JP6627268B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

積層体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6627268B2
JP6627268B2 JP2015118078A JP2015118078A JP6627268B2 JP 6627268 B2 JP6627268 B2 JP 6627268B2 JP 2015118078 A JP2015118078 A JP 2015118078A JP 2015118078 A JP2015118078 A JP 2015118078A JP 6627268 B2 JP6627268 B2 JP 6627268B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
unreacted
ionizing radiation
release
release layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2015118078A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017002196A (ja
Inventor
健太郎 星
健太郎 星
一樹 築山
一樹 築山
壮太郎 坂
壮太郎 坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2015118078A priority Critical patent/JP6627268B2/ja
Publication of JP2017002196A publication Critical patent/JP2017002196A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6627268B2 publication Critical patent/JP6627268B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、被着体、および上記被着体に接着された接着層を有する積層体の製造方法に関する。
近年、所定の被着体に接着層を積層し、被着体および接着層の間を強固に接着する技術の開発が求められている。このような技術は、例えば、道路やトンネル等の公共設備、住宅、および輸送機器等の高い耐久性が求められた設備に好適に用いることができる。具体的には、道路やトンネル等の公共設備におけるコンクリートの補修や補強、住宅におけるコンクリートと建築部材との固定、また、輸送機器における金属部品と樹脂部品との固定に好適に用いることができる。
一方、例えば、コンクリートや金属のように材料自体が接着性を有しない場合には、それらの材料を被着体として、当該被着体と接着層とを強固に接着することは困難であるという問題がある。また、例えば、コンクリートおよび樹脂、あるいは金属および樹脂のように、互いに異なる材料を被着体として、当該被着体を接着層を介して強固に接着することは困難であるという問題がある。
このような問題に対しては、例えば、接着層として、電離放射線や熱、水分等により硬化反応が進行する材料を含有する未反応層を用いる方法が提案されている。具体的には、被着体の表面に未反応層を積層し、その状態で未反応層に電離放射線や熱、水分等を与えて硬化反応を進行させることにより、未反応層を、被着体に強固に接着された接着層として用いる方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、未反応層の両面に、湿気または紫外線の遮断性を有する剥離層が積層された接着シートが開示されている。また、特許文献2には、アクリル系樹脂、液状エポキシ樹脂、固形エポキシ樹脂および硬化剤を含む未反応層の表面に、剥離層が積層された接着シートが開示されている。
特開2013−49844号公報 特開2014−65889号公報
ところで、特許文献1、2には、次のような方法で被着体の表面に接着層を積層した積層体の形成方法が開示されている。すなわち、特許文献1、2には、被着体の表面に接着シートを積層して、次いで、接着シートから剥離層を剥離し、その後、電離放射線を照射することにより未反応層に所望の接着性を付与した接着層を積層した積層体の形成方法が開示されている。しかしながら、特許文献1、2に開示された方法を用いた場合、すなわち図7(a)〜(c)に示すように、被着体1の表面に、未反応層2’および剥離層3を積層し、次いで剥離層3を剥離し、その後、電離放射線を照射することにより接着層2を接着させる場合には、被着体1および接着層2より構成される積層体の品質が低下するという問題がある。
具体的には、まず、未反応層は、電離放射線の照射等を行うことにより所定の硬化反応が進行し、当該硬化反応により被着体と所定の接着力で接着された接着層となる。これにより、被着体および接着層の間が強固に接着された積層体を得ることができる。すなわち、電離放射線の照射等により接着層となる前の未反応層は、十分に硬化されていない状態である。そのため、特許文献1、2に開示された方法のように、未反応層に電離放射線の照射等を行う際、未反応層が露出していると、未反応層の表面に傷が入り、その状態で接着層となり硬化されてしまう等の不具合が生じるおそれがある。したがって、被着体および接着層より構成される積層体の品質が低下するという問題がある。
本発明の発明者等は、上述した問題を解決する方法について種々検討を行った。その結果、例えば、未反応層に電離放射線等を照射した後に、未反応層が接着層となり十分に硬化されるまでの間、未反応層の表面に保護層を配置する方法が考えられる。しかしながら、この場合には、電離放射線を照射した後に、未反応層の表面に保護層を配置するという工程が増え、従来の方法に比べて手間や時間を要してしまうといった課題が生じることを見出した。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、工程数を増やすことなく、被着体の表面に接着層を接着した品質の高い積層体を製造する積層体の製造方法を提供することを主目的とする。
本発明の発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、電離放射線を透過する剥離層を用い、剥離層を介して未反応層への電離放射線の照射を行うことにより、未反応層が露出することを抑制することができ、工程数を増やすことなく、被着体の表面に接着層を接着した品質の高い積層体を製造することができることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、被着体、および上記被着体に接着された接着層を有する積層体を製造する積層体の製造方法であって、未反応層、および上記未反応層の一方の面に配置され、電離放射線を透過する剥離層を準備する準備工程と、電離放射線を透過する上記剥離層を介して上記未反応層に電離放射線を照射し、上記未反応層に接着性が付与された上記接着層を形成する接着層形成工程と、上記被着体の表面に、上記接着層および上記剥離層をこの順で積層する積層工程と、上記接着層から上記剥離層を剥離する剥離工程とを有することを特徴とする積層体の製造方法を提供する。
本発明によれば、接着層形成工程において、電離放射線を透過する剥離層を介して電離放射線を照射することができるため、未反応層が露出することを抑制することができ、工程数を増やすことなく、被着体の表面に接着層を接着した品質の高い積層体を得ることができる。
本発明においては、上記準備工程が、上記未反応層、および上記未反応層の両方の面に配置され、電離放射線を透過する上記剥離層を準備する工程であり、上記積層工程が、上記接着層の一方の面から上記剥離層を剥離し、上記被着体の表面に、上記接着層および上記剥離層をこの順で積層する工程であることが好ましい。剥離層が未反応層の両方の面に配置されていることにより、接着層形成工程において、未反応層の両方の面から剥離層を介して電離放射線を照射することができるため、未反応層に効率良く電離放射線を照射することが可能となるからである。
本発明においては、上記準備工程が、上記未反応層、上記未反応層の一方の面に配置され、電離放射線を透過する上記剥離層、および上記未反応層の他方の面に配置され、電離放射線を遮蔽する上記剥離層を準備する工程であり、上記積層工程が、上記接着層の一方の面から上記剥離層を剥離し、上記被着体の表面に、上記接着層および上記剥離層をこの順で積層する工程であることが好ましい。例えば、未反応層および剥離層から構成されるシートをロール状に巻いて保管する際に、電離放射線を遮蔽する剥離層が外側となるように巻くことで、保管時に未反応層に電離放射線が照射されるのを抑制することが可能となるからである。
また、本発明は、被着体、および硬化することにより上記被着体に接着された接着層を有する積層体を製造する積層体の製造方法であって、未反応層、および上記未反応層の一方の面に配置され、電離放射線を透過する剥離層を準備する準備工程と、上記被着体の表面に、上記未反応層および電離放射線を透過する上記剥離層をこの順で積層する積層工程と、電離放射線を透過する上記剥離層を介して上記未反応層に電離放射線を照射し、上記未反応層に接着性が付与された上記接着層を形成する接着層形成工程と、上記接着層から上記剥離層を剥離する剥離工程とを有することを特徴とする積層体の製造方法を提供する。
本発明によれば、接着層形成工程において、電離放射線を透過する剥離層を介して電離放射線を照射することができるため、未反応層が露出することを抑制することができ、工程数を増やすことなく、被着体の表面に接着層を接着した品質の高い積層体を得ることができる。
本発明においては、上記剥離層が、ガスバリア層であることが好ましい。大気中に存在する成分により、電離放射線の照射で起こり得る未反応層での反応が阻害されるのを抑制することが可能となるからである。
本発明は、工程数を増やすことなく、被着体の表面に接着層を接着した品質の高い積層体を製造することができるという効果を奏する。
第1態様の積層体の製造方法の一例を示す概略工程図である。 第1態様の積層体の製造方法の他の例を示す概略工程図である。 第1態様の積層体の製造方法の他の例を示す概略工程図である。 第2態様の積層体の製造方法の一例を示す概略工程図である。 剥離層を説明するための説明図である。 本発明の効果を説明するための説明図である。 従来の積層体の製造方法の一例を示す概略工程図である。
以下、本発明の積層体の製造方法について説明する。
本発明の積層体の製造方法は、次のような第1態様および第2態様を有する。
第1態様の積層体の製造方法は、被着体、および上記被着体に接着された接着層を有する積層体を製造する積層体の製造方法であって、未反応層、および上記未反応層の一方の面に配置され、電離放射線を透過する剥離層を準備する準備工程と、電離放射線を透過する上記剥離層を介して上記未反応層に電離放射線を照射し、上記未反応層に接着性が付与された上記接着層を形成する接着層形成工程と、上記被着体の表面に、上記接着層および上記剥離層をこの順で積層する積層工程と、上記接着層から上記剥離層を剥離する剥離工程とを有することを特徴とする製造方法である。
第2態様の積層体の製造方法は、被着体、および硬化することにより上記被着体に接着された接着層を有する積層体を製造する積層体の製造方法であって、未反応層、および上記未反応層の一方の面に配置され、電離放射線を透過する剥離層を準備する準備工程と、上記被着体の表面に、上記未反応層および電離放射線を透過する上記剥離層をこの順で積層する積層工程と、電離放射線を透過する上記剥離層を介して上記未反応層に電離放射線を照射し、上記未反応層に接着性が付与された上記接着層を形成する接着層形成工程と、上記接着層から上記剥離層を剥離する剥離工程とを有することを特徴とする製造方法である。
本発明の積層体の製造方法について、図を参照しながら説明する。
図1(a)〜(e)は、第1態様の積層体の製造方法の一例を示す工程図である。第1態様の積層体の製造方法は、図1(a)に示すように、未反応層2’、および未反応層2’の一方の面に配置され、電離放射線を透過する剥離層3(3a)を準備する準備工程と、図1(b)に示すように、電離放射線を透過する剥離層3(3a)を介して未反応層2’に電離放射線を照射し、図1(c)に示すように、未反応層に接着性が付与された接着層2を形成する接着層形成工程と、図1(d)に示すように、被着体1の表面に、接着層2および剥離層3(3a)をこの順で積層する積層工程と、図1(e)に示すように、接着層2から剥離層3(3a)を剥離する剥離工程とを有することにより、積層体10を得ることができる。
また、第1態様の積層体の製造方法は、準備工程が、図2(a)に示すように、未反応層2’、および未反応層’の両方の面に配置され、電離放射線を透過する剥離層3(3a)を準備する工程であり、積層工程が、図2(d)、(e)に示すように、接着層2の一方の面から剥離層3(3a)を剥離し、被着体1の表面に、接着層2および剥離層3(3a)をこの順で積層する工程であっても良い。
さらに、第1態様の積層体の製造方法は、準備工程が、図3(a)に示すように、未反応層2’、未反応層2’の一方の面に配置され、電離放射線を透過する剥離層3(3a)、および未反応層2’の他方の面に配置され、電離放射線を遮蔽する剥離層3(3b)を準備する工程であり、積層工程が、図3(d)、(e)に示すように、接着層2の一方の面から剥離層3(ここでは、電離放射線を遮蔽する剥離層3b)を剥離し、被着体1の表面に、接着層2および剥離層3(3a)をこの順で積層する工程であっても良い。
次に、図4(a)〜(e)は、第2態様の積層体の製造方法の一例を示す工程図である。第2態様の積層体の製造方法は、図4(a)に示すように、未反応層2’、および未反応層2’の一方の面に配置され、電離放射線を透過する剥離層3を準備する準備工程と、図4(b)に示すように、被着体1の表面に、未反応層2’および剥離層3をこの順で積層する積層工程と、図4(c)に示すように、剥離層3を介して未反応層2’に電離放射線を照射し、図4(d)に示すように、未反応層に接着性が付与された接着層2を形成する接着層形成工程と、図4(e)に示すように、接着層2から剥離層3を剥離する剥離工程とを有することにより、積層体10を得ることができる。
ここで、本発明における「未反応層」とは、電離放射線が照射されることによる反応が起こり、所定の接着性が付与される前の層を指す。すなわち、本発明における「接着層」の前駆体となる層を指す。
また、本発明における「電離放射線」とは、紫外線またはそれ以上の高エネルギーの電磁波を指す。具体的には、紫外線、極端極紫外線、X線および電子線等が挙げられる。また、電離放射線には、太陽光に含まれる紫外線や、紫外線よりも低エネルギーの電磁波を一部含んでいても良い。
本発明によれば、接着層形成工程において、剥離層を介して電離放射線を照射することができるため、未反応層が露出することを抑制することができ、工程数を増やすことなく、被着体の表面に接着層を接着した品質の高い積層体を得ることができる。この理由については、次のことが考えられる。まず、従来の積層体の製造方法は、図7(a)〜(c)に示すように、未反応層2’から剥離層3を剥離した後に電離放射線を照射している。そのため、電離放射線の照射により未反応層内にて反応が生じ、未反応層が接着層となり硬化するまでの間に、露出した未反応層の表面が傷ついたりゴミが付着したりし、得られた積層体の品質が低下してしまうという問題がある。これに対し、第1態様および第2態様の積層体の製造方法は、接着層形成工程において未反応層に電離放射線を照射し、未反応層が接着層となり硬化するまでの間、剥離層により表面を保護することが可能である。そのため、接着層の表面が傷ついたりゴミが付着したりする不具合を抑制し、品質の高い積層体を得ることが可能となる。
以下、本発明の積層体の製造方法について、第1態様および第2態様に分けて説明する。
A.第1態様
本態様の積層体の製造方法は、被着体、および上記被着体に接着された接着層を有する積層体を製造する積層体の製造方法であって、未反応層、および上記未反応層の一方の面に配置され、電離放射線を透過する剥離層を準備する準備工程と、電離放射線を透過する上記剥離層を介して上記未反応層に電離放射線を照射し、上記未反応層に接着性が付与された上記接着層を形成する接着層形成工程と、上記被着体の表面に、上記接着層および上記剥離層をこの順で積層する積層工程と、上記接着層から上記剥離層を剥離する剥離工程とを有することを特徴とする製造方法である。
以下、本態様の積層体の製造方法が有する各工程について説明する。
1.準備工程
本工程は、未反応層、および未反応層の一方の面に配置され、電離放射線を透過する剥離層を準備する工程である。
本工程においては、未反応層の一方の面のみに剥離層を配置しても良く、あるいは未反応層の両方の面に剥離層を配置しても良い。本工程が、未反応層、および未反応層の一方の面のみに配置された剥離層を準備する工程である場合、上記剥離層は、電離放射線を透過する剥離層となる。一方、本工程が、未反応層、および未反応層の両方の面に配置された剥離層を準備する工程である場合、上記剥離層は、少なくとも一方が電離放射線を透過する剥離層となる。
本工程が、未反応層、および未反応層の両方の面に配置された剥離層を準備する工程である場合、未反応層の両方の面に配置された剥離層は、例えば、図5(a)に示すように、いずれもが電離放射線を透過する剥離層3aであっても良い。この場合には、後述する接着層形成工程において、電離放射線を未反応層の両面から照射することができるため、未反応層に効率良く電離放射線を照射することができる。したがって、未反応層に対して十分な接着性を付与することが可能となり、所望の接着層を形成することが可能となる。
また、本工程が、未反応層、および未反応層の両方の面に配置された剥離層を準備する工程である場合、未反応層の両方の面に配置された剥離層は、例えば、図5(b)に示すように、一方が電離放射線を透過する剥離層3aであり、他方が電離放射線を遮蔽する剥離層3bであっても良い。この場合には、未反応層および未反応層の両方の面に配置された剥離層を有するシートをロール状に巻いて保管する際に、電離放射線を遮蔽する剥離層が外側となるように巻くことにより、保管時に室内光や太陽光等の電離放射線が未反応層に照射されてしまうことを抑制することが可能となる。
なお、未反応層の両方に配置された剥離層が、例えば、図5(b)に示すように、一方が電離放射線を透過する剥離層3aであり、他方が電離放射線を遮蔽する剥離層3bである場合には、電離放射線を遮蔽する上記剥離層3bが、電離放射線を反射する機能を有していても良い。具体的には、例えば、図5(c)に示すように、未反応層の両方に配置された剥離層のうち、一方が電離放射線を透過する剥離層3aであり、他方が電離放射線を反射する剥離層3cであっても良い。この場合には、図5(c)に示すように、後述する接着層形成工程において、一方の面に配置された剥離層3aを介して照射される電離放射線が、未反応層2’を透過して他方の面に配置された剥離層3cに反射する。そのため、未反応層に対し、一方の面側と他方の面側との両方から電離放射線が照射することが可能となり、より効率的に電離放射線の照射を行うことが可能となる。したがって、未反応層に対して十分な接着性を付与することが可能となり、所望の接着層を形成することが可能となる。
本工程において、例えば、図5(a)、(c)に示すように、未反応層2’の両方の面に所定の剥離層3a、3cを配置する場合には、未反応層2’の両方の面に電離放射線を照射することが可能となる。したがって、未反応層に対して十分な接着性を付与することができ、後述する接着層形成工程において、優れた接着性を有する接着層を形成することが可能となる。また、このような接着層は、例えば、自動車の車体等の補修において有効に用いることができる。自動車の車体等の補修の際には、破損した車体の各部材を貼り合わせる場合があるが、このとき高い接着性を有する接着層が求められる。本工程においては、未反応層の両方の面に所定の剥離層を配置することにより、優れた接着性を有する接着層を形成することができるため、例えば、図6(a)に示すように、後述する剥離工程において剥離層3を剥離した後に、図6(b)〜(c)に示すように、第1の被着体1の表面に配置された接着層2の表面に、第2の被着体1’を配置した場合に、第1の被着体1および第2の被着体1’を十分に接着することが可能となる。したがって、上述のように自動車の車体等の補修の際には、破損した車体の各部材を十分に貼り合わせることが可能となるという効果を奏する。
以下、本工程において準備される未反応層および剥離層について説明する。
(1)未反応層
本工程における未反応層は、後述する接着層形成工程において、電離放射線が照射されることにより接着性が付与された接着層となる層であれば特に限定されない。
(a)材料
未反応層を構成する材料としては、電離放射線が照射されることにより所定の接着性を付与することができる材料であれば特に限定されない。例えば、未反応層の表面に粘着層を有していても良いが、中でも、未反応層自体が所定の粘着性を有することが好ましい。例えば、本態様において積層体を製造するまでの間、未反応層が粘着性を維持していることが好ましく、具体的には、約30秒以上、約24時間以下の間、未反応層が粘着性を維持していることが好ましい。また、後述する接着層形成工程において、未反応層が接着層となり、十分に硬化した後にも、所定の粘着性を有することが好ましい。
なお、未反応層の粘着性とは、後述する被着体に対する粘着性であるため、使用される被着体に応じて適宜調整することができるが、例えば、アルミニウムに対する粘着性で評価した場合に、0.01N/インチ以上であることが好ましい。また、未反応層の粘着性は、50N/インチ以下であることが好ましい。未反応層の粘着性については、後述する接着層形成工程における電離放射線の照射により大きく変化するものではないため、電離放射線の照射の後に測定することができる。
未反応層の具体的な材料には、例えば、電離放射線硬化型樹脂であるアクリル樹脂およびエポキシ樹脂、電離放射線硬化型樹脂に用いられる硬化剤等を用いることができる。ここで、未反応層にアクリル樹脂を用いた場合には、アクリル樹脂は未反応層に含まれるエポキシ樹脂の濃度を希釈する働きをする。その結果、アクリル樹脂は、未反応層に含まれるエポキシ樹脂の硬化反応を遅らせることができ、未反応層の保存安定性を向上させることが可能となる。
以下、未反応層に用いられる材料の具体例として、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤について説明する。
(i)アクリル樹脂
未反応層に用いられるアクリル樹脂は、質量平均分子量(Mw)が15万以上であることが好ましく、中でも40万以上であることが好ましい。また、アクリル系樹脂は、質量平均分子量(Mw)が150万以下であることが好ましく、中でも120万以下であることが好ましい。アクリル樹脂の質量平均分子量が上記範囲内であることにより、未反応層の粘着性の調整を容易に行うことができるとともに、未反応層の凝集力を高くすることが可能となる。なお、質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際の、ポリスチレン換算の値である。
このようなアクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル共重合体を用いることができる。アクリル酸エステル共重合体のモノマー成分としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸エステルモノマー;マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、n−ブトキシ−N−メチロールアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸ソーダ、ジアセトンアクリルアミド、アクリル酸グリシジル等の官能基含有モノマー;スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチルビニルエーテル等のモノマー;等が挙げられる。アクリル酸エステル共重合体は、これらのモノマー成分の共重合体である。
これらのモノマー成分の中でも、官能基としてエポキシ基、水酸基、カルボキシル基又はニトリル基等を持つ化合物をモノマー成分とするアクリル酸エステル共重合体が好ましい。具体的には、エチルアクリレート−ブチルアクリレート−アクリロニトリル共重合体、エチルアクリレート−アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート−アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。このようなアクリル樹脂を用いることにより、被着体への粘着性をより向上させることが可能となる。
なお、ここでのアクリル酸メチル、アクリル酸エチル等の「アクリル酸」には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の「メタクリル酸」も含まれる。
また、アクリル酸エステル共重合体としては、例えば、ブロック共重合体が挙げられる。中でも、メタクリレート−アクリレート−メタクリレートを含むトリブロック共重合体が好ましい。トリブロック共重合体を構成するメタクリレートとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジジル等が挙げられる。また、トリブロック共重合体を構成するアクリレートとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジジル等が挙げられる。メタクリレート−アクリレート−メタクリレートからなるトリブロック共重合体の具体例としては、例えば、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレートトリブロック共重合体が挙げられる。このようなブロック共重合体は、被着体に対して十分な粘着性を示し、また耐熱性の向上の観点からも好ましい。
未反応層におけるアクリル樹脂の含有量は、未反応層に含まれる材料に応じて適宜調整することができるが、例えば、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂の合計量に対して、4質量%以上であることが好ましく、中でも5質量%以上であることが好ましい。また、アクリル樹脂の含有量は、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂の合計量に対して、50質量%以下であることが好ましく、中でも34質量%以下であることが好ましい。アクリル樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、未反応層に所望の粘着性を付与することができる。一方、アクリル樹脂の含有量が上記範囲に満たない場合には、未反応層を形成する際に、未反応層を構成する未反応層形成組成物の塗布性や成膜性が低下し、所望の未反応層が得られない場合がある。また、アクリル樹脂の含有量が上記範囲を超える場合には、後述する接着層形成工程において得られた接着層の接着力が低下するおそれがある。
(ii)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂は、電離放射線硬化型樹脂であるため、後述する接着層形成工程において未反応層に電離放射線を照射することにより接着層とし、硬化させることが可能となる。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、液状エポキシ樹脂、固形エポキシ樹脂が挙げられる。
(液状エポキシ樹脂)
未反応層に用いられる液状エポキシ樹脂は、質量平均分子量(Mw)が300以上、2000以下であることが好ましい。液状エポキシ樹脂の質量平均分子量が上記範囲内であることにより、上述したアクリル樹脂との相溶性を良好にすることができる。また、液状エポキシ樹脂の質量平均分子量が上記範囲内であることにより、後述する接着層形成工程において、高い耐久性を有し、さらに、高い接着性を発揮することが可能な接着層を得ることが可能となる。さらに、液状エポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq.)は、100以上、800未満であることが好ましい。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に準拠した方法により測定した1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数である。
このような液状エポキシ樹脂としては、例えば、常温で液状のエポキシ樹脂であれば特に限定されず、各種のエポキシ樹脂を用いることができる。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、変性フェノール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂及びグリシジルアミン型エポキシ樹脂等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂は、機械的強度、硬化性、耐熱性、接着性等を向上させることができ、好ましく用いることができる。特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を好ましく用いることができる。このビスフェノールA型エポキシ樹脂において、主鎖のビスフェノール骨格を1以上、3以下含むものは常温で液状であるので好ましく用いられる。なお、ここでの常温とは23±2℃を意味する。
未反応層における液状エポキシ樹脂の含有量は、未反応層に含まれる材料に応じて適宜調整することができるが、例えば、液状エポキシ樹脂及び固形エポキシ樹脂の合計量に対して、20質量%以上であることが好ましく、中でも25質量%以上であることが好ましい。また、液状エポキシ樹脂の含有量は、液状エポキシ樹脂及び固形エポキシ樹脂の合計量に対して、80質量%以下であることが好ましく、中でも75質量%以下であることが好ましい。液状エポキシ樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、未反応層に所望の粘着性を付与することができる。一方、液状エポキシ樹脂の含有量が上記範囲に満たない場合には、未反応層に所望の粘着性を付与することが困難となる場合があり、また、液状エポキシ樹脂の含有量が上記範囲を超える場合には、後述する接着層形成工程において得られた接着層の接着力が低下するおそれがある。
(固形エポキシ樹脂)
未反応層に用いられる固形エポキシ樹脂は、質量平均分子量(Mw)が300以上であることが好ましく、中でも800以上であることが好ましい。また、固形エポキシ樹脂は、質量平均分子量(Mw)が5000以下であることが好ましく、中でも3000以下であることが好ましい。固形エポキシ樹脂の質量平均分子量が上記範囲内であることにより、上述したアクリル樹脂との相溶性を良好にすることができる。また、固形エポキシ樹脂の質量平均分子量が上記範囲内であることにより、後述する接着層形成工程において、高い耐久性を有し、さらに、高い接着性を発揮することが可能な接着層を得ることが可能となる。さらに、固形エポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq.)は、100以上、2200以下であることが好ましい。
このような固形エポキシ樹脂としては、例えば、常温で固形状のエポキシ樹脂であれば特に限定されず、各種のエポキシ樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、変性フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂及びビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂は、機械的強度、硬化性、耐熱性、接着性等の観点からより好ましく用いることができ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は特に好ましく用いることができる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂の場合、通常、主鎖のビスフェノール骨格が2以上、10以下のものは、常温で固体である。
未反応層における固形エポキシ樹脂の含有量は、未反応層に含まれる材料に応じて適宜調整することができる。なお、固形エポキシ樹脂の具体的な含有量については、上述した液状エポキシ樹脂と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(iii)硬化剤
未反応層に用いられる硬化剤は、電離放射線の照射により、上述したエポキシ樹脂を硬化させることができる材料であれば特に限定されない。
このような硬化剤としては、例えば、カチオン重合を開始させる物質を放出する硬化剤が挙げられる。カチオン重合を開始させる物質を放出する硬化剤としては、例えば、スルホン酸エステル、イミドスルホネート、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸−p−ニトロベンジルエステル、シラノール−アルミニウム錯体、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、トリアジン化合物、鉄アレーン錯体等が挙げられる。これらの硬化剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。そうした硬化剤の市販品としては、例えば、サンエイド SI−60L(三新化学株式会社製)、サンエイド SI−80L(三新化学株式会社製)、サンエイド SI−100L(三新化学株式会社製)、CI−2064(日本曹達株式会社製)、イルガキュア 261(チバスペシャリティーケミカルズ社製)、アデカオプトマー SP−150(ADEKA社製)、アデカオプトマー SP−170(ADEKA社製)等が挙げられる。
未反応層に用いられる硬化剤としては、メルカプト基を有する硬化剤(ポリチオール系硬化剤)またはフェノール性水酸基を有する硬化剤と、電離放射線を照射することにより塩基を発生する硬化触媒とを併用することもできる。硬化触媒としては、光塩基発生剤を用いることが好ましい。光塩基発生剤は、電離放射線の照射前には塩基性がほとんどない硬化触媒であるので、層形成が可能になる。
光塩基発生剤としては、例えば、下記化学式で表わされ、かつ電離放射線の照射により塩基を発生させるものであることが好ましい。下記化学式中、R及びRは、それぞれ、独立に水素又は1価の有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R及びRは、それらが結合して環状構造を形成していても良い。ただし、R及びRのうち、少なくとも一つは1価の有機基である。R、R、R及びRは、それぞれ、水素、ハロゲン又は1価の有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R、R、R及びRは、それらの二つ以上が結合して環状構造を形成していても良い。
こうした光塩基発生剤は、電離放射線の照射により、効率的に塩基を発生することができる。なお、光塩基発生剤とは、常温常圧の通常の条件下では活性を示さないが、外部刺激として電離放射線が加えられると、塩基を発生する。光塩基発生剤は、上記特定構造を有するため、電離放射線が照射されることにより、化学式中の(−CH=CH−C(=O)−)部分がシス体へと異性化し、環化し、塩基であるアミン、NHRを生成する。
未反応層における硬化剤の含有量は、硬化剤が電離放射線の照射によりカチオン重合を開始させる硬化剤である場合、例えばエポキシ樹脂に対しては、1質量部以上、10質量部以下であることが好ましい。また、光塩基発生剤のエポキシ樹脂の当量反応系での硬化触媒を併用した場合の含有量は、例えばエポキシ樹脂に対しては、0.5質量部以上、10質量部以下であることが好ましい。
(iV)その他
未反応層には、上述した材料の他にも、必要に応じてその他の材料を用いることができる。例えば、後述する積層工程において接着層と被着体との密着性を向上させるためのカップリング剤や、未反応層を構成する未反応層形成用組成物の成膜性を向上させるためのレベリング剤等の各種添加剤を用いることができる。また、未反応層の粘着性を向上させるための粘着付与剤や、せん断強度を向上させるためのフィラー等を用いることができる。
(b)厚み
未反応層の厚みとしては、被着体の種類や目的に応じて適宜調整されるものであるが、例えば、150μm以上であることが好ましい。また、未反応層の厚みは、500μm以下であることが好ましく、中でも300μm以下であることが好ましい。
(c)製造方法
未反応層の製造方法は、所望の未反応層を得ることができる方法であれば特に限定されない。未反応層の製造方法としては、例えば、後述する剥離層の表面に未反応層形成用組成物を配置して乾燥させる方法が挙げられる。具体的には、次のような方法である。
まず、上述した材料を配合して撹拌し、溶解させることにより未反応層形成用組成物を調製する。撹拌に用いられる撹拌機は特に限定されないが、通常の混練分散機を用いることができる。具体的には、二本ロールミル、三本ロールミル、ペブルミル、トロンミル、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、デスパーザー、ホモジナイザー、および超音波分散機等を用いることができる。
次に、得られた未反応層形成用組成物を、剥離層の表面に配置する。未反応層形成用組成物の配置方法としては、例えば、塗布法や印刷法が挙げられる。具体的な塗布法としては、例えば、ロールコート、リバースコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコート、グラビアコート等が挙げられる。また、具体的な印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法等が挙げられる。
その後、未反応層形成用組成物を乾燥させる。未反応層形成用組成物の乾燥工程は、未反応層形成用組成物中に含まれる溶剤を十分揮発させるとともに、電離放射線硬化型樹脂の硬化が過度に促進されて未反応層の粘着性が低下しない程度の条件下で行うことが好ましい。具体的な乾燥条件としては、例えば、50℃以上、100℃以下の温度下において、2分以上、20分以下の間乾燥させることが好ましい。
(d)補修・補強部材
本工程における未反応層は、必要に応じて補修・補強部材を有していても良い。例えば、未反応層の内部に配置されていても良く、未反応層に含浸されていても良い。未反応層が補修・補強部材を有することにより、被着体の一部が剥離した場合等に、剥離した被着体片を支持することが可能となり、補修・補強機能を付与することが可能となる。
補修・補強部材の強度としては、被着体の種類等に応じて適宜変更されるものであるが、例えば、被着体が道路等のコンクリートである場合には、旧日本道路公団(東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社)の規定する押し抜き試験において、10mm以上の変位時に1500N以上になることが好ましい。
補修・補強部材の材料としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、カーボン繊維、ガラス繊維及びポリオレフィン繊維等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、及びポリオレフィン繊維は、軽くて強度に優れることから好ましく用いられる。これらの繊維は、混紡されていてもよいし、縦糸や横糸に使い分けられていても良く、多層に積層されていても良い。なお、補強には、ヒビを隠したり、凹凸を消したりする補修を含み、さらに強度向上、保水、表面保護、加飾等の機能を付与するものも含む。
また、補修・補強部材には、防水シート、吸水シート、耐紫外線シート、保水シート、着色シート等のシート状部材を用いることができる。また、補修・補強部材には、このようなシート状部材と、上述した繊維材料を含む部材とを組み合わせて用いることができる。
未反応層の内部に補修・補強部材が配置される場合、補修・補強部材の厚みとしては、補修・補強部材としての機能を発揮し得る程度の厚みであれば特に限定されないが、例えば、0.01mm以上、1.0mm以下の範囲内であることが好ましい。
(2)剥離層
本工程における剥離層は、未反応層の一方の面に配置される層である。また、剥離層は、後述する剥離工程において、接着層から剥離することができるものであれば特に限定されない。
本工程における剥離層としては、例えば、図5(a)〜(c)に示すように、電離放射線を透過する剥離層3a、図5(b)に示すように、電離放射線を遮蔽する剥離層3b、および図5(c)に示すように、電離放射線を反射する剥離層3c等が挙げられる。
以下、電離放射線を透過する剥離層(第1の剥離層)、電離放射線を遮蔽する剥離層(第2の剥離層)、電離放射線を反射する剥離層(第3の剥離層)に分けて説明する。
(a)第1の剥離層
本工程における第1の剥離層は、電離放射線を透過する剥離層である。
(i)材料
第1の剥離層に用いられる材料としては、電離放射線を透過する材料であれば特に限定されない。ここで、電離放射線を透過するとは、後述する接着層形成工程において、第1の剥離層を介して未反応層に電離放射線を照射し、未反応層に所定の接着性を付与した接着層を形成することができる程度に透過性を有することを指す。例えば、波長365nmにおける紫外線透過率が20%以上であることが好ましく、中でも50%以上であることが好ましく、特に70%以上であることが好ましい。なお、紫外線透過率は、島津製作所製UV−3600 Plusを用いて測定することができる。
このような第1の剥離層の材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂及びポリウレタン樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。第1の剥離層としては、上述した材料を単独で用いても良く、あるいは2種以上の材料を組み合わせて用いても良い。さらに、第1の剥離層は、単層であっても良く、複数層が積層されていても良い。
(ii)厚み
第1の剥離層の厚みとしては、第1の剥離層の寸法安定性や剛性、柔軟性等に応じて適宜調整されるものであるが、例えば、5μm以上、200μm以下であることが好ましい。
(iii)製造方法
第1の剥離層の製造方法としては、所望の剥離層を得ることができる方法であれば特に限定されない。例えば、溶液流延法、溶融押出法、カレンダー法等を用いた方法が挙げられる。
また、第1の剥離層の表面には、必要に応じて易剥離処理が施されていても良い。剥離層の表面に易剥離処理が施されている場合には、後述する接着層形成工程や剥離工程において、未反応層または接着層から第1の剥離層を容易に剥離することが可能となる。
第1の剥離層の表面に施される易剥離処理としては、例えば、第1の剥離層の表面に易剥離剤を塗布する処理が挙げられる。易剥離剤としては、例えば、水溶性樹脂、親水性樹脂、ワックス類、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、易剥離剤の塗布方法としては、例えば、ロールコート、グラビアコート、スプレーコート等が挙げられる。
さらに、第1の剥離層の表面に易剥離処理が施される場合、易剥離層と剥離層との接着力を向上させるために、易剥離層が形成される側の剥離層の表面に易接着処理を施しても良い。第1の剥離層に施される易接着処理としては、例えば、易剥離層を構成する易剥離剤の濡れ性を向上させる処理が挙げられる。具体的には、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理等が挙げられる。
(b)第2の剥離層
本工程における第2の剥離層は、電離放射線を遮蔽する剥離層である。
(i)材料
第2の剥離層に用いられる材料としては、電離放射線を遮蔽する材料であれば特に限定されない。ここで、電離放射線を遮蔽するとは、第2の剥離層を介して未反応層に電離放射線が照射されない程度に遮蔽性を有することを指す。例えば、波長365nmにおける紫外線透過率が、10%以下であることが好ましく、中でも8%以下であることが好ましく、特に5%以下であることが好ましい。なお、測定方法については、上述した第1の剥離層の紫外線透過率と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
このような第2の剥離層の材料としては、例えば、アルミニウム等の金属やカーボン等が挙げられる。第2の剥離層としては、上述した材料を単独で用いても良く、あるいは2種以上の材料を組み合わせて用いても良い。さらに、第2の剥離層は、単層であっても良く、複数層が積層されていても良い。第2の剥離層が、複数層が積層されてなる場合には、当該複数層のうち、少なくとも一層が電離放射線を遮蔽する層であれば良い。
(ii)厚み
第2の剥離層の厚みとしては、第2の剥離層の寸法安定性や剛性、柔軟性等に応じて適宜調整されるものであるが、例えば、5μm以上、200μm以下であることが好ましい。
(iii)製造方法
第2の剥離層の製造方法については、上述した第1の剥離層の製造方法と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(c)第3の剥離層
本工程における第3の剥離層は、電離放射線を反射する剥離層である。
(i)材料
第3の剥離層に用いられる材料としては、電離放射線を反射する材料であれば特に限定されない。ここで、電離放射線を反射するとは、例えば、図5(c)に示すように、剥離層3aを介して未反応層に電離放射線が照射された際に、未反応層を透過した電離放射線が剥離層3cによって反射される程度の反射性を有することを指す。例えば、紫外線反射率が、5%以上であることが好ましく、中でも20%以上であることが好ましく、特に50%以上であることが好ましい。なお、紫外線反射率は、島津製作所製UV−3600 Plusを用いて測定することができる。
このような第3の剥離層の材料としては、例えば、アルミ蒸着フィルム、アルミ箔、白色ポリエステルフィルム等が挙げられる。さらに、第3の剥離層は、単層であっても良く、複数層が積層されていても良い。第3の剥離層が、複数層が積層されてなる場合には、当該複数層のうち、少なくとも一層が電離放射線を反射する層であれば良く、中でも、未反応層側の表面に配置される層が電離放射線を反射する層であることが好ましい。第3の剥離層に反射した電離放射線を、効率良く未反応層に照射させることが可能となるからである。
(ii)厚み
第3の剥離層の厚みとしては、第2の剥離層の寸法安定性や剛性、柔軟性等に応じて適宜調整されるものであるが、例えば、5μm以上、200μm以下であることが好ましい。
(iii)製造方法
第3の剥離層の製造方法については、上述した第1の剥離層の製造方法と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(d)その他の剥離層
本工程においては、上述した第1〜3の剥離層をガスバリア層として用いても良い。第1〜3の剥離層をガスバリア層として用いる場合には、大気中に存在する成分により、電離放射線の照射で起こり得る未反応層での反応が阻害されるのを抑制することができる。また、未反応層に光塩基発生剤を用いた際に、大気中の炭素酸化物、硫黄酸化物、窒素酸化物により、未反応層において発生する塩基が中和されてしまうのを抑制することができる。
第1〜3の剥離層をガスバリア層として用いる場合、第1〜3の剥離層としては、アルミニウムやケイ素等の金属や金属酸化物等を含むことが好ましい。なお、第1〜3の剥離層をガスバリア層として用いる場合において、第1〜3の剥離層が単層である場合には、第1〜3の剥離層自体をガスバリア層として用いることができ、一方、第1〜3の剥離層が複数層を有する場合には、第1〜3の剥離層を構成する少なくとも一層をガスバリア層として用いることができる。
さらに、本工程においては、上述した第1〜3の剥離層をハードコート層として用いても良い。第1〜3の剥離層をハードコート層として用いる場合には、後述する剥離工程までの間に、未反応層または接着層が傷ついたりすることを好適に抑制することができ、優れた耐久性を付与することができる。
第1〜3の剥離層をハードコート層として用いる場合、第1〜3の剥離層としては、アルミニウム等の金属や金属酸化物、シリコンやシリコン酸化物、酸化チタン等の微粒子、硬化型樹脂等の材料を含むことが好ましい。なお、第1〜3の剥離層をハードコート層として用いる場合において、第1〜3の剥離層が単層である場合には、第1〜3の剥離層自体をハードコート層として用いることができ、一方、第1〜3の剥離層が複数層を有する場合には、第1〜3の剥離層を構成する少なくとも一層をハードコート層として用いることができる。
2.接着層形成工程
本態様における接着層形成工程は、電離放射線を透過する剥離層を介して未反応層に電離放射線を照射し、未反応層に接着性が付与された接着層を形成する工程である。
本工程は、剥離層を介して未反応層に電離放射線を照射することができる工程であれば特に限定されない。上述した準備工程において、未反応層の両方の面に剥離層が配置された場合には、電離放射線を透過する剥離層を介して電離放射線を照射することができる。中でも、上述した準備工程において準備された剥離層が、未反応層の両方の面に配置され、いずれも電離放射線を透過する層である場合には、未反応層の両方の面に配置された剥離層を介して電離放射線を照射する工程であることが好ましい。なお、この際には、未反応層の両方の面から同時に電離放射線を照射することが好ましい。未反応層の対して十分な接着性を付与することができ、優れた接着性を有する接着層を形成することができるからである。また、このような接着層は、例えば、自動車の車体等の補修において有効に用いることができる。自動車の車体等の補修の際には、破損した車体の各部材を貼り合わせる場合があるが、このとき高い接着性を有する接着層が求められる。本工程においては、未反応層の両方の面に電離放射線を照射することができるため、優れた接着性を有する接着層を形成することができ、破損した車体の各部材を十分に貼り合わせることが可能となるという効果を奏する。
本工程において、剥離層を介して未反応層に電離放射線を照射する方法としては、例えば、平坦な基材上に未反応層および剥離層から構成されたシートを配置し、剥離層側から電離放射線を照射する方法が挙げられる。このとき、据置型の電離放射線照射装置を用いて、ロールツーロール(Roll to Roll)方式により電離放射線を照射することができる。さらに、ハンディー型の電離放射線照射装置を用いて電離放射線を照射することができ、また、太陽光等の自然光により電離放射線を照射することができる。
本工程において、電離放射線として紫外線を照射する場合、例えば、波長300nm〜370nmの範囲内にピークを有する紫外線を、積算光量が50mJ/cm以上、3000mJ/cm以下の範囲内となるように照射することができる。また、電離放射線として電子線を照射する場合、例えば、線量が50kGy以上、100kGy以下の範囲内となるように照射することができる。
本工程においては、未反応層に電離放射線を照射することにより、未反応層内部において所定の反応が起こり、所定の接着性を有する接着層となる。なお、本工程で得られる接着層が有する接着性については、後述する積層工程において接着層および剥離層が積層される被着体の種類や、接着層に含まれる材料等に応じて適宜調整されるため、特に限定されない。
3.積層工程
本態様における積層工程は、被着体の表面に、接着層および剥離層をこの順で積層する工程である。
本工程は、被着体の表面に、接着層および剥離層をこの順で積層することができる工程であれば特に限定されない。本工程においては、例えば、図2(c)〜(e)および図3(c)〜(e)に示すように、剥離層3が、接着層2の両方の面に配置されている場合には、いずれか一方の剥離層3を剥離し、接着層2において剥離層3を剥離した側の面と被着体1とが接触するように積層する。
また、本工程においては、上述した接着層形成工程後、接着層が完全に硬化する前に本工程を行うことが好ましい。接着層が被着体と接触するように積層されて硬化することにより、接着層と被着体との界面において、接着層が被着体を巻き込むように硬化する。そのため、被着体に対して接着層を十分に接着させることが可能となる。
本工程において、接着層および剥離層が積層される被着体は、特に限定されるものではないが、例えば、道路、鉄道、上下水道、港湾施設、住宅および公園等の所謂インフラ設備や、車体等が挙げられる。
4.剥離工程
本態様における剥離工程は、接着層から剥離層を剥離する工程である。
本工程は、接着層から剥離層を剥離することができる工程であれば特に限定されない。接着層から剥離層を剥離する方法としては、例えば、物理的手法により、接着層から剥離層を剥離する方法が挙げられる。
5.その他の工程
本態様においては、上述した工程の他にも、必要に応じてその他の工程を有していても良い。例えば、自動車の車体等の補修の際には、図6(c)に示すように、第1の被着体1の表面に配置された接着層2の表面に、第2の被着体1’を配置する工程を有していても良い。なお、接着層の表面に第2の被着体を配置する工程は、接着層が完全に硬化する前に行われることが好ましい。接着層と第2の被着体とを十分に接着させることができ、第1の被着体および第2の被着体を優れた接着性により貼り合わせることが可能となるからである。
B.第2態様
本態様の積層体の製造方法は、被着体、および硬化することにより上記被着体に接着された接着層を有する積層体を製造する積層体の製造方法であって、未反応層、および上記未反応層の一方の面に配置され、電離放射線を透過する剥離層を準備する準備工程と、上記被着体の表面に、上記未反応層および電離放射線を透過する上記剥離層をこの順で積層する積層工程と、電離放射線を透過する上記剥離層を介して上記未反応層に電離放射線を照射し、上記未反応層に接着性が付与された上記接着層を形成する接着層形成工程と、上記接着層から上記剥離層を剥離する剥離工程とを有することを特徴とする製造方法である。
以下、本態様の積層体の製造方法が有する各工程について説明する。
1.準備工程
本態様における準備工程は、未反応層、および未反応層の一方の面に配置され、電離放射線を透過する剥離層を準備する工程である。
なお、本工程における未反応層および剥離層については、上述した「A.第1態様 1.準備工程」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
2.積層工程
本態様における積層工程は、被着体の表面に、未反応層および剥離層をこの順で積層する工程である。
本工程は、被着体の表面に、未反応層および剥離層をこの順で積層することができる工程であれば特に限定されない。このときに未反応層の表面に配置されている剥離層は、電離放射線を透過する剥離層である。後述する接着層形成工程において、当該剥離層を介して未反応層に電離放射線を照射するからである。
なお、本工程におけるその他の説明については、上述した「A.第1態様 3.積層工程」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
3.接着層形成工程
本態様における接着層形成工程は、電離放射線を透過する剥離層を介して未反応層に電離放射線を照射し、未反応層に接着性が付与された接着層を形成する工程である。
本工程は、剥離層を介して未反応層に電離放射線を照射し、未反応層に接着性が付与された接着層を形成する工程であれば特に限定されない。本工程において電離放射線を照射する方法は、被着体の表面に積層された未反応層に対し、剥離層を介して電離放射線を照射することができる方法であれば特に限定されない。例えば、ハンディー型の電離放射線照射装置を用いて剥離層側から電離放射線を照射する方法や、また、太陽光等の自然光を剥離層側から照射する方法が挙げられる。
なお、本工程におけるその他の説明については、上述した「A.第1態様 2.接着層形成工程」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
4.剥離工程
本態様における剥離工程は、接着層から剥離層を剥離する工程である。
なお、本工程については、上述した「A.第1態様 4.剥離工程」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
5.その他の工程
本態様においては、上述した工程の他にも、必要に応じてその他の工程を有していても良い。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
(準備工程)
片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理がなされた透明なポリエステルフィルム(商品名:SP−PET−03、膜厚:38μm、東セロ株式会社製)を、紫外線を透過する剥離層として用意した。下記の未反応層形成用塗工液を、塗工後の厚さが200μmとなるようにそのポリエステルフィルムの剥離処理面にアプリケーターを用いて塗布した。未反応層形成用塗工液が塗布されたポリエステルフィルムを80℃の乾燥オーブン内に2分間入れた。これらの作業によって、ポリエステルフィルムに粘着性を有する未反応層を配置した。未反応層が配置されたポリエステルフィルムを2枚と、炭素繊維を用いた補修・補強部材(W−3101、東邦テナックス社製)とを用意した。1枚目のポリエステルフィルムの未反応層と補修・補強部材の一方の面側とを重ねあわせて、室温にて2kgのローラーを用いて押圧した。2枚目のポリエステルフィルムの未反応層と補修・補強部材の他方の面側とを重ねあわせて、約60℃のホットプレート上にて2kgのローラーを用いて押圧した。
上述した準備工程により、第1の剥離層、第1の未反応層、補修・補強部材、第2の未反応層、及び第2の剥離層がこの順番で配置されたシートを作製した。
<未反応層形成用塗工液>
・液状エポキシ樹脂 100質量部
(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:190g/eq.、分子量:380、三菱化学株式会社製、商品名:jER828)
・メルカプト基を有する硬化剤 7.0質量部
(ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート、粘度:400〜550mPa.s/25℃、メルカプタン当量:125〜137g/eq、三菱化学株式会社製、商品名:QX40)
・アクリル系樹脂 50質量部
(極性基が導入された変性メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレートトリブロック共重合体、Tg:−42℃、アルケマ社製、商品名:M22N)
・光塩基発生剤A 5質量部
・希釈溶剤(酢酸エチル、DICグラフィックス社製) 100質量部
なお、光塩基発生剤Aは、下記のようにして合成した。先ず、100mLフラスコにメタノール15mLを入れ、そこに炭酸カリウム2.00gを加えた。次いで、50mLフラスコにメタノール10mLを入れ、そこにエトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド(東京化成工業株式会社製)2.67g(6.2mmol)及び2−ヒドロキシ−4−(5−エチルヘキシルオキシ)−5−エチルベンズアルデヒド1.7g(6.2mmol)を添加し、溶解させた後、よく撹拌した上記炭酸カリウムのメタノール溶液をゆっくりと滴下した。そして、3時間撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認した。次いで、ろ過により炭酸カリウムを除き、減圧濃縮した。濃縮した後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を50mL加えて1時間撹拌した。反応終了後、ろ過によりトリフェニルホスフィンオキシドを除き、濃塩酸を滴下して反応液を酸性にした。沈殿物をろ過により集め、少量のクロロホルムで洗浄することにより2−ヒドロキシ−4−(5−エチルヘキシルオキシ)−5−エチルケイ皮酸を1.7g得た。続いて、窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ中で、2−ヒドロキシ−4−(5−エチルヘキシルオキシ)−5−エチルケイ皮酸1.0g(3.19mmol)を脱水テトラヒドロフラン10mLに溶解し、氷浴下で1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(東京化成工業株式会社製)0.73g(3.83mmol,1.2eq)を加えた。30分後に、アミンとしてピペリジン(東京化成株式会社製)129mg(1.52mmol、0.95eq)を加えた後、終夜で撹拌した。反応終了後、反応溶液を濃縮し、水に溶解した。クロロホルムで抽出した後、炭酸水素水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮することにより、下記式(I)に示す光塩基発生剤Aを1.0g得た。
(接着層形成工程)
次に、準備工程により得られたシートに対し、第1の剥離層側および第2の剥離層側から、ブラックライトにより1000mJ/cm(UVA365nm)の紫外線をそれぞれ照射した。これにより、第1の未反応層および第2の未反応層で硬化反応が起こり、第1の接着層および第2の接着層の形成が開始した。
(積層工程)
接着層形成工程において、第1の接着層および第2の接着層の形成が開始された状態で、第1の剥離層を剥離して、被着体であるコンクリート板の表面に積層した。その後、第2の剥離層側からハンドローラーで押圧した。このとき、第1の接着層は粘着性を有するため、押圧を終えた後もコンクリート板との密着性は維持された。
最後に、第2の剥離層を剥離した後、しばらく放置して第2の接着層の形成を完了させることによって、コンクリート板と、第1の接着層、補修・補強部材、及び第2の接着層とを有する積層体を得た。
1 …被着体、第1の被着体
1’ …第2の被着体
2’ …未反応層
2 …接着層
3 …剥離層
10 …積層体

Claims (3)

  1. 被着体、および前記被着体に接着された接着層を有する積層体を製造する積層体の製造方法であって、
    未反応層、および前記未反応層の一方の面に配置され、電離放射線を透過する剥離層を準備する準備工程と、
    電離放射線を透過する前記剥離層を介して前記未反応層に電離放射線を照射し、前記未反応層に接着性が付与された前記接着層を形成する接着層形成工程と、
    前記被着体の表面に、前記接着層および前記剥離層をこの順で積層する積層工程と、
    前記接着層から前記剥離層を剥離する剥離工程と
    を有し、
    前記準備工程が、前記未反応層、前記未反応層の一方の面に配置され、電離放射線を透過する前記剥離層、および前記未反応層の他方の面に配置され、電離放射線を遮蔽する剥離層を準備する工程であり、
    前記積層工程が、前記接着層の一方の面から前記剥離層を剥離し、前記被着体の表面に、前記接着層および前記剥離層をこの順で積層する工程であることを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 前記剥離層が、ガスバリア層であることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 被着体、および硬化することにより前記被着体に接着された接着層を有する積層体を製造する積層体の製造方法であって、
    未反応層、および前記未反応層の一方の面に配置され、電離放射線を透過する剥離層を準備する準備工程と、
    前記被着体の表面に、前記未反応層および電離放射線を透過する前記剥離層をこの順で積層する積層工程と、
    電離放射線を透過する前記剥離層を介して前記未反応層に電離放射線を照射し、前記未反応層に接着性が付与された前記接着層を形成する接着層形成工程と、
    前記接着層から前記剥離層を剥離する剥離工程と
    を有し、
    前記剥離層が、ガスバリア層であることを特徴とする積層体の製造方法。
JP2015118078A 2015-06-11 2015-06-11 積層体の製造方法 Expired - Fee Related JP6627268B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015118078A JP6627268B2 (ja) 2015-06-11 2015-06-11 積層体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015118078A JP6627268B2 (ja) 2015-06-11 2015-06-11 積層体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017002196A JP2017002196A (ja) 2017-01-05
JP6627268B2 true JP6627268B2 (ja) 2020-01-08

Family

ID=57753881

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015118078A Expired - Fee Related JP6627268B2 (ja) 2015-06-11 2015-06-11 積層体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6627268B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10279895A (ja) * 1997-04-02 1998-10-20 Sekisui Chem Co Ltd 硬化型粘接着シート及び部材の接合方法
JP2010275373A (ja) * 2009-05-26 2010-12-09 Toagosei Co Ltd 光学フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型組成物及び活性エネルギー線硬化型粘接着フィルム又はシート
JP6035046B2 (ja) * 2012-05-21 2016-11-30 昭和電工パッケージング株式会社 粘着シートの製造方法
JP5644896B2 (ja) * 2012-07-04 2014-12-24 大日本印刷株式会社 粘接着層及び粘接着シート
JP2014031005A (ja) * 2012-07-13 2014-02-20 Nitto Denko Corp 光反応物層含有シートおよび光反応物層含有シートの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017002196A (ja) 2017-01-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5644896B2 (ja) 粘接着層及び粘接着シート
TWI493005B (zh) An active energy ray hardening agent composition for a plastic film or sheet
JP5385988B2 (ja) 接着シート及び半導体チップの実装方法
WO2001047707A1 (fr) Materiau multicouche
JP6464683B2 (ja) コンクリートの補修又は補強方法
JP6627268B2 (ja) 積層体の製造方法
TWI535816B (zh) Diaphragm and adhesive sheet
TWI783131B (zh) 保護膜形成用複合片
JP2012082264A (ja) 粘接着剤組成物及び粘接着シート
JP6488554B2 (ja) コンクリートの剥落防止工事の作業時間短縮化方法
CN111279463B (zh) 保护膜形成用膜、保护膜形成用复合片及半导体芯片的制造方法
JP6550806B2 (ja) 対象構造物を補修又は補強する方法
JP2018030963A (ja) 粘接着シート、およびそれを用いた補強方法。
TW202115433A (zh) 支撐片、保護膜形成用膜、保護膜形成用複合片、以及附保護膜之工件加工物的製造方法
JP6686299B2 (ja) 積層体の製造方法及びそれに用いる接着シート
JP6551019B2 (ja) 積層体の製造方法及びそれに用いる接着部材
TW202003251A (zh) 支撐片及保護膜形成用複合片
JP2016210166A (ja) 積層体の製造方法及びそれに用いる接着シート
TWI812687B (zh) 支撐片及保護膜形成用複合片
TWI833953B (zh) 保護膜形成用複合片、以及附保護膜之半導體晶片之製造方法
TWI801532B (zh) 支撐片及保護膜形成用複合片
TW202104485A (zh) 保護膜形成用複合片、以及附保護膜之半導體晶片之製造方法
JP2002154180A (ja) 複層材料、補強材及びその施工方法
TW202111054A (zh) 保護膜形成用膜、保護膜形成用複合片、以及具保護膜之工件加工物之製造方法
TW202129777A (zh) 保護膜形成用複合片

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180426

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190319

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190517

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190924

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191009

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191118

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6627268

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees