JP4273037B2 - Pc橋におけるpc外ケーブルの制振装置 - Google Patents
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Description
前者のRC橋は主として比較的橋長の短い橋梁に採用されている。
一方後者のPC橋は、PCケーブルを軸方向に緊張し、その緊張力によってコンクリートの橋桁に圧縮方向の力を付与していることから高い耐荷力が得られ、主として橋長の長い橋梁に採用されている。
この種のPC橋にあっては、従来、PCケーブルをコンクリート内部に埋設した形態の内ケーブル方式が採用されて来た。
これに対して近年、PCケーブルの大部分若しくは全体をコンクリート外に露出する状態で緊張状態に配設して成る外ケーブル方式のPC橋が採用される傾向にある。
即ちこの外ケーブル方式のPC橋では、コンクリートボックスの内側に露出している、即ちコンクリート断面の外側に露出しているPC外ケーブルが1スパンごとに非拘束の、いわばフリーの状態にあるため、交通振動等によってコンクリートの橋桁に振動が加わると、その振動がPC外ケーブルにも伝達されてしまって、PC外ケーブルがコンクリートの橋桁と共振を起してしまうことがあるといった問題がある。
内ケーブル方式のPC橋の場合にはPCケーブルがコンクリート内部に埋り込んでいるため、PCケーブルが単独で振動を起すといったことは生じないが、外ケーブル方式のPC橋の場合、フリー状態にあるPC外ケーブルが単独で振動を起してしまうのである。
詳しくは、PC外ケーブルが振幅0.2mm程度の、また周波数が10〜20Hz程度の低い周波数の振動共振を起し、これが低いうなり音のような音(騒音)を発生させてしまう。
更にPC外ケーブルがこのような振動を生ずると、その振動が再び橋桁の方に戻って橋桁がいつまでも揺れ続けるといった問題の外、それらの振動がPC外ケーブルないし橋梁の耐久性に悪影響を及ぼす問題を生ずる。
この制振本体では、PC外ケーブルが振動するとこれに伴って当り部が変位し振動を生ずる。
一方マス部材は当り部に対して振動方向に遊動状態にあるため、即ち当り部に対し同方向に独立して自由に移動するため、当り部の振動時にその当り部に衝突し、当り部の振動即ちPC外ケーブルの振動を打ち消すように作用する。
そしてこれによるエネルギー吸収によってPC外ケーブルの振動エネルギーが減衰し効果高く制振される。
しかるに本発明における制振装置では、当り部とマス部材との少なくとも一方の当り面にゴム,樹脂等の弾性体が形成してあるため、衝突時に大きな異音が発生する問題がないとともに、衝突時における滑り摩擦,弾性体の粘性挙動により振動エネルギーが熱に変換・吸収され、即ち弾性体による制振作用が働いてPC外ケーブルの振動減衰が助長される。
また制振本体全体の所要スペースも小さくコンパクトであって、尚且つPC外ケーブルに対し簡単に装着できるなど種々の特長を有する。
前述したようにPC外ケーブルの振動(軸直角方向即ち上下方向の振動)は、振幅が0.2mm程度の微小振動であり、しかもその周波数(共振周波数)は10〜20Hz程度の低い周波数である。
上記制振本体が有効に制振効果を発揮するためにはマス部材に対して1.0G以上の加速度がかかる必要がある。
しかるに本発明の制振本体を直接PC外ケーブルに装着した場合、制振本体のマス部材にかかる加速度は1.0Gには達せず、そのため制振本体を直接PC外ケーブルに装着しても十分な制振効果が得られないのである。
ここで加速度増幅手段は、PC外ケーブルと共振して振幅増幅及び加速度増幅し、これを制振本体に作用せしめる。
その結果として、制振本体のマス部材に対しPC外ケーブルの振動に伴って1.0G以上の加速度を作用させることが可能となり、これに基づき制振本体は本来の制振効果を十分に発揮し得て、その制振本体の制振効果によりPC外ケーブルの振動が良好に抑制される。
このように加速度増幅手段として、PC外ケーブルから吊下げたコイルばねを用いた場合、コイルばねがPC外ケーブルと共振を起して制振本体(厳密には制振本体の当り部)をPC外ケーブルよりも大振幅且つ大きい加速度でこれを振動せしめる。
この請求項2によれば制振装置がPC外ケーブルの側方にスペースを取らず、またPC外ケーブルの側方に制振装置を設けた場合のように制振装置のPC外ケーブルに対する取付角度が長期の間にずれてしまって、制振効果が低下するといった不具合を生じない利点を有する。
このようにすることで、容易に制振本体をコイルばね等の加速度増幅手段を介してPC外ケーブルに取付固定することが可能となる。
図1において、10は外ケーブル方式のPC橋で、12はコンクリートの橋桁、14は橋脚である。
16はコンクリートボックス18の内側に露出する状態で配設された、PC鋼線の撚り線から成るPC外ケーブルで軸方向に緊張状態とされている。そしてその緊張力によりコンクリート橋桁12に対して圧縮方向(橋軸方向における圧縮)の力を及ぼしている。
これらの図において22は制振本体で、24はPC外ケーブル16に吊下げられたコイルばね(加速度増幅手段)で、制振本体22はこのコイルばね24を介してPC外ケーブル16に垂直に吊持されている。
各分割体26Aのそれぞれにはフランジ部28が設けられていて、それらフランジ部28においてボルト30により一対の分割体26A,26Aが、PC外ケーブル16を外周面から挟み込む状態で締結されている。
ハウジング32の内側には遊動室34が形成されていて、そこにマス部材(ここでは金属製且つ球状)36が、その外周面をゴム等の弾性体38で被覆された状態で、またハウジング32との間に上下の遊隙S1及び左右の遊隙S2(S2-1+S2-2)を形成する状態で遊動可能に収容されている。
このときマス部材36にはPC外ケーブル16から逆向きに運動エネルギーが与えられ、マス部材36は逆方向に運動を行う。
そしてこの実施形態では、マス部材36が最初の当り面とは逆位置にある当り面に再び衝突してPC外ケーブル16の振動を打ち消すように作用する。
これによりまたその際の滑り摩擦によるエネルギー吸収によって、PC外ケーブル16の振動エネルギーが減衰し、効果高く制振される。
例えば上記実施形態では加速度増幅手段としてコイルばね24を用いているが、本発明においてはかかる加速度増幅手段として他の様々なものを用いることが可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
12 コンクリート橋桁
16 PC外ケーブル
20 制振装置
22 制振本体
24 コイルばね(加速度増幅手段)
32 ハウジング(当り部)
34 遊動室
36 マス部材
38 弾性体
S1,S2,S2-1,S2-2 遊隙
Claims (3)
- PCケーブルを軸方向に緊張状態に配設して成り且つ少なくとも一部の該PCケーブルをコンクリート外に露出する状態に配置した外ケーブル方式のPC橋におけるPC外ケーブルの制振装置であって、
(イ)剛性の当り部と、(ロ)該当り部に対して前記PC外ケーブルの振動方向に遊動状態に設けられ、振動時に該当り部に衝突するマス部材と、(ハ)該当り部とマス部材との間に形成され、該マス部材を前記PC外ケーブルの振動方向に遊動させるための遊隙と、(ニ)それら当り部とマス部材との少なくとも一方の当り面に形成された弾性体と、を有する制振本体を、前記PC外ケーブルの振動加速度を増幅して該制振本体に作用させる加速度増幅手段を介して該PC外ケーブルに装着し、該PC外ケーブルの振動を制振するようになしたことを特徴とするPC橋におけるPC外ケーブルの制振装置。 - 請求項1において、前記加速度増幅手段が前記PC外ケーブルに吊り下げられたコイルばねであることを特徴とするPC橋におけるPC外ケーブルの制振装置。
- 請求項1,2の何れかにおいて、前記制振本体が内部に遊動室を形成する剛性のハウジングを有していて、該ハウジングが前記当り部を構成しており、該遊動室内に前記マス部材が遊動状態に収容されていることを特徴とするPC橋におけるPC外ケーブルの制振装置。
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