JP2004115558A - 樹脂の製造法および印刷インキ - Google Patents

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鈴木 美子
Masahiro Fujii
藤井 雅弘
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Abstract

【課題】環境衛生上好ましくないホルムアルデヒド類、すなわちそれを用いて製造するレゾール型フェノール樹脂を使用することなく、平版印刷適性、例えば顔料分散性、乳化適性、ミスチング性、乾燥性等において良好で、従来のロジン変性フェノール樹脂に匹敵する印刷適性を有するインキ用樹脂の製造法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で示される炭化水素樹脂(a)10〜70重量%と樹脂酸(b)30〜90重量%とからなる樹脂組成物に不飽和カルボン酸またはその無水物を反応させ、次いで長鎖脂肪族アルコールによりエステル変性することを特徴とする樹脂の製造法である。
一般式(1)
【化1】
Figure 2004115558

(式中、Hは水素原子、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表し、mおよびnは0〜6の整数で、m+n=6である。)
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規にして有用なる印刷インキ用樹脂の製造法に関する。さらに詳しくは、顔料分散性、印刷適性に優れた新聞印刷、枚葉印刷、ウェブ印刷、水無し印刷等のオフセット平版印刷に好適に用いられる印刷インキを提供し得る印刷インキ用樹脂の製造法および該製造法で得られた樹脂、ならびに該樹脂を用いた印刷インキならびに印刷物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、平版インキ用樹脂には、ロジン変性フェノール樹脂が広く一般に使用されることが記載されている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、一般的にこのロジン変性フェノール樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒド類を塩基性触媒下にて反応させて得たレゾール型フェノール樹脂と、ロジン類および各種多価アルコール類とを反応させて得られる。したがって、その製造工程上、未反応の、あるいは反応中にガスとして排出されるホルムアルデヒド類を処理する必要があり、また作業時の環境も必ずしも好ましいものではなく、昨今の環境衛生保全等の観点からホルムアルデヒド類を使用しない平版インキが望まれている。
【0003】
一般に平版インキは、インキ用樹脂の他、石油系溶剤、植物油を主成分として形成されている。石油系溶剤においても地球環境保全、労働環境保全の観点から、脱芳香族化が行われている。さらに昨今では、より一層環境保全を配慮した、揮発性の石油系溶剤を一切含有しないVOC(揮発性有機化合物)フリータイプのインキへのニーズが高まっている。VOCとは、常温で揮発しやすい化合物のことであり、揮発性の石油系溶剤の他、上記ホルムアルデヒド類も含有される。
米国環境保護庁はVOC測定方法として、110℃1時間の加熱による加熱残分測定を提示しており、実使用に即した測定方法として用いられている。
【0004】
ホルムアルデヒド類を使用しない平版インキ用樹脂としては、ロジン変性アルキッド樹脂が公知であるが、非芳香族系溶剤に対しての溶解性に劣るため、それを用いて製造した平版インキは流動性や転移性において劣る等の問題点があった。ロジン変性アルキッド樹脂の溶解性を上げるべく、さらに植物油およびまたはその脂肪酸で変性したアルキッド樹脂では融点が著しく低下し、それを用いて得られた平版インキは乾燥性、ブロッキング性、ミスチング性等において劣るという問題点を有していた。また、ロジン変性アルキッド樹脂は、一般的に乳化性状においても劣り、湿し水との乳化でインキがフローダウンする等の問題点も有していた。
【0005】
特許文献1においては、α,β−不飽和カルボン酸を反応させた酸変性ロジンを長鎖脂肪族アルコールでエステル化させて得られる樹脂が開示されており、樹脂融点を低下させることなく、非芳香族系溶剤への溶解性、インキ流動性等を向上させられるものの、乳化性状においては未だ不十分であるという問題点を有していた。
【0006】
特許文献2には非芳香族系溶剤への溶解性を向上させるべく、ロジン変性アルキッド樹脂に炭化水素樹脂を併用した印刷インキ用ワニスが開示されているが、汎用の炭化水素樹脂の量平均分子量は数百〜数千と小さいため、高速印刷時におけるミスチング性に劣るという問題点を有していた。
【0007】
さらに、ホルムアルデヒド類を使用しない平版インキ用樹脂として、特許文献3においては、シクロペンタジエン系炭化水素樹脂にα,β−不飽和カルボン酸を付加し、長鎖脂肪族アルコールでエステル化させて得られる樹脂が開示されており、非芳香族系溶剤に対する溶解性および乳化特性は優れているものの、インキ中に使用される植物油への溶解性が不十分であるという問題点を有していた。
【0008】
【非特許文献1】
色材協会誌,第63巻,271頁(1990年)
【0009】
【特許文献1】
特開2000−159868号公報
【0010】
【特許文献2】
特開2001−262032号公報
【0011】
【特許文献3】
特表WO00/29455号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題を解決し、環境衛生保全上、好ましくないホルムアルデヒド類を原料として使用することなく、非芳香族系溶剤や植物油に良好な溶解性を有し、新聞印刷、枚葉印刷、ウェブ印刷、さらには水無し印刷等のオフセット平版印刷に好適に用いられ、さらに、VOCフリータイプのインキにも好適に用いられる印刷インキ用樹脂の製造法に関する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、環境衛生上好ましくないホルムアルデヒド類、すなわちそれを用いて製造するレゾール型フェノール樹脂を使用することなく、平版印刷適性、例えば顔料分散性、乳化適性、ミスチング性、乾燥性等において良好で、従来のロジン変性フェノール樹脂に匹敵する印刷適性を有するインキ用樹脂の製造法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示される炭化水素樹脂(a)10〜70重量%と樹脂酸(b)30〜90重量%とからなる樹脂組成物に不飽和カルボン酸またはその無水物を反応させ、次いで長鎖脂肪族アルコールによりエステル変性することを特徴とする樹脂の製造法である。
一般式(1)
【0015】
【化2】
Figure 2004115558
【0016】
(式中、Hは水素原子、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表し、mおよびnは0〜6の整数で、m+n=6である。)
また本発明は、樹脂酸(b)が、2量化付加樹脂酸を30重量%以上含有する樹脂酸である上記樹脂の製造法である。
【0017】
また本発明は、長鎖脂肪族アルコールが、炭素数6〜20の脂肪族アルコールである上記樹脂の製造法である。
【0018】
また本発明は、炭素数6〜20の脂肪族アルコールが、分岐アルキル基の総炭素数が4以上である上記樹脂の製造法である。
【0019】
また本発明は、さらに炭素数6以上のカルボン酸基含有化合物を反応させてなる上記樹脂の製造法である。
【0020】
また本発明は、上記製造法で得られた印刷インキ用樹脂である。
【0021】
また本発明は、上記印刷インキ用樹脂と、植物油とを含有することを特徴とする印刷インキである。
【0022】
また本発明は、さらにナフテン系炭化水素溶剤およびまたはパラフィン系炭化水素溶剤を含有することを特徴とする上記印刷インキである。
【0023】
また本発明は、110℃1時間での加熱揮発分が1%以下である上記印刷インキである。
【0024】
また本発明は、基材上に上記印刷インキを印刷してなる印刷物である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。本発明における炭化水素樹脂(a)とは、炭化水素を主単位成分として構成される樹脂であれば特に限定されるものではなく、特に好ましくは、下記一般式(1)
一般式(1)
【0026】
【化3】
Figure 2004115558
【0027】
(式中、Hは水素原子、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表し、mおよびnは0〜6の整数で、m+n=6である。)
で示される5員環化合物を構成成分として含む炭化水素樹脂である。該炭化水素樹脂は、常法に従ってシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、これらの二〜五量体、共多量体等のごときシクロペンタジエン系単量体単独、またはシクロペンタジエン系単量体と共重合可能な共単量体との混合物を、触媒の存在下あるいは無触媒で熱重合して得られるものである。触媒としてはフリーデルクラフト型のルーイス酸触媒、例えば三フッ化ホウ素およびそのフェノール、エーテル、酢酸等との錯体が通常使用される。本発明の炭化水素樹脂におけるシクロペンタジエン系単量体と、それと共重合可能な共単量体との共重合比は、少なくともシクロペンタジエン系単量体が5モル%以上であることが必要である。
【0028】
使用される共単量体の例としては、エチレン、プロピレン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、イソブチレンを酸触媒で二量化して得られるジイソブチレン(2,4,4−トリメチルペンテン−1と2,4,4−トリメチルペンテン−2との混合物)、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−オクテン、2−オクテン、4−オクテン、1−デセン等の炭素数2〜10のオレフィン類、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン(ピペリレン)、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン等の鎖状共役ジエン類、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、イソプロペニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のビニル芳香族類、インデン、メチルインデン、クマロン(ベンゾフラン)、メチルクマロン(2−メチルベンゾフラン)等の芳香族不飽和化合物類等があげられる。
【0029】
この様な炭化水素樹脂としては、日本石油化学(株)社製のネオレジンEP−110、ネオレジンEP−140、ネオレジン540、ネオレジン560、丸善石油化学(株)社製のマルカレッツM100A、マルカレッツM600A、マルカレッツM890A、マルカレッツM825A、マルカレッツM845A、マルカレッツM905A、マルカレッツM925A、マルカレッツM510A、マルカレッツM525A、マルカレッツM545A、日本ゼオン(株)社製のクイントン1325、クイントン1345、東邦化学工業(株)社製のトーホーハイレジンPA−140、COPOREX2100等の市販の炭化水素樹脂を例示することができる。
【0030】
本発明で用いられる樹脂酸(b)とは、天然樹脂中に含有される遊離またはエステルとして存在する有機酸であれば特に限定されるものではない。例として、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、d−ピマル酸、イソ−d−ピマル酸、ポドカルプ酸、アガテンジカルボン酸、ダンマロール酸、安息香酸、ケイ皮酸、p−オキシケイ皮酸等が挙げられる。これらの樹脂酸を含有する天然樹脂の形態で使用することが取り扱い上好ましく、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、コーパル、ダンマル等が挙げられる。反応性の点で重合ロジンが好ましい。重合ロジンはロジン類を酸触媒を用いて部分的に2量化させたものであり、ロジン1量体と2量化付加体の混合物である。特に好ましくは、重合ロジン中の2量化付加体は30重量%以上である。30重量%未満では生成する樹脂の分子量が十分に大きくなり難く好ましくない。
【0031】
本発明の樹脂は炭化水素樹脂(a)と樹脂酸(b)からなる樹脂組成物に不飽和カルボン酸またはその無水物を反応させ、次いで長鎖脂肪族アルコールによりエステル変性することにより得られる。樹脂組成物中、炭化水素樹脂(a)は10〜70重量%、および樹脂酸(b)は30〜90重量%を含むことが好ましい。上記範囲以外では顔料分散性、乳化特性、ミスチング等の印刷適性を両立し難くなり好ましくない。
【0032】
本発明の樹脂を得るために用いられる不飽和カルボン酸またはその酸無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、2,4−ヘキサジエノン酸(ソルビック酸)等が例示できる。これら不飽和カルボン酸またはその酸無水物の変性量としては、炭化水素樹脂(a)および樹脂酸(b)の総量100g当たり好ましくは0.01〜0.5モル、特に好ましくは0.02〜0.2モルである。変性温度は、150℃〜250℃の範囲が好適に用いられる。これら不飽和カルボン酸およびまたはその酸無水物の残存がないように変性量および変性温度を調整することが望ましい。これら不飽和カルボン酸およびまたはその酸無水物は、単独または任意の量比で複数を組み合わせて用いることが可能である。
【0033】
本発明で用いられる長鎖脂肪族アルコールとは炭素数6以上の長鎖脂肪族炭化水素のアルコール化合物であり、直鎖状、分岐状、環状、飽和、不飽和の1価、2価または3価以上の多価アルキルアルコールが挙げられる。
【0034】
飽和アルキル基を有する1価アルコールとしては、直鎖状アルキル1価アルコールである1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、1−デカノール、2−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、2−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、2−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、2−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、1−ノナデカノール、1−エイコサノール等を例示することができる。また分岐状アルキル1価アルコールである2−プロピル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、4−メチル−3−ヘプタノール、6−メチル−2−ヘプタノール、2,4,4−トリメチル−1−ペンタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、イソノニルアルコール、3,7−ジメチル−1−オクタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、2,4−ジメチル−1−ヘプタノール、2−ヘプチルウンデカノール等を例示することができる。また環状アルキル1価アルコールであるシクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、シクロペンタンメチロール、ジシクロヘキシルメタノール、トリシクロデカンモノメチロール、ノルボネオール、水添加ロジンアルコール(商品名:アビトール、ハーキュレス(株)社製)等を例示することができる。
【0035】
また、不飽和アルキル基を有する1価アルコールとしては、不飽和二重結合を分子内に1つ有するアルケン基、不飽和二重結合を分子内に2つ有するアルカジエン基、不飽和二重結合を分子内に3つ有するアルカトリエン基、さらに不飽和二重結合を分子内に4つ以上有するアルカポリエン基を有する1価アルコールがあり、オレイルアルコール、11−ヘキサデセン−1−オール、7−テトラデセン−1−オール、9−テトラデセン−1−オール、11−テトラデセン−1−オール、7−ドデセン−1−オール、10−ウンデセン−1−オール、9−デセン−1−オール、シトロネロール、3−ノネン−1−オール、1−オクテン−3−オール、1−ヘキセン−3−オール、2−ヘキセン−1−オール、3−ヘキセン−1−オール、4−ヘキセン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、ドデカジエン−1−オール、2,4−ジメチル−2,6−ヘプタジエン−1−オール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オール、1,6−ヘプタジエン−4−オール、3−メチル−2−シクロヘキセン−1−オール、2−シクロヘキセン−1−オール、1,5−ヘキサジエン−3−オール、フィトール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、4−メチル−3−ペンテン−1−オール、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、6−メチル−5−ペンテン−2−オール、ゲラニオール、ロジノール、リナノール、α−テレピネオール等の直鎖状、分岐状または環状の不飽和アルキル1価アルコールを例示することができる。
【0036】
2価アルコールとしては、直鎖状アルキレン2価アルコールである1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール等が、分岐状アルキレン2価アルコールである2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ジメチルペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオ−ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ジメチロールオクタン、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等が、環状アルキレン2価アルコールである1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘプタンジオール、トリシクロデカンジメタノール等を例示することができる。
【0037】
3価以上の多価アルコールとしては、トリメチロ−ルプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ヒドロキシメチルヘキサンジオール、トリメチロールオクタン、ジグリセリン、ジトリメチロ−ルプロパン、ジペンタエリスリト−ル、ソルビトール、イノシトール、トリペンタエリスリトール等の直鎖状、分岐状および環状多価アルコールが例示される。
【0038】
長鎖脂肪族アルコールは、炭素数6〜20のアルコールが好ましい。炭素数が6未満では生成する樹脂の非芳香族系溶剤や植物油への溶解性が劣り易く、20を超えると生成する樹脂の融点が低くなり易く好ましくない。また、アルキル基は分岐状が好ましく、特に分岐アルキル基の総炭素数が4以上であることが好ましい。ここで分岐アルキル基とは、1級炭素を末端とするアルキル基を示し、1価アルコールではすべてのアルキル基であり、2価以上のアルコールでは水酸基を両末端とする主鎖以外のアルキル基である。アルコール中に2個以上の分岐アルキル基が存在するときにはすべての分岐アルキル基の炭素数の合計を分岐アルキル基の総炭素数とする。該長鎖脂肪族アルコールは、単独あるいは任意の量比で複数を組み合わせて用いることが可能であるが、所望する樹脂の分子量に応じて用いるアルコールの価数を選択することが望ましい。
【0039】
さらに、上記長鎖脂肪族アルコール以外のアルコールを必要に応じて用いても構わない。長鎖脂肪族アルコール以外のアルコールとしては、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0040】
本発明の樹脂は、さらに必要に応じてカルボン酸基含有化合物を反応させて得ることも可能である。カルボン酸基含有化合物としては、特に限定されるものではなく、例として、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸等の飽和脂肪酸、クロトン酸、イソクロトン酸、リンデル酸、ツズ酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ウンデシレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ガドレン酸、ゴンドウ酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノエライジン酸、リノレイン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ニシン酸等のモノカルボン酸化合物、およびシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、3、3−ジメチルグルタル酸、2,4−ジエチルグルタル酸、セバシン酸、アゼライン酸、アルケニル(炭素数4〜28)置換コハク酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸化合物およびこれらの無水物等が挙げられる。さらに、天然油脂の脂肪酸、例えば、桐油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、(脱水)ヒマシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、綿実油脂肪酸、米ヌカ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、菜種油脂肪酸等、および該脂肪酸のダイマー酸、例えば、桐油ダイマー脂肪酸、アマニ油ダイマー脂肪酸等を用いることもできる。上記カルボン酸化合物は単独あるいは任意の量比で複数を組み合わせて用いることが可能であるが、生成するエステル変性樹脂の非芳香族系溶剤、植物油への溶解性を考慮すると炭素数6以上のカルボン酸化合物が好ましい。
【0041】
本発明の樹脂は、炭化水素樹脂(a)および樹脂酸(b)からなる樹脂組成物を不飽和カルボン酸またはその無水物で変性し、次いで長鎖脂肪族アルコールによりエステル変性することにより得られる。上記のように必要に応じてその他のアルコールおよびまたはカルボン酸化合物をエステル反応に供しても差し支えない。このとき、水酸基の総モル数1に対して、カルボン酸基の総モル数が0.5〜3の範囲が反応制御上好ましい。
【0042】
また、エステル変性反応は、常法に従って行うことができる。通常150℃から300℃の範囲で行われるが、使用する化合物の沸点および反応性を考慮して決定することができる。また、これらの反応においては、必要に応じて触媒を用いることが可能である。触媒としてはベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機スルホン酸類、硫酸、塩酸等の鉱酸、トリフルオロメチル硫酸、トリフルオロメチル酢酸等が例示できる。さらに、テトラブチルジルコネート、テトライソブチルチタネート等の金属錯体、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、酸化亜鉛、酢酸亜鉛等の金属塩触媒等も使用可能である。これら触媒は、全樹脂中0.01〜5重量%の範囲で通常使用される。触媒使用による樹脂の着色を抑制するために、次亜リン酸、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスフェート、トリフェニルホスフィン等を併用することもある。
【0043】
上記反応により得られる樹脂は、重量平均分子量10000〜200000、酸価40以下、融点100℃以上が好ましい。上記範囲以外では、インキにした際の乾燥性、乳化特性が不十分になりやすく好ましくない。
【0044】
次に、本発明の樹脂組成物において使用される植物油とは、グリセリンと脂肪酸とのトリグリセリライドにおいて、少なくとも1つの脂肪酸が炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有する脂肪酸であるトリグリセリライドである。例として、アサ実油、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ油、カポック油、カヤ油、カラシ油、キョウニン油、キリ油、ククイ油、クルミ油、ケシ油、ゴマ油、サフラワー油、ダイコン種油、大豆油、大風子油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ニガー油、ヌカ油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘントウ油、松種子油、綿実油、ヤシ油、落花生油、脱水ヒマシ油等が挙げられる。本発明において、さらに好適な植物油を挙げるとすれば、そのヨウ素価が少なくとも100以上である植物油が好ましく、さらにヨウ素価が120以上の植物油がより好ましい。ヨウ素価を120以上とすることで、インキ皮膜の酸化重合による乾燥性を高めることができ、特に熱風乾燥機を用いない枚葉印刷方式には有効である。
【0045】
さらに、本発明においては、天ぷら油等の食用に供された、回収、再生された再生植物油も用いることができる。再生植物油としては、含水率を0.3重量%以下、ヨウ素価を100以上、酸価を3以下として再生処理した油が好ましい。
含水率を0.3重量%以下にすることにより水分に含まれる塩分等のインキの乳化挙動に影響を与える不純物を除去することが可能となり、ヨウ素価を100以上として再生することにより、乾燥性、すなわち酸価重合性の良いものとすることが可能となり、さらに酸価が3以下の植物油を選別して再生することにより、インキの過乳化を抑制することが可能となる。回収植物油の再生処理方法としては、濾過、静置による沈殿物の除去、および活性白土等による脱色といった方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
本発明の樹脂組成物において使用されるナフテン系炭化水素溶剤およびまたはパラフィン系炭化水素溶剤とは、いわゆるアロマレス(フリー)溶剤といわれる溶剤であり、商業的には、日本石油(株)製AFソルベント4〜8、O号ソルベントH等、出光興産(株)のスーパーゾルLA35、LA38等、エクソン化学(株)のエクソールD80、D110、D120、D130、D160、D100K、D120K、D130K等、梨樹化学社製D−SOL280、D−SOL300、マギーブラザーズ社製のMagieSol−40、44、47、52、60等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。実際の使用に当たっては、これらを任意の重量比で混合して用いることが可能である。さらに該炭化水素溶剤について詳しく述べると、該炭化水素溶剤を印刷インキとして用いるに当たって特に好ましいものは、そのアニリン点が60℃〜110℃の範囲にあるものである。もし、アニリン点が110℃より高い場合は、本発明の炭化水素樹脂との溶解性に乏しく、結果として印刷インキの流動性が不十分となり、印刷機上でのインキ転移が劣り転移不良を生じたり、印刷後の被印刷体上でのレベリングが不十分となり光沢不良の原因となる。一方、アニリン点が60℃より低い場合、印刷後のインキ被膜からの溶剤離脱性が悪くなり乾燥不良を生じ、ブロッキング、裏写り等の原因となる。
【0047】
次に、本発明における印刷インキとしての使用形態について説明する。本発明における印刷インキは、通常平版印刷インキ、例えば枚葉インキ、ヒートセット輪転インキ、新聞インキ(コールドセット輪転インキ)等の形態において使用される。一般的には、
顔料          5〜30重量%
樹脂            10〜40重量%
炭化水素溶剤   0〜60重量%
植物油      0〜70重量%
乾燥促進剤    0〜 5重量%
その他添加剤   0〜10重量%
からなる組成にて使用される。VOCフリータイプのインキとして使用する際には、上記組成において、炭化水素溶剤を0重量%とする。この際、必要に応じて脂肪酸モノエステル化合物を0〜60重量%含有しても差し支えない。
【0048】
脂肪酸モノエステル化合物としては、動植物油脂肪酸と1価アルキルアルコールとのエステル化合物を用いることができる。例として、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、水添大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸等の脂肪酸と炭素数1〜8のアルコールとのエステル化合物が挙げられる。
【0049】
本発明の樹脂は炭化水素溶剤およびまたは植物油に溶解して調整したワニスとして使用される。平版印刷インキは、常温から100℃の間で、顔料、ワニスおよびまたはそのゲルワニス等の印刷インキ成分を、ニーダー、三本ロール、アトライター、サンドミル、ゲートミキサー等の練肉、混合、調整機を用いて製造される。
【0050】
顔料としては、無機顔料および有機顔料を示すことができる。無機顔料としては黄鉛、亜鉛黄、紺青、硫酸バリウム、カドミムレッド、酸化チタン、亜鉛華、弁柄、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、群青、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム粉、ベンガラ等が、有機顔料としては、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系、β−オキシナフトエ酸系アリリド系、アセト酢酸アリリド系、ピラゾロン系等の溶性アゾ顔料、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系アリリド系、アセト酢酸アリリド系モノアゾ、アセト酢酸アリリド系ジスアゾ、ピラゾロン系等の不溶性アゾ顔料、銅フタロシアニンブルー、ハロゲン化(塩素または臭素化)銅フタロシアニンブルー、スルホン化銅フタロシアニンブルー、金属フリーフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、キナクリドン系、ジオキサジン系、スレン系(ピラントロン、アントアントロン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、チオインジゴ系、アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系等)、イソインドリノン系、金属錯体系、キノフタロン系等の多環式顔料および複素環式顔料等の公知公用の各種顔料が使用可能である。
【0051】
次に乾燥促進剤としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、2−エチル酪酸、ナフテン酸、オクチル酸、ノナン酸、デカン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ネオデカン酸、バーサチック酸、セカノイック酸、トール油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ジメチルヘキサノイック酸、3,5,5−トリメチルヘキサノイック酸、ジメチルオクタノイック酸等の有機カルボン酸の金属塩、たとえばカルシウム、コバルト、鉛、鉄、マンガン、亜鉛、ジルコニウム塩等の公知公用の化合物が使用可能であり、印刷インキ表面および内部硬化を促進するために、これらの複数を適宜併用して使用することもできる。
【0052】
また、特開平4−334393号に記載の1,10−フェナントロリン、多価金属およびカルボン酸とで形成される金属錯体、例えば酢酸マンガンと1,10−フェナントロリンとの反応で得られるマンガン/酢酸/1,10−フェナントロリン複合錯体、オクチル酸マンガンと1,10−フェナントロリンとの反応で得られるマンガン/オクチル酸/1,10−フェナントロリン複合錯体、ナフテン酸マンガンと1,10−フェナントロリンとの反応で得られるマンガン/ナフテン酸/1,10−フェナントロリン複合錯体、トール油マンガンと1,10−フェナントロリンとの反応で得られるマンガン/トール油酸/1,10−フェナントロリン複合錯体、ナフテン酸鉄と1,10−フェナントロリンとの反応で得られる鉄/ナフテン酸/1,10−フェナントロリン複合錯体、ネオデカン酸コバルトと1,10−フェナントロリンとの反応で得られるコバルト/ネオデカン酸/1,10−フェナントロリン複合錯体等の、当該文献における実施例1ないし実施例6記載の化合物等が使用可能である。さらに、これらドライヤーを本発明で使用の溶剤に非溶解性の物質でカプセル化し用いることも可能である。
【0053】
さらに、該印刷インキには、必要に応じてその他の添加剤を使用することが可能である。例えば、耐摩擦剤、ブロッキング防止剤、スベリ剤、スリキズ防止剤としては、カルナバワックス、木ロウ、ラノリン、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の天然ワックス、フィッシャートロプスワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリアミドワックス、およびシリコーン化合物等の合成ワックスを例示することができる。また皮張り防止剤としては、クレゾール、グアヤコール、o−イソプロピルフェノール等フェノール類および、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム等オキシム類等を挙げることができる。
【0054】
本発明の樹脂は、植物油およびまたは炭化水素溶剤に溶解したワニスとして使用されるが、通常、窒素気流下、160〜270℃の範囲で溶解する。また、該ワニスに弾性を付与するため、ゲル化剤を添加し、樹脂骨格中に架橋構造を付与したゲルワニスとして使用することが可能である。ゲル化剤としては、一般的には金属錯体が用いられるが、代表的な化合物としてアルミニウム錯体化合物を挙げることができる。その様なアルミニウム錯体化合物としては、環状アルミニウム化合物類、例えば環状アルミニウムオキサイドオクテート(川研ファインケミカル:アルゴマー800A)、環状アルミニウムオキサイドステアレート(川研ファインケミカル:アルゴマー1000S)等、アルミニウムアルコラート類、例えば、アルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート(川研ファインケミカル:AIPD)、アルミニウム−sec−ブチレート(川研ファインケミカル:ASPD)、アルミニウムイソプロピレート−モノ−sec−ブチレート(川研ファインケミカル:AMD)等、アルミニウムアルキルアセテート類、例えばアルミニウム−ジ−n−ブトキサイド−エチルアセトアセテート(ホープ製薬:Chelope−A1−EB2)、アルミニウム−ジ−n−ブトキサイド−メチルアセトアセテート(ホープ製薬:Chelope−A1−MB2)、アルミニウム−ジ−iso−ブトキサイド−メチルアセトアセテート(ホープ製薬:Chelope−A1−MB12)、アルミニウム−ジ−iso−ブトキサイド−エチルアセトアセテート(ホープ製薬:Chelope−A1−EB102)、アルミニウム−ジ−iso−プロポキサイド−エチルアセトアセテート(ホープ製薬:Chelope−A1−EP12、川研ファインケミカル:ALCH)、アルミニウム−トリス(エチルアセトアセテート)(川研ファインケミカル:ALCH−TR)、アルミニウム−トリス(アセチルアセトナート)(川研ファインケミカル:アルミキレート−A)、アルミニウム−ビス(エチルアセトアセテート)−モノアセチルアセトナート(川研ファインケミカル:アルミキレートD)等、アルミニウム石鹸、例えばアルミニウムステアレート(日本油脂(株)製)、アルミニウムオレエート、アルミニウムナフテネート、アルミニウムラウレート等、およびアルミニウムアセチルアセトネート等を例示することができる。これらのゲル化剤は、ワニス100重量部に対し、0.1重量%から10重量%の範囲で通常使用される。
【0055】
また、その他のゲル化剤として、油脂類をゲル化せしめる性質を有する環状ジペプチド類、例えば特開平7−247473、特開平7−247474および特開平7−247475に記載の環状ジペプチド類、有機液体をゲル化せしめる性質を有するビスアミド類、例えば特開平5−320617に記載のエチレンビス(12−ヒドロキシオクタデカン酸)アマイド等のビスアミド類、特開平1−164432記載の層構造を有する粉末状のアルミニウム−マグネシウム化合物、例えばAl−Mg−ヒドロキシカプリレート、Al−Mg−ヒドロキシミリステート、Al−Mg−ヒドロキシパルミテート、Al−Mg−ヒドロキシステアレート、Al−Mg−ヒドロキシベヘネート等を適宜使用することが可能である。
【0056】
さらに、本発明の樹脂は、沸点が140℃以下の脂肪族およびまたは脂環族炭化水素溶剤に、適当な粘度となるように溶解することによって、凸版、グラビア、あるいはフレキソ等の印刷インキとして使用し、紙等の基材に印刷することができる。
【0057】
【実施例】
次に具体例をもって、本発明を詳細に説明する。尚、例中「部」とは重量部を示す。
【0058】
樹脂の白濁温度は、樹脂2gと炭化水素溶剤18gとを試験管に入れ、ノボコントロール(Novocontrol)社製全自動濁点測定装置ケモトロニック(Chemotoronic)にて測定した。また、インキのタックは東洋精機(株)製インコメーターにてロール温度30℃、400rpm、1分後の値を測定した。
【0059】
製造例1
マルカレッツM510(丸善石油化学(株)製ジシクロペンタジエン樹脂:ジシクロペンタジエン/ペンタジエン=4/1重量比)190部、重合ロジン(ハリマ化成(株)製、2量体60%含有)285部、無水マレイン酸25部を、攪拌機、還流冷却管、温度計付きフラスコに仕込み、窒素ガスを吹き込みながら昇温加熱し、180℃で3時間反応させ、無水マレイン酸変性樹脂を得た。次いで、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール97部を添加し、水を分離除去しながら、240℃で10時間反応させ、酸価が18、白濁温度が75℃(日本石油(株)アロマフリーソルベント7号:AF7)、融点が152℃、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPC)におけるポリスチレン換算重量平均分子量(以下Mw)が3.4万の樹脂(A1)を得た。
【0060】
製造例2
製造例1と同様の装置に、マルカレッツM510を140部、重合ロジン325部、無水マレイン酸35部仕込み、窒素ガスを吹き込みながら昇温加熱し、180℃で3時間反応させ、無水マレイン酸変性樹脂を得た。次いで、2,2−ブチルエチル−1,3−プロパンジオール120部を添加し、水を分離除去しながら、240℃で10時間反応させ、酸価が21、白濁温度が72℃(AF7)、融点が155℃、Mwが4.7万の樹脂(A2)を得た。
【0061】
製造例3
製造例1と同様の装置に、マルカレッツM510を188部、重合ロジン282部、無水マレイン酸30部仕込み、窒素ガスを吹き込みながら昇温加熱し、180℃で3時間反応させ、無水マレイン酸変性樹脂を得た。次いで、1,9−ノナンジオール103部を添加し、水を分離除去しながら、240℃で10時間反応させ、酸価が17、白濁温度が92℃(AF7)、融点が162℃、Mwが5.4万の樹脂(A3)を得た。
【0062】
製造例4
製造例1において、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール97部を、1,1,1−トリメチロールプロパン60部に変えた他は同様の操作にて、酸価が18、白濁温度が89℃(AF7)、融点が160℃、Mwが5万の樹脂(A4)を得た。
【0063】
製造例5
製造例3において、1,9−ノナンジオールを103部を、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール60部、1,1,1−トリメチロールプロパン17部、2−エチルヘキシルアルコール3.4部に変えた他は同様の操作にて、酸価が21、白濁温度が74℃(AF7)、融点が154℃、Mwが4.1万のエステル変性炭化水素樹脂(A5)を得た。
【0064】
製造例6
製造例3において、1,9−ノナンジオールを103部を、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール96部、ラウリン酸9.6部に変えた他は同様の操作にて、酸価が22、白濁温度が67℃(AF7)、融点が145℃、Mwが3.5万の樹脂(A6)を得た。
【0065】
製造例7
製造例3において、1,9−ノナンジオールを103部を、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール81部、ペンタエリスリトール2.8部、リノール酸10部に変えた他は同様の操作にて、酸価が21、白濁温度が65℃(AF7)、融点が148℃、Mwが3.7万の樹脂(A7)を得た。
【0066】
製造例8
製造例3において、1,9−ノナンジオールを103部を、1,1,1−トリメチロールオクタン87部、1−トリデカノール14部、セバチン酸6.8部に変えた他は同様の操作にて、酸価が19、白濁温度が64℃(AF7)、融点が143℃、Mwが4.6万の樹脂(A8)を得た。
【0067】
製造例9
製造例3において、1,9−ノナンジオールを103部を、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール87部、1,1,1−トリメチロールプロパン5.4部、ドデセニル無水コハク酸8部に変えた他は同様の操作にて、酸価が19、白濁温度が63℃(AF7)、融点が150℃、Mwが5.2万の樹脂(A9)を得た。
【0068】
製造例10
製造例3において、1,9−ノナンジオールを103部を、1,4−ブタンジオール58部に変えた他は同様の操作にて、酸価が17、白濁温度が143℃(AF7)、融点が160℃、Mwが5.3万の樹脂(A10)を得た。
【0069】
製造例11
製造例1と同様の装置に、マルカレッツM510を475部、無水マレイン酸25部仕込み、窒素ガスを吹き込みながら昇温加熱し、180℃で3時間反応させ、無水マレイン酸変性樹脂を得た。次いで、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール27部を添加し、水を分離除去しながら、250℃で5時間反応させ、酸価が14、白濁温度が89℃(AF7)、融点が156℃、Mwが3.5万の樹脂(A11)を得た。
【0070】
製造例12
製造例1と同様の装置に、重合ロジン470部、無水マレイン酸30部仕込み、窒素ガスを吹き込みながら昇温加熱し、180℃で3時間反応させ、無水マレイン酸変性樹脂を得た。次いで、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール158部を添加し、水を分離除去しながら、240℃で15時間反応させ、酸価が22、白濁温度が67℃(AF7)、融点が161℃、Mwが5.1万の樹脂(A12)を得た。
【0071】
ゲルワニスの製造例
製造例13
攪拌機、冷却管、温度計付きフラスコに、製造例1で得られた樹脂(A1)50部、アマニ油15部、日本石油(株)製アロマフリーソルベント5号(AF5)34.5部、川研ファインケミカル(株)製ゲル化剤(ALCH)を0.5部を仕込み、窒素気流下で190℃で1時間加熱反応させ、ゲルワニス(B1)を得た。
【0072】
製造例14〜33
表1〜3に示した比率にて製造例2〜12で得られた樹脂(A2〜12)を製造例13と同様に反応させ、ゲルワニス(B2〜21)を得た。
【0073】
【表1】
Figure 2004115558
【0074】
【表2】
Figure 2004115558
【0075】
【表3】
Figure 2004115558
【0076】
実施例1
東洋インキ製造(株)製藍リオノールブルーFG7330を20部、製造例13で得られたゲルワニス(B1)76部、日本石油(株)製アロマフリーソルベント5号(AF5)3.1部、ナフテン酸マンガン0.9部を常法に従い3本ロールミルを用いて練肉し、タック9.4の枚葉印刷インキを作成した。
【0077】
実施例2〜4、比較例1〜3
表4に示した配合比率にて、実施例1と同様に練肉を行い、タック9.4の枚葉印刷インキを作成した。
【0078】
【表4】
Figure 2004115558
【0079】
実施例5〜8、比較例4〜6
表5に示した配合比率にて、実施例1と同様に練肉を行い、タック9.4のVOCフリー枚葉印刷インキを作成した。何れのインキも110℃1時間での加熱揮発分は1%以下であった。
【0080】
【表5】
Figure 2004115558
【0081】
実施例9
東洋インキ製造(株)製藍リオノールブルーFG7330を20部、製造例34で得られたゲルワニス(C12)21部、製造例35で得られたゲルワニス(C13)49部、日本石油(株)製アロマフリーソルベント4号(AF4)10部を常法に従い3本ロールミルを用いて練肉し、タック6.8のオフ輪印刷インキを作成した。
【0082】
実施例10〜12、比較例7〜9
表6に示した配合比率にて、実施例9と同様に練肉を行い、タックが6.8のオフ輪印刷インキを作成した。
【0083】
【表6】
Figure 2004115558
【0084】
枚葉印刷試験評価
実施例1〜8および比較例1〜6のインキを、三菱ダイヤI−4枚葉印刷機(三菱重工(株)製)にて10,000枚/時で用紙をSKコート 4/6 90kg(山陽国策(株)製)として各インキ2万枚の印刷試験を行い、印刷物のベタ着肉状態、光沢および地汚れの状態を比較した。湿し水はアクワマジックNS(東洋インキ製造(株)製)1.5%の水道水を用いて行い、水巾の下限付近での印刷状態の比較を行うために、水巾の下限値よりも2%高い水ダイヤル値で印刷を行った。結果を表7に示した。
【0085】
【表7】
Figure 2004115558
【0086】
(注1):(株)村上色彩技術研究所製光沢計グロスメーターモデルGM−26にて60°光沢を測定した。
【0087】
オフ輪印刷試験評価
実施例9〜12および比較例7〜9のインキを、三菱BT2−800NEOオフ輪印刷機(三菱重工(株)製)にて800rpmで用紙をNPIコート紙66.5kg(日本製紙(株)製)として各インキ2万枚の印刷試験を行い、印刷物のベタ着肉状態、光沢および地汚れの状態を比較した。湿し水はアクワマジックNS(東洋インキ製造(株)製)1.5%の水道水を用いて行い、水巾の下限付近での印刷状態の比較を行うために、水巾の下限値よりも2%高い水ダイヤル値で印刷を行った。結果を表8に示した。
【0088】
【表8】
Figure 2004115558
【0089】
(注1):(株)村上色彩技術研究所製光沢計グロスメーターモデルGM−26にて60°光沢を測定した。
【0090】
【発明の効果】
本発明に係わる、炭化水素樹脂と樹脂酸とからなる樹脂組成物に不飽和カルボン酸またはその無水物を反応させ、次いで長鎖脂肪族アルコールによりエステル変性することにより得られる樹脂は、非芳香族系溶剤や植物油に対する溶解性に優れており、非芳香族系溶剤および植物油を用いて調整された印刷インキ、さらには揮発性溶剤を含有せず植物油成分からなる印刷インキとして優れた印刷適性を提供することができる。また、樹脂構成成分として、フェノール樹脂を使用しないため、該樹脂を製造するに当たって必要とされるホルムアルデヒド類を使用することがないため、労働衛生環境の保全、ホルムアルデヒド含有液の処理コストの低減等を図ることが可能となる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で示される炭化水素樹脂(a)10〜70重量%と樹脂酸(b)30〜90重量%とからなる樹脂組成物に不飽和カルボン酸またはその無水物を反応させ、次いで長鎖脂肪族アルコールによりエステル変性することを特徴とする樹脂の製造法。
    一般式(1)
    Figure 2004115558
    (式中、Hは水素原子、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表し、mおよびnは0〜6の整数で、m+n=6である。)
  2. 樹脂酸(b)が、2量化付加樹脂酸を30重量%以上含有する樹脂酸である請求項1記載の樹脂の製造法。
  3. 長鎖脂肪族アルコールが、炭素数6〜20の脂肪族アルコールである請求項1または2記載の樹脂の製造法。
  4. 炭素数6〜20の脂肪族アルコールが、分岐アルキル基の総炭素数が4以上である請求項1ないし3いずれか記載の樹脂の製造法。
  5. さらに炭素数6以上のカルボン酸基含有化合物を反応させてなる請求項1ないし4記載の樹脂の製造法。
  6. 請求項1ないし5いずれか記載の製造法で得られた印刷インキ用樹脂。
  7. 請求項6記載の印刷インキ用樹脂と、植物油とを含有することを特徴とする印刷インキ。
  8. さらにナフテン系炭化水素溶剤およびまたはパラフィン系炭化水素溶剤を含有することを特徴とする請求項7記載の印刷インキ。
  9. 110℃1時間での加熱揮発分が1%以下である請求項7または8記載の印刷インキ。
  10. 基材上に請求項7ないし9いずれか記載の印刷インキを印刷してなる印刷物。
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