以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図9を参照して、本発明の第1実施形態による表面実装機100の構造について説明する。なお、表面実装機100は、本発明の「基板処理装置」の一例である。
本発明の第1実施形態による表面実装機100は、図1および図2に示すように、プリント基板(配線基板)110に電子部品120を実装する装置である。表面実装機100は、図1に示すように、基台1と、基台1上(紙面手前側)に設けられ、基板搬送部10の上方をX−Y平面(紙面)に沿って移動可能なヘッドユニット20とを備えている。また、基板搬送部10の両側(Y1側、Y2側)には、電子部品120を供給するための複数のテープフィーダ130が配置されている。ヘッドユニット20は、テープフィーダ130から電子部品120を取得するとともに、基板搬送部10上のプリント基板110に電子部品120を実装する機能を有する。ここで、電子部品120は、たとえば、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの小型の電子部品である。なお、プリント基板110は、本発明の「基板」の一例であり、基板搬送部10は、本発明の「搬送部」の一例である。また、ヘッドユニット20は、本発明の「ヘッド部」の一例である。
また、表面実装機100には、図2に示すように、基板搬送部10およびヘッドユニット20を覆うカバー90が、基台1上に設けられた板金製のケーシング91に取り付けられている。カバー90は、ケーシング91に対して開閉可能に取り付けられており、カバー90を上方(矢印U方向)に回動させることにより、ユーザ(オペレータ)が基板搬送部10の周辺部にアクセスすることが可能に構成されている。また、カバー90は透光性を有する材料からなり、カバー90を閉めた状態でもヘッドユニット20の動作を視認することが可能とされている。なお、図2では、説明の都合上、ケーシング91に覆われて本来であれば見えない内部構造についても実線で示している。
また、ケーシング91内の所定の位置に、カバーオープンスイッチ90a(図3参照)が設けられている。カバーオープンスイッチ90aは、カバー90の開閉状態に応じてスイッチの開閉が切り換わるように構成されている。また、カバーオープンスイッチ90aは、装置本体に設けられた非常停止回路部92(図3参照)を介して後述する制御装置70(図3参照)に接続されている。これにより、カバー90が開いた状態では、非常停止回路部92が機能して表面実装機100の自動運転が開始(再開)されないように構成されている。また、カバーオープンスイッチ90aとは別に押しボタン式の非常停止ボタン93が設けられている。自動運転中にユーザが非常停止ボタン93を押下した場合、非常停止回路部92が機能して即時に運転を中断することが可能に構成されている。
また、図2に示すように、ケーシング91の上面上には表示部(モニタ)101が設置されており、制御装置70(図3参照)により表示部101の表示が行われるように構成されている。表示部101には操作内容に対応した画像が表示されるように構成されており、ユーザによる運転に関する入力操作を受け付けることが可能に構成されている。ここで、ユーザによる入力操作には、表面実装機100の自動運転を開始(再開)する際にカバー部に設置された運転開始ボタン95(図3参照)を押下する動作が含まれる。また、表示部101には、自動運転中における表面実装機100の状態が表示可能に構成されており、ユーザは、表示部101の表示内容を通して表面実装機100の状態を把握することが可能とされている。なお、表示部101は、本発明の「警告手段」の一例であり、運転開始ボタン95は、本発明の「運転開始入力部」の一例である。
また、図3に示すように、表面実装機100には、以下に説明する各部の動作制御を行うために、CPU(演算処理部)と基板回路部とにより構成された制御装置70が内蔵されている。制御装置70は、演算処理部71、記憶部72、外部入出力部73、画像処理部74およびモータ制御部75によって主に構成されている。なお、制御装置70を構成する個々の構成要素については、詳細を後述する。なお、演算処理部71は、本発明の「誤段取り検出手段」および「制御部」の一例である。
基板搬送部10は、プリント基板110の搬送方向であるX方向に延びる一対のコンベア部11を備えている。また、一対のコンベア部11は、X方向に沿って複数(3つ)の区間により構成されている。具体的には、プリント基板110に電子部品120を実装する際にプリント基板110が配置される実装区間11aと、実装区間11aよりも搬送方向(X方向)の上流側(X1側)に設けられ、電子部品120を実装する前にプリント基板110を待機させる実装前待機区間11bと、実装区間11aよりも搬送方向の下流側(X2側)に設けられ、電子部品120が実装されたプリント基板110を表面実装機100の外部に搬出するまで待機させる搬出前待機区間11cとに区分されている。なお、実装区間11a、実装前待機区間11bおよび搬出前待機区間11cは、本発明の「所定の領域」および「所定の区間」の一例である。
また、コンベア部11のX方向の両端部近傍には、それぞれ、入口センサ12および出口センサ13が設けられている。入口センサ12は、他の実装機から表面実装機100へ搬入されるプリント基板110を検出する機能を有している。出口センサ13は、表面実装機100における部品実装が完了したプリント基板110を、表面実装機100から他の実装機などへ搬出する際のプリント基板110の移動状況を検出する機能を有している。
また、実装前待機区間11bの実装区間11a側の端部近傍には、待機位置センサ14が設けられるとともに、実装区間11aの搬出前待機区間11c側の端部近傍には、実装位置センサ15が設けられている。また、待機位置センサ14の下流側(X2側)および実装位置センサ15の下流側には、それぞれ、プリント基板110の移動を一時的に規制するストッパ16および17が設けられている。待機位置センサ14とストッパ16とによって実装前待機区間11bに待機するプリント基板110のX2方向への搬送状況を制御するとともに、実装位置センサ15とストッパ17とによって実装区間11aにおける実装動作前後のプリント基板110のX2方向への搬送状況を制御するように構成されている。
上述した構成を備えることにより、基板搬送部10は、コンベア部11に保持されたプリント基板110を、水平方向(X方向)に所定の秩序を有しながら順次搬送することが可能に構成されている。また、基板搬送部10には、搬送中のプリント基板110を実装区間11aで停止させた状態で保持する機構が内部に設けられている。
ヘッドユニット20は、支持部30に沿ってX方向に移動可能に構成されている。具体的には、図1に示すように、支持部30は、ボールネジ軸31とボールネジ軸31を回転させるサーボモータ32とX方向に延びるガイドレール(図示せず)とを有している。これにより、ヘッドユニット20は、ボールネジ軸31が螺合されるボールナット21とともに支持部30に対してX方向(X1方向およびX2方向)に移動されるように構成されている。
また、支持部30は、基台1上に固定された一対のレール部40に沿ってX方向と直交するY方向に移動可能に構成されている。具体的には、レール部40は、支持部30の両端部(X方向)をY方向に移動可能に支持するガイドレール41と、Y方向に延びるボールネジ軸42と、ボールネジ軸42を回転させるサーボモータ43とを有している。また、支持部30には、ボールネジ軸42が螺合されるボールナット33が設けられている。これにより、ヘッドユニット20は、基台1上をX−Y面に沿って任意の位置に移動することが可能に構成されている。
ここで、第1実施形態では、ヘッドユニット20には、レーザ測長器25が取り付けられている。具体的には、レーザ測長器25は、ヘッドユニット20の一方側(X2側)の側面に固定されており、測定器本体からレーザ光を出射して対象物までの距離を計測することが可能である。この場合の「対象物」とは、プリント基板110である。また、レーザ測長器25は、レーザ光が基台1の上面1aに向けて出射されるように固定されている。これにより、ヘッドユニット20が、一対のコンベア部11の内側の領域(図1におけるプリント基板110の搬送経路内)の上方(紙面手前側)に位置した状態において、ヘッドユニット20から、ヘッドユニット20の下方に配置されているプリント基板110までの垂直距離が検出可能に構成されている。レーザ測長器25を用いることにより、電子部品120が実装される前のプリント基板110が有する反りの形状が測定されたデータに基づいて、ヘッドユニット20の上下方向(Z方向)の移動量を調整することが可能に構成されている。なお、レーザ測長器25は、本発明の「誤段取り検出手段」、「対象物検出部」および「高さ計測部」の一例である。
また、第1実施形態では、演算処理部71(図3参照)の指令に基づいて、レーザ測長器25を用いて以下に説明する動作を行うことが可能に構成されている。
具体的には、表面実装機100による運転を開始(再開)する際に、ユーザ(オペレータ)による基板搬送部10におけるプリント基板110に関する「段取り」が正常に行われているか否か(「段取り」が誤っているか否か)を検出することが可能に構成されている。なお、プリント基板110に関する「段取り」とは、たとえば、何らかの理由で一時的に自動運転が中断されている表面実装機100に対して、ユーザがカバー90(図2参照)を開けてアクセスし、プリント基板110などを基板搬送部10に適宜セットする作業などが含まれている。
「段取り」が完了した後、ユーザがカバー90を閉めるとともに運転開始ボタン95(図3参照)を押下することにより表面実装機100の自動運転を再開する操作が行われる。この際、基板搬送部10のコンベア部11を駆動してプリント基板110の搬送が実行される前に、次の動作が実行される。
すなわち、図4および図5に示すように、コンベア部11の搬送動作が停止したままの状態において、まず、ヘッドユニット20が、コンベア部11の最上流側(X1側)まで移動される。そして、ヘッドユニット20をX2方向に所定の速度で走査させながら、ヘッドユニット20に取り付けられたレーザ測長器25を用いて下方(Z1側)に配置されているプリント基板110の状態(コンベア部11に配置されている基板の位置および枚数など)を詳細に検出する動作が行われるように構成されている。
たとえば、一例として、運転開始前にコンベア部11に配置されているプリント基板110の状態が図5に示された状態において、レーザ測長器25をX2方向に走査させた場合、図6に示すような検出結果が得られる。また、誤段取り状態の一例(誤段取り例1)として、運転開始前のプリント基板110の状態が図7に示された状態において、レーザ測長器25をX2方向に走査させた場合、図8に示すような検出結果が得られる。
ここで、図4および図5に示した正常な段取り状態は、3枚のプリント基板110が、実装前待機区間11b、実装区間11aおよび搬出前待機区間11cにそれぞれ1枚ずつ配置されている状態である。この場合、運転開始(再開)後には、基板搬送部10を各々のプリント基板110がX2方向に所定の秩序を保ちながら正常に流れる。つまり、ユーザによる「段取り」が正常に行われている(プリント基板110を基板搬送部10に適正にセットしている)状態を例示している。
一方、誤段取り例1として図7に示した状態は、プリント基板110が、実装前待機区間11bおよび搬出前待機区間11cには1枚ずつ配置されている一方、実装区間11aには2枚のプリント基板110aおよび110bが配置されている状態である。この場合、運転開始後には、プリント基板110aは実装位置センサ15に検出されてストッパ17によってX2方向への移動が規制される一方、上流側のプリント基板110bはX2方向への移動を継続した後、停止中のプリント基板110aに衝突する。衝突の結果、実装区間11aにおいて一方のプリント基板110が他方に斜めに乗り上げたり、双方が互いに重なり合う状況が発生する。つまり、図7には、ユーザによる「段取り」に誤りが生じている「誤段取り状態」である例を示している。表面実装機100において、運転開始の際にこのような「段取り」の状態を検出しない場合には、実装動作中に、電子部品120(図2参照)を把握したヘッドユニット20(図2参照)が下降した際、プリント基板110とヘッドユニット20とが衝突を起こす不具合や、基板同士が重なることでユーザの生産基板に仕損が発生する。
したがって、表面実装機100では、搬送動作が停止中の基板搬送部10において、ユーザによる「誤段取り」のために図7に示すような状況が生じていることを事前に検出する機能を備えている。これにより、ユーザによるプリント基板110に関する「段取り」が、正常に行われているか否かが実装動作に先立って判別されるように構成されている。
また、第1実施形態では、レーザ測長器25による1回の走査によって得られた検出結果(図6参照)に基づいて、コンベア部11に配置されているプリント基板110の枚数および個々の基板の配置されている位置が、演算処理部71において認識されるように構成されている。ここでは、図6に示す検出結果を例にとって説明する。
基板搬送部10の所定の領域にプリント基板110(図5参照)が存在しない場合は、高さ位置がH1として検出される。ここで、高さ位置H1は、ヘッドユニット20から基台1の上面1aまでの垂直距離に基づいてレーザ測長器25が出力した値である。一方、基板搬送部10の所定の領域にプリント基板110が存在する場合は、高さ位置がH2として検出される。高さ位置H2は、ヘッドユニット20からプリント基板110の上面までの垂直距離に基づいてレーザ測長器25が出力した値である。したがって、高さ位置H1が検出された区間にはプリント基板110が存在しない一方、高さ位置H2が検出された区間にはプリント基板110が存在することが示されている。ここで、走査方向に沿って高さ位置がH1からH2に切り換わる際、H2に所定の範囲ΔW2を持たせてもよい。つまり、高さ位置がH2±ΔW2となったときに、プリント基板110の始点が検知されたことを判断するようにしてもよい。
また、プリント基板110が存在する高さ位置H2が、搬送方向(X2方向)にどれだけの範囲に亘って継続されているか否かによって、1枚のプリント基板110が有するX2方向の長さL2が求められる。図6では、高さ位置H2が、位置P1からP2までの区間と、位置P3からP4までの区間と、位置P5からP6までの区間とに検出されている。また、各々の区間において高さ位置H2が継続される長さはL2である。ここで、走査方向に沿って高さ位置がH2からH1に切り換わる際、H1に所定の範囲ΔW1を持たせてもよい。つまり、高さ位置がH1±ΔW1となったときに、プリント基板110の終点が検知されたことを判断するようにしてもよい。この際、ΔW1は、前述の範囲ΔW2よりも小さいのが好ましい。これにより、プリント基板110の始点および終点を確実に判断することが可能となる。なお、サーボモータ32(図2参照)のステップ数に基づいたヘッドユニット20のX2方向への送り量と、実際のコンベア部11の寸法とを照合することにより、位置P1およびP2が実装前待機区間11b(図4参照)内の場所に対応し、位置P3およびP4が実装区間11a(図4参照)内の場所に対応し、位置P5およびP6が搬出前待機区間11c(図4参照)内の場所に対応することが演算処理部71において認識されている。また、長さはL2については、高さ位置H2の始点(位置P1など)から終点(位置P2など)までのヘッドユニット20の送り量から容易に把握される。
ここで、第1実施形態では、プリント基板110の長さ情報が表面実装機100に予め登録(入力)されている。この「長さ情報」は、たとえば、ユーザが運転開始前に入力するように構成されていてもよい。そして、図6に示した検出結果と、表面実装機100が予め保持するプリント基板110の長さ情報とが比較されることにより、検出されたプリント基板110の枚数が演算処理部71において判別されるように構成されている。これにより、実装前待機区間11bに1枚、実装区間11aに1枚、そして、搬出前待機区間11cに長さL2を有する1枚のプリント基板110がそれぞれ配置されている状態が演算処理部71において認識される。
また、誤段取り例1として図8に示す検出結果について説明すると、各プリント基板110が図7に示した位置に配置されている状態が、レーザ測長器25による検出結果に反映されている。図8では、高さ位置H2が、位置P1からP2までの区間と、位置P3からP4までの区間と、位置P7からP8までの区間と、位置P5からP6までの区間とに検出されている。この場合、位置P3からP8までの区間が、実装区間11a(図7参照)内の場所に対応している。したがって、図8の検出結果から、実装前待機区間11bおよび搬出前待機区間11cには、長さL2を有する1枚のプリント基板110がそれぞれ配置されている一方、実装区間11aには、長さL2を有する2枚のプリント基板110が配置されている状態が示されている。
また、図8とは別な誤段取り状態の一例として図9に示すような誤段取り例2による検出結果について説明する。たとえば、ユーザによる「誤段取り」に起因して、2枚のプリント基板110が部分的に重なって配置されている状況も考えられる。この場合、レーザ測長器25による検出結果は、図9のように示される。すなわち、実装区間11aにおける位置P3からP8に亘って、H2付近の高さ位置を有するとともに長さL3(L3>L2)の対象物(プリント基板)が配置されている状態が演算処理部71において認識される。ここでは、下流側のプリント基板110の後端部(X1側)に、上流側のプリント基板110の前端部(X2側)が乗り上げて重なりを生じているため、位置P3からP8における検出結果が段差形状を有していることを示している。この際、第1実施形態では、長さL3と予め登録されているプリント基板110の長さ情報とが比較されることにより、実装区間11aに、1枚のプリント基板110とは異なる長さ(L3)を有する対象物(プリント基板)が配置されていることが検出される。
第1実施形態では、演算処理部71は、レーザ測長器25の検出結果に基づいて、コンベア部11の各部に配置されているプリント基板110の枚数を判別して、プリント基板110に関する「段取り」の良否を判別するように構成されている。図6の検出結果からは「段取り」が正常であると判別されるとともに、図8および図9の検出結果からは「誤段取り状態」であると判別される。
また、第1実施形態では、上記したように、レーザ測長器25を走査させる際、実装前待機区間11b、実装区間11aおよび搬出前待機区間11cの各々の区間において、プリント基板110に関する「段取り」が正常であるか否かをレーザ測長器25が個別に検出することが可能に構成されている。したがって、各々の搬送区間において、プリント基板110に関する「段取り」が正常に行われているか否かが判別されるように構成されている。
また、第1実施形態では、たとえば、レーザ測長器25を走査させた結果、ユーザの「誤段取り」に起因して、プリント基板110が実装前待機区間11bと実装区間11aとの境界部分(待機位置センサ14およびストッパ16の付近)に跨って配置されている状態も検出されうる。このような場合には、このプリント基板110は、下流側の実装区間11aに配置されているという判断が演算処理部71により下される。そして、下流側の実装区間11aに別なプリント基板110が配置されている状態がさらに検出された場合、同じ区間(この場合は実装区間11a)に複数枚(2枚)のプリント基板110が配置されていると判断されて、「誤段取り状態」であると判別されるように構成されている。また同様に、プリント基板110が実装区間11aと搬出前待機区間11cとの境界部分(待機位置センサ15およびストッパ17の付近)に跨って配置され、かつ、下流の搬出前待機区間11cに別なプリント基板110が配置されていても、「誤段取り状態」として判別される。以上から、表面実装機100では、基板搬送部10内の同一区間に1枚のプリント基板110のみが配置されている検出結果(図6参照)の場合のみ、「段取り」が正常であると判別されるように構成されている。
また、図2に示すように、ヘッドユニット20の下面側(図2のZ1側)には、X方向に沿って列状に配置された6本の吸着ノズル22が先端部を下方に向けて配置されている。各々の吸着ノズル22は、負圧発生機(図示せず)によりノズル先端部に発生された負圧によって、テープフィーダ130から供給される電子部品120を吸着して保持するように構成されている。
また、各々の吸着ノズル22は、サーボモータ23(図3参照)および図示しない昇降機構によって、ヘッドユニット20に対して上下方向(Z方向)に移動可能に構成されている。表面実装機100は、吸着ノズル22が上昇位置に移動した状態で電子部品120を搬送するとともに、吸着ノズル22が下降位置に移動した状態で電子部品120をテープフィーダ130から吸着する動作と、電子部品120をプリント基板110に実装する動作とを行うように構成されている。吸着ノズル22は、サーボモータ24(図3参照)および図示しない回転機構によって、吸着ノズル22自体がノズル軸(Z軸)を中心としてX−Y面内で回転可能に構成されている。これにより、吸着ノズル22の先端部に保持された電子部品120の姿勢(X−Y面内での向き)が詳細に調整される。
また、テープフィーダ130は、複数の電子部品120を所定の間隔を隔てて保持したテープが巻き回されたリール(図示せず)を保持している。テープフィーダ130は、リールを回転させて電子部品120を保持するテープを送出することにより、先端部から電子部品120を供給するように構成されている。
また、基台1の上面上には、基板用カメラ部50および部品用カメラ部60が固定的に設置されている。部品用カメラ部60は、吸着ノズル22に吸着された電子部品120の下面側を下方から撮像する機能を有している。これにより、基台1に対してヘッドユニット20と共に電子部品120がX−Y面内におけるX2方向に移動する際に、部品用カメラ部60によって撮像された電子部品120の下面の形状から電子部品120の高さ情報が得られるように構成されている。表面実装機100では、得られた高さ情報に基づいて電子部品120の形状の良否が判別されたり、吸着ノズル22の電子部品120に対する吸着位置の良否が判別される。
部品撮像装置60は、図2に示すように、部品120に照明光を照射する照明部61と、部品120による照明光の反射光を受光して部品120を撮像する撮像部63とを備えている。
また、図3に示すように、表面実装機100の動作は、制御装置70によって制御されている。演算処理部71はCPUからなり、表面実装機100の動作を全般的に統括している。記憶部72は、演算処理部71が実行可能な制御プログラムなどが格納されている動作プログラム記憶部72aと、基板搬送部10を動作させる際に必要となるデータ類が格納されている搬送系データ記憶部72bとを含んでいる。ここで、動作プログラム記憶部72aは、フラッシュROM(Read Only Memory)からなり、搬送系データ記憶部72bは、RAM(Random Access Memory)からなる。
また、外部入出力部73は、運転開始ボタン95を含めた運転操作上の各種ボタン類や、レーザ測長器25などの各種センサ類からの入出力を制御する機能を有している。画像処理部74は、基板用カメラ部50および部品用カメラ部60が撮像した画像データの処理を行って表面実装機100の動作に必要とされるデータを内部的に生成する役割を有している。
モータ制御部75は、演算処理部71から出力される制御信号に基づいて、表面実装機100の各サーボモータ(支持部30をY方向に移動させるサーボモータ43(図1参照)、ヘッドユニット20をX方向に移動させるサーボモータ32(図1参照)、吸着ノズル22を上下方向に移動させるサーボモータ23、および、吸着ノズル22をノズル軸を中心に回転させるサーボモータ24など)を制御するように構成されている。また、モータ制御部75は、基板搬送部10に設けられた基板搬送軸(図示せず)のサーボモータを制御するように構成されている。また、モータ制御部75は、各サーボモータが有するエンコーダ(図示せず)からの信号に基づいてヘッドユニット20のX−Y面内の位置、吸着ノズル22の高さ位置および回転位置などが認識可能に構成されている。このようにして、表面実装機100は構成されている。
次に、図1〜図10を参照して、表面実装機100における自動運転開始時に関する制御フローについて説明する。なお、以下の説明では、ユーザ(オペレータ)がカバー90を閉めた後に運転開始ボタン95を押下した後の演算処理部71の制御内容および表面実装機100の動作について説明する。
図10に示すように、ステップS1では、演算処理部71(図3参照)により、ユーザが運転開始ボタン95(図3参照)を押下したか否かが判断されるととともに、運転開始ボタン95が押下されるまでこの判断が繰り返される。ステップS1において、運転開始ボタン95が押下されたと判断された場合、ステップS2では、ヘッドユニット20が基板搬送部10上の上流側(X1側)に予め設定された走査開始位置まで移動される。
ここで、第1実施形態では、ステップS3において、演算処理部71によりモータ制御部75が制御されてサーボモータ32(X軸)が駆動される。これにより、図4に示すように、ヘッドユニット20が走査開始位置からX2方向に所定の速度で移動される。この際、ヘッドユニット20に取り付けられたレーザ測長器25を用いて、レーザ測長器25から基台1の上面1aまでの距離(垂直距離)がX2方向に沿って連続的に計測される。これにより、たとえば、運転開始前にコンベア部11に配置されているプリント基板110の状態が図5に示された状態である場合には、図6に示すような高さ位置の検出結果が得られる。
そして、ステップS4では、演算処理部71により、レーザ測長器25により計測された高さ位置の検出結果(図6参照)が搬送系データ記憶部72bに記憶される。
その後、ステップS5では、搬送系データ記憶部72bに記憶された高さ位置の検出結果に基づいて、コンベア部11に配置されているプリント基板110の状態が演算処理部71により判別される。この際、演算処理部71において、表面実装機100に予め登録されているプリント基板110の長さ情報と図6に示した検出結果とが比較される。ステップS5の処理を行うことにより、実装前待機区間11bに1枚、実装区間11aに1枚、そして、搬出前待機区間11cに1枚のプリント基板110が配置されていることが判別される。そして、ステップS6では、区間毎に配置されているプリント基板110の枚数が、搬送系データ記憶部72bに記憶される。
そして、ステップS7では、演算処理部71により、基板搬送部10にプリント基板110が配置されている状態か否かがまず判断される。ステップS7において、基板搬送部10上にプリント基板110の存在が検出されないと判断された場合、ステップS12に進み、以降は、電子部品120の実装動作に関する自動運転を開始する。これにより、コンベア部11の基板搬送軸(サーボモータ)が駆動されて、他の実装機からのプリント基板110の搬入動作が行われる。また、ヘッドユニット20が駆動されて電子部品120を取得する動作が実行される。
一方、ステップS7において、基板搬送部10にプリント基板110が配置されている状態が検出されたと判断された場合、次のステップS8では、実装前待機区間11b、実装区間11aおよび搬出前待機区間11cの各々においてプリント基板110が複数枚存在するか否かが判別される。
ここで、第1実施形態では、ステップS8において、実装前待機区間11b、実装区間11aおよび搬出前待機区間11cの各々においてプリント基板110が複数枚存在すると判別された場合、ステップS9では、演算処理部71により、現在の基板搬送部10の状態が「誤段取り状態」であると判別される。たとえば、図8に示した検出結果に基づいた場合には、実装区間11aに2枚のプリント基板110が配置されていると判別されるので、「誤段取り状態」として判別される。
そして、ステップS10では、演算処理部71により、表示部101に「異常あり」という警告表示101a(図2参照)が表示されて、本制御フローが終了される。これにより、警告表示101aを見たユーザは、基板搬送部10に何らかの異常が発生していることを認識する。
一方、ステップS8において、実装前待機区間11b、実装区間11aおよび搬出前待機区間11cの各々においてプリント基板110が複数枚存在しない(図6や図9に示した検出結果:各区間にそれぞれ1枚のプリント基板110が配置されている)と演算処理部71により判別された場合、ステップS11では、各々のプリント基板110が有する長さが正しいか否かが判別される。
ステップS11において、プリント基板110が有する長さが正しくない(表面実装機100に予め登録されているプリント基板110の長さ情報と図9に示した長さL3とが等しくない)場合には、ステップS10に進み、表示部101に警告表示101aが表示される。この場合も、警告表示101aを見たユーザは、基板搬送部10に何らかの異常が発生していることを認識する。また、ステップS11において、プリント基板110が有する長さが正しい場合には、上述したステップS12に進む。このようにして、自動運転を開始(再開)する際の、プリント基板110に関する「段取り」の良否の確認動作が行われて処理が終了される。
次に、図1および図2を参照して、表面実装機100によるプリント基板110への電子部品120の実装動作について説明する。
まず、図1に示すように、基板搬送部10上に載置されたプリント基板110が、基台1の中央部に設けられた装着作業位置(実装区間11a)までX2方向に搬送される。
また、プリント基板110の搬入動作と並行して、実装される電子部品120がヘッドユニット20によりテープフィーダ130から取り出される。具体的には、ヘッドユニット20が所定のテープフィーダ130の上方に移動されることにより、テープフィーダ130に保持された電子部品120の上方にヘッドユニット20の吸着ノズル22が配置される。
その後、吸着ノズル22を下降させるとともに、吸着ノズル22の先端に負圧が供給される。これにより、テープフィーダ130上の電子部品120が吸着ノズル22により吸着されて保持される。
この後、電子部品120を保持した状態で、ヘッドユニット20が部品用カメラ部60の上方を通過する。この際、図2に示すように、ヘッドユニット20をX2方向に沿って移動させながら、部品用カメラ部60によって吸着ノズル22に保持された電子部品120が撮像される。そして、撮像された画像に基づいて電子部品120の吸着位置が認識されるとともに、電子部品120の高さ情報を取得することにより、電子部品120の良否が判別される。具体的には、電子部品120の複数の電極部分120aの高さ位置が所定の範囲内に収まっていない場合には、プリント基板110と電子部品120との接続不良が生じる可能性があるので、不良品であると判別される。電子部品120の高さ情報に基づいて電子部品120が不良品であると判別された場合には、その電子部品120は破棄される。
また、電子部品120の画像に基づいて、電子部品120の吸着位置の正しい吸着位置に対するずれ量が算出される。そして、その算出したずれ量に基づいてヘッドユニット20が移動するとともに吸着ノズル22が回転して、電子部品120の装着位置の補正が行われる。上述した電子部品120の装着位置の補正処理は、ヘッドユニット20がテープフィーダ130上からプリント基板110の装着位置に移動する動作と並行して行われる。
そして、図1に示すように、ヘッドユニット20がプリント基板110内の所定の装着位置に移動された後、吸着ノズル22が下降されて電子部品120がプリント基板110に装着される。以上の動作が繰り返し行われることにより、複数の電子部品120のプリント基板110への実装が行われる。また、電子部品120の実装が完了したプリント基板110は、基板搬送部10上をX1方向に移動して基台1から搬出される。このようにして、表面実装機100による電子部品120の実装動作が終了する。
第1実施形態では、上記のように、表面実装機100の運転を開始する際に、基板搬送部10におけるプリント基板110の配置状態を検出するレーザ測長器25と、レーザ測長器25の検出結果に基づいてプリント基板110に関する「段取り」が誤っているか否かを判別する演算処理部71とを備えている。これにより、プリント基板110に関する「誤段取り」の有無を、表面実装機100の運転を開始する際に予め確認することができる。また、演算処理部71により、レーザ測長器25の検出結果に基づいた「誤段取り」の有無を容易に判別することができる。したがって、たとえば、ユーザが行った「誤段取り」に起因して表面実装機100の運転中に予期しないトラブルが発生することを未然に防ぐことができる。
また、第1実施形態では、演算処理部71により、プリント基板110に関する段取りが「誤段取り状態」であると判別された場合に、ユーザに対してプリント基板110に関する段取りが「誤段取り状態」である旨の警告を行う表示部101を備えている。これにより、プリント基板110に関する段取りが「誤段取り状態」であることを、表示部101を介してユーザに確実に認識させることができる。この結果、ユーザは、「誤段取り」に対する処置を行って表面実装機100を正常な状態に迅速に回復させることができる。
また、第1実施形態では、演算処理部71は、レーザ測長器25によるプリント基板110の検出結果に基づいて、基板搬送部10が有する基板搬送経路上の所定の領域(実装前待機区間11b、実装区間11aおよび搬出前待機区間11c)内に、長さL2を有するプリント基板110がそれぞれ1枚の状態で配置されているか否かを判別することにより、プリント基板110に関する「段取り」が誤っているか否かを判別するように構成されている。これにより、基板搬送部10内の誤った位置にプリント基板110が配置されたり、または、基板搬送部10の所定の領域内に2枚以上のプリント基板110が配置された場合に、ユーザは、このようなプリント基板110に関する段取りが「誤段取り状態」であることを、表面実装機100の運転を開始する際に確実に確認することができる。
また、第1実施形態では、演算処理部71は、表面実装機100に予め登録されたプリント基板110の長さ情報と、レーザ測長器25により検出されたプリント基板110の長さL2とを比較することにより、所定の領域(実装前待機区間11b、実装区間11aおよび搬出前待機区間11c)内に配置されているプリント基板110の枚数を判別するように構成されている。これにより、演算処理部71は、レーザ測長器25により検出されたプリント基板110の長さに基づいて、基板搬送部10の各々の区間内に配置されたプリント基板110の枚数を確実に判別することができる。
また、第1実施形態では、演算処理部71は、レーザ測長器25により検出されたプリント基板110の長さがL2よりも大きい場合(図9参照)に、プリント基板110が所定の領域(たとえば実装区間11a)内に複数枚配置されていると判別するように構成されている。これにより、演算処理部71は、基板搬送部10の実装区間11a内に複数枚のプリント基板110が配置されている状況を確実に判別することができる。したがって、たとえば、基板搬送部10の実装区間11a内に複数枚のプリント基板110同士が部分的に重なっているような状況を確実に判別することができるので、表面実装機100の運転中にプリント基板110に関連して発生するトラブルの要因を事前に除去することができる。
また、第1実施形態では、演算処理部71は、レーザ測長器25により検出されたプリント基板110の長さL2に基づいて、基板搬送部10に設けられた複数の区間(実装前待機区間11b、実装区間11aおよび搬出前待機区間11c)のうちの一つの区間内に存在するプリント基板110の枚数を判別するとともに、一つの区間内にプリント基板110が複数枚存在する状態を判別した場合に、プリント基板110に関する段取りが誤段取り状態であると判別するように構成されている。これにより、「誤段取り」に起因して、一つ(単一)の区間内に配置されたプリント基板110同士が表面実装機100の運転中に衝突するような状況を未然に防ぐことができる。特に、衝突によってプリント基板110同士が部分的に重なった状態で、プリント基板110に対する処理が行われた場合には、プリント基板110のみならず表面実装機100も損傷する虞があるので、単一の区間内にプリント基板110が複数枚存在する状態を事前に検出することは非常に重要である。
また、第1実施形態では、レーザ測長器25は、ヘッドユニット20のプリント基板110の搬送方向(X2方向)への移動に伴って基板搬送部10上を走査することにより、プリント基板110を検出するように構成されている。これにより、基板搬送部10におけるプリント基板110に関する「段取り」の状態を、プリント基板110の搬送方向に沿って設けられた基板搬送部10の一方端部側(X1側)から他方端部側(X2側)に亘って容易に確認することができる。したがって、プリント基板110に関する「段取り」の状態を、確実に認識することができる。
また、第1実施形態では、演算処理部71は、レーザ測長器25を用いてプリント基板110の搬送方向(X2方向)におけるプリント基板110の高さ位置の変化を計測した結果に基づいて、基板搬送部10が有する基板搬送経路上の所定の領域内に長さL2を有するプリント基板110が1枚のみの状態で配置されているか否かを判別して、プリント基板110に関する段取りが誤っているか否かを判別するように構成されている。これにより、基板搬送部10におけるプリント基板110に関する段取りの状態を、ヘッドユニット20に取り付けられたプリント基板110の反りなどを検出するためのレーザ測長器25を流用して容易に確認することができる。また、レーザ測長器25を流用することができるので、誤段取りを検出する専用の検出手段(検出部)を設ける必要がない。したがって、本発明の「誤段取り検出手段」を設けたとしても表面実装機100の構成が複雑になることを抑制することができる。
また、第1実施形態では、演算処理部71は、レーザ測長器25により計測されたプリント基板110の高さ位置が、プリント基板110の搬送方向(X2方向)に沿って所定の範囲に亘って継続するか否かを計測した結果に基づいて、所定の領域内に配置されているプリント基板110の枚数を判別するように構成されている。これにより、演算処理部71は、レーザ測長器25により計測されたプリント基板110の高さ位置に基づいて、所定の領域内に配置されているプリント基板110の枚数を容易に判別することができる。
また、第1実施形態では、運転を開始する命令の入力を受け付ける運転開始ボタン95を備えている。そして、演算処理部71は、運転開始ボタンを介して入力された命令に基づいて、運転を開始する際に、プリント基板110に関する段取りが誤っているか否かを検出するように構成されている。これにより、ユーザが表面実装機100の運転を開始する際に、確実にプリント基板110に関する段取りが誤っているか否かを確認することができる。
(第2実施形態)
次に、図3および図11〜図19を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態による表面実装機200では、プリント基板110の基板搬送部210への「段取り」に加えて、ユーザが基板支持用の治具220を基板搬送部210の所定の位置に取り付ける際の「段取り」が正常であるか否かも確認されるように構成されている。また、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、上記第1実施形態と同じ符号を付して図示している。なお、表面実装機200は、本発明の「基板処理装置」の一例であり、基板搬送部210は、本発明の「搬送部」の一例である。また、治具220は、本発明の「支持部材」の一例である。
本発明の第2実施形態による表面実装機200は、図11および図12に示すように、基板搬送部210を備えている。また、基板搬送部210は、X方向に延びる一対のコンベア部211を含んでいる。コンベア部211は、2つの固定型搬送部212および213と1つの可動型搬送部214とに分割されて構成されている。固定型搬送部212および213は、基台1に対して固定的に設置されている一方、可動型搬送部214は、基台1の上面1a上をY方向に移動可能に構成されている。具体的には、基台1上に、Y方向に延びるボールネジ軸250と、ボールネジ軸250を回転させるサーボモータ251とが設けられている。これにより、可動型搬送部214は、基台1上をX−Y面に沿ってY方向(Y1方向、Y2方向)に移動することが可能に構成されている。また、基板搬送部210では、実装前のプリント基板110を固定型搬送部212から可動型搬送部214に乗り継がせて搬入するとともに、実装後のプリント基板110を可動型搬送部214から固定型搬送部213に乗り継がせて搬出することが可能とされている。なお、固定型搬送部212により実装前待機区間11bが構成されており、固定型搬送部213により搬出前待機区間11cが構成されている。また、可動型搬送部214により実装区間11aが構成されている。
また、可動型搬送部214には、実装時にプリント基板110を下方(Z1側)から支持するための治具220を着脱可能に取り付けることが可能に構成されている。治具220は、図13に示すように、下面220aから下方(Z1方向)に延びる棒状の複数のピン221が突出している。また、複数のピン221は、下面220a内に平面的(X方向およびY方向)に広がって設けられている。そして、昇降テーブル225の上面225a側に形成されている複数の穴部226の各々にピン221の各々を対応させて挿入することにより、治具220が昇降テーブル225の上面225aに取り付けられるように構成されている。
ここで、第2実施形態では、表面実装機200による運転を開始する際に、ユーザ(オペレータ)によって昇降テーブル225に治具220が正しく取り付けられているか否かを検出することが可能に構成されている。このユーザにより、基板搬送部210において昇降テーブル225に治具220を取り付ける作業も、プリント基板110に関する「段取り」の一つである。
「段取り」が完了した後、ユーザがカバー90(図11参照)を閉めるとともに運転開始ボタン95(図3参照)を押下することにより表面実装機200の自動運転を再開する操作が行われる。この際、基板搬送部210のコンベア部211を駆動してプリント基板110の搬送に関する制御動作を行う前に、次の動作が実行される。
すなわち、図14に示すように、コンベア部211の搬送動作が停止されたままの状態において、まず、ヘッドユニット20が、可動型搬送部214が設けられた位置における基台1上の一方側(Y2側)まで移動される。この際、ヘッドユニット20に取り付けられたレーザ測長器25のX方向の位置(走査開始位置)が、可動型搬送部214と固定型搬送部213との境界部分の近傍(周辺領域)に対応する位置に設定されるように構成されている。そして、ヘッドユニット20を走査開始位置からY1方向に所定の速度で走査させながら、レーザ測長器25を用いて可動型搬送部214と固定型搬送部213との境界部分の周辺領域(2点鎖線500の近傍領域)に存在する障害物の有無を詳細に検出することが可能に構成されている。なお、図14に、レーザ測長器25のレーザ光がY1方向に移動する際の軌跡を2点鎖線500で示している。ここで、可動型搬送部214と固定型搬送部213との間の狭い境界部分とその周辺(2点鎖線500近傍の領域)に存在する障害物の有無を検出する検出手段としてレーザ測長器25用いることは、レーザ光を対象物(対象領域)にスポット的に照射してその部分の状態を容易に検出することができる点で、非常に有効である。
たとえば、一例として、運転開始前に可動型搬送部214の昇降テーブル225に固定されている治具220の状態が図14に示された状態において、レーザ測長器25をY1方向に走査させた場合、図15に示すような検出結果が得られる。また、誤段取り状態の一例(誤段取り例)として、運転開始前の昇降テーブル225に固定されている治具220の状態が図16および図17に示された状態において、レーザ測長器25をY1方向に走査させた場合、図18に示すような検出結果が得られる。
ここで、図14に示した正常な段取り状態は、治具220のX2側の側端部220bが、可動型搬送部214から固定型搬送部213側(X2側)にはみ出していない場合である。この場合、運転開始後に、基板処理に関する制御上の理由で可動型搬送部214をY方向に移動させたとしても、治具220のX2側の側端部220bは、固定型搬送部213の内側面には衝突しない。つまり、運転開始前のユーザによるプリント基板110に関する「段取り」が、正常に行われている(昇降テーブル225に治具220が正しく取り付けられている)状態を例示している。
一方、誤段取り例として図16および図17に示した状態は、治具220のX2側の側端部220bが可動型搬送部214と固定型搬送部213との境界部分(2点鎖線500)を越えて固定型搬送部213にまではみ出した状態となって治具220が昇降テーブル225に取り付けられている状態である。つまり、ユーザが、治具220が有する全てのピン221(図13参照)が昇降テーブル225側の穴部226に正しく差し込まれていない状態で治具220がセットされた状態である。この場合、運転開始後に、基板処理に関する制御上の理由で可動型搬送部214をY方向に移動させた際、治具220のX2側の側端部220bが固定型搬送部213の内側面に衝突する状況が発生する。つまり、図16および図17には、運転開始前のプリント基板110に関する段取りが正常に行われていない「誤段取り状態」である例を示している。表面実装機200において、運転開始の際にこのような「誤段取り状態」を検出しない場合には、治具220と固定型搬送部213とが衝突を起こす不具合が発生する。
また、第2実施形態では、レーザ測長器25による1回の走査によって得られた検出結果に基づいて、昇降テーブル225に治具220が正しく取り付けられているか否かが演算処理部71において認識されるように構成されている。ここでは、図15に示す検出結果と図18に示す検出結果とを比較しながら説明する。
昇降テーブル225に治具220が正しく取り付けられている場合は、レーザ測長器25によって図15に示す検出結果が得られる。つまり、走査方向(2点鎖線500上)に沿った位置Q1からQ2までの区間と、位置Q3からQ4までの区間とに、高さ位置がH3として検出される。高さ位置H3は、基台1の上面1a上に一対のコンベア部211が検出されていることを示している。一方、コンベア部211の内側の位置Q2からQ3までの区間は、高さ位置がH1であり、この部分には基台1の上面1aしか存在しない。
一方、昇降テーブル225に治具220が正しく取り付けられていない場合は、レーザ測長器25によって図18に示す検出結果が得られる。つまり、コンベア部211の内側の位置Q2からQ3までの区間において、高さ位置がH4(H4<H3)を有する区間(位置Q5からQ6の区間)が存在することが検出されている。したがって、レーザ測長器25により、高さ位置がH4を有する区間が検出された場合には、コンベア部211の内側に何らかの障害物が存在することが演算処理部71において判別されるように構成されている。この場合の障害物とは、図16および図17に示された可動型搬送部214から固定型搬送部213側にはみ出した治具220の側端部220bである。
第2実施形態では、搬送動作が停止中の基板搬送部210において、ユーザによる「誤段取り」のために図16に示すような状況が生じていることを事前に検出することが可能に構成されている。これにより、プリント基板110に関する段取りが正常に行われているか否かを検出することが可能に構成されている。
また、第2実施形態では、表面実装機200の自動運転を開始(再開)する入力操作を行った際、まず、昇降テーブル225への治具220の取り付け状態が正常であるか否か(誤段取り状態であるか否か)が確認された後、上記第1実施形態で説明したプリント基板110の基板搬送部10への配置の状態が正常であるか否か(誤段取り状態であるか否か)が確認されるように構成されている。
また、第2実施形態では、上記した可動型搬送部214の一方側(X2側)における治具220の取り付け状態の良否の確認動作のみならず、可動型搬送部214の他方側(X1側)においても、可動型搬送部214と固定型搬送部212との境界部分(2点鎖線501近傍の領域)上をレーザ測長器25がY1(Y2)方向に走査して治具220の取り付け状態の良否の確認する動作が行われるように構成されている。したがって、治具220が昇降テーブル225のX方向に沿ったいずれの側から境界部分を越えて固定型搬送部側にはみ出た場合であっても、このような「誤段取り状態」が検出されるように構成されている。
なお、第2実施形態における表面実装機200のその他の構成については、上記第1実施形態における表面実装機100の構成と同様である。
次に、図3、図10〜図12、図14、図15および図19を参照して、表面実装機200における自動運転開始時に関する制御フローについて説明する。
図19に示すように、ステップS21では、演算処理部71(図3参照)により、ユーザが運転開始ボタン95(図3参照)を押下したか否かが判断されるととともに、運転開始ボタン95が押下されるまでこの判断が繰り返される。ステップS21において、運転開始ボタン95が押下されたと判断された場合、ステップS22では、ヘッドユニット20が可動型搬送部214の位置における基台1上の一方側(Y2側)に予め設定された走査開始位置まで移動される。
ここで、第2実施形態では、ステップS23において、演算処理部71によりモータ制御部75が制御されてサーボモータ43(Y軸)が駆動される。これにより、ヘッドユニット20が走査開始位置からY1方向に所定の速度で移動される。この際、ヘッドユニット20に取り付けられたレーザ測長器25を用いて、可動型搬送部214と固定型搬送部213との境界部分の周辺領域におけるレーザ測長器25から基台1の上面1aまでの距離(垂直距離)がY1方向に沿って連続的に計測される。これにより、たとえば、運転開始前に可動型搬送部214の昇降テーブル225に取り付けられている治具220の状態が図14に示された状態である場合には、図15に示すような高さ位置の検出結果が得られる。また、ステップS23では、レーザ測長器25が可動型搬送部214と固定型搬送部213との境界部分の周辺領域(図14の2点鎖線500近傍の領域)をY1方向に走査して距離計測を完了した後、ヘッドユニット20がX1方向に移動される。そして、可動型搬送部214と固定型搬送部212との境界部分に対応する位置にレーザ測長器25が配置された状態で、可動型搬送部214と固定型搬送部212との境界部分の周辺領域(図14の2点鎖線501近傍の領域)におけるレーザ測長器25から基台1の上面1aまでの距離(垂直距離)がY2方向に沿って連続的に計測される。
そして、ステップS24では、演算処理部71により、検査領域(可動型搬送部214と固定型搬送部213との境界部分の周辺領域、または、可動型搬送部214と固定型搬送部212との境界部分の周辺領域)に障害物としての治具220が検出されたか否かが判別される。ここで、ステップS24において、上記した検査領域に障害物としての治具220が検出されないと判別された場合、ステップS27に進む。ステップS27では、サーボモータ251(Y軸)が駆動されて可動型搬送部214をY方向に移動させる。これにより、図11に示すように、固定型搬送部212および213と、可動型搬送部214とをX方向に沿って一列に揃える。
その後、第2実施形態では、ステップS28に進む。ステップS28における処理では、制御フローが上記第1実施形態で説明したステップS50(図10参照)に示される一連の制御フロー(図10に示すステップS2からステップS12までの処理)が実行される。
また、ステップS24において、検査領域(可動型搬送部214と固定型搬送部213との境界部分の周辺領域、または、可動型搬送部214と固定型搬送部212との境界部分の周辺領域)に障害物としての治具220が検出されたと判別された場合、ステップS25において、演算処理部71により、運転開始前の基板搬送部10(可動型搬送部214)の状態が「誤段取り状態」であると判別される。そして、ステップS26では、演算処理部71により、表示部101に「異常あり」という警告表示101a(図12参照)が表示されて、本制御フローが終了される。これにより、警告表示101aを見たユーザは、基板搬送部210に何らかの異常が発生していることを認識する。このようにして、自動運転を開始する際のプリント基板110に関する「段取り」の良否の確認動作が行われて処理が終了される。
第2実施形態では、上記のように、レーザ測長器25は、ヘッドユニット20のプリント基板110の搬送方向と交差する方向(Y方向)への移動に伴って走査することにより、可動型搬送部214と固定型搬送部212または213との境界部分の近傍に治具220が配置されているか否かを検出している。そして、演算処理部71は、レーザ測長器25による検出結果により、プリント基板110に関する「段取り」が誤っているか否かを判別するように構成されている。これにより、ユーザが可動型搬送部214内の誤った位置にプリント基板110を支持する治具220を配置した場合に、このようなプリント基板110に関する「段取り」の良否について、表面実装機100の運転を開始する際に確実に確認することができる。これにより、可動型搬送部214への治具220の配置が誤段取りを生じていることに起因して、可動型搬送部214を移動させた際に、境界部分に露出した(はみ出た)治具220が、隣接する固定型搬送部212または213に衝突して治具220および固定型搬送部212または213の双方が損傷するようなトラブルの要因を事前に除去することができる。
また、第2実施形態では、レーザ測長器25により可動型搬送部214と固定型搬送部212または213との境界部分の近傍領域に治具220が配置されていない検出結果が得られた場合、演算処理部71は、基板搬送部210が有する基板搬送経路上の所定の領域(実装前待機区間11b、実装区間11aおよび搬出前待機区間11c)内に、長さL2を有するプリント基板110がそれぞれ1枚の状態で配置されているか否かを判別することにより、プリント基板110に関する「段取り」が誤っているか否かを判別するように構成されている。これにより、可動型搬送部214への治具220の配置に関する「誤段取り」の有無を確認することに加えて、基板搬送部210へのプリント基板110の配置に関する「誤段取り」の有無を確認することも行うことができるので、「誤段取り」に起因して表面実装機100の運転中に予期しないトラブルが発生することをより確実に防ぐことができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、本発明の「基板処理装置」を表面実装機100および200に適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本発明の「基板処理装置」を、プリント基板に半田ペーストを印刷する印刷装置に適用することも可能である。印刷装置においても、半田ペーストを印刷する前のプリント基板に関する「段取り」が誤っているか否かを検出することにより、「誤段取り」に起因して印刷装置の運転中に予期しないトラブルが発生することを未然に防ぐことができる。なお、印刷装置は、本発明の「基板処理装置」の一例である。
また、上記第1および第2実施形態では、ユーザがプリント基板110に関する「段取り」を行った場合の段取り状態の良否が判別される例について示したが、本発明はこれに限られない。ユーザ以外の段取り用の専用装置を用いてプリント基板110に関する「段取り」が行われている場合にも、本発明を適用することができる。
また、上記第1実施形態では、本発明の「対象物検出部」としてレーザ測長器25を用いた例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本発明の「対象物検出部」として、超音波測長器を用いてもよい。超音波測長器は、計測器本体から超音波を放射して対象物(障害物)までの距離を計測する計測器であり、超音波測長器を用いても基板搬送部10に配置されたプリント基板110の位置および長さ(基板の枚数)を容易に検出することが可能である。さらには、本発明の「対象物検出部」として、フィデューシャルカメラを用いることも可能である。フィデューシャルカメラは、プリント基板110に付されたフィデューシャルマークの検出時に使用することを目的としているが、このフィデューシャルカメラを用いることにより、プリント基板110が有する端部(エッジ部)の位置情報を検出することが可能である。この場合、画像処理によって、十分な光量を有して撮像されるプリント基板110の画像と、背後(下方)にやや暗めに写る基台1の上面1aとの画像上のエッジ部(境界部)を検出することにより、搬送方向における1枚のプリント基板110が有する長さL2を判別することが可能である。なお、超音波測長器は、上記第2実施形態の表面実装機200においても境界部分近傍における治具220の有無を検出することが可能であるが、フィデューシャルカメラについては、狭小領域に存在する障害物の有無を検出するような機能を有していないので、治具220の有無を検出する「対象物検出部」としては適用できない。
また、第2実施形態では、本発明の「支持部材」がブロック状の治具220である例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本発明の「支持部材」が、所定の長さを有する棒状のプッシュアップピンであってもよい。昇降テーブル225(図13参照)上にプリント基板110を支持するためにプッシュアップピンを用いる場合、ユーザは、プッシュアップピンを一本ずつ穴部226(図13参照)に差し込む作業(段取り)を行う。この場合、上記第2実施形態のように、プッシュアップピンが可動型搬送部214と固定型搬送部213との境界部分の周辺領域にはみ出る状態は起こり得ない。したがって、本発明の「支持部材」がプッシュアップピンである場合には、演算処理部71によりその旨を判別して、可動型搬送部と固定型搬送部との境界部分の近傍領域に支持部材が配置されているか否かを判別する動作(図19に示す、ステップS22〜S26までの処理動作)を行わないように構成してもよい。この場合、図19において、ステップS21、S27およびS28の順にフローが実行される。この変形例のように構成すれば、支持部材がプッシュアップピンである場合に上記した判別処理が省略されるので、その分、基板処理装置の運転を開始する際のプリント基板110に関する「段取り」の確認時間を短縮することができる。したがって、より迅速に基板処理装置の運転を開始(再開)させることができる。
また、上記第1および第2実施形態では、基板搬送部10に配置されたプリント基板110の状態を検出する際に、実装前待機区間11b側(X1側)から搬出前待機区間11c(X2側)に向かってレーザ測長器25を用いて走査させた例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、搬出前待機区間11c(X2側)から実装前待機区間11b側(X1側)に向かってレーザ測長器25を走査させてもよい。
また、上記第2実施形態では、レーザ測長器25を、可動型搬送部214と固定型搬送部213との境界部分の周辺領域として、図14に示す2点鎖線500(固定型搬送部213のX1側の端部領域)の直上を走査させた例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、治具220が、可動型搬送部214から境界部分上にはみ出た状態が、すでに、「誤段取り状態」であることから、レーザ測長器25を、2点鎖線501に示される軌跡と同様に、可動型搬送部214と固定型搬送部213との間の完全な境界上を走査させるように構成してもよい。