JP2007030421A - ゴム製筒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴム製筒体の生産性、外観及び寸法精度を高めることができるゴム製筒体(ゴムホース)の製造方法の提供。
【解決手段】内型4をシャフト8の外周側に樹脂製円筒体9を配置して構成する。内型4をマンドレルとしてその外周側に未加硫ゴム筒7を形成して外型5に挿入する。シャフト8と樹脂製円筒体9との間に加圧流体を注入して樹脂製円筒体9を径方向に膨張させる。十分な剛性のある内型4及び外型5で未加硫ゴム筒7を加圧する。加圧流体を熱媒体として未加硫ゴム筒7を加熱して加硫成形する。加圧流体を排出して樹脂製円筒体9を縮径して脱型する。
【選択図】 図4
【解決手段】内型4をシャフト8の外周側に樹脂製円筒体9を配置して構成する。内型4をマンドレルとしてその外周側に未加硫ゴム筒7を形成して外型5に挿入する。シャフト8と樹脂製円筒体9との間に加圧流体を注入して樹脂製円筒体9を径方向に膨張させる。十分な剛性のある内型4及び外型5で未加硫ゴム筒7を加圧する。加圧流体を熱媒体として未加硫ゴム筒7を加熱して加硫成形する。加圧流体を排出して樹脂製円筒体9を縮径して脱型する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、ゴムホースなどのゴム製筒体を製造するためのゴム製筒体の製造方法に関するものである。
一般に、ゴム製筒体は、未加硫ゴム筒を内外から押圧しながら加熱することにより加硫成形して製造されている。ゴム製筒体のうち、内径に対する長さの比が比較的に小さいタイヤや空気ばねなどの製造には、未加硫ゴム筒の内側にバッグを挿入し、そのバッグの圧力で未加硫ゴム筒を外金型に押し付けるバッグ方式の加硫成形を採用することが多い(例えば特許文献1)。
ただ、ゴムホースなどの長尺ゴム製筒体の製造にバッグ方式の加硫成形を採用しようとしても、バッグの挿入及び引き抜きが難しく、生産性が極端に低下する。さらに、柔らかいバッグを押し付けられるゴム製筒体の内周面に寸法変動や凹凸、段差を生じやすく、ゴム製筒体として、内部を流体が流れるゴムホースを製造する場合、特に、内部を摩耗性流体が流れるスラリーホースを製造する場合には、その製品に不具合を生じさせるおそれがある。
そのため、ゴムホースなどの長尺ゴム製筒体の製造には、マンドレルに未加硫ゴム及び補強繊維を積層し、その外周を布締めして直接蒸気加硫する布巻き方式の加硫成形が採用されている。
特開平6−23864
ところが、布巻き方式の加硫成形を採用する場合、ゴム製筒体の生産性が低く、製品の外観上の見栄えも悪くなりやすく、さらに製品の寸法精度も劣りやすい。
本発明は、ゴム製筒体の内周面を平滑にすると共に、その生産性、外観及び寸法精度を高めることができるゴム製筒体の製造方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るゴム製筒体の製造方法を説明すると、まず、シャフトの外周側に樹脂製円筒体を配置してなる内型の外周側に未加硫ゴム筒を配置して筒状の外型に挿入する。次いで、シャフトと樹脂製円筒体との間に加圧流体を注入して樹脂製円筒体を径方向に膨張させることにより、内型の外周側に配置した未加硫ゴム筒を内型及び外型間で加圧する。この加圧と同時に未加硫ゴム筒を加熱して加硫成形し、その後、加圧流体を排出して樹脂製円筒体を縮径して脱型する。
この構成によれば、内型の外周側の未加硫ゴム筒と外型との間に隙間のある状態で外型に内型を挿入し、加硫成形した後、内型とゴム製筒体との間に隙間のある状態で外型から内型を引き抜くので、内型及び外型を含む加硫成形型の組み立て及び脱型が容易である。さらに、内型が樹脂製円筒体を内側からシャフトで支持した構造であるため、内型の強度及び剛性が十分に大きく、未加硫ゴム筒の配置及び外型への挿抜が容易である。
また、未加硫ゴム筒を加圧する内型及び外型に十分な剛性があるので、バッグ方式や布巻き方式のような寸法変動や凹凸、段差を生じさせることなく、ゴム製筒体を極めて安定した形状及び寸法に成形することができる。つまり、柔らかいバッグを蒸気圧で膨らませるバッグ方式や布巻き方式で加硫成形する場合、未加硫ゴム筒に生じた凹凸がそのままゴム製筒体に残りやすいが、樹脂製円筒体は、それ自体がある程度の剛性を有するため、未加硫ゴム筒に凹凸があっても、それを平滑化することができる。
さらに、加硫成形する際、膨張する樹脂製円筒体の外周面が外型の内周面に均一かつ徐々に近接するので、未加硫ゴムを均一に流動させながら強く加圧することができる。これにより、ゴム製筒体の形状及び寸法を安定させると共に、残留空気を十分に排除してゴム製筒体の物性を安定させることができる。
なお、シャフトは、軸状の部材であり、中実の軸状部材及びパイプ状の軸状部材を含む概念であるが、パイプ状のシャフトを採用することにより、その中央穴を通して加圧流体を注入することができる。樹脂製円筒体は、加圧流体の注入によって均一に膨張する「円筒体」であるが、この「円筒体」は、両端の外径が異なる円錐台状や断面楕円状を含む概念である。
未加硫ゴム筒を加熱するには、加硫成形型の全体を加硫缶に入れて加熱するなど、種々の手法を採用可能であるが、加圧流体を熱媒体として、加熱した熱媒体をシャフトと樹脂製円筒体との間に注入することによって内型を加熱し、未加硫ゴム筒を加硫成形することができる。そうすれば、未加硫ゴム筒の内周面の全面が接触する樹脂製円筒体を加熱し、未加硫ゴム筒に直接に熱を伝導させて効率よく加熱することができる。
また、熱媒体としての加圧流体を加熱すると共に外型を加熱することにより、あるいは、外型のみを加熱することにより、未加硫ゴム筒を加硫成形することもできる。熱媒体としての加圧流体を加熱すると共に外型を加熱すれば、その分、加硫成形に要する時間を短縮することができる。
内型の外周面を構成する樹脂製円筒体は、加圧流体を注入するまで、全面を内側からシャフトで支持されているので、内型をマンドレルとして利用し、内型の周りに未加硫ゴム筒を形成することができる。これにより、あらかじめ未加硫ゴム筒を形成してその未加硫ゴム筒を内型に装着する工程を省略することができ、さらに、未加硫ゴム筒を形成するためのドラムを不要にすることができる。
ゴム製筒体は、ゴムのみから構成されるものであってもよいが、例えば内面ゴムと外面ゴムとの間にスチールコードのような補強繊維を配して補強繊維層を設けることもできる。上記の製造方法は、加硫成形する際、未加硫ゴム筒をその全体に渡ってほぼ均一に加圧することができるので、未加硫ゴムの不均一な流動を生じさせにくく、未加硫ゴム筒が、補強繊維を埋設してなる補強繊維層を有する構造であっても、その補強繊維のずれをなくすことができる。
内径(D)に対する中心軸方向長さ(L)の比(L/D)が10以上、特に(L/D)が20以上であるゴム製筒体は、バッグ方式の加硫成形を採用しにくい長尺のゴム製筒体であり、上記の製造方法によって製造するのが好ましい。さらに、内径(D)が50mm〜200mm、長さ(L)が1000mm〜5000mm、肉厚(t)が10mm〜30mmであるゴム製筒体は、未加硫ゴム筒の公差が大きくなって加硫成形型の組み立て及び解体を難しくしやすいので、上記の製造方法によって製造するのがより好ましい。
また、本発明は、未加硫ゴム筒をゴム製筒体に加硫成形するための加硫成形型を提供する。具体的には、外周側に未加硫ゴム筒を配置される内型と、この内型を挿入される筒状の外型とを備えた加硫成形型であり、その内型は、シャフトの外周側に樹脂製円筒体を配置すると共に、シャフトと樹脂製円筒体との間に加圧流体を注入するための注入口を設けてなり、加圧流体の注入により、樹脂製円筒体が径方向に膨張して未加硫ゴム筒を外型の内周面に押圧する。
樹脂製円筒体を薄肉に形成するなどして、加圧流体の注入による素材の伸びによって樹脂製円筒体を膨張させるようにすれば、樹脂製円筒体自体をある程度の剛性に設定して、ゴム製筒体の内周面を平滑にすることができる。さらに、加圧流体の注入により、樹脂製円筒体が弾性変形して径方向に膨張するように設定すれば、樹脂製円筒体を繰り返し使用することができ、より好適である。
樹脂製円筒体の素材は、加硫成形の際の温度で物性が大きく変化しないこと、加圧流体の注入によって膨張して加圧流体の排出によって元の形状に戻るよう弾性変形すること、ゴムと接着しにくいことが要求される。具体的には、ナイロン、四フッ化エチレン、ポリプロピレン(PP)などを使用可能であるが、そのうち、ナイロンを用いるのが好ましく、特に、ナイロン66やMCナイロンを採用するのがより好ましい。
以上のとおり、本発明によると、内型を外型に挿入してから内型の樹脂製円筒体を膨張させ、加硫成形した後、樹脂製円筒体を縮径してから内型を引き抜くので、加硫成形型の組み立て及び脱型を容易にして、ゴム製筒体の生産性を高めることができる。また、十分な剛性のある内型及び外型で未加硫ゴム筒を徐々にかつ強く均一に加圧して加硫成形することができ、形状、寸法及び物性の極めて安定したゴム製筒体を製造することができる。
以下、本発明に係るゴム製筒体の製造方法を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。図1は本発明に係る製造方法によって製造するゴムホースを示す図であり、下半分は側面図、上半分は断面図である。
ゴムホース1は、内径(D)が全長に渡って一定、かつ肉厚(t)が全周及び全長に渡って一定の円筒状のゴム製筒体とされ、内面ゴム1aと外面ゴム1bとの間に、補強繊維としてのスチールコードを埋設してなる補強繊維層2が設けられている。
ゴムホース1の寸法は、例えば内径(D)が50mm〜200mm、中心軸方向長さ(L)が1000mm〜5000mm、内径(D)に対する中心軸方向長さ(L)の比(L/D)が10以上、肉厚(t)が10mm〜30mmに設定される。なお、ゴムホース1は、その両端の内径及び外径が異なる円錐台状や断面楕円状であってもよい。
次に、ゴムホース1の製造方法を説明する。まず、ゴムホース1に加硫成形するための加硫成形型について説明する。図2はゴムホースの加硫成形に使用する加硫成形型の断面図である。
加硫成形型3は、外周面でゴムホース1の内面を形成する内型4と、内周面でゴムホース1の外面を形成する筒状の外型5と、両端部において内型4及び外型5を固定する固定金具6とを備え、内型4の外周面と外型5の内周面とで未加硫ゴム筒7を加圧して加硫成形するようになっている。
内型4は、鋼製のシャフト8の外周側に樹脂製円筒体9を密着配置した構造とされ、シャフト8と樹脂製円筒体9との間に蒸気などの加熱された加圧流体を注入することにより、樹脂製円筒体9の外周側の未加硫ゴム筒7を加熱すると共に、樹脂製円筒体9を径方向に膨張させて外型5との間で未加硫ゴム筒7を加圧するようになっている。
シャフト8は、中央部8aの内径及び外径を中心軸方向に一定に設定すると共に、両端部8bの内径及び外径を中央部8aの内径及び外径よりも小径に設定してなる円筒状とされ、中央部8aと両端部8bとの境界の段差8cに樹脂製円筒体9の端部9aが中心軸方向に係止されている。
シャフト8の中央部8aには、加圧流体を注入するための注入口10と加圧流体を排出するための排出口11とが形成され、シャフト8の中央穴8d及び注入口10を介して樹脂製円筒体9との間に加圧流体を注入し、樹脂製円筒体9との間から排出口11及び中央穴8dを介して加圧流体を排出するようになっている。
樹脂製円筒体9は、MCナイロンから例えば3mm程度の薄肉に形成され、シャフト8との間への加圧流体の注入により、弾性変形して径方向に膨張するようになっている。樹脂製円筒体9の外径は、径方向に膨張した状態でゴムホース1の内径(D)に等しく設定される。
外型5は、その内径をゴムホース1の外径(D+t)と等しく設定された鋼製の円筒体とされ、内型4の樹脂製円筒体9を膨張させるまで、内型4の外周側に配置した未加硫ゴム筒7の外周面との間にわずかに隙間12を空けるようになっている。
固定金具6は、外型5の外径とほぼ同じ大きさの円板状とされ、その中央の貫通穴6aにシャフト8の端部8bを嵌め、貫通穴6aの周囲の凹部6bに樹脂製円筒体9の端部9aを嵌め、外縁の切欠6cに外型5の端部を嵌めることにより、内型4のシャフト8及び樹脂製円筒体9と外型5とを固定するようになっている。
次に、加硫成形型3を使用してゴムホース1を製造する手順を説明する。図3は内型の外周側に形成した未加硫ゴム筒の断面図である。図4はゴムホースの加硫成形を示す断面図で、(a)は加硫成形前の状態を示し、(b)は加硫成形後の状態を示す。
まず、マンドレルとしての内型4を回転しながら、その外側に内面未加硫ゴムを巻き付けて、その外側に2層のスチールコードをそのバイアス方向を互いに交差させて配置し、その外側に外面未加硫ゴムを巻き付ける。これにより、図3に示すように、内型4の外周側に未加硫ゴム筒7が形成される。
次いで、図4(a)に示すように、未加硫ゴム筒7を保持したままの内型4を外型5に挿入する。その際、外型5と未加硫ゴム筒7の外周面との間に隙間12があるため、内型4を容易に挿入することができる。さらに、固定金具6の貫通穴6aにシャフト8の端部8bを嵌め、凹部6bに樹脂製円筒体9の端部9aを嵌め、切欠6cに外型5の端部を嵌めて、内型4と外型5とを互いに固定する。
図4(b)に示すように、注入口10からシャフト8と樹脂製円筒体9との間に蒸気などの加圧流体を注入することにより、樹脂製円筒体9を弾性変形させて径方向に膨張させる。これにより、内型4の外周側の未加硫ゴム筒7が外型5の内周面に押し付けられて内型4及び外型5に密着する。樹脂製円筒体9は、スチールコードのずれを生じさせることなく未加硫ゴムを十分に流動させて残留空気を排除しながら、未加硫ゴム筒7を強く安定した力で均一かつ徐々に加圧する。
加圧流体は、ヒーターの熱を未加硫ゴム筒7に伝える熱媒体でもあり、樹脂製円筒体9を膨張させる圧力を維持しつつ加圧流体を循環させながらヒーターで加熱することにより、加圧流体及び樹脂製円筒体9を介して未加硫ゴム筒7を加熱する。循環する加圧流体は、シャフト8の中央穴8dを通って注入口10から注入され、排出口11から中央穴8dを通って排出される。
このように、内型4及び外型5間で未加硫ゴム筒7を加圧しつつ加熱することにより、内面未加硫ゴム及び外面未加硫ゴムを加硫成形する。なお、加圧流体として、蒸気に代えて温水やシリコンオイルなどを使用することもできる。
加硫成形の完了後、加圧流体を排出して樹脂製円筒体9を縮径し、内型4を外型5から引き抜いて脱型する。このとき、縮径した樹脂製円筒体9とゴムホース1との間に隙間ができるので、内型4を冷却することなく容易に引き抜くことができ、内型4を引き抜くことにより、ゴムホース1も外型5から容易に引き抜くことができる。以上の製造方法により、内外面が滑らかでかつ高精度のゴム特性と寸法特性のゴムホース1を得る。
次に、本発明に係る製造方法と従来の製造方法とを比較する。表1は本発明に係る製造方法と従来の3種類の製造方法との比較を示す表である。
従来の製造方法のうち、Aは、布巻き方式の加硫成形(布巻き加硫)を用いた製造方法であり、マンドレルに内面未加硫ゴム、スチールコード及び外面未加硫ゴムを積層して未加硫ゴム筒を形成し、その外周側を布締めして直接蒸気加硫する製造方法である。
Bは、バッグ方式の加硫成形(内バッグ外金型加硫)を用いた製造方法であり、成形ドラムから外した未加硫ゴム筒にバッグを挿入し、二つ割りの長尺外金型にセットしてプレス加硫する製造方法である。
Cは、Bのバッグと金型の内外を逆転(マンドレル外バッグ加硫)した製造方法であり、マンドレルの周りに未加硫ゴム筒を形成して、これを加硫缶の内部に装着したバッグに挿入し、バッグに外圧を掛けて外側から加圧加硫する方法である。
これらの製造方法によって製造する二種類のゴムホース1のうちの一方は、中心軸方向長さが3000mm、内径がφ130、外径がφ176の円筒状であり、他方のゴムホース1は、中心軸方向長さが3000mm、大径側の内径がφ130、小径側の内径がφ110、大径側の外径がφ176、小径側の外径がφ150の円錐台状である。本発明及び従来の製造方法における加硫温度は、全て160℃である。
表1が示すように、設備投資としては、従来の製造方法(A、B、C)が加硫缶を要し、さらに、製造方法Bが二つ割りの高価な金型及び加硫プレス(バッグ)を要し、製造方法Cが専用バッグ加硫設備(バッグ付の加硫缶)を要するのに対して、本発明は、安価な内型及び外型によって加硫成形することができる。
製造したゴムホース1の品質及び製造の容易性を比較すると、内径精度、外径精度、見栄え(外観)、生産性、繊維角度(スチールコードのずれ)、エアー残留、挿入引き抜き(加硫成形型の組み立て及び脱型)の7つの項目のうち、内径精度又は外径精度のいずれかが同程度の品質であることを除いて、本発明が従来の製造方法(A、B、C)よりも優れていることがわかる。
また、従来の製造方法(A、B、C)は、加硫成形する都度エネルギーを排出する必要があり、エネルギーを無駄にし、排出及び冷却に時間を要する。具体的には、製造方法Aは、加硫成形する度に蒸気排出して加硫缶自体を冷却する必要があり、製造方法Bは、バッグ内の蒸気を排出してから脱型する必要があり、製造方法Cは、マンドレル及びバッグを除圧排出冷却する必要がある。これに対して、本発明は、エネルギーを無駄にすることなく、短時間で脱型することができる。
上記構成によれば、未加硫ゴム筒7を十分な剛性のある内型4と外型5とで加圧して加硫成形するので、大型で非常に高価なバッグを不要にすると共に、バッグ方式や布巻き方式の加硫成形と比較して、ゴムホース1の寸法を極めて安定させることができる。また、内型4の樹脂製円筒体9及び外型5の平滑な表面をゴムホース1に転写して、その内周面及び外周面を光沢のある極めて平滑な表面に形成することができる。特に、スラリー流体を圧送する耐摩耗ホースを製造する場合にも、スラリー流体の閉塞や異常流速を発生させる寸法変動を防止することができる。
内型4を外型5に挿入してから加圧流体を注入して樹脂製円筒体9を径方向に膨張させるので、内型4の外周側の未加硫ゴム筒7と外型5の内周面との間に隙間12がある状態で内型4を挿入することができる。これにより、ゴムホース1のような長尺のゴム製筒体を製造する場合であっても、その加硫成形に内型4及び外型5を用いることができる。
加硫成形した後、加圧流体を排出して樹脂製円筒体9を縮径するので、内型4とゴムホース1の内周面との間に隙間を空けることができ、内型4を冷却することなく、外型5から容易に引き抜くことができる。加硫成形後に内側から内型4を引き抜いたゴムホース1は、冷却することなく、外型5から容易に取り外すことができる。
このように、内型4を外型5に容易に挿抜することができるので、外型5を二つ割りにする必要がなく、その分、外型5の組み立て及び解体作業を不要にすることができ、さらに、外型5の割面へのゴム流動や割面によるゴム筋を生じさせることがない。
内型4は、加圧流体を注入するまで、樹脂製円筒体9が鋼製のシャフト8の外周側に密着ているので、十分な強度及び剛性があり、これをマンドレルとしてその周りに直接未加硫ゴム筒7を形成することができる。これにより、バッグ方式に必要とされる成型ドラムを不要にすることができ、さらに、長尺のゴムホース1の製造における難しい工程である未加硫ゴム筒7を成型ドラムから引き抜いて内型4に装着する工程を省略することができる。
樹脂製円筒体9は、MCナイロンから形成した円筒体であり、ある程度の剛性を有すると共に、加圧流体の注入によって弾性変形して径方向に均一に膨張するため、加硫成形する際、未加硫ゴム筒7を平滑に均しながら外型5の内周面に均一かつ徐々に接近する。
これにより、未加硫ゴム筒7を均一に流動させて強く加圧し、ゴムホース1の形状及び寸法を安定させると共に、残留空気を十分に排除してゴムホース1の物性を安定させることができる。特に補強繊維層2を有する厚肉の未加硫ゴム筒7は、部分的に厚さや形状が変化しやすいが、樹脂製円筒体9によって未加硫ゴム筒7を均一に流動させることにより、スチールコードの乱れや凹凸を生じさせることなく加硫成形することができる。
樹脂製円筒体9を構成する素材は、a)加硫成形の温度で物性が大きく変化しないこと、b)加圧流体の注入によって弾性変形して膨張すること、c)加圧流体の排出によって元の大きさに速やかに縮径すること、d)ゴムと接着しないこと、e)安価で市販されていることなどが求められるが、MCナイロンは、加硫成形の温度160℃に繰り返し耐え得る耐熱性を有するなど、a)〜e)の要求特性を満足するものである。
MCナイロンから形成した樹脂製円筒体9は、加圧流体としての蒸気を注入して弾性変形させることにより、外型5との間で未加硫ゴム筒7を加圧する大きさに膨張させることができる。例えば、樹脂製円筒体9を周方向に5%伸ばして、外径がφ130の樹脂製円筒体9をφ135以上に膨張させることができる。
具体的に説明すると、内径がφ130、外径がφ176、肉厚が23±1mmの未加硫ゴム筒7を加硫成形するには、内型4を外型5に挿入しやすいように、外型5の内径をφ179として、未加硫ゴム筒7の最大径φ178よりも1mmだけ大きく設定するのがよい。一方、未加硫ゴム筒7の最小外径は、130+(23−1)×2=φ174であり、外型5と未加硫ゴム筒7との隙間12の最大値は、179−174=5mmである。
未加硫ゴム筒7を5mm拡径するように、外径がφ130の樹脂製円筒体9をφ135に膨張させるには、135/130=1.04より、樹脂製円筒体9を周方向に5%伸ばせば十分である。破断力が90MPaで破断時の伸びが50%であるMCナイロンは、伸びが5%の状態では完全に弾性範囲内であり、繰り返し使用しても問題はない。
また、樹脂製円筒体9を周方向に5%伸ばすのに必要な蒸気圧を求めると、
5%伸び時の応力(σ)が、σ=90MPa×(5%/50%)=9MPaであり、
肉厚(t)が3mmの樹脂製円筒体9を5%膨張させる蒸気圧(P)は、
σ=P・r/tより、P=σ×t/r=9×0.3/(13/2)=0.41MPaである。
5%伸び時の応力(σ)が、σ=90MPa×(5%/50%)=9MPaであり、
肉厚(t)が3mmの樹脂製円筒体9を5%膨張させる蒸気圧(P)は、
σ=P・r/tより、P=σ×t/r=9×0.3/(13/2)=0.41MPaである。
0.41MPaは、蒸気圧として容易に得られる圧力であり、同時に150℃の加硫成形に最適な温度でもある。なお、MCナイロンは、蒸気以外にも、温水やシリコンオイルなどの他の熱媒体にも耐えることが可能である。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、内型4に注入する加圧流体を熱媒体として内型4を加熱する代わりに、あるいは内型4を加熱すると共に、ヒーターなどで外型5を加熱することにより、未加硫ゴム筒7を加硫成形するようにしてもよい。内型4及び外型5を加熱することにより、加硫成形に要する時間を短くすることができる。
樹脂製円筒体9は、MCナイロンに代えて、ナイロン66などの他のナイロン、四フッ化エチレン、ポリプロピレン(PP)などの樹脂から形成してもよい。また、本発明に係る製造方法で製造するゴム製筒体は、ゴムホース1に限らず、円筒状(円錐台状や断面楕円状を含む)であれば、あらゆるゴム製筒体を製造することができる。
1 ゴムホース
2 補強繊維層
3 加硫成形型
4 内型
5 外型
7 未加硫ゴム筒
8 シャフト
9 樹脂製円筒体
12 隙間
2 補強繊維層
3 加硫成形型
4 内型
5 外型
7 未加硫ゴム筒
8 シャフト
9 樹脂製円筒体
12 隙間
Claims (9)
- シャフトの外周側に樹脂製円筒体を配置してなる内型の外周側に未加硫ゴム筒を配置して筒状の外型に挿入し、次いで、前記シャフトと前記樹脂製円筒体との間に加圧流体を注入して樹脂製円筒体を径方向に膨張させることにより、内型の外周側に配置した前記未加硫ゴム筒を内型及び外型間で加圧しつつ加熱して加硫成形し、その後、前記加圧流体を排出して前記樹脂製円筒体を縮径することにより脱型することを特徴とするゴム製筒体の製造方法。
- 前記加圧流体を熱媒体として、加熱された熱媒体を前記シャフトと前記樹脂製円筒体との間に注入することによって前記内型を加熱し、前記未加硫ゴム筒を加硫成形することを特徴とする請求項1に記載のゴム製筒体の製造方法。
- 前記外型を加熱することにより、前記未加硫ゴム筒を加硫成形することを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム製筒体の製造方法。
- 前記内型をマンドレルとして利用し、前記内型の周りに前記未加硫ゴム筒を形成することを特徴とする請求項1、2又は3に記載のゴム製筒体の製造方法。
- 前記未加硫ゴム筒が、補強繊維を埋設してなる補強繊維層を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム製筒体の製造方法。
- 内径(D)に対する中心軸方向長さ(L)の比(L/D)が10以上であるゴム製筒体を製造することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のゴム製筒体の製造方法。
- 外周側に未加硫ゴム筒を配置される内型と、該内型を挿入される筒状の外型とを備えた加硫成形型であって、前記内型は、シャフトの外周側に樹脂製円筒体を配置すると共に、シャフトと樹脂製円筒体との間に加圧流体を注入するための注入口を設けてなり、加圧流体の注入により、樹脂製円筒体が径方向に膨張して前記未加硫ゴム筒を外型の内周面に押圧することを特徴とする加硫成形型。
- 前記樹脂製円筒体は、加圧流体の注入により、弾性変形して径方向に膨張することを特徴とする請求項7に記載の加硫成形型。
- 前記樹脂製円筒体は、ナイロンから形成されたことを特徴とする請求項7又は8に記載の加硫成形型。
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