JP2007032195A - 外壁構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】土台3等の横架材と、柱2aと、間柱2bを方形枠状に組み立ててなる軸材と、該軸材の屋内側に設けられた内側せっこうボード層12と、該軸材の屋外側に無機質強化板状体層22を介して設けられた合成樹脂系サイディング材層26とを有する外壁構造体。
【選択図】 図1
Description
すなわち、本発明の外壁構造体は、木造軸組工法における外壁構造体であって、横架材と柱材とを方形枠状に組み立ててなる軸材と、該軸材の屋内側に設けられた内側せっこうボード層と、該軸材の屋外側に中間材層を介して設けられた合成樹脂系サイディング材層とを有しており、前記中間材層が、無機質強化板状体層を備えてなることを特徴とする。
前記合成樹脂系サイディング材層と前記中間材層との間に胴縁が設けられていることが好ましい。
本実施形態の外壁構造体1は、柱材としての柱2aおよび間柱2bと、横架材としての土台3等を方形枠状に組み立ててなる軸材の屋内側に、気密層11および内側せっこうボード層12が、軸材側から順に設けられており、前記軸材の屋外側に、構造用面材層21、無機質強化板状体層22、第1の防水層23、胴縁24、第2の防水層25、および合成樹脂系サイディング材層26が、軸材側から順に設けられている。また軸材で囲まれた内部に断熱材層4が設けられている。図中符号31は基礎、32は床材をそれぞれ示す。
本実施形態では、構造用面材層21および無機質強化板状体層22が中間材層に相当する。
軸材は、横架材としての土台3上に、柱2aおよび間柱2bを取り付けて形成されている。また図示していないが、土台3以外の横架材が適宜設けられる。土台3、柱2a、および間柱2bの材料としては、日本農林規格に適合する針葉樹の構造用製材または集成材が用いられる。
本実施形態において、土台3および柱2aとしては、断面形状が90mm×90mm以上の角材が好ましく、間柱2bとしては断面形状が45mm×90mm以上の角材が好ましく用いられる。壁厚方向における柱2aと間柱2bの寸法が等しいことが好ましい。
隣り合う柱2aと間柱2bの間隔、および隣り合う間柱2bどうしの間隔は500mm以下が好ましい。
本実施形態において、軸材で囲まれた内部に断熱材が充填されて断熱材層4が形成されている。断熱材層4を設けることにより外壁構造体1における断熱効果を向上させることができる。
断熱材としては、例えば無機質系材料では、JIS A 9521規格におけるロックウールやグラスウール等が挙げられ、有機質系材料では、ビーズ法や押出法によるポリスチレンフォーム板、ポリエチレンフォーム板、フェノールフォーム板、硬質ウレタンフォーム板等が挙げられる。断熱材の厚さは42〜200mmが好ましい。
軸材の屋内側には内側せっこうボード層12が設けられている。これにより軸材の強度が向上する。
内側せっこうボード層12としては、JIS A 6901規格におけるせっこうボード、強化せっこうボード、シージングせっこうボード、化粧せっこうボード等が好適に用いられる。内側せっこうボード層12の厚さは、せっこうボード、シージングせっこうボード、化粧せっこうボードにおいては9.5mm以上が好ましく、強化せっこうボードにおいては12.5mm以上が好ましい。
タッピンねじとしては、φ3.5mm×長さ15mm〜φ3.8mm×長さ60mmのものが好ましい。留付間隔は200mm以下が好ましい。
軸材と内側せっこうボード層12との間に気密層11を設けることが好ましい。気密層11の材料としては防湿気密シートが好適に用いられる。具体例としては、JIS A 6930規格における防湿気密シート(ポリエチレン系樹脂)が挙げられる。該シートの厚さは、0.02〜0.2mmが好ましい。
気密層11は必須ではないが、これを設けることにより室内側からの湿気が防止でき、気密性が向上する。
軸材の屋外側には構造用面材層21が設けられている。構造用面材層21は、木材を材料としてなる板状の材料からなるもので、例えば細かく砕いた木材を合成樹脂や接着材を用いて板状に成形した材料等が挙げられる。具体例としては昭和44年農林水産省告示第1371号の規格における構造用合板、昭和62年農林水産省告示第360号の規格における構造用パネル、JIS A 5908規格におけるパーティクルボード等が挙げられる。
前記構造用合板、構造用パネルの厚さは9mm以上が好ましく、パーティクルボードの場合は、厚さ10mm以上が好ましい。
構造用面材層21は必須ではないが、これを設けることにより耐火性がさらに向上し、また合成樹脂系サイディング材の施工性が向上する。
構造用面材層21の屋外側には無機質強化板状体層22が設けられている。無機質強化板状体層22は無機発泡体と繊維状物と結合材とから形成されたもので、これを設けることにより軸材の強度を向上させると共に、耐火性、透湿性及び断熱性を付与することができる。また、無機発泡体を用いることにより、無機質強化板状体層22自体の比重を0.6〜0.9と木材並みに軽くすることができる。また無機質強化板状体層22は2.3〜3.0m2・h・mmHg/gの透湿抵抗が得られ、室内側の湿気を外部に排出するうえで好ましい。
無機質強化板状体層22として、前記無機発泡体と繊維状物と結合材とから形成された無機質強化層の単独層を用いることもできるが、前記無機質板状体の両面に前記無機質強化層を積層した三層構造のものや、前記無機質板状体層の片面に前記無機質強化層を形成した二層構造のものが好ましい。これらの中でも、三層構造のものが好ましい。無機質強化板状体層22の厚みは一般に7〜15mm、好ましくは9〜12mmである。
無機質強化板状体層22として、具体的には、JIS A 5440規格における火山性ガラス質複層板を好適に用いることができる。該火山性ガラス質複層板の厚さは9〜12mmが好ましく、12mm程度がより好ましい。
無機質強化板状体層22の屋外側には合成樹脂系サイディング材層26が設けられている。
合成樹脂系サイディング材層26としては、熱可塑性樹脂製サイディング材が好適に用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、スチレン系共重合体、アクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体(ASA樹脂)、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−エチレン・プロピレンゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)、繊維強化プラスチック(FRP)等を挙げることができる。
サイディング材を構成する合成樹脂板には、必要に応じて、充填材、強化材、顔料、加工助剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等の添加物が添加される。
塩化ビニル樹脂は、樹脂への着色の自由度や成形時の形状設計の自由度が高く、長期にわたって物性の低下が少なく、かつ難燃性を有する合成樹脂である。したがって、塩化ビニル樹脂製サイディング材は、長期間にわたって住宅等の建築物の秀麗さを保持する加飾材として、サイディング材より屋内側に位置する断熱材やその他の建築部材を保護すると共に、難燃性を維持することができるものである。
このような塩化ビニル樹脂製サイディング材として、具体的には、信越ポリマー社の商品名「ポリパネルSP」、「ポリパネルDX」、「ポリパネルS」等が市販されている。
またJIS K 6784規格における硬質塩化ビニル樹脂板からなるサイディング材も好適である。
複数の合成樹脂板を積層する場合には、同一の樹脂素材であることが、分別リサイクルの観点から好ましい。例えば塩化ビニル樹脂を用いて共押し出しの二層構造とし、基層部は、リサイクル材を主成分とする低コスト樹脂コンパウンド材を用いて構成し、表層部は、耐候性に優れたバージン樹脂コンパウンド材を用いて構成することが経済的である。
また必要に応じて表面化粧層を設けてもよい。表面化粧層の材料としては、例えばフッ素系樹脂、アクリル系樹脂等が好適に用いられる。表面化粧層の表面に木目調、金属調、石目調などの印刷を必要に応じて施してもよい。表面化粧層の厚さは0.05〜0.5mm程度が好ましく、0.2mm±0.05mm程度がより好ましい。
特に、サイディング材の通常の施工は、建築物の下から上に向かって(またはこの逆の方向)、または横方向に向かって行われるため、縦横とも各々の寸法は、100〜5000mmの範囲が施工上便利である。より好ましくは、縦寸法が200〜250mm、横寸法4000mm以下である。
サイディング材(樹脂板)自体の厚みも特に限定されないが、0.5〜10mm程度が好ましい。
サイディング材の表面には、エンボスロール等を用いて凹凸模様部を形成することができる。
かかるサイディング材は、取付孔41を利用してネジ止めもしくはくぎ打ちにより吊下げ状に固定されており、縦方向(鉛直方向)において隣り合うサイディング材どうしは折込部43とフック部44とが係合されて、互いが容易に離れないようになっている。
くぎとしてはJIS A 5508規格におけるくぎが好ましく、φ2.75mm×長さ40mm〜φ3.75mm×長さ90mmのものが好ましい。留付間隔は500mm以下が好ましい。
タッピンねじとしては、φ3.7mm×長さ15mm〜φ3.8mm×長さ60mmのものが好ましい。留付間隔は500mm以下が好ましい。
本実施形態において、無機質強化板状体層22と合成樹脂系サイディング材層26との間には胴縁24が設けられている。この胴縁24は必須ではないが、これを設けることによりサイディング材の隙間等から侵入した雨水を下に排出したり、通気により合成樹脂系サイディング材層26と無機質強化板状体層22との間の乾燥を促進させる効果が得られる。
胴縁24は、日本農林規格に適合する針葉樹の製造用製材または集成材を用いて構成することができる。胴縁24の断面寸法は13mm×30mm以上が好ましい。
タッピンねじとしては、φ3.5mm×長さ50mm〜φ6.3mm×長さ150mmのものが好ましい。留付間隔は250〜500mm程度が好ましい。
くぎとしては、JIS A 5508規格における鉄丸くぎが好ましく用いられ、好ましい種類としてはN50〜N150が挙げられる。留付間隔は250〜500mm程度が好ましい。
胴縁用留付材24aを用いない構成とすることもできる。
本実施形態において、無機質強化板状体層22の屋外側の面上に第1の防水層23が設けられ、合成樹脂系サイディング材層26の屋内側の面上に第2の防水層25が設けられている。
これら第1、第2の防水層23,25は、防水性を有するとともに、透湿性を示す材料からなることが好ましい。具体的には、アスファルト含浸防水シート、透湿防水シート(透湿フイルム)等を挙げることができる。
具体的には、第1、第2の防水層23,25としてJIS A 6005規格におけるアスファルトフェルト、またはJIS A 6111規格における透湿防水シート(ポリオレフィン系樹脂)が好適である。
アスファルトフェルトの単位面積質量の呼びは700g/m2以下が好ましく、430g/m2または650g/m2がより好ましい。
透湿防水シートの材質の具体例としては、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン等が挙げられる。透湿防水シートの厚さは0.16mm以下が好ましい。
また第1、第2の防水層23,25が透湿性を有することにより、室内側の空気中の湿気を室外側に透過することができる。そして室外側に透過した湿気が凝縮されると水滴となるが、その水滴は該第1、第2の防水層23,25によって室内側への侵入が防止され、晴れて暖かくなった日に合成樹脂系サイディング材層26の隙間や通気性により外壁構造体1の外に排出される。
本実施形態によれば、合成樹脂系サイディング材層26を備えてなり、窯業系サイディング材や金属系サイディング材とほぼ同等の、優れた耐火性を有する外壁構造体1が得られる。
また本実施形態の外壁構造体1は、後述の試験例に示されるように、軽量で施工性に優れるとともに、耐衝撃性、凍結性、汚染性にも優れ、防水性、耐風圧性も良好である。
以下の手順で外壁構造体を製造した
まず、木造軸組工法により、土台3上に柱2aおよび間柱2bを垂直に接合して軸材を作製した。柱2aは、スプールス集成材からなる断面形状105mm×105mmの角材を使用し、間柱2bは「すぎ」からなる断面形状45mm×105mmの角材を使用した。柱2aおよび間柱2bの間隔は500mmとした。断熱材層4は設けなかった
次に、軸材の屋外側に、無機質強化板状体層22として、JIS A 5440規格における火山性ガラス質複層板(厚さ12mm)を取り付けた。本実施例では構造用面材層21を設けない構成とした。無機質強化板状体用留付材22aとしては、JIS A 5508規格における鉄丸くぎN50を用いた。留付間隔は200mmとした。
次いで、無機質強化板状体層22上に第1の防水層23を設けた。第1の防水層23としてはJIS A 6005規格におけるアスファルトフェルトを用い、工業用ステープル(JIS A 5556)で仮留めした。アスファルトフェルトの重ね合わせは100mm以上とした。
本実施例では胴縁24および第2の防水層25を設けない構成とした。
サイディング材の形状は図1、3に示すようなサイディング材本体40と、上辺縁部42と、折込部43と、フック部44と、凹凸模様部45を備えた形状とした。寸法は、横方向(水平方向)の長さ3810mm、働き幅(施工した状態におけるフック部44の下端の間隔)203mm、施工した状態での鉛直方向および水平方向の両方に垂直な方向における高さ(厚さ)16mmとした。単位面積当たりの質量は2.2kg/m2である。また厚さ0.2mmの硬質塩化ビニル樹脂からなる表層部が設けられている。
合成樹脂系サイディング材用留付材26aとしては、JIS A 5508規格における、φ2.75mm×長さ40mmのくぎを用い、留付間隔は500mmとした。
このようにして壁厚142.5mmの外壁構造体1を製造した。
比較例として金属系サイディング材(アイジー社製、製品名;ガルバスパン)を用意した。
<比較例2>
比較例として窯業系サイディング材(ニチハ社製、製品名;モエンサイディング)を用意した。
上記実施例1で得られた外壁構造体、および比較例1,2のサイディング材について耐火性、防水性、耐風圧性、耐衝撃性、凍結性、汚染性、施工性について、以下の評価方法で評価した。評価結果を表1に示す。なお、実施例1において、耐火性、防水性、および耐風圧性に関しては、合成樹脂系サイディング材を含む外壁構造体全体について評価を行い、耐衝撃性、凍結性、汚染性、および施工性に関しては、合成樹脂系サイディング材のみについて評価を行った。
耐火性の測定方法としては、国土交通省認定の防火構造の認定試験である建築基準法第2条第八号並びに建築基準法施工令第108条(外壁(耐力壁):各30分間)の規定に準処して行った。表1において、測定結果は下記の評価基準で示す。
○;合格。
×;不合格。
防水性試験は、JIS A1414の建築用構成材及びその構造部分の性能試験方法の仕様を満たす幅2,000mm×高さ2,000mmの開口を有する試験装置により行った。表1には、測定結果として裏面に漏水したときの圧力の値(単位;Pa)を示す。
耐風圧性の測定方法は、JIS A1414の建築用構成材及びその構造部分の性能試験方法の仕様を満たす幅2,000mm×高さ2,000mmの開口を有する試験装置により行った。表1には、測定結果として正圧(正面から加圧した圧力)と負圧(逆方向への圧力)とにより破壊するまでの値(単位;Pa)を示す。
耐衝撃性の評価は、JIS K6745の落球衝撃試験に準処する方法で、質量1kgの鉄球を1mの高さから落下させて破損状況を評価した。表1において、測定結果は下記の評価基準で示す。
○;変化なし。
△;裏面の割れ。
×;変形。
凍結性試験は、下記の条件で実施した。
使用機器:恒温恒湿槽
試験片 :サイディング幅に切り欠き部を数カ所作製
試験条件:[水に浸漬(25℃、24時間)/冷凍(−30℃、24時間)]×10回の繰り返しによって行った。表1において、測定結果は下記の評価基準で示す。
○;変化なし。
×;割れ発生。
(6−1)塩害
実施例で得られた外壁構造体、および比較例のサイディング材を、濃度20質量%の食塩水に4日間浸漬させた。表1において、測定結果は下記の評価基準で示す。
○;変化なし。
△;少し変色。
×;変色。
(6−2)耐酸性雨
実施例で得られた外壁構造体、および比較例のサイディング材を、濃度10質量%の硫酸水溶液に4日間浸漬させた。表1において、測定結果は下記の評価基準で示す。
○;変化なし。
△;少し変色。
×;変色。
(6−3)耐火山灰性
実施例で得られた外壁構造体、および比較例のサイディング材を、濃度10質量%の水酸化ナトリウム水溶液に4日間浸漬させた。表1において、測定結果は下記の評価基準で示す。
○;変化なし。
△;少し変色。
×;変色。
施工性を評価するために、実施例で得られた外壁構造体、および比較例のサイディング材の単位面積あたりの質量(単位;kg/m2)を測定した。軽量であるほど施工性が良いことを示す。
2a:柱
2b:間柱
3:土台
4:断熱材層
11:気密層
12:内側せっこうボード層
21:構造用面材層
22:無機質強化板状体層
23:第1の防水層
24:胴縁
25:第2の防水層
26:合成樹脂系サイディング材層
Claims (3)
- 木造軸組工法における外壁構造体であって、横架材と柱材とを方形枠状に組み立ててなる軸材と、該軸材の屋内側に設けられた内側せっこうボード層と、該軸材の屋外側に中間材層を介して設けられた合成樹脂系サイディング材層とを有しており、
前記中間材層が、無機質強化板状体層を備えてなることを特徴とする外壁構造体。 - 前記中間材層が、さらに構造用面材層を備えてなることを特徴とする請求項1記載の外壁構造体。
- 前記合成樹脂系サイディング材層と前記中間材層との間に胴縁が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の外壁構造体。
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