JP2007032070A - 橋梁の防音装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 橋梁から発生する低周波音を確実に低減することができる安価、かつ橋梁に対する重力負荷の少ない橋梁の防音装置を提供する。
【解決手段】 橋梁3から発生する低周波音を低減する防音装置10を、橋梁3の下部に配置され、この橋梁3に一端側が固定された複数のコイルばね12により吊持される板状部材11と、前記橋梁3に設けられ、これら橋梁3と板状部材11との間に形成される空間を囲繞する、第1壁部材13aおよび第2壁部材13bからなる空間囲繞壁13とから構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、橋梁の防音装置に関し、より詳しくは防音対象とする音が橋梁から発生する低周波音である橋梁の防音装置に関するものである。
高速道路等の道路橋の橋梁においては、周辺住民の生活環境改善の観点から交通騒音の低減が望まれている。交通騒音には、自動車のエンジンや排気系から放出される騒音と、タイヤと路面との相互作用で発生する騒音とがある。さらに、橋梁では、自動車が走行することによる加振力によって橋梁の床版や橋桁などが振動し、これら床版の裏面や橋桁等から放出される騒音がある。波長が短い可聴域の騒音の騒音対策については、防音壁や橋梁の裏面(下面)に配設した防音カバー等による防音対策により行われている。一方、波長が長い周波数の低周波数の騒音対策に関しては、一般に低周波騒音の防止は困難であるといわれている。低周波騒音は、人間では聞き取ることができないため、直接的な騒音公害とはなっていないが、周辺家屋の障子戸、窓、扉などの建具を振動させてがたつき音を発生させるという問題があった。
自動車から放出される騒音の騒音対策としては、防音壁や防音フードがある。また、橋梁から放出される騒音の騒音対策としては、例えば後述するような構成になるものが公知である。以下、これら従来例に係る橋梁の防音対策例を説明する。
即ち、従来例1に係るものは、制振桁カバーを用いたもので、より詳しくは、橋梁の縦断断面図の図29に示すように構成されている。即ち、橋梁上部工の下方から、橋梁の床版と橋桁を包み込むように制振桁カバーを設置することにより、騒音レベルを低減させるようにしたものである。因みに、制振桁カバーは、アルミ押出形材の内壁に瀝青系制振材を取り付けたものである(非特許文献1参照。)。
従来例2に係るものは、振動する構造物から放出される低周波音の対策であって、振動物と逆位相の振動を発生させることにより低周波音を低減させるようにしたものである。
より詳しくは、スピーカを用いてアクティブで逆位相の音を発生させることにより、低周波音を低減させるようにしたものである(特許文献1参照。)。
また、従来例3に係るものは、ばねと錘を備えたパネルを用いて、パッシブで逆位相の音を発生させるようにしたものである(特許文献2参照。)。
また、従来例4に係るものは、低周波音の発生源対策として、動吸振器により橋梁自体の振動を抑えるようにしたものである。なお、動吸振器は質量とばねおよびダンパから構成されており、その固有振動数が橋梁の振動数に近くなるように同調させることにより、その固有振動モードに対して制振性能を発揮するものである。
土木学会第59回年次学術講演開資料2004年、p343−344 特開平8−309385号公報 特開2002−297152号公報
上記従来例1に係る制振桁カバーは、橋梁を走行する自動車から放出される可聴域の騒音の騒音対策として用いられるものであって、波長の長い低周波音の低減効果を発揮することができない。即ち、橋梁の床版や橋桁の局所的な振動により生じる騒音を対象とした騒音対策である。この制振桁カバーは、橋梁に取り付けられるが、その固定が不十分であれば、制振桁カバー自体が低振動数で振動し、低周波音の新たな発生源になる可能性があるために、橋梁に強固に固定しなければならない。
スピーカを用いてアクティブで逆位相の音を発生させることにより、低周波音を低減させる従来例2では、低周波音を発生させるために、多数の大掛かりなスピーカが必要になると共に、スピーカ背面からの低周波音を吸収することが困難なために、橋梁から発生する低周波音を打ち消すことは困難である。
また、ばねと錘を備えたパネルを用いて、パッシブで逆位相の音を発生させる従来例3では、パネル端部の橋梁との接続部にばね−質量系を設け、このばね−質量系の固有振動数を低周波音の振動数以下に設定することにより、この質量を橋梁と逆相に揺らし、この質量の振動を、リンク機構などを介してパネルに伝達させている。この場合、パネルを十分高剛性にしないと、ばね−質量系の質量を逆相に振動させても、パネル自体が橋梁と同位相振動し、低周波音をさらに増大させる可能性がある。また、パネルを十分高剛性にしたとしても、接続部のばね−質量系の質量部を、パネル重量に比べてかなり重くする必要があり、橋梁に対する負荷が大きくなる。
さらに、動吸振器により橋梁自体の振動を抑えるようにした従来例4の場合、車両走行に起因する橋梁の振動に対して十分な制振効果を得るには、大きな質量を有する動吸振器が必要になる。動吸振器の効果は、制振対象物の質量に対する動吸振器の質量(可動部)の比によって決まる。制振対象物である橋梁は大重量であるため、数%の質量比の動吸振器でも、この動吸振器自体はかなり大重量になる。また、問題となる低周波音が複数の成分から構成されている場合には、各振動数にチューニングされた動吸振器を別々に搭載する必要がある。
従って、本発明の目的は、橋梁から発生する低周波音を確実に低減することができる安価、かつ橋梁に対する重力負荷の少ない橋梁の防音装置を提供することである。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、従って上記課題を解決するために本発明の請求項1に係る橋梁の防音装置が採用した手段は、橋梁の下部に配置され、この橋梁に一端側が固定された複数の弾性部材により吊持される板状部材と、前記橋梁または板状部材に設けられ、これら橋梁と板状部材との間に形成される空間を囲繞する空間囲繞壁とからなることを特徴とするものである。
本発明の請求項2に係る橋梁の防音装置が採用した手段は、請求項1に記載の橋梁の防音装置において、前記板状部材は、前記橋梁の下面のほぼ全面を覆うように設けられてなることを特徴とするものである。
本発明の請求項3に係る橋梁の防音装置が採用した手段は、請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載の橋梁の防音装置において、前記複数の弾性部材の全ばね定数と前記板状部材の質量からなる上下方向の振動数が、防音対象とする音の振動数よりも低くなるように設定されてなることを特徴とするものである。
本発明の請求項4に係る橋梁の防音装置が採用した手段は、請求項1乃至3のうちの何れか一つの項に記載の橋梁の防音装置において、前記板状部材は、前記防音対象とする音の周波数による橋梁の振動モードの節の近傍に設けられた剛性部材で橋梁と連結されてなることを特徴とするものである。
本発明の請求項5に係る橋梁の防音装置が採用した手段は、請求項1乃至4のうちの何れか一つの項に記載の橋梁の防音装置において、前記空間囲繞壁で囲繞された空間を区切る区画壁を設けたことを特徴とするものである。
本発明の請求項6に係る橋梁の防音装置が採用した手段は、請求項1乃至5のうちの何れか一つの項に記載の橋梁の防音装置において、前記板状部材に動吸振器を設けたことを特徴とするものである。
本発明の請求項7に係る橋梁の防音装置が採用した手段は、請求項6に記載の橋梁の防音装置において、前記動吸振器の固有振動数を、前記防音対象とする音の振動数以上に設定したことを特徴とするものである。
本発明の請求項1に係る橋梁の防音装置では、橋梁の下部に配置され、橋梁に一端側が固定された複数の弾性部材により板状部材が吊持されると共に、これら橋梁と板状部材との間に形成される空間が空間囲繞壁で囲繞されている。従って、橋梁の振動が弾性部材を介して板状部材に伝達されることがなく、そして橋梁から発せられる防音対象とする音である低周波音が板状部材と空間囲繞壁とによって遮られる。
本発明の請求項2に係る橋梁の防音装置では、請求項1に係る橋梁の防音装置において、前記板状部材は、橋梁の下面のほぼ全面を覆うように設けられている。従って、橋梁から発せられる防音対象とする音である低周波音が板状部材によって効果的に遮られる。
本発明の請求項3に係る橋梁の防音装置では、複数の弾性部材の全ばね定数と板状部材の質量からなる上下方向の振動数が、防音対象とする音の振動数よりも低くなるように設定されている。従って、板状部材の固有振動数を、低周波音の発生が問題となる橋梁の固有振動数よりも十分低くすることにより、車両の走行により橋梁が揺れたとしても、防音装置の板状部材が振動しない状態を作り出すことができる。このことは、振動に関して橋梁と縁が切れた板状部材を橋梁の真下に配置することを意味する。以下、板状部材の絶縁状態を、縦軸に振動変位比(板状部材の振動変位/橋梁の振動変位)を採り、また横軸に振動数比(橋梁の振動数/板状部材の固有振動数)を採って示す、橋梁から板状部材への振動伝達特性説明図(橋梁の振動が板状部材にどのように伝わるかを示している)の図7と、前記板状部材への振動伝達説明図の図8とを参照しながら、板状部材の絶縁状態を説明する。即ち、板状部材の固有振動数よりも、橋梁の振動数がある程度大きくなれば、板状部材の振動変位は橋梁の振動変位よりも小さくなることが分かる。
より具体的には、固有振動数を21/2倍以上離せば、板状部材の減衰性能によらず、板状部材の振動変位は、橋梁の振動変位より小さくなる。このことから、少なくとも21/2倍以上振動数を離す必要があるといえる。また、板状部材の上下振動の減衰比が1%の場合、3.3倍以上離せば、板状部材の振動の振幅は橋梁の振動の振幅の1/10以下になる。即ち、橋梁が揺れたとしても、橋梁に下側に設けられている板状部材が振動しないから、板状部材から低周波音が放出されるようなことがない。なお、橋梁や板状部材が振動するため、空間囲繞壁の端面と橋梁部の下側面または板状部材の上側面との間に若干の隙間を設ける必要があるが、この隙間を橋梁部や板状部材よりも柔軟な部材(ゴムなど)で閉塞し、空間囲繞壁の内外を完全に遮断するのが好ましい。
本発明の請求項4に係る橋梁の防音装置では、板状部材は、防音対象とする音の周波数による橋梁の振動モードの節の近傍に設けられた剛性部材により橋梁と連結されている。
即ち、橋梁が振動しない箇所で板状部材を吊持する場合、ばねを用いる必要がなく、剛性部材を用いても橋梁から板状部材に振動が伝わるようなことがない。従って、板状部材は橋梁と絶縁状態になるから、請求項1乃至3に係る橋梁の防音装置と同等の効果を得ることができる。ところで、橋梁の振動モードの節位置は、橋梁の曲げ1モードであれば両端部、曲げ2次モードであれば両端部と中央部の一個所である。なお、上記請求項1のように、板状部材を弾性部材だけで吊持する場合には、この板状部材の全体が上下水平方向に揺れ易いため、地震発生時や強風時に問題となる可能性がある。しかしながら、請求項4の場合には、板状部材が剛性部材によっても支持されているため、地震発生時や強風時における板状部材の揺れを小さくすることができるという点において、上記請求項1の場合よりも優れている。
本発明の請求項1乃至4のうちの何れか一つの項に記載の橋梁の防音装置では、空間囲繞壁の内部空間に橋梁の振動で気柱共鳴が発生し、その圧力変動で板状部材が大きく揺れるという可能性がある。板状部材が大きく揺れるという問題が発生するか否かは、橋梁の振動モード形状と、気柱共鳴のモード形状との関係によって決まる。しかしながら、本発明の請求項5に係る橋梁の防音装置では、空間囲繞壁で囲繞された空間が区画壁で区切られていて、この区画壁により気柱共鳴周波数およびそのモード形状を変えることができるので、板状部材が大きく揺れるという問題が発生するような恐れがなくなる。
ところで、板状部材が橋梁と絶縁状態になっていても、空気を介して橋梁から板状部材に振動が伝達されるため、板状部材にはある程度の振動が発生する。しかしながら、本発明の請求項6に係る橋梁の防音装置によれば、この防音装置の板状部材に動吸振器が設けられている。従って、動吸振器により板状部材の振動を抑制することができるから、低周波音の遮断効果がより一層向上する。因みに、動吸振器の設定振動数は、問題となる低周波音の対象振動数の近傍に設定するのが効果的である。
動吸振器は、設定周波数の振動を良く制振することができるが、動吸振器には、設定周波数よりも若干周波数が高い新たな固有振動数が生じる。減衰が小さい動吸振器の場合には、特にこの固有振動数が励起され易くなる。動吸振器の固有振動数を低周波音よりも低振動数に設定すると、動吸振器により新たにできる固有振動数と、低周波音の振動数が一致して、板状部材が大きく揺れ(共振)るという問題が生じる。しかしながら、本発明の請求項7に係る橋梁の防音装置では、動吸振器の固有振動数が、低周波音の振動数よりも高振動数に設定されているから、制振効果は若干低下するものの、板状部材が大きく揺れ(共振)るのを回避することができるという効果を得ることができる。
以下、本発明の形態1に係る橋梁の防音装置を、添付図面の図1乃至図6を順次参照しながら説明する。図1は防音装置が設けられている橋梁の模式的側面断面構成図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1に対応する図であって、空間囲繞壁の取付け構成が相違する場合を示す模式的側面断面構成図、図4は図3のB−B線断面図である。また、図5は空間囲繞壁の端面と板状部材の下面との間の隙間を閉塞する隙間閉塞構成の説明図、図6は板状部材の水平方向揺れ防止構成の説明図である。
図1および図2に示す符号1は、本発明の形態1に係る道路橋であって、この道路橋1は複数(図1では、2基だけが示されている)の橋脚2と、これら橋脚2のうち一対の橋脚2同士の頂部に支承2aを介して端部が支持され、上側に自動車等の車両が走行する床版と、この床版を支える橋桁とからなる複数の橋梁3とから構成されている。これら橋梁3それぞれの下側には、後述する構成になる防音装置10が配設されている。この防音装置10は、橋梁3の下部に一端側が固着された複数の後述する弾性部材であるコイルばね12により前記橋梁3と平行に吊持され、この橋梁3とほぼ同等の面積を有する板状部材11を備えている。
ところで、本実施の形態1においては、弾性部材としてコイルばね12を用いたが、特にコイルばね12に限るものではなく、例えば板ばね、ゴム、および樹脂材料等を用いることができる。また、前記板状部材11の面積は、橋梁3とほぼ同等の面積になるように設定されているが、少なくとも80%以上の面積になるように設定されていれば良く、例えば大きくても良い。勿論、板状部材11の面積が小さくなると防音性能が低下する。
また、前記橋梁3の下側に一端側が固着され、下側端面と板状部材11の上面との間に所定の隙間を有し、橋梁3と板状部材11の間に形成される空間を囲繞する、板状部材11の長手方向の一対の第1壁部材13aおよび左右方向の一対の第2壁部材13bからなる空間囲繞壁13を備えている。ところで、本実施の形態1の場合、上記のとおり、空間囲繞壁13は橋梁3の下側に固着されているが、図3および図4に示すように、空間囲繞壁13は板状部材11の外縁の上面に固着されていても良い。また、空間囲繞壁13は一体的に構成されていても良い。
なお、本発明の形態1に係る橋梁3の防音装置10の空間囲繞壁13の場合には、空間囲繞壁13の下側端面と板状部材11の上面との間に所定の隙間が設けられているが、この隙間は後述するように設定されている。即ち、振動により橋梁3が変形しても、空間囲繞壁13の下側端面が板状部材11の上面に接触することがないように設定されている。
従って、橋梁3から発生する防音対象とする音である低周波音が隙間から放出され、防音装置10の低周波音の防音機能が低下するから、図5に示すように、ゴムシート14の幅方向の一端側を空間囲繞壁13の内面に、多端側を板状部材11の上面にそれぞれ貼着して隙間を閉塞することが好ましい。
また、板状部材11はコイルばね12により吊持されていて水平方向に揺れるため、図6に示すように、ワイヤ15の一端側を空間囲繞壁13の内面に連結し、他端側を板状部材11の上面に設けた固定具16に連結することが好ましい。なお、ワイヤ15を橋脚2に連結しても、板状部材11の水平方向の揺れを防止することができる。
前記コイルばね12のばね定数ksは、基本的には板状部材11の質量と、目標固有振動数とによって決定される。しかしながら、本発明の形態1のように、橋梁3と板状部材11との間に、空間囲繞壁13により囲まれた囲繞空間が形成されるような場合には、この囲繞空間内の内部空気がばねとしても作用するため、この内部空気のばね力も考慮してばね定数が決定される。
即ち、内部空気の体積弾性率(=1.4e5Pa)をKとおき、そして板状部材11の上面から橋梁3の裏面までの高さがhであるとすると、単位面積当たりの内部空気の平均ばね定数kaは、下記の算式により与えられる。
ka=K/h(N/m
前記板状部材11の固有振動数を評価するときには、コイルばね12のばね定数ksと内部空気の平均ばね定数kaとを考慮して算出する必要がある。即ち、内部空気の平均ばね定数kaと板状部材11の面積Aとの積、Akaが板状部材11の全体に作用する空気ばねのばね定数となる。
一方、コイルばね12の個数がN個であるとすると、コイルばね12全体のばね定数はNksとなる。ここで、AkaとNksとを合わせてkallとおく。板状部材11の質量がMであるとした場合、この板状部材11の上下の1次固有振動数〔(kall/M)1/2〕/2πが防音対象とする尾とである低周波音の振動数よりも低振動数になるように設定する。なお、全ばね定数は、通常、弾性部材のみで検討すれば良いが、上記のように、囲繞空間内の内部空気がばねとして働くことを考慮するとより良く、空間囲繞壁13が橋梁3または板状部材11に接触し、ばねとして働くことを考慮するとさらに良い。また、質量は板状部材11の質量からなるが、空間囲繞壁13が板状部材11に取付けられている場合には、空間囲繞壁13の質量も加えることが好ましい。
即ち、この板状部材11の上下の1次固有振動数〔(kall/M)1/2〕/2πが低周波音の振動数から離れれば離れるほど、振動低減効果が増大する。前記板状部材11自体の低周波音の遮断性能は、この板状部材11自体の重量が重ければ重いほど、また曲げ剛性が高いほど向上する。従って、実現できる範囲で大重量、かつ高剛性にすることが好ましい。なお、板状部材11の上面から橋梁3の裏面までの高さhが小さくなると、空気のばね定数kaの影響が大きくなり、コイルばね12のばね定数ksを小さくしても、目標振動数まで下げられない場合がある。そのような場合には、板状部材11の上面から橋梁3の裏面までの高さhを大きくすれば良い。
ところで、制振鋼板や制振形材のように減衰性能を有する素材を用いて板状部材11を製造すると、可聴域の騒音の低減も可能になるという効果を得ることができる。即ち、可聴域の騒音は、本発明が問題としている低周波音よりも振動数が高く、音波によって板状部材11に固有振動数の高い高次モードの振動が発生し、この振動により橋梁3の下部に可聴域の音波が伝わる。しかしながら、減衰性能を有する板状部材を用いることにより、板状部材の高次モードの振動が制振され、可聴域の音の橋梁3の下部方向への伝達が遮断されるからである。
以下、本発明の形態1に係る橋梁1の防音装置10の作用態様を説明する。即ち、本発明の形態1に係る橋梁の防音装置10では、上記のとおり、橋梁3に一端側を固着した複数のコイルばね12により板状部材11を吊持すると共に、この板状部材11の固有振動数が、低周波音の発生が問題となる橋梁3の固有振動数よりも十分低くなるように設定されている。従って、車両の走行により橋梁3が揺れても、防音装置10の板状部材11が振動しない状態を作り出すことができる。このことは、振動に関して橋梁3と縁が切れた板状部材11を、この橋梁3の下側に配置することを意味する。
以下、板状部材11の絶縁状態(但し、ここでいう絶縁状態とは、完全な絶縁状態を意味するものではない)を、図7と8を参照しながら説明する。即ち、この板状部材11の固有振動数よりも橋梁3の振動数がある程度大きくなれば、この板状部材11の振動変位は橋梁3の振動変位よりも小さくなることが分かる。より具体的には、固有振動数を21/2倍以上離せば、板状部材11の減衰性能の如何によらず、板状部材11の振動変位は橋梁3の振動変位より小さくなる。このことから、少なくとも21/2倍以上振動数を離す必要があるといえる。また、板状部材11の上下振動の減衰比が1%の場合、3.3倍以上離せば、板状部材11の振動の振幅は橋梁3の振動の振幅の1/10以下になる。従って、橋梁3が揺れたとしても、この橋梁3の下側に設けられている板状部材11が極めて振動し難い状態になるために、板状部材11から低周波音が放出されるようなことがない。
また、橋梁3と板状部材11の間から低周波音が漏れるが、この低周波音は橋梁3と板状部材11との間に形成される空間を囲繞する、板状部材11の長手方向の一対の第1壁部材13aおよび幅方向の一対の第2壁部材13bからなる空間囲繞壁13によって遮られる。ところで、空間囲繞壁13を橋梁3と板状部材11との両方に接続すると、橋梁3の振動が空間囲繞壁13を介して板状部材11に伝わり、この板状部材11が振動することになる。しかしながら、この空間囲繞壁13は、上記のとおり、橋梁3の下側に設けられていて、板状部材11と接合されていないため、橋梁3の振動が板状部材11に伝わり難くなる。
即ち、本発明の形態1に係る橋梁1の防音装置10によれば、従来例1のように板状部材を橋梁に強固に固定する必要がなく、従来例2のように多数の大掛かりなスピーカを用いる必要がない。また、従来例3のように橋梁に過大な負荷が作用することもなく、さらに従来例4のように各振動数にチューニングされた大重量の動吸振器を別々に搭載する必要もない。従って、本発明の形態1に係る橋梁の防音装置10は、従来例よりも安価であり、しかも橋梁に対する重力負荷が大きくなるようなことがない。
本発明の形態2に係る橋梁の防音装置を、添付図面を参照しながら説明する。図9は橋梁の曲げ1次モードの剛性部材の配設位置説明図、図10は橋梁の曲げ2次モードの剛性部材の配設位置説明図、図11は橋梁の曲げ3次モードの剛性部材の配設位置説明図、また図12は剛性部材を橋脚に取付けた場合の構成説明図である。但し、本発明の形態2に係る橋梁の防音装置の構成が、上記形態1に係る橋梁の防音装置と相違するところは、コイルばねの一部を剛性部材に変えた点にあって、それ以外は、上記形態1に係る橋梁の防音装置と同構成であるから、同一のものに同一符号を付して、主として相違する点について説明する。
本発明の形態2に係る橋梁の防音装置10の場合には、板状部材11は複数のコイルばね12と、低周波音を発生させる橋梁3の曲げ1次モードにおける橋梁3の振動モードの節位置、つまり橋梁3の長手方向の両端部に配設した剛性部材17によって支持されている。このように、橋梁3のこのような箇所で板状部材11を吊持する場合には、コイルばね12を用いる必要がなく、剛性部材17を用いても橋梁3から板状部材11に振動を伝わり難くすることができる。
従って、板状部材11は橋梁3と絶縁状態になるから、本発明の形態2に係る橋梁の防音装置10によれば、上記形態1に係る橋梁の防音装置10と同等の効果を得ることができる。また、上記形態1の場合のように、板状部材11をコイルばね12だけで吊持する場合には、板状部材11の全体が上下水平方向に揺れ易いため、地震発生時や強風時に問題となる可能性がある。しかしながら、本発明の形態2に係る橋梁の防音装置10によれば、上記のとおり、板状部材11は剛性部材17によっても支持されているため、地震発生時や強風時における板状部材11の揺れを小さくすることができるという点において、上記形態1の場合よりも優れている。
ところで、防音対象とする音である低周波音が橋梁3の曲げ2次モードに起因する場合には、板状部材11の設定周波数が1次モードに近くなる場合がある。このような場合には、板状部材11が橋梁3の1次モードの場合における振動よりも大きく振動して、新たな低周波音の発生源になる可能性がある。その場合、図10に示すように、橋梁3の両端部以外に、曲げ2次モードの節位置である、橋梁3の長手方向の中央部の一個所に剛性部材17の一端を固着し、この剛性部材17の他端側を板状部材11に固着することによって、曲げ1次モードの応答を抑制することができる。勿論、防音対象とする音である低周波音が橋梁3の曲げ3次モードに起因する場合にあっても、上記と同様の手段、つまり図11に示すように、橋梁3の両端部と、橋梁3を長手方向に3等分する位置の二個所のそれぞれに固着した剛性部材17を板状部材11に固着すれば良い。
上記のとおり、何れの曲げモードを対象にした場合にあっても、橋梁3の両端部に剛性部材17が取付けられているが、これら剛性部材17は必ずしも橋梁3に取付ける必要がない。例えば、図12に示すように、板状部材11を延長すると共に、この延長部分を剛性部材とし、この剛性部材の端部を橋脚2に固着して、板状部材11を拘束するようにしても良い。
本発明の形態3に係る橋梁の防音装置を、添付図面を参照しながら説明する。図13は本発明の形態3に係る防音装置を備えた橋梁の模式的側面断面構成図、図14,15は空間囲繞壁内の内部空間の気柱共鳴モードを圧力モードで図化した説明図、図16は空間囲繞壁の一対の第1壁部材をずらして区画壁として活用する場合の模式的側面断面構成図である。なお、本発明の形態3に係る橋梁の防音装置が上記形態1に係る橋梁の脳音装置と相違するところは、区画壁が設けられているか否かの点にあって、それ以外は、上記形態1に係る橋梁の防音装置と同構成であるから、同一のものに同一符号を付して、主として相違する点について説明する。
上記形態1または2のうちの何れの防音装置10の場合にあっても、空間囲繞壁13の内部空間に橋梁3の振動により気柱共鳴が発生し、その圧力変動によって板状部材11が大きく揺れてしまうという可能性がある。板状部材11が大きく揺れるという問題が発生するか否かは、橋梁3の振動モード形状と、気柱共鳴のモード形状との関係によって決まる。そのため、本発明の形態3に係る橋梁の防音装置10では、空間囲繞壁13の一対の第1壁部材13aの間であって、かつ橋梁3の下側に、前記空間囲繞壁13内を区切る第1壁部材13aと平行な2つの区画壁18を設けられている。
前記区画壁18の下端と板状部材11の上面との間には、空間囲繞壁13の場合と同様、振動により橋梁3が変形しても、区画壁18の下側端面が板状部材11の上面に接触することがないよう、または接触することが想定される場合は、その先端部分が変形するように設定されている。なお、この形態3の場合には、区画壁18が橋梁3の長手方向と直交し、空間囲繞壁13内の内部空間を、橋梁3の長手方向に区画する場合だけを例示している。しかしながら、これに限らず、例えば空間囲繞壁13内の内部空間を橋梁3の幅方向に区画する場合であっても同様の効果を得ることができる。なお、質量は板状部材11の質量からなるが、実施の形態1の場合と同様に、空間囲繞壁13や区画壁18が板状部材11に取付けられている場合には、これら空間囲繞壁13や区画壁18の質量も加えることが好ましい。
本発明の形態3に係る橋梁の防音装置10によれば、前記空間囲繞壁13内の内部空間を区切る区画壁18によって、気柱共鳴周波数およびそのモード形状を変えることができる。従って、板状部材11が大きく揺れてしまうというような問題が発生するような恐れがなくなる。
ところで、空間囲繞壁13内の内部空間の気柱共鳴モードは図14,15に示すようになり、その振動数fは、次式で求められる。
f=nV/2L(Hz)
ここで、Vは音速(340m/s)であり、Lは橋梁のスパンの長さであり、nはモード次数(1,2,‥‥‥n)である。
気柱共鳴の1次モードは橋梁3の曲げ2次モードと、気柱共鳴の2次モードは橋梁3の曲げ3次モードと連成し易い。このように、これらモードの振動数が接近する可能性が高い場合には、区画壁を設けて気柱共鳴の周波数を変えることが有効である。また、区画壁を設けなくても、例えば図16に示すように、空間囲繞壁13の一対の第1壁部材13aを相対する側にずらして区画壁として活用することにより、気柱共鳴の周波数を若干変化させることができる。
なお、一般の橋梁の固有振動数は、スパンの長さがLmであるとすると、一次モード、二次モード、三次モードは、概ね一次モード=100/L(Hz)、二次モード=400/L(Hz)、および三次モード=900/L(Hz)となるから、気柱共鳴の周波数と振動数は離れる傾向にある。より具体的には、気柱共鳴の一次モードは170/L(Hz)となり、連成の高い橋梁部の曲げ2次モードとは振動数が離れる。また、気柱共鳴の二次モードは340/L(Hz)となり、橋梁の橋桁の二次モード(=400/L(Hz))に近いが、これらのモードはモード形状から連成するようなことがない。つまり、この形態3に係る防音装置10は、橋梁3の固有振動数が上記概略周波数と大きく相違する場合に有効となるものである。
本発明の形態4に係る橋梁の防音装置を、添付図面を参照しながら説明する。図17は本発明の形態4に係る防音装置を備えた橋梁の模式的側面断面構成図、図18は動吸振器の模式的構成説明図、図19は他の動吸振器の模式的構成説明図である。また、図20,21,22は、横軸に橋梁の振動周波数を採り、縦軸に橋梁の振動振幅に対する板状部材の応答振幅の比を採って示す防音装置の作用説明図である。より詳しくは、図20は板状部材に動吸振器が設けられていない場合の防音装置の作用説明図であり、図21は板状部材に0.1%減衰比の動吸振器が設けられている場合の防音装置の作用説明図であり、図22は板状部材に2%減衰比の動吸振器が設けられている場合の防音装置の作用説明図である。ところで、本発明の形態4に係る橋梁の防音装置の構成が、上記形態1に係る橋梁の防音装置と相違するところは、板状部材に動吸振器が設けられている点にあって、それ以外は、上記形態1に係る橋梁の防音装置と同構成であるから、同一のものに同一符号を付して、主として相違する点について説明する。なお、図21,22において実線は、板状部材に動吸振器が設けられていない場合を示すものである。
本発明の形態4に係る橋梁の防音装置10の場合には、図17に示すように、この防音装置10の板状部材11の上面であって、かつ板状部材11の長手方向のコイルばね12とコイルばね12との間のそれぞれに、後述する構成になる動吸振器19が設けられている。この図17においては、図示省略しているが、板状部材11の幅方向にも所定の間隔で複数の動吸振器19が設けられている。この動吸振器19は、図18に示すように、板状部材11の上面に設けられるばね19aと、ダンパ19bと、これらばね19aとダンパ19bとの上に設けられた質量19cとからなる、ばね−ダンパ−質量系の構成になるものである。
これら動吸振器19の設置間隔は、動吸振器設置部分の板状部材11の上下変動を拘束した場合の、板状部材11の曲げ変形の固有振動数が、対象とする低周波音の振動数よりも十分高くなるように設定する。なお、本形態4に係る橋梁の防音装置10では、上記のとおり、ばね−ダンパ−質量系の構成になる動吸振器19を用いた。しかしながら、このような形態に限らず、例えば、図19に示すように、動吸振器19は、板状部材11の上面に設けられる台座19dと、長手方向の中央部が前記台座19dの上に固着された板ばね19eと、この板ばね19eの両端に固着された質量19fとからなる、ばね−質量系の構成になるものであっても良い。
以下、上記構成になる橋梁の防音装置10の作用態様を、図20乃至22を順次参照しながら説明する。即ち、板状部材11に動吸振器19が設けられていない場合は、図20に示すように、板状部材11の固有振動数が対象振動数から十分離れると橋梁3から板状部材11への振動伝達率が低下する。
また、板状部材11に0.1%減衰比の動吸振器19が設けられている場合は、図21において破線で示すように、橋梁3から板状部材11への対象振動数に対する応答倍率がさらに小さくなることが分かる。但し、動吸振器19の固有振動数よりもやや高い周波数位置に、新たなピーク周波数が生じている。
また、板状部材11に2%減衰比の動吸振器19が設けられている場合は、図22において点線で示すように、図20に示す板状部材11に動吸振器19が設けられていない場合に比較して、動吸振器19の固有振動数における応答倍率が増加しているが、新たなピーク周波数の応答倍率は図21に示す、板状部材11に0.1%減衰比の動吸振器19が設けられている場合よりも低下している。
しかしながら、車両が走行しているときには、橋梁3の固有振動数周辺の周波数でも橋梁3が振動しているために、この動吸振器による新たなピーク周波数での振動も励起されて、動吸振器により逆に板状部材11が揺れる可能性が生じる。従って、板状部材11に設ける動吸振器は、本形態4に係る橋梁の防音装置10のように、減衰機能を備えているものの方が、より安全であるということができる。
本発明の形態5に係る橋梁の防音装置を、添付図面を参照しながら説明する。図23は横軸に橋梁の振動周波数を採り、また縦軸に橋梁の振動振幅に対する板状部材の応答振幅の比を採って示す防音装置の作用説明図であって、板状部材に0.1%減衰比の動吸振器が設けられている場合の防音装置の作用説明図である。なお、本発明の形態5に係る橋梁の防音装置は、上記形態4に係る橋梁の防音装置と全く動構成であるから、構成に係る説明は割愛する。
動吸振器によれば、設定周波数の振動を効率良く制振することが可能であるが、上記のとおり、動吸振器に設定周波数よりも若干周波数が高い新たな固有振動数(ピーク)が生じるという問題がある。減衰比が小さい動吸振器の場合には、特にこの固有振動数が励起され易くなる。動吸振器の固有振動数を、対象とする低周波音の振動数よりも低い振動数に設定すると、動吸振器により新たにできる固有振動数と、低周波音の振動数とが一致して、板状部材11が大きく揺れ(共振)てしまうという問題がある。
しかしながら、本発明の形態5に係る橋梁の防音装置の場合には、動吸振器の固有振動数が、防音対象である低周波音の振動数より若干高い振動数に設定されている。より具体的には、動吸振器の固有振動数を低周波音の振動数よりも数%程度高い振動数に設定するのが好ましい。これにより、図23に示すように、対象振動数と動吸振器によるピーク振動数(新たな固有振動数)とを離すことができ、ピーク振動数が励起される可能性が低下し、板状部材が大きく揺れ(共振)るのを回避することができる。
以下、橋梁および防音装置の模型を用いて実施した本発明の実施例を、添付図面を参照しながら説明する。図24は橋梁模型の側面構成説明図、図25は図24のC矢視図、図26は防音装置模型を付設した橋梁模型の側面構成説明図、図27は図26のD矢視図である。また、図28は横軸に橋梁の振動周波数(Hz)を採り、縦軸に上側から順に、床版の加速度(m/S/N)、橋桁下近接音(Pa/N)、地上音(Pa/N)を採って示す図である。なお、図28における実線は防音装置が設けられていない場合を、破線は形態1に対応する構成の防音装置が設けられている場合を、一点鎖線は形態4に対応する構成の防音装置が設けられている場合をそれぞれ示している。なお、橋梁の約300Hzの振動数が、この橋梁の曲げ2次モードの場合で、本実施例が防音対象とする低周波音の振動数である。
橋梁模型の寸法は、橋脚の基端からこの橋脚の頂部に横架された桁受梁までの高さ寸法は750mm、床版と橋桁とからなる橋梁のスパン寸法は1200mm、橋梁の幅寸法は750mmである。また、橋桁は4本で、これら橋桁の間隔は187mmであって、この橋梁模型の縮尺は実橋梁の1/20に設定されているため、音の周波数は実橋梁の場合の20倍になる。また、床版の上面より100mm下方位置に、橋桁に固着したコイルばねにより板状部材(固有振動数は約50Hzに設定されている)を水平に支持すると共に、床版に前記板状部材と同じ部材を長手方向一対、幅方向に一対設置して空間囲繞壁を構成した。この空間囲繞壁と板状部材との間の隙間は5mmで、この隙間を、厚さ0.5mmのゴムシートで塞いだ。勿論、この橋梁模型は、その質量や剛性などに関しても、実橋梁との相似条件を満足するように製造されている。
そして、橋梁模型の橋梁を加振装置により種々の振動数で加振して、図24に示すように、床版の下面より133mm下方位置における橋桁下近接音、および橋脚設置面における地上音を騒音計により測定した。次いで、ばね−質量系の構成になる14台の、図19で示した構成になる動吸振器を板状部材の上に均等に分散させて配設して、上記と同様に、橋桁下近接音、および地上音を騒音計により測定した。以上の説明から良く理解されるように、橋梁模型を用いて行った実施例は、上記形態1および形態2に対応する形態の場合に対してである。なお、前記動吸振器の14台分の質量部の合計は、板状部材の重量の約10%になるように設定されている。
図28によれば、破線で示す形態1に対応する構成の防音装置が設けられている場合には、橋桁下近接音、および地上音とも、防音装置が設けられていない場合よりもかなり低下しており、低周波音の低減に対して本発明の形態1に係る防音装置が優れていることが良く分かる。また、一点鎖線で示す形態4に対応する構成の防音装置が設けられている場合は、橋桁下近接音、および地上音とも、形態1に対応する構成の防音装置の場合よりもさらに低下しており、より優れていることが良く分かる。さらに、本発明の形態1,2に対応する構成の何れも、橋梁の広範囲の振動周波数領域において、防音装置が設けられていない場合に比較して、音の低減に対して効果があることが分かる。
本発明の形態1に係り、防音装置が設けられている橋梁の模式的側面断面構成図である。 図1のA−A線断面図である。 本発明の形態1に係り、図1に対応する図であって、空間囲繞壁の取付け構成が相違する場合を示す模式的側面断面構成図である。 図3のB−B線断面図である。 本発明の形態1に係り、空間囲繞壁の端面と板状部材の下面との間の隙間を閉塞する隙間閉塞構成の説明図である。 本発明の形態1に係り、板状部材の水平方向揺れ防止構成の説明図である。 板状部材の絶縁状態を、縦軸に振動変位比(板状部材の振動変位/橋梁の振動変位)を採り、また横軸に振動数比(橋梁の振動数/板状部材の固有振動数)を採って示す、橋梁部から板状部材への振動伝達特性説明図である。 板状部材への振動伝達説明図である。 本発明の形態2に係り、橋梁の曲げ1次モードの剛性部材の配設位置説明図である。 本発明の形態2に係り、橋梁の曲げ2次モードの剛性部材の配設位置説明図である。 本発明の形態2に係り、橋梁の曲げ3次モードの剛性部材の配設位置説明図である。 本発明の形態2に係り、剛性部材を橋脚に取付けた場合の構成説明図である。 本発明の形態3に係り、防音装置を備えた橋梁の模式的側面断面構成図である。 本発明の形態3に係り、空間囲繞壁内の内部空間の気柱共鳴モード(1次モード)を圧力モードで図化した説明図である。 本発明の形態3に係り、空間囲繞壁内の内部空間の気柱共鳴モード(2次モード)を圧力モードで図化した説明図である。 本発明の形態3に係り、空間囲繞壁の一対の第1壁部材をずらして区画壁として活用する場合の模式的側面断面構成図である。 本発明の形態4に係り、防音装置を備えた橋梁の模式的側面断面構成図である。 本発明の形態4に係り、動吸振器の模式的構成説明図である。 本発明の形態4に係り、動吸振器の模式的構成説明図である。 本発明の形態4に係り、板状部材に動吸振器が設けられていない場合の防音装置の作用説明図である。 本発明の形態4に係り、板状部材に0.1%減衰比の動吸振器が設けられている場合の防音装置の作用説明図である。 本発明の形態4に係り、板状部材に2%減衰比の動吸振器が設けられている場合の防音装置の作用説明図である。 本発明の形態5に係り、横軸に橋梁部の振動周波数を採り、また縦軸に橋梁部の振動振幅に対する板状部材の応答振幅の比を採って示す防音装置の作用説明図であって、板状部材に0.1%減衰比の動吸振器が設けられている場合の防音装置の作用説明図である。 本発明の実施例に係り、橋梁模型の側面構成説明図である。 本発明の実施例に係り、図24のC矢視図である。 本発明の実施例に係り、防音装置模型を付設した橋梁模型の側面構成説明図である。 本発明の実施例に係り、図26のD矢視図である。 本発明の実施例に係り、横軸に橋梁の振動周波数(Hz)を採り、縦軸に上側から順に、床版の加速度(m/S/N)、橋桁下近接音(Pa/N)、地上音(Pa/N)を採って示す図である。 従来例1に係り、橋梁の縦断断面図である。
符号の説明
1…道路橋
2…橋脚,2a…支承
3…橋梁
10…防音装置
11…板状部材
12…コイルばね
13…空間囲繞壁,13a…第1壁部材,13b…第2壁部材
14…ゴムシート
15…ワイヤ
16…固定具
17…剛性部材
18…区画壁
19…動吸振器、19a…ばね,19b…ダンパ,19c…質量,19d…台座

Claims (7)

  1. 橋梁の下部に配置され、この橋梁に一端側が固定された複数の弾性部材により吊持される板状部材と、前記橋梁または板状部材に設けられ、これら橋梁と板状部材との間に形成される空間を囲繞する空間囲繞壁とからなることを特徴とする橋梁の防音装置。
  2. 前記板状部材は、前記橋梁の下面のほぼ全面を覆うように設けられてなることを特徴とする請求項1に記載の橋梁の防音装置。
  3. 前記複数の弾性部材の全ばね定数と前記板状部材の質量からなる上下方向の振動数が、防音対象とする音の振動数よりも低くなるように設定されてなることを特徴とする請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載の橋梁の防音装置。
  4. 前記板状部材は、前記防音対象とする音の周波数による橋梁の振動モードの節の近傍に設けられた剛性部材で橋梁と連結されてなることを特徴とする請求項1乃至3のうちの何れか一つの項に記載の橋梁の防音装置。
  5. 前記空間囲繞壁で囲繞された空間を区切る区画壁を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のうちの何れか一つの項に記載の橋梁の防音装置。
  6. 前記板状部材に動吸振器を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のうちの何れか一つの項に記載の橋梁の防音装置。
  7. 前記動吸振器の固有振動数を、前記防音対象とする音の振動数以上に設定したことを特徴とする請求項6に記載の橋梁の防音装置。
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