JP6686299B2 - 積層体の製造方法及びそれに用いる接着シート - Google Patents

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本発明は、積層体の製造方法、及びそれに用いる接着シートに関する。さらに詳しくは、被着体への接着シートの接着作業を大幅に省略でき、且つ接着シートの接着を接着強度のバラツキを低減して短時間で行うことができる方法、及びその方法に用いる接着シートを提供する。
従来、被着体に接着層を積層させた積層体であって、被着体と接着層とが強固に接着された積層体を製造する方法について様々な研究がなされている。このような積層体の製造方法は、近年、例えば、道路、鉄道、上下水道、港湾施設、住宅および公園等の所謂インフラ設備の老朽化に伴う補修や補強を行う際に有用である。また、上記積層体の製造方法は、例えば、住宅のコンクリートと建築部材との固定や、または輸送機器の金属部品と樹脂部品との固定等にも幅広く用いることができる。
上述した積層体の製造方法をインフラ設備の補修や補強に用いる場合、接着層を、例えば、コンクリート材料や金属材料等を含む部材に強固に接着することが求められる。一方、コンクリート材料や金属材料等は、比較的接着性が得られ難い材料であるため、接着シートとの強固な接着を行うことは困難であるという問題がある。
また、上述した積層体の製造方法を、住宅のコンクリートと建築部材との固定や、または輸送機器の金属部品と樹脂部品との固定に用いる場合、接着層を介して、例えば、コンクリート材料を含む部材と樹脂材料を含む部材とを強固に接着することや、または金属材料を含む部材と樹脂材料を含む部材とを強固に接着することが求められる。一方、コンクリート材料および樹脂材料や、金属材料および樹脂材料等は、それぞれ接着性が異なる材料であるため、それらを含む部材を接着層により強固に接着することは困難であるという問題がある。
このような問題に対しては、例えば、次のような技術が提案されている。すなわち、積層体を形成する接着層に、電離放射線や熱に対して硬化反応を示す材料を含む層を用いて、被着体の表面に接着層を配置した状態で、接着層の硬化反応を進行させる技術が提案されている。この技術においては、被着体の表面に接着層を配置した状態で接着層の硬化反応を進行させるため、接着層が被着体の表面を巻き込むように硬化する。したがって、被着体と接着層とを強固に接着させることが可能となる。
例えば、特許文献1には、接着層の両面に、湿気または紫外線の遮断性を有する剥離層が積層された接着シートが開示されている。また、特許文献2には、アクリル系樹脂、液状エポキシ樹脂、固形エポキシ樹脂および硬化剤を含む接着層の表面に、剥離層が積層された接着シートが開示されている。
特開2013−49844号公報 特開2014−65889号公報
しかしながら、従来技術において、積層体を形成する接着層に、電離放射線や熱に対して硬化反応を示す材料を含む層を用いた場合には、被着体の表面に接着層を配置した状態で、電離放射線や熱を当てて接着層を硬化するため、電離放射線照射装置や加熱装置を持ち歩く必要があり、大面積の天井や壁面での作業は高所に装置を向けて電離放射線照射や加熱をするために負担が大きく、危険を伴うおそれもある。また、接着層を介して第1の被着体および第2の被着体とを接着する場合であって、接着層に光硬化性を有する層を用いる場合には、第1の被着体、接着層および第2の被着体をこの順で積層した後に接着層に光を照射して硬化反応を進行させるため、第1の被着体および第2の被着体の少なくとも一方が光透過性を有している必要があるという問題がある。
また、従来技術において電離放射線の照射は、被着体の表面に接着層を配置した後に行われる。一方、電離放射線を照射する工程においては、電離放射線の照射時間や照射量の調整が必要となるが、その調整には熟練を要するという問題がある。接着層に照射される電離放射線の照射時間や照射量が一定でない場合には、接着層の硬化にバラツキが生じ、接着層と被着体とを強固に接着することが困難になるという問題がある。なお、このような問題は、接着層が広面積になるに連れて顕著となる。
本発明は、被着体への接着シートの接着作業を大幅に省略でき、且つ接着シートの接着を接着強度のバラツキを低減して短時間で行うことができる方法、及びその方法に用いる接着シートを提供することにある。
(1)上記課題を解決するための本発明に係る積層体の製造方法は、被着体、および前記被着体に接着された接着シートを有する積層体を製造する積層体の製造方法であって、電離放射線で硬化する接着層と、前記電離放射線の照射量に応じて文字、図形又は色を標示する標示材料とを備えた前記接着シートを準備する工程と、前記接着シートに前記電離放射線を照射する工程と、前記電離放射線の照射によって前記標示材料が文字、図形又は色を標示した後に前記電離放射線の照射を停止する工程と、前記被着体の表面に、前記接着シートを貼り合わせる工程とを有することを特徴とする。
本発明に係る積層体の製造方法において、前記標示材料が、前記接着層に含まれる標示化合物、前記接着シートを構成する標示化合物含有シール、及び、前記接着シートを構成する標示化合物層から選ばれるいずれか1又は2以上であるように構成できる。
本発明に係る積層体の製造方法において、前記電離放射線を照射する工程は、前記接着シートに前記電離放射線を照射して前記接着層の硬化を開始させる工程であり、前記接着シートを貼り合わせる工程は、前記電離放射線を照射する工程で硬化を開始させた後、前記接着層を前記被着体に貼り合わせる工程であり、前記被着体に貼り合わせた後の前記接着シートの硬化が、前記被着体の環境温度で進行するように構成できる。
本発明に係る積層体の製造方法において、前記接着シートが、補修又は補強部材を備えるように構成できる。
本発明に係る積層体の製造方法において、前記補修又は補強部材が、前記接着層の内部に含まれている、又は前記接着層の一方の面に設けられているように構成できる。
(2)上記課題を解決するための本発明に係る接着シートは、上記本発明に係る方法で用いられることを特徴とする。
(3)上記課題を解決するための本発明に係る接着シートは、被着体に貼り合わせて積層体を形成する接着シートであって、電離放射線で硬化する接着層と、前記電離放射線の照射量に応じて文字、図形又は色を標示する標示材料とを有することを特徴とする。
本発明に係る接着シートにおいて、前記標示材料が、前記接着層に含まれる標示化合物、前記接着シートを構成する標示化合物含有シール、及び、前記接着シートを構成する標示化合物層から選ばれるいずれか1又は2以上であるように構成できる。
本発明に係る接着シートにおいて、前記接着層が、前記電離放射線を受けて重合開始物質を放出する化合物を含有し、前記化合物は、前記電離放射線を受けた後の前記重合開始物質を放出が前記被着体の通常環境温度で進行するように構成できる。
本発明に係る接着シートにおいて、前記接着シートが、補修又は補強部材を備えるように構成できる。
本発明に係る接着シートにおいて、前記補修又は補強部材が、前記接着層の内部に含まれている、又は前記接着層の一方の面に設けられているように構成してもよい。
本発明によれば、被着体への接着シートの接着作業を大幅に省略でき、且つ接着シートの接着を接着強度のバラツキを低減して短時間で行うことができる積層体の製造方法、及びその方法に用いる接着シートを提供することができる。
標示化合物を含む接着層を、被着体の表面に積層した積層体(A)、接着層とその接着層の片面に設けた標示化合物含有シールとを備えた接着シートを、被着体の表面に積層した積層体(B)、及び、接着層とその接着層の片面に設けた標示化合物層とを備えた接着シートを、被着体の表面に積層した積層体(C)を示す模式的な断面図である。 補修又は補強部材と標示化合物とを含む接着層(A)、補修又は補強部材を含む接着層とその接着層の片面に設けた剥離フィルムとその接着層の他の面に設けた標示化合物含有シールとを備えた接着シート(B)、及び、補修又は補強部材を含む接着層とその接着層の片面に設けた標示化合物層とそれらを両面から挟むように設けた剥離シートとを備えた接着シート(C)を示す模式的な断面図である。 剥離シートと標示化合物を含む接着層と補修又は補強部材とが順に積層された接着シート(A)、及び標示化合物含有シールと接着層と補修又は補強部材とが順に積層された接着シート(B)を示す模式的な断面図である。 接着層と補修又は補強部材とを少なくとも備えた接着シート(標示材料を含むが、ここでは便宜的に省略)の他の例を示す模式的な断面図である。
本発明に係る積層体の製造方法、及び接着シートについて説明する。本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[積層体の製造方法]
本発明に係る積層体の製造方法は、図1に示すように、接着シート10および被着体5を積層して積層体100を製造する方法である。その特徴は、電離放射線で硬化する接着層2と電離放射線の照射量に応じて文字、図形又は色を標示する標示材料(indicator)4とを備えた接着シート10を準備する工程(準備工程)と、その接着シート10に電離放射線を照射する工程(照射工程)と、その電離放射線の照射によって標示材料4が前記文字、図形又は色を標示した後に前記電離放射線の照射を停止する工程(照射停止工程)と、接着シート10を対象構造物に貼り合わせる工程(貼合工程)とを有することにある。また、本発明に係る積層体の製造方法は、図2〜図4に示すように、接着シート補修又は補強部材3を備えていても良い。
この方法によれば、電離放射線の照射量に応じて文字、図形又は色を標示する標示材料(indicator、インジケータともいう。)4を備えるので、電離放射線で硬化する接着層2への電離放射線の照射量をできるだけ一定にすることができる。その結果、各部の硬化時間のバラツキを抑制し、一定時間経過した後の接着層2の粘着力や接着強度のバラツキを低減することができる。こうした方法により、被着体5への接着シート10の接着作業を大幅に省略化でき、且つ短時間で行うことができるという効果を奏する。
また、例えば、電離放射線を照射した後に直ぐに完全硬化せずに、接着シート10を貼り合わせる被着体5の周囲の環境温度(この温度を「通常環境温度」という。)で徐々に硬化する接着層2を採用する場合には、その後に積極的な硬化手段を施さなくても硬化を徐々に進行させることができる。遅延硬化型の接着層2を採用すれば、接着シート10を対象構造物に貼り合わせ、そのままにして次の作業や段取りを行っている間に、その接着シート10が硬化して被着体5に接着することができる。その結果、被着体5への接着シート10の接着作業を段取りよく効率的に行うことができ、トータルの作業時間の短縮化を図ることができる。
以上のような省エネ方法により、例えば、トンネルや建造物等の対象構造物に対する補修・補強作業において、狭い箇所や高い箇所のような作業困難な場所や、段取りよく短時間で補修・補強しなければならない交通規制して行う工事、夜間のトンネル工事、夜間の鉄道工事等では、特に接着シートの接着を接着強度のバラツキを低減して効率的に行うことが重要であり、本発明に係る方法は、こうした要請に十分に応えることができる。
以下、接着シートを用いた積層体の製造方法を詳しく説明する。
(被着体)
被着体は、接着シートを接着する対象となるものであり、特に限定されない。具体的な被着体としては、例えば、架橋、トンネル、道路舗装、河川管理施設、砂防堰堤、砂防床固工、下水管梁、下水処理場、港湾施設、公営住宅、集合住宅、一般住宅、都市公園、海岸堤防、空港、空港、航路標識、官庁施設等、多くの社会インフラを挙げることができる。なお、以下では、被着体としてコンクリート材料を含むトンネルを例にして説明する。
[準備工程]
準備工程は、電離放射線で硬化する接着層2と、電離放射線の照射量に応じて文字、図形及び色から選ばれるいずれか1又は2以上を標示する標示材料4とを備えた接着シート10を準備する工程である。
接着層2は、紫外線等の電離放射線を照射することにより、硬化した接着層となる層であればよい。好ましい接着層2は、電離放射線を当てると硬化が開始するが、照射直後に完全に硬化せず、接着シート10を貼り合わせる被着体5の周囲の環境温度(この温度を「通常環境温度」という。)で徐々に硬化する層である。好ましい接着層2を適用した場合、その後に積極的な硬化手段を施さなくても硬化が徐々に進行し、接着する遅延硬化型の接着層2を備えた接着シート10とすることができる。遅延硬化型の接着層2を有した接着シート10を用いることにより、被着体5への効率的な貼り合わせ作業と接着作業とを行うことができる。接着層2の詳しい説明は後述する。
また、本発明における接着シート10は、必要に応じて補修又は補強部材3(以下、補修・補強部材3と略す。)を備えていてもよい。補修・補強部材3は、図2に示すように、遅延硬化型の接着剤が塗布されてその接着剤中に含浸されたものであってもよいし、図3及び図4に示すように、接着層2に貼り合わせられたものであってもよい。補修・補強部材3の詳しい説明は後述する。
標示材料4は、接着シート10に図1に例示する種々の態様で備わっているものであり、電離放射線の照射量に応じて標示する。その標示材料4は、ある一定量以上の電離放射線を受けると、例えば文字、図形、色等の標示要素が現れるように機能する。電離放射線を照射している途中で標示要素が現れることにより、必要な電離放射線が照射されたことが分かるので、その時点で電離放射線の照射を止めることが可能になる。標示要素が現れるまでの電離放射線の照射量は、標示材料4の種類によって任意に設定することができる。また、標示材料4は、電離放射線の種類や波長に応じて任意に選定することもできる。文字、図形、色等の標示要素は、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。具体的な標示材料4については後述するが、図1(A)に示すように、接着層2に含まれる標示化合物4aであってもよいし、図1(B)に示すように、接着層2等に貼り付けられる標示化合物含有シール4bであってもよいし、図1(C)に示すように、接着シート10に設けられた標示化合物層4cであってもよい。
標示材料4は、上記した接着層2を電離放射線で硬化させるための照射量に達したことを示すことができる。また、電離放射線を当てると硬化が開始するが、照射直後に完全に硬化せず、接着シート10を貼り合わせる被着体5の通常環境温度で徐々に硬化する接着層2を設けた場合には、電離放射線を照射した後の通常環境温度で、接着層2が徐々に硬化が完了することができる必要な又は十分な照射量を、予め照射する目安として示すことができる。この場合、接着シート10の各部に設けた標示材料4が標示要素(文字、図形等)を標示するまで電離放射線を照射することにより、その後、被着体5の通常環境温度で徐々に硬化する時間等を揃えることができ、作業を段取りよく効率的に行うことができる。
(照射工程)
照射工程は、接着シート10に電離放射線を照射する工程である。この照射により接着層2の硬化が開始するので、照射工程は、硬化開始工程ということもできる。この照射工程は、(A)接着シート10を被着体5に貼り合わせた後に行ってもよいし、(B)接着シート10を被着体5に貼り合わせる前に行ってもよい。
前記(A)のように、接着シート10を被着体5に貼り合わせた後に照射する電離放射線によって、接着層2を直ぐに硬化させてもよいし、接着層2をゆっくり硬化させてもよい。接着シート10を被着体5に貼り合わせた後に電離放射線の照射を照射する場合には、携帯型の電離放射線装置等を用いることができる。
前記(B)のように、接着シート10を被着体5に貼り合わせる前に照射する電離放射線によって、接着層2をゆっくり硬化させてもよい。この(B)においては、硬化があまり進行しない間に接着シート10を被着体5に貼り合わせ、貼り合わせた後の接着シート10の硬化を、被着体5の環境温度で進行するように構成することができる。接着シート10を被着体5に貼り合わせる前に電離放射線を照射する場合には、携帯型の電離放射線装置を用いてもよいし、設置型の電離放射線装置を用いてもよい。特に設置型の電離放射線装置を用いることにより、作業場の平らなところや広いところで電離放射線を照射することができる。例えば、設置型の電離放射線照射装置を作業場に置き、ロールツウロールで接着シート10に電離放射線照射を照射することができる。また、接着シート10を作業場に置き、その接着シート10に例えばハンディ型の電離放射線照射装置を用いて照射してもよい。また、特定の電離放射線照射装置(例えば紫外線照射装置等)がない場合は、太陽光等でもよく、本願での「電離放射線」には太陽光に含まれる紫外線等の電離放射線も含まれる。
上記(A)(B)のいずれにおいても、電離放射線の照射条件のうち、紫外線を照射するときの照射条件は、硬化剤の種類によっても異なるが、例えば後述の実施例のように、波長300nm〜370nmの領域で積算光量が50mJ/cm2以上、3000mJ/cm2以下の程度の照射条件を挙げることができる。また、電子線を照射する場合の条件も、硬化剤の種類によっても異なるが、50kGy以上、100kGy以下の程度の照射条件を挙げることができる。
上記(B)においては、電離放射線を照射した後の接着シート10は、急激に硬化して貼り合わせ前に接着シート10の粘着性がなくならないことが必要である。すなわち、後述の貼り合わせ工程で接着シート10を貼り合わせる作業を行っている間は、粘着性を有していなければならない。作業時間は、通常、30秒以上、24時間以下の程度であるので、少なくともその時間範囲内で硬化が完了して粘着性がなくならないことが好ましい。
上記(A)(B)において、貼り合わせることができる粘着性は、アルミニウムに対する粘着力で評価した場合、その粘着力は、少なくとも0.01N/インチ以上、50N/インチ以下の範囲内であることが好ましい。「少なくとも」とは、最低限の範囲の粘着力を有していれば被着体5に貼り合わせてその貼り合わせ状態を保持することができる粘着力である範囲という意味であり、上限は更に大きい値であってもよい。そして、この範囲の粘着力を有することにより、接着シート10を被着体5に対して好ましく貼り合わせることができる。例えば、上記(A)のように、電離放射線を照射する前に貼り合わせる場合には、接着層2が上記範囲内の粘着力を有することが望ましく、上記(B)のように、電離放射線を照射した後に貼り合わせる場合には、接着層2が上記範囲内の粘着力を有する間に対被着体5に貼り合わせることが望ましい。
なお、(B)においては、被着体5に電離放射線を照射した後の接着層2の粘着力の変化は急激には起こらないので、上記範囲内の粘着力は、電離放射線を照射する前の粘着力として評価することができる。したがって、照射工程に供する接着シート10は、電離放射線を照射する前の粘着力が少なくとも0.01N/インチ以上、50N/インチ以下の範囲内であり、その粘着力が少なくとも30秒以上、24時間以下の範囲内で保持されていることが望ましい。こうした粘着特性と粘着力保持時特性有する接着シート10を用い、電離放射線を照射して硬化を開始し、その後に被着体5に対して作業性のよい効率的な貼り合わせ作業を行うことができる。
(照射停止工程)
照射停止工程は、電離放射線の照射によって標示材料4が文字、図形又は色を標示した後に、電離放射線の照射を停止する工程である。この工程では、標示材料4が文字、図形又は色を標示した後に、電離放射線の照射を停止するので、電離放射線の照射量を所定の範囲内で調整することができる。その結果、部分的に照射しすぎたり、照射が足りなかったりすることを防ぐことができ、接着層2の硬化をバラツキなく行うことができる。
標示材料4は、電離放射線の照射量に応じて標示するものであり、ある一定量以上の電離放射線を受けると、例えば文字、図形、色等の標示要素が現れるように機能する。標示要素が現れることにより、必要な電離放射線が照射されたことが分かるので、その時点で電離放射線の照射を止めることができる。標示要素が現れるまでの電離放射線の照射量は、標示材料4の種類によって任意に設定することができる。また、標示材料4は、電離放射線の種類や波長に応じて任意に選定することができる。文字、図形、色等の標示要素は、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
具体的な標示材料4については後述するが、図1(A)に示すように、接着層2に含まれる標示化合物4aであってもよいし、図1(B)に示すように、接着シート10に貼り付けられた標示化合物含有シール4bであってもよいし、図1(C)に示すように、接着シート10に設けられた標示化合物層4cであってもよい。
(貼合工程)
貼合工程は、接着シート10を対象構造物(図示しない)に貼り合わせる工程である。この貼合工程は、前記したように、接着層2に電離放射線を照射する前に行ってもよいし、接着層2に電離放射線を照射した後に行ってもよい。
上記のうち、電離放射線を照射した後に貼り合わせる場合においては、被着体5に貼り合わせた接着シート10に対し、電離放射線を積極的に照射したり、積極的に加熱処理したりすることはしない。すなわち、意図的な硬化作業を行わない。そのため、接着シート10を被着体5に貼り合わせ、そのままにして次の作業や段取りを行っている間に、その接着シート10が硬化して被着体5に接着することができる。貼り合わせ時間は、上記したように、通常、30秒以上、24時間以下の範囲内である。この貼り合わせ作業の時間内では、硬化開始処理された接着シート10は粘着力があまり低下しないことが望ましい。貼り合わせの間に保持される粘着力は、電離放射線を照射する前の001N/インチ以上、50N/インチ以下の範囲内の粘着力であることが望ましい。硬化処理後にこの範囲内の粘着力を有する接着シート10は、被着体5によく貼り合わせることができる。
(各接着シートの貼り合わせ態様)
図1〜図4に示す各接着シート10は、上記(A)(B)に示すように、接着シート10を被着体5に貼り合わせた後に電離放射線を照射してもよいし、(B)接着シート10を被着体5に貼り合わせる前に電離放射線を照射してもよい。以下では、接着シート10を被着体5に貼り合わせる前に電離放射線を照射する態様を説明するが、この態様に限定されない。
図1(A)に示す接着シート10は、標示化合物4aが接着層2に含まれている態様の接着シート10である。図1(A)に示す接着シート10では、標示化合物4aの色等の標示要素が現れるまで電離放射線を照射し、その後、コンクリート等の被着体5に貼り付ける側の面S1を被着体5に貼り付けて施工することができる。
図1(B)に示す接着シート10は、標示化合物含有シール4bが接着シート(好ましくは接着層2)に貼り合わされている態様の接着シート10である。この接着シート10では、標示化合物含有シール4bの文字、図形、色等の標示要素が現れるまで電離放射線を照射し、その後、コンクリート等の被着体5に貼り付ける側の面S1を被着体5に貼り付けて施工することができる。
図1(C)に示す接着シート10は、標示化合物層4cが接着シート(好ましくは接着層2)に設けられている態様の接着シート10である。この接着シート10では、標示化合物層4cの文字、図形、色等の標示要素が現れるまで電離放射線を照射し、その後、被着体5に貼り付ける側の面S1を被着体5に貼り付けて施工することができる。
図2(A)に示す接着シート10Aは、標示化合物4aが接着層2に含まれており、補修・補強部材3が粘着層2内に含浸されている態様の接着シート10である。図2(A)に示す接着シート10Aでは、標示化合物4aの色等の標示要素が現れるまで電離放射線を照射し、その後、コンクリート等の被着体に貼り付ける側の面S1を被着体に貼り付け、その後に反対側の面S2に設けられた剥離フィルム1を剥がして施工することができる。
図2(B)に示す接着シート10Bは、標示化合物含有シール4bが接着シート(好ましくは接着層2)に貼り合わされており、補修・補強部材3が粘着層2内に含浸されている態様の接着シートである。この接着シート10Bでは、標示化合物含有シール4bの文字、図形、色等の標示要素が現れるまで電離放射線を照射し、その後、コンクリート等の被着体に貼り付ける側の面S1を被着体に貼り付け、その後に反対側の面S2に設けられた剥離フィルム1を剥がして施工することができる。
図2(C)に示す接着シート10Cは、標示化合物層4cが接着シート(好ましくは接着層2)に設けられており、補修・補強部材3が接着層2内に含浸されている接着シートである。この接着シート10Cでは、標示化合物層4cの文字、図形、色等の標示要素が現れるまで電離放射線を照射し、その後、被着体に貼り付ける側の面1の剥離フィルム1’を剥がし、露出した接着層2を被着体に貼り付け、その後に反対側の面S2に設けられた剥離フィルム1を剥がして施工することができる。
図2(A)(B)(C)に示す接着シート10A,10B,10Cでは、露出した接着層2に、保護部材、カバー部材、他の補修・補強部材等の他の部材を貼り付けることができる。また、接着シート10Cでは、被着体に貼り付ける側の面S1の反対面S2の剥離フィルム1を剥がし、露出した接着層2に前記他の部材を貼り付け、その状態で、被着体5に貼り付ける側の面S1の剥離フィルム1’を剥がし、露出した接着層2を被着体に貼り付けて施工することもできる。
図3(A)に示す接着シート10Dは、標示化合物4aが接着層2に含まれており、補修・補強部材3が接着層2の一方の面S2に貼り合わされている接着シートである。この接着シート10Dでは、標示化合物4aの色等の標示要素が現れるまで電離放射線を照射し、その後、被着体に貼り付ける側の面S1の剥離フィルム1を剥がし、露出した接着層2を被着体に貼り付けて施工することができる。この接着シート10Dには、予め補修・補強部材3が接着層2に粘着しているので、簡易に施工することができる。
図3(B)に示す接着シート10Eは、標示化合物含有シール4bが接着シート(好ましくは接着層2)に貼り合わされており、補修・補強部材3が接着層2の一方の面S2に貼り合わされている接着シートである。この接着シート10Eでは、標示化合物含有シール4bの文字、図形、色等の標示要素が現れるまで電離放射線を照射し、その後、被着体5に貼り付ける側の面S1を被着体に貼り付けて施工することができる。この接着シート10Eにも、予め補修・補強部材3が接着層2に粘着しているので、簡易に施工することができる。
図4(A)〜(C)は、接着シート10が備える剥離フィルムの態様を比較するために標示材料4を便宜的に記載していないが、標示材料4は図1〜図3に示すように、種々態様で設けることができる。
図4(A)に示す接着シート10Fは、補修・補強部材3の両側に接着層2,2’が貼り合わされた接着シートである。この接着シート10Fでは、上記した接着シート10Dと同様、被着体に貼り付けられる側の面S1に設けた剥離フィルム1を剥がし、露出した接着層2を被着体に貼り付けて施工することができる。この接着シート10Fは、その後に必要に応じて剥離フィルム1’を剥がし、露出した接着層2’に機能性のシート又は層を設けることができる。一方、図3(B)(C)に示す接着シート10G,10Hも補修・補強部材3の両側に接着層2,2’が貼り合わされた接着シートである。この接着シート10G,10Hでは、上記した接着シート1Eと同様、被着体に貼り付けられる側の面S1を被着体に貼り付けて施工することができる。また、図3(A)に示す接着シート10Fと同様、接着層2’が設けられているので、その接着層2’に機能性のフィルム又は層を設けることができる。
こうして接着シート10A〜10Hを用いて補修・補強部材3を被着体に粘接着させる。その際、ローラー等で接着層2を被着体に圧着させることが好ましい。接着層2に予め電離放射線を照射した場合には、接着層2の硬化が既に始まっているので、硬化手段をさらに積極的に施す必要はないが、補助的に、圧着時のローラーを加熱して圧着と加熱硬化を同時に行ってもよいし、ローラー圧着した後に温風を吹き付ける等して硬化をさらに促進してもよい。
図2に示す補修・補強部材3は、電離放射線を照射しても直ぐには硬化しない遅延硬化型の接着剤が塗布されてその接着剤中に含浸可能な補修・補強部材である。また、図3及び図4示す補修・補強部材3のように、接着層2に貼り合わせてもよい。補修・補強部材3としては、例えば、補強用途では、アラミド繊維、炭素繊維、ビニロン繊維、PET繊維等を挙げることができる。また、機能を付与できる補修用途では、広告用看板、塗装フィルム、防水シート、吸水シート、耐紫外線シート、保水シート、着色シート等を挙げることができる。なお、補強には、ヒビを隠したり、凹凸を消したりする補修を含み、さらに強度向上、保水、表面保護、加飾等の機能を付与するものも含む。
なお、接着シート10を被着体5に貼り合わせる前に、対象構造物にプライマーを塗布してもよい。このとき塗布するプライマーは被着体5上に接着層2を密着性よく接着させるために働く。プライマーとしては、日米レジン株式会社製のアルプロン301や、水谷ペイント株式会社製の強化コンクリート用プライマーII等を挙げることができ、そのプライマーを塗布して、約1μm以上、1mm以下の範囲内の厚さにすることができる。
以上説明したように、電離放射線で硬化する接着層2と電離放射線の照射量に応じて文字、図形又は色を標示する標示材料(indicator)4とを備えた接着シート10を使用することにより、被着体5への接着シートの接着作業を大幅に省略化でき、且つ接着シート10の接着を接着強度のバラツキを低減して短時間で行うことができる。その結果、例えば、社会インフラの整備に関する問題のうち、トンネルや建造物等のような補修・補強を必要とする多くの社会インフラの補修又は補強作業を大幅に省略化でき、且つ短時間で行うことができる。
また、電離放射線を照射しても直ぐには硬化しない遅延硬化型の接着層2を有する接着シート10を用いることにより、電離放射線の照射を、接着シート10のうち被着体5と貼り合せる側の接着層2に対して行うことができる。その結果、例えば光透過性のない補修・補強部材3を含む場合であっても、簡単に貼り付けることができる。また、紫外線等の電離放射線を、ロールツウロールで接着シート10に当てることができるため、従来のように、高い場所や狭い場所で電離放射線の照射作業を行わずにすむという利点がある。
[接着シート]
上記の方法で用いる接着シート10について説明する。この接着シート10は、被着体5に貼り合わせてその被着体5に接着するシートである。そして、その特徴は、電離放射線で硬化する接着層2と、電離放射線の照射量に応じて文字、図形又は色を標示する標示材料4とを有することにある。なお、接着シート10は、必要に応じて、図2〜図4に示すように、補修又は補強部材3を有していてもよく、接着層2の片面又は両面に剥離フィルム1,1’を有していてもよい。以下、各構成要素を説明する。
(接着層)
接着層2は、電離放射線硬化性の樹脂材料と、電離放射線硬化性樹脂用の硬化剤とを含む樹脂組成物で形成される。樹脂組成物は、電離放射線を照射して硬化するものであれば、特に限定されず、各種のものを適用できる。電離放射線を照射して直ぐに硬化するものであってもよいし、電離放射線を照射してゆっくり硬化するものであってもよい。
電離放射線硬化性の樹脂材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができる。また、硬化剤としては、光ラジカル発生剤、光酸発生剤、光塩基発生剤等を挙げることができる。
以下では、遅延硬化する接着層2を形成するについて主に説明する。
電離放射線を照射しても直ぐには硬化せずに遅延硬化する接着層2は、電離放射線硬化性の液状エポキシ樹脂及び固形エポキシ樹脂の一方又は両方と、電離放射線硬化性樹脂用の硬化剤とを含む樹脂組成物で形成することが好ましい。樹脂成分を含む樹脂組成物で形成した接着層2は、電離放射線を照射しても遅延硬化する接着層であるので、電離放射線を照射する前の粘着力で被着体5に貼り合わせることができる。その結果、電離放射線を照射した後に、その接着層2を介して接着シート10を被着体5に貼り合わせることができる。また、接着層2は遅延硬化によりまだ十分に硬化していないので、接着シート10を被着体5に貼り合わせた後に、その接着シート10を剥がして再び貼り合わせることも可能である。電離放射線を照射する前の接着層2は粘着性能を有し、また、電離放射線を照射した後の接着層2は接着性能を有するので、被着体5面が垂直面であったり天井面であったりしても、電離放射線を照射する前と後とのいずれの場合においても、接着層2を介して接着シート10を被着体5に貼り合わせることができる。
電離放射線を照射する前の接着層2は、一方の面が被着体5に粘着するように貼り付けられる。なお、他方の面には、他の部材(保護部材、カバー部材、他の補修・補強部材等)が貼り付けられる。本願において「粘着」とは、粘着性能を有することを意味し、一時的な接着現象を意味するものとして用いられるのに対し、「接着」とは、接着性能を有することを意味し、永久的な接着現象を意味するものとして用いられる点で区別されることがある(岩波書店 理化学辞典第5版)。
接着層2は、接着層形成用組成物を層状又はシート状にしたものであり、通常、後述する接着シート10のように剥離フィルム1上に設けられている。なお、接着層形成用組成物とは、接着層2を塗布等によって形成するための樹脂組成物のことである。この接着層組成物は、各種の樹脂を配合できるが、接着層形成用の成分で構成することができる。構成成分としては、例えば、電離放射線硬化性のアクリル樹脂、液状エポキシ樹脂、固形エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂等と、電離放射線硬化性樹脂用の硬化剤等を挙げることができる。
この接着層2には、遅延硬化を可能にする化学種が遅延硬化手段として含まれている。遅延硬化手段としては、種々の手段が考えられるが、本願では、電離放射線を受けて重合開始物質を放出する化学種で行う遅延硬化手段を挙げることができる。
遅延硬化手段のうち、電離放射線を受けて重合開始物質を放出する化学種としては、光塩基発生剤のように電離放射線によって硬化促進物質(例えば塩基)が徐々に発生する化学種を挙げることができる。
上記の光塩基発生剤は、電離放射線によって硬化促進物質である塩基が徐々に発生する化学種である。例えば、下記化学式で表わされ、且つ紫外線や電子線等の電離放射線の照射により塩基を発生するものであることが好ましい。
光塩基発生剤は、下記化学式中、R1及びR2は、それぞれ、独立に水素又は1価の有機基であり、同一であっても異なっていてもよい。R1及びR2は、それらが結合して環状構造を形成していてもよい。ただし、R1及びR2のうち、少なくとも一つは1価の有機基である。R3、R4、R5及びR6は、それぞれ、水素、ハロゲン又は1価の有機基であり、同一であっても異なっていてもよい。R3、R4、R5及びR6は、それらの二つ以上が結合して環状構造を形成していてもよい。
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光塩基発生剤は、紫外線や電子線等の電離放射線が照射されて塩基を発生し、塩基の発生が促進される。そのため、電離放射線の照射により、効率的に塩基を発生することができる。なお、光塩基発生剤とは、常温常圧の通常の条件下では活性を示さないが、外部刺激として電離放射線が加えられると、塩基を発生する剤をいう。光塩基発生剤は、上記特定構造を有するため、電離放射線が照射されることにより、化学式中の(−CH=CHC(=O)−)部分がシス体へと異性化し、環化し、塩基であるアミン、NHR1R2を生成する。
電離放射線を照射して接着層2を硬化させる硬化剤が、電離放射線の照射によりカチオン重合を開始させる硬化剤である場合の含有量は、例えばエポキシ樹脂に対しては、1質量%以上、10質量%以下の範囲内であることが好ましい。また、フェノール系硬化剤や酸無水物系硬化剤等のエポキシ樹脂と当量反応系の硬化剤を用いた場合の含有量は、例えばエポキシ樹脂のエポキシ当量に対しては、0.8当量以上、1.2当量以下の範囲内であることが好ましい。また、光塩基発生剤のエポキシ樹脂の当量反応系での硬化触媒を併用した場合の含有量は、例えばエポキシ樹脂に対しては、0.5質量%以上、10質量%以下の範囲内であることが好ましい。
接着層2は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、例えば、被着体5と接着層2との密着性を向上させるためのカップリング剤や、接着層形成用組成物の塗膜性を向上させるためのレベリング剤等の各種添加剤等を含んでいてもよい。また、粘着力を高めるために粘着付与剤を含んでいてもよく、せん断強度を向上させるためにフィラー等を含んでいてもよい。
接着層2の厚さは、150μm以上、500μm以下の範囲内が好ましく、150μm以上、300μm以下の範囲内がより好ましい。
接着層2は、易剥離処理された剥離フィルム1上に設けられる。剥離フィルム1については、後述の接着シートの形態の欄で詳しく説明する。
接着層形成用組成物は、上記した各原料を配合して撹拌し、溶解させて調製される。撹拌に用いる撹拌機は特に限定されず、通常の混練分散機、例えば、二本ロールミル、三本ロールミル、ペブルミル、トロンミル、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、デスパーザー、ホモジナイザー、及び超音波分散機等を適用できる。
接着層形成用組成物の塗布方法も特に限定されない、印刷による形成方法としては、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法等を挙げることができる。コーティングによる方法としては、例えば、ロールコート、リバースコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコート、グラビアコート等を挙げることができる。
塗布された後の接着層形成用組成物の乾燥は、接着層形成用組成物中に含まれている溶剤を十分揮発させることができるとともに、電離放射線硬化性樹脂の硬化が過度に促進されて粘着性能が低下しない程度の条件で行うことが好ましい。乾燥条件としては、通常、50℃以上、100℃以下の範囲内の温度で、2分以上、20分以下の間保持することにより行う。
(接着シートの形態)
接着シート10(10A,10B,10C,10D)は、例えば図2(A)〜(C)及び図3(A)に示すように、上記した接着層2と、その接着層2の片面(S1又はS2)に設けられた剥離フィルム1とを有する。この接着シート10は、剥離フィルム1が片面(S2又はS1)のみに設けられている接着シート10A,10B,10Dであってもよいし、剥離フィルム1,1’が両面S1,S2に設けられている接着シート10Cであってもよい。このうち、図2(A)〜(C)に示す接着シート10A,Bは、接着層2の中に補修・補強部材3が含まれており、標示材料4は既述した態様で含まれている。
また、接着シート10(10D,10E)は、例えば図3(A)(B)に示すように、上記した接着層2と、その接着層2の片面S2に設けられた補修・補強部材3とを有する。この接着シート10は、接着層2の片面S2に補修・補強部材3が設けられ、他の面S1に剥離フィルム1が設けられている接着シート10Dであってもよいし、接着層2の片面S2に補修・補強部材3が設けられ、他の面S1には何も設けられていない接着シート10Eであってもよい。なお、標示材料4は既述した態様で含まれている。
また、接着シート10(10F,10G,10H)は、例えば図4(A)(B)(C)に示すように、図3(A)(B)の接着シート10D,10Eを構成する補修・補強部材3の上にさらに接着層2’が設けられた態様である。すなわち、図4に示す接着シート10は、上記した接着層2と、その接着層2の片面S2に設けられた補修・補強部材3と、その補修・補強部材3上に設けられた接着層2’とを有する。接着層2’上には、図4(A)(C)に示すように剥離フィルム1’が設けられていてもよいし、図4(B)に示すように剥離フィルムが設けられていなくてもよい。「補修・補強部材3の上」とは、補修・補強部材3の接着層2が設けられた側の反対面上のことである。図4中、符号S2’は、接着層2’の補修・補強部材側の面であり、符号S1’は、接着層2’の補修・補強部材側とは反対側の面である。なお、標示材料4は既述した態様で含まれている。
接着層2’は、上記した接着層2と同じ成分で構成されてもよいし、異なる成分で構成されてもよいが、同じ成分であることが製造コストの観点からは望ましい。
(補修・補強部材)
補修・補強部材3は、図2に示すように、遅延硬化型の接着剤が塗布されてその接着剤中に含浸されたものであってもよいし、図3及び図4に示すように、接着層2に貼り合わされたものであってもよい。
補修・補強部材3としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、カーボン繊維、ガラス繊維及びポリオレフィン繊維等から選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。これらの中でも、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、及びポリオレフィン繊維は、軽くて強度に優れることから好ましく用いられる。これらの繊維は、混紡されていてもよいし、縦糸や横糸に使い分けられていてもよいし、多層に積層されていてもよい。なお、補強には、ヒビを隠したり、凹凸を消したりする補修を含み、さらに強度向上、保水、表面保護、加飾等の機能を付与するものも含む。
また、防水シート、吸水シート、耐紫外線シート、保水シート、着色シート等のシート状部材を補修・補強部材3として用いてもよいし、シート状の補修・補強部材と繊維状の補修・補強部材とを複合したものであってもよい。
補修・補強部材3は、被着体5の一部が剥離等した場合や剥離等するおそれのある場合に、剥離した被着体片又は剥離するおそれのある被着体片を支えることができる強度(補強強度)を有することが好ましい。その強度としては、例えば、旧日本道路公団(東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社)の規定する押し抜き試験において、10mm以上の変位時に1500N以上になることが好ましい。
補修・補強部材の厚さは、補修用として用いるか補強用として用いるかによって異なるが、通常、0.01mm以上、1.0mm以下の範囲内である。
(標示材料)
標示材料4は、電離放射線の照射量に応じて標示するものであり、ある一定量以上の電離放射線を受けると、例えば文字、図形、色等の標示要素が現れるように機能するものである。標示材料4は、電離放射線の種類や波長に応じて任意に選定することができる。文字、図形、色等の標示要素は、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。具体的には、図1〜図3に示すように、接着層2に含まれる標示化合物4aであってもよいし、接着シート10に貼り付けられた標示化合物含有シール4bであってもよいし、接着シート10に設けられた標示化合物層4cであってもよい。
標示化合物4aは、電離放射線(例えば紫外線)を受けて発色する化合物であり、例えば、UVインジケータ顔料、フォトクロミック材料等を挙げることができる。こうした標示化合物4aは、図1(A)に示すように、接着層2を構成する樹脂組成物中に混ぜ込み、接着層2を構成することができる。その含有量は特に限定されないが、接着層2の総質量に対して、0.1質量%以上、99質量%以下の範囲内にすることができる。標示化合物4aが接着層2に含まれているので、その色等の標示要素を確認することにより、電離放射線を全範囲にわたって適正な照射量で照射することができる。
標示化合物含有シール4bは、図1(B)および図2(B)に示すように、上記した標示化合物4aをシール基材の片面に設けるとともに、他方の面には粘着層を設けたシールを挙げることができる。また、上記した標示化合物4aを粘着剤に混ぜ込んてシール基材の片面上に設けたシールを挙げることができる。標示化合物としては、上記した標示化合物4aを適用できる。標示化合物を粘着層に含有させる場合の含有量も上記同様、粘着層の総質量に対して、0.1質量%以上、99質量%以下の範囲内にすることができる。この標示化合物含有シール4bは、下記の標示化合物層4cとは異なり、所定の大きさで部分的に貼られていればよい。標示化合物含有シール4bの数は、1つでもよいし、複数設けてもよい。標示化合物含有シール4bが1又は2以上設けられているので、そのシールの標示要素を確認することにより、電離放射線を適正な照射量で照射することができる。
標示化合物層4cは、図1(C)および図2(C)に示すように、上記した標示化合物を層状に設けたものである。標示化合物としては、上記した標示化合物4aを適用できる。標示化合物はそのまま層状に設けてもよいし、標示化合物を粘着層に含有させて設けてもよい。標示化合物を粘着層に含有させる場合の含有量も上記同様、粘着層の総質量に対して、0.1質量%以上、99質量%以下の範囲内にすることができる。標示化合物層4cが設けられているので、その層の標示要素を確認することにより、電離放射線を全範囲にわたって適正な照射量で照射することができる。
(剥離フィルム)
剥離フィルム1は、図2及び図3に示すように、接着層2の片面(S1又はS2)又は両面(S1及びS2)に設けられている。この剥離フィルム1は、接着層2の片面(S1又はS2)又は両面(S1及びS2)を覆って、使用時まで接着層2を保護するように作用する。剥離フィルム1は、図2(A)(B)に示すように、接着層2の面S1S2のうち、被着体に貼り付けられる側の面S1の反対面S2に設けられていてもよいし、図2(C)に示すように、その面S2と被着体に貼り付けられる側の面1との両方に設けられていてもよい。
また、図3(A)及び図4(A)に示すように、接着層2の面S1,S2のうち、被着体に貼り付けられる側の面S1に剥離フィルム1が設けられていてもよい。また、図4(A)(C)に示すように、補修・補強部材3上に接着層2’が設けられた場合は、その接着層2’上に剥離フィルム1’が設けられていてもよい。
剥離フィルム1の接着層側の表面は、易剥離処理が施されていることが好ましい。易剥離処理をした剥離フィルム1は、例えば接着シート10が備える接着層2を被着体5に貼り付けた後に、接着層2から容易に剥がすことができる。
剥離フィルム1は、接着層2の表面に剥離可能に設けられて、接着層2を保護することができる程度の強度や柔軟性を有するものであれば特に限定されず、各種のフィルムを用いることができる。
(その他)
接着シート10(10F,10G,10H)のように、補修・補強部材3の両側に接着層(2,2’)を設けることができるので、両面テープのように機能させることができる。この接着シート10の接着層2の面S1は、被着体5を貼り付けることができ、接着層2’の面S1’には、後述する機能性のシート又は層を貼り付けることができる。なお、接着シート10F,10Hは、剥離フィルム1’に代えて機能性のシート又は層が設けられたものであってもよい。
機能性のシート又は層としては、例えば、耐光性、耐水性、防汚性、耐候性、耐衝撃性、耐傷付性、耐酸性、耐アルカリ性及び意匠性等のいずれか1又は2以上の機能を有するシート又は層を挙げることができる。
以上説明したように、本発明に係る接着シート10は、被着体5に貼り合わせてその被着体5に接着するシートであって、電離放射線で硬化する接着層2と、電離放射線の照射量に応じて文字、図形又は色を標示する標示材料4とを有するので、被着体5への接着シート10の接着作業を大幅に省略化でき、且つ接着シート10の接着を接着強度のバラツキを低減して短時間で行うことができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
トンネル内のコンクリート壁を被着体5とし、その被着体5に下記の接着シート10を予め準備した。準備した接着シート10の接着層2は、電離放射線を受けなければ硬化が始まらないので、遮光性の袋に入れて保管した。
なお、硬化が始まる前の接着層2の粘着力は、アルミニウム坂を貼り合わせ対象とした場合、約17N/インチであった。粘着力の測定は、先ず、準備した接着シート10を縦25mm、横150mmに裁断し、接着シート10の剥離フィルムを剥がし、露出した接着層2をアルミニウム合金(A6061、試料:25mm×150mm)に貼り付け、その後、手で接着シート10を20mm程剥離し、引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ社製、型番:RTF−1150H)を用いて、JIS Z0237に準拠した条件(引張速度:300mm/分、剥離距離:150mm、剥離角:180°)で、アルミニウム板面に対する粘着力(N/25mm)を測定した。
作業としては、先ず、トンネル内の光の入らない作業場近くの平らな地面に接着シート10を置き、携帯型の紫外線照射装置を手で持ってその接着シート10に向けて紫外線を照射した。照射時間は気にせず、接着層2に含まれる標示化合物4aにより接着層2の色が所定の色(実施例1ではブルー)になるまで紫外線を照射し、全面が変化した後に照射を止めた。紫外線としては、波長300nm〜370nmの領域の紫外線を利用した。標示化合物4aは、概ね50mJ/cm2〜3000mJ/cm2で変化するものである。この照射直後の粘着力を上記と同様に測定したところ、照射前の粘着力と同じであった。
次に、巻き取った照射済みロールから、幅1mで長さ1mの接着シート10を切断した。施工するトンネル内のコンクリート壁近くまで運び、接着シート10の一方の面に設けられた剥離フィルム1を剥がし、露出した接着層の側を、地面付近から天井方向に向かってハンドロールで押圧しながら貼り付けた。貼り付け直後の粘着力を上記と同様に測定したところ、照射前の粘着力と同じであり、電離放射線の照射を行って24時間が経過した場合であっても、粘着力は約10N/インチを保持していることがわかった。
貼り合わせ作業を行った後は、特段の硬化処理は行わず、意図的な硬化作業を行わなかった。そして、その施工場所の通常の温度である18℃〜25℃で7日間そのままで放置した。放置した後、浮きがない等をみて、施工性を判断した。きれいに接着し、浮きがなかった場合を「○」とし、接着性が弱くて貼れない場合や浮きが発生した場合を「×」とする評価基準で評価したところ、良好な接着が確認できた。
なお、付着強度試験として、同じ接着シート10を、上記と同じコンクリート片に上記と同じ条件で貼り合わせた。コンクリートカッターを用いて40mm×40mmの大きさに切断し、はく落防止性能照査試験(JHS 424 2004)により評価した。その結果、2N/mm2の付着強度を示し、実用上問題ないレベルであった。
また、剥落防止性としては、押抜き試験(NEXCO試験法、424−2004を準拠)で評価した。その結果、5kN以上を示し、問題ないことを確認したものを「○」で表した。
こうした作業は、貼り合わせた接着シート10をそのままにして次の作業や段取りを行っている間に、その接着シート10が硬化して被着体5に接着することができるので、被着体5への接着シート10の接着作業を段取りよく効率的に行うことができ、トータルの作業時間の短縮化を図ることができる。したがって、例えば、トンネルや建造物等に対する補修・補強作業において、狭い箇所や高い箇所のような作業困難な場所や、段取りよく短時間で補修・補強しなければならない交通規制して行う工事、夜間のトンネル工事、夜間の鉄道工事等では、特に効率的に行うことが重要であり、本発明に係る方法は、こうした要請に十分に応えることができる。
(接着シート)
用いた接着シート10は以下のとおりである。剥離フィルム1として、片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理が施されてなるポリエステルフィルム(商品名:SP−PET−3、膜厚:38μm、東セロ株式会社製)を準備し、この剥離シートの剥離処理面上に、下記の接着層形成用塗工液を用い、塗工後の厚さが100μmとなるようにアプリケーターを用いて塗工した。その後、乾燥オーブンにて80℃で2分間乾燥させ、接着層2を形成した。この接着層2を2枚用意した。次いで、得られた2枚の接着層2の面のうち一方の面に、芯材である炭素繊維(東邦テナックス株式会社製、商品名:W−3101)を、常温にて2kgのローラーを用いて貼付し、もう一方の面をアラミド繊維と接触するように約60℃のホットプレート上にて2kgのローラーを用いて貼り付けた。こうして実施例1の接着シート10を得た。
(接着層形成用組成物)
・液状エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:190g/eq.、分子量:380、三菱化学株式会社製、商品名:jER828)100質量部
・メルカプト基を有する硬化剤としてPEMP(ペンタエリスリトールテトラキス−3メルカプトプロピオネート、粘度:400〜550mPa・s/25℃、メルカプタン当量:125〜137g/eq.、三菱化学株式会社製、商品名:QX40)70質量部
・アクリル系樹脂(極性基が導入された変性メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレートトリブロック共重合体、Tg:−42℃、アルケマ株式会社製、商品名:M22N)50質量部
・光塩基発生剤A(下記の合成方法を参照)5質量部
・希釈溶剤(酢酸エチル、DICグラフィックス株式会社製)100質量部
・UVインジケータ顔料(商品名:サニカラーダイスタッフブルー、株式会社記録素材総合研究所製)10質量部
用いた光塩基発生剤Aは以下のようにして合成した。先ず、100mLフラスコにメタノール15mLを入れ、そこに炭酸カリウム2.00gを加えた。次いで、50mLフラスコにメタノール10mLを入れ、そこにエトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド(東京化成工業株式会社製)2.67g(6.2mmol)及び2ヒドロキシ−4−(5−エチルヘキシルオキシ)−5−エチルベンズアルデヒド1.7g(6.2mmol)を添加し、溶解させた後、よく撹拌した上記炭酸カリウムのメタノール溶液をゆっくりと滴下した。そして、3時間撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認した。次いで、ろ過により炭酸カリウムを除き、減圧濃縮した。濃縮した後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を50mL加えて1時間撹拌した。反応終了後、ろ過によりトリフェニルホスフィンオキシドを除き、濃塩酸を滴下して反応液を酸性にした。沈殿物をろ過により集め、少量のクロロホルムで洗浄することにより2−ヒドロキシ−4−(5−エチルヘキシルオキシ)−5−エチルケイ皮酸を1.7g得た。続いて、窒素雰囲気下、10mL三口フラスコ中で、2−ヒドロキシ−4−(5−エチルヘキシルオキシ)−5−エチルケイ皮酸1.0g(3.19mmol)を脱水テトラヒドロフラン10mLに溶解し、氷浴下で1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(東京化成工業株式会社製)0.73g(3.83mmol,1.2eq.)を加えた。30分後に、アミンとしてピペリジン(東京化成株式会社製)129mg(1.52mmol、0.95eq.)を加えた後、終夜で撹拌した。反応終了後、反応溶液を濃縮し、水に溶解した。クロロホルムで抽出した後、炭酸水素水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮することにより、下記式(I)に示す光塩基発生剤Aを1.0g得た。
Figure 0006686299
[実施例2]
実施例1において、上記した接着層形成用組成物からUVインジケータ顔料を除いた組成物で接着層2を形成した接着シート10を用いた。標示化合物含有シール4bとして、シール式のUVインジケータ(UVラベル−M、縦18mm・幅18mm・厚さ0.1mm、日油技研工業株式会社製)を30cm間隔で貼り合わせた。この場合においても、作業場近くの平らな地面に接着シート10を置き、携帯型の紫外線照射装置を手で持ってその接着シートに向けて紫外線を照射した。照射時間は気にせず、ラベル状のUVインジケータが赤褐色になるまで紫外線を照射し、全てのUVインジケータが変化した後に照射を止めた。紫外線としては、波長300nm〜370nmの領域の紫外線を利用した。UVインジケータの色は、概ね250mJ/cm2〜3000mJ/cm2で変化するものである。この照射直後の粘着力を上記と同様に測定したところ、照射前の粘着力と同じであった。それ以外は、実施例1と同じ作業条件と作業手順で行った。また、各種の試験も実施例1と同様に行い評価した。
[実施例3]
実施例1において、上記した接着層形成用組成物からUVインジケータ顔料を除いた組成物で接着層2を形成した接着シート10を用いた。標示化合物層4cとして、実施例1と同じUVインジケータ顔料を接着剤(実施例1で混合したもの)に混ぜて前記接着層2上に厚さ50μmで形成した。この場合においても、作業場近くの平らな地面に接着シート10を置き、携帯型の紫外線照射装置を手で持ってその接着シート10に向けて紫外線を照射した。照射時間は気にせず、UVインジケータ顔料を含む接着層2がブルーになるまで紫外線を照射し、全面が変化した後に照射を止めた。紫外線としては、波長00nm〜370nmの領域の紫外線を利用した。UVインジケータ顔料を含む接着層2の色は、概ね50mJ/cm2〜3000mJ/cm2で変化するものである。それ以外は、実施例1と同じ作業条件と作業手順で行った。また、各種の試験も実施例1と同様に行い評価した。
[比較例1]
実施例1において、上記した接着層形成用組成物からUVインジケータ顔料を除いた組成物で接着層2を形成した接着シート10を用いた。UVインジケータがないので、照射時間がおよそ15秒になるように縦1m、横1mの全面に照射した。それ以外は、実施例1と同様にして、比較例1の接着シート10を得た。また、各種の試験も実施例1と同様に行い評価した。
[結果]
結果を表1に示した。表1の結果より、実施例1の作業は、施工性、剥落防止性のいずれにも優れており、初期粘着力も高く、付着強度も高く、そのバラツキもなかった。
Figure 0006686299
1、1’ 剥離フィルム
2、2’ 接着層
3 補修又は補強部材
4 標示材料
4a 標示化合物
4b 標示化合物含有シート
4c 標示化合物層
5 被着体
10、10A〜10H 接着シート
S1、S2、S1’、S2’ 接着層の表面

Claims (8)

  1. 被着体、および前記被着体に接着された接着シートを有する積層体を製造する積層体の製造方法であって、
    電離放射線で硬化する接着層と、前記電離放射線の照射量に応じて文字、図形又は色を標示する標示材料とを備えた前記接着シートを準備する工程と、
    前記接着シートに前記電離放射線を照射する工程と、
    前記電離放射線の照射によって前記標示材料が文字、図形又は色を標示した後に前記電離放射線の照射を停止する工程と、
    前記被着体の表面に、前記接着シートを貼り合わせる工程と、を有し
    前記標示材料が、前記接着層とは別体に形成された標示化合物含有シール、もしくは標示化合物層であることを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 前記電離放射線を照射する工程は、前記接着シートに前記電離放射線を照射して前記接着層の硬化を開始させる工程であり、
    前記接着シートを貼り合わせる工程は、前記電離放射線を照射する工程で硬化を開始させた後、前記接着層を前記被着体に貼り合わせる工程であり、
    前記被着体に貼り合わせた後の前記接着シートの硬化が、前記被着体の環境温度で進行する、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記接着シートが、補修又は補強部材を備える、請求項1または請求項2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記補修又は補強部材が、前記接着層の内部に含まれている、又は前記接着層の一方の面に設けられている、請求項3に記載の積層体の製造方法。
  5. 被着体に貼り合わせて積層体を形成する接着シートであって、電離放射線で硬化する接着層と、前記電離放射線の照射量に応じて文字、図形又は色を標示する標示材料とを有し、
    前記標示材料が、前記接着層とは別体に形成された標示化合物含有シール、もしくは標示化合物層であり、
    前記接着層が、前記電離放射線で硬化する前よりも硬化した後の方が、前記被着体と前記接着層とをより強固に接着させることが可能な層であることを特徴とする接着シート。
  6. 前記接着層が、前記電離放射線を受けて重合開始物質を放出する化合物を含有し、前記化合物は、前記電離放射線を受けた後の前記重合開始物質放出が前記被着体の通常環境温度で進行する、請求項5に記載の接着シート。
  7. 前記接着シートが、補修又は補強部材を備える、請求項5または請求項6に記載の接着シート。
  8. 前記補修又は補強部材が、前記接着層の内部に含まれている、又は前記接着層の一方の面に設けられている、請求項7に記載の接着シート。
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