JP2007016094A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Keiko Miura
慶子 三浦
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浩之 奥平
Hiroyuki Hosoda
浩之 細田
Kazunori Ishikawa
和憲 石川
Akio Sugiura
昭夫 杉浦
Kazuo Kato
和生 加藤
Katsuhiko Suzuki
克彦 鈴木
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Abstract

【課題】室温で硬化し、かつ、エンジニアリングプラスチックに対する接着性に優れるエポキシ樹脂組成物の提供。
【解決手段】三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂の分散相とエポキシ樹脂の連続相とからなるエポキシ/シリコーン混合物と、マイクロバルーンと、硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物に関する。
エンジニアリングプラスチック等の難接着性材料に用いられる接着剤として、例えば、特許文献1に記載されているカチオン硬化型接着剤組成物が提案されている。
特許文献1に記載されているカチオン硬化型接着剤組成物は、一般式
Figure 2007016094
(Rは炭素数1〜5のアルキル基)を有するフエノキシメチルオキセタンと、エポキシ基または脂環エポキシ基を有するエポキシ化合物と、カチオン硬化触媒とを主成分として含有し、前記フエノキシメチルオキセタンおよびエポキシ化合物の配合比率が重量比でフエノキシメチルオキセタン:エポキシ化合物=40:60〜95:5であることを特徴とする難接着性材料に対して高接着性を呈するカチオン硬化型接着剤組成物である。
特開2001−131516号公報
しかしながら、本発明者は、上記の特許文献1に記載されているカチオン硬化型接着剤組成物がポリフェニレンスルフィドのようなエンジニアリングプラスチックに対しては、接着しにくいこと、具体的には接着後に界面はく離しやすいことを見出した。
また、特許文献1に記載されているカチオン硬化型接着剤組成物は、紫外線照射、または、120℃のような高温での加熱により硬化するものであった。従って、特許文献1に記載されているカチオン硬化型接着剤組成物は、硬化のために紫外線照射や加熱の装置を必要とし、室温で硬化することができないという問題を、本発明者は見出した。
従って、本発明は、室温で硬化し、かつ、エンジニアリングプラスチックに対する接着性に優れるエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に関し鋭意検討した結果、エポキシ樹脂組成物において、特定のシリコーン樹脂の分散相とエポキシ樹脂の連続相とからなるエポキシ/シリコーン混合物と、マイクロバルーンと、硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物が、室温で硬化し、かつ、エンジニアリングプラスチックに対して優れた接着性を有することを知見した。
即ち、本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、以下の(1)〜(4)を提供する。
(1)三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂の分散相とエポキシ樹脂の連続相とからなるエポキシ/シリコーン混合物と、マイクロバルーンと、硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物。
(2)さらに、多官能エポキシ樹脂を含有する上記(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(3)前記多官能エポキシ樹脂が、下記式(I)で表されるエポキシ樹脂である上記(2)に記載のエポキシ樹脂組成物。
Figure 2007016094
(4)前記エポキシ基含有シリコーン樹脂の含有量が、全エポキシ樹脂100質量部に対して、25〜70質量部である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、室温で硬化し、かつ、エンジニアリングプラスチックに対する接着性に優れる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂の分散相とエポキシ樹脂の連続相とからなるエポキシ/シリコーン混合物と、マイクロバルーンと、硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物である。
はじめに、エポキシ/シリコーン混合物について説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物に使用されるエポキシ/シリコーン混合物は、三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂の分散相とエポキシ樹脂の連続相とからなる混合物である。
三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂について以下に説明する。
三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂は、三次元架橋し、かつ、エポキシ基を含有するシリコーン樹脂であれば、特に制限されない。例えば、エポキシ基を含有するジアルキルポリシロキサンが挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基が挙げられる。三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂は、エポキシ基を含有するジメチルポリシロキサンであるのが好ましい態様の1つである。
エポキシ基を含有するジアルキルポリシロキサンは、アルキル基の一部が、例えば、架橋性基で置換されていてもよい。架橋性基としては、例えば、以下の式(1)〜式(4)で表される基が挙げられる。
Figure 2007016094
架橋性基とエポキシ基とを含有するジアルキルポリシロキサンは、その製造について、特に制限されない。式(3)で表される架橋性基は、例えば、白金触媒のような触媒の存在下で、ビニルシロキサンと水素化シロキサンとの架橋反応によって得ることができる。また、式(4)で表される架橋性基は、例えば、白金触媒のような触媒の存在下で、アリルシロキサンと水素化シロキサンとの架橋反応によって得ることができる。
エポキシ基含有シリコーン樹脂に含有されるエポキシ基は、シリコーン樹脂中のケイ素原子に直接、または、有機残基を介して結合することができる。中でも、エポキシ基はシリコーン樹脂中のケイ素原子に有機残基を介して結合するのが好ましい。
有機残基としては、例えば、2価のもの、3価以上のものが挙げられる。2価の有機残基の場合、結合するエポキシ基は1個であり、3価以上の有機残基の場合、結合するエポキシ基は1個以上であればよい。
2価の有機残基としては、例えば、飽和脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。2価の有機残基は、例えば、塩素原子、フッ素原子のようなハロゲン原子、酸素原子、窒素原子を含むことができる。
2価の飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜8の鎖状飽和炭化水素基が挙げられる。2価の飽和脂肪族炭化水素基は、直鎖状および分岐状のいずれでもよい。炭素数1〜8の鎖状飽和炭化水素基としては、例えば、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−、−CH2OCH2−、−CH2CH2OCH2CH2−、−CH2CH2CH2OCH2−、−CH2CH2O−、−CH2CH2CH2O−、−CH2CH2CH2CH2O−が挙げられる。
2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,3−シクロへキシレン基、1,4−シクロへキシレン基が挙げられる。
2価の不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、−CH=CH−、−CH=CHCH2−、−CH=C(CH3)−、−CH=CHCH2CH2−が挙げられる。
2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基が挙げられる。2価の芳香族炭化水素基において、エポキシ基は、オルト位、メタ位、および、パラ位のいずれかに結合することができる。また、2価の芳香族炭化水素基は、アルキレン基を含有することができる。アルキレン基を含有する2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、−(CH2n−C64−(nは1〜8の整数)が挙げられる。このような2価の芳香族炭化水素基において、エポキシ基は、アルキレン基に対して、オルト位、メタ位、および、パラ位のいずれかに結合することができる。また、エポキシ基は、アルキレン基に結合することができる。
有機残基は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
エポキシ基を結合する有機残基としては、例えば、グリシドキシプロピル基が好適な例として挙げられる。
三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂は、エポキシ基以外に、官能基を含有することができる。官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、カルボニル基、水素原子が挙げられる。
官能基は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
官能基は、シリコーン樹脂中に含有されるケイ素原子に直接、または、有機残基を介して結合することができる。有機残基は、エポキシ基が結合することができる有機残基と同様である。
官能基が結合している有機残基としては、例えば、m−アミノフェニル基、p−アミノフェニル基、3−(m−アミノフェノキシ)−プロピル基、3−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、ヒドロキシメチル基が挙げられる。
官能基を結合している有機残基は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂は、その平均粒径が、0.02〜50μmであるのが好ましく、0.05〜10μmであるのがより好ましく、0.07〜5μmであるのがさらに好ましく、0.07〜1μmであるのが最も好ましい。このような範囲の場合、エポキシ/シリコーン混合物中の分散性、接着性に優れる。
三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂において、エポキシ基は、シリコーン樹脂の表面にあるのが好ましい。このような場合、連続相であるエポキシ樹脂との相溶性、硬化剤との反応性に優れる。
また、三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂は、三次元架橋したシリコーン樹脂をコアとするコアシェル構造とすることができる。このような場合、連続相であるエポキシ樹脂との相溶性、硬化剤との反応性の観点から、エポキシ基はシェルの上にあるのが好ましい。
三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂は、その製造について、特に制限されない。また、三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂は、市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、ALBIDUR EP 5340(Hanse Chemie社製)が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂が応力を効果的に緩和することにより接着強度に優れる。
エポキシ樹脂について以下に説明する。
エポキシ樹脂は、特に制限されない。例えば、2官能型エポキシ樹脂、3官能以上のエポキシ樹脂が挙げられる。
2官能型エポキシ樹脂は、エポキシ基を2個有するエポキシ樹脂であれば、特に制限されない。例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型、ポリアルキレングリコール型、アルキレングリコール型のようなグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;ヒダントイン型、アニリン型、トルイジン型のようなグリシジルアミン系エポキシ樹脂が挙げられる。
3官能以上のエポキシ樹脂は、エポキシ基を3個以上有するエポキシ樹脂であれば、特に制限されない。例えば、グリシジルエーテル系エポキシ樹脂、グリシジルアミノ系エポキシ樹脂が挙げられる。
3官能以上のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型、オルソクレソールノボラック型、DPPノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型のようなエポキシ樹脂が挙げられる。
3官能以上のグリシジルアミノ系エポキシ樹脂としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)のようなジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂;テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン(TGDDS)のようなジアミノジフェニルスルホン型エポキシ樹脂;テトラグリシジルメタキシレンジアミン(TGMXDA)、テトラグリシジル1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(TG1,3−BAC)
、トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)、ヒダントイン型、アミノフェノール型のようなエポキシ樹脂が挙げられる。
中でも、エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンが好ましい。
エポキシ樹脂は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。エポキシ樹脂の組み合せは、ビスフェノールA型とテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンとの組み合せが好ましい。
三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、25〜70質量部であるのが好ましい。このような範囲において、本発明のエポキシ樹脂組成物は、接着性、高い凝集破壊率を示す。三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、25〜70質量部であるのがより好ましく、40〜67質量部であるのがさらに好ましい。このような範囲の場合、高い凝集破壊率を示す。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物が、多官能エポキシ樹脂をさらに含有する場合、エポキシ基含有シリコーン樹脂の含有量は、全エポキシ樹脂100質量部に対して、25〜70質量部であるのが好ましい。このような範囲の場合、硬化後の高温下でのエンジニアリングプラスチックとの接着性に優れる。また、エポキシ基含有シリコーン樹脂の含有量は、全エポキシ樹脂100質量部に対して、25〜70質量部であるのがより好ましく、40〜67質量部であるのがさらに好ましい。このような範囲の場合、熱時接着強度および凝集破壊率に優れる。
なお、本発明において、全エポキシ樹脂は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含有されうるすべてのエポキシ樹脂を意味する。本発明のエポキシ樹脂組成物に含有されうるエポキシ樹脂は、具体的には、エポキシ/シリコーン混合物中のエポキシ樹脂、必要に応じて使用される多官能エポキシ樹脂、その他のエポキシ樹脂である。
その他のエポキシ樹脂は、特に制限されず、例えば、従来公知のエポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ/シリコーン混合物は、その製法について、特に制限されない。また、エポキシ/シリコーン混合物として市販品を使用することができる。このような市販品としては、例えば、Hanse Chemie社製EP2240が挙げられる。
次に、マイクロバルーンについて説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いられるマイクロバルーンは、特に制限されない。例えば、無機系マイクロバルーン、有機系マイクロバルーンが挙げられる。
無機系マイクロバルーンとしては、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーンが挙げられる。
有機系マイクロバルーンとしては、例えば、フェノール、尿素、スチレン、サラン;塩化ビニル、塩化ビニリデン;アクリロニトリル;ベンジルアクリレート、ノルボルナンアクリレートのようなアクリレート;メチルメタクリレート、ノルボルナンメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートのようなメタクリレート;スチレン系モノマー;酢酸ビニル;ブタジエン;ビニルピリジン;クロロプレンのホモポリマー、または、これらの2種以上のコポリマーが挙げられる。ポリアクリロニトリルを含有するポリマーが、好ましい態様の1つとして挙げられる。無機系マイクロバルーンおよび有機系マイクロバルーンは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
マイクロバルーンは、中空体であればその形状について特に制限されず、例えば、球状のものが挙げられる。
マイクロバルーンは、無機物で表面処理することができる。無機物としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、チタン、クレー、酸化ケイ素が挙げられる。中でも、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、チタンが好ましい。無機フィラーは、それぞれ単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することができる。
無機物は、表面処理剤で表面処理することができる。表面処理剤としては、例えば、脂肪酸、樹脂酸および脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸のような直鎖飽和脂肪酸;セトレイン酸、ソルビン酸のような不飽和脂肪酸;安息香酸、フェニル酢酸のような芳香族カルボン酸が挙げられる。
樹脂酸としては、例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パルストリン酸、ピマル酸、レボピマル酸、イソピマル酸が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、例えば、炭素数8以上の高級脂肪酸のエステルが挙げられる。炭素数8以上の高級脂肪酸のエステルとしては、例えば、パルチミン酸ラウリル、パルチミン酸ステアリル、ステアリン酸ラウリル、ステアリン酸ステアリル、トリパルミチン、トリステアリンが挙げられる。
表面処理剤の量は、表面処理後の無機物中、1.0〜10質量%であるのが好ましい。
マイクロバルーンは、内部に液体を含有することができる。液体としては、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、石油エーテルのような炭化水素類;塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロルエチレンのような塩素化炭化水素が挙げられる。
マイクロバルーンとしては、例えば、ポリアクリロニトリルを含有する高分子中空体の表面が炭酸カルシウム、タルク、チタンからなる群から選ばれる少なくとも1種でコーティングされているもの;アルミナシリケート、ボロシリケート系ガラス、ケイ素ガラス、アルミノケイ酸ガラス、硼ケイ酸ガラスから得られる無機系マイクロバルーンが挙げられる。
ポリアクリロニトリルを含有する高分子中空体の表面が炭酸カルシウム、タルク、チタンからなる群から選ばれる少なくとも1種でコーティングされているマイクロバルーンとしては、例えば、アクリロニトリル炭酸カルシウム(炭酸カルシウムを被覆したアクリロニトリル中空体)、アクリロニトリルタルク(タルクを被覆したアクリロニトリル中空体)が挙げられる。
また、マイクロバルーンの市販品として、例えば、英国フィライト社製のフィライト、松本油脂製薬社製のMFL100L、スウェーデンエクスパンセル社製のエクスパンセル、マイクロスフェアー80GCA、マイクロスフェアー80GTA、住友スリーエム(株)製のグラスバブルズS35、S22やグラスバブルズのバブルタイプC15/250、B23/500、B28/750,B37/2000、B38/4000、B46/4000,B60/10000、E22/40、住友スリーエム(株)製のフローテッドシリーズグラスバブルズ(バブルタイプA16/500、A20/1000、D32/4500)が挙げられる。
マイクロバルーンの平均粒径は、通常、5.0〜300μmであり、10〜200μmであるのが好ましい。平均粒径がこのような範囲の場合、エポキシ樹脂に適度な脆性を付与し接着強度、凝集破壊率に優れる。
本発明において、マイクロバルーンは、エポキシ/シリコーン混合物および硬化剤の一方または両方に添加することができる。
マイクロバルーンの量は、全エポキシ樹脂100質量部に対して、5〜30質量部であるのが好ましく、15〜20質量部であるのが好ましい。このような範囲の場合、接着性により優れる。
従来、特表2004−504436号公報に記載されている注型用材料が知られている。特表2004−504436号公報に記載されている注型用材料は、硬化性エポキシ樹脂、またはエポキシ樹脂、硬化剤、場合によっては促進剤並びに他の添加物、例えば充填剤、柔軟化剤および着色剤よりなる樹脂の混合物をベースとする体積改質注型用材料において、この注型用材料が(a)エポキシ樹脂および/または硬化剤に対して化学的に反応性にする反応性基を場合によっては有する分散した状態の0.02〜50μmの範囲内の粒度の三次元架橋したポリシロキサン、(b)エポキシ樹脂および/または硬化剤に対して化学的に反応性にする反応性基を有する選択された直鎖状のまたは枝分かれしたシロキサン化合物並びに場合によっては(c)低分子量オリゴマーのシロキサン化合物を含有することを特徴とする、注型用材料である。
しかしながら、本発明者が上記の注型用材料をエンジニアリングプラスチックの接着剤として使用したところ、上記の注型用材料はエンジニアリングプラスチックに対する接着性に劣ることが分かった。本発明者はこの問題についてさらに研究を進め、その結果、三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂の分散相とエポキシ樹脂の連続相とからなるエポキシ/シリコーン混合物と、硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物に、マイクロバルーンを添加することによって、驚くべきことに、エンジニアリングプラスチックとの接着性に優れるエポキシ樹脂組成物を得ることができることを発見し、この発明を完成させたのである。
マイクロバルーンは、本発明のエポキシ樹脂組成物に脆性を付与し、本発明のエポキシ樹脂組成物とエンジニアリングプラスチックとの界面はく離を防ぎ、凝集破壊に導くことによって、本発明のエポキシ樹脂組成物の接着性を優れたものとする。
次に、硬化剤について説明する。
硬化剤は、エポキシ樹脂に対して使用しうる硬化剤であれば、特に限定されない。例えば、アミン系硬化剤、酸または酸無水物系硬化剤、塩基性活性水素化合物、イミダゾール類、ポリメルカプタン系硬化剤、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート系硬化剤が挙げられる。
アミン系硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、1,3,6−トリスアミノメチルヘキサンのようなポリアミン;トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチルアミノプロピルアミンのようなポリメチレンジアミン;メンセンジアミン(MDA)、イソフォロンジアミン(IPDA)、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、N−アミノエチルピペラジン(N−AEP)、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、三井化学(株)製のNBDAに代表されるノルボルナン骨格のジアミンのような環状脂肪族ポリアミン;メタキシリレンジアミン(MXDA)のような芳香環を含む脂肪族ポリアミン;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジフェニルメタンのような芳香族ポリアミン、およびこれらの誘導体が挙げられる。
また、アミン系硬化剤としては、例えば、ポリアミンにアルデヒドおよび/またはフェノールを反応させることにより得られるマンニッヒ変性ジアミン;アミンアダクト(ポリアミンエポキシ樹脂アダクト)、ポリアミン−エチレンオキシドアダクト、ポリアミン−プロピレンオキシドアダクト、シアノエチル化ポリアミン、脂肪族ポリアミンとケトンとの反応物であるケチミン;テトラメチルグアニジン、トリエタノールアミン、ピペリジン、ピリジン、ベンジルジメチルアミン、ピコリン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジメチルアミノフェノール、ジメチルアミノ−p−クレゾール、N,N′−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザジシクロ[2.2.2]オクタン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンのような第二級アミン類または第三級アミン類;ダイマー酸とジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンのようなポリアミンとを反応させてなる液体ポリアミドが挙げられる。
酸または酸無水物系硬化剤としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸のようなポリカルボン酸;無水フタル酸、無水トリメリット酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンドロトリメリテート)、無水ピロメリット酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物のような芳香族酸無水物;無水マレイン酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、アルケニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水メチルハイミック酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物のような環状脂肪族酸無水物;ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物のような脂肪族酸無水物;クロレンド酸無水物、テトラブロム無水フタル酸、無水ヘット酸のようなハロゲン化酸無水物が挙げられる。
塩基性活性水素化合物としては、例えば、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジドが挙げられる。
イミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリン−(1)]−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2−エチル−4−メチルイミダゾリン−(1)]−エチル−S−トリアジンが挙げられる。
ポリメルカプタン系硬化剤としては、例えば、2,2′−ビスメルカプトエチルエーテルの部分エポキシ付加物;ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサチオグリコレート、トリメチロールプロパンドリチオグリコレートのようなチオグリコール酸のエステル;末端にメルカプト基を有するポリスルフィドゴムのようなメルカプト基を含む化合物が挙げられる。
イソシアネート系硬化剤としては、例えば、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートのようなイソシアネート化合物;イソシアネート基を、フェノール、アルコール、カプロラクタムのようなブロック化剤と反応させてマスクしてなるブロックイソシアネート化合物が挙げられる。
硬化剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
硬化剤は、上述の中でも、硬化性、強度、耐熱性の観点から、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤が好ましく、特に室温硬化性の観点から、マンニッヒ変性ジアミンが好ましい。
硬化剤の量は、全エポキシ樹脂のエポキシ当量に対して、0.8〜1.2当量であるのが好ましく、0.95〜1.05当量であるのがより好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記の必須成分のほかに、さらに、多官能エポキシ樹脂を含有するのが好ましい態様の1つである。本発明のエポキシ樹脂組成物が、さらに、多官能エポキシ樹脂を含有する場合、硬化後、120℃のような高温下でのエンジニアリングプラスチックに対し優れた接着性を有することができる。
多官能エポキシ樹脂としては、例えば、上記で列挙した3官能以上のエポキシ樹脂が挙げられる。
中でも、4官能のエポキシ樹脂が好ましい。4官能のエポキシ樹脂としては、例えば、グリシジルエーテル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂が挙げられる。中でも、グリシジルアミン系エポキシ樹脂が好ましい態様の1つである。
4官能のグリシジルジアミン系エポキシ樹脂としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂;テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン(TGDDS)のようなジアミノジフェニルスルホン型エポキシ樹脂;テトラグリシジルメタキシレンジアミン(TGMXDA)、テトラグリシジル1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(TG1,3−BAC)が挙げられる。中でも、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂が好ましい。
4官能のグリシジルジアミン系のジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、例えば、式(I)で表されるテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)が挙げられる。
Figure 2007016094
多官能エポキシ樹脂は、式(I)で表されるテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンであるのが好ましい。
多官能エポキシ樹脂は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
多官能エポキシ樹脂の量は、エポキシ/シリコーン混合物に含有されるエポキシ樹脂100質量部に対し、5〜50質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましく、5〜10質量部がさらに好ましい。このような範囲の場合、硬化後80〜120℃のような高温下におけるエンジニアリングプラスチックに対する接着性により優れる。
なお、本発明のエポキシ樹脂組成物が多官能エポキシ樹脂を含有する場合、全エポキシ樹脂100質量部に対するエポキシ基含有シリコーン樹脂の量は、25〜70質量部であるのが好ましく、40〜67質量部であるのがより好ましい。このような範囲の場合、高い凝集破壊率を示す。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、各種の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、硬化促進剤、充填剤、可塑剤、チクソトロピー性付与剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、溶剤、潜在性硬化剤、紫外線吸収剤、補強剤、界面活性剤(レベリング剤を含む。)、分散剤、脱水剤、防錆剤が挙げられる。これらの成分は、エポキシ樹脂系の組成物に通常用いられるものを通常の含有量で用いることができる。これらはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
硬化促進剤としては、例えば、亜リン酸エステル類、第三級アミン、酸触媒が挙げられる。
亜リン酸エステル類としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマーのようなトリエステル体が挙げられる。また、トリエステル体を部分的に加水分解したジエステル体またはモノエステル体を用いることができる。
第三級アミンとしては、例えば、ベンジルメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、トリスジメチルアミノメチルフェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンが挙げられる。
酸触媒としては、例えば、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、n−ブチルリン酸が挙げられる。
硬化促進剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
充填剤としては、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、けいそう土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグレシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー、カーボンブラック、アクリル系フィラーが挙げられる。充填材は、脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステルのような表面処理剤で表面処理することができる。
マイクロバルーン以外の充填材は、本発明のエポキシ樹脂組成物に脆性を付与するという観点から、もろいものが好ましい態様の1つである。このような充填材としては、例えば、アクリル系フィラー、ポリエチレン系フィラー、ポリプロピレン系フィラーが挙げられる。充填材は、微粒子ポリマーであるのが好適な態様の1つである。
マイクロバルーン以外の充填材の量は、マイクロバルーンおよびマイクロバルーン以外の充填材の合計量中、70〜90質量%であるのが好ましい。このような範囲の場合、本発明のエポキシ樹脂組成物に脆性を付与し、接着性に優れる。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステルが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールが挙げられる。老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物が挙げられる。
顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩のような無機顔料;アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料のような有機顔料が挙げられる。
チクソトロピー性付与剤としては、例えば、エアロジル(日本エアロジル(株)製)、ディスパロン(楠本化成(株)製)、炭酸カルシウム、テフロン(登録商標)が挙げられる。帯電防止剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩、ポリグリコールやエチレンオキサイド誘導体のような親水性化合物が挙げられる。
接着性付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、臭素および/またはリン含有化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテルが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、その製造について、特に限定されない。例えば、第1液として、混合物と、必要に応じて、多官能エポキシ樹脂と、添加剤とを使用し、これらを減圧下で混合ミキサーのようなかくはん装置を用いて充分に混練して均一に分散させたものを調製し、第2液として、硬化剤と、必要に応じて添加剤とを使用し、これらを第1液と同様に混練して調製する方法が挙げられる。マイクロバルーンは、第1液および第2液の一方または両方に添加することができる。
このような2液型のエポキシ樹脂組成物を別々の容器に保存し、使用時に第1液と第2液とを均一に混合して使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の用途としては、例えば、接着剤、シーリング材、プライマー、塗料、プリプレグ用マトリックス、封止剤が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を使用しうるエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂のような汎用エンジニアリングプラスチック;ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、液晶性ポリエステル樹脂のようなスーパーエンジニアリングプラスチックが挙げられる。中でも、ポリフェニレンスルフィド樹脂が好ましい態様の1つとして挙げられる。エンジニアリングプラスチックは、プライマー処理を施すことができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、ポリフェニレンスルフィド樹脂のようなエンジニアリングプラスチックとの接着性に優れた効果を発揮する。
本発明のエポキシ樹脂組成物に含有されるエポキシ基含有シリコーン樹脂は、三次元架橋しているため応力を効果的に緩和することができる。これにより、本発明のエポキシ樹脂組成物は接着強度に優れる。
また、マイクロバルーンは、本発明のエポキシ樹脂組成物に脆性を付与し、本発明のエポキシ樹脂組成物とエンジニアリングプラスチックとの界面はく離を防いで凝集破壊に導き本発明のエポキシ樹脂組成物の接着性を優れたものとすることができる。
このように、本発明のエポキシ樹脂組成物は、三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂の応力緩和性、および、マイクロバルーンの脆性により、エンジニアリングプラスチックに対し、優れた接着強度を有し、かつ、界面はく離しにくいと推測される。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに、多官能エポキシ樹脂を含有することにより、接着後のエンジニアリングプラスチックに対する高温下での接着性に優れる。これは、多官能エポキシ樹脂が網目状に架橋することによって、エポキシ樹脂組成物の耐熱性が上がるためと推測される。
なお、本発明のエポキシ樹脂組成物に関する接着のメカニズムは、あくまでも本発明者の推定であり、仮に、メカニズムが別であっても本発明の範囲内である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例により限定されない。
第1表に示す各成分を第1表に示す配合比(単位は質量部)でコンディショニングミキサーを用いて均一に混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。
調製された各エポキシ樹脂組成物を用いて、せん断試験を行った。
せん断試験において、被着体として、縦7cm、横1cm(重ね合わせ部分)、厚さ3mmのダンベル形状のポリフェニレンスルフィド樹脂を2枚用いた。
得られたエポキシ樹脂組成物を、1枚の被着体に塗布し、ここに重ね合わせ部分が10mm×5mmとなるようにもう1枚の被着体を張り合わせて、23℃で24時間養生することにより試験体を得た。試験体は、各実施例および比較例について、3個ずつ作製した。
得られた各実施例および比較例の試験体(3個)を、引張速度50mm/分で引っ張り、23℃または120℃下での破壊時のせん断強度(MPa)を測定した。また、このときの破壊の状態を確認し、凝集破壊率(凝集破壊率(%)=凝集破壊した面積/接着面面積×100)を求めた。せん断強度および凝集破壊率の結果を第1表に示す。
Figure 2007016094
第1表中の各成分の詳細は以下のとおりである。
・エポキシ/シリコーン混合物:EP2240、Hanse Chemie社製
・ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂:MY721、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製
・汎用エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ EP4100E、旭電化工業社製
・硬化剤:ダイトクラール X−9442A、大都産業社製
・硬化触媒:セイクオールTDMP DMP−30、精工化学社製
・アクリルフィラー:ゼオンF320、日本ゼオン社製
・マイクロバルーン:MFL100L、松本油脂製薬社製
なお、第1表中の全エポキシ樹脂100質量部に対するシリコーン樹脂の量について、全エポキシ樹脂100質量部は、エポキシ/シリコーン混合物中に含有されるエポキシ樹脂およびジアミノジフェニル型エポキシ樹脂または汎用エポキシ樹脂との合計である。
第1表から明らかなように、実施例1〜6の試験体は、比較例1〜3に比べて、室温下で測定されたせん断強度および凝集破壊率が高い。これに対して、比較例1〜3の試験体は、凝集破壊率が0%であり、界面はく離することが分かる。このことから、本発明のエポキシ樹脂組成物は、室温で硬化し、エンジニアリングプラスチックに対する室温での接着性に優れることが分かる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂の応力緩和性、および、マイクロバルーンの脆性により、エンジニアリングプラスチックに対して高い接着性(つまり、接着強度が高く、かつ、界面はく離しにくい)を有すると推測される。
また、さらに多官能エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物を使用する実施例2〜5の試験体は、比較例1〜3に比べて、120℃におけるせん断強度および凝集破壊率が高い。これに対して、多官能エポキシを含有しないエポキシ樹脂組成物を使用する比較例1〜3の試験体は、凝集破壊率が0%であり、界面はく離することが分かる。このことから、本発明のエポキシ樹脂組成物がさらに多官能エポキシ樹脂を含有する場合、接着後のエンジニアリングプラスチックに対する室温および室温より高い温度下での接着性に優れることが分かる。
これは、多官能エポキシ樹脂が網目状に架橋することによって、エポキシ樹脂組成物の耐熱性が上がり、室温より高い温度下での接着性に優れるものと推測される。
以上から、本発明のエポキシ樹脂組成物は、室温で硬化し、かつ、エンジニアリングプラスチックとの接着性に優れる。

Claims (4)

  1. 三次元架橋したエポキシ基含有シリコーン樹脂の分散相とエポキシ樹脂の連続相とからなるエポキシ/シリコーン混合物と、マイクロバルーンと、硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物。
  2. さらに、多官能エポキシ樹脂を含有する請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記多官能エポキシ樹脂が、下記式(I)で表されるエポキシ樹脂である請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2007016094
  4. 前記エポキシ基含有シリコーン樹脂の含有量が、全エポキシ樹脂100質量部に対して、25〜70質量部である請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
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