JP2007030718A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 湿潤路面での制動性能に優れる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】 タイヤ周方向に沿って延びる複数の主溝と複数の横溝とによって区画される複数のブロックをトレッド12に備えた空気入りタイヤ10であって、ブロックの蹴出側壁18Eに沿ってタイヤ幅方向に延びる蹴出側突起部28が設けられている。ブロックの高さをH0、ブロックの踏面18Aから蹴出側突起部28の突起頂点28Aまでのブロック高さ方向の距離をHとしたとき、0<H<H0/2を満たす。湿潤路面走行中に、制動力Fが作用すると、ブロックは倒れ込み蹴出側突起部28は湿潤路面に接地してブロックの蹴出端18Dより先に湿潤路面の水膜を掃く。これにより、湿潤路面とブロックの踏面18Aとの接地性が向上し、摩擦係数も向上するので制動性能に優れる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、特に装着車両の湿潤路面での制動性能を向上させる空気入りタイヤに関する。
近年、ブレーキ装置の制動力を高める手段としてアンチロックブレーキシステム(以下、「ABS」という。)を備えた車両が普及している。ABSには様々な方式が存在するが、いずれも制動中に車輪速度を計測し、タイヤがロックする前にブレーキを緩和し、再度ブレーキをかけるという動作を、繰り返し制御することにより、制動距離の短縮、制動中の車両挙動を安定させるシステムである。このABSの制動性能を向上させるために、従来は、トレッドゴムを変更したり、パターン剛性を高めるといった手法が用いられてきた(例えば特許文献1参照)。
特開2002−248904公報
しかしながら、制動性能を向上させようとしてトレッドゴムを変更した場合には、転がり抵抗の増大を招く等の問題を招くことが多かった。また、制動性能を向上させようとして、単にブロック剛性を高めた場合には、一般にタイヤ軸方向のエッジ成分が減少したり、ネガティブ(溝部)面積が減少したりして、湿潤路面での操縦安定性が悪化する等の問題があった。
なお、上記した従来例は、湿潤路面での操縦安定性を悪化させることなく制動性能を向上させようとする技術であるが、これはパターン剛性が大きいタイヤを前輪に用い、パターン剛性が小さいタイヤを後輪に用いているものである。
本発明は、上記事実を考慮し、湿潤路面での制動性能に優れる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
タイヤの制動力Fは、摩擦係数をμ、荷重をWとすると、簡単にはF=μWで記述される。摩擦係数μの大小に大きな影響を与える要因の一つに、トレッドの陸部(ブロック)剛性がある。制動時には、該陸部に対して蹴出し側(後に接地する側)から踏込み側(先に接地する側)へ向かう力が作用するため、該陸部が剪断変形及び曲げ変形をする。特に、蹴出端では、曲げモーメントの入力によりこの変形が顕著となる。具体的には、曲げモーメントの入力により、陸部の蹴出端が倒れこみ、該蹴出端の壁面(横方向溝に面している)が路面に接地し、該蹴出端が陸部内に潜り込む挙動を示す。このとき、圧縮、曲げ、及び回転成分等が複雑に作用し、路面と接地した陸部側壁近傍でゴムが接地路面から浮いてしまう現象が発生する。
この際に、陸部剛性が小さいと、曲げ変形が増大してしまい、蹴出端の倒れ込みが顕著となり、接地性が悪化して荷重Wが減少し、摩擦係数μが低下する。また、蹴出し側の側壁も接地するため、特に湿潤路面において該壁面と路面との間に水が介在して、より一層摩擦係数μが低下する。その一方で、陸部剛性を大きくしようとすると、一般にタイヤ軸方向のエッジ成分が減少したり、ネガティブ(溝部)面積が減少したりして、湿潤路面での操縦安定性が悪化する等の問題がある。
前記問題を解決すべく、本発明の請求項1に係る空気入りタイヤは、タイヤ周方向に沿って延びる複数の周方向主溝と、前記周方向主溝に交差する複数の横方向溝とによって区画された複数の陸部をトレッドに備えた空気入りタイヤであって、前記陸部の踏込み側の側壁及び蹴出し側の側壁の少なくとも前記蹴出し側の側壁にタイヤ幅方向に延びる突起部が設けられ、前記陸部の高さをH0、前記陸部の踏面から前記突起部の突起頂点までの陸部高さ方向の距離をHとしたとき、H<H0/2を満たすことを特徴とする。
陸部は、陸部踏面に垂直荷重を加えると深さ方向へ撓むが、ゴムの非圧縮性により撓んだ分の体積が該陸部の各壁面へ膨出する。この膨出の形態は、三角関数で近似でき、以下に(1)として示す。陸部踏面を原点とした深さ方向座標をy、陸部の周方向長さをa、陸部の深さ(又は高さ)をH0、蹴出し側の側壁(又は踏込み側の側壁)の膨出量をuとしたとき、膨出量uは式(1)で算出することができる。
Figure 2007030718
(1)式から、膨出量uの最大値は、陸部の深さ方向の中央付近となることが分かる。
次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。陸部踏面に垂直荷重が作用すると、該陸部の蹴出し側の側壁及び踏込み側の側壁が膨出する(膨出量uは、式(1)で求めることができる)。このとき、突起部は膨出する該壁面の角度変化により、突起頂点の位置と方向とが変化させられる。ここで、該突起部の距離Hが、H<H0/2であれば、突起頂点は路面側に向き、この状態で該陸部に制動力が作用すると、該陸部は、蹴出し側の側壁が路面に接地する方向に倒れ込み、該突起部が路面に接地することが可能となる。H≧H0/2であれば、突起頂点は路面側を向かず、制動力が作用しても路面と接地することは難しい。従って、距離Hの値はH<H0/2の範囲で設定することが好ましい。
湿潤路面走行中に、制動力を作用させた場合、陸部は倒れ込み、突起部が湿潤路面に接地して該陸部の蹴出端より先に湿潤路面の水膜を掃く。これにより、該陸部の踏面と路面との間に水が介在し難くなる。従って、該陸部の踏面と路面との接地性が向上して摩擦係数も向上するため制動性能に優れる。
また、陸部に制動力が作用して突起部が湿潤路面と接地すると、優れた制動性能が発揮されるので、制動性能向上を狙って、該陸部にタイヤ軸方向のエッジを設けたり、ネガティブ(溝部)面積を減少させなくても、通常走行時は、高い排水性能が維持され、高い操縦安定性が維持される。従って、湿潤路面での制動性能に優れるとともに高い操縦安定性を維持できる。
なお、制動力作用時における陸部の倒れ込み量は、該陸部の高さH0が高いほど曲げモーメントが増大するため大きくなる。これにより、該陸部が摩耗していないタイヤ新品時ほど突起部による制動性能が発揮される。仮に、トレッドの摩耗が進行し、例えば、摩耗中期状態まで該陸部が摩耗して該突起部が摩滅しても、該陸部の高さが低くなっているため、制動力作用時に発生する曲げモーメントが低下して該陸部の倒れ込み量は減り、蹴出端が該陸部内に潜り込む問題が抑制される。
また、陸部の蹴出し側及び踏込み側の両側壁に突起部を設けた場合、前記制動性能が確保されるとともに、湿潤路面走行中に該踏込み側の側壁の突起部が湿潤路面の水膜を掃くため該陸部と湿潤路面との接地性が向上し、タイヤのトラクション性能が向上する。これにより湿潤路面での制動性能に加えてトラクション性、操縦安定性が向上する。
本発明の請求項2に係る空気入りタイヤは、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記距離Hは、H<H0/4を満たすことを特徴とする。
陸部の倒れ込み量は、該陸部の剛性と該陸部に作用する制動力とで決まるので、まず、該陸部の剪断及び曲げ剛性(以下、周方向剛性)を算出する。陸部の周方向剛性をG[N/mm]、陸部の高さをH0[mm]、トレッドゴムのヤング率をE[N/mm2]、陸部の周方向長さa[mm]、陸部の幅をb[mm]としたとき、該周方向剛性Gは式(2)で表される。
Figure 2007030718
また、タイヤ軸方向に延びるサイプで陸部が小陸部に区切られている場合は、まず、各小陸部の周方向剛性Giを以下に示す式(3)で算出し、次に、該周方向剛性Giの総和を式(4)で算出すれば、陸部の周方向剛性Gが求められる。小陸部の周方向剛性Gi[N/mm]、陸部の高さをH0[mm]、トレッドゴムのヤング率をE[N/mm2]、陸部の周方向長さai[mm]、陸部の幅をb[mm]としたとき、該周方向剛性Gは式(3)で表される。
Figure 2007030718
陸部の周方向剛性G[N/mm]は、小陸部の周方向剛性Gi[N/mm]の総和で表される。
Figure 2007030718
さて、陸部に一定量の制動力が作用した際に、陸部の周方向剛性Gが大きければ、陸部の倒れ込みは小さく、該周方向剛性Gが小さければ、陸部の倒れ込みは大きくなる。従って、陸部の倒れ込みが大きいときは、突起部の距離Hを長く、突起部の高さkを高くし、陸部の倒れ込みが小さいときは、突起部の距離Hを短く、突起部の高さkを低くすることで、突起部を湿潤路面にむらなく接地させて水膜を掃きだす効果を向上させることができる。
次に、請求項2に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。制動力作用時に、陸部の距離Hの設定がH<H0/4であれば、陸部の剛性が高く倒れ込みし難くても、わずかな倒れ込みで突起部が路面に接地し、湿潤路面の水膜を掃くため、路面との接地性が向上し、制動性能に更に優れる。従って、Hの値はH<H0/4の範囲に設定することが好ましい。
本発明の請求項3に係る空気入りタイヤは、請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記距離Hは、H0/27<H<H0/8を満たすことを特徴とする。
次に、請求項3に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。H<H0/8であれば、突起部が更に路面に接地しやすいため制動性能に更に優れる。H0/27≧Hであれば、陸部踏面の周方向長さが延びたのと同じになってしまい突起部の水膜を掃くという効果が低下する。従って、Hの値はH0/27<H<H0/8の範囲に設定することが好ましい。
本発明の請求項4に係る空気入りタイヤは、請求項1乃至3の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記陸部と前記突起部との境界のうち踏面側の端部は、前記陸部の踏面からH0/27以上離れていることを特徴とする。
次に、請求項4に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。陸部踏面と突起部の踏面側の端部との距離がH0/27未満であれば、該陸部踏面の周方向長さが延びたのと同じになってしまい突起部の水膜を掃くという効果が低下する。また、通常走行時における踏込端及び蹴出端の水膜を掃く性能が低下してしまう虞がある。従って、陸部踏面と突起部の踏面側の端部とはH0/27以上離れていることが好ましい。
本発明の請求項5に係る空気入りタイヤは、請求項1乃至4の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記突起部の突起頂点の高さをkとしたとき、H0/27≦k≦H0/2を満たすことを特徴とする。
次に、請求項5に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。突起部の高さkは、高いほど路面に接地しやすいため、k>H0/2ならば、湿潤路面の水膜を掃く効果が向上するが、タイヤ加硫後にモールド金型からタイヤを抜く際に突起部に無理な力がかかって、突起部の根元に亀裂が発生したり、加硫中にゴムの流れが悪化してタイヤに空気が混入してしまう虞がある。H0/27>kであれば、該突起部の高さkが低すぎ、湿潤路面の水膜を掃きだす効果が十分に得られない。従って、突起部の高さkはH0/27≦k≦H0/2とすることが好ましい。
本発明の請求項6に係る空気入りタイヤは、請求項1乃至5の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記陸部は、タイヤ半径方向外方から見て平行四辺形であり、前記陸部の鋭角側の頂点から鈍角側の頂点に向かって、前記突起部の前記距離Hが漸減することを特徴とする。
次に、請求項6に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。陸部が平行四辺形のため、陸部の鋭角側の剛性は鈍角側の剛性より低く、該剛性は、鋭角側から鈍角側に向かって漸増している。従って、該陸部に制動力が作用した場合、蹴出し側の側壁は、鋭角側から鈍角側に向かって倒れ込みが漸減していく。ここで、突起部の距離Hを鋭角側の頂点から鈍角側の頂点に向かって漸減させたため、該突起部が湿潤路面にむらなく接地でき、湿潤路面の水膜を更に掃きだすことができる。従って、該陸部の踏面と路面との間に水が介在し難くなり、両者間の接地性が向上して摩擦係数も向上するため更に制動性能に優れる。
本発明の請求項7に係る空気入りタイヤは、請求項1乃至6の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記陸部は、タイヤ半径方向外方から見て平行四辺形であり、前記陸部の鋭角側の頂点から鈍角側の頂点に向かって、前記突起部のタイヤ周方向に沿った断面積が漸減することを特徴とする。
次に、請求項7に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。陸部が平行四辺形のため、タイヤがどちら側に回転しても該陸部の中で先に路面に接地するのは鋭角側であり、制動力作用時に蹴出し側の側壁の倒れ込みが大きいのも鋭角側である。このため、鋭角側での水の侵入は鈍角側よりも多くなる。ここで、例えば、突起部の高さkを鋭角側の頂点から鈍角側の頂点に向かって漸減させると、鋭角側では、必要最低限の該高さkで水膜を掃く効果が得られ、鈍角側では、鋭角側より該突起部のタイヤ周方向に沿った断面積が小さくなり、それに伴って横方向溝の溝体積が大きくなるため、通常走行時における排水性能が向上する。また、突起部の高さkと陸部高さ方向の幅とを鋭角側の頂点から鈍角側の頂点に向かって同時に漸減させると、鈍角側では鋭角側より横方向溝の溝体積が更に大きくなり、通常走行時における排水性能が更に向上するとともに、鋭角側では鈍角側より該幅が広いためタイヤトレッドが摩耗しても、水の侵入の多い鋭角側では鈍角側より長期に渡り水膜を掃く効果が維持される。
本発明の請求項8に係る空気入りタイヤは、請求項1乃至5の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記陸部の接地圧が低い領域側より接地圧が高い領域側では、前記突起部の前記距離Hが長くなることを特徴とする。
次に、請求項8に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。陸部の剛性が均一であっても、該陸部に作用する接地圧の分布が異なれば、制動力作用時における該陸部の蹴出し側の側壁の倒れ込みが、接地圧が低い領域側よりも高い領域側で大きくなる。ここで、該陸部の接地圧が高い領域側では、低い領域側より距離Hを長くすることにより、制動力作用時に該突起部が湿潤路面にむらなく接地でき、湿潤路面の水膜を更に掃きだすことができる。従って、該陸部の踏面と路面との間に水が介在し難くなり、両者間の接地性が向上して摩擦係数も向上するため更に制動性能に優れる。
本発明の請求項9に係る空気入りタイヤは、請求項1乃至5及び8の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記トレッドは、前記踏面と路面との接地圧が異なる前記陸部を複数有し、前記トレッドの接地圧が低い陸部より接地圧が高い陸部で、前記突起部の前記距離Hが長くなることを特徴とする。
次に、請求項9に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。例えば、一般的に、タイヤ接地面に作用する接地圧は、該タイヤ接地面のタイヤ幅方向の端である、所謂、接地端の近傍で高くなる傾向がある。従って、接地端近傍の陸部では、該陸部の倒れ込みが他の陸部より大きくなる。ここで、接地端近傍の陸部では、他の陸部より距離Hを長くすることにより、制動力作用時、各陸部の突起部が湿潤路面にむらなく接地して、湿潤路面の水膜を更に掃きだすことができる。従って、該各陸部の踏面と路面との間に水が介在し難くなり、両者間の接地性が向上してタイヤの摩擦係数も向上するため更に制動性能に優れる。
本発明の請求項10に係る空気入りタイヤは、請求項1乃至5及び8及び9の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記陸部の接地圧が低い領域側より接地圧が高い領域側では、前記突起部をタイヤ周方向で切った断面積が大きくなることを特徴とする。
次に、請求項10に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。陸部の剛性が均一であっても、該陸部に作用する接地圧の分布が異なれば、制動力作用時における該陸部の蹴出し側の側壁の倒れ込みが、接地圧が低い領域側よりも高い領域側で大きくなる。ここで、例えば、該陸部の接地圧が高い領域側では、低い領域側より突起部の高さkを高くすることにより、必要最低限の該高さkで水膜を掃く効果が得られ、接地圧が低い領域側では、接地圧が高い領域側より該突起部のタイヤ周方向に沿った断面積が小さくなり、それに伴って横方向溝の溝体積が大きくなるため、通常走行時における排水性能が向上する。また、突起部の高さkと陸部高さ方向の幅とが同時に小さくなると、接地圧が低い領域側では、接地圧が高い領域側より横方向溝の溝体積が更に大きくなり、通常走行時における排水性能が更に向上するとともに、接地圧が高い領域側では、接地圧が低い領域側より該幅が広いためタイヤトレッドが摩耗しても、接地圧が高い領域側では接地圧が低い領域側より長期に渡り水膜を掃く効果が維持される。
本発明の請求項11に係る空気入りタイヤは、請求項1乃至5及び8乃至10の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記トレッドは、前記踏面と路面との接地圧が異なる前記陸部を複数有し、前記トレッドの接地圧が低い陸部より接地圧が高い陸部で、前記突起部をタイヤ周方向で切った断面積が大きくなることを特徴とする。
次に、請求項11に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。例えば、一般的に、タイヤ接地面に作用する接地圧は、該タイヤ接地面のタイヤ幅方向の端である、所謂、接地端の近傍で高くなる傾向がある。従って、接地端近傍の陸部では、該陸部の倒れ込みが他の陸部より大きくなる。ここで、例えば、接地端近傍の陸部では、他の陸部より突起部の高さkを他の陸部より高くすることで、必要最低限の該高さkで水膜を掃く性能が得られ、接地圧が低い他の陸部では、接地圧が高い接地端近傍の陸部より該突起部のタイヤ周方向に沿った断面積が小さくなり、それに伴って横方向溝の溝体積が大きくなるため、通常走行時における排水性能が向上する。また、突起部の高さkと陸部高さ方向の幅とが同時に小さくなると、接地圧が低い陸部では、接地圧が高い陸部より横方向溝の溝体積が更に大きくなり、通常走行時における排水性能が更に向上するとともに、接地圧が高い陸部では、接地圧が低い陸部より該幅が広いため、タイヤトレッドが摩耗しても、接地圧が高い陸部では接地圧が低い陸部より長期に渡り水膜を掃く効果が維持される。
本発明の請求項12に係る空気入りタイヤは、請求項1乃至5に記載の空気入りタイヤにおいて、前記蹴出し側の側壁とタイヤ赤道面とで成す角が、直角側に近い陸部ほど、前記突起部の前記距離Hが長くなることを特徴とする。
次に、請求項12に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。蹴出し側の側壁とタイヤ赤道面とで成す角が直角側に近い陸部であれば、湿潤路面での制動性能が向上するが、蹴出し側の側壁の倒れ込み量も大きくなる。また、蹴出し側の側壁とタイヤ赤道面とで成す角が直角側から遠い陸部であれば、湿潤路面での制動性能は劣るが、蹴出し側の側壁の倒れ込み量は少なくなる。ここで、該成す角が直角側から遠い陸部より近い陸部の突起部の距離Hを長くすることにより、制動力作用時、該各陸部の突起部が湿潤路面にむらなく接地して、湿潤路面の水膜を更に掃きだすことができる。従って、該各陸部の踏面と路面との間に水が介在し難くなり、両者間の接地性が向上してタイヤの摩擦係数も向上するため更に制動性能に優れる。
本発明の請求項13に係る空気入りタイヤは、請求項1乃至5及び12に記載の空気入りタイヤにおいて、前記蹴出し側の側壁とタイヤ赤道面とで成す角が、直角側に近い陸部ほど、前記突起部をタイヤ周方向で切った断面積が大きくなることを特徴とする。
次に、請求項13に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。蹴出し側の側壁とタイヤ赤道面とで成す角が直角側に近い陸部であれば、湿潤路面での制動性能が向上するが、蹴出し側の側壁の倒れ込み量も大きくなる。また、蹴出し側の側壁とタイヤ赤道面とで成す角が直角側から遠い陸部であれば、湿潤路面での制動性能は劣るが、蹴出し側の側壁の倒れ込み量は少なくなる。ここで、例えば、該成す角が直角側から遠い陸部より近い陸部の突起部の高さkを高くすることにより、制動力作用時、該成す角が直角側から遠い陸部では、必要最低限の該高さkで水膜を掃く性能が得られる。また、該成す角が直角側から遠い陸部では、該成す角が直角側から近い陸部より該突起部のタイヤ周方向に沿った断面積が小さくなり、それに伴って横方向溝の溝体積が大きくなるため、通常走行時における排水性能が向上する。また、突起部の高さkと陸部高さ方向の幅とが同時に小さくなると、該成す角が直角側から遠い陸部では、該成す角が直角側から近い陸部より横方向溝の溝体積が更に大きくなり、通常走行時における排水性能が更に向上するとともに、該成す角が直角側から近い陸部では、該成す角が直角側から遠い陸部より該幅が広いため、タイヤトレッドが摩耗しても、該成す角が直角側から近い陸部では該成す角が直角側から遠い陸部より長期に渡り水膜を掃く効果が維持される。
本発明の空気入りタイヤは、湿潤路面での制動性能に優れる。
[第1の実施形態]本発明の空気入りタイヤに係る第1実施形態を図1乃至図3に基づき説明する。図1において、第1実施形態に係る空気入りタイヤ10は、トレッド12にタイヤ赤道面(以下、赤道面)CLに沿って延びる周方向主溝(以下、主溝)14A、主溝14Aの両側に所定間隔をおいて設けられる主溝14Bを備え、該主溝14A、14Bと交差するタイヤ幅方向(以下、幅方向)にジグザグ状に延びる横方向溝(以下、横溝)16Aと横溝16Aに所定間隔をおいて設けられる16B(ここでは、図1に対して上から16A、16Bとする。)により区画された複数のブロックを備える。ここで、赤道面CL中心側のブロックをセンターブロックと呼び、図1に対して左からセンターブロック18、20と呼ぶ。同様に、センターブロック18、20の赤道面CL外側のブロックをショルダーブロックと呼び、図1に対して左からショルダーブロック22、24と呼ぶ。
また、センターブロック18、20、ショルダーブロック22、24の外形形状は、タイヤ半径方向外方から見て(以下、トレッド平面視)平行四辺形である。なお、図1にはセンターブロック18、20、ショルダーブロック22、24の各一つのブロックを図示し、他のブロックは省略している。
図2に示すように、センターブロック18の路面と接地する踏面を踏面18A、センターブロック18Aの横溝16Aに面した側壁と踏面18Aとの端を踏込端18B、該側壁を踏込側壁18C、横溝16Bに面した側壁と踏面18Aとの端を蹴出端18D、該側壁を蹴出側壁18E、踏面18Aの赤道面CL側の端を内端18F、内端18Fの反対側の端を外端18Gと呼ぶこととする。ここで、蹴出端18Dと内端18Fとが成す角は鋭角αであり、蹴出端18Dと外端18Gとが成す角は鈍角βである。
センターブロック18の踏込側壁18Cには、踏込側壁18Cに対して突起し、幅方向に延びる踏込側突起部26が設けられている。同様に、センターブロック18の蹴出側壁18Eには、蹴出側壁18Eに対して突起し、幅方向に延びる蹴出側突起部28が設けられている。
なお、第1実施形態の踏込側突起部26は、図15(A)に示すように、タイヤ周方向(以下、周方向)に沿った断面が三角形状をしている。ここで、踏込側突起部26の該断面を見て、踏込側壁18Cから最も突起している最大突起位置を突起頂点26Aと呼び、踏込側突起部26と踏込側壁18Cとの境界線Lの端部を、踏面18Aに近い側から突起端部26B、26Cと呼ぶこととする。同様に、蹴出側突起部28は、図15(A)に示すように、周方向に沿った断面が三角形状をしている。ここで、蹴出側突起部28の該断面を見て、蹴出側壁18Eから最も突起している最大突起位置を突起頂点28Aと呼び、蹴出側突起部28と蹴出側壁18Eとの境界線Lの端部を、踏面18Aに近い側から突起端部28B、28Cと呼ぶこととする。
ここで、本第1実施形態においては、突起部に図15(A)の三角形状を使用しているが、図15(B)又は(C)であってもよく、更に具体的には、突起していれば、周方向に沿った断面が、略半円形又は多角形であってもよいものとする。なお、図15(B)のような周方向に沿った断面が矩形状の突起部の場合、突起頂点は、ブロックの最も踏面側よりの頂点を突起頂点とする。
センターブロック18の高さをH0、センターブロック18の踏面18Aから突起頂点26Aまでのブロック高さ方向の距離をHとしたとき、該距離Hは、H<H0/2を満たすことが好ましい。同様に、センターブロック18Aの踏面18Aから突起頂点28Aまでのブロック高さ方向の距離をHとしたとき、該距離Hは、H<H0/2を満たすことが好ましい。
また、距離Hは、H<H0/4を満たすことが好ましく、更に、H0/27<H<H0/8を満たすことが好ましい。
また、踏込側突起部26及び蹴出側突起部28は、センターブロック18の鋭角α側の頂点から鈍角β側の頂点に向かって該距離Hが漸減するように設けられている。
また、センターブロック18の踏面18Aと突起端部26Bとのブロック高さ方向の距離は少なくともH0/27以上離され、突起端部28Bとの距離も同様に、少なくともH0/27以上離されている。
また、踏込側壁18Cから突起頂点26Aまでの距離をkとしたときH0/27≦k≦H0/2を満たすことが好ましい。同様に、蹴出側壁18Eから突起頂点28Aまでの距離をkとしたときH0/27≦k≦H0/2を満たすことが好ましい。
なお、センターブロック18、20は、各部の構成が同一であるため同一符号を付し、その説明は省略する。また、ショルダーブロック22、24は、センターブロック18と各部の構成が一部を除き同一であるため、同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。ショルダーブロック22、24では、蹴出側壁18Eと内端18Fとが成す角は鈍角βであり、蹴出側壁18Eと外端18Gとが成す角は鋭角αである。
(作用)次に、本第1実施形態の空気入りタイヤ10の作用を説明する。センターブロック18、20、センターブロック22及び24に係る作用効果は同一のものである。よって、特に指示がない場合は、本第1実施形態の作用効果は、センターブロック18を例に挙げて説明をする。図3に示すように、センターブロック18の踏面18Aに垂直加重Wが作用すると、センターブロック18の踏込側壁18C及び蹴出側壁18Eが膨出する。このとき、踏込側突起部26(図3では図示省略)は、膨出する踏込側壁18Cの角度変化により、突起頂点26Aの位置と方向が変化させられる。同様に、蹴出側突起部28は、膨出する蹴出側壁18Eの角度変化により、突起頂点28Aの位置と方向が変化させられる。ここで、突起頂点26A及び28Aの距離Hが、H<H0/2であれば、突起頂点26A及び28Aは、路面側に向き、この状態でセンターブロック18に制動力Fが作用すると、蹴出側壁18Eが路面に接地する方向に倒れ込み、蹴出側突起部28が路面に接地することが可能となる。H≧H0/2であれば、突起頂点28Aは、路面側を向かず、制動力Fが作用しても路面と接地することは難しい。従って、Hの値はH<H0/2の範囲で設定することが好ましい。また、蹴出側突起部28は、制動力F作用時には確実に路面に接地する必要があるが、通常走行時(垂直荷重W作用時)に路面に接地していても良いものとする。同様に、踏込側突起部26も通常走行時(垂直荷重W作用時)に路面に接地していても良いものとする。
湿潤路面走行中に、制動力Fを作用させた場合、センターブロック18は倒れ込み、蹴出側突起部28が、湿潤路面に接地してセンターブロック18の蹴出端18Dより先に湿潤路面の水膜を掃く。これにより、湿潤路面とセンターブロック18の踏面18Aとの接地性が向上し、摩擦係数も向上するため制動性能に優れる。また、センターブロック18に制動力Fが作用してセンターブロック18が倒れ込み、蹴出側突起部28が、湿潤路面と接地すると、優れた制動性能が発揮されるので、制動性能向上を狙って、センターブロック18にタイヤ軸方向のエッジを設けたり、ネガティブ(横方向副溝)面積を減少させなくても高い排水性能が維持されて高い操縦安定性が維持される。従って、湿潤路面での制動性能に優れるとともに高い操縦安定性を維持できる。
なお、制動力F作用時におけるセンターブロック18の倒れ込み量は、センターブロック18の高さH0が大きいほど曲げモーメントが増大するため大きくなる。これにより、センターブロック18が摩耗していないタイヤ新品時ほど蹴出側突起部28による制動性能が発揮される。仮にトレッド12の摩耗が進行し、例えば摩耗中期状態までセンターブロック18が摩耗して蹴出側突起部28が摩滅しても、センターブロック18の高さが低くなっているため、制動力F作用時に発生する曲げモーメントが低下してセンターブロック18の倒れ込み量は減り、蹴出端18Dが、センターブロック18内に潜り込む問題が抑制される。
また、制動力F作用時に、センターブロック18の距離Hの設定がH<H0/4であれば、センターブロック18の剛性が高く倒れ込みし難くても、わずかな倒れ込みで蹴出側突起部28が路面に接地し、湿潤路面の水膜を掃くため、路面との接地性が向上し、更に制動性能に優れる。従って、距離Hの値はH<H0/4の範囲に設定することが好ましい。
更に、H<H0/8であれば、蹴出側突起部28が更に路面に接地しやすいため制動性能に更に優れる。H0/27≧Hであれば、センターブロック18の周方向長さが延びたのと同じになってしまい蹴出側突起部28の水膜を掃くという効果が低下する。従って、距離Hの値はH0/27<H<H0/8の範囲に設定することが好ましい。ここで、例えば、本第1実施形態の空気入りタイヤが、一般的な乗用車用空気入りタイヤならば、H0/27は、略0.3mmとすることが好ましい。
また、センターブロック18の踏面18Aと踏込側突起部26の突起端部26B又は蹴出側突起部28の突起端部28Bとの距離をH0/27未満にした場合、センターブロック18の踏面18Aのブロック周方向長さが延びたのと同じになってしまい踏込側突起部26及び蹴出側突起部28の水膜を除去するという効果が低下する。このため、踏面18Aと突起端部26B、28Bとの距離はH0/27以上離すことが好ましい。ここで、例えば、本第1実施形態の空気入りタイヤが、一般的な乗用車用空気入りタイヤならば、H0/27は、略0.3mmとすることが好ましい。
また、踏込側突起部26及び蹴出側突起部28の高さkを、k>H0/2とした場合、該高さkは、高いほど路面に接地しやすくなり、湿潤路面の水膜を掃く効果が向上するが、タイヤ加硫後にモールド金型からタイヤを抜く際に踏込側突起部26及び蹴出側突起部28に無理な力がかかって、踏込側突起部26及び蹴出側突起部28の突起端部26B、26C、28B及び28Cに亀裂が発生したり、加硫中にゴムの流れが悪化してタイヤに空気が混入してしまう虞がある。H0/27>kであれば、該高さkが低すぎ、湿潤路面の水膜を掃きだす効果が十分に得られない。従って、踏込側突起部26及び蹴出側突起部28の高さkはH0/27≦k≦H0/2とすることが好ましい。ここで、例えば、本第1実施形態の空気入りタイヤが、一般的な乗用車用空気入りタイヤならば、該高さkは、0.3mm≦k≦2.0mmとすることが好ましい。
また、センターブロック18の踏込側壁18C及び蹴出側壁18Eに踏込側突起部26及び蹴出側突起部28を夫々設けたため、前記制動性能が確保されるとともに、湿潤路面走行中に踏込側壁18Cの踏込側突起部26が湿潤路面の水膜を掃くためセンターブロック18と湿潤路面との接地性が向上し、空気入りタイヤ10のトラクション性能が向上する。これにより湿潤路面での制動性能に加えてトラクション性、操縦安定性が向上する。
また、センターブロック18が平行四辺形のため、センターブロック18の鋭角α側の剛性は鈍角β側の剛性より低く、該剛性は、鋭角α側から鈍角β側に向かって漸増している。従って、センターブロック18に制動力Fが作用した場合、蹴出側壁18Eは、鋭角α側から鈍角β側に向かって倒れ込みが漸減していく。ここで、蹴出側突起部28の距離Hを鋭角αの頂点から鈍角βの頂点に向かって漸減させたため、蹴出側突起部28が湿潤路面にむらなく接地でき、湿潤路面の水膜を更に掃きだすことができる。従って、センターブロック18の踏面18Aと路面との間に水が介在し難くなり、両者間の接地性が向上して摩擦係数も向上するため更に制動性能に優れる。
[第2実施形態]次に、本発明の空気入りタイヤに係る第2実施形態を図4、図5に基づき説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。図4に示すように、第2実施形態に係る空気入りタイヤ30は、第1実施形態と同一のトレッドパターンを備えている。
ここで、本第2実施形態の踏込側突起部36及び蹴出側突起部38は、第1実施形態の踏込側突起部26及び蹴出側突起部28の構成とほぼ同一である。従って、踏込側突起部36の要素は、突起頂点36A、突起端部36B、36C、周方向に沿った断面は、図15(A)となる。蹴出側突起部38も同様に符号を付すものとする。
踏込側突起部36は、センターブロック18、20、ショルダーブロック22及び24の鋭角αの頂点から鈍角βの頂点に向かって、踏込側突起部36の高さkが漸減するように設けられ、また、踏込側突起部36の突起端部36B及び36C間の距離も狭くなるように設けられている。同様に、蹴出側突起部38は、センターブロック18、20、ショルダーブロック22及び24の鋭角αの頂点から鈍角βの頂点に向かって、蹴出側突起部38の高さkが漸減するように設けられ、また、蹴出側突起部38の突起端部38B及び38C間の距離も狭くなるように設けられている。
(作用)次に、本第2実施形態の空気入りタイヤ30の作用を説明する。センターブロック18、20、センターブロック22及び24に係る作用効果は同一のものである。よって、特に指示がない場合は、本第2実施形態の作用効果は、センターブロック18を例に挙げて説明をする。センターブロック18が平行四辺形のため、タイヤがどちら側に回転してもセンターブロック18の中で先に路面に接地するのは鋭角α側であり、制動力F作用時に蹴出側壁18Eの倒れ込みが大きいのも鋭角α側である。このため、鋭角α側での水の侵入は鈍角β側よりも多くなる。
ここで、蹴出側突起部38の高さkを鋭角αの頂点から鈍角βの頂点に向かって漸減させることにより、鋭角α側では、必要最低限の該高さkで水膜を掃く効果が得られ、鈍角β側では、鋭角α側より蹴出側突起部38の周方向に沿った断面積が小さくなり、それに伴って横溝16A及び16Bの溝体積が大きくなるため、通常走行時における排水性能が向上する。また、踏込側突起部36及び蹴出側突起部38の高さkと突起端部36Bと36C及び38Bと38Cの夫々のブロック高さ方向の距離を、鋭角α側の頂点から鈍角β側の頂点に向かって同時に漸減させると、鈍角β側では鋭角α側より横溝16A及び16Bの溝体積が更に大きくなり、通常走行時における排水性能が更に向上するとともに、鋭角α側では鈍角β側より該距離が広いためトレッド12が摩耗しても、水の侵入の多い鋭角α側では鈍角β側より長期に渡り水膜を掃く効果が維持される。
[第3実施形態]本発明の空気入りタイヤ40に係る第3実施形態を図6、図7に基づき説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。本第3実施形態の空気入りタイヤ40の横溝16A及ぶ16Bは赤道面CLに直交して直線状に延びるため、主溝14A、14Bにより区画されるセンターブロック18、20、ショルダーブロック22及び24は、トレッド平面視で矩形となる。また、本第3実施形態では、ショルダーブロック22及び24の赤道面CLから最外側となる外端49Gは、空気入りタイヤ40の接地端となる。
ここで、接地端とは、正規リムに組付け、正規内圧を充填し、静止した状態で平板に対し垂直に置き、正規荷重を加えたときのタイヤ接触面を接地面といい、その接地面の端を接地端といい、正規荷重が加えられて、タイヤが平板に押し付けられた条件でのタイヤ接地面の受け持つ単位面積あたりの荷重を接地圧という。なお、「正規リム」とは、例えば、JATMAが発行する2004年版のYEAR BOOKに定められた適用サイズにおける標準リムを指し、「正規荷重」及び「正規内圧」とは、同様に、JATMAが発行する2004年版のYEAR BOOKに定められた適用サイズ・プライレーティングにおける最大荷重及び最大荷重に対する空気圧を指す。使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される場合は、各々の規格に従う。
なお、本第3実施形態のセンターブロック18及び20に設けられる突起部を踏込側突起部46及び蹴出側突起部48とし、ショルダーブロック22及び24に設けられる突起部を踏込側突起部56及び蹴出側突起部58とする。
ここで、本第3実施形態の踏込側突起部46、56、蹴出側突起部48及び58は、第1実施形態の踏込側突起部26及び蹴出側突起部28の構成とほぼ同一である。従って、踏込側突起部46の要素は、突起頂点46A、突起端部46B、46C、周方向に沿った断面は、図15(A)となる。踏込側突起部56、蹴出側突起部48及び58も同様に符号を付すものとする。
センターブロック18及び20の踏込側突起部46及び蹴出側突起部48の距離Hは、距離h1で幅方向に延びている。
ショルダーブロック22及び24の踏込側突起部56及び蹴出側突起部58の距離Hは、ショルダーブロック22及び24の内端18Fでは、距離h2であり、内端18Fから外端49Gへ向かって該距離Hは、距離h2から徐々に大きくなっている。また、距離h1>h2である。
(作用)次に、本第3実施形態の空気入りタイヤ40の作用を説明する。本第3実施形態の空気入りタイヤ40では、ショルダーブロック22及び24の各外端49Gがタイヤ接地端となるため、ショルダーブロック22及び24の倒れ込みは、センターブロック18及び20より大きくなる。また、ショルダーブロック22及び24内においても各外端49G近傍での接地圧が、各内端18F近傍での接地圧より高くなるため、ショルダーブロック22及び24の各蹴出側壁18Eの倒れ込みは、内端18Fより外端49Gで大きくなる。
ここで、ショルダーブロック22及び24の各蹴出側突起部58の距離Hを、内端18Fから外端49Gに向かって距離h2から漸減させたため、制動力F作用時、ショルダーブロック22及び24の各蹴出側突起部58が湿潤路面にむらなく接地することができる。また、センターブロック18及び20の各蹴出側突起部48の距離h1よりショルダーブロック22及び24の各内端18Fでの各蹴出側突起部58の距離h2を蹴出壁面18Eの倒れ込み量に応じて長くしたので、制動力F作用時、センターブロック18、20、ショルダーブロック22及び24の夫々の蹴出側突起部48及び58が湿潤路面にむらなく接地することができる。従って、湿潤路面の水膜を更に掃きだすことができ、センターブロック18、20、ショルダーブロック22及び24の夫々の踏面18Aと路面との間に水が介在し難くなり、両者間の接地性が向上して摩擦係数も向上するため更に制動性能に優れる。
[第4実施形態]本発明の空気入りタイヤに係る第4実施形態を図8、図9に基づき説明する。なお、第1実施形態及び第3実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。図8に示すように、第4実施形態に係る空気入りタイヤ60は、第3実施形態と同一のトレッドパターンを備えている。
本第4実施形態のセンターブロック18及び20の幅方向の中央付近では、内端18F及び外端18Gより接地圧が高くなっている。なお、本第4実施形態のセンターブロック18及び20に設けられる突起部を踏込側突起部66及び蹴出側突起部68とし、ショルダーブロック22及び24に設けられる突起部を踏込側突起部76及び蹴出側突起部78とする。
ここで、本第4実施形態の踏込側突起部66、76、蹴出側突起部68及び78は、第1実施形態の踏込側突起部26及び蹴出側突起部28の構成とほぼ同一である。従って、踏込側突起部66の要素は、突起頂点66A、突起端部66B、66C、周方向に沿った断面は、図15(A)となる。踏込側突起部76、蹴出側突起部68及び78も同様に符号を付すものとする。
センターブロック18及び20に設けられる踏込側突起部66の突起頂点66A及び蹴出側突起部68の突起頂点68Aの高さkは、センターブロック18及び20の幅方向の中央で最大となり、該中央から離れるに従って、該高さkは漸減する。
また、ショルダーブロック22及び24に設けられる踏込側突起部76の突起頂点76A及び蹴出側突起部78の突起頂点78Aの高さkは、ショルダーブロック22及び24の外端49Gで最大となり、外端49Gから内端18Fに向かって、該高さkは漸減する。
(作用)次に、本第4実施形態の空気入りタイヤ60の作用を説明する。本第4実施形態の空気入りタイヤ60では、ショルダーブロック22及び24の各外端49Gがタイヤ接地端となるため、ショルダーブロック22及び24の倒れ込みは、センターブロック18及び20より大きくなる。また、センターブロック18及び20の幅方向の中央付近は、外端18G及び内端18Fより接地圧が高いため、各蹴出側壁18Eの倒れ込みは、中央付近で大きく、外端18G及び内端18Fで小さくなる。
ここで、センターブロック18及び20の踏込側突起部66の突起頂点66A及び蹴出側突起部68の突起頂点68Aの高さkを、センターブロック18及び20の幅方向の中央付近で最大とさせ、該中央付近から離れるに従って、該高さkを漸減させることにより、必要最低限の該高さkで水膜を掃く性能が得られる。
また、ショルダーブロック22及び24の踏込側突起部76の突起頂点76A及び蹴出側突起部78の突起頂点78Aの高さkを、外端49から内端18Fに向かって漸減させることにより、必要最低限の該高さkで水膜を掃く性能が得られる。
また、接地圧が低い領域側では、接地圧が高い領域側より踏込側突起部66、76、蹴出側突起部68及び78の周方向に沿った断面積が小さくなり、それに伴ってcの溝体積が大きくなるため、通常走行時における排水性能が向上する。また、踏込側突起部66、76、蹴出側突起部68及び78の高さkと突起端部66Bと66C及び68Bと68C及び76Bと76C及び78Bと78Cの夫々のブロック高さ方向の距離とが同時に小さくなると、接地圧が低い領域側では、接地圧が高い領域側より横溝16A及び16Bの溝体積が更に大きくなり、通常走行時における排水性能が更に向上するとともに、接地圧が高い領域側では、接地圧が低い領域側より該距離が広いためトレッド12が摩耗しても、接地圧が高い領域側では接地圧が低い領域側より長期に渡り水膜を掃く効果が維持される。
[第5実施形態]本発明の空気入りタイヤ80に係る第5の実施の形態を図10、図11に基づき説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。図10に示すように、本第5実施形態に係る空気入りタイヤ80のセンターブロック18及び20は、主溝14A、14Bと横溝16A、16Bとでトレッド平面視で矩形状に区画されている。センターブロック18及び20には、踏込側突起部86及び蹴出側突起部88が設けられている。
また、ショルダーブロック22及び24は、主溝14A、14Bと横溝16A、16Bとでトレッド平面視で平行四辺形に区画されている。ショルダーブロック22及び24には、踏込側突起部96及び蹴出側突起部98が設けられている。
ここで、本第5実施形態の踏込側突起部86、96、蹴出側突起部88及び98は、第1実施形態の踏込側突起部26及び蹴出側突起部28の構成とほぼ同一である。従って、踏込側突起部86の要素は、突起頂点86A、突起端部86B、86C、周方向に沿った断面は、図15(A)となる。踏込側突起部96、蹴出側突起部88及び98も同様に符号を付すものとする。
センターブロック18及び20の踏込側突起部86の突起頂点86A及び蹴出側突起部88の突起頂点88Aの距離Hは、距離h3である。
ショルダーブロック22及び24の踏込側突起部96の突起頂点96A及び蹴出側突起部98の突起頂点98Aの距離Hは、距離h4である。また、距離h3>h4である。
なお、本第5実施形態のセンターブロック18及び20の蹴出側壁18Eと赤道面CLとで成す角は直角で、また、ショルダーブロック22及び24の蹴出側壁18Eと、赤道面CLとで成す角は鋭角αである。
(作用)次に、本第5実施形態の空気入りタイヤ80の作用を説明する。センターブロック18及び20の蹴出側壁18Eと赤道面CLとで成す角が、直角であるセンターブロック18及び20では、湿潤路面の制動性能が高くなるが、制動力F作用時における該蹴出側壁18Eの倒れ込み量も大きくなる。また、ショルダーブロック22及び24の蹴出側壁18Eと赤道面CLとで成す角αが鋭角であるショルダーブロック22及び24では、湿潤路面の制動性能が低くなるが、制動力F作用時における該蹴出側壁18Eの倒れ込み量は小さくなる。
ここで、ショルダーブロック22及び24の蹴出側突起部98の突起頂点98Aの距離h4よりセンターブロック18及び20の蹴出側突起部88の突起頂点88Aの距離h3を長くすることにより、制動力F作用時、センターブロック18、20、ショルダーブロック22及び24の蹴出側突起部88及び蹴出側突起部98が湿潤路面にむらなく接地して、湿潤路面の水膜を更に掃きだすことができる。従って、センターブロック18A、18B、ショルダーブロック22及び24の夫々の踏面18Aと路面との間に水が介在し難くなり、センターブロック18、20、ショルダーブロック22及び24の夫々の踏面18Aと路面との接地性が向上してタイヤの摩擦係数も向上するため更に制動性能に優れる。
[第6実施形態]本発明の空気入りタイヤに係る第6実施形態を図12、図13に基づき説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。図12に示すように、第6実施形態に係る空気入りタイヤ100は、第5実施形態と同一のトレッドパターンを備えている。
なお、本第6実施形態のセンターブロック18及び20に設けられる突起部を踏込側突起部106及び蹴出側突起部108とし、ショルダーブロック22及び24に設けられる突起部を踏込側突起部116及び蹴出側突起部118とする。
ここで、本第6実施形態の踏込側突起部106、108、蹴出側突起部及び116、118は、第1実施形態の踏込側突起部26及び蹴出側突起部28の構成とほぼ同一である。従って、踏込側突起部106の要素は、突起頂点106A、突起端部106B、106C、周方向に沿った断面は、図15(A)となる。踏込側突起部116、蹴出側突起部106及び118も同様に符号を付すものとする。
センターブロック18及び20の踏込側突起部106の突起頂点106A及び蹴出側突起部108の突起頂点108Aの高さkはk1である。
また、ショルダーブロック22及び24の踏込側突起部116の突起頂点116A及び蹴出側突起部118の突起頂点118Aの高さkはk2である。また、高さk1>k2である。
ここで、踏込側突起部106の突起端部106Bと106Cと及び、蹴出側突起部108の突起端部108Bと108Cと及び、踏込側突起部116の突起端部116Bと116C及び、蹴出側突起部118の突起端部118Bと118Cとの夫々のブロック高さ方向の距離をW1、W2、W3、W4とする。また、距離W1、W2>W3、W4である
(作用)次に、本第6実施形態の空気入りタイヤ100の作用を説明する。センターブロック18及び20の蹴出側壁18Eと赤道面CLとで成す角が、直角であるセンターブロック18及び20では、湿潤路面の制動性能が高くなるが、制動力F作用時における該蹴出側壁18Eの倒れ込み量も大きくなる。また、ショルダーブロック22及び24の蹴出側壁18Eと赤道面CLとで成す角αが鋭角であるショルダーブロック22及び24では、湿潤路面の制動性能が低くなるが、制動力F作用時における該蹴出側壁18Eの倒れ込み量は小さくなる。
ここで、ショルダーブロック22及び24の蹴出側突起部118の突起頂点118Aの高さk2よりセンターブロック18及び20の蹴出側突起部108の突起頂点108Aの高さk1を高くすることにより、制動力F作用時、ショルダーブロック22及び24では、必要最低限の高さkで水膜を掃く性能が得られる。
また、ショルダーブロック22及び24では、センターブロック18及び20より蹴出側突起部108及び118の赤道面CLに沿った断面積が小さくなり、それに伴って横溝16A及び16Bの溝体積が大きくなるため、通常走行時における排水性能が向上する。また、踏込側突起部106、116、蹴出側突起部108及び118の高さkと距離W1、W2、W3、W4が同時に小さくなると、ショルダーブロック22及び24では、センターブロック18及び20より横溝16A及び16Bの溝体積が更に大きくなり、通常走行時における排水性能が更に向上するとともに、センターブロック18及び20では、ショルダーブロック22及び24より該距離が広いため、タイヤトレッドが摩耗しても、センターブロック18及び20ではショルダーブロック22及び24より長期に渡り水膜を掃く効果が維持される。
(その他の実施形態)本第1乃至第6実施形態に係る図では、ブロックに設けられた突起部は、幅方向に一体に延びている構図となっているが、図16に示すように、突起部が分断された構成であっても良いものとする。
(試験例)本発明の効果を確かめるために、従来例の空気入りタイヤを4種類、本発明の適用された実施例の空気入りタイヤを7種類用意し、湿潤路面での制動性能についてテストを行った。トレッド12には、赤道面CLを中心として軸方向に対称に3本の周方向主溝14A及び14Bが等間隔で形成され、タイヤ周方向には横方向溝16A及び16Bが所定間隔をおいて形成されている。トレッド12において、周方向主溝14A及び14Bと横方向溝16A及び16Bにより区画された部分がブロックとなり、トレッド12には、4列のブロック列が形成されている。ブロックの名称は実施形態と同様のものとする。ここで、ブロックの高さH0は8mmである。
試験タイヤサイズは、何れも195/65R15であり、15×6.5Jのリムに組付け、内圧を220kpaとした。使用車両は、FF乗用車でタイヤ装着位置は4輪とし、空車時における前輪荷重は4.11kN、後輪荷重は3.34kNであった。
試験用の湿潤路面は、水深2mmの平滑なコンクリート路面である。制動距離の試験は、初速度100km/hから停止するまでに走った距離を測定することにより行い(ABS作動)、計5回実施する。5つの試験値の内、最良と最悪の値を除いた平均値を制動距離とする。
評価は、実施例1及び2の数値に対しては、従来例1の数値を100として指数化し、実施例3及び4の数値に対しては、従来例2の数値を100として指数化し、実施例5及び6の数値に対しては、従来例3の数値を100として指数化し、実施例7の数値に対しては、従来例4の数値を100として指数化した。数値が小さいほど、制動距離が短く良好な結果である。
実施例1:図1に示す第1実施形態の空気入りタイヤにおいて、各ブロックの鋭角αは、45°であり、突起部のタイヤ周方向に沿った断面は、矩形状(図15(B)参照)であり、距離Hは、鋭角頂点側エッジでH=1.0mm、鈍角頂点側エッジでH=0.5mm、鋭角頂点側エッジ、鈍角頂点側エッジで共に突起部の接地幅W=2.0mm、高さk=1.5mmである実施例1の空気入りタイヤ。
実施例2:図4に示す第2実施形態の空気入りタイヤにおいて、各ブロックの鋭角αは、45°であり、突起部のタイヤ周方向に沿った断面は、矩形状(図15(B)参照)であり、距離Hは、鋭角頂点側エッジでは、H=1.0mm、W=2.0mm、k=1.5mmであり、鈍角頂点側エッジでは、H=0.5mm、W=0.5mm、k=0.3mmである実施例2の空気入りタイヤ。
実施例3:図6に示す第3実施形態の空気入りタイヤにおいて、突起部のタイヤ周方向に沿った断面は、矩形状(図15(B)参照)であり、距離Hは、接地端近傍(外端49G)では、H=1.0mm、ショルダーブロック内側(内端18F)では、H=0.5mm、センターブロックでは、H=0.3mm、また、W、kは全てに渡ってW=1.5mm、k=1.2mmである実施例3の空気入りタイヤ。
実施例4:図8に示す第4実施形態の空気入りタイヤにおいて、突起部のタイヤ周方向に沿った断面は、矩形状(図15(B)参照)であり、接地端近傍(外端49G)及び、センターブロック中央付近ではH=1.0mm、W=2.0mm、k=1.5mmであり、ショルダーブロック内側(内端18F)及びセンターブロックエッジ近傍(内端18F、外端18G)では、H=1.0mm、W=2.0mm、k=0.3mmである実施例4の空気入りタイヤ。
実施例5:図10に示す第5実施形態の空気入りタイヤにおいて、ショルダーブロックの鋭角αは45°、突起部のタイヤ周方向に沿った断面は、矩形状(図15(B)参照)であり、ショルダーブロックでH=0.3mm、W=2.0mm、k=1.5mm、センターブロックでH=1.0mm、W=2.0mm、k=1.5mmである実施例5の空気入りタイヤ。
実施例6:図12に示す第6実施形態の空気入りタイヤにおいて、ショルダーブロックの鋭角αは45°、突起部のタイヤ周方向に沿った断面は、矩形状(図15(B)参照)であり、ショルダーブロックでH=0.5mm、W=1.0mm、k=0.3mm、センターブロックでH=0.5mm、W=2.0mm、k=1.5mmである実施例5の空気入りタイヤ。
実施例7:図14に実施例7を示す。図14は方向性があるトレッドパターンを有する空気入りタイヤであり、各ブロックの蹴出側壁にタイヤ周方向に沿った断面が矩形状(図15(B)参照)の突起部が鈍角頂点側エッジではH=0.5mm、W=0.5mm、k=0.3mmであり、鋭角頂点側エッジでは、H=1.0mm、W=2.0mm、k=1.5mmとなるように設定されている。
従来例1:従来例1は、実施例1及び2と同様のトレッドパターンを有し、突起部を持たない空気入りタイヤ。
従来例2:従来例2は、実施例3及び4と同様のトレッドパターンを有し、突起部を持たない空気入りタイヤ。
従来例3:従来例3は、実施例5及び6と同様のトレッドパターンを有し、突起部を持たない空気入りタイヤ。
従来例4:従来例4は、実施例7と同様のトレッドパターンを有し、突起部を持たない空気入りタイヤ。
Figure 2007030718
表1の結果から、本発明の実施例1及び2の空気入りタイヤは従来例1の空気入りタイヤより優れていることが明らかである。
また、本発明の実施例3及び4の空気入りタイヤは従来例2の空気入りタイヤより優れていることが明らかである。
また、本発明の実施例5及び6の空気入りタイヤは従来例3の空気入りタイヤより優れていることが明らかである。
また、本発明の実施例7の空気入りタイヤは従来例4の空気入りタイヤより優れていることが明らかである。
(A)は、第1実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドを踏込み側から見た側面図である。(B)は、(A)のトレッドをタイヤ半径方向外方から見た平面図である。(C)は、(A)のトレッドを蹴出し側から見た側面図である。 第1実施形態に係る空気入りタイヤのブロック状の陸部であるセンターブロック18の斜視図である。 第1実施形態に係る空気入りタイヤのセンターブロック18の制動力F作用時の変形を表す図である。(A)は、無負荷時のセンターブロック18をタイヤ周方向から見た図である。(B)センターブロック18に垂直荷重Wを加えた時のセンターブロック18の変形を示すタイヤ周方向から見た図である。(C)制動力F作用時におけるセンターブロック18の剪断変形及び曲げ変形時の変形を示すタイヤ周方向から見た図である。 (A)は、第2実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドを踏込み側から見た側面図である。(B)は、(A)のトレッドをタイヤ半径方向外方から見た平面図である。(C)は、(A)のトレッドを蹴出し側から見た側面図である。 第2実施形態に係る空気入りタイヤのブロック状の陸部であるセンターブロック18の斜視図である。 (A)は、第3実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドを踏込み側から見た側面図である。(B)は、(A)のトレッドをタイヤ半径方向外方から見た平面図である。(C)は、(A)のトレッドを蹴出し側から見た側面図である。 第3実施形態に係る空気入りタイヤのブロック状の陸部であるセンターブロック20及びショルダーブロック24の斜視図である。 (A)は、第4実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドを踏込み側から見た側面図である。(B)は、(A)のトレッドをタイヤ半径方向外方から見た平面図である。(C)は、(A)のトレッドを蹴出し側から見た側面図である。 第4実施形態に係る空気入りタイヤのブロック状の陸部であるセンターブロック20及びショルダーブロック24の斜視図である。 (A)は、第5実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドを踏込み側から見た側面図である。(B)は、(A)のトレッドをタイヤ半径方向外方から見た平面図である。(C)は、(A)のトレッドを蹴出し側から見た側面図である。 第5実施形態に係る空気入りタイヤのブロック状の陸部であるセンターブロック20及びショルダーブロック24の斜視図である。 (A)は、第6実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドを踏込み側から見た側面図である。(B)は、(A)のトレッドをタイヤ半径方向外方から見た平面図である。(C)は、(A)のトレッドを蹴出し側から見た側面図である。 第6実施形態に係る空気入りタイヤのブロック状の陸部であるセンターブロック20及びショルダーブロック24の斜視図である。 (A)は、実施例7の空気入りタイヤのトレッドを踏込み側から見た側面図である。(B)は、(A)のトレッドをタイヤ半径方向外方から見た平面図である。(C)は、(A)のトレッドを蹴出し側から見た側面図である。 (A)ブロックに設けられた突起部のタイヤ周方向に沿った断面が三角形状の図である。(B)ブロックに設けられた突起部のタイヤ周方向に沿った断面が略矩形の図である。(C)ブロックに設けられた突起部のタイヤ周方向に沿った断面が直角三角形状の図である。 その他の実施形態に係る空気入りタイヤのブロックを蹴出し側又は踏込み側から見た側面図である。
符号の説明
10 空気入りタイヤ
12 トレッド
14A 主溝(周方向主溝)
14B 主溝(周方向主溝)
16A 横溝(横方向溝)
16B 横溝(横方向溝)
18 センターブロック(陸部)
20 センターブロック(陸部)
22 ショルダーブロック(陸部)
24 ショルダーブロック(陸部)
26 踏込側突起部(突起部)
28 蹴出側突起部(突起部)
30 空気入りタイヤ
36 踏込側突起部(突起部)
38 蹴出側突起部(突起部)
40 空気入りタイヤ
46 踏込側突起部(突起部)
48 蹴出側突起部(突起部)
56 踏込側突起部(突起部)
58 蹴出側突起部(突起部)
60 空気入りタイヤ
66 踏込側突起部(突起部)
68 蹴出側突起部(突起部)
76 踏込側突起部(突起部)
78 蹴出側突起部(突起部)
80 空気入りタイヤ
86 踏込側突起部(突起部)
88 蹴出側突起部(突起部)
96 踏込側突起部(突起部)
98 蹴出側突起部(突起部)
100 空気入りタイヤ
106 踏込側突起部(突起部)
108 蹴出側突起部(突起部)
116 踏込側突起部(突起部)
118 蹴出側突起部(突起部)

Claims (13)

  1. タイヤ周方向に沿って延びる複数の周方向主溝と、前記周方向主溝に交差する複数の横方向溝とによって区画された複数の陸部をトレッドに備えた空気入りタイヤであって、
    前記陸部の踏込み側の側壁及び蹴出し側の側壁の少なくとも前記蹴出し側の側壁にタイヤ幅方向に延びる突起部が設けられ、
    前記陸部の高さをH0、前記陸部の踏面から前記突起部の突起頂点までの陸部高さ方向の距離をHとしたとき、H<H0/2を満たすことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記距離Hは、H<H0/4を満たすことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記距離Hは、H0/27<H<H0/8を満たすことを特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記陸部と前記突起部との境界のうち踏面側の端部は、前記陸部の踏面からH0/27以上離れていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記突起部の突起頂点の高さをkとしたとき、H0/27≦k≦H0/2を満たすことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記陸部は、タイヤ半径方向外方から見て平行四辺形であり、前記陸部の鋭角側の頂点から鈍角側の頂点に向かって、前記突起部の前記距離Hが漸減することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記陸部は、タイヤ半径方向外方から見て平行四辺形であり、前記陸部の鋭角側の頂点から鈍角側の頂点に向かって、前記突起部のタイヤ周方向に沿った断面積が漸減することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記陸部の接地圧が低い領域側より接地圧が高い領域側では、前記突起部の前記距離Hが長くなることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記トレッドは、前記踏面と路面との接地圧が異なる前記陸部を複数有し、前記トレッドの接地圧が低い陸部より接地圧が高い陸部で、前記突起部の前記距離Hが長くなることを特徴とする請求項1乃至5及び8の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記陸部の接地圧が低い領域側より接地圧が高い領域側では、前記突起部のタイヤ周方向に沿った断面積が大きくなることを特徴とする請求項1乃至5及び8及び9の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記トレッドは、前記踏面と路面との接地圧が異なる前記陸部を複数有し、前記トレッドの接地圧が低い陸部より接地圧が高い陸部で、前記突起部のタイヤ周方向に沿った断面積が大きくなることを特徴とする請求項1乃至5及び8乃至10の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記蹴出し側の側壁とタイヤ赤道面とで成す角が、直角側に近い陸部ほど、前記突起部の前記距離Hが長くなることを特徴とする請求項1乃至5に記載の空気入りタイヤ。
  13. 前記蹴出し側の側壁とタイヤ赤道面とで成す角が、直角側に近い陸部ほど、前記突起部のタイヤ周方向に沿った断面積が大きくなることを特徴とする請求項1乃至5及び12に記載の空気入りタイヤ。
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