JP2007031654A - 顔料組成物の製造方法および印刷インキならびに印刷物 - Google Patents

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Abstract

【課題】アスペクト比が小さく色相が緑味の分散性に優れたβ型銅フタロシアニン顔料、及びこれを含有する印刷インキを提供する。
【解決手段】粗製銅フタロシアニンに対して、樹脂酸を不飽和カルボン酸またはその無水物および脂肪族アルコールにより変性したエステル変性樹脂酸を20〜80重量%添加し、乾式粉砕することを特徴とする顔料組成物の製造方法。および、エステル変性樹脂酸が特定の構造式を有するものであることを特徴とする顔料組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は新規にして有用なる平版印刷インキ用顔料組成物の製造方法に関する。さらに詳しくは、顔料分散性、印刷適性に優れた新聞印刷、枚葉印刷、ウェブ印刷、水無し印刷等のオフセット平版印刷に好適に用いられる印刷インキを提供し得る印刷インキ用顔料組成物、該顔料組成物を用いた印刷インキならびに印刷物に関する。
粗製銅フタロシアニンは、10〜200μm程度の巨大β型結晶粒子であり、0.02〜0.1μm程度まで粒子を小さくするという顔料化後に印刷インキ等として使用される。
顔料化手法において、最も一般的なのがソルベントソルトミリング法と呼ばれる方法である。この方法は粗製銅フタロシアニンに食塩などの磨砕剤とβ型への結晶転移を促進させる有機溶剤を加え磨砕する方法である。この方法によるβ型銅フタロシアニン顔料はアスペクト比(一次粒子の短径と長径の比)が1〜3で、緑味鮮明で高着色力など印刷インキに適しており、広く使用されている。しかし顔料の数倍量の磨砕剤が必要であり、この磨砕剤や有機溶剤を回収する工程に多くの時間と労力を必要とする。
これに対して、特許文献1には、粗製銅フタロシアニンに印刷インキ用樹脂を加えて乾式粉砕した後、得られた摩砕物を印刷インキ用溶剤またはワニス中で加熱する方法が記載されている。この方法は、簡便な手法で、ソルトミリング法とほぼ同等のアスペクト比で緑味のβ型銅フタロシアニン顔料を得ることができ、この方法で得られた印刷インキはソルトミリング法の顔料から製造されたインキに比較して、光沢、流動性において同等の品位であったものの、乾式粉砕する際に添加する樹脂の比率が少ないときには、しばしば光沢が劣りやすいという問題点を有していた。
特開平9−272833号公報
本発明の目的は、上記問題を解決し、アスペクト比が小さく色相が緑味で分散性に優れたβ型銅フタロシアニン顔料、および光沢に優れた印刷インキを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、アスペクト比が小さく色相が緑味で分散性に優れ、インキにした際の光沢が特に優れたβ型銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、粗製銅フタロシアニンに対して、樹脂酸を不飽和カルボン酸またはその無水物および脂肪族アルコールにより変性したエステル変性樹脂酸を20〜80重量%添加し、乾式粉砕することを特徴とする顔料組成物の製造方法である。
また本発明は、エステル変性樹脂酸が、さらに、下記一般式(1)
一般式(1)
Figure 2007031654

(式中、Hは水素原子、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表し、mおよびnは0〜6の整数で、m+n=6である。)
で示される5員環化合物を構成成分として含む炭化水素樹脂を反応させてなる上記製造方法である。
また本発明は、樹脂酸が、2量化付加樹脂酸を30重量%以上含有する樹脂酸である上記製造方法である。
また本発明は、脂肪族アルコールが、炭素数6〜20の長鎖脂肪族アルコールである上記製造方法である。
また本発明は、炭素数6〜20の脂肪族アルコールが、分岐アルキル基の総炭素数が4以上である上記製造方法である。
また本発明は、エステル変性樹脂酸が、さらに炭素数6以上のカルボン酸基含有化合物を反応させてなる上記製造方法である。
また本発明は、上記製造方法で得られた顔料組成物を、印刷インキ用溶剤またはワニス中、80〜170℃で加熱することを特徴とする、アスペクト比が1〜2であるβ型結晶の銅フタロシアニン粒子を含有する印刷インキである。
また本発明は、110℃1時間での加熱揮発分が1%以下である上記記載の印刷インキである。
また本発明は、基材上に上記記載の印刷インキを印刷してなる印刷物である。
本発明に係わる、製造方法により得られた顔料組成物は、非芳香族系溶剤および植物油を用いて調整された印刷インキ、さらには揮発性溶剤を含有せず植物油成分からなる印刷インキとして優れた顔料分散性、印刷適性を提供することができる。また、より低コストで緑味のβ型銅フタロシアニン顔料を提供することが可能である。
以下、本発明について具体的に説明する。本発明の樹脂酸とは、天然樹脂中に含有される遊離またはエステルとして存在する有機酸であれば特に限定されるものではない。例として、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、d−ピマル酸、イソ−d−ピマル酸、ポドカルプ酸、アガテンジカルボン酸、ダンマロール酸、安息香酸、ケイ皮酸、p−オキシケイ皮酸等が挙げられる。これらの樹脂酸を含有する天然樹脂の形態で使用することが取り扱い上好ましく、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、コーパル、ダンマル等が挙げられる。溶解性と分子量の点で重合ロジンが好ましい。重合ロジンはロジン類を酸触媒を用いて部分的に2量化させたものであり、ロジン1量体と2量化付加体の混合物である。特に、重合ロジン中の2量化付加体は30重量%以上が好ましい。
さらに本発明のエステル変性樹脂酸を得るために用いられる不飽和カルボン酸またはその酸無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、2,4−ヘキサジエノン酸(ソルビック酸)等が例示できる。
本発明で用いられるアルコール化合物は特に限定されることなく、直鎖状、分岐状、環状、飽和、不飽和の1価、2価または3価以上の多価脂肪族アルコールが挙げられる。
飽和アルキル基を有する1価脂肪族アルコールとしては、直鎖状アルキル1価アルコールである1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、1−デカノール、2−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、2−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、2−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、2−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、1−ノナデカノール、1−エイコサノール等を例示することができる。また分岐状アルキル1価アルコールである2−プロピル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、4−メチル−3−ヘプタノール、6−メチル−2−ヘプタノール、2,4,4−トリメチル−1−ペンタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、イソノニルアルコール、3,7−ジメチル−1−オクタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、2,4−ジメチル−1−ヘプタノール、2−ヘプチルウンデカノール等を例示することができる。また環状アルキル1価アルコールであるシクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、シクロペンタンメチロール、ジシクロヘキシルメタノール、トリシクロデカンモノメチロール、ノルボネオール、水添加ロジンアルコール(商品名:アビトール、ハーキュレス(株)社製)等を例示することができる。
また、不飽和アルキル基を有する1価アルコールとしては、不飽和二重結合を分子内に1つ有するアルケン基、不飽和二重結合を分子内に2つ有するアルカジエン基、不飽和二重結合を分子内に3つ有するアルカトリエン基、さらに不飽和二重結合を分子内に4つ以上有するアルカポリエン基を有する1価アルコールがあり、アリルアルコール、オレイルアルコール、11−ヘキサデセン−1−オール、7−テトラデセン−1−オール、9−テトラデセン−1−オール、11−テトラデセン−1−オール、7−ドデセン−1−オール、10−ウンデセン−1−オール、9−デセン−1−オール、シトロネロール、3−ノネン−1−オール、1−オクテン−3−オール、1−ヘキセン−3−オール、2−ヘキセン−1−オール、3−ヘキセン−1−オール、4−ヘキセン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、ドデカジエン−1−オール、2,4−ジメチル−2,6−ヘプタジエン−1−オール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オール、1,6−ヘプタジエン−4−オール、3−メチル−2−シクロヘキセン−1−オール、2−シクロヘキセン−1−オール、1,5−ヘキサジエン−3−オール、フィトール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、4−メチル−3−ペンテン−1−オール、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、6−メチル−5−ペンテン−2−オール、ゲラニオール、ロジノール、リナノール、α−テレピネオール等の直鎖状、分岐状または環状の不飽和アルキル1価アルコールを例示することができる。
2価アルコールとしては、直鎖状アルキレン2価アルコールであるエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール等が、分岐状アルキレン2価アルコールである2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ジメチルペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオ−ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ジメチロールオクタン、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等が、環状アルキレン2価アルコールである1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘプタンジオール、トリシクロデカンジメタノール等を例示することができる。
3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ヒドロキシメチルヘキサンジオール、トリメチロールオクタン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロ−ルプロパン、ジペンタエリスリト−ル、ソルビトール、イノシトール、トリペンタエリスリトール等の直鎖状、分岐状および環状多価アルコール等が例示される。
アルコール化合物としては、炭素数6〜20の長鎖脂肪族アルコールが好ましい。炭素数が6未満では生成する樹脂の非芳香族系溶剤や植物油への溶解性が劣り易く、20を超えると生成する樹脂の融点が低くなり易く好ましくない。また、アルキル基は分岐状がさらに好ましく、特に分岐アルキル基の総炭素数が4以上であることが好ましい。ここで分岐アルキル基とは、1級炭素を末端とするアルキル基を示し、1価アルコールではすべてのアルキル基であり、2価以上のアルコールでは水酸基を両末端とする主鎖以外のアルキル基である。アルコール中に2個以上の分岐アルキル基が存在するときにはすべての分岐アルキル基の炭素数の合計を分岐アルキル基の総炭素数とする。アルコール化合物は、単独あるいは任意の量比で複数を組み合わせて用いることが可能であるが、所望する樹脂の分子量に応じて用いるアルコールの価数を選択することが望ましい。
さらに、本発明のエステル変性樹脂酸は必要に応じて、樹脂酸に炭化水素樹脂を共存させて、変性することもできる。
本発明における炭化水素樹脂とは、不飽和石油留分を原料とする樹脂であれば特に限定されることはないが、下記一般式(1)
一般式(1)
Figure 2007031654

(式中、Hは水素原子、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表し、mおよびnは0〜6の整数で、m+n=6である。)
で示される5員環化合物残基を構成成分として含む炭化水素樹脂が得られる樹脂の溶解性および融点の点で好ましい。該炭化水素樹脂は、常法に従ってシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、これらの二〜五量体、共多量体等のごときシクロペンタジエン系単量体単独、またはシクロペンタジエン系単量体と共重合可能な共単量体との混合物を、触媒の存在下あるいは無触媒で熱重合して得られるものである。触媒としてはフリーデルクラフト型のルイス酸触媒、例えば三フッ化ホウ素およびそのフェノール、エーテル、酢酸等との錯体が通常使用される。本発明の炭化水素樹脂におけるシクロペンタジエン系単量体と、それと共重合可能な共単量体との共重合比は、少なくともシクロペンタジエン系単量体が15モル%以上であることが必要である。
使用される共単量体の例としては、エチレン、プロピレン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、イソブチレンを酸触媒で二量化して得られるジイソブチレン(2,4,4−トリメチルペンテン−1と2,4,4−トリメチルペンテン−2との混合物)、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−オクテン、2−オクテン、4−オクテン、1−デセン等の炭素数2〜10のオレフィン類、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン(ピペリレン)、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン等の鎖状共役ジエン類、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、イソプロペニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のビニル芳香族類、インデン、メチルインデン、クマロン(ベンゾフラン)、メチルクマロン(2−メチルベンゾフラン)等の芳香族不飽和化合物類等があげられる。
この様な炭化水素樹脂としては、日本石油化学(株)社製のネオレジンEP−110、ネオレジンEP−140、ネオレジン540、ネオレジン560、丸善石油化学(株)社製のマルカレッツM100A、マルカレッツM600A、マルカレッツM890A、マルカレッツM825A、マルカレッツM845A、マルカレッツM905A、マルカレッツM925A、マルカレッツM510A、マルカレッツM525A、マルカレッツM545A、日本ゼオン(株)社製のクイントン1325、クイントン1345、東邦化学工業(株)社製のトーホーハイレジンPA−140、COPOREX2100等の市販の炭化水素樹脂を例示することができる。
本発明のエステル変性樹脂酸は、さらに必要に応じて不飽和カルボン酸またはその無水物以外のカルボン酸基含有化合物を反応させて得ることも可能である。カルボン酸基含有化合物としては、特に限定されるものではなく、例として、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸等の飽和脂肪酸、クロトン酸、イソクロトン酸、リンデル酸、ツズ酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ウンデシレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ガドレン酸、ゴンドウ酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノエライジン酸、リノレイン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ニシン酸等のモノカルボン酸化合物、およびシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、3、3−ジメチルグルタル酸、2,4−ジエチルグルタル酸、セバシン酸、ドデカン2酸、アゼライン酸、アルケニル(炭素数4〜28)置換コハク酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸化合物およびこれらの無水物等が挙げられる。さらに、天然油脂の脂肪酸、例えば、桐油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、(脱水)ヒマシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、綿実油脂肪酸、米ヌカ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、菜種油脂肪酸等、および該脂肪酸のダイマー酸、例えば、桐油ダイマー脂肪酸、アマニ油ダイマー脂肪酸等を用いることもできる。上記カルボン酸化合物は単独あるいは任意の量比で複数を組み合わせて用いることが可能であるが、生成するエステル変性樹脂酸の非芳香族系溶剤、植物油への溶解性を考慮すると炭素数6以上のカルボン酸化合物が好ましい。
本発明のエステル変性樹脂酸は、樹脂酸を不飽和カルボン酸またはその無水物およびアルコール化合物により変性することにより得られる。樹脂酸を不飽和カルボン酸またはその無水物であらかじめ付加変性し、次いでアルコール化合物でエステル変性してもよく、樹脂酸を不飽和カルボン酸またはその無水物およびアルコール化合物でエステル変性してもよい。さらに、不飽和カルボン酸またはその無水物を付加変性およびエステル変性の両者に供してもよい。また、必要に応じて上記の炭化水素樹脂およびまたはその他のカルボン酸化合物を上記変性に供しても差し支えない。このとき、水酸基の総モル数1に対して、カルボン酸基の総モル数が0.5〜3の範囲が反応制御上好ましい。
不飽和カルボン酸またはその酸無水物による付加変性反応は、150℃〜250℃の温度で好適に行われる。これら不飽和カルボン酸およびまたはその酸無水物の残存がないように変性量および変性温度を調整することが望ましい。不飽和カルボン酸またはその酸無水物の変性量としては、樹脂酸100g当たり好ましくは0.01〜0.5モル、特に好ましくは0.02〜0.2モルである。これら不飽和カルボン酸およびまたはその酸無水物は、単独または任意の量比で複数を組み合わせて用いることが可能である。
また、エステル変性反応は、常法に従って行うことができる。通常150℃から300℃の範囲で行われるが、使用する化合物の沸点および反応性を考慮して決定することができる。また、これらの反応においては、必要に応じて触媒を用いることが可能である。触媒としてはベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機スルホン酸類、硫酸、塩酸等の鉱酸、トリフルオロメチル硫酸、トリフルオロメチル酢酸等が例示できる。さらに、テトラブチルジルコネート、テトライソブチルチタネート等の金属錯体、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、酸化亜鉛、酢酸亜鉛等の金属塩触媒等も使用可能である。これら触媒は、全樹脂中0.01〜5重量%の範囲で通常使用される。触媒使用による樹脂の着色を抑制するために、次亜リン酸、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスフェート、トリフェニルホスフィン等を併用することもある。
上記反応により得られるエステル変性樹脂酸は、重量平均分子量5000〜200000、酸価40以下、融点70℃以上が好ましい。上記範囲以外では、インキにした際の乾燥性、乳化特性が不十分になりやすく好ましくない。
本発明の乾式粉砕とは、ビーズ等の粉砕メディアを内蔵した粉砕機を使用して、実質的に液状物質を介在させないで粗製フタロシアニンを粉砕するものである。粉砕は、粉砕メディア同士の衝突による粉砕力や破壊力を利用して行なわれる。乾式粉砕装置としては、乾式のアトライター、ボールミル、振動ミルなどの公知の方法を用いることができ、粉砕時間はその装置によってまたは希望とする粉砕粒径に応じて任意に設定できる。また、必要に応じて窒素ガスなどを流すことで乾式粉砕装置内部を脱酸素雰囲気として乾式粉砕を行なってもよい。
粗製銅フタロシアニンに対して、樹脂酸を不飽和カルボン酸またはその無水物および脂肪族アルコールにより変性したエステル変性樹脂酸を20〜80重量%添加することが好ましい。20重量%より小さいと、印刷インキ用溶剤、ワニス他と混合した場合の摩砕物の分散性、インキとしての練肉性が悪くなりやすく、80重量%より多いと乾式粉砕装置内部での樹脂の付着、固着が生じる危険性が高くなりやすく好ましくない。
本発明では乾式粉砕の温度は80〜170℃である。最終的β型結晶粒子のアスペクト比を小さくするためには、乾式粉砕温度は高い方が望ましいが、乾式粉砕温度をエステル変性樹脂酸の軟化点以上の温度まで上昇させてしまうと装置内部で樹脂の付着、固着がおきる危険性があるので好ましくない。
本発明の顔料組成物は、α/β混合結晶型であるため、印刷インキ用溶剤またはワニスと混合し加熱処理することで全てをβ型結晶型へ転移させる。本発明においてβ型結晶銅フタロシアニンはその大部分がβ型であって微量のα型が存在する場合も含む。摩砕物と印刷インキ用溶剤またはワニスの混合物を加熱する温度は80〜170℃が好ましい。
この加熱処理の工程については、緩やかな攪拌で十分であり特に分散機などは必要としない。摩砕物の十分な分散とα型結晶のβ転移は使用する印刷インキ用溶剤によって異なるが数10分〜3時間程度で完了し、次に3本ロールで練肉することで、ベースインキが完成する。
この様にして製造された印刷インキ中の顔料一次粒子のアスペクト比は、ソルベントソルトミリング法による顔料一次粒子とほぼ同じ1〜2の範囲であり、その色相は緑味である。
印刷インキ用溶剤としては、高沸点石油系溶剤、脂肪族炭化水素溶剤、高級アルコール系溶剤など印刷インキに適した溶剤であれば芳香族を含まない溶剤であっても単独あるいは2種類以上の組み合わせで任意に使用できるが、ナフテン系炭化水素溶剤およびまたはパラフィン系炭化水素溶剤が好ましい。
ナフテン系炭化水素溶剤およびまたはパラフィン系炭化水素溶剤とは、いわゆるアロマレス(フリー)溶剤といわれる溶剤であり、商業的には、日本石油(株)製AFソルベント4〜7、O号ソルベントH等、出光興産(株)のスーパーゾルLA35、LA38等、エクソン化学(株)のエクソールD80、D110、D120、D130、D160、D100K、D120K、D130K等、梨樹化学社製D−SOL280、D−SOL300、マギーブラザーズ社製のMagieSol−40、44、47、52、60等を例示することができるが、これらに限定されるものではなく、これらを任意の重量比で混合して用いることも可能である。特に好ましいものは、そのアニリン点が60℃〜110℃の範囲にあるものである。アニリン点が110℃より高い場合は、印刷インキ用樹脂との溶解性に乏しく、印刷インキにした際の流動性が不十分となり、印刷機上でのインキ転移が劣り転移不良を生じたり、印刷後の被印刷体上でのレベリングが不十分となり光沢不良の原因となる。一方、アニリン点が60℃より低い場合、印刷後のインキ被膜からの溶剤離脱性が悪くなり乾燥不良を生じ、ブロッキング、裏写り等の原因となる。
印刷インキ用ワニスとしては、印刷インキ用樹脂を上記印刷インキ用溶剤およびまたは植物油に溶解したものである。必要に応じて、ゲル化剤を添加することもできる。
印刷インキ用樹脂としては、印刷インキに適した樹脂であれば特に限定されるものではないが、平版印刷インキ用樹脂としては、ロジン変性フェノール樹脂が一般的である。また、本発明のエステル変性樹脂酸を使用することもできる。
植物油とは、グリセリンと脂肪酸とのトリグリセリライドにおいて、少なくとも1つの脂肪酸が、炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有する脂肪酸であるトリグリセリライドである。例として、アサ実油、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ油、カポック油、カヤ油、カラシ油、キョウニン油、キリ油、ククイ油、クルミ油、ケシ油、ゴマ油、サフラワー油、ダイコン種油、大豆油、大風子油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ニガー油、ヌカ油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘントウ油、松種子油、綿実油、ヤシ油、落花生油、脱水ヒマシ油等が挙げられる。本発明において、さらに好適な植物油を挙げるとすれば、そのヨウ素価が少なくとも100以上である植物油が好ましく、さらにヨウ素価が120以上の植物油がより好ましい。ヨウ素価を120以上とすることで、インキ皮膜の酸化重合による乾燥性を高めることができ、特に熱風乾燥機を用いない枚葉印刷方式には有効である。
さらに、本発明においては、天ぷら油等の食用に供された、回収、再生された再生植物油も用いることができる。再生植物油としては、含水率を0.3重量%以下、ヨウ素価を100以上、酸価を3以下として再生処理した油が好ましい。含水率を0.3重量%以下にすることにより水分に含まれる塩分等のインキの乳化挙動に影響を与える不純物を除去することが可能となり、ヨウ素価を100以上として再生することにより、乾燥性、すなわち酸化重合性の良いものとすることが可能となり、さらに酸価が3以下の植物油を選別して再生することにより、インキの過乳化を抑制することが可能となる。回収植物油の再生処理方法としては、濾過、静置による沈殿物の除去、および活性白土等による脱色といった方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ゲル化剤としては、一般的には金属錯体が用いられるが、代表的な化合物としてアルミニウム錯体化合物を挙げることができる。その様なアルミニウム錯体化合物としては、環状アルミニウム化合物類、例えば環状アルミニウムオキサイドオクテート(川研ファインケミカル:アルゴマー800A)、環状アルミニウムオキサイドステアレート(川研ファインケミカル:アルゴマー1000S)等、アルミニウムアルコラート類、例えば、アルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート(川研ファインケミカル:AIPD)、アルミニウム−sec−ブチレート(川研ファインケミカル:ASPD)、アルミニウムイソプロピレート−モノ−sec−ブチレート(川研ファインケミカル:AMD)等、アルミニウムアルキルアセテート類、例えばアルミニウム−ジ−n−ブトキサイド−エチルアセトアセテート(ホープ製薬:Chelope−A1−EB2)、アルミニウム−ジ−n−ブトキサイド−メチルアセトアセテート(ホープ製薬:Chelope−A1−MB2)、アルミニウム−ジ−iso−ブトキサイド−メチルアセトアセテート(ホープ製薬:Chelope−A1−MB12)、アルミニウム−ジ−iso−ブトキサイド−エチルアセトアセテート(ホープ製薬:Chelope−A1−EB102)、アルミニウム−ジ−iso−プロポキサイド−エチルアセトアセテート(ホープ製薬:Chelope−A1−EP12、川研ファインケミカル:ALCH)、アルミニウム−トリス(エチルアセトアセテート)(川研ファインケミカル:ALCH−TR)、アルミニウム−トリス(アセチルアセトナート)(川研ファインケミカル:アルミキレート−A)、アルミニウム−ビス(エチルアセトアセテート)−モノアセチルアセトナート(川研ファインケミカル:アルミキレートD)等、アルミニウム石鹸、例えばアルミニウムステアレート(日本油脂(株)製)、アルミニウムオレエート、アルミニウムナフテネート、アルミニウムラウレート等、およびアルミニウムアセチルアセトネート等を例示することができる。これらのゲル化剤は、ワニス100重量部に対し、0.1重量%から10重量%の範囲で通常使用される。
次に、本発明における印刷インキとしての使用形態について説明する。本発明における印刷インキは、通常平版印刷インキ、例えば枚葉インキ、ヒートセット輪転インキ、新聞インキ(コールドセット輪転インキ)等の形態において使用される。一般的には、
顔料 5〜30重量%
樹脂 10〜40重量%
溶剤 0〜60重量%
植物油 0〜70重量%
乾燥促進剤 0〜 5重量%
その他添加剤 0〜10重量%
からなる組成にて使用される。VOCフリータイプのインキとして使用する際には、上記組成において、炭化水素溶剤を0重量%とする。この際、必要に応じて脂肪酸モノエステル化合物を0〜60重量%含有しても差し支えない。本発明の顔料組成物は、顔料と樹脂にわけて計上することとする。前述のベースインキに必要な成分を3本ロール等で混合することにより製造される。
樹脂、溶剤、植物油は前述と同様のものが用いられ、一部は顔料組成物やワニスの形態で使用される。
脂肪酸モノエステル化合物としては、動植物油脂肪酸と1価アルキルアルコールとのエステル化合物を用いることができる。例として、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、水添大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸等の脂肪酸と炭素数1〜8のアルコールとのエステル化合物が挙げられる。
次に乾燥促進剤としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、2−エチル酪酸、ナフテン酸、オクチル酸、ノナン酸、デカン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ネオデカン酸、バーサチック酸、セカノイック酸、トール油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ジメチルヘキサノイック酸、3,5,5−トリメチルヘキサノイック酸、ジメチルオクタノイック酸等の有機カルボン酸の金属塩、たとえばカルシウム、コバルト、鉛、鉄、マンガン、亜鉛、ジルコニウム塩等の公知公用の化合物が使用可能であり、印刷インキ表面および内部硬化を促進するために、これらの複数を適宜併用して使用することもできる。
また、特開平4−334393号に記載の1,10−フェナントロリン、多価金属およびカルボン酸とで形成される金属錯体、例えば酢酸マンガンと1,10−フェナントロリンとの反応で得られるマンガン/酢酸/1,10−フェナントロリン複合錯体、オクチル酸マンガンと1,10−フェナントロリンとの反応で得られるマンガン/オクチル酸/1,10−フェナントロリン複合錯体、ナフテン酸マンガンと1,10−フェナントロリンとの反応で得られるマンガン/ナフテン酸/1,10−フェナントロリン複合錯体、トール油マンガンと1,10−フェナントロリンとの反応で得られるマンガン/トール油酸/1,10−フェナントロリン複合錯体、ナフテン酸鉄と1,10−フェナントロリンとの反応で得られる鉄/ナフテン酸/1,10−フェナントロリン複合錯体、ネオデカン酸コバルトと1,10−フェナントロリンとの反応で得られるコバルト/ネオデカン酸/1,10−フェナントロリン複合錯体等の、当該文献における実施例1ないし実施例6記載の化合物等が使用可能である。さらに、これらドライヤーを本発明で使用の溶剤に非溶解性の物質でカプセル化し用いることも可能である。
さらに、該印刷インキには、必要に応じてその他の添加剤を使用することが可能である。例えば、耐摩擦剤、ブロッキング防止剤、スベリ剤、スリキズ防止剤としては、カルナバワックス、木ロウ、ラノリン、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の天然ワックス、フィッシャートロプスワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリアミドワックス、およびシリコーン化合物等の合成ワックスを例示することができる。また皮張り防止剤としては、クレゾール、グアヤコール、o−イソプロピルフェノール等フェノール類および、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム等オキシム類等を挙げることができる。
[実施例]
次に具体例をもって、本発明を詳細に説明する。尚、例中「部」とは重量部を示す。樹脂の白濁温度は、樹脂2gと炭化水素溶剤18gとを試験管に入れ、ノボコントロール(Novocontrol)社製全自動濁点測定装置ケモトロニック(Chemotoronic)にて測定した。また、インキのタックは東洋精機(株)製インコメーターにてロール温度30℃、400rpm、1分後の値を測定した。β型銅フタロシアニン顔料の結晶型の測定にはX線回折装置を使用し、アスペクト比の測定には電子顕微鏡を使用した。
(エステル変性樹脂酸製造例1)
重合ロジン(ハリマ化成(株)製、2量体60%含有)500部、無水マレイン酸30部を、攪拌機、還流冷却管、温度計付きフラスコに仕込み、窒素ガスを吹き込みながら昇温加熱し、180℃で1時間反応させ、無水マレイン酸変性樹脂酸を得た。次いで、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール165部を添加し、水を分離除去しながら、240℃で15時間反応させ、酸価が24、白濁温度が79℃(日本石油(株)アロマフリーソルベント7号:AF7)、融点が154℃、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPC)におけるポリスチレン換算重量平均分子量(以下Mw)が4.5万のエステル変性樹脂酸(A1)を得た。
(エステル変性樹脂酸製造例2)
エステル変性樹脂酸製造例1において、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール165部を、2,2−ブチルエチルプロパンジオール149部、トリメチロールプロパン9.2部に変えた他は同様の操作にて、酸価が23、白濁温度が78℃(AF7)、融点が153℃、Mwが4.2万のエステル変性樹脂酸(A2)を得た。
(エステル変性樹脂酸製造例3)
エステル変性樹脂酸製造例1において、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール165部を、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール156部、1−トリデカノール22部、セバチン酸11部に変えた他は同様の操作にて、酸価が24、白濁温度が75℃(AF7)、融点が147℃、Mwが4.2万のエステル変性樹脂酸(A3)を得た。
(エステル変性樹脂酸製造例4)
エステル変性樹脂酸製造例1において、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール165部を、1,9−ノナンジオール165部に変えた他は同様の操作にて、酸価が23、白濁温度が97℃(AF7)、融点が158℃、Mwが5万のエステル変性樹脂酸(A4)を得た。
(エステル変性樹脂酸製造例5)
エステル変性樹脂酸製造例1において、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール165部を、1,4−ブタンジオール93部に変えた他は同様の操作にて、酸価が22、白濁温度が105℃(AF7)、融点が165℃、Mwが5.5万のエステル変性樹脂酸(A5)を得た。
(エステル変性樹脂酸製造例6)
エステル変性樹脂酸製造例1と同様の装置に、重合ロジン400部、クイントン1345(日本ゼオン(株)製ジシクロペンタジエン樹脂)100部、無水マレイン酸30部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら昇温加熱し、180℃で1時間反応させ、無水マレイン酸変性樹脂酸を得た。次いで、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール141部を添加し、水を分離除去しながら、240℃で15時間反応させ、酸価が20、白濁温度が87℃(AF7)、融点が164℃、Mwが4.5万のエステル変性樹脂酸(A6)を得た。
(ロジン変性フェノール樹脂製造例1)
エステル変性樹脂酸製造例1と同様の装置に、p−オクチルフェノール665部、37%ホルマリン654部、キシレン490部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら50℃に昇温加熱し、水酸カルシウム7部を水35部に分散させた分散液を添加した。さらに昇温加熱し、95℃で4時間反応させた。その後、冷却し、硫酸で中和、水洗し、静置した。次いで分離したレゾールキシレン溶液をフィルルター(濾過サイズ10μm)を用いて濾過した。得られたレゾールキシレン溶液中の正味レゾール含有率は、150℃30分間の熱風乾燥にて、55%と求められた。次いで、同様の装置に、ロジン60部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、200℃に昇温加熱し、上記レゾ−ルキシレン溶液73部(固形分として40部)を2時間で滴下し、滴下終了後昇温し、250℃でグリセリン6.0部を仕込み、キシレンと水を分離除去しながら、12時間反応させ、酸価が25、白濁温度が90℃(AF7)、融点が145℃、Mwが2.8万のロジン変性フェノール樹脂(A7)を得た。
(顔料組成物製造例1)
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン80部と製造例1で得られたエステル変性樹脂酸(A1)20部を加え80℃で1時間粉砕を行い、顔料組成物(B1)を得た。
(顔料組成物製造例2〜10)
表1に示した配合比率にて、顔料組成物製造例1と同様に粉砕を行い、顔料組成物(B2〜10)を得た。
Figure 2007031654
(ワニス製造例1)
エステル変性樹脂酸製造例1と同様の装置に、エステル変性樹脂酸製造例1で得られたエステル変性樹脂酸(A1)50部、大豆油15部、日本石油(株)製アロマフリーソルベント5号(AF5)34.5部、川研ファインケミカル(株)製ゲル化剤(ALCH)0.5部を仕込み、窒素気流下で190℃1時間加熱反応させ、ワニス(C1)を得た。
(ワニス製造例2〜6)
表2に示した比率にて、ワニス製造例1と同様に反応させ、ワニス(C2〜6)を得た。
Figure 2007031654
実施例1
エステル変性樹脂酸製造例1と同様の装置に、顔料組成物製造例1で得られた顔料組成物(B1)25部、ワニス製造例1で得られたワニス(C2)66部を仕込み、窒素気流下で90℃2時間加熱混合した後、60℃の3本ロールミルで練肉したところ、顔料粒子は7.5μ以下に分散された。次に、得られたベースインキにAF5 8.1部、ナフテン酸マンガン0.9部を添加、調整し、タック9.4の枚葉印刷インキを作成した。α型銅フタロシアニン結晶の含有率は1%以下であり、アスペクト比は1.7であった。
実施例2〜8、比較例1〜2
表3に示した配合比率にて、実施例1と同様に、タック9.4の枚葉印刷インキを作成した。いずれのインキにおいてもα型銅フタロシアニン結晶の含有率は1%以下であり、アスペクト比は1〜2であった。
Figure 2007031654
実施例9〜16、比較例3〜4
表4に示した配合比率にて、実施例1と同様に、タック9.4の枚葉印刷インキを作成した。いずれのインキにおいてもα型銅フタロシアニン結晶の含有率は1%以下であり、アスペクト比は1〜2であった。さらに、110℃1時間での加熱揮発分は1%以下であった。
Figure 2007031654
実施例17
エステル変性樹脂酸製造例1と同様の装置に、顔料組成物製造例1で得られた顔料組成物(B1)25部、ワニス製造例5で得られたワニス(C6)61部を仕込み、窒素気流下で90℃2時間加熱混合した後、60℃の3本ロールミルで練肉したところ、顔料粒子は7.5μ以下に分散された。次に、得られたベースインキにAF4 14部を添加、調整し、タック6.8のオフ輪印刷インキを作成した。α型銅フタロシアニン結晶の含有率は1%以下であり、アスペクト比は1.8であった。
実施例18〜24、比較例5〜6
表5に示した配合比率にて、実施例17と同様に、タックが6.8のオフ輪印刷インキを作成した。
Figure 2007031654
枚葉印刷試験評価
実施例1〜16および比較例1〜4のインキを、三菱ダイヤI−4枚葉印刷機(三菱重工(株)製)にて10,000枚/時で用紙をSKコート 4/6 90kg(日本製紙(株)製)として各インキ2万枚の印刷試験を行い、印刷物のベタ着肉状態、光沢および地汚れを比較した。湿し水はアクワマジックNS(東洋インキ製造(株)製)1.5%の水道水を用いて行い、水巾の下限付近での印刷状態の比較を行うために、水巾の下限値よりも2%高い水ダイヤル値で印刷を行った。結果を表6に示した。
Figure 2007031654
(注1):(株)村上色彩技術研究所製光沢計グロスメーターモデルGM−26にて60°光沢を測定した。
オフ輪印刷試験評価
実施例17〜24および比較例5〜6のインキを、三菱BT2−800NEOオフ輪印刷機(三菱重工(株)製)にて800rpmで用紙をNPIコート紙66.5kg(日本製紙(株)製)として各インキ2万枚の印刷試験を行い、印刷物のベタ着肉状態、光沢および地汚れを比較した。湿し水はアクワマジックNS(東洋インキ製造(株)製)1.5%の水道水を用いて行い、水巾の下限付近での印刷状態の比較を行うために、水巾の下限値よりも2%高い水ダイヤル値で印刷を行った。結果を表7に示した。
Figure 2007031654
(注1):(株)村上色彩技術研究所製光沢計グロスメーターモデルGM−26にて60°光沢を測定した。
本発明に係わる、製造方法により得られた顔料組成物は、分散性に優れており、非芳香族系溶剤および植物油を用いて調整された印刷インキ、さらには揮発性溶剤を含有せず植物油成分からなる印刷インキとして優れた顔料分散性および印刷適性を提供することができる。また、より低コストで緑味のβ型銅フタロシアニン顔料を提供することが可能である。

Claims (9)

  1. 粗製銅フタロシアニンに対して、樹脂酸を不飽和カルボン酸またはその無水物および脂肪族アルコールにより変性したエステル変性樹脂酸を20〜80重量%添加し、乾式粉砕することを特徴とする顔料組成物の製造方法。
  2. エステル変性樹脂酸が、さらに、下記一般式(1)
    一般式(1)
    Figure 2007031654

    (式中、Hは水素原子、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表し、mおよびnは0〜6の整数で、m+n=6である。)
    で示される5員環化合物を構成成分として含む炭化水素樹脂を反応させてなる請求項1記載の製造方法
  3. 樹脂酸が、2量化付加樹脂酸を30重量%以上含有する樹脂酸である請求項1または2記載の製造方法。
  4. 脂肪族アルコールが、炭素数6〜20の長鎖脂肪族アルコールである請求項1ないし3いずれか記載の製造方法。
  5. 炭素数6〜20の脂肪族アルコールが、分岐アルキル基の総炭素数が4以上である請求項4記載の製造方法。
  6. エステル変性樹脂酸が、さらに炭素数6以上のカルボン酸基含有化合物を反応させてなる請求項1ないし5いずれか記載の製造方法。
  7. 請求項1ないし6いずれか記載の製造方法で得られた顔料組成物を、印刷インキ用溶剤またはワニス中、80〜170℃で加熱することを特徴とする、アスペクト比が1〜2であるβ型結晶の銅フタロシアニン粒子を含有する印刷インキ。
  8. 110℃1時間での加熱揮発分が1%以下である請求項7記載の印刷インキ。
  9. 基材上に請求項7または8記載の印刷インキを印刷してなる印刷物。
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