JP2007031336A - 油中水型皮膚外用剤 - Google Patents
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ポリグリセリン誘導体
本発明にかかる油中水型皮膚外用剤において用いられるポリグリセリン誘導体は、下記一般式(1)で示されるものである。
検出器:FID
カラム:HP-5 Crosslinked 5% PH ME Siloxane 0.25μm×30m
カラム温度:80℃→320℃(15℃/min) 320℃,25min
注入口温度:320℃
検出器温度:320℃
キャリアガス:ヘリウム
流速:23cm/sec
注入量:0.2μL
スプリット比:スプリットレス
1)平均重合度3から6のポリグリセリンを酸触媒の存在下でケタール化剤もしくはアセタール化剤を反応させポリグリセリンジケタール化合物もしくはジアセタール化合物を得る。
2)続いてアルカリ触媒の存在下で炭素数3から4のアルキレンオキシドの付加反応を行なう。さらに必要であればアルカリ触媒存在下でアルキル(アルケニル)ハライドなどを反応させ、オキシアルキレン基末端をアルキル(アルケニル)エーテル化する。
3)その後酸触媒の存在下で脱ケタール化もしくは脱アセタール化を行なう。
本発明にかかる油中水型皮膚外用剤においては、前記特定構造のポリグリセリン誘導体を配合することにより、油分として極性油分を配合した場合の乳化安定性に極めて優れているものである。このため、本発明にかかる油中水型皮膚外用剤においては、さらに極性油分を含有している場合に特に有用性が高い。本発明に用いられる極性油性成分としては、特に限定されるものではないが、IOB値が0.05〜0.80であることが好ましい。
IOB値=無機性値/有機性値
として表される。ここで、「無機性値」、「有機性値」のそれぞれについては、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、同水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子又は官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定されており、有機化合物中の全ての原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することによって、当該有機化合物のIOB値を算出することができる(例えば、藤田著、「化学の領域」第11巻、第10号、第719頁〜第725頁、1957年参照)。
また、本発明にかかる油中水型皮膚外用剤においては、前記特定構造のポリグリセリン誘導体を配合することにより、油分としてシリコーン油を配合した場合の乳化安定性に極めて優れているものである。このため、本発明にかかる油中水型皮膚外用剤においては、さらにシリコーン油を含有している場合に特に有用性が高い。
シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサンなどの環状ポリシロキサン等が挙げられる。
また、本発明にかかる油中水型皮膚外用剤において、前記必須成分とともに、常温で固体の紫外線吸収剤を好適に配合することができる。本発明に用いられる常温で固体の紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ビス−[{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン{商品名:チノソーブS(チバ社)}、2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2'−エチルヘキシル−1'−オキシ)−1,3,5−トリアジン{(商品名:ユビナールT150(BASF社)}、1−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]−3−(4−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン{商品名:パルソール1789(ロシュ社)}等が挙げられる。
また、本発明にかかる油中水型皮膚外用剤において、前記必須成分とともに、紫外線散乱剤を好適に配合することができる。本発明に用いられる紫外線散乱剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機粉末、あるいはこの無機粉末の表面をアルミニウムステアレート、ジンクパルミテート等の脂肪酸石けん、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、パルミチン酸デキストリン等の脂肪酸エステル等により被覆した表面被覆無機粉末が挙げられる。
まず最初に、本発明に用いたポリグリセリン誘導体の製造方法について説明する。
四つ口フラスコにトリグリセリン(SOLVAY製「Triglycerin>80%」:純度83%)240g、2,2−ジメトキシプロパン364g、パラトルエンスルホン酸1.5mgを仕込み、反応系内を窒素ガスで置換後50℃で3時間反応させた。反応後窒素気流下で未反応揮発分を加熱留去し、酢酸を加えてpH7に合わせ、トリグリセリンジケタール化物を得た。なお、トリグリセリンの純度は、前述のガスクロマトグラフィー分析条件により測定した。また、原料のトリグリセリンと生成物のIR分析を比較した場合、生成物には3500cm−1付近の水酸基のピークが小さくなっており、代わりに2960cm−1、2870cm−1、1460cm−1、1380cm−1付近のピークが出現していることから、目的物質が得られていることを確認した。
トリグリセリンジケタール化物320gと水酸化カリウム12gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりブチレンオキシド1800gを滴下させ、2時間攪拌した。次に、水酸化カリウム168.3gを仕込み、系内を乾燥窒素で置換した後、塩化メチル151.5gを温度80〜130℃で圧入し5時間反応させた。その後オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7とし、含有する水分を除去するため減圧、100℃で1時間処理した。さらに処理後生成した塩を除去するため濾過を行い、オキシブチレン化トリグリセリンジケタール化物を得た。
四つ口フラスコにオキシブチレン化トリグリセリンジケタール化物2134g、36%塩酸50g、水100gを仕込み、密封状態で80℃、2時間脱ケタール反応を行った。次いで水酸化カリウム水溶液でpH6〜7に合わせ、含有する水分を除去するため減圧、100℃で1時間処理した。さらに処理後生成した塩を除去するため濾過を行い、ポリオキシブチレン(25モル)メチルトリグリセリルエーテルを得た。
分析機器 :SHODEX GPC SYSTEM−11(昭和電工社製)
標準物質 :ポリエチレングリコール
サンプルサイズ :10%×100×0.001mL
溶離液 :THF
流速 :1.0mL/min
カラム :SHODEX KF804L(昭和電工社製)
カラムサイズ :I.D.8mm×30cm×3
カラム温度 :40℃
検出器 :RI×8
また、オキシブチレン化トリグリセリンジケタール化物と生成物のIR分析を比較した場合、生成物では3500cm−1付近の水酸基のピークが大きくなっていることから、目的物質が得られていることを確認した。
上記合成例1の手順のうち、1)ケタール化反応を下記の通りに変更して合成を行ない、ポリオキシブチレン(25モル)メチルトリグリセリルエーテルを得た。その他条件等は合成例1に準じた。
四つ口フラスコにトリグリセリン(SOLVAY製「Triglycerin>80%」:純度83%)240g、アセトン290g、パラトルエンスルホン酸4mgを仕込み、反応系内を窒素ガスで置換後70℃で8時間反応させた。反応後窒素気流下で未反応揮発分を加熱留去し、酢酸を加えてpH7に合わせ、トリグリセリンジケタール化物を得た。
トリグリセリンジケタール化物320gと水酸化カリウム20gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりブチレンオキシド3600gを滴下させ、2時間攪拌した。その後オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7とし、含有する水分を除去するため減圧、100℃で1時間処理した。さらに処理後生成した塩を除去するため濾過を行ない、オキシブチレン化トリグリセリンジケタール化物を得た。
四つ口フラスコにオキシブチレン化トリグリセリンジケタール化物を3920g、36%塩酸70g、水200gを仕込み、密封状態で80℃、3時間脱ケタール反応を行った。次いで水酸化カリウム水溶液でpH6〜7に合わせ、含有する水分を除去するため減圧、100℃で1時間処理した。さらに処理後生成した塩を除去するため濾過を行い、ポリオキシブチレン(50モル)トリグリセリルエーテルを得た。
本発明者らは、まず最初に、上記合成例に準じてポリグリセリン誘導体を調製し、当該ポリグリセリン誘導体を乳化剤として配合した油中水型皮膚外用剤(日焼け止めクリーム)と、従来の界面活性剤を配合した油中水型皮膚外用剤との比較を行った。各実施例及び比較例の油中水型皮膚外用剤の配合組成と評価結果とを下記表1に併せて示す。なお、配合量は全て質量%である。評価基準は以下の通りである。
各実施例及び比較例の油中水型皮膚外用剤について、製造直後、及びガラス瓶に充填し50℃で2週間放置後、下記の3段階の基準に基づいて、目視観察により乳化安定性の評価を行なった。
○:乳化状態が良好であった。
△:油相もしくは水相のわずかな分離が見られる。
×:油相もしくは水相がかなり分離している。
つづいて、本発明者らは、ポリグリセリン誘導体の好適な配合量について検討するため、ポリグリセリン誘導体の配合量を各種変化させた油中水型皮膚外用剤について、上記試験と同様にして評価を行なった。各実施例及び比較例の油中水型皮膚外用剤の配合組成と評価結果とを下記表3に併せて示す。なお、使用性についての評価基準は以下の通りである。
各実施例及び比較例の油中水型皮膚外用剤について、男女5名計10名のパネルに実際に使用して使用感について評価してもらい、下記の3段階の基準に基づいて、評価を行なった。
<評価基準>
○:7名以上の人が良好と評価した。
△:2名以上7名未満の人が良好と評価した。
×:2名未満の人が良好と評価した。
また、上記試験において優れた乳化安定性が認められた実施例1−3の油中水型皮膚外用剤(日焼け止めクリーム)を用いて、紫外線遮蔽効果の評価を行なった。試験内容は以下の通りである。
高精度in vitro SPF測定システム(特開平7−167781号公報参照)により、SPF値及びPFA値の測定を行なった。
具体的には、光源としてソーラーシュミレーター(Solar Ultraviolet Simulator Model 600:Solar Light Co.)を使用し、塗布体として用いたトランスポアテープTM(3M Co.)に、試験品を2.0mg/cm2の塗布量で均一に塗布し、紫外線を照射した。そして、その透過紫外線スペクトルの演算処理を行ない、SPF値とPFA値を算出した。結果を下記表4に示す。
(A)
ポリオキシブチレン(25モル)メチルトリグリセリルエーテル 3.0
安息香酸アルキル(C12〜15) 10.0
トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリエル 10.0
2−オクチルドデカノール 5.0
オクチルメトキシケイ皮酸 5.0
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 1.0
香料 適 量
(B)
ブチレングリコール 5.0
精製水 残 量
<製造方法> (A)成分を70℃に加温し、溶解した後に、(B)相を70℃に加温して、ディスパー攪拌下で、(A)相へ添加し、十分混合する。その後、30℃まで冷却して、経時的安定性が良好であり、のびの良い油中水型のサンスクリーンクリームを得た。
(A)
ポリオキシブチレン(25モル)メチルトリグリセリルエーテル 2.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 15.0
テトラオクタン酸ペンタエリスリチル 5.0
トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 5.0
ワセリン 1.0
香料 適 量
(B)
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 5.0
ポリエチレングリコール6000 1.0
L−グルタミン酸ナトリウム 1.0
精製水 残 量
<製造方法> (A)成分を70℃に加温し溶解した後に、(B)相を70℃に加温して、ホモミキサー処理下で(A)相へ添加し、十分混合する。その後、30℃まで冷却して、経時的安定性が良好であり、さっぱりとした使用感を有する油中水型の保湿クリームを得た。
Claims (9)
- 請求項1に記載の油中水型皮膚外用剤において、さらに極性油分を含有することを特徴とする油中水型皮膚外用剤。
- 請求項2に記載の油中水型皮膚外用剤において、前記極性油分が、IOBが0.05〜0.80である極性油分の中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする油中水型皮膚外用剤。
- 請求項3に記載の油中水型皮膚外用剤において、前記極性油分が、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、ジピバリン酸トリプロピレングリコール、オクタン酸セチル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタンエリスリット、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、安息香酸(炭素数12〜15)アルキル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、コハク酸ジ2−エチルヘキシルから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする油中水型皮膚外用剤。
- 請求項1から4のいずれかに記載の油中水型皮膚外用剤において、さらにシリコーン油を含有することを特徴とする油中水型皮膚外用剤。
- 請求項1から5のいずれかに記載の油中水型皮膚外用剤において、さらに常温で固体の紫外線吸収剤を含有することを特徴とする油中水型皮膚外用剤。
- 請求項6に記載の油中水型皮膚外用剤において、前記常温で固体の紫外線吸収剤が、2,4−ビス−[{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2'−エチルヘキシル−1'−オキシ)−1,3,5−トリアジン、及び/又は1−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]−3−(4−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオンであることを特徴とする油中水型皮膚外用剤。
- 請求項1から7のいずれかに記載の油中水型皮膚外用剤において、さらに紫外線散乱剤を含有することを特徴とする油中水型皮膚外用剤。
- 請求項1から8のいずれかに記載の油中水型皮膚外用剤において、日焼け止めに用いることを特徴とする日焼け止め用皮膚外用剤。
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