十分な厚みを持たせることができるので長期に防食性を維持することができるとともに、耐外傷性にも優れており衝撃を受けたり人が歩行したりしても外傷を負うことなく水による膨れ等が生じるのを防止することができる防食構造を提供する。
【解決手段】輸送管1の防食構造において、エチレン・プロピレン・ターポリマー又はエチレン・プロピレン・ターポリマーとブチルゴムとのブレンド物に加硫剤ならびに加硫促進剤を含む50℃以下で自然加硫可能な未加硫ゴムシート2に粘着層3を裏打ちした防食シート4を被覆し、更に上から保護層5を被覆している。
【選択図】図1

Description

本発明はガス、水、温水、油、熱媒等を輸送する露出輸送管等の防食構造に関するものであり、詳しくは耐外傷性が高く水の浸入やそれによる膨れが生じるのを防止した防食構造に係る。
従来の露出輸送管の防食方法としては一般に塗料による塗膜工法がよく行われてきた。しかし、この塗膜工法は一度で作れる膜厚に限度があって、通常3回以上の塗り重ねを行わなければならないのが実情であり、大量の溶剤を伴うため作業者の周辺環境に波及する問題と、塗料の飛散による周辺環境の汚染等によって環境問題に発展している。
また、仮に3回以上の塗り重ねを行ったとしても十分な膜厚を確保することはできず、約3年毎に塗り替えなければならなくなり、そのたびごとに同じような汚染や臭気公害の問題を引き起こしていた。
そこで塗膜工法に代わって、特許文献1や特許文献2に開示されているように加硫ゴムシートに粘着層を裏打ちした防食シートを輸送管に被覆することによって雨水や外気から遮断し腐食を防止するといった工法である。
特開昭61−144490号公報 特開昭61−215894号公報
しかし、この加硫ゴムからなる防食シートは耐外傷性に劣るところがあり、人が配管上を歩行したり、その他の衝撃を受けたりすることによって外傷を生じ、防食シートが裂けて水が浸入し、シートに膨れを生じるといったことがあった。
そこで本発明では防食の機能を持たせるためには従来どおりの加硫ゴムシートを用いるので、比較的容易に施すことができ、周囲に塗膜剤を飛散したり臭気を発生したりすることもなく、十分な厚みを持たせることができるので長期に防食性を維持することができるとともに、耐外傷性にも優れており衝撃を受けたり人が歩行したりしても外傷を負うことなく水による膨れ等が生じるのを防止することができる防食構造の提供を目的とする。
以上のような目的を達成するために本発明の請求項1では、ガス、水、温水、油、熱媒等を輸送する輸送管に防食材を被覆する輸送管の防食構造において、エチレン・プロピレン・ターポリマー又はエチレン・プロピレン・ターポリマーとブチルゴムとのブレンド物に加硫剤ならびに加硫促進剤を含む50℃以下で自然加硫可能なムーニー粘度(ML1+5、100℃)40〜70、厚み0.5〜3.0mmの未加硫ゴムシートに粘着層を裏打ちした防食シートを被覆し、更に上から保護層を被覆してなることを特徴とする。
請求項2では、保護層が紫外線硬化型樹脂からなる請求項1記載の輸送管の防食構造としている。
請求項3では、紫外線硬化型樹脂がビニルエステル樹脂である請求項2記載の輸送管の防食構造としている。
請求項4では、保護層が繊維補強樹脂である請求項2〜3記載の輸送管の防食構造としている。
請求項5では、補強繊維の目付量が100〜2000g/mの範囲である請求項4記載の輸送管の防食構造としている。
請求項6では、保護層の厚みを0.5〜5mmの範囲内に設定した請求項1〜5記載の輸送管の防食構造としている。
請求項1によると従来の加硫ゴムシートに粘着層を裏打ちしたものを防食シートとして輸送管に被覆し、更にその上から保護層を被覆していることから輸送管への防食シートの被覆の作業は比較的容易な作業であるとともに塗膜剤を飛散したり、臭気による公害を引き起こしたりすることもなく、厚みに関しても十分なものを得ることができ、更には耐外傷性に優れている。
請求項2では保護層が紫外線硬化型樹脂からなるとしていることから、硬化前においては柔軟で配管に対して簡単に沿わせることができ、日光を照射すると硬化するが硬化後は外部からの応力に対する強度が向上し、鋭利物等が当たったり擦れたりしても簡単に外傷を生じることがなく耐衝撃性にも優れ防食の信頼性を向上させることができる。
請求項3では樹脂の種類をビニルエステル樹脂としているので、防食シートとの間の接着性に優れるとともに耐候性や耐薬品性にも優れており、より長期の使用に耐える防食構造とすることができる。
請求項4では繊維強化樹脂としているので強度の面や耐衝撃性の面で大幅に性能を向上させることができ耐外傷性をきわめて優れたものとすることができる。
請求項5では保護層に用いる繊維強化樹脂の補強繊維の目付量を100〜2000g/mの範囲としており、また請求項6においては保護層の厚みを0.5〜5mmの範囲に設定しており、外傷にも十分耐えられる強度と取り扱いやすさを備えたものとすることができる。
本発明の輸送管1の防食構造は、図1に示すように自然加硫可能な未加硫ゴムシート2に高い粘着性を有する粘着層3を裏打ちした防食シート4を輸送管の表面に貼り付けて全面を覆う。貼り付ける形態としては図2に示すようにスパイラル状に巻きつけてもよいし、図3に示すように輸送管の円周と同等の幅を有する防食シート4を巻きつけるように貼り付け防食シート4の幅方向端部を接合したものでも構わない。
この防食シート4は自然加硫するものであり、輸送管の表面に貼り付けた状態で一定期間を経過すると太陽からの熱等にて徐々に加硫が進み最後には加硫シートとなって強度を持ったシートとなる。
防食シート4貼り付けたら、次には防食シートの上から樹脂からなる保護層5を被覆して防食シート4が損傷しないようにしている。
従来、自然加硫するゴムシート2を粘着層3にて防食シート4として輸送管に巻きつけることが行われていた。しかし、加硫が十分に進んでいない状態では強度的にもかなり弱いものであり、ちょっとした外力が加わることによって、簡単に外傷を生じていた。傷を受けた箇所から防食シート4と輸送管1との間に水が浸入すると膨れが発生する原因となる。また、加硫が進んでからも必ずしも傷が発生しないわけではなく鋭利物等が接触するといったことで外傷を生じることがあった。
本発明のようにゴムシート2と粘着層3からなる防食シート4を巻きつけた上に樹脂からなる保護層5を被覆配置することによって、鋭利物が接触したり、人が歩行する等の外力が加わったとしても簡単に外傷が生じることもなく、耐衝撃性にも優れている。また保護層5を形成する樹脂は紫外線硬化型樹脂であることが好ましく、また繊維で補強された繊維補強樹脂であることがさらに好ましい。
また、何らかの状況で防食シート4と輸送管1との間に水が浸入した場合でも保護層5によって膨れが発生するのを抑え込むことができるといった効果も得られるので、防食シート4の膨れを低減することができる。
防食シート4に用いられる未加硫ゴムシート2としては、耐候性の優れた例えばエチレン・プロピレン・ターポリマー(EPT)あるいはEPTとブチルゴム(IIR)のブレンド物からなるものが好適であり、これらは加硫剤、加硫促進剤の他、ステアリン酸、カーボンブラック、炭酸カルシウム等の無機充填剤、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化防止剤、シリカ等の配合剤が適宜配合される。
加硫剤は、硫黄系、P−キノンジオキシム(GMF)系、樹脂系、例えばオレフィン系、フェノール系、キシレン系等が挙げられ、未加硫ゴムシートの樹脂に応じて適宜選択して使用することができるが最も一般的なものとしては硫黄系、P−キノンジオキシム(GMF)系である。
加硫促進剤はテトラチウラムモノサルファイド(TTM)、過酸化鉛、トリメンベース等、公知の各加硫促進剤を用いることができ、さらに自然加硫を行うためには超促進剤も用いられる。
そして、前記未加硫ゴムシートにおける通常の配合としてはゴム分100質量部に対して加硫剤1〜6質量部、加硫促進剤2〜10質量部の混合が好ましく、この範囲において適宜使用する。
上記の如き配合からなる未加硫ゴムシート2のムーニー粘度(ML1+5、100℃)は40未満においてシート破損が起こりやすく、70を超えると輸送管の円筒面に沿いにくくなるので40〜70の範囲とする。そして、輸送管1の表面にある突起部等の複雑箇所で浮き上がりをおこすような反発弾性を和らげるようにする。
また、未加硫ゴムシート2の厚みは0.5mm未満では薄くて破損しやすく、3mmを超えると厚くなりすぎて施工性に劣るので0.5〜3mmの範囲とすることが好ましい。
以上のようなゴムシート2を用いることで未加硫ゴムシートは50℃以上で自然加硫し、無緊張下で自然加硫後1〜10%の収縮率を持たせることができる。尚、前記未加硫ゴムシートはこれらそのままの形態で防食シート4として輸送管1に被覆することも可能であるが、輸送管1の表面に接する側に粘着層3を積層して、粘着層3の裏打ちされた防食シート4として使用するのが好適である。
この場合の粘着層3はブチルゴムあるいはエチレン・プロピレン・ターポリマーとブチルゴムとのブレンド物で未加硫ゴムシート2の厚みとの関係上0.1〜3.0mmの範囲とすることが好ましい。さらに必要に応じて加硫剤並びに加硫促進剤を加えることにより未加硫ゴムシートと同様、自然加硫させることが望ましい。
この未加硫ゴムシート2に粘着層3を積層した防食シート4は、わずかなテンションをかけた状態で図2のようにスパイラル状等に輸送管1に巻きつけるが、1〜3プライ程度に巻きつけることが好ましい。
次に保護層5として用いる樹脂であるが、円筒形状の輸送管1に被覆する必要があることから巻き沿いやすい柔軟性のあるものであることが好ましく、紫外線硬化型の樹脂を補強繊維で補強した繊維補強樹脂を用いるのが最も好適である。硬化前は柔軟性に富み輸送管に沿わせて巻きつけるのが容易であるが、一旦紫外線を照射して硬化させると大幅に強度が向上し、耐外傷性や耐衝撃性に優れている。
補強繊維と紫外線硬化型の樹脂の種類としては、ガラス繊維や酢酸ビニル等の素材からなる繊維を強化材とし、紫外線硬化型ビニルエステル樹脂を含浸させたものが挙げられる。ビニルエステル樹脂はエポキシ樹脂をアクリル変性したものであり、ゴムシート2との接着性に優れるとともに耐候性や耐薬品性にも優れており防食構造をより長期に渡って保護することができる。ビニルエステル樹脂としてはアクリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等を挙げることができる。
保護層5に用いる補強繊維の目付量としては100〜2000g/mの範囲にすることが好ましく、100g/m未満であると強度や耐久性が不足して早期に防食性能が失われてしまい、逆に2000g/mを超えると嵩高くなって取り扱いが困難となり管に巻きつける作業性が悪くなることやコスト高となってしまうので好ましくない。
また保護層5の厚みは0.5〜5mmの範囲に設定することが好ましい。0.5mm未満であると強度の面で不足し防食効果が早期に失われてしまうことがあり、5mmを超える厚みであると取り扱いがしにくく防食シート上に貼り付ける作業性が悪くなることから好ましくない。
以上のように、補強繊維の目付量や保護層の厚みを所定の範囲内とすることで、外傷にも十分耐えられる強度と取り扱いやすさを備えたものとすることができる。
ガス管、上下水道管、油送管で地中、壁等によって封じられていない金属や合成樹脂製の露出した輸送管の防食に活用することができる。
本発明の防食構造を有する輸送管の断面図である。 輸送管に防食シートをスパイラル状に巻きつけているところの正面図である。 輸送管に防食シートを直角に巻きつけているところの正面図である。
符号の説明
1 輸送管
2 ゴムシート
3 粘着層
4 防食シート
5 保護層

Claims (6)

  1. ガス、水、温水、油、熱媒等の輸送管に防食材を被覆する輸送管の防食構造において、エチレン・プロピレン・ターポリマー又はエチレン・プロピレン・ターポリマーとブチルゴムとのブレンド物に加硫剤ならびに加硫促進剤を含む50℃以下で自然加硫可能な未加硫ゴムシートに粘着層を裏打ちした防食シートを被覆し、更に上から保護層を被覆してなることを特徴とする輸送管の防食構造。
  2. 保護層が紫外線硬化型樹脂からなる請求項1記載の輸送管の防食構造。
  3. 紫外線硬化型樹脂がビニルエステル樹脂である請求項2記載の輸送管の防食構造。
  4. 保護層が繊維補強樹脂である請求項2〜3記載の輸送管の防食構造。
  5. 繊維補強樹脂の補強繊維の目付量が100〜2000g/mの範囲である請求項4記載の輸送管の防食構造。
  6. 保護層の厚みを0.5〜5mmの範囲内に設定した請求項1〜5記載の輸送管の防食構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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