JP2009114821A - 建物用制振装置 - Google Patents

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有 笹田
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Abstract

【課題】振動の加速度、振幅や使用環境温度等の影響を受けずに良好な減衰特性を発揮させ、しかも広い周波数帯域にわたって振動を効果的に減衰する。
【解決手段】建物の床部、天井部及び側壁部を構成する構成物のうちの一つとしての主制振対象物4に設置され、主制振対象物4で発生する振動又は該振動により主制振対象物4から発生する音を検知するセンサ1と、主制振対象物4に設置され、主制振対象物4に所定の振動を付与するアクチュエータ2と、センサ1で検知された検知信号が入力され、検知信号に応じて、主制振対象物4で発生した振動と周波数が同じでかつ位相が逆である所定の逆位相振動をアクチュエータ2に発生させる制御器3とを備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は建物用制振装置に関し、詳しくは建物の床部、天井部及び側壁部のうちの少なくとも一つの振動を抑制する建物用制振装置に関する。
住宅等の建物においては、例えば2階の床面に衝撃が入力されると、この床面が振動し、この振動が梁等を介して1階の天井部や側壁部に伝わったり、2階の床部と1階の天井部との間の空気を介して1階の天井部に伝わったりして、1階で振動や音が発生する。
そこで、建物の床部や天井部等に発生する振動を抑制するための制振装置として、所定の質量を有するマスと、所定のバネ特性及び減衰特性を有するゴム弾性体とからなるダイナミックダンパが知られている(例えば、特許文献1参照)。
かかるダイナミックダンパは、マスの質量と、ゴム弾性体のバネ特性及び減衰特性とによって、減衰可能な振動の固有振動数が決まる。現在のダイナミックダンパは、この固有振動数が変動しない固定式のものが主流である。
なお、前記特許文献1には、振動を打ち消す方向に移動する可動マスとすることで、所望の振動領域の振動を減衰させることができる旨の記載がある。しかし、この文献には、マスを移動させるための具体的な手段や、マスが移動することで所望の振動領域の振動を減衰できることの理由等については記載されていない。
特開2007−205152号公報
しかしながら、ダイナミックダンパを構成するゴム弾性体は、そのゴム物性に応じて、振動の加速度、振動の振幅や使用環境温度等によって特性が変わり、その結果ダイナミックダンパの固有振動数が変動してしまう。ただし、この変動率は、ゴム材料の物性に応じて大小がある。このため、例えば重量衝撃音(JIS A 1418)の低減の目的でダイナミックダンパを設置しても、ゴム特性の変化により、その目的を十分に達成できない場合があった。
また、ダイナミックダンパでは、固有振動数が固定されているため、減衰できる振動の周波数帯域が狭いという問題もあった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、振動の加速度、振幅や使用環境温度等の影響を受けずに良好な減衰特性を発揮でき、しかも広い周波数帯域にわたって振動を効果的に減衰することのできる建物用制振装置を提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決する本発明の建物用制振装置は、建物の床部、天井部及び側壁部を構成する構成物のうちの一つに又は該構成物のうちの少なくとも二つにわたって設置されて、該床部、該天井部及び該側壁部のうちの少なくとも一つの振動を抑制する建物用制振装置であって、前記構成物のうちの一つとしての主制振対象物に設置され、該主制振対象物で発生する振動又は該振動により該主制振対象物から発生する音を検知する少なくとも一つのセンサと、前記構成物のうちの少なくとも前記主制振対象物に設置され、少なくとも該主制振対象物に所定の振動を付与する少なくとも一つのアクチュエータと、前記センサで検知された検知信号が入力され、該検知信号に応じて、前記主制振対象物で発生した振動と周波数が同じでかつ位相が逆である所定の逆位相振動を前記アクチュエータに発生させる制御器とを備えていることを特徴とする。
本発明の建物用制振装置では、主制振対象物に例えば衝撃が入力されて、その主制振対象物で振動が発生すると、その振動又はその振動により主制振対象物から発生する音をセンサが検知する。センサで検知された検知信号は制御器に入力される。制御器は、検知信号に応じて、主制振対象物で発生した振動と周波数が同じでかつ位相が逆である所定の逆位相振動をアクチュエータに発生させる。アクチュエータは、この逆位相振動を前記振動が発生した主制振対象物に付与する。こうして衝撃等の入力により主制振対象物に発生した振動は、アクチュエータから逆位相の振動を付与されることで、効果的に抑制される。
そして、本発明の建物用制振装置では、従来の制振装置のようにゴム弾性体を構成要素とするダイナミックダンパを用いていない。このため、本発明の建物用制振装置では、振動の加速度や振幅、あるいは使用環境温度等の影響を受けることがなく、これらの影響によって制振効果が低減するようなことがない。
また、本発明の建物用制振装置では、主制振対象物で発生する振動の周波数が、アクチュエータが発生可能な振動の周波数帯域の範囲内にあれば、常に所望の制振効果を発揮する。このため、アクチュエータが発生可能な振動の周波数帯域を広げることで、減衰できる振動の周波数帯域を広げることができる。
(2)前記(1)の構成において、前記アクチュエータは、前記主制振対象物における振動の腹部に対応する部位に設置されていることが好ましい。
この構成によると、振動が発生した主制振対象物に対して、振動形態における最大振幅部にアクチュエータから逆位相振動を付与することができるので、逆位相振動付与による制振効果を最大限に発揮させることが可能となる。
(3)前記構成(1)又は(2)において、少なくとも第1〜第3の前記アクチュエータを備え、前記主制振対象物における振動モードが一次であるときの一つの一次モード腹部に対応する部位に第1の前記アクチュエータが設置され、かつ該振動モードが二次であるときの二つの二次モード腹部に対応する部位にそれぞれ第2、第3の前記アクチュエータが設置されていることが好ましい。
この構成によると、第1のアクチュエータが主制振対象物における一次モード腹部に対応する部位に設置されているので、主制振対象物で発生する一次モードの振動に対して、振動形態における唯一の最大振幅部にて第1のアクチュエータから逆位相振動を付与させることができ、逆位相振動付与による制振効果を最大限に発揮させることが可能となる。
また、第2、第3のアクチュエータが主制振対象物における二つの二次モード腹部に対応する部位にそれぞれ設置されているので、主制振対象物で発生する二次モードの振動に対して、振動形態における全二つの最大振幅部にてそれぞれ第2、第3のアクチュエータから逆位相振動を付与させることができ、逆位相振動付与による制振効果を最大限に発揮させることが可能となる。
さらに、この構成によると、主制振対象物における三つの三次モード腹部のうちの中央の腹部に対応する部位に第1のアクチュエータが設置され、かつ三次モード腹部のうちの両側の二つの腹部近傍に第2、第3のアクチュエータがそれぞれ設置されることになる。このため、主制振対象物で発生する三次モードの振動に対して、振動形態における中央の最大振幅部にて第1のアクチュエータから逆位相振動を付与させ、かつ振動形態における残りの両側の最大振幅部の近傍にてそれぞれ第2、第3のアクチュエータから逆位相振動を付与させることができ、逆位相振動付与による制振効果を極めて良好に発揮させることが可能となる。
したがって、この構成によると、主制振対象物で発生する一次モード、二次モード及び三次モードのいずれの振動に対しても、逆位相振動付与による制振効果を極めて効果的に発揮させることができる。
なお、第1の主制振対象物における一次モード腹部に対応する部位に設置された第1のアクチュエータは、前述した一次モード腹部及び三次モード腹部の中央の腹部だけでなく、それより高次の奇数モードにおいても中央の腹部に対応する部位に設置されることになる。このため、この構成によると、高次の奇数モードの振動に対してもある程度の逆位相振動付与による制振効果を発揮させることができる。
(4)前記構成(1)1乃至(3)の3のいずれか一つにおいて、複数の前記センサが前記主制振対象物に設置され、各該センサの設置位置は各前記アクチュエータの設置位置にそれぞれ対応していることが好ましい。
この構成によると、センサとアクチュエータ、すなわち振動や音の検知点と逆位相振動の付与点とが1:1の対となって主制振対象物に設置されているので、主制振対象物で発生した振動のより正確な逆位相振動を付与することができる。ただし、所要効果に応じて、センサとアクチュエータとの数の比率を変えることも勿論可能である。
特に、前記構成(2)において、センサの設置位置とアクチュエータの設置位置とをそれぞれ対応させた場合は、振動形態における最大振幅部にて正確に振動を検知し、かつ同最大振幅部にアクチュエータからより正確な逆位相振動を付与することができる。
同様に、前記構成(3)において、センサの設置位置とアクチュエータの設置位置とをそれぞれ対応させた場合は、一次〜三次モードの各腹部又はその近傍にて正確に振動を検知し、かつ、一次〜三次モードの各腹部又はその近傍にアクチュエータからより正確な逆位相振動を付与することができる。
(5)前記構成(1)1乃至(3)の3のいずれか一つにおいて、 前記主制振対象物に設置された前記センサの数は、該主制振対象物に設置された前記アクチュエータの数よりも少ないことが好ましい。
この構成によると、本発明の建物用制振装置で用いるセンサの数を減少させることができるので、コスト面で有利となる。
(6)前記構成(1)乃至(5)のいずれか一つにおいて、前記アクチュエータは、前記主制振対象物以外の前記構成物のうちの少なくとも一つとしての、前記主制振対象物で発生した前記振動が伝わる少なくとも一つの副制振対象物にも設置されていることが好ましい。
この構成では、主制振対象物で発生した振動が伝わることで振動する少なくとも一つの副制振対象物に対してもアクチュエータから逆位相振動が付与される。このため、主制振対象物のみならず、この主制振対象物から振動が伝わる副制振対象物においても振動の発生を抑制することができる。
(7)前記構成(1)乃至(6)において、前記制御器は、前記主制振対象物で発生した振動の振幅に応じて前記逆位相振動の振幅を制御することが好ましい。
この構成によると、主制振対象物で発生した振動の振幅、すなわち振動の大きさに応じて、アクチュエータで発生させる逆位相振動の振幅、すなわち逆位相振動の大きさを大きくしたり、あるいは小さくしたりすることができる。このため、主制振対象物で発生した振動の大きさに応じて、適切な大きさの逆位相振動をアクチュエータから主制振対象物に付与することができるので、主制振対象物で発生した振動をより効果的に減衰させることが可能となる。したがって、例えば床部に衝撃が入力されて床部が振動することにより発生する、振幅の大きな重量衝撃音であっても、あるいは振幅の小さな軽量衝撃音や歩行音であっても効果的に減衰させることができる。
(8)前記構成(1)〜(7)において、前記主制振対象物は前記床部を構成する床構成物の一つであることが好ましい。
この構成によると、床部に衝撃等が入力されても、同床部で発生する振動を効果的に抑制することができる。このため、JIS A 1418−2に規定される重量衝撃音、JIS A 1418−1に規定される軽量衝撃音や、又は歩行者の歩行によって発生する音等を効果的に抑制することが可能となる。
特に、前記構成(3)において、主制振対象物が床部を構成する床構成物の一つである場合は、主に一次〜三次モードの振動によって発生する重量衝撃音を効果的に抑制することができる。
(9)前記構成(8)において、前記床部を構成する前記床構成物は梁であることが好ましい。
この構成によると、床面の下に配設される梁で発生する振動を抑制することができるので、床部で発生する振動を効果的に抑制することが可能となる。
なお、前記梁には大梁及び小梁が含まれる。
また、前記主制振対象物の好ましい他の例として、前記床構成物としての床面を挙げることができる。床面にセンサ及びアクチュエータを設置する場合は、床面の裏にセンサ及びアクチュエータを設置することが好ましい。
(10)前記構成(8)又は(9)において、前記床部は前記建物の上階床部であることが好ましい。
この構成によると、上階床部に衝撃等が入力されても、その床部で発生する振動を抑制することができるとともに、下の階で発生する振動や音を抑制することもできる。
(11)前記構成(10)において、前記副制振対象物は、前記上階床部の一つ下階の下階天井部を構成する下階天井構成物及び該上階床部の一つ下階の下階側壁部を構成する下階側壁構成物のうちの少なくとも一つであることが好ましい。
この構成によると、仮に主制振対象物としての梁等の床構成物で発生した振動を逆位相振動付与によって完全に減衰させることができなかったとしても、この主制振対象物としての梁等の床構成物から振動が伝わった副制振対象物としての下階天井構成物や下階側壁構成物に対して逆位相振動を付与することで、下階天井構成物や下階側壁構成物で発生する振動を抑制することができる。このため、上階床部から伝わる振動によって下階で発生する振動や音をより効果的に抑えることができる。
本発明の建物用制振装置によれば、振動の加速度、振幅や使用環境温度等の影響を受けずに良好な振動の減衰特性を発揮でき、しかも広い周波数帯域にわたって振動を効果的に減衰することができる。
したがって、本発明の建物用制振装置によれば、アクチュエータの作動周波数帯域の設定次第で、振幅や周波数の異なるあらゆる振動に対して、効果的に減衰効果を発揮させることが可能となる。
特に、本発明の建物用制振装置を住宅に適用すれば、床部や天井部等で発生する振動や音を効果的に減衰させることができるので、快適な居室空間の実現が可能となる。
以下、本発明の建物用制振装置の実施形態について詳しく説明する。
本発明の建物用制振装置は、建物の床部、天井部及び側壁部を構成する構成物に設置される。具体的には、床部を構成する床面の裏や梁、天井部を構成する天井壁の裏や天井梁、側壁部を構成する側壁面の裏や側壁梁の他、床部、天井部又は側壁部を構成する柱の裏や、床面と天井壁との間に配設されて床部又は天井部を構成する中間プレート等に設置することができる。
なお、これらの構成物の材質は特に限定されず、鉄、木やコンクリート等のいずれであってもよい。
本発明の建物用制振装置は、建物の床部、天井部及び側壁部を構成する構成物のうちの一つに設置してもよいし、あるいは該構成物のうちの少なくとも二つにわたって設置してもよい。
具体的には、本発明の建物用制振装置を、床部、天井部及び側壁部を構成する構成物のうちの一つに設置する場合は、本発明の建物用制振装置を構成する構成要素の全てを、例えば、床部を構成する構成物の一つとしての梁に設置したり、床部を構成する構成物の他の一つの床面に設置したり、あるいは天井部を構成する構成物の一つの天井壁に設置したりすることができる。
一方、本発明の建物用制振装置を、床部、天井部及び側壁部を構成する構成物のうちの少なくとも二つにわたって設置する場合は、例えば、本発明の建物用制振装置を構成する構成要素のうちのセンサ及びアクチュエータを、床部を構成する構成物の一つとしての床面又は梁に設置し、かつ残りの構成要素の制御器を、床部を構成する他の構成物としての柱に設置したり、あるいは本発明の建物用制振装置を構成する構成要素のうちのセンサ及び制御器並びにアクチュエータの一部を、床部を構成する構成物の一つとしての床面又は梁に設置し、かつ残りのアクチュエータの一部を、天井部を構成する天井壁に設置するとともに残りのアクチュエータを、側壁部を構成する側壁に設置したりすることができる。なお、本発明の建物用制振装置を、床部、天井部及び側壁部を構成する構成物のうちの少なくとも二つにわたって設置する場合は、いずれの場合もセンサと少なくとも一つのアクチュエータとを同一の構成物(主制振対象物)に設置する。
さらに、本発明の建物用制振装置を複数個準備し、床部、天井部及び側壁部を構成する構成物の複数にそれぞれ本発明の建物用制振装置を設置することも勿論可能である。
次に、本発明の建物用制振装置の基本的構成及び原理を、図1の模式図及び図2のブロック図を参照しつつ説明する。
本発明の建物用制振装置は、センサ1と、アクチュエータ2と、制御器3とを備えている。
センサ1は、建物の床部、天井部及び側壁部を構成する構成物のうちの一つとしての主制振対象物4に設置される。主制振対象物4としては、前述したように、床面、梁、天井壁、側壁や柱等とすることができる。
センサ1は、主制振対象物4で発生する振動又は該振動により主制振対象物4から発生する音を検知する。センサ1としては、所定の感度で振動又は音を検知することができるものであれば特に限定されない。センサ1の好ましい具体例としては、振動を検知するものとして圧電素子を挙げることができ、音を検知するものとしてマイクを挙げることができる。
アクチュエータ2は、センサ1が設置された主制振対象物4に設置される。なお、アクチュエータ2を複数設ける場合は、主制振対象物4にアクチュエータ2を設けるとともに、この主制振対象物4から振動が伝達する前記構成物の少なくとも一つとしての副制振対象物にもアクチュエータ2を設置してもよい。
アクチュエータ2は、主制振対象物4(副制振対象物にもアクチュエータ2を設置した場合は主制振対象物4及び副制振対象物)に所定の逆位相振動を付与する。アクチュエータ2としては、主制振対象物4で発生する主な振動の周波数帯域を含む周波数帯域の振動を発生させうる振動発生器であれば、特に限定されない。
また、アクチュエータ2としては、ある範囲の周波数帯域の振動を発生させうる振動発生器と、他のある範囲の周波数帯域の振動を発生させうる他の振動発生器というように、複数種類の振動発生器を用いてもよい。これら複数種類の振動発生器は全て同一箇所に設置してもよいし、それぞれ異なる箇所に設置してもよい。
制御器3には、センサ1で検知された検知信号が入力される。制御器3は、この検知信号に応じて、主制振対象物4で発生した振動と周波数が同じでかつ位相が逆である所定の逆位相振動をアクチュエータ2に発生させうるものであれば、特に限定されない。制御器3は、例えば、位相変更の電気回路としての位相反転回路(ANC(Active Noise Canceller)回路等)31と、信号増幅の電気回路としての増幅回路32とから構成することができる。
かかる構成を有する本発明の建物用制振装置では、主制振対象物4に例えば衝撃が入力されて、その主制振対象物4で振動が発生すると、その振動又はその振動により主制振対象物4から発生する音をセンサ1が検知する。センサ1で検知された検知信号は制御器3に入力される。制御器3においては、検知信号に応じて、主制振対象物4で発生した振動と周波数が同じでかつ位相が逆である所定の逆位相振動を発生させるための電気信号が位相反転回路31で発生し、その電気信号が増幅回路32で増幅される。そして、その増幅された電気信号が制御器3からアクチュエータ2に入力される。アクチュエータ2は、この電気信号を受けて、所定の逆位相振動を前記振動が発生した主制振対象物4に付与する。こうして衝撃等の入力により主制振対象物4に発生した振動は、アクチュエータ2から逆位相の振動を付与されることで、効果的に抑制される。
次に、図3に基づき、センサ1及びアクチュエータ2の好適な配置パターンについて説明する。
制振効果を高めるためには、振動形態における最大振幅部、すなわち振動モードの腹部に対応する部位にアクチュエータ2を設置することが好ましい。つまり、一次モードの振動を確実に抑制するために、主制振対象物4における振動モードが一次であるときの一つの一次モード腹部に対応する部位にアクチュエータ2を設置することが好ましい。なお、一次モード腹部は、主制振対象物4の中央の部位となる。また、二次モードの振動を確実に抑制するために、振動モードが二次であるときの二つの二次モード腹部に対応する部位にそれぞれアクチュエータ2を設置することが好ましい。なお、二つの二次モード腹部は、主制振対象物4の一端から1/4の部位と、該一端から3/4の部位となる。さらに、三次モードの振動を確実に抑制するために、振動モードが三次であるときの三つの三次モード腹部に対応する部位にそれぞれアクチュエータ2を設置することが好ましい。なお、三つの三次モード腹部は、主制振対象物4の一端から1/6の部位と、該一端から1/2の部位と、該一端から5/6の部位となる。同様に、四次モードの振動を確実に抑制するために、振動モードが四次であるときの四つの四次モード腹部に対応する部位にそれぞれアクチュエータ2を設置することが好ましい。なお、四つの四次モード腹部は、主制振対象物4の一端から1/8の部位と、該一端から3/8の部位と、該一端から5/8の部位と、該一端から7/8の部位となる。以降、五次モード、六次モード、…と振動モードが高次となっても同様に、それぞれの腹部にアクチュエータ2を設置することが好ましい。
また、建物の床部、天井部及び側壁部を構成する構成物の一つにおいては、種々の周波数帯域の振動が発生する。これらの振動のうち、特に衝撃音発生として問題となるのは、一次〜三次モードの振動を主要因とする重量衝撃音である。
一方、コスト面等を考慮すれば、センサ1及びアクチュエータ2の数は少ない方がいい。
そこで、なるべく少ない数のアクチュエータ2によって、一次〜三次モードの振動を効果的に抑制するために、図3に示されるように、主制振対象物4における振動モードが一次であるときの一つの一次モード腹部に対応する部位に第1のアクチュエータ2aを設置し、かつ該振動モードが二次であるときの二つの二次モード腹部に対応する部位にそれぞれ第2、第3のアクチュエータ2b、2cを設置することが好ましい。すなわち、主制振対象物4の中央(一端から1/2の部位)に第1のアクチュエータ2aを設置し、主制振対象物4の該一端から1/4の部位に第2のアクチュエータ2bを設置し、かつ主制振対象物4の該一端から3/4の部位に第3のアクチュエータ2cを設置することが好ましい。こうすることで、第1のアクチュエータ2aが、主制振対象物4で発生する一次モードの振動に対して、振動形態における唯一の最大振幅部にて逆位相振動を付与する。また、第2、第3のアクチュエータ2b、2cが、主制振対象物4で発生する二次モードの振動に対して、振動形態における全二つの最大振幅部にてそれぞれ逆位相振動を付与する。さらに、第1のアクチュエータ2aが、主制振対象物4で発生する三次モードの振動に対して、振動形態における中央の最大振幅部にて逆位相振動を付与し、かつ第2、第3のアクチュエータ2b、2cが、振動形態における残りの両側の最大振幅部の近傍にてそれぞれ逆位相振動を付与する。したがって、この構成によると、主制振対象物4で発生する一次モード、二次モード及び三次モードのいずれの振動に対しても、逆位相振動付与による制振効果を極めて効果的に発揮させることができる。
さらに、図3に示されるように、主制振対象物4においてセンサ1の設置位置とアクチュエータ2の設置位置とをそれぞれ対応させることが好ましく、特に一次モード腹部及び二次モード腹部の全ての腹部にセンサ1とアクチュエータ2とをそれぞれ設置することが好ましい。こうすることで、一次〜三次モードの各腹部又はその近傍にてセンサ1で正確に振動を検知し、かつ、一次〜三次モードの各腹部又はその近傍にアクチュエータ2からより正確な逆位相振動を付与することができる。
ただし、主制振対象物4に設置するセンサ1の数は、主制振対象物4に設置されるアクチュエータ2の数よりも少なくすることもできる。例えば、図4に示されるように、主制振対象物4に設置されるアクチュエータの数を2個又は3個とし、この主制振対象物に設置されるセンサの数を1個とすることもできる。この場合、主制振対象物4で主に発生する振動等をセンサ1により高感度に検知できる場所を狙って、センサ1を設置することが好ましい。こうすることで、減衰効果を有効に発揮させつつ、センサ1の数を減らして低コスト化を図ることが可能となる。
以下、本発明の建物用制振装置を住宅に適用した具体例を好適な実施形態として説明する。なお、説明する実施形態は一実施形態にすぎず、本発明の建物用制振装置は、下記実施形態に限定されるものではない。本発明の建物用制振装置は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
(実施形態1)
図5及び図6に示される本実施形態の建物用制振装置10は、住宅の2階の床部20の下に設置されている。なお、この住宅は、2階の床部20と、1階の天井部30と、1階の側壁部40等とを備えている。
この建物用制振装置10は、23個のセンサ1よりなるセンサ群と、23個のアクチュエータ2よりなる主アクチュエータ群と、1個の制御器3とを備えている。なお、これらのセンサ1及びアクチュエータ2の数は、梁を構成する小梁の数等によって適宜に設定することができる。
床部20は、床面21と、床面21の下に配設された梁23等から構成されている。梁23は、鉄骨よりなり、梁23の構成を模式的に説明する図6の平面図に示されるように、外枠をなす4辺よりなる大梁231と、梁23の長手方向(床面21の長手方向に一致)に延びて対向する一対の長辺同士を連結する10個の小梁232とから構成されている。これら10個の小梁232は、等間隔で並列されている。なお、説明の便宜上、図6においては、10個の小梁232のうち、梁23の長手方向一端側(図6の上側)の端の小梁232を232aとして示し、残りの9個の小梁232のうち、両端の小梁232をそれぞれ232b、232bとして示し、残りの7個の小梁232を232cとして示す。
そして、2個の小梁232bには、小梁232bの中央(小梁232bの一端(図6に示される小梁232bの左端)から1/2の位置)にセンサ1及びアクチュエータ2が設置されている。また、7個の小梁232cにはいずれも、小梁232cの一端(図6に示される小梁232cの左端)から1/4の位置と、該一端から1/2の位置と、該一端から3/4の位置にそれぞれセンサ1及びアクチュエータ2が設置されている。小梁232aには、センサ1及びアクチュエータ2が設置されていない。
なお、本実施形態においては、2個の小梁232b及び7個の小梁232cのそれぞれが主制振対象物となる。
また、制御器3は、大梁231の一つの短辺(図6の上側の短辺)の内側に設置されている。この制御器3は、全てのセンサ1からの検知信号が入力される。そして、各検知信号に応じて、各センサ1にそれぞれ対応する(各センサ1と同じ位置に設置されている)各アクチュエータ2に逆位相振動を発生させる。
なお、本実施形態では、小梁232bと小梁232cとで設置するセンサ1及びアクチュエータ2の数を変え、小梁232aにはセンサ1及びアクチュエータ2を設置しない例を示したが、これはあくまでも一例である。
したがって、本実施形態の建物用制振装置によれば、例えば床面21に衝撃が入力されて各小梁232cで発生した一次〜三次モードの振動を極めて効果的に減衰させることができるとともに、各小梁232bで発生する一次モードの振動を確実に減衰させることができる。
よって、2階の床部20に衝撃が入力されても、床部20で発生する振動を効果的に抑制することができる。このため、JIS A 1418−2に規定される重量衝撃音、JIS A 1418−1に規定される軽量衝撃音や、歩行者の歩行によって発生する音等を効果的に抑制することが可能となる。
特に、本実施形態では、一次〜三次モードの振動が主要因である重量衝撃音を効果的に抑制することができる。
したがって、2階の床部20に衝撃等が入力されても、1階に発生する音等を効果的に抑制することができる。
(実施形態2)
図7に示される本実施形態では、床部20が、床面21と、床面21の下に配設された中間プレート22と、中間プレート22と床面21との間で挟持された梁23等から構成されている。
梁23及び建物用制振装置10はそれぞれ実施形態1のものと同様の構成であり、実施形態1と同様、センサ群、主アクチュエータ群及び制御器3が梁23の所定位置に設置されている。
その他の構成は、前記実施形態1と同様である。
したがって、本実施形態も前記実施形態1と同様の作用効果を奏する。
(実施形態3)
図8に示される本実施形態の建物用制振装置10は、実施形態1の建物用制振装置10と同様、各小梁232b、232cに設置された23個のセンサ1よりなるセンサ群と、各小梁232b、232cに設置された23個のアクチュエータ2よりなる主アクチュエータ群と、1個の制御器3とを備え、さらに複数個のアクチュエータ2よりなる副アクチュエータ群11を備えている。そして、天井部30を構成する天井壁31の裏面に副アクチュエータ群11が設置されている。
すなわち、本実施形態では、副制振対象物としての天井壁31の裏面に副アクチュエータ群11が設置されている。この副アクチュエータ群11を構成する複数個のアクチュエータ2は、副制振対象物としての天井壁31で発生する振動の腹部に対応する部位に設置することができる。例えば、副制振対象物が天井壁31の裏面に配設された天井梁である場合は、副制振対象物としての天井梁における振動の腹部、具体的には一次モード腹部に対応する部位(天井梁の一端から1/2の部位)及び/又は二次モード腹部に対応する部位(天井梁の一端から1/4の部位及び該一端から3/4の部位)にアクチュエータ2を設置することができる。
また、副アクチュエータ群11を構成する各アクチュエータ2は、制御器3からの制御信号を受けて所定の逆位相振動を発生する。すなわち、例えば、主制振対象物としての小梁232bで発生した振動を同小梁232bに設置されたセンサ1で検知した場合、この検知信号を受けた制御部3は、この検知信号に応じて、同小梁232bで発生した振動と振動数が同じでかつ位相が逆の逆位相振動を、同小梁232bに設置されたアクチュエータ(主アクチュエータ群を構成するアクチュエータ)2と、副制振対象物としての天井梁に設置されたアクチュエータ(副アクチュエータ群11を構成するアクチュエータ)2とに発生させる。こうすることで、主制振対象物としての同小梁232bで発生した振動と同じ成分の振動が副制振対象物としての天井梁で発生する場合に、主制振対象物としての同小梁232bのみならず、副制振対象物としての天井梁においても効果的に振動を抑制することができる。
このように、本実施形態では、主制振対象物としての小梁232b及び232cで発生した振動が伝わることで振動する副制振対象物としての天井壁31に対しても副アクチュエータ群11を構成する各アクチュエータ2から所定の逆位相振動が付与される。このため、主制振対象物としての小梁232b及び232cのみならず、小梁232b及び232cから振動が伝わる副制振対象物としての天井壁31においても振動の発生を抑制することができる。
その他の構成及び作用効果は前記実施形態1と同様である。
(実施形態4)
図9に示される本実施形態では、床部20が、床面21と、床面21の下に配設された中間プレート22と、中間プレート22と床面21との間で挟持された梁23等から構成されている。
梁23及び建物用制振装置10はそれぞれ実施形態3のものと同様の構成であり、実施形態1と同様、センサ群、主アクチュエータ群及び制御器が梁23の所定位置に設置されるとともに、副アクチュエータ群11が天井壁31に設置されている。
その他の構成は、前記実施形態3と同様である。
したがって、本実施形態も前記実施形態3と同様の作用効果を奏する。
なお、前記実施形態3又はこの実施形態4において、天井壁31のみならず、例えば側壁部40を構成する側壁41の裏面にも所定の副アクチュエータ群を設置してもよい。
また、前記実施形態3又はこの実施形態4において、センサ1で検知した検知信号に応じて、主制振対象物で発生した振動の逆位相振動を、副制振対象物に設置された副アクチュエータ群11に発生させるのではなく、主制振対象物で発生した振動の振動数にかかわらず、一定の振動数の振動を副アクチュエータ群11に発生させるようにしてもよい。この場合、主制振対象物からの振動が伝わることにより副制振対象物で主に発生する振動の振動数に狙いを絞って、この振動数の振動を、センサ1で検知した検知信号に応じて、副制振対象物で発生する振動と逆位相となるか又は極力逆位相となるタイミングで、副アクチュエータ群11に発生させることで、主制振対象物から伝わって副制振対象物で主に発生する振動を効果的に抑制することができる。
(実施形態5)
前記実施形態1乃至4において、制御器3は、主制振対象物としての各小梁232b及び232cで発生した振動の振幅に応じて各アクチュエータ2に発生させる逆位相振動の振幅を制御するものとすることもできる。
具体的には、制御器3は、前記位相反転回路31及び前記増幅回路32の他に、必要に応じてフィルター回路を備える構成とすることもできる。
本実施形態によると、主制振対象物としての小梁232b及び232cで発生した振動の振幅の大きさに応じて、主アクチュエータ群を構成する各アクチュエータ2で発生させる逆位相振動の大きさを大きくしたり、小さくしたりすることができる。このため、小梁232b及び232cで発生した振動の大きさに応じて、適切な大きさの逆位相振動を主アクチュエータ群の各アクチュエータ2から小梁232b及び232cに付与することができるので、小梁232b及び232cで発生した振動をより効果的に減衰させることが可能となる。したがって、例えば床部20に衝撃が入力されて床部20が振動することにより発生する、振幅の大きな重量衝撃音であっても、あるいは振幅の小さな軽量衝撃音や歩行音であっても効果的に減衰させることができる。
なお、副アクチュエータ群がある場合は、主制振対象物で発生した振動の大きさに応じて、適切な大きさの逆位相振動を主アクチュエータ群及び副アクチュエータ群の各アクチュエータ2に発生させることができる。
(その他の実施形態)
なお、前述の実施形態1〜5において、アクチュエータによる逆位相振動の付与によっては減衰させることが困難な周波数帯域の制振を狙って、ダイナミックダンパを併用することも可能である。
また、前述の実施形態1〜5では、住宅(一戸建ての他、アパートやマンション等の集合住宅も含む)に本発明の建物用制振装置を適用する例について説明したが、店舗、工場、病院や学校等に本発明の建物用制振装置を適用しうることは勿論である。
以下、本発明の建物用制振装置の効果を説明するための試験例を実施例として説明する。
(実施例)
この試験では、図10に示されるように、高さ38mm、幅19mm、長さ850mmの角柱鉄材よりなる主制振対象物4を2点で支持した。なお、支持材5、5として板金とゴムを組み合わせた物を用いた。
主制振対象物4の一端(図10に示される主制振対象物4の左端)の上面にセンサ1を設置し、主制振対象物4の中央の上面にアクチュエータ2を設置した。センサ1としては、主制振対象物4が振動することで主制振対象物4から発生する音を検知するマイクを用いた。このマイクは、(株)ソニー製のウォークマン(型式:NW−S703F)用マイクである。また、アクチュエータ2として、カマデン(株)のオリジナル商品(商品名「バイブレーションモジュール」、型番:VM812、主な仕様:定格(最大)出力10W(max20W))である振動発生器を用いた。また、制御器3としては、マイクと同様の(株)ソニー製のウォークマン(型式:NW−S703F)の位相反転回路を利用するとともに、一般的な増幅回路を作成した。
そして、図10に示す主制振対象物4の加振点7に衝撃を加え、測定点1における振動を周波数分析器により測定した。
(比較例1)
主制振対象物4の上面にセンサ1及びアクチュエータ4を設置しないこと以外は、実施例1と同様である。
(比較例2)
センサ1及びアクチュエータ4の代わりに、図10の測定点5と6の間(実施例1におけるアクチュエータと同じ位置)にダイナミックダンパを設置すること以外は、実施例1と同様である。このダイナミックダンパは、固有振動数が250〜260Hzとなるように設定されたものである。
前記実施例、比較例1、2における測定結果を図11に示すように、比較例1や比較例2では、周波数260〜280Hz程度の固有振動数の振動が発生したのに対し、本実施例では、その振動を大きく減衰させることができた。
(付記)
なお、本発明の範囲から逸脱するが、建物の床部、天井部及び側壁部を構成する構成物のうちの一つとしての検知対象物で発生する振動や音をセンサで検知し、その検知信号に応じて、該構成物のうちの他の一つとしての、該検知対象物以外の制振対象物のみに対して、制御器がアクチュエータから逆位相振動を付与させる構成を採用した場合は、検知対象物からの振動が伝わった該制振対象物における振動を抑制することができる。
本発明の建物用制振装置の基本構成を説明する模式図である。 本発明の建物用制振装置の基本構成を説明するブロック図である。 本発明の建物用制振装置におけるセンサ及びアクチュエータの配置例を説明する図である。 本発明の建物用制振装置におけるセンサ及びアクチュエータの他の配置例を説明する図である。 実施形態1の建物用制振装置に係り、本発明の建物用制振装置を住宅に適用した例を模式的に説明する図である。 実施形態1の建物用制振装置に係り、梁に対してセンサ及びアクチュエータの配置する例を模式的に説明する図である。 実施形態2の建物用制振装置に係り、本発明の建物用制振装置を住宅に適用した他の例を模式的に説明する図である。 実施形態3の建物用制振装置に係り、本発明の建物用制振装置を住宅に適用した他の例を模式的に説明する図である。 実施形態4の建物用制振装置に係り、本発明の建物用制振装置を住宅に適用した他の例を模式的に説明する図である。 実施例の試験例を説明する図である。 試験結果を示すグラフである。
符号の説明
1…センサ 2…アクチュエータ
3…制御器 4…主制振対象物
20…床部 21…床面
22…中間プレート 23…梁
30…天井部 31…天井壁(副制振対象物)
40…側壁部 41…側壁
231…大梁 232…小梁(主制振対象物)

Claims (11)

  1. 建物の床部、天井部及び側壁部を構成する構成物のうちの一つに又は該構成物のうちの少なくとも二つにわたって設置されて、該床部、該天井部及び該側壁部のうちの少なくとも一つの振動を抑制する建物用制振装置であって、
    前記構成物のうちの一つとしての主制振対象物に設置され、該主制振対象物で発生する振動又は該振動により該主制振対象物から発生する音を検知する少なくとも一つのセンサと、
    前記構成物のうちの少なくとも前記主制振対象物に設置され、少なくとも該主制振対象物に所定の振動を付与する少なくとも一つのアクチュエータと、
    前記センサで検知された検知信号が入力され、該検知信号に応じて、前記主制振対象物で発生した振動と周波数が同じでかつ位相が逆である所定の逆位相振動を前記アクチュエータに発生させる制御器とを備えていることを特徴とする建物用制振装置。
  2. 前記アクチュエータは、前記主制振対象物における振動の腹部に対応する部位に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の建物用制振装置。
  3. 少なくとも第1〜第3の前記アクチュエータを備え、
    前記主制振対象物における振動モードが一次であるときの一つの一次モード腹部に対応する部位に第1の前記アクチュエータが設置され、かつ該振動モードが二次であるときの二つの二次モード腹部に対応する部位にそれぞれ第2、第3の前記アクチュエータが設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物用制振装置。
  4. 複数の前記センサが前記主制振対象物に設置され、各該センサの設置位置は各前記アクチュエータの設置位置にそれぞれ対応していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の建物用制振装置。
  5. 前記主制振対象物に設置された前記センサの数は、該主制振対象物に設置された前記アクチュエータの数よりも少ないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の建物用制振装置。
  6. 前記アクチュエータは、前記主制振対象物以外の前記構成物のうちの少なくとも一つとしての、前記主制振対象物で発生した前記振動が伝わる少なくとも一つの副制振対象物にも設置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の建物用制振装置。
  7. 前記制御器は、前記主制振対象物で発生した振動の振幅に応じて前記逆位相振動の振幅を制御することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の建物用制振装置。
  8. 前記主制振対象物は前記床部を構成する床構成物の一つであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の建物用制振装置。
  9. 前記床部を構成する前記床構成物は梁であることを特徴とする請求項8に記載の建物用制振装置。
  10. 前記床部は前記建物の上階床部であることを特徴とする請求項8又は9に記載の建物用制振装置。
  11. 前記副制振対象物は、前記上階床部の一つ下階の下階天井部を構成する下階天井構成物及び該上階床部の一つ下階の下階側壁部を構成する下階側壁構成物のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項10に記載の建物用制振装置。
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