JP2007020567A - リン酸化糖組成物及びその製造方法 - Google Patents

リン酸化糖組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 澱粉をリン酸化して得られるリン酸化澱粉からリン酸化デキストリン、リン酸化オリゴ糖などを含むリン酸化糖組成物を効率よく、高収率で生産する方法を提供する。
【解決手段】 原料リン酸化澱粉の水分散液に耐熱性澱粉分解酵素を添加して最初の酵素分解処理を行い酵素分解処理液を得る工程、該酵素分解処理液をジェットクッカーで処理して分散処理液を得る工程、及び該ジェットクッカーによる分散処理液にさらに耐熱性澱粉分解酵素を添加し追加の酵素分解処理を行って第二の酵素分解処理液を得る工程を有することを特徴とする澱粉分解酵素処理とジェットクッカー処理との組み合わせにより、リン酸化澱粉を低分子化してリン酸化糖組成物を製造する方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、澱粉をリン酸化して得られるリン酸化澱粉からリン酸化デキストリン(11個以上のぶどう糖がα結合したデキストリンにリン酸が結合したリン酸化糖)、リン酸化オリゴ糖(2〜10個のぶどう糖がα結合したオリゴ糖にリン酸が結合したリン酸化糖)などのリン酸化糖を含む組成物を効率よく、高収率で生産する方法に関するものである。本発明で得られるリン酸化糖組成物は食品、医薬、飼料、肥料、工業用化学品など広範囲で利用される機能性素材である。
澱粉を工業的に液化、すなわち、加水分解する方法は古くから検討されており、大きく分けると蓚酸のような酸を用いて、120〜140℃程度の温度で加水分解する方法と酵素を用いて加熱、加水分解する方法がある。酵素による液化は二段液化法、一段液化法が知られている。
二段液化法は古くから行われている液化法で、30〜40質量%程度の澱粉スラリーに耐熱性α-アミラーゼを添加し、直接、蒸気を吹き込んで90℃前後に加温して酵素処理を行って糊化を進めるものである。この際、必要に応じて、クッカー処理で105〜120℃に数分間加熱し、未反応の澱粉を分散させ、次に、常圧まで戻して90℃程度まで冷却した後、再び耐熱性のα-アミラーゼを添加して目的の分解度まで液化する。この方法は、酵素の添加を2回に分けて加熱処理を行うことから二段液化法と呼ばれている。
一方、一段液化法は30〜40質量%程度の澱粉スラリーにCaイオンが50〜100ppmとなるようCa塩を溶解し、pHを6程度に調整後、Bacilluslicheniformis 等に由来する超耐熱性のα−アミラーゼを添加してジェットクッカーなどの装置で蒸気を直接接触させて瞬間的に糊化させ、その後105〜110℃で数分加熱し、常圧に戻した後、さらに90〜95℃の温度で1〜2時間、加熱熟成して目的の分解度まで液化を行う方法である。この方法は、一度の酵素添加で済むため一段液化法と言われる。
この一段液化法の場合、B. licheniformis等由来のα−アミラーゼがCaイオン存在下で耐熱性が非常に高いため、105〜110℃で加熱した後でも活性が残っているので、酵素の追加なしに澱粉の液化を行うことができる。以前は二段液化法が主流であったが、上記の超耐熱性のα−アミラーゼが開発されてからは一段液化が主流になった。
糖化原料の澱粉として広く使用されているコーンスターチ等には加水分解を受けにくい難溶解性の澱粉が含まれていることが知られている(非特許文献1)。このような難溶解性澱粉が液化液中に残っていると後の濾過工程での濾過が困難になるので、この問題を解決するため100℃よりも高い温度での加熱工程を含んだ一段液化法、二段液化法などが開発されてきた。
本発明者らは、リン酸化澱粉を原料としてリン酸化デキストリンやリン酸化オリゴ糖などを含むリン酸化糖組成物を製造する方法について、すでに、前記のような1段液化法を提案している(特許文献1)。しかしながら、特許文献1には本発明に示すようなリン酸化澱粉の二段酵素処理法については開示されていない。
通常、未加工の澱粉は冷水に溶解しないので、30〜40質量%の濃度のスラリーを調製することが可能であり、したがって、30質量%以上の濃度で酵素液化反応を行うことができる。しかし、エステル型のリン酸化澱粉は冷水で膨潤して溶解し、高粘性の液になり、特に溶解性の高い結合リンの多いリン酸化澱粉は粘度上昇が大きく、高粘性の液になるので、高い濃度の澱粉液を調製することが困難である。加えて、そのような高粘度の液は、高粘度であるため澱粉の均一な分散が難しいので酵素の不均一反応を生起することが避けられず、また、濾過性が悪く、収率が低くなる欠点があった。また、ジェットクッカーによるリン酸化澱粉の高温酵素処理に前述の超耐熱性α−アミラーゼを使用しても、酵素の失活が極めて大きいため、酵素添加量を増量しても低分子化反応の進展が望めないことが判明した。
特開平11−255803号公報 澱粉科学の事典(朝倉書店)
前述のように、リン酸化澱粉を酵素分解してリン酸化糖組成物を生産する上で、リン酸化澱粉自体が冷水に膨潤し、溶液中で高粘度の液になるため、濃度を上げた状態で澱粉を水に均一に分散させることは非常に困難である。澱粉が均一に分散しないことに起因して糊化が不十分であると、均一な酵素反応は行われず、不溶性残渣が残り、その結果、濾過性の悪化や収率の低下をもたらす。本発明の課題はリン酸化澱粉を分解してリン酸化糖組成物を生産する上で、ジェットクッカー処理と酵素処理を効果的に組み合わせることで、濾過性を始めとした生産性を向上させ、かつ高い収率でリン酸化糖組成物を得ることにある。
本発明者らはリン酸化澱粉を酵素分解してリン酸化糖組成物を生産する上で、前述の課題である不均一反応を改善し、生産性を向上させて高い収率でリン酸化糖組成物を得るべく鋭意検討を行った。その結果、リン酸澱粉を均一に分解するには酵素を加えてのジェットクッカー処理が必須であること、及び、ジェットクッカー処理により酵素が大きく失活することを補うために、ジェットクッカー処理後に酵素を追加添加して分解処理を行うと、本来90℃以上の温度で反応性に優れている耐熱性酵素による処理条件としては比較的温和な温度条件である60〜80℃で分解反応の進むことを見いだした。
さらにジェットクッカー処理前に、リン酸化澱粉に酵素を添加して加温処理することによって低粘度化させることにより、原料リン酸化澱粉を追加添加して澱粉濃度を高めた状態で酵素処理ができることを見いだした。これらの知見を基に、濾過性などの操業性に優れた処理液として、高い収率でリン酸化糖含有処理液を得ることができる方法を完成したものである。本発明は以下の各発明を包含する。
(1)澱粉分解酵素処理とジェットクッカー処理との組合わせによりリン酸化澱粉を低分子化する方法であって、原料リン酸化澱粉の水分散液に耐熱性澱粉分解酵素を添加して最初の酵素分解処理を行い酵素分解処理液を得る工程、該酵素分解処理液をジェットクッカーで100〜130℃の温度で処理して分散処理液を得る工程、及び該ジェットクッカーによる分散処理液にさらに耐熱性澱粉分解酵素を添加し、100℃未満の温度、好ましくは60〜80℃の温度で30分〜15時間、好ましくは1〜4時間追加の酵素分解処理を行って第二の酵素分解処理液を得る工程を有することを特徴とするリン酸化糖組成物の製造方法。
(2)前記最初の酵素分解処理液を得る工程が、原料リン酸化澱粉を50〜95℃に加温した水に添加し、50〜95℃で攪拌しながら、耐熱性澱粉分解酵素を添加して一定時間酵素分解処理した後、さらに追加の原料リン酸化澱粉を添加し攪拌分散させてリン酸化澱粉濃度が15質量%以上である酵素分解処理液を得る工程であることを特徴とする(1)記載のリン酸化糖組成物の製造方法。
(3)原料リン酸化澱粉が、結合リン0.2質量%以上で、リン酸化率が70%以上であるリン酸化澱粉であることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載のリン酸化糖組成物の製造方法。
(4)原料リン酸化澱粉が、澱粉とリン酸化試薬を混合して焙焼するに当り、発生する水分を系外に除去しながら加熱して製造されるリン酸化澱粉であることを特徴とする前項(1)〜(3)のいずれかに記載のリン酸化糖組成物の製造方法。
(5)原料リン酸化澱粉が、澱粉とリン酸化試薬とを混合する前後のいずれかに澱粉を糊化処理してから焙焼する方法で製造されるリン酸化澱粉であることを特徴とする前項(1)〜(4)のいずれかに記載のリン酸化糖組成物の製造方法。
(6)前記リン酸化糖組成物が、リン酸化糖の他にグルコース、オリゴ糖、デキストリンのいずれかを含むの平均重合度が3〜30のリン酸化糖組成物である前項(1)〜(5)に記載のリン酸化糖組成物の製造方法
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載のリン酸化糖組成物の製造方法で得られるリン酸化糖組成物を精製することを特徴とする、重合度が9〜50のリン酸化糖からなるリン酸化糖組成物の製造方法。
(8)前記(1)〜(6)のいずれかに記載のリン酸化糖組成物の製造方法で得られる、リン酸化糖の他にグルコース、オリゴ糖、デキストリンのいずれかを含む平均重合度が3〜30のリン酸化糖組成物。
(9)前記(1)〜(6)のいずれかに記載のリン酸化糖組成物の製造方法で得られる、平均重合度9〜50のリン酸化糖からなるリン酸化糖組成物。
(10)食品、飲料、調味料、味質改善剤、口腔衛生剤、洗剤、入浴剤、化粧品、医薬、農薬、金属補給剤、金属吸収促進剤、触媒、製紙、プラスチック、ゴム、糊剤、混和剤、塗料、顔料、飼料又は肥料の成分として用いる、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法で得られるリン酸化糖組成物及び前記(8)〜(9)のいずれかに記載のリン酸化糖組成物から選ばれる1種のリン酸化糖組成物の使用。
(11)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法で得られるリン酸化糖組成物及び前記(8)〜(9)のいずれかに記載のリン酸化糖組成物から選ばれる少なくとも1種のリン酸化糖組成物を含む、食品、飲料、調味料、味質改善剤、口腔衛生剤、洗剤、入浴剤、化粧品、医薬、農薬、金属補給剤、金属吸収促進剤、触媒、製紙、プラスチック、ゴム、糊剤、混和剤、塗料、顔料、飼料又は肥料。
本発明の方法によれば、原料リン酸化澱粉からリン酸化糖を得る製造工程で最も難しい酵素処理条件を改善することにより、原料リン酸化澱粉の高濃度酵素処理が可能となり、また、濾過性が改善されて原料リン酸化澱粉の低分子化によるリン酸化糖組成物の生産性及び収率が向上する。
本発明の方法における処理対象原料物質であるリン酸化澱粉は、澱粉にリン酸基が結合した酸性多糖であり、食品添加物に規定されている「でんぷんリン酸エステルナトリウム」もその一種であるが、これに限定されるものではなく、食品添加物の規定に含まれない結合リン含量の多いリン酸化澱粉や、カリウム塩など塩の形態の異なるリン酸澱粉も本発明の方法における処理対象原料に含まれるものである。食品添加物としてのでんぷんリン酸エステルナトリウムは、リン酸がエステル型で澱粉に結合しており、結合リン含量が0.2〜3.0質量%、無機リン比率が20%以下と規定されている。無機リン比率とは、全リン(結合リン+無機リン)に対する遊離の無機リンの比率を指す。
原料となるリン酸化澱粉は、工業的には、通常、澱粉とリン酸塩を混合し、乾燥してから加熱焙焼して生産される。なお、本発明の方法で処理される原料リン酸化澱粉は、澱粉にリン酸がエステル結合したものであれば特にその製造方法に制限はない。また、リン酸化澱粉の原料である澱粉についても、コーン、馬鈴薯、甘藷、タピオカなど、いかなる起源の澱粉も使用できる。
リン酸化澱粉のもう一方の原料であるリン酸塩に関しては、例えばリン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、又はポリリン酸ナトリウムなどの食品添加物だけでなく、広くリン酸化試薬が使用できる。澱粉とリン酸塩との混合方法は、タービュライザ等の混合機を用いて、澱粉とリン酸塩溶液(pH5〜6)を混合する方法、リン酸塩溶液中に澱粉を懸濁してスラリーにした後、脱水回収する方法、さらに、リン酸塩溶液中に澱粉を懸濁したスラリーをドラムドライヤーで糊化乾燥する方法、澱粉を糊化した液にリン酸塩を添加後、スプレードライヤー等で乾燥する方法等が挙げられる。
この際、澱粉とリン酸塩を混合時に糊化処理を行うことで澱粉粒の内部までリン酸塩を浸透させることができ、このような糊化混合処理して得られるリン酸化澱粉を原料としてリン酸化糖組成物を製造すれば、Ca可溶化作用などの機能性の高いものが得られる。澱粉とリン酸塩を混合後、フラッシュドライヤーなどの乾燥機で水分10質量%以下、好ましくは5質量%以下まで乾燥し、次に、流動層、パドルドライヤーなどの焙焼機で140〜200℃の温度で0.5〜5時間程度焙焼することにより、リン酸化澱粉を得ることができる。
本発明の方法は、上記のいずれかの方法で得られたリン酸化澱粉を低分子化してリン酸化糖組成物を得るための方法である。リン酸化澱粉は冷水で溶解して膨潤するため、リン酸化澱粉の水分散液は粘度が高くなり、10質量%以上となる量のリン酸化澱粉分散液を調製することは極めて困難である。そこで、温水を攪拌しながらリン酸化澱粉を徐々に加えて分散して10質量%分散液とし、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムでpH5〜7に調整後、耐熱性の液化型α−アミラーゼ(例えばBacillus licheniformis由来)を対澱粉当り0.005〜0.2質量%添加して、さらにCaが100ppm以上となるように塩化カルシウムを添加した後、この分散液を90℃に加温し、1時間攪拌して反応させることによって、低分子化したリン酸化糖組成物(リン酸化デキストリン、リン酸化オリゴ糖、リン酸の結合していないオリゴ糖の混合物)を得ることができる。しかしながら、この方法では原料リン酸化澱粉の分散性が悪いため、酵素添加量を増やしても不均一反応となり、得られた酵素処理液は濾過性が悪く、濾過に長時間を要するし、リン酸化糖組成物の収率も60%以下と低いものであった。
本発明者らは、リン酸化澱粉の分散性を改善するため、ジェットクッカー処理の採用を検討した。検討に際して、処理能力を高めるためリン酸化澱粉の処理濃度を高める方法を併せて検討した。具体的には、50〜90℃の温水を攪拌しながらリン酸化澱粉を分散して10質量%の分散液とし、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムでpH5〜7に調整した後、耐熱性の液化型α−アミラーゼ(例えば、Bacillus licheniformis由来)を対澱粉当り0.005〜0.2質量%添加し、さらにCaが100ppm以上となるように塩化カルシウムを添加した。この状態の温水分散液は、攪拌中に酵素反応が進み分散液の粘度が低下したので、粘度の低下に応じて、リン酸化澱粉を追加添加することにより、濃度を15〜30質量%まで上げることが可能となった。このように、リン酸化澱粉の処理濃度を高めて酵素処理を行うことができたことにより、リン酸化澱粉の酵素処理によるリン酸化糖組成物の生産性を高めることが可能となることが判明した。
上記のように、リン酸化澱粉を追加添加して濃度を高めた分散液について、前記のアルカリ溶液で再度pHを調整し、そのまま10〜60分保持した後、得られたリン酸化澱粉分散液をジェットクッカーで処理した。ジェットクッカーの入口温度は100〜130℃、好ましくは105〜115℃の範囲に設定し、滞留時間は2〜20分、好ましくは3〜10分の範囲に設定して加熱処理を行った。その結果、ジェットクッカー処理でリン酸化澱粉はよく分散溶解しているように思われた。しかし、このような処理のみでは、リン酸化澱粉の分散性は高められたが、低分子化が進まず、濾過性の改善や収率の向上が認められなかった。そこで、ジェットクッカー処理液を80〜90℃で1時間程度加熱処理を行ったが、耐熱性の液化型α−アミラーゼが失活して低分子化の反応が進展しないことが判明した。さらに、ジェットクッカー処理前の酵素添加量を2倍以上に増量しても、濾過性、収率は全く改善されなかった。
本発明者らは、さらに検討を重ねた結果、ジェットクッカー処理液に耐熱性の液化型α−アミラーゼを対固形分当り0.005〜0.2質量%追加添加し厳密に選択された処理条件を採択して酵素処理を行うことにより、平均重合度が3〜30のリン酸化糖組成物を含有する酵素処理液を高収率で得ることができることを見出した。すなわち、通常の澱粉液化工程では、105℃のクッカー処理後、90〜95℃で2時間程度の攪拌滞留時間が必要とされているが、リン酸化澱粉のジェットクッカーの酵素分解においては、むしろより温和な処理条件の方が良好な反応結果をもたらすことを見出した。
具体的には、上記のようなリン酸化澱粉のジェットクッカー処理液の酵素分解反応の条件としては、温度は50〜100℃、好ましくは60〜80℃で、時間は30分〜15時間、好ましくは1〜4時間が適当であった。このように、酵素を二回に分けて添加し、前段でジェットクッカー処理してリン酸化澱粉の分散性を高め、後段で酵素を追加添加し分解反応を促進することにより、処理液の濾過性が格段に向上し、セラミック濾過機などの実機による濾過時間が半減した。さらに、得られるリン酸化糖組成物の収率が60%以下から70%に大きく向上した。この後段の処理に使用する酵素は、処理温度が温和であることから、耐熱性の液化型α−アミラーゼだけでなく、広く他の澱粉分解酵素、例えば、通常の液化型α−アミラーゼ、糖化型α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼなどを用いることができる。当然、2種以上の酵素を組み合わせて処理することもできる。酵素分解は処理液をpH4以下に下げたり80℃程度まで加熱することで停止させることができる。
上記の二段酵素処理によって得られたリン酸化澱粉の酵素処理液には、リン酸化糖の他にリン酸の結合していないオリゴ糖やぶどう糖、リン酸等の塩類、未反応残渣等が含まれているので、必要に応じて精製される。精製方法としては、不溶物の濾過除去、脱色、脱塩などがあり、順序は特に限定されない。なお、食品添加物のでんぷんリン酸エステルナトリウムの規格に適合した結合リン3質量%未満、無機リン比率20%未満のリン酸化糖を得るためには、精製操作が必要となる場合がある。その場合には、濾過と脱色を同時に行えることから、最初に不溶性の残渣の濾過と活性炭による脱色との同時処理を行う方が好ましい。具体的には、酵素反応終了液に粉末活性炭を固形分当たり0.5〜20質量%、好ましくは3〜10質量%添加し、50〜60℃で1〜2時間処理する。処理pHは酸性側の方が脱色効率がよいため、pH2〜4が望ましい。この後、セラミックフィルター(ポアサイズ0.2μm)等で、不溶性残渣と活性炭を除き透明な液を得ることができる。この際、不溶性の残渣が多いと、濾過に多大な時間がかかるのみでなく、収率が大幅に減少するが、本発明の二段酵素処理して得られるリン酸化糖組成物溶液は未反応の原料リン酸化澱粉の残存量が少なくなっているため、濾過時間が短くて済む。
脱色して得られるリン酸化糖組成物溶液には塩分、遊離の無機リンが存在する。濾過後の液をpH調整後、除菌濾過、乾燥することでも製品になりうるが、原料のリン酸澱粉に遊離の無機リンが全リンの20%以上存在すると、前記の食品添加物規格に合わなくなるので、食品用途では無機リンの除去は必須となる。
脱塩の方法としては、イオン交換樹脂を用いる方法が広く採用されているが、膜処理や電気透析なども利用できる。分子量が比較的大きいリン酸化デキストリンの精製には、膜処理が有効であり、NTR-7450(日東電工社製)のようなNF膜で遊離の無機リンが全リンの20%以下、好ましくは10%以下になるようにすることができる。脱塩した液を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等でpH5〜9、好ましくは6〜7.5に調整後、除菌フィルター(ポァサイズ0.2〜0.45μm)で濾過し、スプレードライや凍結乾燥で乾燥することにより食品添加物の規格に適合したリン酸化糖、又はリン酸化糖組成物が得られる。
本発明の酵素処理法の開発により、リン酸化澱粉から高い収率でリン酸化糖、又はリン酸化糖組成物が得られ、しかも、操業上の課題であった濾過性が大幅に改善され、高い濃度の分散液としてリン酸化澱粉の酵素処理が可能となり、生産性の向上が見込めるなど、リン酸化糖の製造分野に多大の技術的貢献をなすものである。また、本発明の方法で得られる平均重合度3〜30のリン酸化糖組成物はリン酸カルシウムの沈澱形成阻害作用、歯の再石灰化促進作用、歯の脱灰抑制作用、免疫増強作用など産業上有用な機能を有していることが知られており、食品、飲料、調味料、味質改善剤、口腔衛生剤、洗剤、入浴剤、医薬品、化粧品、金属補給剤、金属吸収促進剤、糊剤、混和剤、塗料、顔料、飼料又は肥料の成分として用いられる。さらに、本発明の方法で得られる平均重合度3〜30のリン酸化糖組成物は食品、飲料、調味料、味質改善剤、口腔衛生剤、洗剤、入浴剤、医薬品、化粧品、金属補給剤、金属吸収促進剤、糊剤、混和剤、塗料、顔料、飼料又は肥料などの添加物として利用することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
<リン酸化澱粉の調製例1>
コーンスターチ600kg〔王子コーンスターチ(株)製、水分13質量%〕とリン酸ナトリウム溶液(リン酸1ナトリウム・2水塩88kgとリン酸2ナトリウム16kgを水に溶解して250kgとしたもの)とをタービュライザにて一定の速度で混合し、フラッシュドライヤーにて水分7質量%まで乾燥した。これを流動層に投入し、排気開放条件下で、発生する水分を系外に除去しながら170℃まで昇温後2時間焙焼して、結合リン2.7質量%のリン酸化澱粉500kgを得た。
<リン酸化澱粉の調製例2>
前記のコーンスターチ600kgとリン酸ナトリウム溶液(リン酸1ナトリウム・2水塩8kgとリン酸2ナトリウム1.5kgを水に溶解して25kgとしたもの)とをリン酸化澱粉の調製例1と同様にして混合、乾燥し(乾燥後水分6質量%)、流動層にて排気開放条件下で、発生する水分を系外に除去しながら180℃まで昇温後1時間焙焼して、結合リン0.33質量%のリン酸化澱粉550kgを得た。
<リン酸化澱粉の調製例3>
前記のコーンスターチ600kgとリン酸カリウム溶液(リン酸1カリウム9.9kgとリン酸2カリウム2.3kgを50℃程度の温水に溶解して50kgとしたもの)とをリン酸化澱粉の調製例1と同様にして混合、乾燥し(乾燥後水分6質量%)、流動層にて排気開放条件下で、発生する水分を系外に除去しながら170℃まで昇温後2時間焙焼して、結合リン0.45質量%のリン酸化澱粉550kgを得た。
<リン酸化澱粉の調製例4>
前記のコーンスターチ120kgとリン酸ナトリウム溶液(リン酸1ナトリウム・2水塩12.7kgとリン酸2ナトリウム3.2kgを水に溶解して50kgとしたもの)とをリン酸化澱粉の調製例1と同様にして混合、乾燥した(乾燥後水分6質量%)。この乾燥品64kgとコーンスターチ250kgとを混合して流動層にて排気開放条件下で、発生する水分を系外に除去しながら170℃まで昇温後2時間焙焼して、結合リン0.48質量%のリン酸化澱粉250kgを得た。
<リン酸化澱粉の調製例5>
リン酸1ナトリウム・2水塩12.7kgとリン酸2ナトリウム3.2kgを水700Lに溶解し、そこへコーンスターチ120kgを混合してスラリーとした。このスラリーをダブルドラムドライヤー(ドラム幅3m高さ1.2m)にて回転数1rpm、表面温度160℃の条件で糊化・乾燥した。これを粉砕機で粉砕後、60メッシュの篩を通した(乾燥品水分4%)。この糊化・乾燥品63kgとコーンスターチ250kgとを混合して流動層にて排気開放条件下で、発生する水分を系外に除去しながら170℃まで昇温後2時間焙焼して、結合リン0.49質量%のリン酸化澱粉250kgを得た。
<測定法>
無機リンの測定はFiske−Subbarow法(澱粉・関連糖質実験法、学会出版センター発行)で行った。全リンは試料を湿式分解処理して無機リンとしてから測定し、分解処理しない試料中の遊離の無機リンを測定して、次式で結合リンを算出した。測定値は乾燥質量に対する質量%で表示した。
結合リン(質量%)=全リン(質量%)−無機リン(質量%)
平均重合度はグルコースを標準としてSomogyi−Nelson法で還元糖を、Phenol−硫酸法で全糖を測定し(還元糖の定量法、学会出版センター発行)、次式により算出した。
平均重合度=全糖(質量%)÷還元糖(質量%)
<比較例>
前記の調製例1で作製した結合リン2.7質量%のリン酸化澱粉を用いて以下の方法で酵素処理を行った。
70℃の温水283Lに塩化カルシウム二水和物135gを溶解した後、リン酸化澱粉32kgを攪拌しながら徐々に溶解した。苛性ソーダでpH6.0とした後、耐熱性α−アミラーゼの「ターマミル クラッシック」(商品名:ノボザイムズ社製)を対澱粉0.05質量%添加し、5分間保持した。粘度が下がり始めたらリン酸化澱粉18kgを徐々に添加して分散させた。苛性ソーダでpH6.0に再調整後、追加した澱粉に対して前記「ターマミル クラッシック」を0.05質量%添加して90℃まで昇温し、そのまま60分保持した。酵素反応の停止は5質量%の塩酸でpHを3.5に調整することで行った。酵素反応終了後のリン酸化糖組成物溶液の平均重合度は8であった。
得られた酵素分解液に粉末活性炭(PM−KIとPM−SXの等量混合物、三倉化成社製)を対固形分10質量%添加し、60℃、2時間攪拌保持した。その後、セラミック濾過機(0.2μm、トライテック社製)で残渣と活性炭を除去した。濾過供給液が減少したら純水を添加して透過液のBrixが1以下になるまで濾過を行った。濾過に要した時間は15時間であった。
濾液には無機リンが多く含まれている(無機リン比率27%)ので、NF膜(日東電工社製、NTR−7450)で脱塩・濃縮処理を行い、無機リン比率を10%まで減少させた。さらに、10質量%の水酸化ナトリウムでpH6.2(1質量%溶液で測定)に調整した。0.45μmのポリスルフォンのメンブレンフィルター(ロキテクノ社製)で濾過後、スプレードライヤー(ニロ社製)で乾燥粉末化して30.6kgのリン酸化糖組成物(水分4質量%、結合リン2.6質量%、平均重合度11)を得た。 収率は60%であった。
<実施例1>
70℃の水71Lに塩化カルシウム二水和物34gを溶解した後、攪拌しながら前記の調製例1のリン酸化澱粉8kgを徐々に添加しながら溶解した。水酸化ナトリウムでpH6.0とした後、前記「ターマミル クラッシック」を対澱粉0.05質量%添加し、5分間保持した。粘度が下がり始めると同じリン酸化澱粉4.5kgを徐々に追加添加した。水酸化ナトリウムでpH6.0に再調整後、追加した澱粉に対して前記「ターマミル クラッシック」を0.05質量%添加して10分保持し、リン酸化澱粉の分散液を得た。次に、調製したリン酸化澱粉分散液をジェットクッカーにて入口温度110℃、滞留時間5分の条件で処理した。この操作を4回繰り返して、50kgのリン酸化澱粉を処理した。ジェットクッカー処理した液をタンクに集め、60℃まで冷却後、「ターマミル クラッシック」を対澱粉0.05質量%追加添加し、60℃、3時間反応させた。酵素反応は塩酸でpH3.5に調整し、終了させた。酵素反応終了後のリン酸化糖組成物溶液の平均重合度は8であった。
酵素処理液の精製は比較例と同様に行い、セラミック濾過に8時間を要した。その後、比較例と同様にしてスプレードライで粉末化し、36.2kgのリン酸化糖組成物(水分4質量%、結合リン2.7質量%、平均重合度10)を得た。収率は71%であった。
<実施例2>
実施例1と同様に、調製例1のリン酸化澱粉25kgをジェットクッカーで処理した後、60℃まで冷却し、塩酸でpH5.5に調整して、「マルトゲナーゼ」(商品名:ノボザイムズ社製)を対澱粉0.05質量%、及び前記「ターマミルクラッシック」を対澱粉0.01質量%添加し、60℃、3時間反応させた。酵素反応は塩酸でpH3.5に調整し、終了させた。酵素反応終了後のリン酸化糖組成物溶液の平均重合度は5であった。
酵素処理液の精製は比較例と同様に行い、セラミック濾過に4時間を要した。その後、比較例と同様にしてスプレードライで粉末化し、17.9kgのリン酸化糖組成物(水分4質量%、結合リン2.7質量%、平均重合度10)を得た。収率は70%であった。
<実施例3>
実施例1と同様にして、調製例2のリン酸化澱粉25kgをジェットクッカーで処理した後、60℃まで冷却し、「ターマミル クラッシック」を対澱粉0.05質量%添加し、60℃、3時間反応させた。酵素反応は塩酸でpH3.5に調整し、終了させた。酵素反応終了後のリン酸化糖組成物溶液の平均重合度は4であった。
酵素処理液の精製は比較例と同様に行い、セラミック濾過に3.3時間を要した。その後、比較例と同様にしてスプレードライで粉末化し、18.9kgのリン酸化糖組成物(水分4質量%、結合リン0.32質量%、平均重合度6)を得た。収率は74%であった。
<実施例4>
実施例1と同様にして、調製例2のリン酸化澱粉25kgをジェットクッカーで処理した後、60℃まで冷却し、前記「ターマミル クラッシック」を対澱粉0.02質量%添加し、70℃、2時間反応させた。酵素反応は塩酸でpH3.5に調整し、終了させた。酵素反応終了後のリン酸化糖組成物溶液の平均重合度は6であった。
酵素処理液を比較例と同様にして活性炭処理、濾過した。セラミック濾過に3.5時間を要した。その後、膜処理は行わずにリン酸化糖組成物溶液の濾過液を10%水酸化ナトリウムでpH6.5に調整し(1質量%溶液で測定)、メンブレンフィルターで除菌濾過後、比較例と同様にしてスプレードライで粉末化して20.2kgのリン酸化糖組成物(水分4質量%、結合リン0.28質量%、平均重合度5)を得た。収率は79%であった。
<実施例5>
実施例1と同様にして、調製例3のリン酸化澱粉25kgをジェットクッカーで処理した後、60℃まで冷却し、前記「ターマミル クラッシック」を対澱粉0.02質量%添加し、70℃、2時間反応させた。酵素反応は塩酸でpH3.5に調整し、終了させた。酵素反応終了後のリン酸化糖組成物溶液の平均重合度は7であった。
酵素処理液を比較例と同様にして活性炭処理、濾過した。セラミック濾過に3.5時間を要した。その後、膜処理は行わずにリン酸化糖組成物溶液の濾過液を10%水酸化カリウムでpH6.5に調整し(1質量%溶液で測定)、メンブレンフィルターで除菌濾過後、比較例と同様にしてスプレードライで粉末化して19.9kgのリン酸化糖組成物(水分4質量%、結合リン0.38質量%、平均重合度6)を得た。 収率は78%であった。
<実施例6>
70℃の水71Lに塩化カルシウム二水和物34gを溶解した後、攪拌しながら前記の調製例4のリン酸化澱粉8kgを徐々に添加しながら溶解した。水酸化ナトリウムでpH6.0とした後、前記「ターマミル クラッシック」を対澱粉0.10質量%添加し、5分間保持した。粘度が下がり始めると同じリン酸化澱粉4.5kgを徐々に追加添加した。水酸化ナトリウムでpH6.0に再調整後、追加した澱粉に対して「ターマミル クラッシック」を0.10質量%添加して10分保持し、リン酸化澱粉の分散液を得た。次に、調製したリン酸化澱粉分散液をジェットクッカーにて入口温度110℃、滞留時間5分の条件で処理した。この操作を計2回行って、25kgのリン酸化澱粉を処理した。ジェットクッカー処理した液をタンクに集め、80℃まで冷却後、「ターマミル クラッシック」を対澱粉0.04質量%追加添加し、80℃、1時間反応させた。酵素反応は塩酸でpH3.5に調整し、終了させた。酵素反応終了後のリン酸化糖組成物溶液の平均重合度は6であった。
酵素処理液の精製は比較例と同様に行い、セラミック濾過に3.5時間を要した。その後、比較例と同様にしてスプレードライで粉末化し、17.6kgのリン酸化糖組成物(水分4質量%、結合リン0.37質量%、平均重合度7)を得た。収率は69%であった。
<実施例7>
実施例6と同様にして、調製例5のリン酸化澱粉25kgをジェットクッカーで処理した後、80℃まで冷却し、「ターマミル クラッシック」を対澱粉0.04質量%添加し、80℃、1時間反応させた。酵素反応は塩酸でpH3.5に調整し、終了させた。酵素反応終了後のリン酸化糖組成物溶液の平均重合度は6であった。
酵素処理液の精製は比較例と同様に行い、セラミック濾過に3.5時間を要した。その後、比較例と同様にしてスプレードライで粉末化し、17.4kgのリン酸化糖組成物(水分4質量%、結合リン0.37質量%、平均重合度7.5)を得た。収率は68%であった。
実施例6と7で作製した試料でリン酸カルシウム沈澱抑制能を調べた。終濃度でリン酸(ナトリウム)7.5mM、カルシウム5mM、試料1.0%になるよう、(i)リン酸ナトリウム溶液(pH7.4)、(ii)試料溶液及び蒸留水、(iii)塩化カルシウム溶液の順番で添加し30℃で1時間反応させた。1時間後、反応液を遠心分離した上清のカルシウム濃度を測定したところ、実施例6の試料では反応液の全カルシウムの68%を可溶性で維持していた。一方実施例7の試料では反応液の全カルシウムの96%を可溶性で維持していた。この際、試料を蒸留水で置き換えて30℃で1時間反応させた対照には可溶性のカルシウムが全カルシウムの30%しか存在していなかった。つまり、実施例7の場合のようにリン酸塩混合時に澱粉を糊化処理している原料を用いることでより高い機能をもつリン酸化糖組成物を作製できる。
<実施例8>
実施例7で作製したリン酸化糖組成物7kgを40Lの純水に溶解後、強酸性カチオン交換樹脂10L、弱塩基性アニオン交換樹脂10Lの入ったイオン交換樹脂塔にSV=2、30℃の条件で順次通液した。ひきつづき100Lの純水を樹脂塔に通液してアニオン交換樹脂に未吸着の糖を洗浄、除去した。次いで、アニオン交換樹脂塔に1.0Mの食塩水20L、純水20LをSV=2、20℃の条件で順次通液して、吸着しているリン酸化糖を溶出させた。溶出液のBrixが0.2を超えたところで回収を開始し、ピークを過ぎて、Brixが0.2以下に低下するまで回収を続けた。アニオン交換樹脂から溶出、回収したリン酸化糖を活性炭処理したのち、NF膜で脱塩後、スプレードライヤーにて粉末化した。得られたリン酸化糖の平均重合度は17であった。
リン酸化澱粉からリン酸化糖組成物を得る製造工程で、最も難しい酵素処理条件を改善し、生産収率の向上、リン酸化澱粉の高濃度処理、濾過性の向上など生産性を高める製造法を提供することにより、高い機能性を有する素材であるリン酸化糖組成物のコストを下げ、食品、飲料、調味料、味質改善剤、口腔衛生剤、洗剤、入浴剤、化粧品、医薬、農薬、金属補給剤、金属吸収促進剤、触媒、製紙、プラスチック、ゴム、糊剤、混和剤、塗料、顔料、飼料、肥料など広い分野での使用をさらに拡大させるものである。

Claims (11)

  1. 澱粉分解酵素処理とジェットクッカー処理との組合わせによりリン酸化澱粉を低分子化する方法であって、原料リン酸化澱粉の水分散液に耐熱性澱粉分解酵素を添加して最初の酵素分解処理を行い酵素分解処理液を得る工程、該酵素分解処理液をジェットクッカーで100〜130℃の温度で処理して分散処理液を得る工程、及び該ジェットクッカーによる分散処理液にさらに耐熱性澱粉分解酵素を添加し、100℃未満の温度で30分〜15時間追加の酵素分解処理を行って第二の酵素分解処理液を得る工程を有することを特徴とするリン酸化糖組成物の製造方法。
  2. 前記最初の酵素分解処理液を得る工程が、原料リン酸化澱粉を50〜95℃に加温した水に添加し、50〜95℃で攪拌しながら、耐熱性澱粉分解酵素を添加して一定時間酵素分解処理した後、さらに追加の原料リン酸化澱粉を添加し攪拌分散させてリン酸化澱粉濃度が15質量%以上である酵素分解処理液を得る工程であることを特徴とする請求項1記載のリン酸化糖組成物の製造方法。
  3. 原料リン酸化澱粉が、結合リン0.2質量%以上で、リン酸化率が70%以上のリン酸化澱粉であることすることを特徴とする請求項1又は2に記載のリン酸化糖組成物の製造方法。
  4. 原料リン酸化澱粉が、澱粉とリン酸化試薬を混合して焙焼するに当り、発生する水分を系外に除去しながら加熱して製造されているリン酸化澱粉であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリン酸化糖組成物の製造方法。
  5. 原料リン酸化澱粉が、澱粉とリン酸化試薬とを混合する前後のいずれかに澱粉を糊化処理してから焙焼する方法で製造されているリン酸化澱粉であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリン酸化糖組成物の製造方法。
  6. 前記リン酸化糖組成物が、リン酸化糖の他にグルコース、オリゴ糖、デキストリンのいずれかを含むの平均重合度が3〜30のリン酸化糖組成物である請求項1〜5のいずれかに記載のリン酸化糖組成物の製造方法。
  7. 前記請求項1〜6のいずれかに記載のリン酸化糖組成物の製造方法で得られるリン酸化糖組成物を精製することを特徴とする重合度が9〜50のリン酸化糖からなるリン酸化糖組成物の製造方法
  8. 前記請求項1〜6のいずれかに記載のリン酸化糖組成物の製造方法で得られる、リン酸化糖の他にグルコース、オリゴ糖、デキストリンのいずれかを含む平均重合度が3〜30のリン酸化糖組成物。
  9. 前記請求項1〜6のいずれかに記載のリン酸化糖組成物の製造方法で得られる平均重合度9〜50のリン酸化糖からなるリン酸化糖組成物。
  10. 食品、飲料、調味料、味質改善剤、口腔衛生剤、洗剤、入浴剤、化粧品、医薬、農薬、金属補給剤、金属吸収促進剤、触媒、製紙、プラスチック、ゴム、糊剤、混和剤、塗料、顔料、飼料又は肥料の成分として用いる、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法で得られるリン酸化糖組成物及び請求項8〜9のいずれかに記載のリン酸化糖組成物から選ばれるリン酸化糖組成物の使用。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法で得られるリン酸化糖組成物及び請求項8〜9のいずれかに記載のリン酸化糖組成物から選ばれる少なくとも1種のリン酸化糖組成物を含む食品、飲料、調味料、味質改善剤、口腔衛生剤、洗剤、入浴剤、化粧品、医薬、農薬、金属補給剤、金属吸収促進剤、触媒、製紙、プラスチック、ゴム、糊剤、混和剤、塗料、顔料、飼料又は肥料。
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