JP2007033183A - 光ファイバのブリルアンスペクトル測定方法、およびその方法を利用した装置 - Google Patents

光ファイバのブリルアンスペクトル測定方法、およびその方法を利用した装置 Download PDF

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Abstract

【課題】BOTDAの距離分解能を向上させる。
【解決手段】本発明では、第1のパルス光(パルス幅T)と第2のパルス光(パルス幅ΔT)から構成され、T >ΔTを満足し、かつ第1のパルス光の立ち下りから前記第2のパルス光の立ち上がりまでの遅延時間τが、0≦τ≦1/Δfを満足する第1の光信号、および前記第1の光信号と同じ第1のパルス光と前記第1の光信号と振幅または位相が異なる第2のパルス光の組み合わせから構成され、T >ΔTかつ0≦τ≦1/Δfを満たす第2の光信号を、第1の光として用いる。第1の光信号と第2の光信号に対する第2の光のパワーを測定し、第1の光信号に対する第2の光のパワーの測定結果と前記第2の光信号に対する第2の光のパワーの測定結果との差分を求める。
【選択図】図10

Description

本発明は、光ファイバのブリルアンスペクトルあるいはその中心周波数であるブリルアン周波数シフトとその空間的分布を測定する技術に関する。特に、距離分解能の特性を向上させる測定技術に関する。
媒質にコヒーレントな単色光を入射したとき、音波との非線形相互作用により周波数がシフトした後方散乱光が観測される。これをブリルアン散乱と呼ぶ。また、この散乱光のスペクトルは、次式に示すように、ローレンツ型の形状を示す。
S(Δf, fb) = S0(Δfb)2/ { 4(Δf−fb)2 + (Δfb)2 } (1)
ここで、Δfは入射光とブリルアン散乱光の周波数差、fは散乱光のスペクトル強度が最大となり、そのスペクトルの中心でもある周波数差(ブリルアン周波数シフトと呼ぶ。)、また、Δfはブリルアン散乱光のスペクトルの半値全幅(自然ブリルアンスペクトル幅と呼ぶ。)である。媒質が、代表的な光ファイバである石英系光ファイバであり、入射光の波長が1.55μmの場合、f〜11GHz、Δf〜20MHz、である。Sは比例係数である。なお、式(1)のS(Δf, f)は、Δfをポンプ光とプローブ光の周波数差とみなしたとき、後述するブリルアン光増幅の利得の周波数特性を示すブリルアン利得スペクトルと同一のプロファイルであるため、ここでは、以後、両者ともブリルアンスペクトルと呼ぶこととする。
このブリルアンスペクトルは、光ファイバに加わった応力による歪みや、光ファイバの置かれた環境の温度により変化することが知られている。例えば石英ガラスを材料とした光ファイバのブリルアン周波数シフトfは、歪みに対して、約500MHz / %、また温度に対して、約1MHz / ℃、の依存性を示す。したがって、これらの空間的な変化(光ファイバの長さに沿ったブリルアンスペクトル、あるいは、ブリルアン周波数シフトの変化)を検出することにより、光ファイバをセンサとした、歪み・温度分布測定が実現されている。
これまで、光ファイバのブリルアンスペクトルの空間的分布を測定可能な技術として、非特許文献1に示すBOTDRまたはBOTDAが実現されている。BOTDRは、コヒーレントな単色光の光パルスを光ファイバに入射し、その光パルスによって発生する後方ブリルアン散乱光のスペクトルを、時間の関数として分光測定する技術である。光パルスを入射後、後方ブリルアン散乱光が再び入射ファイバ端に戻ってくるまでの遅延時間は、そのファイバ端から、後方ブリルアン散乱光が発生した光ファイバ中の位置までの距離に比例するため、光ファイバの長さ方向に沿った、ブリルアン散乱光のスペクトル分布、すなわちブリルアン周波数シフト分布が測定可能となる。また、BOTDAも同様に、コヒーレントな単色光の光パルスを光ファイバに入射する。BOTDAの場合は、ポンプ光として入射した光パルスによって発生したブリルアン利得を利用してブリルアンスペクトルを測定する。ブリルアン利得は、入射光パルスよりも、ブリルアン周波数シフトと呼ばれる量、すなわちfだけ、周波数がシフトした周波数の近傍のみで発生し、その利得のスペクトル形状は、上記BOTDRで測定する後方ブリルアン散乱光のスペクトルと同一であることが知られている。実際、式(1)のΔfをポンプ光とプローブ光の周波数差とみなしたものが、ブリルアン利得スペクトルを与える。そのため、光ファイバの他の端から、光パルスとの周波数差がほぼfのプローブ光を入射させると、プローブ光は対向して伝搬する前記光パルスによって光増幅される。したがって、この光増幅により増加したプローブ光のパワー変化を、光パルスとプローブ光の周波数差を変えて測定することにより、ブリルアンスペクトルが測定される。光増幅されたプローブ光が、光パルス入射ファイバ端で測定されるまでの遅延時間は、プローブ光が光パルスとで出会い、光増幅される光ファイバ中の位置までの距離に比例するため、プローブ光の光増幅によるパワー変化を、前記BOTDRのときと同様に、時間の関数として測定することにより、光ファイバの長さ方向に沿った、ブリルアンスペクトルの分布が測定可能となる。
一方、BOTDRまたはBOTDAの距離分解能Δzは、両者ともに、光パルス幅ΔTで制限され、Δz=vΔT/2、で与えられる。ここでvは、光ファイバ中の光速であり、約2x108m/sである。たとえば、ΔT=1μsのとき、Δz =100mとなる。これよりも距離分解能を良くするためには、光パルス幅ΔTをさらに細くし、また光信号の受信系の帯域Bをおよそ1/ΔT以上に広げる必要があるが、このとき、BOTDRまたはBOTDAで検出する光信号強度は、ΔTに比例して減少し、さらに、受信系の雑音が帯域Bの拡大とともに増加するため、信号パワーと雑音パワーの比であるS/Nが劣化する。加えて、測定されるブリルアンスペクトルは、光ファイバに入射する光パルスのスペクトルと式(1)のスペクトルとの重ね合わせ積分となるため、その半値全幅は、およそ、Δf+(1/ΔT) に広がる。例えば、前述のように、Δf=20MHzとすると、Δz =100m,1mのとき、それぞれ、Δf+(1/ΔT)=21MHz,120MHz、となる。すなわち、距離分解能を100mから1mに向上させたとき、測定されるブリルアンスペクトルの半値全幅は5倍広がり、その中心周波数であるブリルアン周波数シフトを精度良く測定することが困難となる。このような理由から、これまでのBOTDRおよびBOTDAの距離分解能は、実効上、1m程度が限界であった。
図1は、BOTDAの基本構成を示したものである。光源1の出力光から、光強度変調器10を用いて第1の光であるパルス光を発生させる。また、光源2は、第2の光である連続(CW)光を出力する。第1の光と第2の光は、被測定光ファイバ4の中を対向して伝搬させる。したがって、図1のBOTDAの光源部は光源1と光源2から構成されている。第1の光であるパルス光の周波数をfとし、第2の光であるCW光の周波数をfとすると、それらの周波数差Δf=f−fが、被測定光ファイバ4のブリルアン周波数シフトfとほぼ等しいとき、第2の光は第1の光であるパルス光によりブリルアン光増幅される。今、そのブリルアン光増幅が、第1の光が入射されたファイバ端FAから距離がzだけ離れた位置で起き、また、そのブリルアン光増幅により変化した第2の光のパワーを、ファイバ端FA側の光検出器8で測定する場合を考える。このとき、第1の光が入射した時刻から数えて、第2の光のパワー変化をファイバ端FA側で測定するまでの遅延時間tと、ブリルアン光増幅が起きた位置zとの関係は、
z = vt/2 (2)
で与えられる。ここで、vは光ファイバ中での光速である。したがって、第2の光のパワー変化を、周波数差Δfと遅延時間tの関数、P(Δf,t)、として測定することにより、位置zでのブリルアンスペクトル、P(Δf,2z/v)、が得られる。また、位置zごとに、ブリルアンスペクトルのピーク周波数、あるいは、ブリルアンスペクトルの中心周波数を求めることにより、ブリルアン周波数シフトの分布、f (z)を得ることができる。ただし、測定に使用した第1の光であるパルス光のパルス幅がΔTであるとき、ブリルアン増幅が起きた位置zは、
Δz = vΔT /2 (3)
の範囲にある。すなわち、このときの位置分解能は、式(3)で与えられる。
また、第1の光がCW光ではなく、パルス光であることを考慮したときのブリルアン利得スペクトルは、次式で与えられる。
S(Δf, fb) = S0(Δfb)(Δfb+ΔfL) / { 4(Δf−fb)2 + (Δfb+ΔfL)2}(4)
ここで、Δfは、パルス光が占める帯域であり、パルス光が矩形パルスであるとき、次式で近似される。
ΔfL=1/ΔT (5)
図2にBOTDAの機能構成図を示す。図2の機能構成は、図1に示した基本構成を具現化したものである。図2では、1つの光源からの光を分割し、一方を第1の光、他方を光周波数変換して第2の光としている。具体的な構成は以下のとおりである。図2のBOTDAは、光源部100と、第1の光の光信号を生成する光信号発生部800と、光信号発生部800の出力光を被測定光ファイバ4の方向へ導くための光分岐器6と、光分岐器6により被測定光ファイバ4の方向へ導かれた第1の光であるパルス光を、被測定光ファイバ4の片方の端から入射させるための接続器41と、第2の光を生成する光周波数変換部300と、光周波数変換部300の出力光である第2の光を被測定光ファイバ4の他方の端から入射させるための接続器42と、ブリルアン光増幅効果によりパワーが変化した第2の光だけを取り出すための光フィルタ7と、光フィルタ7の出力光を電気信号に変換させ、時間分解測定可能な光検出部8と、光検出器8から出力される電気信号を処理するための信号処理部900から構成されている。また、光源部100は、コヒーレントな連続発振光を出力する光源である光源1と、第1の光と第2の光を準備するために光源1からの出力光を分岐する光分岐器5とから構成される。光信号発生部800は、光源部100の光分岐器5で分岐された一方の光を強度変調して、第1の光である光信号を発生させるための光強度変調器10と、光強度変調器10の電気入力信号であるパルス信号を発生させるためのパルス信号発生器12とで構成される。光周波数変換部300は、光源部100の光分岐器5で分岐されたもう一方の光を高周波信号で強度変調して、第1の光の周波数fからおよそブリルアン周波数シフトfだけシフトした周波数を有する光を第2の光として発生させるための光強度変調器32と、光強度変調器32の電気入力信号である高周波信号を発生させるための高周波発生器33とから構成される。
前記光源1には、コヒーレントな光が出力可能な、DFB(distributed feedback)型半導体レーザ(DFB−LD)、DBR(distributed Bragg reflector)型半導体レーザ(DBR−LD)、半導体レーザ励起による固体レーザ、ガスレーザなどが使用できる。光分岐器5には、ファイバ溶融型カップラ、Planar-Lightwave-Circuits(PLC)などに代表される光導波路型カップラなどが使用できる。光分岐器6には、ファイバ溶融型カップラ、PLCなどに代表される光導波路型カップラ、光サーキュレータなどが使用できる。光強度変調器10には、パルス変調が可能な、リチウムニオベート結晶などを使用した電界効果型光変調器や、音響光学的光変調器などが使用できる。光強度変調器32には、光ファイバのブリルアン周波数シフトに相当する11GHz程度の高周波信号で変調可能な、リチウムニオベート結晶などを使用した電界効果型光変調器が使用できる。接続器41、42には、光コネクタや、光学レンズなどを使用した光結合系が使用できる。光フィルタ7には、ファブリー・ペロー型光フィルタ、回折格子、ファイバ回折格子(FBG)フィルタ、アレイ導波路型(AWG)フィルタ、多層膜誘電体フィルタ、などが使用可能である。光検出器8には、高速光信号が受光可能なフォトダイオード(PD)や、アバレンシフォトダイオード(APD)が使用できる。信号処理装置900には、増幅器、A/D変喚器、平均化処理装置などの電子回路や、種々のデータ処理・演算が可能なコンピュータなどが使用できる。
本技術は、光ファイバの物性とその空間的分布を測定可能であるばかりでなく、光ファイバに加わった応力による歪みや、光ファイバの置かれた環境における温度などの空間的分布、すなわち光ファイバの長さに沿った分布を測定することが可能となるため、分布センサへの応用も可能である。
T. Horiguchi et al., "Development of a distributed sensing technique using Brillouin scattering", J. Lightwave Technol., vol.13, no.7, pp.1296-1302, July 1995.
式(3)からわかるように、従来のBOTDAでは、距離分解能を高めるためには、パルス幅ΔTを狭くしなければならない。しかし、このとき、式(4)、(5)からわかるように、次の2つの問題が生じる。
(1)ΔTを狭めた結果、Δfが自然ブリルアンスペクトル幅Δfと同等あるいはそれ以上となるときには、ブリルアン利得が低下し、BOTDAで得られる信号が低下する。
(2)ブリルアン利得スペクトルの半値全幅が、ΔfからΔf+Δfに広がり、その結果、その中心周波数であるブリルアン周波数シフトの測定精度が劣化する。
このように、BOTDRまたはBOTDAの距離分解能を高めるために短パルスを使用した場合、信号強度が低下し、また、測定されるブリルアンスペクトルがパルス幅に反比例して広がり、ブリルアン周波数シフトの測定精度が劣化してしまう。その結果、従来のBOTDRおよびBOTDAともに、その距離分解能は1m程度が限界であった。
本発明の目的は、距離分解能を高めたブリルアン周波数シフト分布の測定でも、信号強度の極端な低下を起こすことなく、また、ブリルアンスペクトルの幅を広げることなく、高精度なブリルアン周波数シフトの測定を可能とすることである。また、これにより、ブリルアンスペクトルの温度あるいは歪み依存性を利用した、光ファイバの長さ方向に沿った温度あるいは歪み分布の、高距離分解能かつ高精度な測定が可能とすることである。
本発明では、第1のパルス光(パルス幅T)と第2のパルス光(パルス幅ΔT)から構成され、T >ΔTを満足し、かつ第1のパルス光の立ち下りから前記第2のパルス光の立ち上がりまでの遅延時間τが、0≦τ≦1/Δfを満足する第1の光信号、および前記第1の光信号と同じ第1のパルス光と前記第1の光信号と振幅または位相が異なる第2のパルス光の組み合わせから構成され、T >ΔTかつ0≦τ≦1/Δfを満たす第2の光信号を、第1の光として用いる。第1の光信号と第2の光信号に対する第2の光(第1の光と対向して測定対象の光ファイバ中を伝搬させる光であって、第1の光とほぼfだけ光周波数が異なる。)のパワーを測定し、第1の光信号に対する第2の光のパワーの測定結果と前記第2の光信号に対する第2の光のパワーの測定結果との差分を求める。この差分から、あるいは必要に応じて重み付き差分から、パルス幅ΔTで決定される距離分解能で、ブリルアン利得スペクトル、あるいは、ブリルアン損失スペクトルの分布を得る。
ここで、T >ΔTかつ0≦τ≦1/Δfとするのは、以下の理由からである。τをこの程度短くすれば、第1のパルス光(パルス幅T)によって生じた非線形効果が残存している。第2のパルス光(パルス幅ΔT)単独で測定を行う場合には、ブリルアンスペクトルの半値全幅の広がりは、上述のようにΔf+(1/ΔT)になる。しかし、第1のパルス光の立下りからτ≦1/Δfの間に第2のパルス光を送れば、第1のパルス光によって生じた非線形効果によって、第2のパルス光のパルス幅ΔTを小さくしても、ブリルアンスペクトルの半値全幅の広がりをΔf程度にできる。したがって、パルス幅の狭いパルス光での測定が可能となり、距離分解能の向上が図れる。
特に、第1の光信号と第2のパルス光と第2の光信号の第2のパルス光とを異なるものとする方法として、以下の3つの方法がある。1つ目の方法は、第2の光信号の第2のパルス光の振幅が0、もしくは第1の光信号の第2のパルス光の振幅が0とする方法である。つまり、一方の光信号には第2のパルス光があるが、他方の光パルスには第2のパルス光がない。2つ目の方法は、第1の光信号の第1のパルス光の光波の位相と第2のパルス光の光波の位相とを同相もしくは逆相とし、第2の光信号の第1のパルス光の光波の位相と第2のパルス光の光波の位相とを逆相もしくは同相とする方法である。つまり、それぞれの第2のパルス光の位相は、第1のパルス光に対する光波の位相がπ異なる。3つ目の方法は、第1の光信号の第2のパルス光の光波の位相が、第1のパルス光の光波の位相と−π/2もしくはπ/2異なるものとし、第2の光信号の第2のパルス光の光波の位相が、第1のパルス光の光波の位相とπ/2もしくは−π/2異なるものとする方法である。この方法も2つ目の方法と同様に、それぞれの第2のパルス光の位相は、第1のパルス光に対する光波の位相差がπ異なる。
さらに、第1の光信号を相関符号Cの+1もしくは−1に割り当て、前記第2の光信号を相関符号Cの−1もしくは+1に割り当て、ビットごとの間隔τが、τ≧1/Δfを満たす相関符号Cとビットを反転した符号C^とを第1の光として用いる。また、2種類の相関符号A,Bとそれらのビットを反転した符号A^,B^を用いる。
本発明では、高距離分解能測定を行うためのパルス幅ΔTのパルス光とは別に、ΔTよりも長いパルス幅Tを有するパルス光を使用する。そして、パルス幅Tのパルス光によって励起された音響波(屈折率変調型回折格子)で、パルス幅ΔTのパルス光も後方に散乱する。このようにして後方に散乱されたパルス幅ΔTのパルス光は、ブリルアンスペクトルの半値全幅の広がりをΔf程度にできる。したがって、本発明によれば、従来のBOTDAで問題となっていた、パルス幅の狭窄化によって生じる、
(1)ブリルアン利得の低下
(2)ブリルアンスペクトル幅の増加による、ブリルアン周波数シフト測定精度の劣化
を、回避できる。
また、本発明によれば、先行するパルス幅Tのパルス光の光波と、それに続くパルス幅ΔTのパルス光の光波との位相差をπだけずらすことにより、負のブリルアン利得が実現可能である。そこで、正のブリルアン利得と負のブリルアン利得との差分を取ることにより、ブリルアンスペクトル分布を効率良く測定できる。
さらに、本発明よれば、先行するパルス幅Tのパルス光の光波と、それに続くパルス幅ΔTのパルス光の光波との位相差を−π/2およびπ/2だけずらすことにより、ブリルアン周波数シフトの周波数で利得がゼロとなり、かつ、その周波数の近傍で信号の大きさが急激に変化するブリルアンスペクトルを得ることが可能となった。その結果、ブリルアン周波数シフトの測定精度が向上できる。
したがって、本発明によれば、従来のBOTDAでは実現が困難であった1m以下の距離分解能でのブリルアンスペクトル分布やブリルアン周波数シフト分布の測定が、高効率かつ高精度に可能となった。
以下では、説明の重複を避けるため同じ機能を有する構成部には同一の番号を付与し、説明を省略する。
本発明の実施形態の説明の前に、本発明の原理について詳しく説明する。本発明では、第1の光としてパルス幅の広いパルス光を含んだ2種類の光信号を使用する。本発明で使用する2種類の光信号の一例を図3に示す。図3(a)は、第2の光信号ob2の第2のパルス光の振幅op22が0(無信号光)の例である。図3(b)は、第1の光信号ob1の第1のパルス光op11の光波の位相と第2のパルス光op12の光波の位相とを同相とし、第2の光信号ob2の第1のパルス光op21の光波の位相と第2のパルス光op22の光波の位相とを逆相とする例である。図3(c)は、第1の光信号ob1の第2のパルス光op12の光波の位相が、第1のパルス光op11の光波の位相と−π/2異なるものとし、第2の光信号ob2の第2のパルス光op22の光波の位相が、第1のパルス光op21の光波の位相とπ/2異なるものとする例である。以下に、例ごとの原理を説明する。
[原理1]
図3(a)の例では、本発明の第1の測定手順で使用する光信号を、パルス幅Tのパルス光op11とパルス幅ΔTのパルス光op12で構成する光信号ob1とする。パルス光op11の立ち下がりエッジから、パルス光op12の立ち上がりエッジまでの遅延時間をτとする。また、第2の測定手順で使用する光信号を、パルス幅Tのパルス光op21と無信号光(op22)で構成する光信号ob2とする。パルス光op21は、パルス光op11と同一である。
ここで、第1のパルス光op11と第2のパルス光op12とは、T >ΔTかつ0≦τ≦1/Δfを満足する。τ≦1/Δfとするのは、τをこの程度短くすれば、第1のパルス光op11(パルス幅T)によって生じた非線形効果が残存しているからである。第2のパルス光op12(パルス幅ΔT)単独で測定を行う場合には、ブリルアンスペクトルの半値全幅の広がりは、上述のようにΔf+(1/ΔT)になる。しかし、第1のパルス光op11の立下りからτ≦1/Δfの間に第2のパルス光op12を送れば、第1のパルス光op11によって生じた非線形効果によって、第2のパルス光op12のブリルアンスペクトルの半値全幅の広がりは、Δf程度にできる。そして、第1の測定手段での結果と第2の測定手段の結果の差を求めることで、両者の差分であるパルス光op12による測定結果が得られる。したがって、パルス幅の狭いパルス光での測定が可能となり、距離分解能の向上が図れる。
第1の測定手順では、第1の光として、光信号ob1を使用する。そして、ブリルアンスペクトルを、第1の光が光ファイバに入射してからの遅延時間tの関数P1(Δf,t)、として測定する。第2の測定手順では、第1の光として、光信号ob2を使用する。そして、ブリルアンスペクトルを、第1の光が光ファイバに入射してからの遅延時間tの関数、P2(Δf,t)、として測定する。そして、
ΔP12(Δf,t) = P1(Δf,t) - P2(Δf,t) (6)
を求める。
式(6)左辺は、第1の測定手順によるブリルアンスペクトル分布測定結果から第2の測定手順によるブリルアンスペクトル分布測定結果を差し引いたものである。この引き算により、両測定結果に共通に含まれる、パルス幅Tのパルス光によるブリルアンスペクトル分布測定結果は差し引かれて無くなることから、式(6)左辺のΔP12(Δf,t)は、第1の光信号ob1の後半部に位置し、パルス幅ΔTのパルス光op12により測定された、光ファイバのブリルアンスペクトル分布を表している。
実際、第2の光の電界強度をECW、第1のパルス光op11によってブリルアン光増幅された第2の光の電界強度の変化分をe、第2のパルス光op12によってブリルアン光増幅された第2の光の電界強度の変化分をeとすると、第1の測定手順および第2の測定手順において測定されるそれぞれの第2の光のパワーの変化分、P1(Δf,t)および P2(Δf,t)と、その差分は、次式で与えられる。ただし、このとき、電界強度の絶対値の自乗が光パワーとなるように、電界強度の振幅を規格化してあるものとした。また、|Ecw|>>|e1|, |e2| とした。
P1(Δf,t)=|Ecw+e1+e2|2-|Ecw|2=2Re{Ecwe1 *+Ecwe2 *}+|e2|2 (7)
P2(Δf,t)=|Ecw+e2|2-|Ecw|2=2Re{Ecwe1 *}+|e2|2 (8)
ΔP12(Δf,t)= P1(Δf,t) - P2(Δf,t)=2Re{Ecwe2 *} (9)
ここで、Re{ }は実部を示す。また、*は複素共役を示す。2Re{Ecwe2 *}が、パルス幅ΔTのパルス光op12による測定すべき信号パワーであるので、確かに、ΔP12(Δf,t)から、光ファイバのブリルアンスペクトル分布が測定されることが分かる。
また、そのときの距離分解能Δzは、従来のBOTDAの場合から分かるように、
Δz =vΔT/2 (10)
となる。ここで、vは光ファイバ中の光速である。
以上の測定原理を、図4に示したブリルアン周波数シフト分布を使用して、より具体的に説明する。被測定光ファイバのブリルアン周波数シフトが、区間DとDではfb0であり、[z, z+Δz]の局所的な区間Dではfbm(>fb0)に増加しているとする。ここで、区間Dの長さΔzは、式(10)で与えられる本発明の距離分解能に一致しているとする。また、前記第1の測定手順で使用する、パルス幅ΔTのパルス光op12が、前記区間Dで第2の光(CW光)をブリルアン光増幅するタイミングを考える。このとき、パルス幅がTのパルス光op11は、区間Dで第2の光(CW光)をブリルアン光増幅する。また、ブリルアン光増幅されたこれらの第2の光を検出するときの遅延時間をtmとすると、第1の光と第2の光の周波数差Δfを変化させながら、第1の測定手順で測定されるブリルアンスペクトルは、前出の関数を使用してP1(Δf,tm)で与えられる。これを模式的に表したものを図5(a)に示す。光信号ob1は、区間Dと区間Dの両方でブリルアン光増幅するため、ブリルアンスペクトルは周波数fbmとfb0の2箇所でピークを有するものとなる。
次に、第2の測定手順で、第1の測定手順と同一のタイミングt=tmで測定されるブリルアンスペクトルについて考える。このとき、第2の測定手順で使用するパルス幅Tのパルス光op21は、すべて、区間Dでの第2の光(CW光)をブリルアン光増幅する。したがって、第2の測定手順で測定されるブリルアンスペクトルは、前出の関数を使用してP2(Δf,tm)で与えられ、図5(b)に示したように、周波数fb0でのみピークを示す。
以上の第1の測定手順の測定結果から第2の測定手順の測定結果を引いたものは、
ΔP12(Δf,tm) = P1(Δf,tm) - P2(Δf,tm) (11)
となり、図5(c)に示したように、区間Dのブリルアンスペクトルを与える。すなわち、このような2つの測定手順を踏むことにより、光信号ob1に含まれるパルス光op12のパルス幅ΔTで決まる距離分解能で、ブリルアンスペクトルが測定可能となる。
なお、上述の説明において、遅延時間tmは、第1の光である光信号ob1に含まれるパルス光op12が光ファイバに入射したときを基点として計測することにより、式(6)における遅延時間tと、測定されるブリルアンスペクトルの位置zの関係は、次式で与えられる。
z = vt/2 (12)
したがって、位置zにおけるブリルアンスペクトルは、式(6)のΔP12を使用して表すと、
ΔP12(Δf, 2z/v) (13)
となる。
次に、本発明により測定されるブリルアンスペクトルの大きさとスペクトル幅について説明する。ブリルアン光増幅は、次の2つの過程に分解して考えることができる。
(1)ポンプ光とプローブ光の非線形相互作用により、音響波が発生する。
(2)その音響波によって形成された回折格子によりポンプ光が後方に反射される。
通常、上記の2つの過程では、同一のポンプ光が関与する。しかし、本発明で使用するポンプ光である光信号ob1は、2つのパルス光、op11とop12、から構成されているので、パルス光op11によって発生した音響波(すなわち回折格子)によって、パルス光op12が後方に散乱されると解される。実際、音響波の速度は光に比べると大変遅いので、パルス光op11が通過した後も、音響波が減衰する時間である、およそ、1/Δfの間、パルス光op11による音響波は、ほぼその場所にとどまっているといえる。本発明では、パルス光op11の立ち下りエッジから、パルス光op12の立ち上がりエッジまでの遅延時間τを、0≦τ≦1/Δfとしているので、パルス光op12がそこに到来したときにもまだパルス光op11による回折格子g1が存在しており、パルス光op12は回折格子g1によって後方に散乱される。もちろん、パルス光op12は、それ自身によって形成された回折格子g2によっても後方に散乱される。しかしながら、本発明では、T>ΔTとしているため、回折格子g1の方が回折格子g2よりも屈折率変調度が大きく、散乱効率も高い。すなわち、本発明におけるパルス光op12の散乱によるブリルアン光増幅の特性は、パルス幅Tのパルス光op11によって主に決定され、そのブリルアンスペクトルは、式(4)にΔf=1/Tを代入した次式となる。
S(Δf, fb) = S0(Δfb)(Δfb+(1/T)) / { 4(Δf−fb)2 + (Δfb+(1/T))2 } (14)
したがって、Δf=fのときブリルアン利得は最大値をとり、その値は、
S0(Δfb)/ (Δfb+(1/T))となる。この値は、従来のBOTDAで狭いパルス幅ΔTのパルス光のみを使用して測定したときのブリルアン利得のピーク値、S0(Δfb)/ (Δfb+(1/ΔT))、と比べて、(Δfb+(1/ΔT)) / (Δfb+(1/T))倍に改善されている。
また、式(14)から分かるように、本発明で測定されるブリルアンスペクトル幅は、 Δfb+(1/T)となる。この値は、従来のBOTDAで狭いパルス幅ΔTのパルス光のみを使用して測定したときのブリルアンスペクトル幅、Δfb+(1/ΔT)、と比べて狭い。
したがって、従来のBOTDAで問題となっていた、高距離分解能測定を行う際の特性劣化、すなわち、
(1)ブリルアン利得の低下
(2)ブリルアンスペクトル幅の増加による、ブリルアン周波数シフト測定精度の劣化
を、本発明により回避することが可能となる。なお、式(14)から分かるように、
1/T << Δfb (15)
とすることにより、ブリルアン利得のピーク値は、第1の光にCW光を使用したときと同じく大きな値Sとなり、また、ブリルアンスペクトル幅も、第1の光にCW光を使用したときと同じく狭い値Δfとなるので、Tは長いほど良い。しかし、Tを長くすることにより、式(6)の右辺で差し引くパワー成分、P2(Δf,t)、が、本来の測定に必要なパワー成分ΔP12(Δf,t)、に比べて非常に大きくなってしまう。また、Tを1/Δf程度以上長くしても、上述の音響波の減衰のため、音響波の成長は顕著でなくなる。そこで、実際には、測定系のダイナミックレンジを考慮し、Tは、1/Δf程度が好ましい。
[原理2]
図3(b)の例では、本発明の第1の測定手順で使用する光信号を、パルス幅Tのパルス光op11とパルス幅ΔTのパルス光op12で構成する光信号ob1とする。パルス光op11の立ち下がりエッジから、パルス光op12の立ち上がりエッジまでの遅延時間をτとする。ただし、パルス光op11の光波と、パルス光op12の光波との位相は同相とする。また、第2の測定手順で使用する光信号を、パルス幅Tのパルス光op21とパルス幅ΔTのパルス光op22で構成する光信号ob2とする。パルス光op11の立ち下がりエッジから、パルス光op12の立ち上がりエッジまでの遅延時間も、第1の測定手順のときと同一のτとする。また、T>ΔTであるとする。ただし、パルス光op21の光波と、パルス光op22の光波との位相は、図3(b)に示すようにπだけ異なるものとする。すなわち逆相関係になるようにする。
そして、第1の測定手順では、ブリルアンスペクトルを、光信号ob1が被測定光ファイバに入射してからの遅延時間tの関数、P1(Δf,t)、として測定する。
また、第2の測定手順では、ブリルアンスペクトルを、パルス光ob2が被測定光ファイバに入射してからの遅延時間tの関数、P2(Δf,t)、として測定する。
さらに、
ΔP12(Δf,t) = P1(Δf,t) - P2(Δf,t) (16)
を求める。
以上の説明から分かるように、先の図3(a)に示した光信号の組み合わせを使用したときと同様に、光信号ob1と光信号ob2では、前半部のパルス光、すなわちパルス光op11とパルス光op21は同一なので、式(16)に示した引き算により、この部分によるブリルアンスペクトル分布は差し引かれて無くなる。よって、式(16)のΔP12(Δf,t)は、パルス光op12により測定された光ファイバのブリルアンスペクトル分布から、パルス光op22により測定された光ファイバのブリルアンスペクトル分布を差し引いたものとなる。
実際、第2の光の電界強度をEcw、パルス光op11、op12、op21、op22によってブリルアン光増幅された第2の光の電界強度の変化分を、それぞれ、e、e、e=e、e=−e、とすると、第1の測定手順および第2の測定手順において測定されるそれぞれの第2の光のパワーの変化分、P1(Δf,t)および P2(Δf,t)とその差分は、次式で与えられる。ただし、このとき、第1の実施例の説明のときと同じ仮定と近似を使用した。
P1(Δf,t)=|Ecw+e1+e2|2-|Ecw|2=2Re{Ecwe1 *+Ecwe2 *}+|e2|2 (17)
P2(Δf,t)=|Ecw-e1+e2|2-|Ecw|2=2Re{Ecwe1 *-Ecwe2 *}+|e2|2 (18)
ΔP12(Δf,t)= P1(Δf,t) - P2(Δf,t)=4Re{Ecwe2 *} (19)
式(17)と式(18)のeの符号が逆転しているが、この理由はのちほど詳細に説明する。4Re{Ecwe2 *}が、パルス幅ΔTのパルス光、op12とop22、による測定すべき信号パワーであるので、確かに、ΔP12(Δf,t)から、光ファイバのブリルアンスペクトル分布が測定されることが分かる。
そのときの、距離分解能Δzは、図3(a)に示したパルス光を使用したときと同様に考えて、式(10)で与えられる。また、遅延時間も、パルス幅ΔTのパルス光、op12とop22、が被測定光ファイバに入射した時刻を基準とすることにより、位置zでのブリルアンスペクトルは、式(16)のΔP12を使用して、
ΔP12(Δf, 2z/v) (20)
と表せる。
パルス光op12により測定された、光ファイバのブリルアンスペクトルは、先の図3(a)に示したパルス光を使用したときと同じであることから、式(14)で与えられる。一方、パルス光op22により測定された、光ファイバのブリルアンスペクトルは、式(14)の極性を反転したものとなる。すなわち、負の利得となる。これを模式的に、図6(a)に示す。図6(a)の破線が、パルス光op12により測定される正のブリルアン利得スペクトルを示し、一点鎖線が、パルス光op22により測定される負のブリルアン利得スペクトルを示す。このように、本発明で、負のブリルアン利得を実現可能な理由は次の通りである。
パルス光op22によるブリルアン利得は、先に説明したように、主に、パルス光op21とCW光である第2の光との非線形相互作用により形成された屈折率変調型回折格子(これをg1とする)により、パルス光op22が後方に散乱され、その散乱光が、第2の光(CW光)と位相を揃えて重なることによって発生していると考えられる。この、屈折率変調型回折格子g1は、およそ1/Δfの時間だけ、近似的にその場所に持続して存在するため、パルス光op22は、パルス光op11よりも遅れて伝搬するにもかかわらず、上記屈折率変調型回折格子g1により後方に散乱される。ここで、パルス光op22の光波の位相は、パルス光op21の光波の位相に比べてπだけずれているため、パルス光op22が、パルス光op21による上記の屈折率変調型回折格子g1により後方に散乱された光は、第2の光であるCW光と逆極性で重なることになる。すなわち、パルス光op22に対して、負のブリルアン利得が発生する。また、パルス光op22とCW光である第2の光との非線形相互作用により、屈折率変調型回折格子(これをg2とする)も形成される。この回折格子g2により、パルス光op22自身が後方に散乱された光は、第2の光と位相を揃えて重なる。したがって、この場合は正の利得が発生する。
図6(b)に、回折格子g1による負の利得を破線で、回折格子g2による正の利得を一点鎖線で表す。また、これらの二つの利得を合わせたものを実線で示す。T > ΔTとすることにより、回折格子g2の屈折率変化幅は、回折格子g1のそれよりも小さくなる。すなわち、散乱量は屈折率変化幅に比例することから、上記正の利得の絶対値は、上記負の利得の絶対値よりも小さくすることができる。また、好ましくは、T >>ΔTとすることにより、この正の利得は実質上無視することができる。
したがって、図3(b)の光信号を使用した場合、式(16)で得られるブリルアン利得スペクトルは、図6(a)の実線で示したように、図3(a)のパルス光を使用した場合の2倍の値が得られる。その結果、より高精度、高速な測定が可能となる。
図7は、図3(b)の光信号を使用し、図4に示した被測定光ファイバを上述のタイミングt=tmで測定したときの、ブリルアンスペクトルを示したものである。第1の測定手順および第2の測定手順におけるスペクトルが、それぞれ、図7(a)および図7(b)に示してある。また、それらの差分を図7(c)に示してある。図3(a)の光信号を使用した場合(図5)とくらべ、区間Dにおけるブリルアンスペクトルが2倍の大きさで測定されることがわかる。
[原理3]
図3(c)の例で使用する光信号の光強度波形は、前述した図3(b)のものとそれぞれ全く同一である。両者の違いは、パルス幅ΔTの第2のパルス光、op12とop22の位相にある。図3(c)の場合、第1の測定手順で使用する光信号に含まれるパルス光op12の光波の位相は、パルス光op11の光波の位相とくらべ、−π/2 だけシフトしている。また、第2の測定手順で使用する光信号に含まれるパルス光op22の光波の位相は、パルス光op21の光波の位相とくらべ、π/2 だけシフトしている。
第1の測定手順では、ブリルアンスペクトルを、パルス光op12が被測定光ファイバに入射してからの遅延時間tの関数、P1(Δf,t)、として測定する。
第2の測定手順では、ブリルアンスペクトルを、パルス光op22が被測定光ファイバに入射してからの遅延時間tの関数、P2(Δf,t)、として測定する。
さらに、
ΔP12(Δf,t) = P1(Δf,t) - P2(Δf,t) (21)
を求める。
以上の説明から分かるように、先の図3(b)に示した光信号の組み合わせを使用したときと同様に、光信号ob1と光信号ob2において、前半部のパルス光、すなわちパルス光op11とパルス光op21は同一であるので、式(21)に示した引き算により、この部分によるブリルアンスペクトル分布は差し引かれて無くなる。よって、式(21)のΔP12(Δf,t)は、パルス光op12により測定された、光ファイバのブリルアンスペクトル分布から、パルス光op22により測定された、光ファイバのブリルアンスペクトル分布を差し引いたものとなる。
そのときの、距離分解能Δzもこれまでの例と同様に、遅延時間を、パルス幅ΔTのパルス光、op12とop22、が被測定光ファイバに入射した時刻を基準として計算する。位置zにおけるブリルアンスペクトルは、式(21)のΔP12を使用して、
ΔP12(Δf, 2z/v) (22)
と表せる。
パルス光op12(op22)の位相は、パルス光op11(op21)にくらべ、−π/2(π/2)だけシフトしている。そのため、パルス光op12(op22)によって励起された音響波のうち、パルス光op11(op21)の位相より、同じく−π/2(π/2)だけ位相がシフトしている音響波成分とパルス光op12(op22)は位相整合がとれ、後方に散乱される。この散乱光のスペクトルを解析したところ、近似的に次式で与えられることが分かった。
S(Δf, fb) = S0Δfb(Δf-fb) / { 4(Δf−fb)2 + (Δfb+(1/T))2} (23)
同様にして第2の測定手順での測定では、式(23)の極性を反転したスペクトルが得られることが導かれる。図8にこれらのスペクトルを、それぞれ、破線(op12に対応)と一点鎖線(op22に対応)で示す。また、式(21)で表わされるそれらの差分のスペクトルを実線で示す。式(23)および図8から、これら3つのスペクトルのいずれかと、ゼロレベルとの交点の周波数を求めることにより、ブリルアン周波数シフトfを測定可能であることが分かる。またその交点付近のスペクトル曲線の傾きは大きいことから、ブリルアン周波数シフトを精度良く求めることが可能となる。
以上の説明は、パルス光op11(またはop21)によって励起された音響波によるパルス光op12(またはop22)の後方散乱に関するものであった。もちろん、パルス光op12やop22と、CW光である第2の光との非線形相互作用により励起された音響波による後方散乱光も発生する。しかしこれは、第1の測定手順のときも、第2の測定手順のときも同じ正の利得による散乱となるため、両者は式(21)の引き算によりキャンセルされ、最終的な測定値、ΔP12には含まれない。さらに、パルス光op11自身が後方に散乱されることによるブリルアン光増幅信号も、第1の測定手順のときも、第2の測定手順のときも同じ正の信号となる。したがって、図9に示したように、これまでの例と同様、式(21)の引き算により、パルス光op11自身とパルス光op21自身が後方に散乱されることによるブリルアン光増幅信号もキャンセルされる。以上の説明から分かるように、図3(c)の信号光を使用することにより、誤差信号はすべて式(21)の引き算によりキャンセルされるため、パルス幅ΔTで決まる距離分解能で、ブリルアン周波数シフト分布を、非常に高精度に測定可能となる。
図9は、図3(c)の光信号を使用し、図4に示した被測定光ファイバを上述のタイミングt=tmで測定したときの、ブリルアンスペクトルを示したものである。第1の測定手順および第2の測定手順におけるスペクトルが、それぞれ、図9(a)および図9(b)に示す。また、それらの差分を図9(c)に示す。これまでの本発明の例と同様に、式(21)による引き算により、誤差信号はすべてキャンセルされ、着目した区間Dのスペクトルのみが測定される様子が分かる。
なお、図3(c)の信号光を使用したときに得られるスペクトルの信号強度の、最大値と最小値の差は、前述の、図3(b)の信号光を使用した場合の最大信号強度と変わらない。また、最大値と最小値をとるときの周波数差は、T≧1/Δfのときには、ブリルアンスペクトル幅Δfとほぼ一致する。したがって、従来のBOTDAで問題となっていた、高距離分解能測定を行う際の特性劣化、すなわち、
(1)ブリルアン利得の低下
(2)ブリルアンスペクトル幅の増加による、ブリルアン周波数シフト測定精度の劣化
を、本発明により回避することが可能となる。
[第1実施形態]
図10に本発明の光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置(BOTDA)の機能構成を示す。図2に示した従来のBOTDAとの違いは、光信号発生部200と信号処理部9である。信号処理部200のパルス信号発生器120は、図3(a)に示した光信号ob1とob2を生成する光信号生成手段121を有している。この光信号生成手段121を有している点が、図3の従来のBOTDAの光信号発生部800のパルス信号発生器12と異なる点である。なお、パルス信号発生器120の光信号生成手段121以外の構成手段は、記載を省略しているが、従来技術と同じであり、図2のパルス信号発生器12と同じである。信号処理部9は、原理1で示した第1の測定手順と第2の測定手順の測定結果P1(Δf,t)とP2(Δf,t)(光信号ob1とob2に対する第2の光のパワーの測定結果)を記録しておく検出光記録手段91と、検出光記録手段91に記録された第1の測定手順と第2の測定手順の測定結果P1(Δf,t)とP2(Δf,t)の差分演算P1(Δf,t)−P2(Δf,t)を行う差分演算手段92を有している。検出光記録手段91と差分演算手段92を信号処理部9が有していることが、図2の信号処理部900との違いである。なお、図10の信号処理部9では、差分演算の結果から、光ファイバの物性とその空間的分布に関する情報を出力する処理や、光ファイバに加わった応力による歪みや、光ファイバの置かれた環境における温度などの空間的分布などに関する情報を出力する処理を行う構成手段は省略しているが、従来の技術と同じであり、図2の信号処理部900と同じ構成手段を有している。
図11に、本発明のBOTDAの処理フローを示す。
ステップS100(光生成ステップ)
光源1は、周波数がfの光を出力する(S1)。光分岐器5は、第1の光と第2の光を得るために分岐する(S5)。この光生成ステップは、従来のBOTDAと同じである。
ステップS200(光信号ステップ)
パルス信号発生器120の光信号生成手段121は、図3(a)に示した光信号ob1とob2に対応した信号を生成する(S121)。パルス信号発生器120は、光信号生成手段121からの信号から、光強度変調器10を制御するパルス信号を生成し、出力する(S122)。ステップS5で分岐された一方の光は、第1の光用として、光強度変調器10に入力される。光強度変調器10は、パルス信号発生器120からのパルス信号にしたがって光分岐器5からの光を変調し、光信号ob1とob2を得る(S10)。光信号ob1は、前述のようにパルス幅Tのパルス光op11と、パルス幅ΔT(<T)のパルス光op12から構成される。また、光信号ob2は、パルス光op11と同一のパルス幅Tを有するパルス光op21と無信号光(図3(a)では破線で示した)で構成される。パルス光op11の立ち下がりエッジから、パルス光op12の立ち上がりエッジまでの遅延時間τは、0≦τ≦1/Δfである。この光信号ob1またはob2は、光分岐器6と接続器41を介して、被測定光ファイバ4に、周波数がfの第1の光として入射される。
ステップS300(光シフトステップ)
高周波発生器33では、第2の光の周波数をf変化させるための高周波信号を生成する(S33)。なお、周波数をfは被測定光ファイバのブリルアン周波数シフトf程度の周波数である。光強度変調器32へは、高周波発生器33で発生した高周波信号と光分岐器5によって分岐された光が入力される。光強度変調器32は、光の周波数をf変化させる(S32)。被測定光ファイバ4が石英ガラスファイバで、光の波長が1.55μmの場合には、fの値はおよそ11GHzであるので、光強度変調器32には、高周波変調特性に優れた性能が求められる。これらの処理は、従来のBOTDAと同じである。
光強度変調器32の出力光のスペクトルは、図12(a)に示すように、中央のキャリア成分とその両側に周波数がfだけ離れた側帯波とからなるが、第2の光として有効な成分は、低周波側の側帯波(f=f−f)である。この第2の光を、接続器42を介して被測定光ファイバ4に、他のファイバ端から入射する。このようにして、前記第1の光と前記第2の光は、被測定光ファイバ4中で対向して伝搬する。第2の光は、第1の光が入射されたファイバ端方向に伝搬し、被測定光ファイバ4を出射したのち、光分岐器6により光フィルタ7の方向に導かれる。光フィルタ7は、周波数がf=f−fである第2の光以外の周波数の成分を遮断し、第2の光を出力する。
高周波発生器33の出力信号の周波数、すなわち、光強度変調器32に入力される光の変調周波数fを変化させ、第1の光と第2の光の周波数差Δf=f−f= f−(f−f)=fが被測定光ファイバ4のブリルアン周波数シフトfに一致したとする。このとき、第2の光は第1の光である光信号によりブリルアン光増幅される。
ステップS8(光検出ステップ)
光フィルタ7から出力された第2の光は光検出器8により電気信号に変換され、その電気信号は、信号処理装置9に導かれる(S8)。この処理は従来のBOTDAと同じである。
ステップS9(信号処理ステップ)
信号処理装置9では、信号の増幅、A/D変換、第1の光であるパルス光と同期をとった信号のS/Nを改善するための平均化処理などを行い、光信号ob1とob2とに対する第2の光のパワーP1(f,t)とP2(f,t)を測定する。測定された結果は、いったん検出光記録手段91に記録される(S91)。ステップS1からステップS91までの処理を以下のように繰り返すことで、P1(Δf,t)とP2(Δf,t)を得る。すなわち、光周波数変換部300が、第1の光と第2の光の周波数差Δfを、まず被測定光ファイバのブリルアン周波数シフトfに近い値であるΔfS1に設定する。光信号発生部200は、第1の測定手順で、図3(a)に示した光信号ob1を発生させる。光検出部8と信号処理部9とは、ブリルアン利得の時間波形P1(ΔfS1,t)を測定する。また、光信号発生部200は、第2の測定手順で、光強度変調器10により、図3(a)に示した光信号ob2を発生させ、光検出部8と信号処理部9とは、ブリルアン利得の時間波形P2(ΔfS1,t)を測定する。この測定を、ΔfをΔfS1から少しずつΔfS2、ΔfS3、ΔfS4、・・・のように変化させて行うことにより、ブリルアンスペクトル分布P1(Δf,t)およびP2(Δf,t)を得る。
信号処理装置9の差分演算手段92は、この2つのブリルアンスペクトル分布P1(Δf,t)とP2(Δf,t)から、最終的なブリルアンスペクトル分布ΔP12(Δf,t)=P1(Δf,t)−P2(Δf,t)を得る(S92)。ひずみや温度の分布測定に必要なブリルアン周波数シフトは、測定したブリルアンスペクトル分布ΔP12(Δf,t)のピーク周波数、または、中心周波数の分布として、信号処理装置9を使用して求める。このようにして、前述した本発明の測定原理により、ブリルアンスペクトル分布、または、ブリルアン周波数シフト分布を、距離分解能Δz=vΔT/2、で測定できる。
なお、上記のブリルアン利得の時間波形P1(ΔfSk,t)とP2(ΔfSk,t)、(k=1,2,3,・・・)の測定をそれぞれ1回行うだけでは、通常、十分良好なS/Nが得られないため、それぞれ多数回の測定を繰り返し、平均化処理をして、P1(ΔfSk,t)とP2(ΔfSk,t)、(k=1,2,3,・・・)を求めることが好ましい。また、その平均化処理を行うにあたり、前述したように、P1(ΔfSk,t)とP2(ΔfSk,t)には共通に含まれるスペクトルパワー成分が多いため、それらを差し引いた、ΔP12(ΔfSk,t) = P1(ΔfSk,t)−P2(ΔfSk,t)、(k=1,2,3,・・・)の平均化処理を行う方が、信号処理装置9のダイナミックレンジの観点から好ましい。
[変形例1]
本変形例は、図3(b)に示した光信号を用いる場合である。図13に第1実施形態の変形例である光ファイバのブリルアン周波数シフトの測定装置を示す。図13と図10に示したBOTDAとの違いは、光信号発生部200’に光位相変調器11を追加し、それを光強度変調器10と組み合わせて制御するようにパルス信号発生器130を変更した点である。その他の構成は、本発明の第1の実施形態と同じである。光位相変調器11には、リチウムニオベート結晶などを使用した電界効果型光変調器が適している。
本変形例の動作は、第1実施形態とほぼ同じであり、その違いは、第2の測定手順で使用する光信号ob2の発生方法にある。光信号生成手段131は、図3(b)に示した光信号ob1とob2とを生成するための信号を生成する(S131)。パルス信号発生器130は、光強度変調器10と光位相変調器11とを連携して制御するためのパルス信号を生成する(S132)。変形例では、第1の測定手順のときだけでなく、第2の測定手順でも、光強度変調器10によってパルス幅Tのパルス光op21と、パルス幅ΔTのパルス光op22を得る(S10)。パルス光op21は、第1の測定手順で使用するパルス光op11と、そのパワーやパルス幅で同一である。パルス光op22は、第1の測定手順で使用するパルス光op12と、そのパワーやパルス幅で同一である。さらに、パルス光op21と、パルス光op22の時間的相対位置は、パルス光op11と、パルス光op12のそれと同一である。ただし、第1の測定手順では、光強度変調器10の出力光の位相を変調することなく、光位相変調器11を通過させ、光信号ob1を得る。一方、第2の測定手順では、光強度変調器10とタイミングをとった光位相変調器11によって、光信号ob2の後半部に位置するパルス幅ΔTのパルス光op22の位相をπだけシフトさせ、光信号ob2を得る(S11)。このようにして、図3(b)に示す第1の光である2種類の光信号ob1とob2を発生させる。図11中に示したステップS131、S132、S11が第1実施形態の処理フローと異なる点である。
光信号ob1を使用して、ブリルアンスペクトル分布P1(Δf,t)を測定し、また、光信号ob2を使用して、ブリルアンスペクトル分布P2(Δf,t)を測定する。以下、第1実施形態と全く同様に、最終的なブリルアン利得スペクトル分布ΔP12(Δf,t)=P1(Δf,t)−P2(Δf,t)を得る。その際に、第1実施形態のときと同様に、必要に応じて平均化処理を実施する。また、ひずみや温度の分布測定に必要なブリルアン周波数シフトは、求めたブリルアン利得スペクトル分布ΔP12(Δf,t)のピーク周波数、または、中心周波数の分布として、信号処理装置9を使用して求める。このようにして、ブリルアン利得スペクトル分布、または、ブリルアン周波数シフト分布を、距離分解能、Δz=vΔT/2で測定できる。
なお、前述の説明では、まず光強度変調器10によりパルス光を得、そのパルス光を光位相変調器11により位相変調するとした。しかし、この順番は逆であってもよく、まず光位相変調器11により位相変調し、そのCW出力光を光強度変調器10によりパルス状に切り出しても良い。
[変形例2]
本変形例は、図3(c)に示した光信号を用いる場合である。本変形例も、変形例1と同様に、図13を使用して説明できる。変形例1との違いは、光位相変調器11の制御方法であり、そのためにパルス信号発生器140が異なる。光信号生成手段141は、図3(c)に示した光信号ob1とob2とを生成するための信号を生成する(S141)。パルス信号発生器140は、光強度変調器10と光位相変調器11とを連携して制御するためのパルス信号を生成する(S142)。本変形例は、第1の測定手順で、光強度変調器10と光位相変調器11を使用して、図3(c)に示す光信号ob1(第2のパルス光op12の位相が−π/2シフトした光信号)を得る(S12)。また、第2の測定手順では、光強度変調器10および光位相変調器11を使用して、図3(c)に示す光信号ob2(第2のパルス光op12の位相がπ/2シフトした光信号)を得る(S12)。このようにして、図3(c)に示す第1の光である2種類の光信号ob1とob2を発生させる。図11中に示したステップS141、S142、S12が変形例1の処理フローと異なる点である。
以下、変形例1と同様に、スペクトル分布ΔP12(Δf,t)を得る。さらに、前述した本発明の測定原理に基づき、信号処理装置9を使用して、スペクトル分布ΔP12(Δf,t)が表すスペクトル曲線とゼロレベルを表す基線との交点から、ブリルアン周波数シフト分布を求める。このときの距離分解能は、Δz=vΔT/2となる。
なお、前述の説明では、まず光強度変調器10によりパルス光を得、そのパルス光を光位相変調器11により位相変調するとした。しかし、この順番は逆であってもよく、まず光位相変調器11により位相変調し、そのCW出力光を光強度変調器10によりパルス状に切り出しても良い。
[変形例3]
本変形例を含め、以下の変形例(変形例3〜10)は、第1実施形態、変形例1、変形例2の変形や補足的な説明である。
本変形例では、ΔP12(Δf,t)の計算方法について補足的に説明する。上述の説明では、ΔP12(Δf,t)は、P1(Δf,t)とP2(Δf,t)の差分から求めていた。これは、第1の測定手順で使用する光信号に含まれるパルス光op11と第2の測定手順で使用する光信号に含まれるパルス光op21のパワーが等しいという仮定のもとに導かれた式であった。しかし、実際の測定では、パワーの差が生じることが考えられる。そこで、そのパワー差を補正するために、aとaを変更可能な重み付き係数として、
ΔP12(Δf,t) = a1 x P1(Δf,t) - a2 x P2(Δf,t) (24)
から、ΔP12(Δf,t)を計算することが好ましい。パワーの差がないときには、当然のことながら、a=a≠0である。
[変形例4]
本変形例では、第1の光として使用する光信号ob1およびob2を構成する2つのパルス光の遅延時間τについて説明する。遅延時間τが大きいほど、後続のパルス光が出会う、先行するパルス光による音響波の強度が小さくなる。その結果、後続のパルス光を後方に散乱させる効率が低下する。すなわち音響波の有効利用の観点からは、遅延時間τは小さいほど良く、好ましくは、τ=0である。しかしながら、τ=0のとき、図3(b)の光信号ob2では、パルス光op21とop22の境界では、位相が過渡的に変化する時間領域が発生する。また、図3(c)の光信号ob1およびob2では、パルス光op11とop12の境界、およびパルス光op21とop22の境界で、位相が過渡的に変化する時間領域が発生する。これはチャーピングと呼ばれる現象であり、このチャーピングが発生する領域では、新たなスペクトルが発生する。またこのスペクトルは、P1(Δf,t)とP2(Δf,t)の引き算ではキャンセルされないため、測定誤差の原因となる。したがって、光変調器の変調速度が十分でない場合には、このチャーピング領域の光信号の出力パワーをゼロとすることが好ましい。すなわち、若干の遅延時間τを設けることが好ましい。
[変形例5]
本変形例では、2種類の第1の光の光信号を発生させる方法について補足説明する。本発明の図3(b)および図3(c)に示す2種類の第1の光の光信号ob1およびob2を発生させるために、上述の本発明の実施形態では、光強度変調器10と光位相変調器11の両方を使用した。しかし、光強度変調器の一種である、マッハツェンダ干渉計型の光強度変調器は、位相変調器の組み合わせで構成されていることから、光強度変調器10に、マッハツェンダ干渉計型の光強度変調器を使用し、なおかつ、それに加える変調信号を工夫することによって、光位相変調器11を使用せずに、図3(b)および図3(c)に示す光信号ob1およびob2を発生させることも可能である。
図14にマッハツェンダ干渉計型の光強度変調器の構成例を示す。使用するマッハツェンダ干渉計型の光強度変調器の2つのアームに、それぞれ、独立の電極が取り付けられているとする。またその電極に、変調のための駆動信号の電圧V、Vがそれぞれ加えられるとする。そのとき、入力光と出力光の電界強度、EinとEoutは次式で与えられる。
Eout=(Ein/2){exp(jπV1/Vπ)+ exp(jπV/Vπ)} (25)
ここでjは虚数を示す。また、Vπは、マッハツェンダ干渉計の両アームを伝搬する光の位相をπだけ変化させるために必要な電圧である。図3(b)に示す2種類の第1の光の光信号を発生させる電圧の組み合わせ(V1/Vπ、V/Vπ)は種々あるが、その1つの例を示すと次の通りである。光信号ob1を発生させるには、(V1/Vπ、V/Vπ)= (1/2,−1/2)→(0,0)→(1/2,−1/2)→(0,0)→(1/2,−1/2)、と変化させればよい。このとき、出力光の電界強度は、Eout/Ein=0→1→0→1→0、となる。一方、光信号ob2を発生させるには、(V1/Vπ、V/Vπ)=(1/2,−1/2)→(0,0)→(1/2,−1/2)→(1,−1)→(1/2,−1/2)、と変化させればよい。実際、このとき、出力光の電界強度は、Eout/Ein=0→1→0→−1→0、となる。
同様に、図3(c)に示す光信号ob1を発生させるには、(V1/Vπ、V/Vπ)= (1/2,−1/2)→(1/2,1/2)→(1/2,−1/2)→(0,0)→(1/2,−1/2)、と変化させればよい。実際、このとき、出力光の電界強度は、Eout/Ein=0→exp(jπ/2)→0→1→0、となる。一方、光信号ob2を発生させるには、(V1/Vπ、V/Vπ)=(1/2,−1/2)→(1/2,1/2)→(1/2,−1/2)→(1,1) →(1/2,−1/2)、と変化させればよい。実際、このとき、出力光の電界強度は、Eout/Ein=0→exp(jπ/2)→0→exp(jπ)→0、となる。
[変形例6]
本変形例では、第1の光の周波数fと第2の光の周波数fの大小関係について説明する。上述した実施形態では、第1の光の周波数fを第2の光の周波数fよりも大きくし、ブリルアンスペクトルの測定にブリルアン利得を使用するとして説明した。しかし、その逆に第2の光の周波数fを、第1の光の周波数fよりも大きくし、f−fを被測定光ファイバのブリルアン周波数シフトfの近くで変化させて測定を行っても良い。ただし、このときには、第2の光のパワーの増加として観測されるブリルアン利得ではなく、第2の光のパワーの減少として観測されるブリルアン損失が測定される。また、このとき、本発明の第2の実施形態などで説明した負のブリルアン利得は、負のブリルアン損失となる。「負のブリルアン損失」とは、損失の極性を反転したものであるから、第2の光のパワーの増加として観測される。このように、f−f>0の場合は、全て、ブリルアン利得をブリルアン損失に置き換えて考えることにより、これまで説明してきた方法および装置により、ブリルアン周波数シフト分布を測定することが可能である。
[変形例7]
本変形例では、図10および図13に示した、光強度変調器32について説明する。光強度変調器には、種々のタイプがあり、これまでに説明した光強度変調器は、図12(a)に示したような、キャリアとその両サイドに変調成分を有する変調光を出力するタイプである。それ以外に、キャリアを抑圧した変調光を出力するタイプ(図12(b))、単一側波帯出力のタイプ(図12(c))や、キャリア抑圧・単一側波帯出力のタイプ(図12(d))などがある。これらの何れのタイプの光強度変調器も本発明に使用可能である。さらに、光位相変調器も側波帯を発生させることから、光位相変調器を光強度変調器32の代わりに使用することも可能である。
[変形例8]
本変形例では、図10および図13に示した、光強度変調器32と高周波発生器33とから構成される光周波数変換器300の配置について説明する。図10および図13では、光周波数変換器300は、第2の光を発生させる光路に配置した。しかし、光周波数変換器3の目的は、第1の光と第2の光の周波数に差を発生させ、その差を光ファイバのブリルアン周波数シフトの近傍で変化させることであるので、光周波数変換器3を第1の光を発生させる光路に配置しても構わない。さらに、第1の光を発生させる光路と、第2の光を発生させる光路の両方に配置しても構わない。
[変形例9]
本変形例では、第1の光と第2の光の発生方法について説明する。上述した実施形態では、光源1の出力光を分岐し、分岐した一方の光から第1の光を、分岐した他方の光から第2の光を得た。しかし、図1に示したBOTDAの構成と同様に、光源部190が光源1の他に光源2を備え、光源1から第1の光を、光源2から第2の光を得ても構わない。このときには、光周波数変換部300は不要となる。その代わりに、光源部190の両光源1、2の出力光の周波数の差をモニタするなどして、周波数の制御を行う光周波数制御部390(図1)を備えることが好ましい。
[変形例10]
本変形例では、第1の光と第2の光を被測定光ファイバ中で対向伝搬させる方法について説明する。上述の実施形態では、第1の光を被測定光ファイバ4の一方の端から入射し、第2の光を被測定光ファイバ4の他方の端から入射することにより、両光を被測定光ファイバ中で対向伝搬させた。しかし、これは、たとえば、第1の光と第2の光を被測定光ファイバ4の同じ端から入射し、被測定光ファイバ4の他の端に反射器を取り付けることにより実現しても構わない。また、第1の光と第2の光を被測定光ファイバ4の同じ端から入射し、被測定光ファイバ4中で、第2の光が後方レイリー散乱されることを利用して実現しても構わない。
[第2実施形態]
本実施形態では、光信号ob1と光信号ob2を元とした相関符号を第1の光として使用する。ます、この方法の測定原理について説明する。
原理
時間領域反射計測において単一パルスの代わりに相関符号(これは、擬似ランダム信号、スペクトラム拡散符号などとも呼ばれる)を使用することにより、測定距離の延長、測定時間の短縮などが図れることは、音響工学、無線工学、光工学の分野で広く知られている。この原理は、単一パルスを使用する場合に比較し、相関符号で変調された信号を使用したほうが、同一の時間で多くのエネルギーを送出可能なことから理解できる。本発明でも、第1の光として、相関符号を使用し、測定距離の延長、測定時間の短縮などを図ることが可能である。
相関符号には、M系列符号、Gold系列符号、Golay符号などがある。いずれの符号も、その元を−1と+1とすると、その自己相関関数CF(x)の値は、シフトビットxがx=0のとき、符号の長さに相当した大きな値をとり、x≠0のときは、非常に小さな値あるいはゼロとなる。したがって、相関符号の反射信号と、元の相関符号との相関をとることにより、反射信号の分布を得ることが可能である。
そこで、本発明では、相関符号Cの元+1を光信号ob1に割り当て、元−1を光信号ob2に割り当て、第1の測定手順で使用する第1の光である光信号列os1を構成する。さらに、相関符号のビットを反転した符号C^に対しても、その元+1を光信号ob1に割り当て、元−1を光信号ob2に割り当て、第2の測定手順で使用する第1の光である光信号列os2を構成する。
まず、図3(a)に示した光信号ob1と光信号ob2を元とした相関符号を使用する場合について説明する。C=(1 −1 −1 1 ・・・・・)とした場合、第1の光である光信号列os1は、図15(a)に示したようになる。また、C^=(−1 1 1 −1 ・・・・・)に対応した、第1の光である光信号列os2は、図15(b)に示したようになる。これらの光信号列os1とos2を第1の光として測定した信号をそれぞれP1(Δf,t)およびP2(Δf,t)とすると、これまで説明した本発明の原理から、第1の光と第2の光の周波数差Δfをブリルアン周波数シフトfとしたとき、P1(Δf,t)−P2(Δf,t)は、図15(c)に示したようになり、相関符号Cに対応した信号になる。したがって、P1(Δf,t)−P2(Δf,t)の信号と、符号Cとの相関を計算処理することにより、ブリルアンスペクトルの分布を測定することが可能となる。
実施形態
本実施形態のBOTDAの機能構成例を、図16に示す。図10のBOTDAとの違いは、相関符号生成手段125を備えたことである。その他は図10と同じである。また、本実施形態のBOTDAの処理フローを図17に示す。図11の処理フローとの違いは、相関符号生成(S125)が追加されたことである。本実施形態は、第1の測定手順で、パルス信号発生器120’の相関符号生成手段125によって+1と−1を元とした相関符号Cにしたがった符号を生成する(S125)。また、この符号の+1にob1を割り当て、−1にob2を割り当てる。光信号生成手段121は、生成された相関符号Cにしたがって、図3(a)に示した光信号ob1およびob2を作るための信号を生成する(S121)。その後は第1実施形態と同じであり、パルス信号発生器120が光強度変調器10を制御するパルス信号を発生し(S122)、光強度変調器10が図3(a)に示した光信号ob1とob2とを生成する(S10)。このようにして、図15(a)に示したような光信号列os1を得る。この光信号列os1を第1の光として第1実施形態と同様に測定を行い、光検出器8で測定した信号をP1(Δf,t)とする。また、第2の測定手順では、光信号生成手段121、パルス信号発生器120および光強度変調器10は、相関符号Cの元を反転させた符号C^にしたがって、図15(b)に示した光信号列os2を得る。この光信号列os2を第1の光として測定した信号をP2(Δf,t)とする。そして、信号処理装置9の差分演算手段92は、ΔP12(Δf,t)=P1(Δf,t)−P2(Δf,t)を求める。さらに、信号処理装置9は、ΔP12(Δf,t)の信号と、符号Cとの相関を計算処理することにより、ブリルアンスペクトルの分布を測定する。このスペクトルをもとに、信号処理装置9を使用してブリルアン周波数シフト分布を求める。
なお、隣り合う光信号間の時間差τは、ゼロ以上の任意の値で良い。τが短いほど、一定時間内に長い符号を送ることが可能となるため、測定の効率が向上する。しかし、先行する光信号(ob1またはob2)により励起された音響波が後続の光信号のブリルアン散乱効率に影響することを避けるためには、τは、1/Δf以上とする必要がある。よって、τは、1/Δf以上の小さい値とすることが好ましい。
[変形例1]
原理
本変形例は、図3(b)に示した光信号ob1と光信号ob2を元とした相関符号を使用する場合である。C=(1 −1 −1 1 ・・・・・)とした場合、第1の光である光信号列os1は、図18(a)に示したようになる。また、C^=(−1 1 1 −1 ・・・・・)に対応した、第1の光である光信号列os2は、図18(b)に示したようになる。これらの光信号列os1とos2を第1の光として測定した信号をそれぞれP1(Δf,t)およびP2(Δf,t)とすると、これまで説明した本発明の原理から、第1の光と第2の光の周波数差Δfをブリルアン周波数シフトfとしたとき、P1(Δf,t)−P2(Δf,t)は、図18(c)に示したようになり、相関符号Cに対応した信号になる。したがって、P1(Δf,t)−P2(Δf,t)の信号と、符号Cとの相関を計算処理することにより、ブリルアンスペクトルの分布を測定することが可能となる。ここで、P1(Δf,t)−P2(Δf,t)の信号が、図3(a)の光信号ob1と光信号ob2を使用したときのP1(Δf,t)−P2(Δf,t)の信号の大きさyに対して、2倍の大きさ2yになっている。これは、上述のように、本発明により負のブリルアン利得が実現されているからである。この結果、図3(b)に示した光信号を使用する場合は、図3(a)に示した光信号を使用する場合にくらべ、2倍の速度で同一性能の測定が可能となる(半分の平均化処理で、同じS/Nを得ることができる)。
実施形態
本変形例のBOTDAの機能構成例を図19に示す。また、本変形例のBOTDAの処理フローを、図17を用いて説明する。本変形例は、第1の測定手順で、パルス信号発生器130’の相関符号生成手段125によって+1と−1を元とした相関符号Cにしたがった符号を生成する(S125)。また、この符号の+1にob1を割り当て、−1にob2を割り当てる。光信号生成手段131は、生成された相関符号Cにしたがって、図3(b)に示した光信号ob1およびob2を作るための信号を生成する(S131)。その後は第1実施形態の変形例1と同じであり、パルス信号発生器130’が光強度変調器10と光位相変調器11とを制御するパルス信号を発生し(S132)、光強度変調器10と光位相変調器11とが図3(b)に示した光信号ob1とob2とを生成する(S10,S11)。このようにして、図18(a)に示したような光信号列os1を得る。この光信号列os1を第1の光として第1実施形態と同様に測定を行い、光検出器8で測定した信号をP1(Δf,t)とする。また、第2の測定手順では、光信号生成手段131、パルス信号発生器130’、光強度変調器10および光位相変調器11は、相関符号Cの元を反転させた符号C^にしたがって、図18(b)に示した光信号列os2を得る。この光信号列os2を第1の光として測定した信号をP2(Δf,t)とする。そして、信号処理装置9の差分演算手段92は、ΔP12(Δf,t)=P1(Δf,t)−P2(Δf,t)を求める。さらに、信号処理装置9は、ΔP12(Δf,t)の信号と、符号Cとの相関を計算処理することにより、ブリルアンスペクトルの分布を測定する。このスペクトルをもとに、信号処理装置9を使用してブリルアン周波数シフト分布を求める。
[変形例2]
原理
本変形例は、図3(c)に示した光信号ob1と光信号ob2を元とした相関符号を使用する場合である。C=(1 -1 -1 1 ・・・・・)とした場合、第1の光である光信号列os1は、図20(a)に示したようになる。また、C^=(−1 1 1 −1 ・・・・・)に対応した、第1の光である光信号列os2は、図20(b)に示したようになる。これらの光信号列os1とos2を第1の光として測定した信号をそれぞれP1(Δf,t)、P2(Δf,t)とすると、これまで説明した本発明の原理から、第1の光と第2の光の周波数差Δfをおよそf+(Δf/2)としたとき、P1(Δf,t)−P2(Δf,t)は、図20(c)に示したようになり、相関符号Cに対応した信号になる。したがって、P1(Δf,t)−P2(Δf,t)の信号と、符号Cとの相関を計算処理することにより、ブリルアン利得係数の位相に対応したスペクトルの分布を測定することが可能となる。
実施形態
本変形例の機能構成は、第1実施形態の変形例2と同様に、図19を用いて説明する。また、本変形例のBOTDAの処理フローを、図17を用いて説明する。本変形例の第1の測定手順では、パルス信号発生器140’の相関符号生成手段125によって+1と−1を元とした相関符号Cにしたがった符号を生成する(S125)。また、この符号の+1にob1を割り当て、−1にob2を割り当てる。光信号生成手段141は、生成された相関符号Cにしたがって、図3(c)に示した光信号ob1およびob2を作るための信号を生成する(S141)。その後は第1実施形態の変形例2と同じであり、パルス信号発生器140’が光強度変調器10と光位相変調器11とを制御するパルス信号を発生し(S142)、光強度変調器10と光位相変調器11とが図3(c)に示した光信号ob1とob2とを生成する(S10,S12)。このようにして、図20(a)に示したような光信号列os1を得る。この光信号列os1を第1の光として第1実施形態と同様に測定を行い、光検出器8で測定した信号をP1(Δf,t)とする。また、第2の測定手順では、光信号生成手段141、パルス信号発生器140’、光強度変調器10および光位相変調器11は、相関符号Cの元を反転させた符号C^にしたがって、図20(b)に示した光信号列os2を得る。この光信号列os2を第1の光として測定した信号をP2(Δf,t)とする。そして、信号処理装置9の差分演算手段92は、ΔP12(Δf,t)=P1(Δf,t)−P2(Δf,t)を求める。さらに、信号処理装置9は、ΔP12(Δf,t)の信号と、符号Cとの相関を計算処理することにより、ブリルアンスペクトルの分布を測定する。このスペクトルをもとに、信号処理装置9を使用してブリルアン周波数シフト分布を求める。
[変形例3]
原理
第2実施形態、変形例1、変形例2は、M系列符号やGold系列符号のような1系列符号を相関符号に使用した場合であった。一方、相関関数のサイドローブの値を完全にゼロとすることが可能な相関符号として有名なGolay符号を使うことができる。Golay符号は、+1および−1を元としたAおよびBの2系列の符号を使用する。符号Aの自己相関関数と符号Bの自己相関関数の和をとると、そのサイドローブの値は完全にゼロになることが知られている。そこでGolay符号を相関符号として使用する場合は、相関符号の元+1を光信号ob1に割り当て、元−1を光信号ob2に割り当て、符号Aとその元を反転させた符号A^を構成する。光信号ob1およびob2に、図3(b)の光信号を使用したときの様子を図21(a)と(b)に示す。なお、図3(a)の光信号または図3(c)の光信号を使用したときも同様である。そして、符号Aと符号A^をそれぞれ光信号列os1、光信号列os2として、スペクトルの差分P1(Δf,t)−P2(Δf,t)を測定する。これは、符号Aを使用して測定した結果であるので、PA(Δf,t)=P1(Δf,t)−P2(Δf,t)とする。同様にして、符号Bとその元を反転させた符号B^を構成する。図21(c)と(d)に符号BとB^による光信号列を示す。そして、符号Bと符号B^による光信号列をそれぞれ光信号列os1および光信号列os2として、スペクトルの差分P1(Δf,t)−P2(Δf,t)を測定する。これは、符号Bを使用して測定した結果であるので、PB(Δf,t)=P1(Δf,t)−P2(Δf,t)とする。測定結果PA(Δf,t)と符号Aとの相関、および、測定結果PB(Δf,t)と符号Bとの相関を計算処理し、それらの和をとることにより、Golay符号の特性から、ブリルアンスペクトルの分布を得ることができる。
実施形態
本変形例の機能構成を、変形例1や変形例2と同様に、図19を用いて説明する。また、本変形例のBOTDAの処理フローを、図17を用いて説明する。本変形例のBOTDAでは、図21に示したGolay符号(符号Aと符号Bの組み合わせ)生成するための相関符号生成手段126を、パルス信号発生器150に備えている。また2つの相関符号を用いた測定結果を処理するための相関和演算手段93が、信号処理部9’に備えられている。
本変形例の第1の測定手順では、パルス信号発生器150の相関符号生成手段126によって+1と−1を元とした相関符号Aにしたがった符号を生成する(S126)。また、この符号の+1にob1を割り当て、−1にob2を割り当てる。光信号生成手段131は、生成された相関符号Cにしたがって、図3(b)に示した光信号ob1およびob2を作るための信号を生成する(S131)。その後は第1実施形態の変形例1と同じであり、パルス信号発生器150’が光強度変調器10と光位相変調器11とを制御するパルス信号を発生し(S132)、光強度変調器10と光位相変調器11とが図3(b)に示した光信号ob1とob2とを生成する(S10,S11)。このようにして、図21(a)に示したような光信号列os1を得る。この光信号列os1を第1の光として第2実施形態の変形例1と同様にして測定を行い、光検出器8で測定した信号をP1(Δf,t)とし(S8)、検出光記録手段91に記録する(S91)。また、第2の測定手順において、符号Aの元を反転させた符号A^に対応させて相関符号生成手段126、光信号生成手段131、パルス信号発生器150、光強度変調器10および光位相変調器11を使用して、図21(b)に示した光信号列os2を得る。この光信号列os2を第1の光として測定した信号をP2(Δf,t)とする。そして、信号処理装置9’を使用してP1(Δf,t)−P2(Δf,t)を得る(S92)。以上の測定は符号Aを使用して行ったものであるので、PA(Δf,t)=P1(Δf,t)−P2(Δf,t)と表す。
次に、Golay符号を構成するもう一つの符号Bを使用して、符号Aを使用したときと同様の測定を行う。すなわち、図21(c)および図18(d)の光信号列os1とos2を発生させ、PB(Δf,t)=P1(Δf,t)−P2(Δf,t)を得る。
信号処理装置9’は、測定したPA(Δf,t)と符号Aとの相関と、PB(Δf,t)と符号Bとの相関の和を計算処理することにより、ブリルアンスペクトルの分布を測定する(S93)。このスペクトルをもとに、信号処理装置9’を使用してブリルアン周波数シフト分布を求めることが可能となる。
以上のGolay符号を使用した本発明の実施例では、光信号ob1およびob2として、図3(b)に示した光信号を使用したが、図3(a)および 図3(c)に示した光信号を使用しても、同じように実施可能である。
このように測定することで、相関関数のサイドローブの値を完全にゼロとすることができる。
BOTDAの基本原理を説明する図。 従来のBOTDAの機能構成例を示す図。 本発明の光信号の構成を示す図。 ブリルアン周波数シフトが分布した被測定光ファイバのモデルを示す図。 本発明で測定されるブリルアンスペクトルを説明する図。 負のブリルアン利得を説明する図。 図3(b)の光信号での原理を説明する図。 図3(c)の光パルス光op12とop22で測定されるブリルアンスペクトルを説明する図。 図3(c)の光信号での原理を説明する図。 第1実施形態の光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置(BOTDA)の機能構成を示す図。 第1実施形態および変形例1、変形例2の光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置(BOTDA)の処理フローを示す図。 光強度変調器32の出力光のスペクトルを示す図。 第1実施形態の変形例1、変形例2の光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置(BOTDA)の機能構成を示す図。 マッハツェンダ干渉計型の光強度変調器の構成例を示す図。 第2実施形態の相関符号により生成する光信号列の例を示す図。 第2実施形態の光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置(BOTDA)の機能構成を示す図。 第2実施形態および変形例1、変形例2、変形例3の光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置(BOTDA)の処理フローを示す図。 第2実施形態の変形例1の相関符号により生成する光信号列の例を示す図。 第2実施形態の変形例1、変形例2、変形例3の光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置(BOTDA)の機能構成を示す図。 第2実施形態の変形例2の相関符号により生成する光信号列の例を示す図。 第2実施形態の変形例3の相関符号により生成する光信号列の例を示す図。
符号の説明
1: 光源
2: 光源
3: 光周波数変換器
4: 被測定光ファイバ
5、6: 光分岐器
7: 光フィルタ
8: 光検出器
9、9’、900: 信号処理装置
10: 光強度変調器
11: 光位相変調器
12、120、120’、130、130’、140、140’、150: パルス信号発生器
32: 光強度変調器
33: 高周波発生器
41、42: 接続器
91: 検出光記録手段
92: 差分演算手段
93: 相関和演算手段
100: 光源部
121、131、141: 光信号生成手段
125、126:相関符号生成手段
200、200’、200”、200’’’、200’’’’: 光信号発生部
300: 光周波数変換部

Claims (12)

  1. 第1の光と第2の光を、光ファイバ中を対向して伝搬させ、
    前記第1の光と前記第2の光の周波数差Δfを、光ファイバのブリルアン周波数シフトの近傍で変化させ、
    ブリルアン光増幅の効果により変化した、前記第2の光のパワーを、前記周波数差Δfの関数として測定する光ファイバのブリルアンスペクトル測定方法において、
    光ファイバの自然ブリルアンスペクトル幅をΔf、第1のパルス光のパルス幅をT、第2のパルス光のパルス幅をΔT、前記第1のパルス光の立ち下りから前記第2のパルス光の立ち上がりまでの遅延時間をτとし、
    第1のパルス光と第2のパルス光から構成され、T >ΔTかつ0≦τ≦1/Δfを満たす第1の光信号、および前記第1の光信号と同じ第1のパルス光と前記第1の光信号と異なる第2のパルス光の組み合わせから構成され、T >ΔTかつ0≦τ≦1/Δfを満たす第2の光信号を、前記第1の光として生成する光信号ステップと、
    前記第1の光信号に対する前記第2の光のパワーの測定結果と前記第2の光信号に対する前記第2の光のパワーの測定結果との差分または重み付き差分を求める信号処理ステップと
    を有する光ファイバのブリルアンスペクトル測定方法。
  2. 請求項1記載の光ファイバのブリルアンスペクトル測定方法であって、
    前記光信号ステップで生成する第2の光信号の第2のパルス光の振幅が0、もしくは第1の光信号の第2のパルス光の振幅が0である
    ことを特徴とする光ファイバのブリルアンスペクトル測定方法。
  3. 請求項1記載の光ファイバのブリルアンスペクトル測定方法であって、
    前記光信号ステップで生成する第1の光信号の第1のパルス光の光波の位相と第2のパルス光の光波の位相とが同相もしくは逆相であり、
    第2の光信号の第1のパルス光の光波の位相と第2のパルス光の光波の位相とが逆相もしくは同相である
    ことを特徴とする光ファイバのブリルアンスペクトル測定方法。
  4. 請求項1記載の光ファイバのブリルアンスペクトル測定方法であって、
    前記光信号ステップで生成する第1の光信号の第2のパルス光の光波の位相が、第1のパルス光の光波の位相と−π/2もしくはπ/2異なり、
    第2の光信号の第2のパルス光の光波の位相が、第1のパルス光の光波の位相とπ/2もしくは−π/2異なる
    ことを特徴とする光ファイバのブリルアンスペクトル測定方法。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の光ファイバのブリルアンスペクトル測定方法であって、
    前記光信号ステップで、
    前記第1の光信号を相関符号Cの+1もしくは−1に割り当て、前記第2の光信号を相関符号Cの−1もしくは+1に割り当て、
    ビットごとの間隔τが、τ≧1/Δfを満たす相関符号Cとビットを反転した符号C^とを用いて前記第1の光を送出する
    ことを特徴とする光ファイバのブリルアンスペクトル測定方法。
  6. 請求項5記載の光ファイバのブリルアンスペクトル測定方法であって、
    前記光信号ステップで、2種類の相関符号を用いる
    ことを特徴とする光ファイバのブリルアンスペクトル測定方法。
  7. 光ファイバ中を対向して伝搬させる第1の光および第2の光を出力する光源部と、
    前記第1の光と前記第2の光の周波数差Δfを光ファイバのブリルアン周波数シフトの近傍で変化させるために、前記第1の光もしくは前記第2の光の光周波数を変換する光周波数変換部、または光源部を制御する光周波数制御部と、
    ブリルアン光増幅の効果により変化した、前記第2の光のパワーを、前記周波数差Δfの関数として測定する光検出部と
    を備える光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置において、
    光ファイバの自然ブリルアンスペクトル幅をΔf、第1のパルス光のパルス幅をT、第2のパルス光のパルス幅をΔT、前記第1のパルス光の立ち下りから前記第2のパルス光の立ち上がりまでの遅延時間をτとし、
    第1のパルス光と第2のパルス光から構成され、T >ΔTかつ0≦τ≦1/Δfを満たす第1の光信号、および前記第1の光信号と同じ第1のパルス光と前記第1の光信号と異なる第2のパルス光の組み合わせから構成され、T >ΔTかつ0≦τ≦1/Δfを満たす第2の光信号を、前記第1の光として生成するパルス信号発生部と
    前記第1の光信号による測定結果と前記第2の光信号による測定結果との差分または重み付き差分を求める信号処理部と
    を備える光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置。
  8. 請求項7記載の光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置であって、
    第2のパルス光の振幅が0の第2の光信号、もしくは第2のパルス光の振幅が0の第1の光信号を生成する前記パルス信号発生部
    を備える光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置。
  9. 請求項7記載の光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置であって、
    第1のパルス光の光波の位相と第2のパルス光の光波の位相とが同相もしくは逆相の第1の光信号と、
    第1のパルス光の光波の位相と第2のパルス光の光波の位相とが逆相もしくは同相の第2の光信号とを生成する前記パルス信号発生部
    を備える光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置。
  10. 請求項7記載の光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置であって、
    第2のパルス光の光波の位相が、第1のパルス光の光波の位相と−π/2もしくはπ/2異なる第1の光信号と、
    第2のパルス光の光波の位相が、第1のパルス光の光波の位相とπ/2もしくは−π/2異なる第2の光信号とを生成する前記パルス信号発生部
    を備える光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置。
  11. 請求項7から10のいずれかに記載の光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置であって、
    前記第1の光信号を相関符号Cの+1もしくは−1に割り当て、前記第2の光信号を相関符号Cの−1もしくは+1に割り当て、
    ビットごとの間隔τが、τ≧1/Δfを満たす相関符号Cとビットを反転した符号C^とを、第1の光として生成する前記パルス信号発生部
    を備える光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置。
  12. 請求項11記載の光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置であって、
    2種類の相関符号とそれらのビットを反転した符号を生成する前記パルス信号発生部
    を備える光ファイバのブリルアンスペクトル測定装置。
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