しかしながら、このような構成の従来の部品実装装置90では、搬送バッファ装置96を設置していることにより、部品実装装置(実装ライン)90の長さが大きなものとなってしまう。特に近年、部品実装のための生産スペースの縮小化が望まれているような状況においては、生産装置として好ましくないという問題がある。
そのため、例えば、図12に示すように、搬送バッファ装置96を取り除いて装置全体のコンパクト化が図られた部品実装装置90Aが考えられる。すなわち、前処理装置91、加熱処理装置93、冷却処理装置94、及び後処理装置95が互いに隣接して配置された部品実装装置90Aである。このような構成の部品実装装置90Aでは、基板1の搬送方向下流側において隣接する処理装置に基板1が位置されていない場合に、当該隣接する処理装置への基板1の搬送許可を行うような制御が行われる。
しかしながら、このような構成の部品実装装置90Aにおいて、加熱処理装置93の搬送方向下流側の処理装置において、何らかの動作不良が発生した場合に、加熱処理装置93の下流側において隣接する冷却処理装置94に基板1が既に配置されていれば、加熱処理が完了した基板1を加熱処理装置93から搬出することができない場合がある。このような場合にあっては、加熱処理装置93において所定の加熱処理が行われた基板1に対して冷却処理を続けて施すことができず、その結果、当該基板1に実装された部品や基板1自体より熱を迅速に取り除くことができず、基板1や部品に対して熱的な損傷(ダメージ)を与えてしまうという問題がある。
近年、基板1に実装される部品の種類の多様化が益々進んできている現状においては、基板1に通常の部品よりもその耐熱温度が低いような弱耐熱部品(例えば、CCDや光ピック関連部品など)が実装される場合や、基板1自体がフレキシブル基板(FPC)のように耐熱性が低いような場合がある。このような状況においては、下流側の処理装置において、動作不良が生じた場合であっても、加熱処理装置93に供給された基板1(あるいは部品)に対して熱的な損傷を避けることは重要である。一方、製産スペースの縮小化の観点から、部品実装装置自体のコンパクト化を図ることも強く要望されている。しかしながら、上述の従来の部品実装装置90や90Aの構成では、基板や部品の熱的損傷防止対策と装置のコンパクト化とを両立させることが困難であるという問題がある。
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、接合材を介して部品が装着された基板に対して、上記接合材の加熱溶融を行う加熱処理と、当該加熱溶融された接合材の冷却固化を行う冷却処理と、当該冷却処理された上記基板に対する後処理とを一連の処理として順次施すことで、複数の上記基板に対して上記部品を実装する部品実装に関し、上記基板に実装される上記部品や上記基板に対して熱的な損傷の発生を確実に防止しながら、当該部品実装を担う装置のコンパクト化を図ることができる部品実装装置及び実装方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、接合材を介して部品が装着された基板に対して、上記接合材の加熱溶融を行う加熱処理と、当該加熱溶融された接合材の冷却固化を行う冷却処理と、当該冷却処理された上記基板に対する後処理とを一連の処理として順次施すことで、複数の上記基板に上記部品を順次実装する部品実装装置において、
上記基板に対して上記加熱処理が行われる加熱処理位置、上記冷却処理が行われる冷却処理位置、及び上記後処理が行われる後処理位置とのそれぞれの位置に、上記それぞれの基板を順次かつ個別に位置させるように搬送する基板搬送装置と、
上記冷却処理位置又は上記後処理位置のいずれか一方の処理位置、及び上記加熱処理位置に第1の上記基板が配置されていない場合に、当該加熱処理位置への第2の上記基板の搬入を許可するように上記基板搬送装置を制御する制御装置とを備えることを特徴とする部品実装装置を提供する。
本発明の第2態様によれば、上記加熱処理位置に配置された上記基板に対して上記加熱処理を行う加熱部と、上記加熱処理位置への上記基板の搬入、及び上記基板の当該加熱処理位置よりの搬出を行う加熱用搬送部とを有する加熱処理装置と、
上記冷却処理位置に配置された上記基板に対して上記冷却処理を行う冷却部と、上記加熱処理位置より搬出される上記基板の上記冷却処理位置への搬入、及び上記基板の当該冷却処理位置よりの搬出を行う冷却用搬送部とを有する冷却処理装置と、
上記後処理位置に配置された上記基板に対して上記後処理を行う後処理部と、上記冷却処理位置より搬出される上記基板の上記後処理位置への搬入、及び上記基板の当該後処理位置よりの搬出を行う後処理用搬送部とを有する後処理装置とをさらに備え、
上記基板搬送装置は、上記それぞれの搬送部により構成され、
上記制御装置は、上記それぞれの搬送部を制御して、上記加熱処理位置への上記第2の基板の搬入許可の制御を行う第1態様に記載の部品実装装置を提供する。
本発明の第3態様によれば、上記制御装置は、上記加熱処理位置及び上記後処理位置に上記第1の基板が配置されていない場合に、当該加熱処理位置への上記第2の基板の搬入を許可するように、上記それぞれの搬送部の制御を行う第2態様に記載の部品実装装置を提供する。
本発明の第4態様によれば、上記制御装置は、上記加熱処理位置及び上記冷却処理位置に上記第1の基板が配置されていない場合に、当該加熱処理位置への上記第2の基板の搬入を許可するように、上記それぞれの搬送部の制御を行う第2態様に記載の部品実装装置を提供する。
本発明の第5態様によれば、上記制御装置は、上記後処理装置において動作エラーが発生した場合に、上記冷却処理装置における上記冷却処理位置に配置されている上記第1の基板に対して上記冷却処理を完了させ、かつ、当該第1の基板を当該冷却処理位置から搬出させるように上記冷却部及び上記冷却用搬送部の制御を行うとともに、上記加熱処理位置に配置されている上記第2の基板に対して上記加熱処理を完了させ、かつ、当該第2の基板を当該加熱処理位置から搬出させるように、上記加熱部及び上記加熱用搬送部の制御を行う第3態様に記載の部品実装装置を提供する。
本発明の第6態様によれば、上記制御装置は、上記加熱処理位置より搬出された上記第2の基板を上記冷却処理位置に配置させるように上記冷却用搬送部の制御を行うとともに、当該冷却処理位置に配置された上記第2の基板に対して上記冷却処理を完了させるように上記冷却部の制御を行う第5態様に記載の部品実装装置を提供する。
本発明の第7態様によれば、上記制御装置は、上記加熱処理位置からの上記第2の基板の搬出を行った後、上記加熱処理位置への第3の上記基板の搬入を停止させるように上記加熱用搬送部の制御を行う第5態様又は第6態様に記載の部品実装装置を提供する。
本発明の第8態様によれば、上記冷却用搬送部は、上記冷却処理位置より搬出された上記第1の基板を、上記後処理装置における上記後処理位置に強制的に搬入する機能を有する強制搬送手段を備える第5態様から第7態様のいずれか1つに記載の部品実装装置を提供する。
本発明の第9態様によれば、上記基板として、複数の上記基板が一体的に搬送可能な状態とされた基板グループに対して、一連の搬送が行われる第1態様から第8態様のいずれか1つに記載の部品実装装置を提供する。
本発明の第10態様によれば、接合材を介して部品が装着された基板を、加熱処理として上記接合材の加熱溶融が行われる加熱処理位置へ配置させて当該加熱処理を行い、冷却処理として当該加熱溶融された上記接合材の冷却固化が行われる冷却処理位置へ配置させて当該冷却処理を行い、その後、当該冷却処理された上記基板に対する後処理が行われる後処理位置へ配置させて当該後処理を行うことで、複数の上記基板に対して一連の処理を順次施して、上記それぞれの基板に上記部品を順次実装する部品実装方法において、
上記冷却処理位置又は上記後処理位置のいずれか一方の処理位置、及び上記加熱処理位置における第1の上記基板の配置の有無を検出し、
当該検出結果に基づき、上記冷却処理位置又は上記後処理位置のいずれか一方の処理位置、及び上記加熱処理位置に上記第1の基板が配置されていない場合に、上記加熱処理位置への第2の上記基板の配置を許可することを特徴とする部品実装方法を提供する。
本発明の第11態様によれば、上記第1の基板の配置の有無の検出は、上記加熱処理位置及び上記後処理位置について行い、
当該検出結果に基づき、上記加熱処理位置及び上記後処理位置に上記第1の基板が配置されていない場合に、上記加熱処理位置への上記第2の基板の配置を許可する第10態様に記載の部品実装方法を提供する。
本発明の第12態様によれば、上記第1の基板の配置の有無の検出は、上記加熱処理位置及び上記冷却処理位置について行い、
当該検出結果に基づき、上記加熱処理位置及び上記冷却処理位置に上記第1の基板が配置されていない場合に、上記加熱処理位置への上記第2の基板の配置を許可する第10態様に記載の部品実装方法を提供する。
本発明の第13態様によれば、上記後処理において処理エラーが発生した場合に、上記冷却処理位置に配置されている上記第1の基板に対して上記冷却処理を完了させ、かつ、当該第1の基板を当該冷却処理位置から搬出させるとともに、上記加熱処理位置に配置されている上記第2の基板に対して上記加熱処理を完了させ、その後当該第2の基板を当該加熱処理位置から搬出させる第11態様に記載の部品実装方法を提供する。
本発明の第14態様によれば、上記加熱処理位置より搬出された上記第2の基板を上記冷却処理位置に配置させるとともに、当該冷却処理位置に配置された上記第2の基板に対して上記冷却処理を完了させる第13態様に記載の部品実装方法を提供する。
本発明の第15態様によれば、上記加熱処理位置からの上記第2の基板の搬出を行った後、上記加熱処理位置への第3の上記基板の搬入を停止させる第13態様又は第14態様に記載の部品実装方法を提供する。
本発明によれば、このように部品実装のための複数種類の処理を、順次搬送される複数の基板に対して連続的に行う部品実装装置において、冷却処理位置又は後処理位置のいずれか一方の処理位置、及び加熱処理位置に第1の基板が位置されていないことを、上記加熱処理位置への第2の基板の搬送条件とすることで、当該加熱処理装置よりも搬送方向下流側の装置において動作エラーが発生した場合の上記基板や上記部品に対する熱的な影響発生を確実に防止しながら、搬送バッファ部分などを設ける必要のないコンパクト化された装置を提供することができる。
具体的には、このようなコンパクト化された装置構成を採用しながらも、上記加熱処理位置に上記第2の基板が配置された状態において、上記冷却処理位置又は上記後処理位置のいずれか一方の処理位置を上記第1の基板が配置されていない空き状態とさせることができる。
例えば、上記冷却処理位置を空き状態とさせるような場合には、上記後処理装置にて動作エラーが発生したような場合であっても、上記加熱処理位置に配置された上記第2の基板を、所定の加熱処理を施した後に、上記冷却処理位置へと搬送して、当該冷却処理位置にて当該第2の基板に対して所定の冷却処理を施すことができ、上記動作エラーの発生にも拘わらず、上記第2の基板に対して熱的な損傷を与えることを確実に防止することができる。
また、例えば、上記後処理位置を空き状態とさせるような場合には、上記後処理位置にて動作エラーが発生したような場合であっても、上記冷却処理位置に配置されている上記第1の基板に対して、所定の冷却処理を施した後、当該第1の基板を上記後処理位置へ強制的に搬出するとともに、上記加熱処理位置に配置されている上記第2の基板に対して、所定の加熱処理を施した後、当該第2の基板を上記冷却処理位置へ搬送して、所定の冷却処理を施すことができる。このようにすることで、上記加熱処理位置に配置されていた上記第2の基板に対して、加熱時間超過や冷却処理の未実施による熱的な損傷が発生することを確実に防止することができる。
また、このような状態にて、上記部品実装装置において、上記それぞれの基板の搬送を停止させるとともに、上記後処理装置の動作エラーを解除させるためのメンテナンスを行うことができる。また、当該動作エラーが解除された後、上記部品実装装置においては、いずれの上記基板に対しても熱的な影響による損傷が発生していないため、そのまま搬送を再開することで、通常に生産を開始させることができる。
従って、上記部品実装装置において、装置のコンパクト化を実現しながら、搬送される上記それぞれの基板に損傷を与えることを確実に防止することができるような搬送制御を実現することができる。
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の第1の実施形態にかかる部品実装装置の構成を示す模式図を図1に示す。図1に示すように、部品実装装置10は、例えば、基板1に対して部品を実装するための前処理(例えば、接合材料の供給や当該接合材料を介しての部品の装着)を行う前処理装置11と、当該前処理が行われて部品が装着された状態の基板1が供給され、当該供給された基板1に対して所定の温度プロファイルにての加熱プロセスを施して、接合材料を介して部品を基板1に実装する加熱プロセス装置12と、上記加熱プロセスが施された状態(すなわち、部品が実装された状態)の基板1が供給され、当該供給された基板1に対して上記実装の後処理(外観検査や搬送パレットよりの基板の剥離など)を行う後処理装置15とが一続きに配列されることで構成されている。
このような構成の部品実装装置10においては、前処理装置11に供給された基板1が、加熱プロセス装置12を経由して、後処理装置15に搬送され、それぞれの処理装置において基板1に対して所定の処理が順次施されることで、順次供給される複数の基板1に対して、接合材を介しての部品の実装が行われる。
また、図1に示すように、加熱プロセス装置12は、大きく2つの装置を備えており、基板1に対する加熱を行うことで、部品を装着する接合材を加熱溶融させる加熱処理を行う加熱処理装置13と、基板1に対する冷却を行うことで、上記加熱溶融された状態の接合材を冷却固化させる冷却処理装置14とを備えている。すなわち、部品実装装置10は、前処理装置11、加熱処理装置13、冷却処理装置14、及び後処理装置15の順序にて、各処理装置が互いに隣接して配列されることで構成されており、一続きの部品の実装ラインが構成されている。
さらに、図1に示すように、前処理装置11は、供給される基板1に対して、上記前処理を施す前処理部11aを備えており、加熱処理装置13は、基板1に対して上記加熱処理を施す加熱処理部13aを備えており、冷却処理装置14は、基板1に対して上記冷却処理を施す冷却処理部14aを備えており、さらに後処理装置15は、基板1に対して上記後処理を行う後処理部15aを備えている。
ここで、このような構成の部品実装装置10において行われる各処理の具体的な内容を、一例として、図2(A)〜(F)に示す模式説明図を用いて以下に説明する。
部品実装装置10において取り扱われる基板1としては、例えばフレキシブル基板(FPC)であり、このような基板1はその軟らかいという材料特性により、基板1単体では搬送等を行うことが困難である。従って、例えば、図2(A)に示すように、基板1は、基板搬送用のパレット(以降、単にパレットという)2上に貼り付けされた状態にて、搬送等の取り扱いが行われることとなる。なお、基板1がパレット2上に載置された状態にて搬送されるような場合に代えて、パレット2を介さずに直接的に基板1が搬送されるような場合であってもよい。FPCに比べて堅い材料により形成された基板が用いられるような場合にあっては、パレット2を必要としない場合もあるからである。
また、図2(B)に示すように、このように基板1がパレット2に貼り付けられた状態にて、基板1における部品実装位置に、部品を接合するための接合材、例えばクリーム半田3の供給が行われる。さらに、図2(C)に示すように、このように供給されたクリーム半田3を介在させて、部品4の装着が行われる。このような部品4としては、様々な種類の電子部品を用いることができ、例えば、通常の電子部品よりもその耐熱性が低い弱耐熱部品(CCDや光ピック関連部品等)が用いられる。
このようなパレット2への基板1の貼り付け処理、接合材の供給処理、そして部品1の装着処理が、部品実装装置10における上記前処理となっている。なお、前処理装置11においては、上述のような3つの処理全てが前処理として行われるような場合であってもよく、あるいはこのような場合に代えて、上記3つの処理の内、例えば部品装着処理のみが上記前処理として行われるような場合であってもよい。
また、図2(D)は、部品4が装着された状態の基板1に対して、加熱プロセス(すなわち、加熱処理及び冷却処理)として、クリーム半田3に対するリフロー加熱が行われている状態を示している。このリフロー加熱により溶融状態とされたクリーム半田3を冷却することで固化させて、クリーム半田3を介して部品4を基板1の部品実装位置に実装(接合)することができる。
このように部品4の基板1への実装が行われた後は、図2(E)に示すように、当該実装状態を外観的に検査する外観検査処理が行われる。さらに、このような外観検査が完了すると、図2(F)に示すように、部品4が実装された基板1をパレット2から剥がす基板剥がし処理が行われる。上記外観検査処理及び基板剥がし処理が、部品実装装置10における上記後処理となっている。
次に、このようなそれぞれの処理が行われる部品実装装置10の構成について、図3に示すブロック図を用いて詳細に説明する。図3に示すように、前処理装置11においては、前処理部11aにより上記前処理が行われる前処理位置A1へ基板1が載置されたパレット2を搬送して位置決め可能であって、上記前処理が行われた基板1を載置するパレット2を前処理位置A1から搬出可能である前処理用基板搬送部11bを備えている。
同様に、加熱処理装置13は、加熱部13aにより上記加熱処理が行われる加熱処理位置A2へ、基板1が載置されたパレット2を搬送して位置決め可能であって、上記加熱処理が行われた基板1を載置するパレット2を加熱処理位置A2から搬出可能である加熱用基板搬送部13bを備えている。
さらに、冷却処理装置14は、冷却部14aにより上記冷却処理が行われる冷却処理位置A3へ、基板1が載置されたパレット2を搬送して位置決め可能であって、上記冷却処理が行われた基板1を載置するパレット2を冷却処理位置A3から搬出可能である冷却用基板搬送部14bを備えている。
さらに同様に、後処理装置15は、後処理部15aにより上記後処理が行われる後処理位置A4へ、基板1が載置されたパレット2を搬送して位置決め可能であって、上記後処理が行われた基板1を載置するパレット2を後処理位置A4から搬出可能である後処理用基板搬送部15bを備えている。
また、それぞれの基板搬送部11b、13b、14b、及び15bは互いに隣接して配列されており、隣接する基板搬送部間において、搬送されるパレット2の受け渡しを行うことが可能となっている。従って、前処理用基板搬送部11bに供給されたパレット2は、加熱用基板搬送部13b及び冷却用基板搬送部14bを経由して、後処理用基板搬送部15bにまで搬送することができ、このような一連の搬送経路が構成されている。
また、それぞれの処理装置11、13、14、及び15には、それぞれの処理位置A1〜A4への基板1を載置するパレット2の有無を検出するための基板検出センサとして、前処理用基板検出センサ11c、加熱用基板検出センサ13c、冷却用基板検出センサ14c、及び後処理用基板検出センサ15cが装備されている。
また、図3に示すように、前処理装置11には、その前処理動作及びパレット2の搬送動作の制御を行う前処理用制御装置9Aが備えられており、また、加熱装置13及び冷却装置14、すなわち加熱プロセス装置12には、加熱処理動作、冷却処理動作、及びパレット2の搬送動作の制御を行う加熱冷却処理用制御装置9Bが備えられており、さらに、後処理装置15には、後処理動作及びパレット2の搬送動作の制御を行う後処理用制御装置9Cが備えられている。例えば、前処理用制御装置9Aは、前処理装置11に供給されたパレット2に対して、前処理用基板搬送部11bにより前処理位置A1へ位置決めするように搬送を行い、当該位置決めされたパレット2に載置される基板1に対して、前処理部11aにより上記前処理を施し、さらにその後、前処理用基板搬送部11bにより前処理位置A1からパレット2の搬出を行うというような一連の動作を統括的に制御することができる。また、前処理位置A1に基板1を載置するパレット2が位置されているかどうかは、前処理用基板検出センサ11cにより検出し、その検出結果が前処理用制御装置9Aに入力され、当該情報が加熱冷却用制御装置9Bに受け渡されることにより、基板1(パレット2)の搬送動作が各処理装置間にて互いに関連付けながら行うことが可能となっている。すなわち、前処理用制御装置9A、加熱冷却処理用制御装置9B、及び後処理用制御装置9Cのそれぞれは、パレット2の搬送動作に関しては互いにその制御動作を関連づけながら、実施することが可能となっている。なお、本実施形態においては、それぞれの基板検出センサを用いて、各々の処理位置への基板1の配置の有無を検出するものとするが、本実施形態はこのような場合についてのみ限られるものではない。このような場合に代えて、例えば、制御装置9が、基板1に対する実際の搬送駆動距離を認識可能であって、当該認識された搬送駆動距離に基づいて、各々の基板1の位置が認識されるような場合であってもよい。また、本実施形態においては、各処理装置にて制御装置が個別に備えられているような場合について説明するが、このような場合についてのみ限定されるものではなく、例えば、部品実装装置10として、統括された制御装置が備えられ、それぞれの処理装置が統括的に制御されるような場合であってもよい。
このような構成の部品実装装置10において、パレット2に載置された状態で順次、連続的に搬送されるそれぞれの基板1に対して、それぞれの処理位置にて順次所定の処理が施され、部品4が基板1に実装される手順について、図4(A)〜(E)に示すそれぞれの模式説明図を用いて以下に説明する。また、当該説明にあたっては、基板1の搬送の手順を中心に説明するものとする。なお、基板1はパレット2上に載置された状態にて搬送されるが、以降の説明においては、当該搬送手順の説明の理解を容易なものとすることを目的として、パレット2を省略して、基板1が直接的に搬送されているものとする。また、以下の部品実装装置10におけるそれぞれの動作は、それぞれの制御装置9A、9B、及び9Cにより制御される。
まず、図4(A)に示すように、部品実装装置10において、加熱処理装置13の加熱処理位置A2には第1の基板1−1が位置されており、この第1の基板1−1に対して、加熱部13aにより加熱処理が施されている。また、前処理装置11には第2の基板1−2が供給されて、前処理用基板搬送部11bにより前処理位置A1に位置決めされている。加熱部13aによる第1の基板1−1に対する加熱処理が完了すると、冷却処理装置14の冷却処理位置A3の基板1の有無が確認される。冷却処理位置A3に基板1が配置されていない場合には、図4(B)に示すように、加熱処理位置A2よりの第1の基板1−1の搬出が許可されて、例えば加熱冷却処理用制御装置9Bより加熱用基板搬送部13bへ搬送許可信号Pが出力される。この搬送許可信号Pに基づいて第1の基板1−1が加熱用基板搬送部13bにより搬送され、さらに冷却用基板搬送部14bに受け渡されて、加熱処理位置A2から冷却処理位置A3に搬送された後、位置決めされる。
一方、前処理位置A1に位置された第2の基板1−2に対しては、前処理部11aにより前処理が施される。この前処理が完了すると、加熱処理位置A2における基板1の配置の有無及び後処理装置15の後処理位置A4における基板1の配置の有無が冷却加熱処理用制御装置9B及び後処理用制御装置9Cにより確認される。加熱処理位置A2及び後処理位置A4の両方の位置に基板1が配置されていない場合にのみ、前処理位置A1よりの第2の基板1−2の搬出が許可され、例えば、冷却加熱処理用制御装置9B及び後処理用制御装置9Cのそれぞれから前処理用制御装置9Aへ搬送許可信号Pが出力される。前処理用制御装置9Aは、この搬送許可信号Pに基づいて前処理用基板搬送部11bの制御を行い、第2の基板1−2が前処理用基板搬送部11bにより搬送され、さらに加熱用基板搬送部13bに受け渡されて、図4(C)に示すように前処理位置A1から加熱処理位置A2に搬送されて、位置決めされる。
また、図4(C)に示すように、冷却処理位置A3に位置された第1の基板1−1に対しては、冷却部14aにより冷却処理が施される。この冷却処理が完了すると、後処理装置15の後処理位置A4における基板1の配置の有無が後処理用制御部9Cにより確認される。後処理位置A4に基板1が配置されていないことが確認されると、例えば後処理用制御装置9Cより加熱冷却処理用制御装置9Bに対して搬送許可信号Pが出力され、冷却処理位置A3よりの第1の基板1−1の搬送が許可される。加熱冷却処理用制御装置9Bにおいては、この搬送許可に基づいて、冷却用基板搬送部14bの制御を行い、第1の基板1−1が冷却用基板搬送部14bにより搬送され、さらに後処理用基板搬送部14bに受け渡されて、図4(D)に示すように、冷却処理位置A3から後処理位置A4に搬送されて、位置決めされる。
一方、加熱処理位置A2に位置された第2の基板1−2に対しては加熱処理が行われ、当該加熱処理が完了すると、冷却処理位置A3における基板1の配置の有無が加熱冷却処理用制御装置9Bにより確認される。基板1が配置されていないことが確認されると、搬送許可信号Pが出力され、図4(E)に示すように当該搬送許可に基づいて、第2の基板1−2が加熱処理位置A2から冷却処理位置A3へと搬送される。
また、図4(D)に示すように、前処理位置A1に基板1が位置されていないことが前処理用制御装置9Aにより確認されると、前処理位置A1に新たな基板である第3の基板1−3が供給されて位置決めされる。また、後処理位置A4に位置決めされた第1の基板1−1に対しては後処理が施され、当該後処理が完了すると、部品実装装置10より搬出される。
このような互いに関連付けられた一連の搬送手順により、第1の基板1−1、第2の基板1−2、第3の基板1−3をそれぞれの処理位置A1〜A4に順次位置決めさせて、所定の処理を施すことができ、部品実装を順次行うことができる。
ここで、上述した基板1の搬送手順のうちの前処理位置A1から加熱処理位置A2への基板1の搬送手順について、図5のフローチャートに示す。図5に示すように、ステップS1において、前処理位置A1に基板1が搬入されると、ステップS2においてこの基板1に対する前処理が実施される。
その後、ステップS3において当該前処理が完了したかどうかが確認され、完了したことが確認されると、ステップS4において隣接する次の処理位置である加熱処理位置A2における別の基板1の配置の有無が確認される。このような確認は、基板1同士の衝突を防止するためのものである。加熱処理位置A2において別の基板1が配置されていないことが確認されると、ステップS5において後処理位置A4において別の基板1が配置されていないかどうかが確認される。このような確認は、後述するように、後処理装置15において動作エラーが発生した場合の対処動作を確実に行うことを可能とするためのである。後処理位置A4において別の基板1が配置されていないことが確認されると、ステップ6において、基板1の搬送許可信号が出力されて、前処理位置A1から加熱処理位置A2への基板1の搬送が行われる。
次に、部品実装装置10において、それぞれの基板1に対する処理の実施中に、後処理装置15において動作エラーが発生した場合におけるそれぞれの基板1の搬送制御の対処手順について以下に説明する。
後処理装置15は、上述したように、基板1への部品4の実装状態の検査やFPCのような基板1をパレット2から剥がす処理等を後処理として行う装置であり、このような処理内容により、動作エラー(処理エラー)の発生が他の装置よりも比較的多いという特性を有している。このような動作エラーが発生すれば、後処理装置15において後処理を継続して行うことができず、一連の搬送ラインにも影響が生じることとなる。一方、加熱処理装置13においては、基板1に対する加熱処理が行われるが、所定時間の加熱を行った後、部品4等への熱的な影響を防止するためにも冷却処理位置A3へ基板1を搬送させて、冷却処理を行う必要がある。しかしながら、上述のように後処理装置15にて動作エラーが発生した場合には、その搬送ライン上流側の装置における搬送にも影響が生じ、通常の搬送動作を継続して行うことができない。従って、このような動作エラーが発生した場合において、搬送途中の基板1への熱的な影響の発生を防止することができる搬送手順について説明を行うものとする。なお、このような動作エラーとしては、後処理装置15における基板1の搬送が完全に停止してしまう場合のみならず、基板1の搬送速度が通常の速度よりも低下してしまうような場合も含まれる。このように搬送速度が低下するような場合であっても、その上流側においては、それぞれの基板1の搬送に影響が生じるからである。
このような場合における搬送手順を説明する部品実装装置10の模式説明図を図6(A)〜(D)に示す。また、この搬送手順を示すフローチャートを図7に示す。
まず、図6(A)に示す状態においては、冷却処理位置A3に第2の基板1−2が位置され、加熱処理位置A2に第3の基板1−3が位置されている。なお、このような基板1の配置状況においては、図4(A)〜(E)及び図5を用いて説明した基板1の搬送手順により、加熱処理位置A2に第3の基板1−3が位置されていることから、後処理位置A4には別の基板1が位置されていないこととなる。このような状況の下で、後処理装置15における動作エラーが発生し、当該エラーが後処理用制御装置9Cにより検出される(図7のステップS11)と、それぞれの制御装置9A、9B、及び9Cにおいて部品実装装置10における基板1の搬送動作に動作エラー対処制御が適用される。
具体的には、冷却処理位置A3に位置されている第2の基板1−2に対する冷却処理、及び加熱処理位置A2に位置されている第3の基板1−3に対する加熱処理が継続して行われる。その後、図7のステップS12において、第2の基板1−2に対する冷却処理が完了したかどうかが確認される。当該冷却処理が完了したことが確認されると、図6(B)に示すように、第2の基板1−2が冷却処理位置A3から後処理位置A4に搬送される(ステップS13)。なお、この際に、図6(B)に示すように、前処理位置A1に別の基板1が配置されていないような場合にあっては、前処理位置A1に第4の基板1−4が供給される。
その後、ステップS14において、第3の基板1−3に対する加熱処理が完了したかどうかが確認される。当該加熱処理が完了したことが確認されると、図6(C)に示すように、第3の基板1−3が加熱処理位置A2から冷却処理位置A3に搬送される(ステップS15)。それとともに、第3の基板1−3に対する冷却処理が開始される。その後、部品実装装置10における全ての基板1の搬送が停止される(ステップS16)。
このような搬送停止状態において、部品実装装置10のオペレータにより動作エラーが発生した後処理装置15に対するメンテナンス等の必要な処置を採ることができる。また、このような動作エラー対処制御が行われることで、加熱プロセス装置12(すなわち、加熱処理装置13と冷却処理装置14)内に第2の基板1−2と第3の基板1−3の2枚の基板1が位置されているような場合であっても、加熱処理位置A2に位置されている第3の基板1−3に対して熱的損傷を与えることなく対処することができる。
次に、このような後処理装置15の動作エラーに対して上記動作エラー対処制御が行われ、それぞれの基板1の搬送が停止された状態の部品実装装置10において、後処理装置15の動作エラーを解除して、それぞれの基板1の搬送を再開する手順について、図8(A)〜(D)に示す模式説明図を用いて以下に説明する。
まず、図8(A)に示すように、後処理位置A4に第2の基板1−2が位置され、冷却処理位置A3に第3の基板1−3が位置され、前処理位置A1に第4の基板1−4が位置された状態において、それぞれの基板1の搬送が停止されていた部品実装装置10において、後処理装置15の動作エラーが解除される。この復旧により、まず、後処理位置A4に位置されている第2の基板1−2に対して後処理が開始されるとともに、前処理位置A1に位置されている第4の基板1−4に対して前処理が開始される。なお、第4の基板1−4に対して前処理の実施がすでに完了している場合には、再度の前処理は行われない。
第2の基板1−2に対する後処理が完了すると、図8(B)に示すように、後処理位置A4より第2の基板1−2が搬出される。この第2の基板1−2の搬出により、後処理位置A4に基板1が位置されていない状態となり、かつ、加熱処理位置A2にも基板1が位置されていない状態となるため、前処理が完了した第4の基板104が、前処理位置A1から加熱処理位置A2へ搬送される。また、後処理位置A4に基板1が位置されていない状態にあるため、第3の基板1−3(冷却処理実施済み)が、冷却処理位置A3から後処理位置A4に搬送される(図8(C)参照)。
その後、図8(D)に示すように、第5の基板1−5が新たに前処理位置A1に供給され、それぞれの処理位置にて所定の処理が行われて、部品実装装置10における通常の搬送手順が継続される。
上述の説明においては、パレット2に1枚の基板1が載置されているような場合について説明したが、本実施形態はこのような場合についてのみ限られるものではない。このような場合に代えて、例えば、複数の基板1がパレット2に載置されて、上記複数の基板1が互いに一体的な状態にて搬送されるような場合であってもよい。
また、それぞれの処理装置においては、基本的に基板1を載置する1つのパレット2のみをその処理位置に位置させることができるように構成されている。
また、部品実装装置10における通常状態のパレット2(基板1)の搬送においては、隣接する処理装置が備える基板搬送部が共に動作することにより、当該パレット2の受け渡しのための搬送が行われる。例えば、冷却処理位置A3に位置されているパレット2を後処理位置A4に搬送するような場合にあっては、冷却用基板搬送部14bと後処理用基板搬送部15bとが共に駆動されることにより、当該パレット2が後処理位置A4に受け渡されることとなる。しかしながら、このような搬送方法では、例えば後処理装置15において動作エラーが発生し、かつ後処理用基板搬送部15bが停止した場合には、パレット2の上記受け渡しを確実に行えないような場合も考えられる。このような状況においても確実な搬送を実現するために、例えば、冷却処理位置A3に位置されているパレット2を後処理用基板搬送部15bの駆動が無くても後処理位置A4に移動搬送させる機能を、冷却用基板搬送部14bに備えさせることもできる。このような機能を実現する具体的な搬送手段としては(すなわち第2の搬送手段あるいは強制搬送手段としては)、例えば、シリンダを用いて冷却処理位置A3に位置されているパレット2を強制的に押し出して後処理位置A4に位置させるような手段を採用することができる。
上記第1実施形態によれば、以下のような種々の効果を得ることができる。
まず、このように部品実装のための複数種類の処理を、順次搬送される複数の基板1に対して連続的に行う部品実装装置10において、搬送バッファ装置を備えさせず、コンパクト化が図られた装置を実現しながら、後処理位置A4及び加熱処理位置A2に基板1が位置されていないことを、前処理位置A1から加熱処理位置A2への基板1の搬送条件とすることで、動作エラー発生時の基板1や部品4に対する熱的な影響発生を確実に防止することができる。すなわち、従来の構成の部品実装装置では実現することが困難であった装置全体のコンパクト化と基板や部品に対する熱的損傷の発生防止とを両立して実現することが可能となる。
具体的には、後処理装置15にて動作エラーが発生したような場合であっても、冷却処理位置A3に位置されている基板1に対して、所定の冷却処理を施した後、当該基板1を後処理位置A4へ、冷却用基板搬送部14bにより強制的に搬出するとともに、加熱処理位置A2に位置されている基板1に対して、所定の加熱処理を施した後、当該基板1を冷却処理位置A3へ搬送して、所定の冷却処理を施すことができる。このようにすることで、加熱処理位置A2に位置されていた基板1に対して、加熱時間超過や冷却処理の未実施による熱的な損傷が発生することを確実に防止することができる。
また、このような状態にて、部品実装装置10において、それぞれの基板1の搬送を停止させるとともに、後処理装置15の動作エラーを復旧させるためのメンテナンスを行うことができる。また、当該動作エラーが復旧した後、部品実装装置10においては、いずれの基板1に対しても熱的な影響による損傷が発生していないため、そのまま搬送を再開することで、通常に生産を開始させることができる。
さらに、上記搬送条件を用いた搬送制御を採用することで、加熱プロセス装置12において、一の基板1に対して加熱処理を施しながら、別の一の基板1に対して冷却処理を施すことができ、効率的な処理が可能となる。
従って、部品実装装置10において、装置全体のコンパクト化を図りながら、搬送されるそれぞれの基板に損傷を与えることを確実に防止することができ、さらにタクトを向上させて効率的にそれぞれの処理を行うことができるような搬送制御を実現することができる。
(第2実施形態)
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本発明の第2の実施形態にかかる部品実装装置の構成を示す模式図を図9に示す。図9に示す本第2実施形態の部品実装装置20は、上記第1実施形態の部品実装装置10と同じ構成を有しているものの、パレット2の搬送の具体的な方法が上記第1実施形態の部品実装装置10とは異なるものである。以下、この異なる搬送方法に関連する事項を主として説明する。
この部品実装装置20において、パレット2に載置された状態で順次、連続的に搬送されるそれぞれの基板1に対して、それぞれの処理位置にて順次所定の処理が施され、部品4が基板1に実装される手順について、図9(A)〜(E)に示すそれぞれの模式説明図を用いて以下に説明する。なお、基板1はパレット2上に載置された状態にて搬送されるが、以降の説明においては、当該搬送手順の説明の理解を容易なものとすることを目的として、パレット2を省略して、基板1が直接的に搬送されているものとする。また、以下の部品実装装置20におけるそれぞれの動作は、それぞれの制御装置9A、9B、及び9Cにより制御される。
まず、図9(A)に示すように、部品実装装置20において、加熱処理装置13の加熱処理位置A2には第1の基板1−1が位置されており、この第1の基板1−1に対して、加熱部13aにより加熱処理が施されている。また、前処理装置11には第2の基板1−2が供給されて、前処理用基板搬送部11bにより前処理位置A1に位置決めされている。加熱部13aによる第1の基板1−1に対する加熱処理が完了すると、冷却処理装置14の冷却処理位置A3の基板1の有無が確認される。冷却処理位置A3に基板1が配置されていない場合には、図9(B)に示すように、加熱処理位置A2よりの第1の基板1−1の搬出が許可されて、例えば加熱冷却処理用制御装置9Bより加熱用基板搬送部13bへ搬送許可信号Pが出力される。この搬送許可信号Pに基づいて第1の基板1−1が加熱用基板搬送部13bにより搬送され、さらに冷却用基板搬送部14bに受け渡されて、加熱処理位置A2から冷却処理位置A3に搬送された後、位置決めされる。
次に、図9(B)に示すように、冷却処理位置A3に位置された第1の基板1−1に対しては、冷却部14aにより冷却処理が施される。この冷却処理が完了すると、後処理装置15の後処理位置A4における基板1の配置の有無が後処理用制御部9Cにより確認される。後処理位置A4に基板1が配置されていないことが確認されると、例えば後処理用制御装置9Cより加熱冷却処理用制御装置9Bに対して搬送許可信号Pが出力され、冷却処理位置A3よりの第1の基板1−1の搬送が許可される。加熱冷却処理用制御装置9Bにおいては、この搬送許可に基づいて、冷却用基板搬送部14bの制御を行い、第1の基板1−1が冷却用基板搬送部14bにより搬送され、さらに後処理用基板搬送部14bに受け渡されて、図9(C)に示すように、冷却処理位置A3から後処理位置A4に搬送されて、位置決めされる。
一方、前処理位置A1に位置された第2の基板1−2に対しては、前処理部11aにより前処理が施される。この前処理が完了すると、加熱処理位置A2における基板1の配置の有無及び冷却処理位置A3における基板1の配置の有無が冷却加熱処理用制御装置9Bにより確認される。加熱処理位置A2及び冷却処理位置A3の両方の位置に基板1が配置されていない場合にのみ、前処理位置A1よりの第2の基板1−2の搬出が許可され、例えば、冷却加熱処理用制御装置9Bのそれぞれから前処理用制御装置9Aへ搬送許可信号Pが出力される。前処理用制御装置9Aは、この搬送許可信号Pに基づいて前処理用基板搬送部11bの制御を行い、第2の基板1−2が前処理用基板搬送部11bにより搬送され、さらに加熱用基板搬送部13bに受け渡されて、図9(D)に示すように前処理位置A1から加熱処理位置A2に搬送されて、位置決めされる。
その後、図9(D)に示すように、前処理位置A1に基板1が位置されていないことが前処理用制御装置9Aにより確認されると、前処理位置A1に新たな基板である第3の基板1−3が供給されて位置決めされる。また、後処理位置A4に位置決めされた第1の基板1−1に対しては後処理が施され、当該後処理が完了すると、部品実装装置10より搬出される。
このような互いに関連付けられた一連の搬送手順により、第1の基板1−1、第2の基板1−2、第3の基板1−3をそれぞれの処理位置A1〜A4に順次位置決めさせて、所定の処理を施すことができ、部品実装を順次行うことができる。
ここで、上述した基板1の搬送手順のうちの前処理位置A1から加熱処理位置A2への基板1の搬送手順について、図10のフローチャートに示す。図10に示すように、ステップS21において、前処理位置A1に基板1が搬入されると、ステップS22においてこの基板1に対する前処理が実施される。
その後、ステップS23において当該前処理が完了したかどうかが確認され、完了したことが確認されると、ステップS24において隣接する次の処理位置である加熱処理位置A2における別の基板1の配置の有無が確認される。このような確認は、基板1同士の衝突を防止するためのものである。加熱処理位置A2において別の基板1が配置されていないことが確認されると、ステップS25において冷却処理位置A3において別の基板1が配置されていないかどうかが確認される。このような確認は、後処理装置15において動作エラーが発生した場合の後述する対処動作を確実に行うことを可能とするためのである。冷却処理位置A3において別の基板1が配置されていないことが確認されると、ステップ26において、基板1の搬送許可信号が出力されて、前処理位置A1から加熱処理位置A2への基板1の搬送が行われる。
このような基板1の搬送制御を行う部品実装装置20においては、前処理位置A1に位置されている基板1を加熱処理位置A2へ搬送する場合には、必ず、加熱処理位置A2及び冷却処理位置A3に別の基板1が位置されていないことが必須の搬送条件とされる。このような搬送を行うことで、例えば図9(D)に示すように、第2の基板1−2が加熱処理位置A2に位置された状態においては、必ず冷却処理位置A3が空き状態とされることとなる。従って、このような状況の下において、例えば後処理装置15において動作エラーが発生したような場合にあっても、第2の基板1−2に対して、所定の加熱処理を施した後、第2の基板1−2を冷却処理位置A3へ搬送し、所定の冷却処理を完了させることができる。従って、後処理装置15の動作エラーが発生しても、基板1に対して熱的な損傷が発生することを確実に防止することができる。
従って、上記第2実施形態の部品実装装置20においても、搬送バッファ装置等を設けずに装置全体のコンパクト化を図りながら、下流側装置の動作エラーに伴う部品や基板への熱的な損傷を発生することを確実に防止することができる。
なお、上記第1実施形態の部品実装装置10と、上記第2実施形態の部品実装装置20とを比較した場合、図4(C)に示すように、一の基板1に対して加熱処理を実施しながら、他の基板1に対して冷却処理を実施できるという点で、部品実装装置10の方が部品実装におけるタクトをより短縮化することができ、効率的な部品実装を実現できるという利点がある。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。