JP2007031402A - 多価フェノール化合物、化合物、ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらのエキシマレーザーより短波長のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
また、微細な寸法のパターンを形成可能なパターン形成材料の1つとして、膜形成能を有する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有する化学増幅型レジスト組成物が知られている。化学増幅型レジスト組成物には、露光によりアルカリ可溶性が低下するネガ型と、露光によりアルカリ可溶性が増大するポジ型とがある。
しかし、このようなパターン形成材料を用いてパターンを形成した場合、パターンの上面や側壁の表面に荒れ(ラフネス)が生じる問題がある。たとえばレジストパターン側壁表面のラフネス、すなわちラインエッジラフネス(LER)は、ホールパターンにおけるホール周囲の歪みや、ラインアンドスペースパターンにおけるライン幅のばらつき等の原因となるため、微細な半導体素子の形成等に悪影響を与えるおそれがある。
ラフネスの問題は、パターン寸法が小さいほど重大となってくる。そのため、例えば電子線やEUVによるリソグラフィーでは、数10nmの微細なパターン形成を目標としていることから、現状のパターンラフネスを越える極低ラフネスが求められている。
しかし、一般的に基材として用いられているポリマーは、分子サイズ(一分子当たりの平均自乗半径)が数nm前後と大きい。パターン形成の現像工程において、現像液に対するレジストの溶解挙動は通常、基材成分1分子単位で行われるため、基材成分としてポリマーを使う限り、さらなるラフネスの低減は極めて困難である。
T.Hirayama,D.Shiono,H.Hada and J.Onodera:J.Photopolym.Sci.Technol.17(2004)、p435 Jim−Baek Kim,Hyo−Jin Yun,Young−Gil Kwon:Chemistry Letters(2002)、p1064〜1065
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ポジ型レジスト組成物に使用できる低分子量の化合物、該化合物の原料として好適な多価フェノール化合物、前記化合物を含有するポジ型レジスト組成物、および該ポジ型レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
前記基材成分(A)が、下記一般式(II)で表される化合物(A1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
本発明の多価フェノール化合物(以下、多価フェノール化合物(I)という。)は、上記一般式(I)で表されるように、トリ(ヒドロキシフェニル)メタン骨格のヒドロキフェニル基の2つにR11とR12とが結合し、残りの1つのヒドロキフェニル基に任意にR13が結合した構造を有するトリ(ヒドロキシフェニル)メタン誘導体である。
qは1〜3の整数であり、好ましくは1または2であり、最も好ましくは1である。
rは1〜3の整数であり、好ましくは1または2であり、最も好ましくは1である。
p+q+rは5以下、すなわち3〜5の整数であり、好ましくは3または4であり、最も好ましくは3である。
sは1又は2である。本発明においては、特に、該多価フェノール化合物を用いて製造される化合物がレジスト組成物用として好適であるため、sが1であることが好ましい。
tは0〜3の整数であり、好ましくは0〜1であり、最も好ましくは0である。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状または分岐状の低級アルキル基、または炭素数5〜6の環状アルキル基が好ましい。
前記低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられ、これらの中でも、tert−ブチル基またはメチル基が好ましく、特にtert−ブチル基が好ましい。
前記環状アルキル基としてはシクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
R11〜R12の結合位置は、特に限定されないが、後述する一般式(I−1)で表される多価フェノール化合物のように、水酸基が結合した炭素原子に隣接する炭素原子の少なくとも一方に、R11またはR12が結合していることが好ましい。かかる構造を有することにより、後述する化合物(A1)を合成する際に、酸解離性溶解抑制基が導入される水酸基の位置の選択性が高まる。すなわち、R11〜R12が結合しているヒドロキシフェニル基の水酸基には、立体障害により、酸解離性溶解抑制基が導入されにくくなり、一方、R11〜R12が結合していないヒドロキシフェニル基の水酸基には、酸解離性溶解抑制基が導入されやすくなる。特に、後述する一般式(I−2)で表される多価フェノール化合物のように、水酸基が結合した炭素原子に隣接する炭素原子の両方にR11またはR12が結合していると、さらに選択性が向上するため好ましい。
R13は、任意の置換基であり、あってもなくてもよいが、R13を有さないことが好ましい。これにより、R11〜R12が結合していないヒドロキシフェニル基の水酸基に酸解離性溶解抑制基が導入されやすくなり、酸解離性溶解抑制基を導入する際の選択性が向上する。
また、同様の観点から、R13を有する場合においては、R13が嵩高くない基であるほど、上記と同様、酸解離性溶解抑制基を導入する際の選択性が向上するため好ましい。したがって、R13は、直鎖状のアルキル基が好ましく、また、炭素数が少ないほど好ましい。
ここで、アモルファスな膜とは、結晶化しない光学的に透明な膜を意味する。
スピンコート法は、一般的に用いられている薄膜形成手法の1つであり、当該化合物がスピンコート法によりアモルファスな膜を形成しうる材料であるかどうかは、8インチシリコンウエーハ上にスピンコート法により形成した塗膜が全面透明であるか否かにより判別できる。より具体的には、例えば以下のようにして判別できる。まず、当該化合物に、一般的にレジスト溶剤に用いられている溶剤を用いて、例えば多価フェノール化合物(I)100質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1570質量部の有機溶剤に溶解し、超音波洗浄器を用いて超音波処理(溶解処理)を施して溶解させ、該溶液を、ウェハ上に1500rpmにてスピンコートし、任意に乾燥ベーク(PAB,Post Applied Bake)を110℃、90秒の条件で施し、この状態で、目視にて、透明かどうかによりアモルファスな膜が形成されているかどうかを確認する。なお、透明でない曇った膜はアモルファスな膜ではない。
多価フェノール化合物(I)は、上述のようにして形成されたアモルファスな膜の安定性も良好であり、例えば上記PAB後、室温環境下で2週間放置した後でも、アモルファスな状態が維持されている。
本発明の化合物(以下、化合物(A1)という。)は、上記一般式(II)で表される化合物である。化合物(A1)は、式(II)に示すように、上記本発明の多価フェノール化合物(I)における水酸基の一部または全部が酸解離性溶解抑制基で保護された化合物に相当する。
かかる化合物(A1)は、たとえば酸発生剤成分(B)とともにポジ型レジスト組成物に配合された場合に、露光により酸発生剤成分(B)から発生した酸が作用すると、酸解離溶解抑制基が解離して、化合物(A1)全体がアルカリ不溶からアルカリ可溶性へ変化する。そのため、レジストパターンの形成において、該ポジ型レジスト組成物からなるレジスト膜を選択的に露光すると、または露光に加えて露光後加熱すると、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりポジ型のレジストパターンが形成できる。
酸解離溶解抑制基は、解離前は化合物(A1)全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、解離後は化合物(A1)全体をアルカリ可溶性へ変化させる基である。
酸解離性溶解抑制基としては、特に制限はなく、KrFやArF用の化学増幅型レジスト組成物に用いられるヒドロキシスチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂等において提案されているもののなかから適宜選択して用いることができる。
具体的には、第3級アルキル基、第3級アルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アルコキシアルキル基、環状エーテル基等が挙げられる。
ここで、本明細書および特許請求の範囲における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味する。「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを意味し、飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
第3級アルキルオキシカルボニル基における第3級アルキル基としては、上記と同様のものが挙げられる。第3級アルキルオキシカルボニル基として、具体的には、tert−ブチルオキシカルボニル基、tert−アミルオキシカルボニル基等が挙げられる。
環状エーテル基として、具体的には、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む基としては、ヘテロ原子自体であってもよく、また、ヘテロ原子と炭素原子および/または水素原子とからなる基、たとえばアルコキシ基等であってもよい。
水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む基で置換されたアルキル基の例としては、たとえば、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、同一の炭素原子に結合した2つの水素原子が1つの酸素原子で置換された基(すなわちカルボニル基(C=O)を有する基)、同一の炭素原子に結合した2つの水素原子が1つの硫黄原子で置換された基(すなわちチオカルボニル基(C=S)を有する基)等が挙げられる。
アルキル基の炭素原子の一部がヘテロ原子を含む基で置換されている基としては、たとえば、炭素原子が窒素原子で置換されている例(たとえば、その構造中に−CH2−を含む分岐状または環状のアルキル基において該−CH2−が−NH−で置換された基)や、炭素原子が酸素原子で置換されている例(たとえば、その構造中に−CH2−を含む分岐状または環状のアルキル基において該−CH2−が−O−で置換された基)等が挙げられる。
R1としての分岐状のアルキル基は、炭素数が4〜10であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。具体的には、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられ、tert−ブチル基であることが好ましい。
該環状のアルキル基における基本環(置換基を除いた基本の環)の構造は、単環でも多環でもよく、特に、本発明の効果に優れることから、多環であることが好ましい。また、基本環は、炭素および水素から構成された炭化水素環であってもよく、炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された複素環であってもよい。本発明においては、特に、基本環が炭化水素環であることが好ましい。炭化水素環の具体例としては、たとえば、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンが挙げられる。これらのなかでも、アダマンタン、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンが好ましく、特にアダマンタンが好ましい。
これらの基本環は、その環上に置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、低級アルキル基、フッ素原子、フッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。該低級アルキル基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。基本環が置換基を有する場合、置換基の数は、1〜3が好ましく、1がより好ましい。ここで、「置換基を有する」とは、基本環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていることを意味する。
R1の環状のアルキル基としては、これらの基本環から1つの水素原子を除いた基が挙げられる。R1においては、該R1に隣接する酸素原子が結合する炭素原子が、上記のような基本環を構成する炭素原子の1つであることが好ましく、特に、R1に隣接する酸素原子に結合する炭素原子が、低級アルキル基等の置換基が結合した第3級炭素原子であることが、本発明の効果に優れ、好ましい。
特に、上述した多価フェノール化合物(I−1)、(I−2)のように、水酸基が結合した炭素原子に隣接する炭素原子の少なくとも一方にR11が結合している多価フェノール化合物を用いて化合物(A1)を合成する場合、さらに選択性が向上するため好ましい。
R3は水素原子または低級アルキル基である。R3の低級アルキル基は、炭素原子数1〜5のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。R3としては、工業上入手しやすい点で、水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子であることがより好ましい。
R2が環状アルキル基である式(p2)で表される基としては、たとえば、下記式で表される基が挙げられる。
本発明においては、当該化合物(A1)を用いて得られるポジ型レジスト組成物が感度等のリソグラフィー特性に優れることから、R21〜R23のうちの1つが酸解離性溶解抑制基であり、かつ他の2つが水素原子であることが好ましい。特に、R23が酸解離性溶解抑制基であり、かつR21およびR22が水素原子である化合物は、リソグラフィー特性に優れることに加え、合成し易いことから最も好ましい。
化合物(A1)は、酸解離性溶解抑制基の結合位置が異なる複数の構造異性体の混合物であってもよい。
たとえば解像性、ラフネス低減効果を考慮すると、保護率(モル%)は、5〜50モル%が好ましく、7〜45モル%がより好ましく、15〜45モル%がさらに好ましい。
X−R24 …(III)
式(III)中、Xはハロゲン原子であり、R24は酸解離性溶解抑制基である。
Xのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等が挙げられる。
R24の酸解離性溶解抑制基は上記と同様である。
通常、低分子量の化合物と有機溶剤とのみを用いてスピンコート法による成膜を行った場合、膜にならなかったり、膜になったとしてもその添加量によって結晶性が高くなり、膜の透明性が低下して膜が曇ってしまい、アモルファスな膜が形成できない等の成膜性の問題がある。しかし、化合物(A1)は、成膜性が良好であり、その添加量も特に制限されないため、後述するように、ポジ型レジスト組成物の基材成分として、または溶解抑制剤として好適に使用できる。
化合物(A1)は、上述のようにして形成されたアモルファスな膜の安定性も良好であり、例えば上記PAB後、室温環境下で2週間放置した後でも、アモルファスな状態が維持されている。
化合物(A1)からなる溶解抑制剤をポジ型レジスト組成物に配合することにより、該ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜の露光前のアルカリ溶解性が抑制される。そのため、該レジスト膜を選択的に露光した際に、露光部と未露光部との間のアルカリ溶解性の差(溶解コントラスト)が大きくなり、解像性や形状が良好なレジストパターンが形成できる。
かかる溶解抑制剤は、酸解離性溶解抑制基を有する樹脂成分と酸発生剤成分とを含む2成分系の化学増幅型レジスト組成物に添加して用いることもできるし、当該溶解抑制剤を、酸解離性溶解抑制基を有さない樹脂成分と酸発生剤成分とともに配合した、いわゆる3成分系の化学増幅型のレジスト組成物としても用いることができる。
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する基材成分(A)(以下、(A)成分ということがある)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分ということがある)とを含むものである。
前記(A)成分においては、露光により前記(B)成分から発生した酸が作用すると、(A)成分全体がアルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。そのため、レジストパターンの形成において、該レジスト組成物からなるレジスト膜を選択的に露光すると、または露光に加えて露光後加熱すると、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりポジ型のレジストパターンが形成できる。
本発明のポジ型レジスト組成物においては、(A)成分が、上記本発明の化合物(A1)を含有する必要がある。
化合物(A1)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中、化合物(A1)の割合は、40質量%超であることが好ましく、50質量%超であることがより好ましく、80質量%超がさらに好ましく、最も好ましくは100質量%である。
(A)成分中の化合物(A1)の割合は、逆相クロマトグラフィー等の手段により測定することができる。
かかる樹脂成分としては、例えば従来の化学増幅型のKrF用ポジ型レジスト組成物、ArF用ポジ型レジスト組成物等のベース樹脂として提案されているものが挙げられ、レジストパターン形成時に用いる露光光源の種類に応じて適宜選択できる。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
前記直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また。該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中全水素原子の個数に対する置換したフッ素原子の個数の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R51としては、直鎖状のアルキル基またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R52において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。
R52において、アルキル基は、直鎖または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52において、ハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。ここでのアルキル基は、前記R52における「アルキル基」と同様のものが挙げられる。置換するハロゲン原子としては上記「ハロゲン原子」について説明したものと同様のものが挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが望ましく、全て置換されていることがより好ましい。
R52において、アルコキシ基としては、直鎖状または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52としては、これらの中でも水素原子が好ましい。
置換基としては、水酸基、低級アルキル基(直鎖または分岐鎖状であり、その好ましい炭素数は5以下であり、特にメチル基が好ましい)などを挙げることができる。
R53のアリール基としては、置換基を有しないものがより好ましい。
u’’は1〜3の整数であり、2または3であることが好ましく、特に3であることが望ましい。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n‐ブチル基、tert‐ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
前記直鎖のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R1”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また。該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4”としては、直鎖または環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
R31の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが好ましい。
R34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、部分的にフッ素化されたアルキル基が最も好ましい。
R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p’’は好ましくは2である。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
(B)成分としては、1種の酸発生剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜15質量部とされる。上記範囲とすることでパターン形成が十分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
ポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良く、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げらる。
これらの中でも、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましく、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−オクチルアミンが最も好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられる。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類及びその誘導体;
エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体;
ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
本発明のレジストパターン形成方法は、上記本発明のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むことを特徴とする。
より具体的には、例えば以下の様なレジストパターン形成方法によりレジストパターンを形成することができる。すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、任意にプレベーク(PAB)を施してレジスト膜を形成する。形成されたレジスト膜を、例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、マスクパターンを介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等により選択的に露光した後、PEB(露光後加熱)を施す。続いて、アルカリ現像液を用いて現像処理した後、リンス処理を行って、基板上の現像液および該現像液によって溶解したレジスト組成物を洗い流し、乾燥させて、レジストパターンを得る。
これらの工程は、周知の手法を用いて行うことができる。操作条件等は、使用するポジ型レジスト組成物の組成や特性に応じて適宜設定することが好ましい。
露光光源は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、電子線、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。特に、本発明にかかるポジ型レジスト組成物は、ArFエキシマレーザー、電子線またはEUV、特に電子線に対して有効である。
なお、場合によっては、上記アルカリ現像後ポストベーク工程を含んでもよいし、基板とレジスト膜との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けてもよい。
また、本発明の多価フェノール化合物(I)は、かかる化合物(A1)の製造において有用である。
そして、上記ポジ型レジスト組成物を用いることにより、実際に使用できるレベルでレジストパターンを形成できる。また、化合物(A1)が低分子化合物であることから、化合物(A1)を(A)成分として用いたポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジストパターンは、ラフネスの低減されたものである。
なお、下記合成例において、t−Buはtert−ブチル基を表す。
30gの4−ヒドロキシベンズアルデヒド(1)を300gのメタノール(MeOH)に溶かし、75gの2,6−ジメチルフェノール(2)を加え、そこへ70gの35質量%塩化水素水溶液(HClaq.)を加え、60℃で3日間反応させた。
反応終了後、反応液を室温に戻し、水酸化ナトリウムで中和(pH試験紙で中性を確認)し、水/酢酸エチル(質量比1:1)にて抽出し、酢酸エチル溶液を硫酸ナトリウムにて乾燥後、カラムクロマトグラフィ(充填剤としてSiO2、展開溶剤としてヘプタン:酢酸エチル=2:1(質量比)を使用。)を行い、減圧濃縮して、69gの多価フェノール化合物(3)を得た。
20gの4−ヒドロキシベンズアルデヒド(1)を300gのメタノールに溶かし、120gの2,6−ジ(tert−ブチル)フェノール(4)を加え、そこへ70gの35質量%塩化水素水溶液(HClaq.)を加え、60℃で3日間反応させた。
反応終了後、反応液を室温に戻し、水酸化ナトリウムで中和し、水/酢酸エチル(質量比1:1)にて抽出し、酢酸エチル溶液を硫酸ナトリウムにて乾燥後、カラムクロマトグラフィ(充填剤としてSiO2、展開溶剤としてヘプタン:酢酸エチル=2:1(質量比)を使用。)を行い、減圧濃縮して、60gの多価フェノール化合物(5)を得た。
1H−NMRデータ(重DMSO、内部標準:テトラメチルシラン、400MHz):δ(ppm)=9.10 s 1H(Ha),6.92 s 4H(Hb),6.89 d Jce=8.4Hz(Hc),6.70 s 2H(Hd),6.65 d Jec=8.4Hz(He),5.16 s 1H(Hf),1.31 s 36H(Hg)。
この結果から、化合物(5)が下記に示す構造を有することが確認できた。
3.48gの多価フェノール化合物(3)を30gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、0℃にて、0.44gの60質量%水素化ナトリウム(NaH)溶液を加えて10分撹拌した。そこへ1.04gのクロロメチルエーテル(6)を加え、0℃にて15時間反応させた。反応終了後、水/酢酸エチル(質量比1:1)にて抽出し、酢酸エチル溶液を硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、3.4gの化合物(7)を得た。
1H−NMRデータ(重DMSO、内部標準:テトラメチルシラン、400MHz):δ(ppm)=9.12−9.21 m 0.5H,7.90−8.08 m 1.50H,6.54−7.03 m 8H,4.90−5.28 m 3.00H,3.59−3.79 m 2H,2.05−2.17 m 12H,1.08−1.20 m 3H。
この結果から、化合物(7)の保護率(式(7)中のRのうち、1−エトキシメチル基である割合)が33%であることがわかった。
2gの多価フェノール化合物(5)を20gのTHFに溶解し、0℃にて、0.15gの60質量%NaH溶液を加えて10分撹拌した。そこへ0.38gのクロロメチルエーテル(6)を加え、0℃にて15時間反応させた。反応終了後、水/酢酸エチル(質量比1:1)にて抽出し、酢酸エチル溶液を硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、1.9gの化合物(8)を得た。
1H−NMRデータ(重DMSO、内部標準:テトラメチルシラン、400MHz):δ(ppm)=9.12 s 0.10H,6.63−7.20 m 8.87H,5.24−5.30 m 1H,5.13−5.20 m 1.94H,3.52−3.83 m 1.94H,1.52−1.13 m 38.91H。
この結果から、化合物(8)の保護率(式(8)中のRのうち、1−エトキシメチル基である割合)が33%であることがわかった。
2gの多価フェノール化合物(5)を15gのTHFに溶解し、0℃にて、0.16gの60質量%NaH溶液を加えて10分撹拌した。そこへ1.12gのブロモ酢酸−2−メチル−2−アダマンチル(9)を加え、室温(r.t)にて10時間反応させた。反応終了後、水/酢酸エチル(質量比1:1)にて抽出し、酢酸エチル溶液を硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、1.9gの化合物(10)を得た。
1H−NMRデータ(重DMSO、内部標準:テトラメチルシラン、400MHz):δ(ppm)=6.98 d Jac=8.8Hz(Ha),6.91 s 4H(Hb),6.82 d Jca=8.8Hz(Hc),6.73 s 2H(Hd),5.24 s 1H(He),4.65 s 2H(Hf),1.15−2.19 m 43H(Hg)。
この結果から、化合物(10)が下記に示す構造を有することが確認できた。
4gの多価フェノール化合物(5)を25gのTHFに溶解し、0℃にて、0.32gの60質量%NaH溶液を加えて10分撹拌した。そこへ1.56gのブロモ酢酸−tert−ブチル(11)を加え、0℃にて10時間反応させた。反応終了後、水/酢酸エチル(質量比1:1)にて抽出し、酢酸エチル溶液を硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、4.1gの化合物(12)を得た。
1H−NMRデータ(重DMSO、内部標準:テトラメチルシラン、400MHz):δ(ppm)=6.98 d Jac=8.8Hz(Ha),6.91 s 4H(Hb),6.80 d Jca=8.8Hz(Hc),6.73 s 2H(Hd),5.25 s 1H(He),4.59 s 2H(Hf),1.39 s 9H(Hg),1.31 s 36H(Hh)。
この結果から、化合物(12)が下記に示す構造を有することが確認できた。
(A)成分として化合物(10)を100質量部と、(B)成分としてトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネートを10質量部と、トリ−n−オクチルアミン1質量部とを、PGMEA:EL=6:4(質量比)の混合溶剤1370質量部に溶解してポジ型レジスト組成物を調製した。
得られたポジ型レジスト組成物を用いて、下記の手順で、露光量の変化に対するレジスト膜の残膜率の変化(レジスト膜の溶解速度の変化)を示すグラフ(感度曲線)を作成した。
<感度曲線>
ポジ型レジスト組成物溶液を、ヘキサメチルジシラザン処理を施した8インチシリコン基板上に、スピンナーを用いて均一に塗布し、110℃、90秒間のプレベーク(PAB)条件でPAB処理を行ってレジスト膜(膜厚150nm)を成膜した。
該レジスト膜に対し、露光量(μC/cm2)を変化させて、電子線描画機(製品名:HL−800D(VSB)(日立社製)、加速電圧70kV)にて描画(露光)を行い、110℃にて90秒間のベーク(PEB)条件でPEB処理を行い、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38質量%水溶液(23℃)にて60秒間の現像を行った後、純水にて30秒リンスした。
各露光量において、露光部の現像後の膜厚(nm)を測定し、下記式からレジスト膜の残膜率を求め、横軸に露光量、縦軸に残膜率をとって感度曲線を作成した。その結果を図1に示す。
残膜率=現像後のレジスト膜厚(nm)/現像前のレジスト膜厚(=150nm)
実施例1において、化合物(10)に代えて化合物(12)を用いた以外は実施例1と同様にしてポジ型レジスト組成物を調製し、感度曲線を求めた。その結果を図2に示す。
この結果から、本発明の化合物(10),(12)が、膜を形成可能であり、酸の作用によってアルカリ溶解性が増大する材料であり、ポジ型レジスト組成物において、基材成分または溶解抑制剤として機能することが確認できた。
Claims (8)
- 酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する基材成分(A)、および放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記基材成分(A)が、下記一般式(II)で表される化合物(A1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
- さらに、含窒素有機化合物(D)を含有する請求項5または6記載のポジ型レジスト組成物。
- 請求項5〜7のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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