JP2018177960A - 接着剤セット - Google Patents

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Abstract

【課題】2液分別塗布型接着剤は取り扱い等の面から物品の製造が煩雑化するので、より簡便で、接着強度も強く、耐熱性・耐候に優れた、接着材の提供。
【解決手段】第1接着剤22、第2接着剤24とシート状の第3接着剤26とより構成され、第1接着剤22と第3接着剤26と、及び第2接着剤24と第3接着剤26とが互いに接触すると硬化する接着剤セット50。好ましくは、第3接着材が、被接着部材を含む、接着剤セット50。好ましくは、第1接着剤22及び第2接着剤24が両方共シート状又は一方がシート状で、他方が液状である、接着剤セット50。
【選択図】図1

Description

本開示は、接着剤セットに関する。
物品の製造工程においては、上記物品を構成する各部材を接着するために、液状接着剤を用いた塗布接着法が用いられている。液状接着剤としては、例えば、空気中の酸素や湿気により反応が開始する1液型接着剤(特許文献1)や、主剤と硬化剤とに分別された2液型接着剤がある。2液型接着剤としては、例えば、主剤と硬化剤とを混合することで反応が開始する2液混合型接着剤、主剤を含む液状材料と硬化剤を含む液状材料とをそれぞれ分別塗布し、接触させることで反応が開始する2液分別塗布型接着剤(特許文献2〜5)等がある。2液分別塗布型接着剤は、一般にハネムーン型接着剤、非混合タイプの2液硬化型接着剤等とも呼ばれる。
また、部材の接着には、液状接着剤に代えて両面粘着テープも用いられている(特許文献6)。両面粘着テープには、通常、粘着材料が用いられており硬化が不要であるため、部材の種類や物品の製造環境等によらず、部材を接着することが可能である。
特許第5021471号公報 特開2008−7777号公報 特開2006−282952号公報 特許第5365003号公報 特開2004−292608号公報 特開2001−72949号公報 特開昭58−118876号公報 特開2010−37389号公報 特開2006−312743号公報 特開平9−291260号公報 特開2010−7023号公報 特開2014−43099号公報 特開2008−288601号公報
しかし、液状接着剤を用いて部材を接着する場合、部材の配置場所や位置によっては塗工が困難であり、また、塗布ムラや塗布漏れ、被着面からの接着剤のはみ出しや液垂れが生じてしまう。また、2液混合型接着剤の場合は、2液の計量や混合の手間がかかるため工程に手間や時間を要し、2液混合後は途中で塗布作業を留めることが困難である。また、1液型接着剤の場合は、周囲の環境や被着体の状態等により硬化性が変化するため、安定した接着性を保持することができない。このように、液状接着剤は、取り扱い等の面から物品の製造を煩雑化させるという問題がある。
一方、両面粘着テープを用いて部材を接着する場合、上述した液状接着剤に特有の不具合は生じにくい。また、粘着材料は硬化養生が不要なため、貼合工程を簡便化することが可能である。しかし、粘着材料は接着剤よりも接着力が劣ることから、部材を長期間強固に接着することができず、また、耐熱性や耐候性も劣るため、周囲環境によって両面粘着テープの粘着力が短期間で低下して、部材が容易に剥がれてしまうという問題がある。さらに、両面粘着テープと部材との接着面にせん断応力が掛ると、位置ずれが生じやすく、中でも、上記接着面が鉛直面や法線面である場合、鉛直方向や法線方向のせん断応力が掛ることで、上記の不具合が生じやすい傾向にある。このため、両面粘着テープのみでは部材を十分に接着できず、アンカー固定等の、別の固定方法と併用する必要がある。
ところで、接着剤には、液状接着剤の他にシート状の接着剤があり、シート状の接着剤は、例えば両面粘着テープのように芯材を有することが可能である。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、第1接着剤と第2接着剤と第3接着剤とが一組になっており、第3接着剤がシート状であり、第1接着剤および第3接着剤が互いに接触することにより硬化して接着することが可能なように構成され、第2接着剤および第3接着剤が互いに接触することにより硬化して接着することが可能なように構成されている接着剤セットを提供することを主目的とする。
本開示は、第1接着剤と、第2接着剤と、第3接着剤とを有する接着剤セットであって、上記第3接着剤はシート状であり、上記第1接着剤および上記第3接着剤は、上記第1接着剤および上記第3接着剤が互いに接触することにより硬化して接着するように構成され、上記第2接着剤および上記第3接着剤は、上記第2接着剤および上記第3接着剤が互いに接触することにより硬化して接着するように構成されている、接着剤セットを提供する。
本開示は、第1接着剤と第2接着剤と第3接着剤とが一組になっており、第3接着剤がシート状であり、第1接着剤および第3接着剤が互いに接触することにより硬化して接着することが可能なように構成され、第2接着剤および第3接着剤が互いに接触することにより硬化して接着することが可能なように構成されている接着剤セットを提供することができるという効果を奏する。
本開示の接着剤セットの一例を示す模式図である。 本開示の接着剤セットを用いた物品の製造方法の第1実施形態の一例を示す工程図である。 本開示の接着剤セットを用いた物品の製造方法の第3実施形態の一例を示す工程図である。 本開示の接着剤セットを用いた物品の製造方法により得られる物品の一例を示す模式図である。 本開示の接着剤セットにおける第3接着剤の一例を示す概略断面図および平面図である。 本開示の接着剤セットにおける第3接着剤の他の例を示す概略平面図および断面図である。 本開示の接着剤セットにおける第3接着剤の他の例を示す概略平面図および断面図である。 本開示の接着剤セットにおけるシート状の第2接着剤の一例を示す概略平面図および断面図である。 本開示の接着剤セットを用いた物品の製造方法における第2接着シート付部材の一例を示す模式図である。 本開示の接着剤セットにおけるシート状の第2接着剤の他の例を示す概略平面図および断面図である。 本開示の接着剤セットを用いた物品の製造方法における第2接着シート付部材の他の例を示す模式図である。 本開示の接着剤セットを用いた物品の製造方法の第2実施形態の一例を示す工程図である。 本開示の接着剤セットを用いた物品の製造方法の第4実施形態の一例を示す工程図である。 本開示の接着剤セットを用いた物品の製造方法の第5実施形態の一例を示す工程図である。
本発明者は、物品の製造において、部材の接着に際して接着剤および両面粘着テープのそれぞれが有する上述した課題を解決すべく、鋭意検討を行った。その結果、本発明者は、2液分別塗布型接着剤の2種類の液状材料をそれぞれシート化した接着シートを用いることで、上述した接着剤および両面粘着テープの欠点を補いつつ、双方が持つ利点を活かした部材の接着が可能であることを知得した。
2液分別塗布型接着剤を用いた物品の製造方法では、例えば特許文献2および3で開示されるように、通常、2種類の液状材料を各部材の被着面に分別塗布した後、各部材の液状材料塗布面同士を接触させて常温硬化させることで、部材同士を貼り合せて行う。しかし、塗布接着法による物品の製造方法は、上述した問題を有する。
これに対し、本発明者等は、2液分別塗布型接着剤を用い、2種類の液状材料の一方から形成されたシート状接着剤と、他方から形成されたシート状接着剤とが対となった接着剤セットを開発した。そして、各シート状接着剤を別々の部材にそれぞれ貼り、各部材の接着剤同士を接触させたところ、塗布接着法と同様に常温硬化が進み、部材を強固に接着することが可能となることを見出した。また、2液分別塗布型接着剤を用い、一方の液状材料から形成されたシート状接着剤と、他方の液状材料である液状接着剤とが一対になった接着剤セットも開発した。そして、一方の部材にはシート状接着剤を貼り、他方の部材には液状接着剤を塗布し、一方の部材のシート状接着剤の面と他方の部材の液状接着剤の塗布面とを接触させたところ、塗布接着法と同様に常温硬化が進み、部材を強固に接着することが可能となることを見出した。また、これらの接着剤セットを用いることで、塗布接着法よりも物品の製造が簡便となることを見出した。なお、特許文献2〜5には、2液分別塗布型接着剤のシート化については、開示も示唆もされていない。
さらに、本発明者等は、上記接着剤セットによれば、接着剤が比較的低い温で硬化させることができることから、上記部材の反りや浮きの発生を抑制することができ、材質や膨張率差に因らず、様々な部材を組合せて貼り合わせることが可能であることを見出した。例えば、熱硬化型接着剤をシート化にしたシート状接着剤は、材質や膨張率の大きく異なる部材を貼り合わせると、接着剤の加熱硬化の際に部材の反りや浮きが生じるという問題があるため、貼合する部材の組合せが材質等により制限されてしまう。特に、金属部材とプラスチック部材とを貼り合せる場合に、上記の問題が顕著化する。これに対し、2液分別塗布型接着剤から得られる接着剤セットによれば、比較的低い温度での硬化が可能であるため、上述したような不具合の発生を抑えることができる。
さらに、本発明者は、2液分別塗布型接着剤の、芯材を含むシート状接着剤への適用について検討を行った。上記接着剤セットの場合、対になるシート状接着剤が互いに接触することにより、あるいは対になるシート状接着剤および液状接着剤が互いに接触することにより、シート状接着剤や液状接着剤に含まれる成分が相互に拡散して硬化反応が生じる。そのため、芯材を含むシート状接着剤に2液分別塗布型接着剤を適用する場合、芯材を含むシート状接着剤と、そのシート状接着剤と対になるシート状接着剤または液状接着剤とを接触させることになるが、この場合、芯材によってシート状接着剤に含まれる成分の拡散が妨げられてしまう。シート状接着剤に含まれる成分が拡散しないと硬化することができず、またシート状接着剤に含まれる成分が拡散しにくくても硬化不良になる。そこで、本発明者は、さらに検討を行い、芯材を含むシート状接着剤の両面を、そのシート状接着剤と対になるシート状接着剤または液状接着剤と接触させることにより、硬化反応を十分に進行させることが可能であることを見出した。
本開示の接着剤セットは、上述したこれらの知見に基づく。以下、本開示の接着剤セットおよびそれを用いた物品の製造方法について、詳細に説明する。なお、本明細書内において、第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤のことを、単に接着剤と称する場合があり、シート状の第1接着剤、シート状の第2接着剤およびシート状の第3接着剤のことを、単にシート状の接着剤と称する場合がある。また、第1セパレータ、第2セパレータおよび第3セパレータのことを、単にセパレータと称する場合がある。また、第1部材および第2部材のことを、単に部材と称する場合がある。
I.接着剤セット
まず、本開示の接着剤セットについて説明する。
本開示の接着剤セットは、第1接着剤と、第2接着剤と、第3接着剤とを有する接着剤セットであって、上記第3接着剤はシート状であり、上記第1接着剤および上記第3接着剤は、上記第1接着剤および上記第3接着剤が互いに接触することにより硬化して接着するように構成され、上記第2接着剤および上記第3接着剤は、上記第2接着剤および上記第3接着剤が互いに接触することにより硬化して接着するように構成されている。
図1(a)、(b)は、本開示の接着剤セットの一例を示す模式図である。接着剤セット50は、一組の第1接着剤22と第2接着剤24と第3接着剤26とを有する。第3接着剤26はシート状である。この例では、第1接着剤22および第2接着剤24もシート状である。第3接着剤26は被接着部材4を含む。第3接着剤26は、図1(a)に示すように、第3接着剤26の一部に被接着部材4を含んでいてもよく、図1(b)に示すように、第3接着剤26の全部に被接着部材4を含んでいてもよい。図1(a)に示す接着剤セット50においては、第1接着剤22および第3接着剤26は、第1接着剤22および第3接着剤26の一方の主面であるの第1面26aが互いに接触することにより硬化して、強い接着力を発現し、強固に接着可能となるように構成されている。また、第2接着剤24および第3接着剤26は、第2接着剤24および第3接着剤26の他方の主面である第2面26bが互いに接触することにより硬化して、強い接着力を発現し、強固に接着可能となるように構成されている。また、図1(b)に示す接着剤セット50においては、第1接着剤22および第3接着剤26は、第1接着剤22および第3接着剤26が互いに接触することにより硬化して、強い接着力を発現し、強固に接着可能となるように構成されている。また、第2接着剤24および第3接着剤26は、第2接着剤24および第3接着剤26が互いに接触することにより硬化して、強い接着力を発現し、強固に接着可能となるように構成されている。接着剤セットにおける第1接着剤および第2接着剤は、図1(a)、(b)に示すように、シート状であってもよく、図示しないが、液状であってもよい。
第3接着剤26は、第3接着剤26の少なくとも一方の面側に第3セパレータ25が配置され、第3接着シート13を構成していてもよく、図1(a)に示すように、第3接着剤の片面側に第3セパレータが配置されていてもよく、図1(b)に示すように、第3接着剤の両面側に第3セパレータが配置されていてもよい。また、第1接着剤がシート状である場合、第1接着剤22の少なくとも一方の面側に第1セパレータ21が配置され、第1接着シート11を構成していてもよく、図1(a)に示すように、第1接着剤の片面側に第1セパレータが配置されていてもよく、図1(b)に示すように、第1接着剤の両面側に第1セパレータが配置されていてもよい。また、第2接着剤がシート状である場合、第2接着剤24の少なくとも一方の面側に第2セパレータ23が配置され、第2接着シート12を構成していてもよく、図1(a)に示すように、第2接着剤の片面側に第2セパレータが配置されていてもよく、図1(b)に示すように、第2接着剤の両面側に第2セパレータが配置されていてもよい。
図2は、本開示の接着剤セットを用いた物品の製造方法の一実施形態の一例を示す工程図であり、液状の第1接着剤と、図1(a)に示すシート状の第2接着剤と、図1(a)に示す一部に被接着部材を含む第3接着剤とを有する接着剤セットを用いる例である。まず、図2(a)に示すように、第1部材1に、液状の第1接着剤22aを塗布する。次に、図2(b)に示すように、第1部材1の液状の第1接着剤22aの塗布面と、第3接着剤26の第1面26aとを貼り合せる。続いて、図2(c)に示すように、第3接着剤26の第2面26bと、シート状の第2接着剤24の一方の面とを、第3セパレータ25を剥離して、貼り合せる。このとき、第1接着剤22aおよび第3接着剤26の第1面26aは、互いに接触することにより、第1接着剤22a中の成分と第3接着剤26の第1面26aに含まれる成分とが相互に拡散して、硬化反応が生じ、接着性が向上する。そして、硬化反応の完了により、第1接着剤22aおよび第3接着剤26の第1面26aは、図2(d)に示すように、強い接着力を発現した第1硬化接着層3aとなる。また、第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bは、互いに接触することにより、第2接着剤24中の成分と第3接着剤26の第2面26bに含まれる成分とが相互に拡散して、硬化反応が生じ、接着性が向上する。そして、硬化反応の完了により、第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bは、図2(d)に示すように、強い接着力を発現した第2硬化接着層3bとなる。これらの第1硬化接着層3aおよび第2硬化接着層3bを介して第1部材1と被接着部材4とを強固に貼り合せることができる。図2(c)に示すように、シート状の第2接着剤24の被接着部材4とは反対側の面に、第2接着シート12の第2セパレータ23が配置されている場合は、第2セパレータ23を剥離してもよい。これにより、第1部材1、第1硬化接着層3a、被接着部材4、および第2硬化接着層3bを有する物品10が得られる。なお、図2(c)中のPは、第1接着剤22および第3接着剤26の第1面26aの接触により硬化した領域(第1硬化領域)を示す。
図3は、本開示の接着剤セットを用いた物品の製造方法の他の実施形態の一例を示す工程図であり、図1(a)に示すシート状の第1接着剤と、図1(a)に示すシート状の第2接着剤と、図1(a)に示す一部に被接着部材を含む第3接着剤とを有する接着剤セットを用いる例である。まず、図3(a)に示すように、第1部材1に、シート状の第1接着剤22の一方の面が貼り合されてなる、第1接着シート付部材20を準備する。また、別途、図3(b)に示すように、第2部材2に、シート状の第2接着剤24の一方の面が貼り合されてなる、第2接着シート付部材30を準備する。次に、図3(c)に示すように、第1接着シート付部材20のシート状の第1接着剤22の他方の面と、第3接着剤26の第1面26aとを、第1セパレータ21を剥離して、貼り合せる。続いて、図3(d)に示すように、第3接着剤26の第2面26bと、第2接着シート付部材30のシート状の第2接着剤24の他方の面とを、それぞれ第2セパレータ23および第3セパレータ25を剥離して、貼り合せる。このとき、第1接着剤22および第3接着剤26の第1面26aは、互いに接触することにより、第1接着剤22中の成分と第3接着剤26の第1面26aに含まれる成分とが相互に拡散して、硬化反応が生じ、接着性が向上する。そして、硬化反応の完了により、第1接着剤22および第3接着剤26の第1面26aは、図3(e)に示すように、強い接着力を発現した第1硬化接着層3aとなる。また、第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bは、互いに接触することにより、第2接着剤24中の成分と第3接着剤26の第2面26bに含まれる成分とが相互に拡散して、硬化反応が生じ、接着性が向上する。そして、硬化反応の完了により、第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bは、図3(e)に示すように、強い接着力を発現した第2硬化接着層3bとなる。これらの第1硬化接着層3aおよび第2硬化接着層3bを介して第1部材1と被接着部材4と第2部材2とを強固に貼り合せることができる。これにより、第1部材1、第1硬化接着層3a、被接着部材4、第2硬化接着層3b、および第2部材2を有する物品10が得られる。なお、図3(d)中のPは、第1接着剤22および第3接着剤26の第1面26aの接触により硬化した領域(第1硬化領域)を示す。
また、図1(a)に示すシート状の第1接着剤と、図1(a)に示すシート状の第2接着剤と、図1(b)に示す全部に被接着部材を含む第3接着剤とを有する接着剤セットを用いる場合には、例えば図4に示すように、第1接着剤22と第3接着剤26と第2接着剤24とは、互いに接触することにより硬化して硬化接着層3となる。この場合、硬化接着層3中に被接着部材4を包含する物品10が得られる。
本開示において、第3接着剤26は、図1(a)、(b)に示すように、例えば芯材等の被接着部材4を含むことが可能である。このような第3接着剤26では、被接着部材4によって第3接着剤26に含まれる成分の拡散が妨げられる。本開示の接着剤セットによれば、第1接着剤と第2接着剤と第3接着剤とが一組になっているため、第3接着剤の一方の面と第1接着剤とを接触させ、第3接着剤の他方の面と第2接着剤とを接触させることで、硬化させることができ、硬化により発現される強い接着力をもって強固に接着することができる。
また、本開示において、第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤で構成される接着剤セットは、例えば2液分別塗布型接着剤の一方の液状材料から形成されたシート状の第3接着剤と、他方の液状材料から得られる第1接着剤および第2接着剤とが分別されている。このように2液分別塗布型接着剤の少なくとも一方の液状材料をシート化することで、以下の効果を有することができる。
2液分別塗布型接着剤の少なくとも一方の液状材料が予めシート化されていることで、使用の際に、液状材料の混合の必要が無く、貼り合せを簡便に行うことが可能である。さらに、少なくとも一方の液状材料がシート化されていることで、厚みによる管理を行うことができ、塗布時の塗布ムラや塗布忘れ、被着面からのはみ出しを防ぐことができる。また、第1接着剤および第2接着剤と、第3接着剤とは、互いに接触するまでは硬化反応が進まないため、それぞれ第1接着剤、第2接着剤、および第3接着剤単体で長期保管が可能である。特に、第3接着剤は、被接着部材を包含する第3接着剤として長期間、分別保管することができる。このため、接着剤セットは、物品の製造のタイミングに応じて使用することが可能である。加えて第3接着剤は、被着面の大きさや形状に合せたサイズ調整が可能である。
また、本開示において、第1接着剤および第2接着剤は、互いに接触することにより硬化して接着するものではないため、第1接着剤および第2接着剤の材料や形態を異ならせることが可能であり、被着体の種類や第1接着剤および第2接着剤に求められる機能に応じて、第1接着剤および第2接着剤の材料や形態を適宜選択することができる。例えば、第1接着剤および第2接着剤の材料を適宜選択することにより、特性を付与することができる。
以下、接着剤セットの各構成について説明する。
A.第3接着剤
第3接着剤は、シート状である。また、第3接着剤は、被接着部材を含むことができる。本開示の接着剤セットは、第1接着剤と第2接着剤と第3接着剤とが一組になっていることから、第3接着剤が被接着部材を含む場合に適している。以下、第3接着剤の各構成について説明する。
1.被接着部材
第3接着剤が被接着部材を含む場合、第3接着剤は、例えば図5(a)〜(e)に示すように、第3接着剤26の一部に被接着部材4を含んでいてもよく、図5(f)に示すように第3接着剤26の全部に被接着部材4を含んでいてもよい。また、第3接着剤がその一部に被接着部材を含む場合、被接着部の配置としては、第3接着剤の一方の主面である第1面が第1接着剤と接触することにより硬化して接着することが可能であり、また第3接着剤の他方の主面である第2面が第2接着剤と接触することにより硬化して接着することが可能であれば、特に限定されない。例えば図5(a)に示すように被接着部材4が第3接着剤26の厚み方向の中央部、かつ第3接着剤26の面方向における全域に配置されていてもよく、図5(b)〜(d)に示すようにパターン状の被接着部材4が配置されていてもよく、図5(e)に示すように被接着部材4が第3接着剤26の面方向における中央部に配置されていてもよい。また、パターン状の被接着部材が配置されている場合、その配置としては特に限定されるものではない。例えば、第3接着剤の厚みとパターン状の被接着部材の厚みとが異なる場合には、例えば図5(b)に示すようにパターン状の被接着部材4が第3接着剤26の厚み方向における中央部に配置されていてもよく、図5(c)に示すようにパターン状の被接着部材4が第3接着剤26の厚み方向における端部に配置されていてもよい。
ここで、パターン状の被接着部材とは、第3接着剤の面方向において、被接着部材が配置されている部分と、被接着部材は配置されていない部分とを有する状態をいう。パターン状としては、例えば図5(d)に示すようなメッシュ状等の連続のパターン状であってもよく、図5(c)に示すようなドット状等の不連続のパターン状であってもよい。
第3接着剤に含まれる被接着部材としては、接着剤セットの用途等に応じて適宜選択することができ、例えば芯材、基材、補強材、補修材、センサシート等を挙げることができる。
芯材としては、例えば布、有機基材、発泡体、金属箔、紙等が挙げられる。布としては、例えば織布、不織布、編布、積層布等を挙げることができ、具体的には、アラミド繊維、ビニロン繊維、PETやPEN等のポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリオレフィン繊維等の合成繊維や、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維等で構成されるものを用いることができる。有機基材としては、具体的には、PET等のポリエステル、ポリプロピレン、PTFE、ポリオレフィン、ポリイミド等で構成されるものを用いることができる。発泡体としては、具体的には、ポリウレタンフォーム、アクリルフォーム、ポリエチレンフォーム等の有機発泡体や、発泡ブチルゴム等の発泡ゴム等を挙げることができる。金属箔としては、具体的には、アルミニウム箔、銅箔等を挙げることができる。これらの芯材は、基材、補強材、補修材にもなり得る。
また、芯材としては、例えば芯材と芯材の両面に設けられた表面材とを備えるサンドイッチ構造体を構成する芯材を用いることもできる。サンドイッチ構造体の芯材としては、具体的には、木質板、木枠、有機基材、有機フレーム、金属基材、金属フレーム、発泡体、ハニカム芯材等が挙げられる。木質板としては、例えば木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、コルク等を挙げることができる。有機基材および有機フレームとしては、例えば各種有機材料の他、炭素繊維強化複合材料(CFRP)やガラス繊維強化複合材料(GFRP)等の繊維強化複合材料(FRP)等で構成されるものを用いることができる。金属基材および金属フレームとしては、例えばアルミニウム、ステンレス、チタン、マグネシウム等から構成されるものを挙げることができる。発泡体としては、例えば有機発泡体、発泡ゴム等を挙げることができる。ハニカム芯材としては、例えばペーパーハニカム、アルミハニカム、アラミドハニカム等を挙げることができる。サンドイッチ構造体の芯材は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのサンドイッチ構造体の芯材は、基材、補強材にもなり得る。
補強材および補修材としては、例えば塗装フィルム、防水シート、吸水シート、耐紫外線シート、保水シート、着色シート、広告用看板等を挙げることができる。なお、補強には、例えば被着体のひびを隠したり、被着体の凹凸を消したりする補修が含まれ、さらに強度向上、保水、表面保護、加飾等の機能の付与も含まれる。
センサシートは、例えば構造物に貼り付けて、構造物の状態変化を検知するものである。センサシートとしては、例えばセンサ部と、RFタグとを備えるものが挙げられる。センサ部には、例えば慣性力(加速度、角速度)、歪み、音響波、超音波、電磁波等の物理量を検知することができるものが用いられる。センサ部としては、貼り付ける構造物の種類や材質に応じて従来公知のセンサ部を使用することができ、例えば、加速度センサ、角速度センサ、音響センサ、表面弾性波センサ、超音波センサ、歪みセンサ、GPS(グローバルポジションシステム)センサ、距離センサ(測距センサ)等を用いることができる。具体的には、センサ部は、構造物の振動、剥落、ひび割れ、位置ずれ、傾き、歪み等の変化を検知することができる。例えば、特開2016−194441号公報に開示されるセンサ装置を使用することができる。
また、センサシートは、例えばコンクリート部材に貼り付けて、コンクリート部材の表面の状態変化を検知するものであってもよい。例えば、コンクリート表面のクラックの発生やその成長、コンクリート表面の水分濃度や塩分等のイオン濃度の変化等を検知するものが用いられる。具体的には、導電性線材、光ファイバー、繊維含浸プラスチックフィルム、市販のひび割れ検知センサ(東京測器研究所社製 KZCA−A)等の従来公知のセンサシートを使用することもできる。例えば、特開2015−087351号公報に開示されるコンクリート異常検知部材を使用することができる。
2.第3接着剤
第3接着剤は、第3セパレータの少なくとも一方の面側に設けられている場合、例えば第3セパレータの少なくとも一方の面側に全面に設けられていてもよく、パターン状に設けられていてもよい。
第3接着剤は、第3セパレータの少なくとも一方の面側に全面に設けられている場合、図6(a)、(b)に例示するように、第3接着剤26を厚み方向に切断する切込部H1を有し、この切込部H1により画定される複数の接着部26cを有していてもよい。この場合、1つの第3接着剤を複数の物品の製造に使用することができる。なお、図6(b)は図6(a)のA−A線断面図である。
上記の場合、第3接着剤は切込部によって厚み方向に切断されており、複数の接着部はそれぞれ切込部によって画定される。切込部により画定される接着部の大きさおよび形状としては、被着体の被着面の大きさおよび形状に応じて適宜調整される。
また、上記の場合、第3接着剤の少なくとも一方の面側には第3セパレータが配置される。この場合、例えば少なくとも一方の第3セパレータから接着部を剥離して、被着体上に配置された第1接着剤または第2接着剤に貼り合せることができる。第3接着剤の片面にセパレータが配置されている場合には、第3接着剤は切込部によって厚み方向に切断されているが、第3セパレータは切断されないようにすることができる。また、第3接着剤の両面に第3セパレータが配置されている場合、一方の第3セパレータは切断されないようにすることができ、他方の第3セパレータは第3接着剤と同じ位置で厚み方向に切断されていてもよく、切断されていなくてもよい。
また、図7(a)、(b)に例示するように、第3接着剤26が第3セパレータ25の少なくとも一方の面側にパターン状に設けられている場合、パターン状の複数の接着部26cを有することができる。この場合、1つの第3接着剤を複数の物品の製造に使用することができる。また、例えば少なくとも一方の第3セパレータから接着部を剥離して、被着体上に配置された第1接着剤または第2接着剤に貼り合せることができる。そのため、なお、図7(b)は図7(a)のA−A線断面図である。
ここで、パターン状の接着部とは、第3セパレータの少なくとも一方の面側において、第3接着剤が設けられている部分と、第3接着剤が設けられていない部分とを有する状態をいう。
上記の場合、接着部の大きさおよび形状としては、被着体の被着面の大きさおよび形状に応じて適宜調整される。
第3接着剤が、第3接着剤の一部に被接着部材を含む場合、第1面および第2面の材料は、同一であってもよく、異なっていてもよい。第1面および第2面の材料が同じである場合には、第1接着剤および第2接着剤の材料を同じにすることができることから、コスト面で有利である。
一方、第1面および第2面の材料が異なる場合には、適性を考慮して被着体に応じて、第1面および第2面の材料を適宜選択することができる。特に、接着剤セットを用いて異なる種類の第1部材および第2部材を接着する場合に有利である。例えば、従来、異種部材を接着する場合には、各部材に応じて適した接着剤が異なるため、十分な接着強度が確保できない場合があったが、被着体に応じて第1面および第2面の材料を適宜選択することにより、被着体に対する適性を高めることができるので、接着強度を確保することが可能である。
また、第1面および第2面の材料が異なる場合、例えば、図2に示すように、第2部材を用いず、接着剤セットを用いて第1部材1に被接着部材4を接着する場合、第1接着剤22aおよび第3接着剤26の第1面26aの接触硬化により形成される第1硬化接着層3aには第1部材1側に配置されるため接着性能が求められ、また、第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bの接触硬化により形成される第2硬化接着層3bには最表面に配置されるため保護機能が求められる。この場合、例えば、最表面に配置される第2硬化接着層の硬さが、第1部材側に配置される第1硬化接着層の硬さよりも硬くなるように、第1面および第2面の材料を適宜選択することにより、最表面に配置される第2硬化接着層にハードコート性を付与することができる。また、例えば、第1面および第2面のうち、第2接着剤に接触させる第2面に耐候剤を含有させることにより、最表面に配置される第2硬化接着層に耐候性を付与することもできる。これらの場合、最表面にハードコート層や保護層等を別途形成する必要が無く、工程を簡略化することができる。
なお、第3接着剤の材料については、後述する。
第1面および第2面は、透明であってもよく不透明であってもよいが、透明とすることができる。第1面および第2面に含まれる成分が十分に相溶し、粘着性等の所望の機能を発揮可能となるからである。
第3接着剤は、硬化前に粘着性を有していてもよく、有さなくてもよいが、粘着性を有することができる。光硬化型や熱硬化型の接着剤は、硬化完了まで養生する必要であるため、上記接着剤を介して部材を貼り合わせてから所望の養生時間、押圧等によりその貼り合せ状態を保持しなければならず、貼合工程の作業が煩雑化してしまう。これに対し、第3接着剤が粘着性を有することで、接触硬化が完了するまでの間、第3接着剤が有する粘着力により、貼り合せ状態を保持しながら硬化養生することができる。なお、本明細書内において、「シート状の接着剤の粘着性」とは、特段の事情が無い限り、接触前(硬化前)のシート状の接着剤が有する粘着性をいう。
ここで、「粘着」とは「接着」に含まれる概念である。粘着は一時的な接着現象の意味として用いられるのに対し、接着は実質的に永久的な接着現象の意味として用いられる点で区別されることがある(岩波書店 理化学辞典第5版)。「粘着性」および「粘着力」とは、感圧により接着する性質およびそのときの接着力を指す。シート状の接着剤が粘着性を有するとは、接触硬化前のシート状の接着剤が、部材を仮固定できる程度の接着力(粘着力)を有することを意味する。すなわち、硬化前のシート状の接着剤は、硬化後よりも弱い接着力を有する。
接触前(硬化前)の第3接着剤の粘着力は、第3接着剤の種類、被接着部材の種類、被着体の種類および配置態様に応じて適宜設定することができる。第3接着剤は、被着体に対する粘着力が、少なくとも0.05N/インチ以上、50N/インチ以下の範囲内とすることができ、中でも0.1N/インチ以上、40N/インチ以下の範囲内とすることができる。
シート状の接着剤は、粘着力の大きさに応じて、さらに強粘着性、中粘着性、弱粘着性に分類することができる。具体的には、粘着力が5N/インチ以上、50N/インチ以下の範囲内を強粘着性、1N/インチ以上、5N/インチ未満の範囲内を中粘着性、0.05N/インチ以上、1N/インチ未満の範囲内を弱粘着性とすることができる。中粘着性は、用途や物性に応じて強粘着性または弱粘着性に含めることができる。シート状の接着剤は、強粘着性とすることで、反応性を向上することができ、一方、弱粘着性とすることで、シート状の接着剤の取り扱い性(作業性)およびリワーク性を向上することができる。また、シート状の接着剤は、中粘着性とすることで、反応性と作業性およびリワーク性との両方の両立を図ることができる。第3接着剤とシート状の第1接着剤および第2接着剤とは、これらの粘着性の組合せにより所望の機能を発揮することが可能となる。また、シート状の接着剤は、粘着力が強いほど凝集力が低く柔軟性を有する層となり、一方、粘着力が弱いほど凝集力が高く硬い層となる。シート状の接着剤の粘着性は、厚みや、組成等を調整することで調整が可能である。なお、第3接着剤が一部に被接着部材を含む場合、上記粘着力は、第1面となる部分および第2面となる部分のそれぞれの粘着力である。
シート状の接着剤の被着体に対する粘着力は、以下の方法で測定することができる。なお、両面側にセパレータが設けられていないシート状の接着剤は、離型フィルムであるセパレータ(例えば、ニッパ社製 PETセパレータPET28×IJ0)を貼り付けてから測定する。まず、シート状の接着剤の両面にセパレータが設けられた接着シートを縦25.4mm、横150mmのサイズに裁断し、一方のセパレータを剥離して、露出させたシート状の接着剤上にPETフィルム(東洋紡社製A4100)を手動ローラーを用いて貼り合わせる。その後、もう片方のセパレータを剥離し、露出させたシート状の接着剤上にSUS板(304BA、被着面:研磨面、試料:縦25.4mm、横150mm)を、手動ローラーを用いて貼り合せる。その後、PETフィルム付きのシート状の接着剤をSUS板から20mm程、手で剥離し、引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ社製、型番:RTF−1150H)を用いて、JIS Z0237:2009(粘着テープ・粘着シート試験方法)および粘着力の試験法の方法1(温度23℃湿度50%、テープおよびシートをステンレス試験板に対して180°に引きはがす試験方法)に準拠した条件(引張速度:300mm/分、剥離距離:150mm、剥離角:180°)で、SUS板面に対する粘着力(N/インチ)を測定することができる。なお、1インチは25.4mmである。なお、後述する粘着力についても、この方法により測定することができる。
ここで、上記「少なくとも」とは、最低限の範囲の粘着力を有していれば、シート状の接着剤を被着体と貼り合わせたときに、その貼り合わせ状態を保持することができる粘着力である範囲を意味する。そして、シート状の接着剤がこの範囲の粘着力を有する間は、被着体はシート状の接着剤に対して好ましく貼り合わせることができる。
第3接着剤は、低粘性または高粘性を示すことができる。第3接着剤が低粘性または高粘性を示す場合には、硬化完了前であれば貼り合せたまま被着面に対して平行移動させることができ、貼り合せ位置を調整することができる。このような特徴を活かして、例えば、被着体上に配置された第1接着剤または第2接着剤に対して、第3接着剤を平行方向にスライド移動させて貼り合わせることが可能となる。
シート状の接着剤の粘性の高低は、損失正接の値に応じて分類することができる。シート状の接着剤が低粘性を示すとは、23℃における損失正接(以下、「tanδ(23℃)」ともいう。)が、0.2以下であることをいい、0.1以下とすることができる。また、シート状の接着剤が高粘性を示すとは、tanδ(23℃)が、0.5以上であることをいい、1.0以上とすることができる。なお、第3接着剤が一部に被接着部材を含む場合、上記粘性は、第1面となる部分および第2面となる部分のそれぞれの粘性である。
tanδは、シート状の接着剤の粘性を反映し、応力緩和挙動(力が加わった場合の変形の遅れ)を示すパラメーターの1つである。tanδの値が小さいとシート状の接着剤の変形に対する復元が速く起こりやすく、値が大きいと変形に対する復元が遅く起こりやすいことを示す。tanδは、例えば、測定装置としてティー・エイ・インスツルメント社製の固体粘弾性アナライザーRSA−IIIを用い、JIS K7244−1:1998(プラスチック−動的機械特性の試験方法−第1部:通則)に準拠した動的粘弾性測定法(アタッチメントモード:圧縮モード、周波数:1Hz、温度:−50℃〜150℃、昇温温度:5℃/分)にて測定した貯蔵弾性率’および損失弾性率”から算出することができる(tanδ=E”/E’)。シート状の接着剤の粘性は、シート状の接着剤に含有される成分の組成や配合比等に応じて適宜調整が可能である。
第3接着剤の厚みは、被接着部材の種類や、被着体の種類等に応じて適宜設定することができ、第1接着剤および第2接着剤と第3接着剤との接触による硬化反応に必要な量の各成分を含有することが可能であればよい。具体的には、第3接着剤の厚みは、2μm以上、中でも5μm以上、特に10μm以上、さらには20μm以上とすることができる。また、上記厚みは、200μm以下、中でも150μm以下、特に100μm以下とすることができる。なお、第3接着剤が一部に被接着部材を含む場合、上記厚みは、第1面となる部分および第2面となる部分のそれぞれの厚みである。
3.第3セパレータ
第3接着剤の少なくとも一方の面側には第3セパレータが配置されていてもよい。
第3セパレータは、第3接着剤から剥離可能であれば特に限定されず、第3接着剤を保護することが可能な程度の強度を有することができる。このような第3セパレータとしては、例えば、離型フィルム、セパレート紙、セパレートフィルム、セパ紙、剥離フィルム、剥離紙等の従来公知のものを用いることができる。具体的には、ポリプロピレンやポリエチレン、フッ素フィルム等が挙げられる。また、第3セパレータは、上記に例示した単層で離型性を有していてもよいが、上質紙、コート紙、含浸紙、プラスチックフィルム等の離型紙用基材の片面または両面に離型層を形成した積層体を用いてもよい。離型層としては、離型性を有する材料であれば特に限定されないが、例えば、シリコーン化合物、有機化合物変性シリコーン化合物、フッ素化合物、アミノアルキド化合物、メラミン化合物、アクリル化合物、ポリエステル化合物、長鎖アルキル化合物等がある。これらの化合物は、エマルジョン型、溶剤型または無溶剤型のいずれもが使用できる。
第3セパレータは、第3接着剤に含有される材料の種類や被着体を貼り合わせる施工環境に応じて、遮光性を有していてもよい。貼合工程までの間に第3接着剤が紫外線等の照射を受けて劣化するのを抑制することができるからである。遮光性を有する第3セパレータとしては、例えば、アルミ箔セパレータ、アルミ蒸着フィルムや紙セパレータ、着色セパレータ、紫外線吸収剤入りのフィルムセパレータ等が挙げられる。
また、第3セパレータは、第3接着剤と接する面に易剥離処理が施されていてもよい。
第3接着剤の両面に第3セパレータが配置されていてもよい。第3接着剤の両面に第3セパレータが配置されている場合、各面に配置される第3セパレータは同一であってもよく異なってもよいが、一方が軽剥離性を有し、他方が重剥離性を有することができる。
4.第3接着剤および第3接着シート
第3接着剤の作製方法としては、被接着部材を含む第3接着剤を得ることができる方法であれば特に限定されるものではなく、第3接着剤における被接着部材の配置等に応じて適宜選択される。例えば、第3接着剤の全部に被接着部材が含まれる場合、その作製方法としては、被接着部材に後述の第3接着剤成分を含有する接着剤組成物を含浸させる方法を用いることができ、具体的には、被接着部材に接着剤組成物を塗布して乾燥させる方法、接着剤組成物に被接着部材を浸漬させて乾燥させる方法、第3セパレータと被接着部材とを重ねて配置し、被接着部材に接着剤組成物を塗布して乾燥させる方法を挙げることができる。また、例えば、第3接着剤の一部に被接着部材が含まれる場合、その作製方法としては、例えば、まず第3セパレータの片面に第1面となる部分を形成し、次いで第1面となる部分を被接着部材に貼り合せ、次に被接着部材の第3セパレータとは反対側に第2面となる部分を形成する方法、被接着部材の両面にそれぞれ第1面となる部分および第2面となる部分を形成する方法、まず2枚の第3セパレータを準備し、続いてそれぞれの第3セパレータの片面に第1面となる部分および第2面となる部分を形成し、次に被接着部材の両面にそれぞれ第1面となる部分および第2面となる部分の第3セパレータとは反対側の面を貼り合せる方法、第3セパレータの片面に、第1面となる部分と被接着部材と第2面となる部分とが順に積層された積層体を準備し、この積層体をハーフカットし、第1面となる部分と被接着部材と第2面となる部分との積層部分を剥がしながら巻き取る方法、被接着部材の周縁に枠形状に第3接着剤を配置する方法等が挙げられる。また、第3接着剤の一部に被接着部材が含まれる場合であって、パターン状の被接着部材が配置されている場合、例えばメッシュ状の被接着部材等、予めパターン状に形成されている被接着部材を用いてもよく、また被接着部材をパターン状に配置してもよい。
上記の第1面および第2面となる部分の形成方法としては、例えば2液分別塗布型接着剤の2種類の液状材料の一方、具体的には、後述の第3接着剤成分を含む接着剤組成物を塗布し、乾燥することで形成することができる。上記接着剤組成物は必要に応じて溶剤を含むことができる。接着剤組成物の塗布方法は特に限定されず、公知の印刷法やコーティング法を用いることができる。第3接着剤を第3セパレータの少なくとも一方の面側にパターン状に形成する場合には、第3セパレータの少なくとも一方の面側に接着剤組成物をパターン状に塗布すればよい。このような塗布方法としても特に限定されず、公知の印刷法やコーティング法を用いることができる。また、塗布層の乾燥条件は、塗布層中に含まれている溶剤を十分揮発させることができる程度の条件で行うことができ、組成に応じて適宜設定することができる。
また、第3接着剤に切込部を形成する場合、切込部の形成方法としては、例えばハーフカット加工、ピンホール処理、レーザー加工等を用いることができる。第3接着剤の両面に第3セパレータが配置される場合には、一方の第3セパレータの片面に第3接着剤を形成した後、第3接着剤上に他方の第3セパレータを配置する前に、第3接着剤に切込部を形成してもよく、一方の第3セパレータの片面に第3接着剤を形成し、第3接着剤上に他方の第3セパレータを配置した後に、第3接着剤および他方の第3セパレータに切込部を形成してもよい。さらに、第3接着剤に切込部を形成した後、切込部により画定される複数の接着部以外の部分を除去することにより、第3セパレータの少なくとも一方の面側に第3接着剤をパターン状に設けることもできる。
また、第3接着剤が、第3接着剤の一部に被接着部材を含む場合であって、第3セパレータの片面に形成された第1面となる部分または第2面となる部分を被接着部材に貼り合せる方法としては、特に限定されない。例えば、第1面となる部分または第2面となる部分を巻内面としてロール状に巻回されたロール状の積層体と、ロール状の被接着部材とを準備し、それぞれ巻き出して、第3セパレータの片面に形成された第1面となる部分または第2面となる部分と被接着部材とを貼り合せることができる。
第3接着剤は、第3接着剤の少なくとも一方の面側に第3セパレータを配置して、第3接着シートを構成することができる。
第3接着剤が、第3接着剤の一部に被接着部材を含む場合であって、第3セパレータの片面に第1面となる部分を形成し、第1面となる部分を被接着部材に貼り合せ、被接着部材の第3セパレータとは反対側に第2面となる部分を形成する場合には、第2面となる部分にさらに第3セパレータを配置することで、第3接着剤の両面に第3セパレータが配置された第3接着シートを得ることもできる。
第3接着剤および第3接着シートは、枚葉であってもよく、長尺であってもよい。また、第3接着剤は、1つの被接着部材を含んでいてもよく、複数の被接着部材が並べて配置された、多面付け第3接着剤であってもよい。
B.第1接着剤および第2接着剤
第1接着剤および第2接着剤は、シート状であってもよく、液状であってもよい。
中でも、第1接着剤および第2接着剤は、シート状とすることができる。通常、2液分別塗布型接着剤を用いて2つの部材を貼り合わせる場合、各液状材料をそれぞれの部材に塗布する必要があるところ、液状材料が予めシート化されていることで、使用の際に、液状材料の混合の必要が無く、塗布時の塗布ムラや塗布忘れ、被着面からのはみ出しを防ぐことができる。また、液状材料がシート化されていることで、厚みによる管理を行うことができ、シート状の接着剤を部材と貼り合わせることで、部材上にシート状の接着剤を必然的に配置させることができる。このため、物品の製造時の品質管理の面からも優れている。さらに、2液分別塗布型接着剤の2種類の液状材料は、互いに接触することで硬化反応が進むところ、液状材料が分別されてシート化されていることで、保管中に硬化反応が進まないため、シート状の接着剤単体での長期保管が可能である。このため、接着剤セットは、物品の製造のタイミングに応じて使用することが可能である。加えてシート状の接着剤は、被着面の大きさや形状に合せたサイズ調整が可能である。
また、第1接着剤および第2接着剤は、一方がシート状であり、他方が液状であってもよい。第1接着剤と第2接着剤とで形態が異なる場合には、適性を考慮して被着体に応じて第1接着剤および第2接着剤の形態を適宜選択することができる。例えば、液状の接着剤は、流動性を有するため、コンクリート材料や木材等の液状の接着剤の染み込みにより接着強度を高くすることが可能な被着体、凹凸面や多孔質面を有する被着体等に適している。一方、例えば、シート状の接着剤は、流動性が低いため、位置精度や厚み精度が良く、取り扱いが容易である。したがって、被着体に応じて第1接着剤および第2接着剤の形態を適宜選択することにより、被着体に対する適性を高めることができる。特に、接着剤セットを用いて異なる種類の第1部材および第2部材を接着する場合に有利であり、接着強度を確保することが可能である。また、第1接着剤および第2接着剤の形態が異なることにより、判別を容易にすることができ、施工時の作業ミスを防ぐことができる。
また、一方がシート状であり、他方が液状である場合には、シート状の接着剤および液状の接着剤が接触した際に、液状の接着剤に含まれる成分およびシート状の接着剤に含まれる成分を拡散しやすくすることができ、反応性を高めることが可能である。例えば、2液分別塗布型接着剤の2種類の液状材料がそれぞれシート化された一対のシート状の接着剤を用い、2つのシート状の接着剤を接触させて硬化させる場合と比較して、各接着剤に含まれる成分を拡散しやすくすることができ、反応性を向上させ硬化速度を速くすることができる。
第1接着剤および第2接着剤の材料は、同一であってもよく、異なっていてもよい。第1接着剤および第2接着剤の材料が同じである場合には、コスト面で有利である。
一方、第1接着剤および第2接着剤の材料が異なる場合には、適性を考慮して被着体に応じて、第1接着剤および第2接着剤の材料を適宜選択することができる。特に、接着剤セットを用いて異なる種類の第1部材および第2部材を接着する場合に有利であり、接着強度を確保することが可能である。
また、第1接着剤および第2接着剤の材料が異なる場合、例えば、図2に示すように、第2部材を用いず、接着剤セットを用いて第1部材1に被接着部材4を接着する場合、第1接着剤22aおよび第3接着剤26の第1面26aの接触硬化により形成される第1硬化接着層3aには第1部材1側に配置されるため接着性能が求められ、また、第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bの接触硬化により形成される第2硬化接着層3bには最表面に配置されるため保護機能が求められる。この場合、例えば、最表面に配置される第2硬化接着層の硬さが、第1部材側に配置される第1硬化接着層の硬さよりも硬くなるように、第1接着剤および第2接着剤の材料を適宜選択することにより、最表面に配置される第2硬化接着層にハードコート性を付与することができる。また、例えば、第1接着剤および第2接着剤のうち、第2接着剤に耐候剤を含有させることにより、最表面に配置される第2硬化接着層に耐候性を付与することもできる。これらの場合、最表面にハードコート層や保護層等を別途形成する必要が無く、特に第2接着剤がシート状である場合には第3接着剤にシート状の第2接着剤を貼り合せるだけでよく、工程を簡略化することができる。
なお、第1接着剤および第2接着剤の材料については、後述する。
第1接着剤および第2接着剤は、透明であってもよく不透明であってもよいが、透明とすることができる。第1接着剤および第2接着剤に含まれる成分が十分に相溶し、粘着性等の所望の機能を発揮可能となるからである。
第1接着剤および第2接着剤がシート状である場合、硬化前に粘着性を有していてもよく、有さなくてもよいが、粘着性を有することができる。なお、その理由については、上記第3接着剤と同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、第1接着剤および第2接着剤がシート状である場合、シート状の第1接着剤および第2接着剤の粘着力については、上記第3接着剤の粘着力と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
シート状の第1接着剤、シート状の第2接着剤、第3接着剤の粘着力の組合せは、第1接着剤および第3接着剤間、ならびに第2接着剤および第3接着剤間に要求される機能や、接着剤セットの用途等に応じて適宜選択することができる。
中でも、シート状の第1接着剤および第3接着剤は、少なくとも一方を弱粘着性または中粘着性とすることができる。少なくとも一方を弱粘着性または中粘着性とすることで、剥離および貼り直しが可能となり、リワーク性を向上させることができる。また、シート状の接着剤が作業者の手に付着しにくく取り扱いが容易であり、作業性を向上させることができる。
また、シート状の第1接着剤および第3接着剤は、一方の粘着力を他方の粘着力よりも大きくすることができ、中でも一方は強粘着性として、他方は中粘着性または弱粘着性とすることができる。粘着力の強いシート状の接着剤は柔らく、粘着力の弱いシート状の接着剤は硬いため、柔軟さの異なるシート状の接着剤を組み合わせることで、一度貼り合せても硬化反応が完了する前であれば、シート状の第1接着剤と第3接着剤との接着面での剥離および貼り直しが可能となり、リワーク性の向上を図ることが可能となる。また、粘着力が強いシート状の接着剤は柔らかい層となるため、全体的に応力を分散しやすくなり、シート状の第1接着剤および第3接着剤を互いに接触するように貼り合せたときの保持力を高くすることが可能となる。シート状の第1接着剤および第3接着剤間の保持力を高くすることで、第1接着剤および第3接着剤の接触硬化が完了するまでの間、双方の有する粘着力により貼り合せ状態を保持することができる。中でも、シート状の第1接着剤と第3接着剤との接着面が鉛直面または法線面となる場合に、接触硬化が完了するまでの間に自重により接着面において剥離が生じるのを防ぐことができる。さらに、粘着力の強いシート状の接着剤が粘着力の弱いシート状の接着剤に密着しやすくなり、粘着力の弱いシート状の接着剤に含まれる成分が粘着力の強いシート状の接着剤に移行しやすくなるため、接触による硬化反応が進みやすくなり、反応性を向上させることが可能である。なお、第3接着剤が一部に被接着部材を含む場合、上記粘着性は、第1接着剤に接触させる第3接着剤の第1面となる部分の粘着性である。
シート状の第2接着剤および第3接着剤は、少なくとも一方を弱粘着性または中粘着性とすることができる。また、シート状の第2接着剤および第3接着剤は、一方の粘着力を他方の粘着力よりも大きくすることができ、中でも一方は強粘着性とし、他方は中粘着性または弱粘着性とすることができる。その理由については、上述の通りである。なお、第3接着剤が一部に被接着部材を含む場合、上記粘着性は、第2接着剤に接触させる第3接着剤の第2面となる部分の粘着性である。
シート状の第1接着剤および第3接着剤は、少なくとも一方が低粘性または高粘性を示すことができる。シート状の第1接着剤および第3接着剤の少なくとも一方が低粘性または高粘性を示す場合には、硬化完了前であれば貼り合せたまま被着面に対して平行移動させることができ、貼り合せ位置を調整することができる。このような特徴を活かして、例えば、被着体上に配置された一方のシート状の接着剤の面に対して、他方のシート状の接着剤を平行方向にスライド移動させて貼り合わせることが可能となる。なお、第3接着剤が一部に被接着部材を含む場合、上記粘性は、第1接着剤に接触させる第3接着剤の第1面となる部分の粘性である。
また、シート状の第2接着剤および第3接着剤は、少なくとも一方が低粘性または高粘性を示すことができる。その理由については、上述の通りである。なお、第第3接着剤が一部に被接着部材を含む場合、上記粘性は、第2接着剤に接触させる第3接着剤の第2面となる部分の粘性である。
低粘性および高粘性については、上述の第3接着剤の項に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、第1接着剤および第2接着剤がシート状である場合、厚みについては、上記第3接着剤の厚みと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。また、被着体の被着面が粗面である場合は、シート状の第1接着剤および第2接着剤の厚みは大きくすることができ、具体的には、上記被着面の凹凸の高低差以上の厚みとすることができる。シート状の第1接着剤および第2接着剤が上記被着面の凹凸の高低差以上の厚みを有さない場合は、シート状の第1接着剤および第2接着剤が凹凸に追従できず、シート状の第1接着剤および第2接着剤と被着面との接着面積が少なくなるため、所望の期間、被着体を保持することができなくなるからである。
シート状の第1接着剤とシート状の第2接着剤と第3接着剤とは、厚みが同じであってもよく、異なっていてもよい。ここで、一般に、厚みと粘着力の強さとは比例関係にあり、厚みの大きいシート状の接着剤は粘着力が強くなり柔らかい層となり、厚みの小さいシート状の接着剤は粘着力が弱くなり硬い層となる。そのため、シート状の第1接着剤および第3接着剤の厚みが異なる場合には、すなわち、柔軟さの異なるシート状の接着剤を組み合わせる場合には、上述したように、リワーク性、保持特性、反応性を高めることができる。また、シート状の第2接着剤および第3接着剤の厚みが異なる場合にも、上述したように、リワーク性、保持特性、反応性を高めることができる。なお、第3接着剤が一部に被接着部材を含む場合、上記厚みは、第1面となる部分および第2面となる部分のそれぞれの厚みである。
C.第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤の材料
第1接着剤および第3接着剤は、互いに接触することにより硬化して接着することができる。また、第2接着剤および第3接着剤は、互いに接触することにより硬化して接着することができる。このような性質を有する第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤としては、第1接着剤成分または第2接着剤成分を含む第1剤と第3接着剤成分を含む第2剤とに分別された2液分別塗布型接着剤のうち、第1接着剤を第1接着剤成分を含有するものとし、第2接着剤を第2接着剤成分を含有するものとし、第3接着剤を第3接着剤成分を含有するものとすることができる。
ここで、接着剤成分とは、第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤の硬化反応に寄与する成分をいう。例えば、硬化性有機化合物、硬化性無機材料、硬化剤、触媒、開始剤、硬化促進剤、還元剤、酸又はアルカリ成分、酸発生剤、塩基発生剤、吸水剤等が挙げられる。
第1接着剤成分を含有する第1接着剤と第3接着剤成分を含有する第3接着剤とは、接触により硬化反応が開始し、各成分が相互に拡散するにつれて硬化反応が進むことで、実質的に均一な硬化が可能となる。また、第2接着剤成分を含有する第2接着剤と第3接着剤成分を含有する第3接着剤とは、接触により硬化反応が開始し、各成分が相互に拡散するにつれて硬化反応が進むことで、実質的に均一な硬化が可能となる。
第1接着剤成分および第3接着剤成分の組合せは、特に限定されないが、例えば、硬化性有機化合物を第1接着剤成分とし、硬化剤を第3接着剤成分とする組合せ、硬化性有機化合物および潜在性硬化剤を第1接着剤成分とし、触媒や還元剤を第3接着剤成分とする組合せ、硬化性有機化合物および開始剤を第1接着剤成分とし、還元剤を第3接着剤成分とする組合せ、硬化性有機化合物および開始剤を第1接着剤成分とし、硬化性有機化合物および還元剤を第3接着剤成分とする組合せ、硬化性無機材料を第1接着剤成分とし、水分や触媒を第3接着剤成分とする組合せ、硬化性有機化合物およびph反応付与成分を第1接着剤成分とし、酸又はアルカリ成分を第3接着剤成分とする組合せ等が挙げられる。また、第1接着剤成分および第3接着剤成分の組合せは、これらの逆であってもよい。
また、第2接着剤成分および第3接着剤成分の組合せについては、上記の第1接着剤成分および第3接着剤成分の組合せと同様である。
第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤は、例えば、第1接着剤成分または第2接着剤成分を含む第1剤と第3接着剤成分を含む第2剤とに分別された2液分別塗布型接着剤の各液状材料を用いて形成することができる。上記2液分別塗布型接着剤としては、従来公知の組成が挙げられる。具体的には、アクリル化合物およびラジカル重合開始剤を含有するA液と、レドックス重合触媒の還元剤を含有するB液と、から構成されるプライマー型のアクリル接着剤(SGA)、アクリル化合物およびラジカル重合開始剤を含有するA液と、アクリル化合物およびレドックス重合触媒の還元剤を含有するB液と、から構成される2液主剤型のアクリル接着剤(SGA)、ポリオール化合物を含有するA液と、ポリイソシアネート化合物を含有するB液と、から構成されるウレタン接着剤、エポキシ化合物を含有するA液と、ポリアミドやポリチオール、イミダゾール等の硬化剤を含有するB液と、から構成されるエポキシ接着剤、シリコーン低重合体等のシリコーン化合物を含有するA液と、白金触媒を含有するB液と、から構成されるシリコーン接着剤等が挙げられる。なお、2液分別塗布型接着剤はこれらに限定されず、被着体の材質等に応じて適宜選択することが可能である。また、2液分別塗布型接着剤に限らず、ポリマーセメント等の2液硬化型塗料等を用いることも可能である。
また、第3接着剤が一部に被接着部材を含む場合には、第1接着剤および第3接着剤の一方の主面である第1面が、互いに接触することにより硬化して接着することができ、第2接着剤および第3接着剤の他方の主面である第2面が、互いに接触することにより硬化して接着することができればよい。そのため、第3接着剤の第1面および第2面に含まれる第3接着剤成分は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、第1接着剤に含まれる第1接着剤成分および第2接着剤に含まれる第2接着剤成分は、同一であってもよく、異なっていてもよい。第1接着剤に含まれる第1接着剤成分および第2接着剤に含まれる第2接着剤成分が同じである場合には、第1接着剤および第2接着剤の材料を同じにすることができ、コスト面で有利である。また、第1接着剤に含まれる第1接着剤成分および第2接着剤に含まれる第2接着剤成分が異なる場合には、第1接着剤および第2接着剤の材料を異ならせることができる。この場合の利点については、上述の「B.第1接着剤および第2接着剤」の項に記載した通りである。
以下、第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤の材料について説明する。
1.第1接着剤成分、第2接着剤成分および第3接着剤成分
第1接着剤成分および第3接着剤成分は、少なくともいずれか一方が、硬化性有機化合物や硬化性無機材料等を含有する。また、第2接着剤成分および第3接着剤成分は、少なくともいずれか一方が、硬化性有機化合物や硬化性無機材料等を含有する。以下、第1接着剤成分および第3接着剤成分のうち、少なくとも第1接着剤成分が硬化性有機化合物や硬化性無機材料等を含有する場合について説明する。第1接着剤成分および第3接着剤成分は、通常、異なる組成を有する。また、第2接着剤成分および第3接着剤成分は、通常、異なる組成を有する。
(1)第1接着剤成分
第1接着剤に含まれる第1接着剤成分は、第3接着剤に含まれる第3接着剤成分と硬化反応を生じるものであってもよく、第3接着剤成分の存在により、第1接着剤成分に含まれる成分同士が硬化反応を生じるものであってもよい。第1接着剤および第3接着剤に2液分別塗布型接着剤を用いる場合は、第1接着剤成分は、通常、2液分別塗布型接着剤における主剤成分を少なくとも含む。
上記第1接着剤成分としては、例えば、硬化性有機化合物、硬化性無機材料、これらと併用されるその他の材料等が挙げられる。上記第1接着剤成分は、硬化性有機化合物または硬化性無機材料の一方を含んでいてもよく、両方を含んでいてもよい。
(a)硬化性有機化合物
硬化性有機化合物としては、公知の2液分別塗布型接着剤に用いられる硬化性有機化合物が挙げられ、例えば、エポキシ化合物、アクリル化合物、ポリオール化合物、シリコーン低重合体等のシリコーン化合物、メラミン化合物、フェノール化合物混合物、シリル化合物等が挙げられる。これらは、上記第1接着剤が配置される被着体の材質に応じて適宜選択することが可能である。例えば、被着体の材質が、木材、セラミック、コンクリート、金属であれば、硬化性有機化合物は、エポキシ化合物やポリオール化合物とすることができる。また、例えば、被着体の材質が、ポリプロピレンやポリエチレン等の難接着材料であれば、硬化性有機化合物は、シリコーン化合物やアクリル化合物とすることができる。また、アクリル化合物は材料の自由度が高く、金属、木材、ABS等の有機物にも広く使用が可能である。
上記第1接着剤成分がエポキシ化合物を含む場合、上記エポキシ化合物は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有することができ、一般にエポキシ接着剤に使用されるエポキシ化合物を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物等のビスフェニル基を有するエポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、脂肪族系エポキシ化合物、グリコール系エポキシ化合物、ペンタエリスリトール系エポキシ化合物、芳香族系エポキシ化合物、ウレタン変性エポキシ化合物やゴム変性エポキシ化合物等の変性エポキシ化合物、その他特開2009−167251号公報で開示されるエポキシ化合物等が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、単独で用いられていてもよく、2種以上用いられていてもよい。
上記第1接着剤成分に含まれるエポキシ化合物は、液状エポキシ化合物であってもよく、固形エポキシ化合物であってもよい。液状エポキシ化合物は、常温で液状のエポキシ化合物をいい、固形エポキシ化合物は常温で固形のエポキシ化合物をいう。例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物であれば、主鎖のビスフェノール骨格が1以上、3以下であれば、常温で液状とすることができ、主鎖のビスフェノール骨格が2以上、10以下であれば、常温で固形とすることができる。
上記第1接着剤成分には、液状エポキシ化合物および固形エポキシ化合物の少なくとも一方が含まれていればよいが、中でも両方が含まれていてもよい。上記第1接着剤成分が液状エポキシ化合物および固形エポキシ化合物を含む場合は、それぞれの分子量および配合量を調整することで、硬化前の粘着性や硬化後の接着力を調整することができる。
上記液状エポキシ化合物の質量平均分子量およびエポキシ当量は、第1接着剤と第3接着剤との接触に際して要求される硬化速度に応じて適宜設定することができる。例えば、液状エポキシ化合物の質量平均分子量(Mw)は200以上900以下の範囲内とすることができる。また、このとき、エポキシ当量(g/eq.)は100以上500以下の範囲内とすることができる。上記の範囲とすることで、第1接着剤と第3接着剤とを接触させた際に、第1接着剤に含まれる液状エポキシ化合物が第3接着剤側へ浸透しやすくなり、硬化速度を速めることができる。また、硬化後の耐久性、接着力を向上させることができる。
また、固形エポキシ化合物の質量平均分子量およびエポキシ当量は、シート状の第1接着剤にかかるせん断応力の大小や応力のかかる方向に応じて適宜設定することができる。例えば、固形エポキシ化合物の質量平均分子量(Mw)は900以上6000以下の範囲内とすることができる。上記の範囲とすることで、シート状の第1接着剤の耐久性、粘着力を向上させることができる。また、このとき、エポキシ当量(g/eq.)は450以上5000以下の範囲内とすることができる。上記の範囲とすることで、シート状の第1接着剤の凝集力や製膜性が向上し、せん断応力に強くなるからである。また、硬化後の耐久性、接着力を向上させることができる。
質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際の、ポリスチレン換算の値である。また、エポキシ当量は、JIS K7236:2009(エポキシ化合物のエポキシ当量の求め方)に準拠した方法により測定した1グラム当量のエポキシ基を含む化合物のグラム数である。
第1接着剤成分がエポキシ化合物として液状エポキシ化合物および固形エポキシ化合物の両方を含む場合、液状エポキシ化合物および固形エポキシ化合物の配合比は、第1接着剤に要求される粘着性および凝集力に応じて設定することができる。強粘着性もしくは低凝集力の第1接着剤とするためには、第1接着剤中の液状エポキシ化合物および固形エポキシ化合物の合計量(100質量%)に対して、上記液状エポキシ化合物の含有量は50質量%以上、中でも60質量%以上とすることができ、また、95質量%以下、中でも90質量%以下とすることができる。液状エポキシ化合物の含有量は、固形エポキシ化合物の含有量よりも多くすることができる。一方、弱粘着性もしくは高凝集力の第1接着剤とするためには、第1接着剤中の液状エポキシ化合物および固形エポキシ化合物の合計量(100質量%)に対して、上記液状エポキシ化合物の含有量は20質量%以上、中でも30質量%以上とすることができ、また、70質量%以下、中でも60質量%以下とすることができる。第1接着剤中の液状エポキシ化合物の含有量は、固形エポキシ化合物の含有量以下とすることができる。なお、一般に、シート状の接着剤は、粘着力が強いほど凝集力が低く柔軟性を有する層となり、一方、粘着力が弱いほど凝集力が高く硬い層となる。
上記第1接着剤成分がアクリル化合物を含む場合、上記アクリル化合物は、アクリル単量体、アクリル重合体のいずれであってもよい。また、アクリル重合体は、アクリル低重合体、アクリル高重合体のいずれであってもよい。例えば特開2008−248111号公報や特開2016−175195号公報に開示されるアクリル化合物が挙げられる。
また、上記第1接着剤成分がポリオール化合物を含む場合、上記ポリオール化合物は、分子中に複数個の水酸基を有すればよく、例えば、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
上記第1接着剤成分がメラミン化合物、フェノール化合物混合物、またはシリル化合物を含む場合、これらの化合物については、一般的な2液分別塗布型接着剤に用いられる化合物と同様とすることができる。
中でも、上記第1接着剤成分はエポキシ化合物を含むことができる。硬化後の凝集力や接着力が高く、木材、コンクリート、セラミック等の広域な材質に対して高強度に接着することが可能であるからである。
また、上記第1接着剤成分はアクリル化合物を含むこともできる。例えばアクリル化合物を適宜選択することにより、被着体に応じて第1接着剤の物性を調整することができる。そのため、接着剤セットを用いて異種部材を接着する場合に適している。また、アクリル化合物は、耐候性、透明性が良好であるという利点を有する。
(b)硬化性無機材料
硬化性無機材料としては、例えば、水を触媒として硬化する水硬化性無機材料を用いることができる。上記水硬化性無機材料として具体的には、ポルトランドセメント、アルミナセメント、耐酸セメント、スラグセメント、ローマンセメント、マグネシアセメント等のセメント類、石膏、石灰、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
(c)その他の成分
第1接着剤成分は、硬化性有機化合物や硬化性無機材料等の他に、例えば、硬化剤、触媒、開始剤、硬化促進剤、還元剤等を含むことができる。これらの材料は、通常、第3接着剤に含まれる第3接着剤成分とは異なる材料とすることができ、硬化性有機化合物や硬化性無機材料の種類、第3接着剤に含まれる第3接着剤成分の種類に応じて適宜選択することができる。
例えば、第1接着剤が第1接着剤成分として硬化性有機化合物を含む場合であって、上記硬化性有機化合物がアクリル化合物である場合、第1接着剤成分は、アクリル化合物の他に、例えばラジカル重合開始剤を含むことができる。この場合、対になる第3接着剤は、第3接着剤成分として、例えばレドックス重合触媒の還元剤を含む、あるいはアクリル化合物およびレドックス重合触媒の還元剤を含むことができる。具体的には、特開2008−308531号公報で開示される過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤が挙げられる。
また例えば、第1接着剤が第1接着剤成分として硬化性有機化合物を含む場合であって、上記硬化性有機化合物がエポキシ化合物である場合、第1接着剤成分は、エポキシ化合物の他に、一般にエポキシ化合物に配合されるフェノール化合物、アミン化合物、チオール化合物等の硬化剤、ジシアンジアミド、マイクロカプセル型アミン類や包接触媒、ヒドラジド類等の潜在性硬化剤、カチオン触媒型硬化剤等の硬化剤を含むことができる。この場合、対になる第3接着剤は、第3接着剤成分として、例えば脂肪族ジメチルウレア、芳香族ジメチルウレア等の硬化触媒、イミダゾール、リン系触媒、ポリアミン類等を含むことができる。
(2)第3接着剤成分
第3接着剤に含有される第3接着剤成分は、第1接着剤に含まれる第1接着剤成分と直接反応するものであってもよく、第1接着剤に含まれる第1接着剤成分の硬化反応を誘発または促進させるものであってもよい。第3接着剤成分としては、第1接着剤成分の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、硬化剤、酸又はアルカリ成分、硬化促進剤、酸発生剤、塩基発生剤、触媒、吸水剤等が挙げられる。
第1接着剤成分がエポキシ化合物を含む場合の第3接着剤成分としては、例えば硬化剤が挙げられる。上記硬化剤として具体的には、イミダゾール化合物、フェノール化合物、アミン化合物、ポリアミド化合物、酸無水物、イソシアネート化合物、チオール化合物等が挙げられる。中でも、上記硬化剤はイミダゾール化合物とすることができる。イミダゾール化合物は、室温でのエポキシ化合物との反応性がよく、また、硬化後のガラス転移温度(Tg)が高く、耐熱性、耐久性に優れるとともに、分子量が小さい化合物が多い。このため、第1接着剤と第3接着剤とを接触させた際に、第3接着剤に含まれる硬化剤がエポキシ化合物を含有する第1接着剤へと浸透しやすくなり、接触による硬化反応が起こり易くなるからである。
第1接着剤成分がアクリル化合物を含む場合の第3接着剤成分としては、例えば触媒、還元剤、開始剤等が挙げられる。具体的には、特開2008−308531号公報で開示される過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤、特開2008−81691号公報で開示されるレドックス重合触媒の還元剤が挙げられる。また、第3接着剤成分がアクリル化合物を含んでいてもよい。この場合、第1接着剤成分および第3接着剤成分に含まれるアクリル化合物は同じであってもよく、異なってもよい。
第1接着剤成分がポリオール化合物を含む場合の第3接着剤成分としては、例えば硬化剤が挙げられる。具体的には、ポリイソシアネート化合物が挙げられ、中でも、ポリオール化合物との反応性に優れることから、MDI、粗製MDI、TDI等の芳香族ポリイソシアネートを用いることができる。
第1接着剤成分がシリコーン化合物を含む場合の第3接着剤成分としては、例えば白金触媒が挙げられる。
第1接着剤成分がメラミン化合物またはフェノール化合物混合物を含む場合の第3接着剤成分としては、例えば、硫酸水溶液含有ハイドロゲル、水酸化ナトリウム含有ハイドロゲル等の酸又はアルカリ成分が挙げられる。
第1接着剤成分がシリル化合物もしくは硬化性無機材料を含む場合の第3接着剤成分としては例えば、固体状液体分散コロイドが挙げられる。具体的には、ハイドロゲル、吸水性重合体、ゼラチン等が挙げられる。上記の第1接着剤成分は、これらに含まれる水分により硬化することができる。
上記第3接着剤成分の含有量は、第1接着剤と第3接着剤とが接触した際に、第1接着剤成分と十分に反応することが可能な量とすることができ、第1接着剤成分および第3接着剤成分の組合せや種類に応じて適宜設定が可能である。例えば、第1接着剤成分がエポキシ化合物を含み、上記第3接着剤成分が硬化剤としてイミダゾール化合物を含む場合、上記第3接着剤中のイミダゾール化合物の含有量としては、エポキシ化合物のエポキシ当量にもよるが、例えば、エポキシ化合物100質量部に対し、0.1質量部以上30質量部以下の範囲内とすることができ、1質量部以上20質量部以下の範囲内とすることができる。上記第3接着剤中のイミダゾール化合物の含有量が多すぎると、被着体との密着が弱くなる場合があり、一方、上記含有量が少なすぎると、硬化不良の要因となる場合があるからである。なお、第1接着剤成分に含有される硬化性有機化合物がエポキシ化合物以外の材料である場合、第3接着剤成分の含有量は、汎用の2液硬化型接着剤を使用する際の2液硬化時の一般的な配分から大きく外れることがなければ特段の問題はない。
以上、第1接着剤成分および第3接着剤成分のうち、少なくとも第1接着剤成分が硬化性有機化合物や硬化性無機材料等を含有する場合について説明したが、少なくとも第3接着剤成分が硬化性有機化合物や硬化性無機材料等を含有する場合には、その逆とすることができる。
(3)第2接着剤成分
第2接着剤成分および第3接着剤成分のうち、少なくとも第2接着剤成分が硬化性有機化合物や硬化性無機材料等を含有する場合については、上述の第1接着剤成分および第3接着剤成分のうち、少なくとも第1接着剤成分が硬化性有機化合物や硬化性無機材料等を含有する場合と同様とすることができる。また、第2接着剤成分および第3接着剤成分のうち、少なくとも第3接着剤成分が硬化性有機化合物や硬化性無機材料等を含有する場合については、その逆とすることができる。
(4)第1接着剤成分、第2接着剤成分および第3接着剤成分の組合せ
上述したように、第1接着剤に含まれる第1接着剤成分および第2接着剤に含まれる第2接着剤成分は、同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、第1接着剤に含まれる第1接着剤成分および第2接着剤に含まれる第2接着剤成分が異なる場合、第1接着剤成分および第2接着剤成分に含まれる硬化性有機化合物や硬化性無機材料が異なっていてもよく、第1接着剤成分および第2接着剤成分に含まれる硬化性有機化合物および硬化性無機材料以外の成分が異なっていてもよい。具体的には、第1接着剤成分および第2接着剤成分に含まれる硬化性有機化合物が異なる場合、第1接着剤成分および第2接着剤成分に含まれる硬化性有機化合物は、一方がエポキシ化合物、他方がアクリル化合物であってもよい。硬化性有機化合物は、種類によって被着体への適性が異なるため、第1接着剤成分および第2接着剤成分に含まれる硬化性有機化合物が異なることにより、被着体に適した第1接着剤および第2接着剤とすることができ、接着強度を確保することができる。
また、上述したように、第3接着剤が一部に被接着部材を含む場合、第3接着剤の第1面および第2面に含まれる第3接着剤成分は、同一であってもよく、異なっていてもよい。第1面および第2面に含まれる第3接着剤成分が異なる場合については、上記の第1接着剤に含まれる第1接着剤成分および第2接着剤に含まれる第2接着剤成分が異なる場合と同様とすることができる。
2.第1相溶性重合体成分
第1接着剤は、第1接着剤成分に対して相溶性を有する第1相溶性重合体成分をさらに含んでいてもよい。中でも、第1接着剤がシート状である場合には、第1相溶性重合体成分を含むことができる。その理由は以下の通りである。
2液分別塗布型接着剤は、通常、2種類の液状材料をそれぞれ塗布後、すぐに互いを接触硬化させて用いられるが、各液状材料は製膜性に劣るため、所望の厚みでそれぞれシート化し分別保存しようとすると、長期間シート形状を保持することが困難であるという問題がある。これに対し、各液状材料の成分に対して相溶性を有する相溶性重合体成分を含有させることで、製膜性を向上させることができ、長期間シート形状を保持することが可能となる。また、上記2種類の液状材料を別々に塗布して形成したシート状の接着剤においては、上記液状材料の成分は可塑剤として機能するため、各液状材料の成分を含むシート状の接着剤に更に相溶性重合体成分を加えることで、シート状の接着剤全体が可塑化され、相溶性重合体成分による粘着性や柔軟性が発揮される。これにより、硬化前の粘着性や被着体への密着性の向上を図ることが可能となり、また、硬化後の靭性が向上し且つ接着力をより高めることができる。
ここで、第1接着剤成分に対して相溶性を有するとは、上記第1接着剤成分、中でも、上記硬化性有機化合物との親和性がよく、上記第1接着剤成分と任意の割合で混合した場合に、相分離しないことをいう。第1接着剤において、上記第1相溶性重合体成分が第1接着剤成分に対して相溶していることは、例えば、第1接着剤の透明性が高いこと、第1接着剤のヘイズ値が低いこと、走査型電子顕微鏡(SEM)もしくは透過型電子顕微鏡(TEM)によりシート状の第1接着剤の表面もしくは断面を観察したときに、層内にミクロンサイズの島が発生していないこと、等から確認することができる。後述する第2接着剤および第3接着剤においても同様である。
特に、第1接着剤または第3接着剤が、第1接着剤成分または第3接着剤成分として、エポキシ化合物、アクリル化合物、およびポリオール化合物のいずれかの硬化性有機化合物を含む場合に、上記第1相溶性重合体成分による効果がより高く発揮され得る。例えば、第1接着剤または第3接着剤に含まれる硬化性有機化合物がアクリル化合物の場合、架橋密度が高くなる傾向にあるところ、第1相溶性重合体成分を含むことで、アクリル化合物の主鎖を長くすること、すなわち架橋密度を低くすることができ、シート状の第1接着剤に柔軟性を付与することが可能となる。第1接着剤または第3接着剤に含まれる硬化性有機化合物がエポキシ化合物の場合の、上記第1相溶性重合体成分による効果の発現については、後で詳細に説明する。
また、上記第1相溶性重合体成分は、さらに第3接着剤に含まれる第3接着剤成分に対して相溶性を有することができる。第3接着剤成分に対して相溶性を有するとは、上記第3接着剤成分との親和性がよく、第1接着剤と第3接着剤とが接触し、上記第3接着剤成分と任意の割合で混合した場合に相分離しないことをいう。
第1相溶性重合体成分は、第1接着剤成分との相溶性が良好な重合体を含むものであれば特に限定されない。上記重合体は、極性基を有していてもよい。極性基としては、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、ニトリル基、アミド基等が挙げられる。
中でも、上記第1相溶性重合体成分は、アクリル重合体を含む成分、すなわち相溶性アクリル重合体含有成分とすることができる。
上記アクリル重合体含有成分は、上記アクリル重合体がアクリル酸エステル単量体の単独重合体であり、上記単独重合体を2種以上含む混合成分であってもよく、上記アクリル重合体が2種以上のアクリル酸エステル単量体の共重合体であり、共重合体を1以上含む成分であってもよい。また、上記アクリル重合体含有成分が、上記単独重合体と上記共重合体との混合成分であってもよい。アクリル酸エステル単量体の「アクリル酸」には、メタクリル酸の概念も含まれる。具体的には、上記アクリル重合体含有成分は、メタクリレートの重合体とアクリレートの重合体との混合物であってもよく、アクリレート−アクリレート、メタクリレート−メタクリレート、メタクリレート−アクリレート等のアクリル酸エステル重合体であってもよい。中でも上記アクリル重合体含有成分は、2種以上のアクリル酸エステル単量体の共重合体((メタ)アクリル酸エステル共重合体)を含むことができる。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体を構成する単量体成分としては、例えば、特開2014−065889号公報に記載の単量体成分が挙げられる。上記単量体成分は、上述した極性基を有していてもよい。エポキシ化合物との相溶性が向上し、粘着力および硬化後の接着力を高めることができるからである。上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、例えば、エチルアクリレート−ブチルアクリレート−アクリロニトリル共重合体、エチルアクリレート−アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート−アクリロニトリル共重合体等を挙げることができる。なお、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等の「アクリル酸」には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の「メタクリル酸」を含む。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、ブロック共重合体を挙げることができ、さらにメタクリレート−アクリレート共重合体等のアクリル系ブロック共重合体を挙げることができる。アクリル系ブロック共重合体を構成するアクリレートやメタクリレートは、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジジル等が挙げられる。これらの「アクリル酸」には、メタクリル酸も含まれる。
メタクリレート−アクリレート共重合体の具体例としては、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート(MMA−BA−MMA)共重合体等のアクリル系共重合体が挙げられる。MMA−BA−MMA共重合体には、ポリメチルメタクリレート−ポリブチルアクリレート−ポリメチルメタクリレート(PMMA−BA−MMA)のブロック共重合体も含まれる。このようなアクリル系共重合体は、製膜性が向上し、被着面に対して十分な接着性を示すことができる。
アクリル重合体は、極性基を有していなくてもよく、一部に上述した極性基を導入した変性物であってもよい。上記変性物は、エポキシ化合物との相溶性がさらに向上するため、接着強度がより向上する。
中でも、第1相溶性重合体成分は、ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である第1重合体部分と、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上である第2重合体部分とを有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体とすることができる。このような(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、柔らかいセグメントとなる第1重合体部分と、硬いセグメントとなる第2重合体部分とを有する。このような共重合体を添加することにより、第1接着層は、被着面に対する浮きや剥がれを有効に抑制することができ、また、硬化後の靭性が向上して接着力をより高めることができるからである。
上記の効果の発現は、以下のように推定できる。従来の接着剤では、靱性や柔軟性を付与するために、主剤となる硬化性有機化合物、例えばエポキシ化合物の他に、アクリル重合体を添加することが行われていたが、上記アクリル重合体の添加により接着剤自体の耐熱性が低下していた。これに対し、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体のような、柔らかいセグメントと、硬いセグメントとを併せ持つアクリル重合体を用いることで、硬いセグメントが耐熱性に寄与し、柔らかいセグメントが靱性ないし柔軟性に寄与するため、硬化後の第1接着層は、靱性を有しかつ優れた接着性を保持することができると考えられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第1重合体部分および第2重合体部分の少なくとも一方は、硬化性有機化合物に対して相溶性を有する。第1重合体部分が硬化性有機化合物に対して相溶性を有する場合には、柔軟性を高めることができる。また、第2重合体部分が硬化性有機化合物に対して相溶性を有する場合には、凝集性や靱性を高めることができる。
第1重合体部分または第2重合体部分の一方が硬化性有機化合物に対して相溶性を有さない場合、(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、硬化性有機化合物に対して相溶性を有する重合体部分である相溶部位と、硬化性有機化合物に対して相溶性を有さない重合体部分である非相溶部位とを有することになる。この場合、硬化性有機化合物を含む接着剤組成物に、アクリル重合体として上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体を添加すると、相溶部位が硬化性有機化合物と相溶し、非相溶部位が硬化性有機化合物と相溶しないため、相分離が起こる。その結果、硬化後の第1接着層では、海島構造が発現する。海島構造としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の種類、(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第1重合体部分および第2重合体部分の相溶性、極性基導入による変性の有無によって異なり、例えば、硬化性有機化合物の硬化物および(メタ)アクリル酸エステル共重合体の相溶部位が海、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の非相溶部位が島であるような海島構造や、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の非相溶部位が海、硬化性有機化合物の硬化物および(メタ)アクリル酸エステル共重合体の相溶部位が島であるような海島構造、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が海、硬化性有機化合物の硬化物が島であるような海島構造が挙げられる。硬化後の第1接着層は、このような海島構造を有することで、応力を分散させやすくすることができるので、界面破壊を避けることができ、優れた接着性を維持することができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、中でもブロック共重合体とすることができ、特に、相溶部位を重合体ブロックA、非相溶部位を重合体ブロックBとするA−B−Aブロック共重合体とすることができる。さらには、第1重合体部位が非相溶部位、第2重合体部分が相溶部位であり、第1重合体部分を重合体ブロックB、第2重合体部分を重合体ブロックAとするA−B−Aブロック共重合体とすることができる。アクリル重合体としてこのようなA−B−Aブロック共重合体を用いることにより、硬化後の第1接着層内では、硬化性有機化合物の硬化物および(メタ)アクリル酸エステル共重合体の相溶部位が海、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の非相溶部位が島であるような海島構造の場合には、島部分を小さくすることができる。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の非相溶部位が海、硬化性有機化合物の硬化物および(メタ)アクリル酸エステル共重合体の相溶部位が島であるような海島構造の場合や、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が海、硬化性有機化合物の硬化物が島であるような海島構造の場合には、海部分を小さくすることができる。そのため、硬化後の接着層内では、見かけ上、硬化性有機化合物およびアクリル重合体が相溶した状態となる。このような見かけ上の相溶状態が発現されることにより、硬化後の第1接着層は、さらに応力を分散させやすくすることができるので、界面破壊を避けることができ、優れた接着性を維持することができる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、第1重合体部分または第2重合体部分の一部に上述の極性基を導入した変性物であってもよい。硬化後の第1接着層の耐熱性がより向上するとともに、硬化性有機化合物との相溶性も向上するため、接着性が向上する。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第1重合体部分のTgは、10℃以下であり、−150℃以上10℃以下の範囲内、中でも−130℃以上0℃以下の範囲内、特に−110℃以上−10℃以下の範囲内とすることができる。
なお、第1重合体部分のTgは、「POLYMERHANDBOOK第3版」(John Wiley & Sons,Ink.発行)に記載された各単独重合体のTg(K)を基にして、下記式で計算により求めることができる。
1/Tg(K)=W/Tg+W/Tg+・・・・+W/Tg
;各単量体の質量分率
Tg;各単量体の単独重合体のTg(K)であり、ポリマーハンドブック(3rd Ed.,J.Brandrup and E.H.Immergut,WILEY INTERSCIENCE)中の値など、一般に公開されている掲載値を用いればよい。後述の第2重合体部分のTgも同様である。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第1重合体部分は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよいが、中でも単独重合体とすることができる。第1重合体部分を構成する単量体成分および重合体成分は、Tgが所定の範囲である第1重合体部分を得ることができる単量体成分および重合体成分であればよく、例えばアクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル単量体や、酢酸ビニル、アセタール、ウレタン等の他の単量体、上述の極性基を含む極性基含有単量体、EVA等の共重合体が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第2重合体部分のTgは、20℃以上であり、20℃以上150℃以下の範囲内、中でも30℃以上150℃以下の範囲内、特に40℃以上150℃以下の範囲内とすることができる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第2重合体部分は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよいが、中でも単独重合体とすることができる。第2重合体部分を構成する単量体成分は、Tgが所定の範囲である第2重合体部分を得ることができる単量体成分であればよく、例えばメタクリル酸メチル等のアクリル酸エステル単量体や、アクリルアミド、スチレン、塩化ビニル、アミド、アクリロニトリル、酢酸セルロース、フェノール、ウレタン、塩化ビニリデン、塩化メチレン、メタクリロニトリル等の他の単量体、上述の極性基を含む極性基含有単量体が挙げられる。
上記の第1重合体部分および第2重合体部分を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体の具体例としては、上記のMMA−BA−MMA共重合体等が挙げられる。
上記第1相溶性重合体成分の質量平均分子量は、第1接着剤に要求される粘着性や凝集力に応じて適宜設定することができるが、上記第1接着剤成分の質量平均分子量、中でも硬化性有機化合物の質量平均分子量よりも大きくすることができる。第1相溶性重合体成分に製膜性を任せ、硬化性有機化合物は可塑成分として働く必要があるからである。また、第1相溶性重合体成分は第3接着剤に含まれる第3接着剤成分と相溶することが望ましいからである。具体的には、上記第1相溶性重合体成分の質量平均分子量は、1万以上90万以下の範囲内とすることができ、中でも3万以上50万以下の範囲内とすることができる。第1相溶性重合体成分の質量平均分子量が小さすぎると、3次元架橋が支配的となり、靱性が低下する場合があり、一方、大きすぎると、相溶性が悪くなるため強度が低下する。上記第1相溶性重合体成分の質量平均分子量は、GPC(溶離液:THF、標準物質:PS、試料:20μL、流量:1mL/min、カラム温度:40℃)により測定することができる。
上記第1接着剤中の第1相溶性重合体成分の含有量は、第1相溶性重合体成分の種類、第1接着剤成分の種類、第1接着剤に要求される粘着性、凝集性、粘性等に応じて適宜調整することが可能である。例えば、第1接着剤が、第1接着剤成分として、アクリル化合物、エポキシ化合物等の硬化性有機化合物を含み、第1相溶性重合体成分として上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む場合、硬化性有機化合物100質量部に対して(メタ)アクリル酸エステル共重合体の含有量は4質量部以上100質量部以下の範囲内とすることができる。この割合で両者を配合すると、第1接着剤は、接触硬化前の段階で、硬化性有機化合物中に、ナノオーダーレベルの微粒子状に(メタ)アクリル酸エステル共重合体が分散した構造が発現し、見かけ上の相溶状態が発現される。そして、上記第1接着剤は、第3接着剤との接触により、見かけ上の相溶状態を維持しながら硬化することで、優れた接着強度を発揮することができる。また、第1接着剤が上記の構造を有することで、被着体との界面からの水の侵入を抑制でき、さらに優れた接着保持特性を有することができる。
また例えば、第1接着剤が、第1接着剤成分として、硬化性有機化合物や硬化性無機材料を含まない場合、第1接着剤中の第1相溶性重合体成分の含有量は、第1接着剤中の第1接着剤成分100質量部に対して10質量部以上200質量部以下の範囲内とすることができ、中でも20質量部以上100質量部以下の範囲内とすることができる。第1相溶性重合体成分の分子量等に応じて好適な含有量は異なるが、おおよそ上記の範囲内とすることができる。第1相溶性重合体成分の含有量が少なすぎると、第1接着剤の製膜性や接着性が不良となる場合があり、一方、上記含有量が多すぎると、第1接着剤の強度低下の要因となる場合がある。
3.第2相溶性重合体成分
第2接着剤は、第2接着剤成分に対して相溶性を有する第2相溶性重合体成分をさらに含んでいてもよい。中でも、第2接着剤がシート状である場合には、第2相溶性重合体成分を含むことができる。上記第2相溶性重合体成分は、さらに第3接着剤に含まれる第3接着剤成分に対して相溶性を有することができる。その理由、第2相溶性重合体成分の具体例、および第2相溶性重合体成分の含有量については、上述の第1相溶性重合体成分と同様であるため、ここでの説明は省略する。第2接着剤または第3接着剤が、第2接着剤成分または第3接着剤成分として、エポキシ化合物、アクリル化合物、およびポリオール化合物のいずれかの硬化性有機化合物を含む場合、上記第2相溶性重合体成分による効果がより高く発揮され得る。
第2相溶性重合体成分の質量平均分子量は、上記第2接着剤成分の質量平均分子量、中でも硬化性有機化合物の質量平均分子量よりも大きくすることができる。その理由、具体的な質量平均分子量の範囲、およびその測定方法については、上述した第1相溶性重合体成分と同様であるため、ここでの説明は省略する。
第2接着剤に含まれる第2相溶性重合体成分と、第1接着剤に含まれる第1相溶性重合体成分とは、同一の成分であってもよく、異なる成分であってもよい。第1相溶性重合体成分および第2相溶性重合体成分が同一の成分であり、さらに第1接着剤および第2接着剤の材料が同一である場合には、コスト面で有利である。また、第1相溶性重合体成分および第2相溶性重合体成分が異なる場合には、第1接着剤および第2接着剤の材料を異ならせることができる。この場合の利点については、上述の「B.第1接着剤および第2接着剤」の項に記載した通りである。
4.第3相溶性重合体成分
第3接着剤は、第3接着剤成分に対して相溶性を有する第3相溶性重合体成分をさらに含むことができる。また、第3接着剤に含まれる第3相溶性重合体成分は、さらに第1接着剤に含まれる第1接着剤成分に対して相溶性を有することができる。また、第3接着剤に含まれる第3相溶性重合体成分は、さらに第2接着剤に含まれる第2接着剤成分に対して相溶性を有することができる。上記の場合において、第3接着剤が一部に被接着部材を含む場合、第1面に含まれる第3相溶性重合体成分が、第1接着剤に含まれる第1接着剤成分に対して相溶性を有し、第2面に含まれる第3相溶性重合体成分が、第2接着剤に含まれる第2接着剤成分に対して相溶性を有していればよい。その理由、第3相溶性重合体成分の具体例、および第3相溶性重合体成分の含有量については、上述の第1相溶性重合体成分と同様であるため、ここでの説明は省略する。第1接着剤または第3接着剤が、第1接着剤成分または第3接着剤成分として、あるいは、第2接着剤または第3接着剤が、第2接着剤成分または第3接着剤成分として、エポキシ化合物、アクリル化合物、およびポリオール化合物のいずれかの硬化性有機化合物を含む場合、上記第3相溶性重合体成分による効果がより高く発揮され得る。
第3相溶性重合体成分の質量平均分子量は、上記第3接着剤成分の質量平均分子量、中でも硬化性有機化合物の質量平均分子量よりも大きくすることができる。その理由、具体的な質量平均分子量の範囲、およびその測定方法については、上述した第1相溶性重合体成分と同様であるため、ここでの説明は省略する。
第3接着剤に含まれる第3相溶性重合体成分と、第1接着剤に含まれる第1相溶性重合体成分とは、同一の成分であってもよく、異なる成分であってもよい。第1相溶性重合体成分および第3接着剤に含まれる第3相溶性重合体成分が同一の成分である場合には、同一の成分が最も相拡散がしやすいため、反応速度の点で有利である。第1相溶性重合体成分および第3接着剤に含まれる第3相溶性重合体成分が同一の成分である場合、上記アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体とすることができ、中でもアクリル系共重合体またはその変性物とすることができ、特にMMA−BA−MMA共重合体またはその変性物とすることができる。また、上記アクリル重合体は、中でも所定の第1重合体部分および第2重合体部分を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体またはその変性物とすることができる。その理由については、上述の第1相溶性重合体成分の項で説明した理由と同様である。
また、第3接着剤に含まれる第3相溶性重合体成分と、第2接着剤に含まれる第2相溶性重合体成分とは、同一の成分であってもよく、異なる成分であってもよい。第2相溶性重合体成分および第3接着剤に含まれる第3相溶性重合体成分が同一の成分である場合については、第1相溶性重合体成分および第3接着剤に含まれる第3相溶性重合体成分が同一の成分である場合と同様とすることができる。
5.その他の成分
第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤は他に、シリカやガラスビーズ等の無機粒子や、連鎖移動剤、難燃剤、増粘剤、放熱剤、絶縁剤、導電剤、強度向上のための繊維(特にチョップド繊維等)、シリコーン化合物等の粘着付与剤、酸化防止剤、反応抑制剤等の任意の成分を含んでいてもよい。
第1接着剤および第2接着剤がシート状である場合、着色剤を含んでいてもよい。着色剤を入れて一方の接着剤を着色することで、他方の接着剤との判別を容易にすることができ、施工時の作業ミスを防ぐことができる。また、第1接着剤および第2接着剤がシート状である場合、第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤が着色剤を含んでいてもよい。この場合、接着シートの識別を容易とする観点から、第1接着剤に含まれる着色剤と、第2接着剤に含まれる着色剤と、第3接着剤に含まれる着色剤とは、色が異なることができる。すなわち、第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤は、それぞれ異なる色を有することができる。また、図2に例示するように、部材上に第1接着剤と第3接着剤と第2接着剤とを順に積層する場合や、図示しないが、部材上に第2接着剤と第3接着剤と第1接着剤とを順に積層する場合には、第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤の少なくとも1つが着色剤を含むことにより、視認性を高めることができ、接着剤を適用した箇所の確認が容易になるとともに、接着剤を適用する部材を保護することができる。例えば、接着剤セットをインフラ構造物の補修または補強に用いる場合には、補修または補強した箇所がどこであるかを遠くからでも視認しやすくなったり、また着色剤を含むことでシート状の接着剤を貼付する下地を保護したりすることができるようになる。着色剤としては、例えば、カーボンブラック等の顔料、染料等が挙げられる。中でも接着剤は顔料を含むことができる。着色剤として顔料を含むことで、顔料に紫外線を吸収させて部材の紫外線劣化を防ぐことができるからである。
また、図2に例示するように、部材上に第1接着剤と第3接着剤と第2接着剤とを順に積層する場合には、第3接着剤および第2接着剤の少なくとも一方は、例えば、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、赤外線反射剤等の耐候剤を含むことができる。また、部材上に第2接着剤と第3接着剤と第1接着剤とを順に積層する場合には、第3接着剤および第1接着剤の少なくとも一方は、上記の耐候剤を含むことができる。これにより、部材を保護したり、硬化後の接着剤の経時劣化を抑制したりすることができる。
第1接着剤が液状である場合、第1接着剤は必要に応じて溶剤を含むことができる。また、第2接着剤が液状である場合、第2接着剤は必要に応じて溶剤を含むことができる。
D.シート状の第1接着剤
シート状の第1接着剤については、上述の「B.第1接着剤および第2接着剤」に記載したので、ここでの説明は省略する。
シート状の第1接着剤は、例えば2液分別塗布型接着剤の2種類の液状材料の一方、具体的には、液状の第1接着剤を、第1セパレータの片面に塗布し、乾燥することで形成することができる。液状の第1接着剤の塗布方法は特に限定されず、公知の印刷法やコーティング法を用いることができる。また、塗布層の乾燥条件は、塗布層中に含まれている溶剤を十分揮発させることができる程度の条件で行うことができ、組成に応じて適宜設定することができる。
シート状の第1接着剤の少なくとも一方の面側には第1セパレータが配置されていてもよい。第1セパレータについては、上記第3セパレータと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。また、被着体の被着面が粗面である場合は、第1セパレータが柔軟性を有することができる。シート状の第1接着剤を被着体に貼り合わせる際に、シート状の第1接着剤の伸びに第1セパレータも追従することが可能となるからである。このような第1セパレータとしては、例えばPEフィルム等が適している。
第1接着剤がシート状である場合、第1接着剤は、第1接着剤の少なくとも一方の面側に第1セパレータを配置して、第1接着シートを構成することができる。
第1接着シートは、液状の第1接着剤を第1セパレータの片面に塗布し乾燥してシート状の第1接着剤を形成後、シート状の第1接着剤上に他の第1セパレータを配置することで、シート状の第1接着剤の両面に第1セパレータを有することも可能である。
シート状の第1接着剤および第1接着シートは、枚葉であってもよく、長尺であってもよい。
E.シート状の第2接着剤
第2接着剤は、第2セパレータの少なくとも一方の面側に設けられている場合、例えば第2セパレータの少なくとも一方の面側に全面に設けられていてもよく、パターン状に設けられていてもよい。
シート状の第2接着剤24は、第2セパレータの少なくとも一方の面側に全面に設けられている場合、図8(a)、(b)に例示するように、シート状の第2接着剤24を厚み方向に切断する切込部H2を有し、この切込部H2により画定される複数の第1接着部24aを有していてもよい。この場合には、接着剤セットを用いて第1部材および第2部材を接着する場合において、図9に例示するように、予め各第1接着部24aにそれぞれ第2部材2を貼り合せて、第2接着シート付部材30を準備することができる。シート状の第2接着剤は位置精度や厚み精度が良いため、第2部材および第1接着部を精度良く貼り合せることができる。また、シート状の第2接着剤は第3接着剤と接触するまでは硬化反応が進まないことから、予め第2接着シート付部材を作製し、第3接着剤と貼り合せる前まで長期間、分別保管することができ、貼り合せるタイミングに応じて、第2接着シート付部材を使用することができる。また、1つのシート状の第2接着剤を複数の物品の製造に使用することができる。なお、図8(b)は図8(a)のA−A線断面図である。
上記の場合、シート状の第2接着剤は切込部によって厚み方向に切断されており、複数の第1接着部はそれぞれ切込部によって画定される。切込部により画定される第1接着部の大きさおよび形状としては、被着体の被着面の大きさおよび形状に応じて適宜調整される。
また、上記の場合、シート状の第2接着剤の少なくとも一方の面側には第2セパレータが配置される。第2接着剤の片面に第2セパレータが配置されている場合には、第2接着剤は切込部によって厚み方向に切断されているが、第2セパレータは切断されないようにすることができる。また、第2接着剤の両面に第2セパレータが配置されている場合、一方の第2セパレータは切断されないようにすることができ、他方の第2セパレータは第2接着剤と同じ位置で厚み方向に切断されていてもよく、切断されていなくてもよい。
また、シート状の第2接着剤は、図10(a)、(b)に例示するように、シート状の第2接着剤24が第2セパレータ23の少なくとも一方の面側にパターン状に設けられている場合、パターン状の複数の第2接着部24bを有することができる。この場合にも、接着剤セットを用いて第1部材および第2部材を接着する場合において、図11に例示するように、予め各第2接着部24bにそれぞれ第2部材2を貼り合せて、第2接着シート付部材30を準備することができる。そのため、上記の場合と同様の利点を有する。なお、図10(b)は図10(a)のA−A線断面図である。
ここで、パターン状の第2接着部とは、第2セパレータの少なくとも一方の面側において、シート状の第2接着剤が設けられている部分と、シート状の第2接着剤が設けられていない部分とを有する状態をいう。
上記の場合、第2接着部の大きさおよび形状としては、被着体の被着面の大きさおよび形状に応じて適宜調整される。
シート状の第2接着剤のその他の点については、上述の「B.第1接着剤および第2接着剤」に記載したので、ここでの説明は省略する。
シート状の第2接着剤は、例えば2液分別塗布型接着剤の2種類の液状材料の一方、具体的には、液状の第2接着剤を、第2セパレータの片面に塗布し、乾燥することで形成することができる。液状の第2接着剤の塗布方法は特に限定されず、公知の印刷法やコーティング法を用いることができる。シート状の第2接着剤を第2セパレータの片面にパターン状に形成する場合には、第2セパレータの片面に液状の第2接着剤をパターン状に塗布すればよい。このような塗布方法としても特に限定されず、公知の印刷法やコーティング法を用いることができる。また、塗布層の乾燥条件は、塗布層中に含まれている溶剤を十分揮発させることができる程度の条件で行うことができ、組成に応じて適宜設定することができる。
また、シート状の第2接着剤に切込部を形成する場合、切込部の形成方法としては、上記第3接着剤に切込部を形成する場合と同様とすることができる。
シート状の第2接着剤の少なくとも一方の面側には第2セパレータが配置されていてもよい。第2セパレータについては、上記第3セパレータおよび上記第1セパレータと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
第1セパレータと第2セパレータと第3セパレータとは、それぞれ同一色であってもよく、異なる色を有していてもよい。中でも、第1セパレータと第2セパレータと第3セパレータとは、それぞれ異なる色を有することができる。第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤の判別が容易になるからである。
第2接着剤がシート状である場合、第2接着剤は、第2接着剤の少なくとも一方の面側に第2セパレータを配置して、第2接着シートを構成することができる。
第2接着シートは、液状の第2接着剤を第2セパレータの片面に塗布し乾燥してシート状の第2接着剤を形成後、シート状の第2接着剤上に他の第2セパレータを配置することで、シート状の第2接着剤の両面に第2セパレータを有することも可能である。
シート状の第2接着剤および第2接着シートは、枚葉であってもよく、長尺であってもよい。
II.物品の製造方法
次に、本開示の接着剤セットを用いた物品の製造方法について、例を挙げて説明する。
A.物品の製造方法の第1実施形態
物品の製造方法の第1実施形態は、第2部材を用いず、第1部材上に第1接着剤と第3接着剤と第2接着剤とを順に積層する例である。
図2は、接着剤セットを用いた物品の製造方法の第1実施形態の一例を示す工程図である。まず、第1部材1に、液状の第1接着剤22aを塗布する(図2(a)、第1工程)。また、第1工程では、液状の第1接着剤に代えて、シート状の第1接着剤を用いてよく、図3(a)に示すように、第1接着シート11のシート状の第1接着剤22の一方の面が貼り合されている、第1接着シート付部材20を準備してもよい。次に、第1部材1の液状の第1接着剤22aの塗布面に、第3接着剤26の第1面26aを貼り合せる(図2(b)、第2工程)。また、第1工程において、液状の第1接着剤に代えて、シート状の第1接着剤を用いる場合、第2工程では、図3(c)に示すように、第1接着シート付部材20のシート状の第1接着剤22の他方の面に、第3接着剤26の第1面26aを貼り合せてもよい。この際、シート状の第1接着剤22の他方の面に第1セパレータ21が配置されている場合は、第1セパレータ21を剥離して行う。第1接着剤22aおよび第3接着剤26の第1面26aは、互いに接触することにより、硬化することができる。次に、第1部材1上に配置された第3接着剤26の第2面26bに、第2接着シート12のシート状の第2接着剤24の一方の面を貼り合せる(図2(c)、第3工程)。この際、第3接着剤26の第2面26bに第3セパレータ25が配置されている場合は、第3セパレータ25を剥離して行う。また、シート状の第2接着剤24の被接着部材4とは反対側の面に、第2接着シート12の第2セパレータ23が配置されている場合は、第2セパレータ23を剥離してもよい。また、第3工程では、シート状の第2接着剤に代えて、液状の第2接着剤を用いてよく、図示しないが、第1部材1上に配置された第3接着剤26の第2面26に、液状の第2接着剤を塗布してもよい。第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bは、互いに接触することにより、硬化することができる。第3工程において、図2(d)に示すように、第1接着剤22aおよび第3接着剤26の第1面26aは、接触による硬化反応が完了することで強い接着力を発現した第1硬化接着層3aとなる。また、第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bは、接触による硬化反応が完了することで強い接着力を発現した第2硬化接着層3bとなる。そして、第1硬化接着層3aおよび第2硬化接着層3bを介して第1部材1および被接着部材4を強固に貼り合せることができる。これにより、第1部材1、第1硬化接着層3a、被接着部材4、および第2硬化接着層3bを有する物品10が得られる。なお、図2(c)中のPは、第1接着剤22aおよび第3接着剤26の第1面26aの接触により硬化した領域(第1硬化領域)を示す。
以下、本実施形態の物品の製造方法における各工程について説明する。
1.第1工程
第1実施形態の第1工程は、第1部材に、第1接着剤を配置する工程である。液状の第1接着剤を用いる場合、第1工程は、第1部材に、液状の第1接着剤を塗布する工程である。また、シート状の第1接着剤を用いる場合、第1工程は、第1部材に、シート状の第1接着剤の一方の面が貼り合されている、第1接着シート付部材を準備する工程である。以下、液状の第1接着剤を用いる場合と、シート状の第1接着剤を用いる場合とに分けて説明する。
(1)液状の第1接着剤を用いる場合
液状の第1接着剤の塗布方法は特に限定されず、公知の印刷法やコーティング法を用いることができる。また、液状の第1接着剤を塗布した後、乾燥させてもよい。乾燥条件は、第1接着剤中に含まれている溶剤を十分揮発させることができる程度の条件で行うことができ、組成に応じて適宜設定することができる。
液状の第1接着剤は、第1部材にベタ塗りしてもよく、パターン状に塗布してもよい。中でも、作業性の面から、ベタ塗りとすることができる。
また、液状の第1接着剤を塗布する領域の大きさは、後述の第2工程での第3接着剤の被着面の大きさと同じであってもよく、それよりも大きくてもよい。中でも、液状の第1接着剤は、シート状の接着剤と比較して位置精度に劣ることから、第1接着剤を塗布する領域の大きさは、第3接着剤の被着面の大きさよりも大きくすることができる。特に、第1部材が第3接着剤中に含まれる被接着部材よりも大きい場合には、液状の第1接着剤を塗布する領域の大きさは、第3接着剤の被着面の大きさよりも大きくすることができる。この場合、液状の第1接着剤において第3接着剤と接触しない部分は硬化接着層にならないが、経時的に取れてしまうと考えられる。
また、液状の第1接着剤の塗布層は、硬化前に粘着性を有していてもよく、有さなくてもよいが、粘着性を有することができる。
液状の第1接着剤の塗布層の厚みは、第1部材の種類等に応じて適宜設定することができる。液状の第1接着剤の塗布層の厚みは、上述の「I.接着剤セット」に記載したシート状の第1接着剤の厚みと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、液状の第1接着剤の塗布層および第3接着剤の第1面となる部分の厚みは、同じであってもよく、異なっていてもよい。なお、液状の第1接着剤の塗布層および第3接着剤の第1面となる部分の厚みが異なる場合については、上述の「I.接着剤セット」に記載したシート状の第1接着剤および第3接着剤の厚みが異なる場合と同様であるので、ここでの説明は省略する。
(2)シート状の第1接着剤を用いる場合
第1工程では、第1部材にシート状の第1接着剤が予め貼合されている第1接着シート付部材を準備してもよい。既製の第1接着シート付部材を用いることで、物品の製造に際し、第1接着シート付部材を作製する必要がなく、時間の短縮を図ることができるからである。
また、第1工程は、第1セパレータと第1セパレータの少なくとも一方の面側に設けられたシート状の第1接着剤とを有する第1接着シートを用い、シート状の第1接着剤の第1セパレータが配置されていない面を第1部材に貼合する第1接着シート貼合工程を有していてもよい。
第1部材と第1接着シートとの貼合方法は、第1接着シートの形態に応じて適宜選択することができる。シート状の第1接着剤の片面に第1セパレータが配置された第1接着シートを用いる場合であれば、例えば、シート状の第1接着剤を巻内面としてロール状に巻回された第1接着シートロールを用い、第1接着シートロールから必要量を巻き出して、シート状の第1接着剤側を第1部材に配置した後、切断して貼り合せることができる。また、シート状の第1接着剤の両面に第1セパレータが配置された第1接着シートを用いる場合であれば、枚葉の第1接着シートを用い、第1接着シートの一方の第1セパレータを剥離してシート状の第1接着剤を露出させ、その上に第1部材を貼り合せることができる。
第1接着シート貼合工程において、第1接着シートは第1部材の被着面全域に貼り合せてもよく、第1部材の被着面の周縁に枠形状に貼り合せてもよい。第1接着シートを貼り合せる際は、スキージ等を用いて第1部材と第1接着シートのシート状の第1接着剤との接着面に気泡が入らないようにすることができる。
第1接着シート貼合工程において、シート状の第1接着剤が粘着性を有する場合は、アイロンなどを用いて加熱圧着して貼り合わせてもよく、軽く振動を与えながらローラーを用いて加圧して貼り合わせてもよい。第1接着剤が第1部材の隙間に入り込みやすくなり、第1接着シートと第1部材との貼合強度を高めることができる。
さらに、第1接着シート貼合工程においては、シート状の第1接着剤が所定の粘着力を有する場合、第1部材の貼り合せ位置を決める位置決め工程を有することが可能である。シート状の第1接着剤が所望の粘着力を示すことで、第2工程を行う際に第3接着剤の貼り合せ位置が所望の位置となるように、第1工程において第1部材上で第1接着シートを貼り直すことが可能となるからである。例えば、シート状の第1接着剤が所望の粘着力を示せば、第1工程は、第1接着シート貼合工程と、第3接着剤の貼り合せ位置を決める位置決め工程と、の両方を含むことができる。このとき、第1接着シートと貼り合せる第1部材は、固定部材とすることができる。例えば、接着剤セットをインフラ構造物に適用する場合、第1部材は対象となるインフラ構造物とすることができる。
2.第2工程
第1実施形態の第2工程は、第1部材上に配置された第1接着剤に、第3接着剤の一方の面を接触させる工程である。上記第1工程にて液状の第1接着剤を用いる場合、第2工程は、第1部材の液状の第1接着剤の塗布面に、第3接着剤の一方の面を貼り合せる工程である。また、上記第1工程にてシート状の第1接着剤を用いる場合、第2工程は、第1接着シート付部材のシート状の第1接着剤の他方の面に、第3接着剤の一方の面を貼り合せる工程である。なお、第3接着剤が一部に被接着部材を含む場合、第2工程は、第1部材上に配置された第1接着剤に、第3接着剤の第1面を接触させる工程となる。
第3接着剤において、第3接着剤の一方の面に第3セパレータが配置されている場合は、第3セパレータを剥離し、露出した第3接着剤の表面と、第1接着シート付部材のシート状の第1接着剤の他方の面とを貼り合せる。また、第1接着シート付部材において、シート状の第1接着剤の第1部材側とは反対側に第1セパレータが配置されている場合は、上記第1接着シート付部材の第1セパレータを剥離し、露出した上記シート状の第1接着剤の表面と、第3接着剤の一方の面とを貼り合せる。
第1部材の液状の第1接着剤の塗布面または第1接着シート付部材のシート状の第1接着剤の他方の面と、第3接着剤の一方の面との貼り合せ方法としては、特に限定されない。例えば、第1部材の液状の第1接着剤の塗布面または第1接着シート付部材のシート状の第1接着剤と、第3接着剤とを向かい合わせて、直上方向から貼り合せる方法を用いることができる。また、他の貼り合せ方法としては、シート状の第1接着剤および第3接着剤の少なくとも一方が低粘性または高粘性を示す場合、第1接着シート付部材のシート状の第1接着剤と、第3接着剤とを向かい合わせて、一方を他方の被着面に対して平行方向にスライド移動させて貼り合せることができる。上記の貼り合せ方法は、第1部材が固定されており、第1接着シート付部材と第3接着剤との貼り合せ面が、水平面に対して、−45度以上+45度以下の範囲内、中でも−30度以上+30度以下の範囲内、特に−15度以上+15度以下の範囲内である場合に適している。
また、例えば、第3接着剤の片面に第3セパレータが配置され、第3接着剤を巻内面としてロール状に巻回された第3接着シートロールを用い、第3接着シートロールから必要量巻き出して、第3接着シートロールの第3接着剤を第1部材の液状の第1接着剤の塗布面または第1接着シート付部材のシート状の第1接着剤に貼合した後、切断する方法を用いることができる。また、例えば、第3接着剤が多面付け第3接着剤である場合には、多面付け第3接着剤側を第1部材に配置した後、切断して貼り合せることができる。さらに、第3接着剤の両面に第3セパレータが配置された枚葉の第3接着剤を用い、第3接着剤の一方の第3セパレータを剥離して、露出した第3接着剤と第1部材の液状の第1接着剤の塗布面または第1接着シート付部材のシート状の第1接着剤とを貼り合せる方法を用いることができる。
また、第3接着剤は、第3セパレータの少なくとも一方の面側に配置され、第3接着剤を厚み方向に切断する切込部を有し、切込部により画定される接着部を有していてもよい。この場合、第3接着剤は、1つの接着部を有していてもよく、図6(a)、(b)に例示するように複数の接着部26cを有していてもよい。例えば、図6(a)、(b)に例示するように第3接着剤26の両面に第3セパレータ25が配置されている場合には、一方の第3セパレータ25から接着部26cおよび他方の第3セパレータ25を剥離して、第1部材の液状の第1接着剤の塗布面または第1接着シート付部材のシート状の第1接着剤に貼り合せることができる。
また、第3接着剤は、第3セパレータの少なくとも一方の面側にパターン状に設けられており、パターン状の接着部26cを有していてもよい。この場合、第3接着剤は、1つの接着部を有していてもよく、図7(a)、(b)に例示するように複数の接着部26cを有していてもよい。例えば、図7(a)、(b)に例示するように第3接着剤26の両面に第3セパレータ25が配置されている場合には、一方の第3セパレータ25から接着部26cおよび他方の第3セパレータ25を剥離して、第1部材の液状の第1接着剤の塗布面または第1接着シート付部材のシート状の第1接着剤に貼り合せることができる。
また、第1部材の液状の第1接着剤の塗布面または第1接着シート付部材のシート状の第1接着剤と第3接着剤との貼合に際し、第1接着剤および第3接着剤の粘着力の強弱に応じて、一方を貼り直すことが可能である。
本工程において、第1接着剤および第3接着剤は、接触により硬化反応が進むが、後述する第3工程前に硬化が完了しないようにすることができる。第2接着剤を第3接着剤との接触により硬化させることが困難になる場合があるからである。なお、第3接着剤が一部に被接着部材を含んでおり、図5(a)に示すように被接着部材4によって第1面26aとなる部分と第2面26bとなる部分とが区切られている場合には、第1接着剤および第3接着剤は、後述の第3工程前に硬化が完了してもよく、完了しなくてもよい。
3.第3工程
第1実施形態の第3工程は、第1部材上に配置された第3接着剤の他方の面に、第2接着剤を接触させる工程である。シート状の第2接着剤を用いる場合、第3工程は、第1部材上に配置された第3接着剤の他方の面に、シート状の第2接着剤の一方の面を貼り合せる工程である。また、液状の第2接着剤を用いる場合、第3工程は、第1部材上に配置された第3接着剤の他方の面に、液状の第2接着剤を塗布する工程である。なお、第3接着剤が一部に被接着部材を含む場合、第3工程は、第1部材上に配置された第3接着剤の第2面に、第2接着剤を接触させる工程となる
第1部材上に配置された第3接着剤において、第3接着剤の他方の面に第3セパレータが配置されている場合は、第3セパレータを剥離し、露出した第3接着剤の表面に、第2接着剤を接触させる。
以下、シート状の第2接着剤を用いる場合と、液状の第2接着剤を用いる場合とに分けて説明する。
(1)シート状の第2接着剤を用いる場合
第1部材上に配置された第3接着剤の他方の面と、シート状の第2接着剤の一方の面とを貼り合せる方法としては、特に限定されない。例えば、シート状の第2接着剤の片面に第2セパレータが配置され、シート状の第2接着剤を巻内面としてロール状に巻回された第2接着シートロールを用い、第2接着シートロールから必要量巻き出して、シート状の第2接着剤を、第1部材上に配置された第3接着剤に貼合した後、切断する方法を用いることができる。また、シート状の第2接着剤の両面に第2セパレータが配置された枚葉の第2接着シートを用い、第2接着シートの一方の第2セパレータを剥離して、露出したシート状の第2接着剤と、第1部材上に配置された第3接着剤とを貼り合せる方法を用いることができる。
また、シート状の第2接着剤を第1部材上に配置された第3接着剤に貼合する際に、第3接着剤および第2接着剤の粘着力の強弱に応じて、貼り直しが可能となる。
(2)液状の第2接着剤を用いる場合
液状の第2接着剤の塗布方法は特に限定されず、公知の印刷法やコーティング法を用いることができる。また、液状の第2接着剤を塗布した後、乾燥させてもよい。乾燥条件は、第2接着剤中に含まれている溶剤を十分揮発させることができる程度の条件で行うことができ、組成に応じて適宜設定することができる。
液状の第2接着剤の塗布層の厚みは、適宜設定することができる。液状の第2接着剤の塗布層の厚みは、上述の「I.接着剤セット」に記載したシート状の第2接着剤の厚みと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、液状の第2接着剤の塗布層および第3接着剤の第2面となる部分の厚みは、同じであってもよく、異なっていてもよい。なお、液状の第2接着剤の塗布層および第3接着剤の第2面となる部分の厚みが異なる場合については、上述の「I.接着剤セット」に記載したシート状の第2接着剤および第3接着剤の厚みが異なる場合と同様であるので、ここでの説明は省略する。
(3)第3工程
本工程は、第2工程において第1接着剤および第3接着剤を接触させてから、養生時間内に行うことができる。中でも、本工程は、第1接着剤および第3接着剤が接触してから0.5時間以内に行うことができる。第2接着剤を第3接着剤との接触により硬化させることが困難になる場合があるからである。
第1接着剤および第3接着剤、ならびに第2接着剤および第3接着剤は、接触により硬化反応を生じることができる。第1接着剤および第3接着剤、ならびに第2接着剤および第3接着剤の硬化温度は、常温を含むことができ、例えば5℃以上180℃以下の範囲内で設定することができる。なお、常温とは23℃をいう。硬化温度が常温を含むことで、加熱や冷却を行わなくてもよいようにできるため、物品の製造を簡便にすることができる。
また、第1部材上に配置された第3接着剤の他方の面に、第2接着剤を接触させた後、加熱して硬化反応を促進させてもよい。加熱温度は、第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤の組成に応じて適宜設定することができるが、例えば、30℃以上120℃以下の範囲内とすることができ、中でも40℃以上80℃以下の範囲内とすることができる。加熱温度が高すぎると、接着剤のフロー性が大きくなり、接着剤が被着面からはみ出してしまい、はみ出た状態で硬化が進むことで外観不良の原因となる場合があるからである。また、低分子の単量体成分等、接着剤に含まれる成分によっては、高温下で臭気が発生する。一方、加熱温度が低すぎると、硬化促進効果があまり得られず、工程時間の短縮が図りにくい場合がある。
また、第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤は、接触後、所望の時間養生させることができる。第1接着剤に含有される成分、第2接着剤に含有される成分および第3接着剤に含有される成分の拡散が進み、十分に硬化させることで強い接着力を発現することができるからである。養生時間は、第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤の組成に応じて適宜設定することができるが、例えば、0.5時間以上72時間以下の範囲内とすることができる。養生時間が短すぎても、貼り合わせのやり直しがきかず、一方、養生時間が長すぎても、工程時間が伸びてしまう。
第1接着剤、第3接着剤および第2接着剤は、接触による硬化反応が完了すると、硬化接着層となる。硬化接着層は、第1接着剤に含まれる第1接着剤成分および第3接着剤に含まれる第3接着剤成分が反応して硬化し、また第2接着剤に含まれる第2接着剤成分および第3接着剤に含まれる第3接着剤成分が反応して硬化してなる硬化物層である。硬化接着層は、単一層であってもよいし、第1接着剤と第3接着剤と第2接着剤との接触界面が残存していてもよい。
また、第3接着剤が一部に被接着部材を含む場合、第1接着剤および第3接着剤の第1面は、接触による硬化反応が完了すると、第1硬化接着層となる。第1硬化接着層は、第1接着剤に含まれる第1接着剤成分および第3接着剤の第1面に含まれる第3接着剤成分が反応して硬化してなる硬化物層である。第1硬化接着層は、単一層であってもよいし、第1接着剤および第3接着剤の接触界面が残存していてもよい。同様に、上記の場合、第2接着剤および第3接着剤の第2面は、接触による硬化反応が完了すると、第2硬化接着層となる。第2硬化接着層は、第2接着剤に含まれる第2接着剤成分および第3接着剤の第2面に含まれる第3接着剤成分が反応して硬化してなる硬化物層である。第2硬化接着層は、単一層であってもよいし、第2接着剤および第3接着剤の接触界面が残存していてもよい。
硬化接着層、ならびに第1硬化接着層および第2硬化接着層は、その強い接着力をもって第1部材と被接着部材とを強固に貼り合せることができ、その状態を長時間保持可能な接着力を有することができ、中でも、せん断強度を高くすることができる。経時でせん断応力が掛る場合であっても、第1部材と被接着部材との固定を長期間保持することができ、被接着部材の剥がれを抑制することができるからである。
B.物品の製造方法の第2実施形態
物品の製造方法の第2実施形態は、第2部材を用いず、第3接着剤の両面にそれぞれシート状の第1接着剤およびシート状の第2接着剤を貼り合せた後、第3接着剤上に配置されたシート状の第1接着剤を第1部材に貼り合せる例である。
図12は、接着剤セットを用いた物品の製造方法の第2実施形態の一例を示す工程図である。まず、第1接着シート11のシート状の第1接着剤22の一方の面と、第3接着剤26の第1面26aとが貼り合わされてなる、第1多層接着シート40aを準備する(図12(a)、第1工程)。次に、第1多層接着シート40aの第3接着剤26の第2面26bと、第2接着シート12のシート状の第2接着剤24の一方の面とが貼り合わされてなる、第2多層接着シート40bを準備する(図12(b)、第2工程)。次に、第2多層接着シート40bのシート状の第1接着剤22の他方の面を、第1セパレータ21を剥離して、第1部材1に貼り合せる(図12(c)、第3工程)。この際、シート状の第2接着剤24の被接着部材4とは反対側の面に、第2接着シート12の第2セパレータ23が配置されている場合は、第2セパレータ23を剥離してもよい。第2多層接着シート40bにおいて、第1接着剤22および第3接着剤26の第1面26aは、互いに接触しており、第3工程中に、第1接着剤22中の成分と第3接着剤26の第1面26a中の成分とが拡散して、硬化反応が生じ、強い接着力を発現することができる。また、第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bは、互いに接触しており、第3工程中に、第2接着剤24中の成分と第3接着剤26の第2面26b中の成分とが拡散して、硬化反応が生じ、強い接着力を発現することができる。第1接着剤22および第3接着剤26の第1面26aは、硬化反応の完了により第1硬化接着層3aとなり、第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bは、硬化反応の完了により第2硬化接着層3bとなり(図12(d))、第1硬化接着層3aおよび第2硬化接着層3bを介して第1部材1および被接着部材4を強固に貼り合せることができる。これにより、第1部材1、第1硬化接着層3a、被接着部材4および第2硬化接着層3bを有する物品10が得られる。なお、図12(c)、(d)中のPは、第1接着剤22aおよび第3接着剤26の第1面26aの接触により硬化した領域(第1硬化領域)を示し、Qは、第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bの接触により硬化した領域(第2硬化領域)を示す。
以下、本実施形態の物品の製造方法における各工程について説明する。
1.第1工程
第2実施形態の第1工程は、シート状の第1接着剤を用い、シート状の第1接着剤の一方の面と、第3接着剤の一方の面とが貼り合わされてなる第1多層接着シートを準備する工程である。なお、第3接着剤が一部に被接着部材を含む場合、第1工程は、シート状の第1接着剤の一方の面と、第3接着剤の第1面とが貼り合わされてなる第1多層接着シートを準備する工程となる。
第1多層接着シートは、シート状の第1接着剤と第3接着剤との接着界面において、第1硬化領域を有していてもよい。第1硬化領域とは、第1接着剤および第3接着剤のそれぞれに含有される成分が拡散して硬化した領域をいう。
本工程においては、別工程にてシート状の第1接着剤と第3接着剤とが予め貼合された第1多層接着シートを準備してもよい。また、本工程は、シート状の第1接着剤と第3接着剤とを貼り合せて、第1多層接着シートを形成する第1多層接着シート形成工程を有していてもよい。
第1多層接着シート形成工程では、例えば、シート状の第1接着剤の両面に第1セパレータが配置された第1接着シートと、第3接着剤の両面に第3セパレータが配置された第3接着シートとを準備し、第1接着シートの一方の第1セパレータおよび第3接着シートの一方の第3セパレータをそれぞれ剥離して、露出したシート状の第1接着剤および第3接着剤を貼合して、第1多層接着シートを準備することができる。
また、第1多層接着シート形成工程では、例えば、シート状の第1接着剤の片面に第1セパレータが配置され、シート状の第1接着剤を巻内面としてロール状に巻回された第1接着シートロールと、第3接着剤の片面に第3セパレータが配置され、第3接着剤を巻内面としてロール状に巻回された第3接着シートロールとを準備し、それぞれ巻き出して、第1接着シートのシート状の第1接着剤および第3接着シートの第3接着剤を貼合して、第1多層接着シートを準備することができる。貼合後は、所望の形状に切り出してもよい。
シート状の第1接着剤および第3接着剤の貼合は、作業者が手作業で行ってもよく、ロールラミネーター(例えば、フジプラ株式会社製 ラミパッカーLPP4513)等を使用して機械的、連続的に行ってもよい。
また、シート状の第1接着剤および第3接着剤の貼合に際し、シート状の第1接着剤および第3接着剤の粘着力の強弱に応じて、貼り直しが可能となる。
第1多層接着シートを準備後、すぐに後述する第2工程および第3工程を行わない場合は、第1多層接着シートは、第1接着剤および第3接着剤の接触による硬化反応が進行しないように、低温環境下で保管することができる。上記低温環境下とは5℃以下の環境下をいい、第1多層接着シートは、中でも−20℃以上5℃以下の冷蔵庫もしくは冷凍庫に保管することができる。
本工程において、第1接着剤および第3接着剤は、接触により硬化反応が進むが、後述する第3工程前に硬化が完了しないようにすることができる。第1接着剤に第1部材を貼り合せることが困難となるからである。
2.第2工程
第2実施形態の第2工程は、シート状の第2接着剤を用い、第1多層接着シートの第3接着剤の他方の面と、シート状の第2接着剤の一方の面とが貼り合わされてなる第2多層接着シートを準備する工程である。なお、第3接着剤が一部に被接着部材を含む場合、第2工程は、第1多層接着シートの第3接着剤の第2面と、第2接着シートのシート状の第2接着剤の一方の面とが貼り合わされてなる第2多層接着シートを準備する工程となる。
第2多層接着シートは、シート状の第2接着剤と第3接着剤との接着界面において、第2硬化領域を有していてもよい。第2硬化領域とは、第2接着剤および第3接着剤のそれぞれに含有される成分が拡散して硬化した領域をいう。
本工程においては、別工程にて第1多層接着シートの第3接着剤と第2接着シートのシート状の第2接着剤とが予め貼合された第2多層接着シートを準備してもよい。また、本工程は、第1多層接着シートの第3接着剤と、第2接着シートのシート状の第2接着剤とを貼り合せて、第2多層接着シートを形成する第2多層接着シート形成工程を有していてもよい。
第2多層接着シート形成工程では、例えば、両面にそれぞれ第1セパレータおよび第3セパレータを有する第1多層接着シートと、シート状の第2接着剤の両面に第2セパレータが配置された第2接着シートとを準備し、第1多層接着シートの第3セパレータおよび第2接着シートの一方の第2セパレータをそれぞれ剥離して、露出した第3接着剤およびシート状の第2接着剤を貼合して、第2多層接着シートを準備することができる。
また、第2多層接着シート形成工程では、例えば、シート状の第1接着剤の片面に第1セパレータが配置され、第3接着剤を巻内面としてロール状に巻回された第1多層接着シートロールと、シート状の第2接着剤の片面に第2セパレータが配置され、シート状の第2接着剤を巻内面としてロール状に巻回された第2接着シートロールとを準備し、それぞれ巻き出して、第1多層接着シートの第3接着剤および第2接着シートのシート状の第2接着剤を貼合し、所望の形状に切り出して、第2多層接着シートを準備することができる。
第1多層接着シートおよびシート状の第2接着剤の貼合は、作業者が手作業で行ってもよく、ロールラミネーター(例えば、フジプラ株式会社製 ラミパッカーLPP4513)等を使用して機械的、連続的に行ってもよい。
また、第1多層接着シートおよびシート状の第2接着剤の貼合に際し、第3接着剤およびシート状の第2接着剤の粘着力の強弱に応じて、貼り直しが可能となる。
第2多層接着シートを準備後、すぐに後述する第3工程を行わない場合は、第2多層接着シートは、第1接着剤および第3接着剤の接触による硬化反応が進行しないように、また第2接着剤および第3接着剤の接触による硬化反応が進行しないように、低温環境下で保管することができる。なお、低温環境下での保管については、上記第1工程における第1多層接着シートと同様であるので、ここでの説明は省略する。
3.第3工程
第2実施形態の第3工程は、第2多層接着シートのシート状の第1接着剤の他方の面に、第1部材を貼り合せる工程である。
第3工程では、第2多層接着シートにおいて、シート状の第1接着剤の他方の面に第1セパレータが配置されている場合は、第1セパレータを剥離して、露出したシート状の第1接着剤に、第1部材を貼合することができる。
第2多層接着シートのシート状の第1接着剤と、第1部材とを貼り合せる方法としては、特に限定されない。例えば、第1部材に対して、直上方向から第2多層接着シートを貼り合せることができる。また、他の貼り合せ方法としては、シート状の第1接着剤が低粘性または高粘性を示す場合、第1部材を固定し、固定された第1部材の被着面に対して第2多層接着シートを平行方向にスライド移動させて貼り合せることができる。上記の貼り合せ方法は、例えば第1部材の被着面が水平面に対して所定の角度となる場合に適している。
また、シート状の第1接着剤の粘着力または凝集力を調整することで、第1部材上で第2多層接着シートを貼り直して位置調整を行うことが可能である。
第3工程は、第1工程から、第1接着剤および第3接着剤の接触による硬化反応が完了するまでの間に行うことができる。第1接着剤および第3接着剤の硬化が進むと、第1部材を貼り合わせることが困難になる場合があるからである。第3工程は、第1工程および第2工程において、第1多層接着シートおよび第2多層接着シートが低温環境下に保管されない場合は、第1工程にて第1接着剤および第3接着剤が接触してから0.5時間以内に行うことができる。また、第3工程は、第1工程および第2工程において、第1多層接着シートおよび第2多層接着シートが低温環境下に保管されている場合は、低温環境下から解放されてから養生時間の間に行うことができる。
また、第2多層接着シートおよび第1部材を貼り合せた後、加熱して硬化反応を促進させてもよい。また、第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤は、接触後、所望の時間養生させることができる。硬化温度、加熱時間および養生時間については、上記第1実施形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、硬化接着層、第1硬化接着層および第2硬化接着層については、上記第1実施形態に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、第2実施形態の第3工程は、第2多層接着シートのシート状の第2接着剤の他方の面に、第2部材を貼り合せる工程であってもよい。この場合、第1部材を用いない物品の製造方法となる。
C.物品の製造方法の第3実施形態
物品の製造方法の第3実施形態は、接着剤セットを用いて第1部材および第2部材を接着する例である。
図3は、接着剤セットを用いた物品の製造方法の第3実施形態の一例を示す工程図である。まず、第1部材1の一方の面に、第1接着シート11のシート状の第1接着剤22の一方の面が貼り合されている、第1接着シート付部材20を準備する(図3(a)、第1工程)。また、第1工程では、シート状の第1接着剤に代えて、液状の第1接着剤を用いてもよく、図2(a)に示すように、第1部材1の一方の面に、液状の第1接着剤22aを塗布してもよい。また、別途、第2部材2の一方の面に、第2接着シート12のシート状の第2接着剤24の一方の面が貼り合されている、第2接着シート付部材30を準備する(図3(b)、第2工程)。また、第2工程では、シート状の第2接着剤に代えて、液状の第2接着剤を用いてもよく、図示しないが、第2部材の一方の面に、液状の第2接着剤を塗布してもよい。第1工程および第2工程は、順不同で行うことができる。次に、第1接着シート付部材20のシート状の第1接着剤22の他方の面に、第3接着剤26の第1面26aを貼り合せる(図3(c)、第3工程)。この際、シート状の第1接着剤22の他方の面に第1セパレータ21が配置されている場合は、第1セパレータ21を剥離して行う。また、第1工程において、シート状の第1接着剤に代えて、液状の第1接着剤を用いる場合、第3工程では、図2(b)に示すように、第1部材1の液状の第1接着剤22aの塗布面に、第3接着剤26の第1面26aを貼り合せてもよい。第1接着剤22および第3接着剤26の第1面26aは、互いに接触することにより、硬化することができる。次に、第1部材1上に配置された第3接着剤26の第2面26bと、第2接着シート付部材30のシート状の第2接着剤24の他方の面とを貼り合せる(図3(d)、第4工程)。この際、シート状の第2接着剤24の他方の面に第2セパレータ23が配置されている場合は、第2セパレータ23を剥離して行う。また、第3接着剤26の第2面26bに第3セパレータ25が配置されている場合は、第3セパレータ25を剥離して行う。また、第2工程において、シート状の第2接着剤を有する第2接着シートに代えて、液状の第2接着剤を用いる場合、第4工程では、図示しないが、第1部材上に配置された第3接着剤の第2面と、第2部材の液状の第2接着剤の塗布面とを貼り合せてもよい。第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bは、互いに接触することにより、硬化することができる。第4工程において、図3(e)に示すように、第1接着剤22および第3接着剤26の第1面26aは、接触による硬化反応が完了することで強い接着力を発現した第1硬化接着層3aとなる。また、第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bは、接触による硬化反応が完了することで強い接着力を発現した第2硬化接着層3bとなる。そして、第1硬化接着層3aおよび第2硬化接着層3bを介して第1部材1、被接着部材4および第2部材2を強固に貼り合せることができる。これにより、第1部材1、第1硬化接着層3a、被接着部材4、第2硬化接着層3b、および第2部材2を有する物品10が得られる。なお、図3(d)中のPは、第1接着剤22aおよび第3接着剤26の第1面26aの接触により硬化した領域(第1硬化領域)を示す。
以下、本実施形態の物品の製造方法における各工程について説明する。
1.第1工程
第3実施形態の第1工程は、第1部材に、第1接着剤を配置する工程である。液状の第1接着剤を用いる場合、第1工程は、第1部材に、液状の第1接着剤を塗布する工程である。また、シート状の第1接着剤を用いる場合、第1工程は、第1部材に、シート状の第1接着剤の一方の面が貼り合されている、第1接着シート付部材を準備する工程である。第1工程については、上記第1実施形態の第1工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
2.第2工程
第3実施形態の第2工程は、第2部材に、第2接着剤を配置する工程である。液状の第2接着剤を用いる場合、第2工程は、第2部材に、液状の第2接着剤を塗布する工程である。また、シート状の第2接着剤を用いる場合、第2工程は、第2部材に、シート状の第2接着剤の一方の面が貼り合されている、第2接着シート付部材を準備する工程である。
第1工程および第2工程は、順不同で行うことができる。一方、第1工程において、液状の第1接着剤を用い、第2工程において、シート状の第2接着剤を用いる場合には、第2工程を先に行うことができる。第2接着剤は第3接着剤と接触するまでは硬化反応が進まないことから、予め第2接着シート付部材を作製し、第4工程前まで長期間、分別保管することができ、第1部材および第2部材を貼り合せるタイミングに応じて、第2接着シート付部材を使用することができるからである。同様に、第1工程において、シート状の第1接着剤を用い、第2工程において、液状の第2接着剤を用いる場合には、第1工程を先に行うことができる。第1接着剤は第3接着剤と接触するまでは硬化反応が進まないことから、予め第1接着シート付部材を作製し、第3工程前まで長期間、分別保管することができ、第1接着シート付部材および第3接着剤を貼り合せるタイミングに応じて、第1接着シート付部材を使用することができるからである。
第2工程については、上記第1実施形態の第1工程において、第1部材および第1接着剤を、第2部材および第2接着剤にそれぞれ置き換えた場合とすることができるため、ここでの説明は省略する。
第2工程が、シート状の第2接着剤を有する第2接着シートを用い、シート状の第2接着剤の第2セパレータが配置されていない面を第2部材に貼合する第2接着シート貼合工程を有する場合において、シート状の第2接着剤は、シート状の第2接着剤を厚み方向に切断する切込部を有し、切込部により画定される第1接着部を有していてもよい。この場合、第2接着シート貼合工程では、第1接着部の一方の面に、第2部材を貼り合せることができる。この場合、第2接着剤は、1つの第1接着部を有していてもよく、図8(a)、(b)に例示するように複数の第1接着部24aを有していてもよい。第2接着剤が複数の第1接着部を有する場合、第2接着シート貼合工程では、図9に例示するように、複数の第2接着部24aの第2セパレータ23が配置されていない面に、複数の第2部材2をそれぞれ貼り合せることができる。シート状の第2接着剤は位置精度や厚み精度が良いことから、第2部材および第1接着部を精度良く貼り合せることができる。
また、第2工程が第2接着シート貼合工程を有する場合、第2接着シート貼合工程では、第2接着剤の一方の面に、複数の第2部材を貼り合せて、多面付け第2接着シート付部材を作製してもよい。
さらに、第2工程が第2接着シート貼合工程を有する場合、第2接着剤は、パターン状の第2接着部を有していてもよい。この場合、第2接着シート貼合工程では、第2接着部の一方の面に、第2部材を貼り合せることができる。この場合、第2接着剤は、1つの第2接着部を有していてもよく、図10(a)、(b)に例示するように複数の第2接着部24bを有していてもよい。第2接着剤が複数の第2接着部を有する場合、第2接着シート貼合工程では、図11に例示するように、複数の第2接着部24bの第2セパレータ23が配置されていない面に、複数の第2部材2をそれぞれ貼り合せることができる。この場合、上記の場合と同様に、第2部材および第2接着部を精度良く貼り合せることができる。
3.第3工程
第3実施形態の第3工程は、第1部材上に配置された第1接着剤に、第3接着剤の一方の面を接触させる工程である。上記第1工程にて液状の第1接着剤を用いる場合、第2工程は、第1部材の液状の第1接着剤の塗布面に、第3接着剤の一方の面を貼り合せる工程である。また、上記第1工程にてシート状の第1接着剤を用いる場合、第2工程は、第1接着シート付部材のシート状の第1接着剤の他方の面に、第3接着剤の一方の面を貼り合せる工程である。第3工程については、上記第1実施形態の第2工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
4.第4工程
第3実施形態の第4工程は、第1部材上に配置された第3接着剤の他方の面に、第2部材上に配置された第2接着剤を接触させる工程である。上記第2工程において、シート状の第2接着剤を用いる場合、第4工程は、第1部材上に配置された第3接着剤の他方の面と、第2接着シート付部材のシート状の第2接着剤の他方の面とを貼り合せる工程である。また、上記第2工程において、液状の第2接着剤を用いる場合、第4工程は、第1部材上に配置された第3接着剤の他方の面と、第2部材の液状の第2接着剤の塗布面とを貼り合せる工程である。なお、第3接着剤が一部に被接着部材を含む場合、第4工程は、第1部材上に配置された第3接着剤の第2面に、第2部材上に配置された第2接着剤を接触させる工程となる。
第1部材上に配置された第3接着剤において、第3接着剤の他方の面に第3セパレータが配置されている場合は、第3セパレータを剥離し、露出した第3接着剤の表面と、第2部材上に配置された第2接着剤とを接触させる。
また、第2接着シート付部材において、シート状の第2接着剤の第2部材側とは反対側に第2セパレータが配置されている場合は、上記第2接着シート付部材の第2セパレータを剥離し、露出したシート状の第2接着剤の表面と、第1部材上に配置された第3接着剤の他方の面とを貼り合せる。
第1部材上に配置された第3接着剤の他方の面と、第2接着シート付部材のシート状の第2接着剤の他方の面または第2部材の液状の第2接着剤の塗布面との貼り合せ方法としては、特に限定されない。例えば、第1部材上に配置された第3接着剤と、第2接着シート付部材のシート状の第2接着剤または第2部材の液状の第2接着剤の塗布面とを向かい合わせて、直上方向から貼り合せる方法を用いることができる。また、他の貼り合せ方法としては、第3接着剤およびシート状の第2接着剤の少なくとも一方が低粘性または高粘性を示す場合、第1部材上に配置された第3接着剤と、第2接着シート付部材のシート状の第2接着剤とを向かい合わせて、一方を他方の被着面に対して平行方向にスライド移動させて貼り合せることができる。上記の貼り合せ方法は、例えば第1部材と第2部材との貼り合せ面が水平面に対して所定の角度となる場合に適している。
第2接着シート付部材が多面付け第2接着シート付部材である場合には、多面付け第2接着シート付部材から、1つの第2部材を有する部分を切り出して、第1部材上に配置された第3接着剤の他方の面に貼り合せることができる。
本工程は、第2接着剤および第3接着剤間の粘着力の強弱に応じて、第1部材上に配置された第3接着剤と、第2部材上に配置された第2接着剤との貼り合せに際し、一方を貼り直して位置決めする位置決め工程を有していてもよい。
本工程は、第3工程において第1接着剤および第3接着剤を接触させてから、養生時間内に行うことができる。中でも、本工程は、第1接着剤および第3接着剤の第1面が接触してから0.5時間以内に行うことができる。第2接着剤を第3接着剤との接触により硬化させることが困難となる場合があるからである。
また、第1部材上に配置された第3接着剤の他方の面に、第2部材上に配置された第2接着剤を接触させた後、加熱して硬化反応を促進させてもよい。また、第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤は、接触後、所望の時間養生させることができる。硬化温度、加熱温度および養生時間については、上記第1実施形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。
硬化接着層、第1硬化接着層および第2硬化接着層については、上記第1実施形態に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
D.物品の製造方法の第4実施形態
物品の製造方法の第4実施形態は、接着剤セットを用いて第1部材および第2部材を接着する例である。
図13は、接着剤セットを用いた物品の製造方法の第4実施形態の一例を示す工程図である。図13(a)に示す第1工程、図13(b)に示す第2工程、図13(c)に示す第3工程は、上述の第1実施形態における図2(a)に示す第1工程、図2(b)に示す第2工程、図2(c)に示す第3工程と同様である。第1接着剤22aおよび第3接着剤26の第1面26aは、互いに接触することにより、硬化することができる。また、第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bは、互いに接触することにより、硬化することができる。次に、第1部材1上に配置されたシート状の第2接着剤24の他方の面に、第2セパレータ23を剥離して、第2部材2を貼り合せる(図13(d)、第4工程)。第4工程において、図13(d)に示すように、第1接着剤22aおよび第3接着剤26の第1面26aは、接触による硬化反応が完了することで強い接着力を発現した第1硬化接着層3aとなる。また、第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bは、接触による硬化反応が完了することで強い接着力を発現した第2硬化接着層3bとなる。そして、第1硬化接着層3aおよび第2硬化接着層3bを介して第1部材1、被接着部材4および第2部材2を強固に貼り合せることができる。これにより、第1部材1、第1硬化接着層3a、被接着部材4、第2硬化接着層3b、および第2部材2を有する物品10が得られる。なお、図13(c)、(d)中のPは、第1接着剤22aおよび第3接着剤26の第1面26aの接触により硬化した領域(第1硬化領域)を示し、Qは、第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bの接触により硬化した領域(第2硬化領域)を示す。
以下、本実施形態の物品の製造方法における各工程について説明する。
1.第1工程
第4実施形態の第1工程は、第1部材に、第1接着剤を配置する工程である。液状の第1接着剤を用いる場合、第1工程は、第1部材に、液状の第1接着剤を塗布する工程である。また、シート状の第1接着剤を用いる場合、第1工程は、第1部材に、シート状の第1接着剤の一方の面が貼り合されている、第1接着シート付部材を準備する工程である。第1工程については、上記第1実施形態の第1工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
2.第2工程
第4実施形態の第2工程は、第1部材上に配置された第1接着剤に、第3接着剤の一方の面を接触させる工程である。上記第1工程にて液状の第1接着剤を用いる場合、第2工程は、第1部材の液状の第1接着剤の塗布面に、第3接着剤の一方の面を貼り合せる工程である。また、上記第1工程にてシート状の第1接着剤を用いる場合、第2工程は、第1接着シート付部材のシート状の第1接着剤の他方の面に、第3接着剤の一方の面を貼り合せる工程である。第2工程については、上記第1実施形態の第2工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
3.第3工程
第4実施形態の第3工程は、第1部材上に配置された第3接着剤の他方の面に、第2接着剤を接触させる工程である。シート状の第2接着剤を用いる場合、第3工程は、第1部材上に配置された第3接着剤の他方の面に、シート状の第2接着剤の一方の面を貼り合せる工程である。また、液状の第2接着剤を用いる場合、第3工程は、第1部材上に配置された第3接着剤の他方の面に、液状の第2接着剤を塗布する工程である。第3工程については、上記第1実施形態の第3工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本工程において、第2接着剤および第3接着剤は、接触により硬化反応が進むが、後述する第4工程前に硬化が完了しないようにすることができる。第2接着剤に第2部材を貼り合せることが困難となるからである。
4.第4工程
第4実施形態の第4工程は、第1部材上に配置された第2接着剤に、第2部材を貼り合せる工程である。上記第3工程において、シート状の第2接着剤を用いる場合、第4工程は、第1部材上に配置されたシート状の第2接着剤の他方の面に、第2部材を貼り合せる工程である。また、上記第3工程において、液状の第2接着剤を用いる場合、第4工程は、第1部材の液状の第2接着剤の塗布面に、第2部材を貼り合せる工程である。
第1部材上に配置されたシート状の第2接着剤において、シート状の第2接着剤の第1部材側とは反対側に第2セパレータが配置されている場合は、第2セパレータを剥離し、露出したシート状の第2接着剤の表面に、第2部材を貼り合せる。
第1部材上に配置されたシート状の第2接着剤の他方の面または第1部材の液状の第2接着剤の塗布面に、第2部材を貼り合せる方法としては、特に限定されない。例えば、第1部材上に配置されたシート状の第2接着剤の他方の面または第1部材の液状の第2接着剤の塗布面に対して、直上方向から第2部材を貼り合せることができる。また、他の貼り合せ方法としては、シート状の第2接着剤が低粘性または高粘性を示す場合、シート状の第2接着剤が配置された第1部材および第2部材のうち、一方の部材を固定し、他方の部材を固定された一方の部材の被着面に対して平行方向にスライド移動させて貼り合せることができる。上記の貼り合せ方法は、例えば第1部材と第2部材との貼り合せ面が水平面に対して所定の角度となる場合に適している。
また、シート状の第2接着剤の粘着力または凝集力を調整することで、第1部材上に配置されたシート状の第2接着剤と第2部材とを貼り合せる際に、貼り直しが可能となる。
本工程は、第3工程において第2接着剤および第3接着剤を接触させてから、養生時間内に行うことで、第2接着剤および第3接着剤の接触による硬化反応が完了するまでの間、第2接着剤および第3接着剤の粘着性により第2部材を固定することができる。また、上記硬化反応の完了により、第2部材を強固に固定することができる。さらに、養生の間、作業者が他の施工を行うことができる。中でも、本工程は、第2接着剤および第3接着剤が接触してから0.5時間以内に行うことができる。硬化が進むと第2部材に対する接着強度が低下する懸念があるからである。
また、第1部材上に配置された第2接着剤に、第2部材を貼り合せた後、加熱して硬化反応を促進させてもよい。また、第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤は、接触後、所望の時間養生させることができる。硬化温度、加熱温度および養生時間については、上記第1実施形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。
硬化接着層、1硬化接着層および第2硬化接着層については、上記第1実施形態に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
E.物品の製造方法の第5実施形態
物品の製造方法の第5実施形態は、第1接着シート、第2接着シートおよび第3接着剤を有する接着剤セットを用いて第1部材および第2部材を接着する例である。
図14は、接着剤セットを用いた物品の製造方法の第5実施形態の一例を示す工程図である。図14(a)に示す第1工程、図14(b)に示す第2工程、図14(c)に示す第3工程は、上述の第2実施形態における図12(a)に示す第1工程、図12(b)に示す第2工程、図12(c)に示す第3工程と同様である。また、第2多層接着シート40bのシート状の第2接着剤24の他方の面に、第2セパレータ23を剥離して、第2部材2を貼り合せる(図14(c)、第4工程)。第2多層接着シート40bにおいて、第1接着剤22および第3接着剤26の第1面26aは、互いに接触しており、第3工程および第4工程中に、第1接着剤22中の成分と第3接着剤26の第1面26a中の成分とが拡散して、硬化反応が生じ、強い接着力を発現することができる。また、第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bは、互いに接触しており、第3工程および第4工程中に、第2接着剤24中の成分と第3接着剤26の第2面26b中の成分とが拡散して、硬化反応が生じ、強い接着力を発現することができる。第1接着剤22および第3接着剤26の第1面26aは、硬化反応の完了により第1硬化接着層3aとなり、第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bは、硬化反応の完了により第2硬化接着層3bとなり(図14(d))、第1硬化接着層3aおよび第2硬化接着層3bを介して第1部材1、被接着部材4および第2部材2を強固に貼り合せることができる。これにより、第1部材1、第1硬化接着層3a、被接着部材4、第2硬化接着層3b、および第2部材2を有する物品10が得られる。なお、図14(c)、(d)中のPは、第1接着剤22aおよび第3接着剤26の第1面26aの接触により硬化した領域(第1硬化領域)を示し、Qは、第2接着剤24および第3接着剤26の第2面26bの接触により硬化した領域(第2硬化領域)を示す。
以下、本実施形態の物品の製造方法における各工程について説明する。
1.第1工程
第5実施形態の第1工程は、シート状の第1接着剤を用い、シート状の第1接着剤の一方の面と、第3接着剤の一方の面とが貼り合わされてなる第1多層接着シートを準備する工程である。第1工程については、上記第2実施形態の第1工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
2.第2工程
第5実施形態の第2工程は、シート状の第2接着剤を用い、第1多層接着シートの第3接着剤の他方の面と、シート状の第2接着剤の一方の面とが貼り合わされてなる第2多層接着シートを準備する工程である。第2工程については、上記第2実施形態の第2工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
3.第3工程
第5実施形態の第3工程は、第2多層接着シートのシート状の第1接着剤の他方の面に、第1部材を貼り合せる工程である。第3工程については、上記第2実施形態の第3工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
4.第4工程
第5実施形態の第4工程は、第2多層接着シートのシート状の第2接着剤の他方の面に、第2部材を貼り合せる工程である。第3工程および第4工程は順不同に行うことができる。
第2多層接着シートにおいて、シート状の第2接着剤の他方の面に第2セパレータが配置されている場合は、第2セパレータを剥離して、露出したシート状の第2接着剤に、第2部材を貼合することができる。
第2多層接着シートのシート状の第2接着剤と、第2部材とを貼り合せる方法としては、特に限定されない。例えば、第2部材に対して、直上方向から第2多層接着シートを貼り合せることができる。また、他の貼り合せ方法としては、シート状の第2接着剤が低粘性または高粘性を示す場合、第2部材を固定し、固定された第2部材の被着面に対して第2多層接着シートを平行方向にスライド移動させて貼り合せることができる。上記の貼り合せ方法は、例えば第2部材の被着面が水平面に対して所定の角度となる場合に適している。
また、シート状の第2接着剤の粘着力または凝集力を調整することで、第2部材上で第2多層接着シートを貼り直して位置調整を行うことが可能である。
第4工程は、第2工程から、第2接着剤および第3接着剤の接触による硬化反応が完了するまでの間に行うことができる。第2接着剤および第3接着剤の硬化が進むと、第2部材を貼り合わせることが困難になる場合があるからである。第4工程は、第1工程および第2工程において、第1多層接着シートおよび第2多層接着シートが低温環境下に保管されない場合は、第2工程にて第2接着剤および第3接着剤が接触してから0.5時間以内に行うことができる。また、第4工程は、第1工程および第2工程において、第1多層接着シートおよび第2多層接着シートが低温環境下に保管されている場合は、低温環境下から解放されてから養生時間の間に行うことができる。
また、第2多層接着シートおよび第2部材を貼り合せた後、加熱して硬化反応を促進させてもよい。また、第1接着剤、第2接着剤および第3接着剤は、接触後、所望の時間養生させることができる。硬化温度、加熱温度および養生時間については、上記第1実施形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。
硬化接着層、第1硬化接着層および第2硬化接着層については、上記第1実施形態に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
E.用途
物品の製造方法は、様々な分野の物品の製造方法に用いることができ、その用途は限定されないが、中でも、加熱や光照射が困難な物品の製造方法として用いることができる。具体的には、物品の製造方法は、インフラ(インフラストラクチャー)構造物、建築物品、自動車、電子部品に適用することができる。また、芯材と芯材の両面に設けられた表面材とを備えるサンドイッチ構造体の製造方法として用いることができる。
1.インフラ構造物
インフラ構造物としては、例えば、橋梁、橋脚、トンネル、法面、道路舗装、河川管理施設、砂防堰堤、砂防床固工、下水管梁、下水処理場、港湾施設、空港、公営住宅、集合住宅、一般住宅、都市公園、官庁施設、海岸堤防、航路標識、道路標識、信号機、架線、送信設備、送電設備等が挙げられる。
インフラ構造物の製造方法においては、例えば、第1部材がインフラ構造物であり、被接着部材が補強材や補修材である場合、第1部材に被接着部材を貼り付けることにより、インフラ構造物を補修または補強することができる。また、例えば、第1部材がインフラ構造物であり、被接着部材がセンサシートである場合、第1部材に被接着部材を貼り付けることにより、インフラ構造物にセンサシートを取り付けることができる。さらに、例えば、第1部材がインフラ構造物であり、被接着部材が補強材や補修材であり、第2部材がセンサシートである場合、第1部材に被接着部材および第2部材を貼り付けることにより、インフラ構造物を補修または補強することができるとともに、補修または補強された箇所にセンサシートを取り付けることができる。
第1部材および第2部材は、インフラ用部材であればよく、被着面を有していれば、その形態は特に限定されない。インフラ用部材としては、例えば、補修または補強前のインフラ構造物あるいはセンサシートの取付前のインフラ構造物(以下、対象インフラ構造物)等が挙げられる。また、第1部材および第2部材の一方は、例えばセンサシートであってもよい。インフラ構造物の製造方法においては、第1部材および第2部材のうち、一方は対象インフラ構造物であり、対象インフラ構造物は、固定されていてもよい。センサシートについては、上述の「I.接着剤セット」の項に記載した被接着部材に用いられるセンサシートと同様とすることができる。
2.建築物品
建築物品としては、例えば、家屋、ビル、建物、塔等の一般に建築業界で施工される建築構造物、これらに用いられる複合建材等が挙げられる。
第1部材および第2部材は、建築物品を構成する建材であり、その種類に応じて適宜選択される。上記建材は被着面を有すれば、その形態は特に限定されない。
上記建材は、例えば、無機材料、有機材料、またはこれらを組み合わせた複合材料、積層材料から構成されていても良い。第1部材および第2部材の材質は、同一であってもよく異なってもよく、使用環境や用途等に応じて、適宜選択して組み合わせることができる。
有機材料で形成された有機建材としては、例えば、木質板、有機物板等が挙げられる。木質板としては、例えば杉、檜、松、ラワン、チーク等の樹木で構成される木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等が挙げられる。また、無機材料で形成された無機建材としては、例えば、スレート板やケイカル板、石膏ボード、レンガ、コンクリート、セメントモルタル、金属材料、セラミック材料等が用いられる。
上記建材としては、建築施工において公知のものが挙げられる、具体的には、既存の建築構造物の柱、梁、天井、壁、床などの躯体、新たに建築構造物を施工する際に躯体を構成するのに用いられる床板、壁板、天井板等の建築部材、躯体や建築部材を下地としてその表面に貼り合せて用いる表装材等が挙げられる。表装材としては、例えば、ビニル壁紙、織物壁紙、紙壁紙、無機質壁紙、化粧フィルム、タイル、パネル、化粧板等の壁装材、タイル、リノリウム、フローリングブロック、フローリング、クッションフロアー、フローリングボード等の化粧床材が挙げられる。
第1部材および第2部材の組合せとしては、例えば、一方を表装材とし、他方を建築構造物の躯体とすることができる。具体的には、第1部材および第2部材の一方が壁装材であり、他方が建築構造物の壁であってもよく、一方が化粧床材であり、他方が建築構造物の床であってもよい。また、第1部材および第2部材の一方を建築構造物の躯体とし、他方を別の建築構造物の躯体とすることができる。2種類の躯体間を第1接着層および第2接着層を介して貼り合せることで、硬化接着層を溶接やボルト固定の代替とすることができる。
3.自動車
自動車の製造方法においては、第1部材および第2部材を自動車用部材として、双方を第1接着層および第2接着層を介して貼り合わせることができる。
第1部材および第2部材は、自動車用部材であればよく、被着面を有していれば、その形態は特に限定されない。自動車用部材とは、自動車車体および上記自動車車体に取り付けられる自動車部品をいい、内装材、外装材の何れであってもよい。自動車部品は、一般に自動車に用いられる部品であれば特に限定されず、例えば、エンブレムなどの装飾部材、ピラー等の構造部材等が挙げられる。
上記自動車用部材の材料は、自動車の部位に応じて適宜選択することができ、例えば、無機材料、金属材料、セラミック材料、有機材料、またはこれらを組み合わせた複合材料や積層材料等が挙げられる。第1部材および第2部材の材質は、同一であってもよく異なってもよく、適宜選択して組み合わせることができる。第1部材および第2部材の材質の組合せとしては、例えば、ABSやCFRPなどの有機材料と金属類との組合せ、アルミとチタンとの組合せ等の異種金属の組合せ等が挙げられる。
4.電子部品
電子部品において、上述の物品の製造方法は、例えば、MEMS、チップ等の電子部品の固定や、基板同士の接合等に適用することができる。また、接着剤セットは、ダイボンディングフィルムとして利用することができる。
5.サンドイッチ構造体
サンドイッチ構造体としては、芯材と芯材の両面に設けられた表面材とを備えるものであればよく、例えば、建具、家具、内装材、外装材、建築部材等が挙げられる。サンドイッチ構造体の製造方法において、第1部材および第2部材は表面材であればよく、被着面を有していれば、その形態は特に限定されない。また、表面材の材料も特に限定されない。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して、本開示をさらに具体的に説明する。
1.接着シートAの作製
下記組成の第1接着剤組成物を調製した。
・液状エポキシ化合物(ビスフェノールA型エポキシ化合物、エポキシ当量:190g/eq.、分子量:380、三菱化学株式会社製、商品名:jER828) … 85質量部
・固形エポキシ化合物(ビスフェノールA型エポキシ化合物、分子量:5000、三菱化学株式会社製、商品名:jER1009) … 15質量部
・アクリル重合体(極性基付与メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレートトリブロック共重合体、アルケマ社製、商品名:M22N) … 10質量部
・酢酸エチル(DICグラフィックス社製) … 43質量部
セパレータとして、片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理が施されたポリエステルフィルム(膜厚:75μm、東セロ株式会社製、商品名:SP−PET−01)を用い、その剥離処理面に、上記の第1接着剤組成物を塗工後の厚さが100μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、オーブンにて80℃で5分間乾燥させた。その後、第1接着剤組成物の塗布面に、補強繊維(アラミド繊維、ファイベックス社製、商品名:AKM−10/10)を、70℃に加温させたローラー(フジプラ株式会社製、ラミパッカーLPP4513)にて熱ラミネートさせ、積層体を得た。また、同様に、セパレータとして、ポリエステルフィルム(膜厚:75μm、東セロ株式会社製、商品名:SP−PET−01)を用い、その剥離処理面に、上記の第1接着剤組成物を塗工後の厚さが100μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、オーブンにて80℃で5分間乾燥させた。この第1接着剤組成物の塗布面と、先に作製した積層体のアラミド繊維面とを貼り合せ、70℃に加温させたローラー(フジプラ株式会社製、ラミパッカーLPP4513)にて熱ラミネートさせ、補強繊維を包含するシート状の接着剤の両面にセパレータが配置された接着シートAを作製した。
2.接着シートBの作製
下記組成の第2接着剤組成物を調製した。
・2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成社製、商品名:2E4MZ) … 100質量部
・アクリル重合体(極性基付与メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレートトリブロック共重合体、アルケマ社製、商品名:M22N) … 80質量部
・酢酸エチル(DICグラフィックス社製) … 187質量部
セパレータとして、片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理が施されたポリエステルフィルム(膜厚:38μm、東セロ株式会社製、商品名:SP−PET−01)を用い、その剥離処理面に、上記の第2接着剤組成物を塗工後の厚さが25μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、オーブンにて80℃で2分間乾燥させて、シート状の接着剤を形成した。次に、上記セパレータと同じポリエステルフィルムをセパレータとして用い、その剥離処理面をシート状の接着剤と対向するように重ね合わせ、2kgのローラーを用いて押圧して、シート状の接着剤の両面にセパレータが配置された接着シートBを作製した。接着シートBは2枚作製した。
3.貼合
モルタル片(ISO基準砂使用、ユーコウ商会社製)を準備し、その表面に、プライマー(主剤:ビスフェノール系エポキシ化合物、硬化剤:変性脂肪族系ポリアミンとするエポキシアミン系プライマー、日米レジン社製、商品名:アルプロンW301)を乾燥後の塗布量が200g/mとなるように塗布し、乾燥させた。次いで、1枚目の接着シートBの一方のセパレータを剥がし、露出したシート状の接着剤の面を、プライマー処理されたモルタル片の表面にハンドロールで押圧しながら貼り合せ、接着シートBの他方のセパレータを剥がして大気中にシート状の接着剤を露出させた。次に、その露出したシート状の接着剤の面に対し、接着シートAの一方のセパレータを剥がし、露出した補強繊維を包含するシート状の接着剤の面を貼り合せ、接着シートAの他方のセパレータも剥離した。さらに、その露出した補強繊維を包含するシート状の接着剤の面に対し、2枚目の接着シートBの一方のセパレータを剥がし、露出したシート状の接着剤の面を貼り合せた。その後、23℃、50%環境下にて7日間養生した。液状の接着剤を使用する方法と比較し、より簡便で正確にモルタルの補強が行えることを確認した。
1 … 第1部材
2 … 第2部材
4 … 被接着部材
10 … 物品
11 … 第1接着シート
12 … 第2接着シート
13 … 第3接着シート
20 … 第1接着シート付部材
21 … 第1セパレータ
22 … シート状の第1接着剤
22a … 液状の第1接着剤
23 … 第2セパレータ
24 … シート状の第2接着剤
25 … 第3セパレータ
26 … 第3接着剤
26a … 第1面
26b … 第2面
30 … 第2接着シート付部材
50 … 接着剤セット

Claims (10)

  1. 第1接着剤と、第2接着剤と、第3接着剤とを有する接着剤セットであって、
    前記第3接着剤はシート状であり、
    前記第1接着剤および前記第3接着剤は、前記第1接着剤および前記第3接着剤が互いに接触することにより硬化して接着するように構成され、
    前記第2接着剤および前記第3接着剤は、前記第2接着剤および前記第3接着剤が互いに接触することにより硬化して接着するように構成されている、接着剤セット。
  2. 前記第3接着剤は、被接着部材を含む、請求項1に記載の接着剤セット。
  3. 前記第3接着剤の一部に前記被接着部材が含まれており、前記第3接着剤の一方の主面である第1面が前記第1接着剤と接触することにより硬化して接着することが可能であり、前記第3接着剤の他方の主面である第2面が前記第2接着剤と接触することにより硬化して接着することが可能である、請求項2に記載の接着剤セット。
  4. 前記第1接着剤および前記第2接着剤はシート状である、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の接着剤セット。
  5. 前記第1接着剤および前記第2接着剤は、一方がシート状であり、他方が液状である、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の接着剤セット。
  6. 前記第1接着剤は、第1接着剤成分と、前記第1接着剤成分に対して相溶する第1相溶性重合体成分とを含有し、
    前記第2接着剤は、第2接着剤成分と、前記第2接着剤成分に対して相溶する第2相溶性重合体成分とを含有し、
    前記第3接着剤は、第3接着剤成分と、前記第3接着剤成分に対して相溶する第3相溶性重合体成分とを含有する、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の接着剤セット。
  7. 前記第1相溶性重合体成分が、さらに前記第3接着剤成分に対して相溶し、
    前記第2相溶性重合体成分が、さらに前記第3接着剤成分に対して相溶し、
    前記第3相溶性重合体成分が、さらに前記1接着剤成分および前記第2接着剤成分に対して相溶する、請求項6に記載の接着剤セット。
  8. 前記第1相溶性重合体成分の質量平均分子量は、前記第1接着剤成分の質量平均分子量よりも大きく、
    前記第2相溶性重合体成分の質量平均分子量は、前記第2接着剤成分の質量平均分子量よりも大きく、
    前記第3相溶性重合体成分の質量平均分子量は、前記第3接着剤成分の質量平均分子量よりも大きい、請求項6または請求項7に記載の接着剤セット。
  9. 前記第1接着剤および前記第2接着剤は、それぞれ異なる材料を含む、請求項1から請求項8までのいずれかに記載の接着剤セット。
  10. 前記第1接着剤または前記第2接着剤は、耐候剤を含有する、請求項1から請求項9までのいずれかに記載の接着剤セット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022107849A1 (ja) * 2020-11-20 2022-05-27 日東電工株式会社 接着方法

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