JP2007039365A - オオバギ抽出物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 オオバギ抽出物は、オオバギを水抽出した後の固形分を有機溶媒抽出することにより製造される。水抽出では90℃以上の水が用いられることが好ましい。有機溶媒抽出では低級アルコールを主成分とする抽出溶媒が用いられることが好ましい。オオバギ抽出物には、ニムフェオール−B,Cが含有され、好ましくはニムフェオール−B,Cに加えてニムフェオール−A及び/又はプロポリンAが含有されている。図2(a)はオオバギの葉を水抽出した水抽出液、図2(b)は水抽出後の固形分をエタノールで有機溶媒抽出した一次抽出物、図2(c)は一次抽出物をエタノールでさらに有機溶媒抽出した二次抽出物をそれぞれHPLC分析したときのクロマトグラムを示す。
【選択図】 図2
Description
請求項2に記載のオオバギ抽出物の製造方法は、請求項1に記載の発明において、前記水抽出では90℃以上の水が用いられることを要旨とする。
本実施形態のオオバギ抽出物の製造方法は、オオバギを水抽出した後の固形分を有機溶媒抽出する工程を備えている。この製造方法で得られるオオバギ抽出物は、抗酸化作用、抗菌作用、抗腫瘍作用などの有用な作用を発揮する。本実施形態のオオバギ抽出物の製造方法は、上述したような有用な作用を発揮するオオバギ由来の有用な成分を高い濃度(純度)で含有するオオバギ抽出物を容易かつ大量に得ることを可能にする。
・ 本実施形態のオオバギ抽出物の製造方法は、オオバギの器官又は構成成分からなる原料を水抽出した後に得られる固形分を有機溶媒抽出する工程を備えている。水抽出は、原料中に含まれる夾雑物を減少させるとともに、引き続き実施される有機溶媒抽出の抽出率を高めるため、製造後のオオバギ抽出物に含まれるオオバギ由来の有用な成分の濃度を飛躍的に高めることを可能にする。従って、本実施形態の製造方法によれば、オオバギ由来の有用な成分を高い濃度で含有するオオバギ抽出物を容易に製造することが可能となる。さらに、本実施形態の製造方法では、水抽出時に安価な水が用いられるため、オオバギ抽出物の製造コストを容易に低減させることも可能となる。
(オオバギのエタノール抽出物の調製)
オオバギの乾燥葉を細かく刻んだ後に乳鉢ですり潰した。すり潰された乾燥葉10gに対して100mlの100%エタノールを加えた後、約1週間室温(25℃)暗所で放置することにより有機溶媒抽出を行った。続いて、ろ過により固液分離を行って有機溶媒抽出液を得た後、該有機溶媒抽出液を乾固することにより、オオバギのエタノール抽出物を得た。このエタノール抽出物を下記Photo Diode Array-HPLC(HPLC条件1)で分析したときのクロマトグラム及び該クロマトグラム上の主要なピークを構成する化合物を図1(a)に示す。
PDA−HPLC:多波長検出器付高速液体クロマトグラフィー
HPLC:JASCO GULLIVER SERIE(日本分光)
Program soft:BORWIN−PDA
HPLC pump:PU−1580
GRADIENT unit:LG−1580−02
Degasser:DG−1580−53
Multiwavelength detector :MD−1510
カラム : Shiseido Capcell Pak ODS UG-120 (4.6×250mm)
溶媒 : A:水(2%酢酸)、B:アセトニトリル(2%酢酸)
溶出条件: 0-60min(グラジエント溶出;A:B=80:20→A:B=20:80)
流速 : 1ml/min
PDA検出 : UV 200−600nm
UV検出 : UV280nm
注入量 : 10μl
温度 : 30℃
(オオバギの80%エタノール抽出物の調製)
オオバギの乾燥葉を1辺が1cm程度の正方形状になるように細かく刻んだ後に乳鉢ですり潰した。すり潰された乾燥葉10gに対して500mlの80%含水エタノールを加えた後、1晩室温(25℃)暗所で放置することにより有機溶媒抽出を行った。続いて、ろ過により固液分離を行って有機溶媒抽出液を得た後、該有機溶媒抽出液を乾固することにより、オオバギの80%エタノール抽出物2.9gを得た。この80%エタノール抽出物を下記HPLC条件2で分析したときのクロマトグラムを図1(b)に示す。その結果、図1(b)に示すクロマトグラムのピーク面積より算出すると、ニムフェオール−A,B,Cの合計は、80%エタノール抽出物に含まれる全固形分の40%であったことが確認された。よって、便宜的にニムフェオール−A,B,Cをオオバギ由来の有用な成分であるとすれば、80%エタノール抽出物に含まれる該成分の純度(濃度)は40%となる。
システム: PDA−HPLCシステム(島津製作所)、LC10ADvpシリーズ、UV;SPD−10Avp、PDA;SPD−M10Avp
カラム : Luna C18 (2.0×250mm)(島津GLC)
溶媒 : A:水(5%酢酸)、B:アセトニトリル(5%酢酸)
溶出条件: 0-20min(グラジエント溶出;A:B=80:20→A:B=30:70)
20-50min(グラジエント溶出;A:B=30:70→A:B= 0:100)
50-60min(A:B= 0:100)
60-75min(A:B=80: 20)
流速 : 0.2ml/min
PDA検出:UV190−370nm
UV検出: UV287nm
注入量 : 20μl
温度 : 40℃
(オオバギの水抽出物の調製)
オオバギの乾燥葉を1辺が1cm程度の正方形状になるように細かく刻んだ後に乳鉢ですり潰した。すり潰された乾燥葉10gに対して500mlの熱水(90℃以上)を加えた後、1晩室温(25℃)暗所で放置することにより水抽出を行った。続いて、ろ過により固液分離を行って水抽出液を得た後、該水抽出液を乾固することにより、オオバギの水抽出物を得た。この水抽出物を上記HPLC条件2で分析したときのクロマトグラムを図1(c)に示す。その結果、水抽出しただけでは、オオバギ由来の有用な成分は全く検出されなかった。
沖縄県で採集して冷凍したオオバギの生葉を解凍し、はさみで細かくカットした。カットした葉0.2〜0.3gと、溶媒10mlとをチューブ内に入れ、室温で2週間浸漬させて溶媒抽出を行った後、フィルターろ過してろ液を採取した。前記溶媒は、下記表1に示す溶媒をそれぞれ用いた。なお、表1に示す溶媒は、例えば左最上段ではメタノール:水=100:0の溶媒、右最下段では酢酸エチル:メタノール=30:70の混合溶媒を用いたことを意味する。
飲食品に配合容易なオオバギ抽出物を大量に製造する方法について検討した。なお、検討作業の簡素化を図るために、オオバギ抽出物中における含有量の高い主要な成分であるニムフェオール−A,B,Cに着目した。また、データは示さないが、本発明者らの予備試験により、オオバギの葉にオオバギ由来の有用な成分が多く含まれていることが確認されている。
オオバギの生葉を沖縄県で採集して冷凍した。冷凍されたオオバギの葉392.4gを解凍し、水洗後に一辺2〜3cmの四角形状にカットした。次に、20倍量の精製水を加え、90℃以上の温度で20分間水抽出を行った。続いて、メッシュろ過により固液分離を行って、水抽出液及び固形分をそれぞれ分離した。次に、水抽出後の固形分(オオバギの葉)に20倍量のエタノールを加え、室温で42時間有機溶媒抽出を行い、メッシュろ過により固液分離を行って、オオバギ抽出物(一次抽出物)を得た。得られた一次抽出物をエバポレーターで濃縮後に凍結乾燥した。
オオバギの生葉を沖縄県で採集して冷凍した。冷凍されたオオバギの葉100gを解凍し、水洗後に一辺2〜3cmの四角形状にカットした。次に、20倍量のエタノールを加え、室温で42時間有機溶媒抽出を行い、メッシュろ過により固液分離を行って、オオバギのエタノール抽出物を得た。得られたエタノール抽出物をエバポレーターで濃縮した。得られたエタノール抽出物を上記HPLC条件2でHPLC分析した。その結果、データは示さないが、比較例のエタノール抽出物に含まれるニムフェオール−A,B,Cの含有率の合計(純度)は41.3%であった。
図2(a)に示すように、オオバギの水抽出液中にはニムフェオール−A,B,Cが検出されなかった。また、この水抽出液には、比較例のエタノール抽出物のクロマトグラム(図示略)において早い時期に溶出されたピークが多量に検出された。図2(b)に示すように、一次抽出物には、高い純度のニムフェオール−A,B,Cが含まれていた。ちなみに、一次抽出物中のニムフェオール−A,B,Cの純度(クロマトグラムのピーク面積から算出)は70.3%、収率は2.9%であった。図2(c)に示すように、二次抽出物では、一次抽出物と比較して、純度は比較的高かったが、期待されるほどニムフェオール−A,B,Cが多く含まれてはいなかった(収率0.22%)。
ブレンド緑茶を熱水抽出することにより、タンニン量12.5mg/100mlの緑茶の熱水抽出液(緑茶飲料)を調製した。調製された緑茶飲料に前記オオバギの一次抽出物(純度70%)をそれぞれ下記表2に示す濃度となるように添加し、それぞれの調合液のタンニン量が12.5mg/100mlになるように調整した後、350mlのペットボトル(PET)に充填し、同表に示す濃度の菌をそれぞれ接種した。また、菌種を接種していないコントロール(未接種)も準備した。これらのペットボトルを保持殺菌(ホットパック)した後に冷却し、35℃で4週間保存した後、各ペットボトル内の緑茶飲料のpHを測定した。また、一部のペットボトルについては、緑茶飲料0.1mlを寒天プレート上に接種して菌数をカウントした。結果を下記表2に示す。なお、B.coagulans及び芽胞菌ブレンド(B.coagulansを主体とした8種の芽胞菌からなる混合物)については、それぞれ2本のペットボトルについて行った試験の結果を示す。
・ オオバギ抽出物を抗酸化剤や抗菌剤などとして利用してもよい。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記低級アルコールはメタノール及び/又はエタノールである請求項3に記載のオオバギ抽出物の製造方法。
・ 前記オオバギ抽出物にはニムフェオール−B及びニムフェオール−Cが含有されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のオオバギ抽出物の製造方法。前記オオバギ抽出物にはプロポリンA及び/又はニムフェオール−Aが含有されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のオオバギ抽出物の製造方法。
Claims (3)
- オオバギ抽出物を製造する方法であって、
オオバギを水抽出した後の固形分を有機溶媒抽出することを特徴とするオオバギ抽出物の製造方法。 - 前記水抽出では90℃以上の水が用いられることを特徴とする請求項1に記載のオオバギ抽出物の製造方法。
- 前記有機溶媒抽出では低級アルコールを主成分とする抽出溶媒が用いられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオオバギ抽出物の製造方法。
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