JP2007015098A - 打込み工具におけるコンタクト機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】作業の種類や作業場所に応じて作動方式を自由に切り替えることができる。
【解決手段】ノーズ部4に対して相対的に上方に移動させることによりトリガの操作を有効にするコンタクト機構において、下部コンタクト部材11を、上記ノーズ部4の近傍に上下に設けられた2つのバネ23、24の間に保持し、上部バネ23によって下部コンタクト部材11の下端を上記ノーズ部の下端よりも下方に突出するように付勢するとともに、上部バネ23に抗して上記下部コンタクト部材11を上方位置に保持する第1の位置と、下部バネ24に抗して上記コンタクト部材を下方位置に保持する第2の位置と、コンタクト部材の移動を規制しない第3の位置とに切替え可能な切り替え手段28を設けた。
【選択図】図2

Description

本発明は、釘打機やネジ打ち機などの打込み工具において、押し付けのストロークが不要な方式(以下、ストローク不要方式という)とコンタクト方式とに切替え可能な打込み工具におけるコンタクト機構に関する。
一般に、打込み工具は釘やネジなどのファスナーを木材やコンクリートに打込むものであるが、ファスナーの射出路を有するノーズ部に沿って摺動可能に設けられてコンタクト部材(一般にコンタクトアームとかコンタクトノーズのように称される)を被打込み材に押し付けることによって初めて打込み工具が起動するコンタクト方式のものと、押し付けなくても打込み工具を起動させることができるストローク不要方式のものとが存在する。
コンタクト方式の打込み工具は、釘の射出路を有するノーズ部に沿って相対的に移動可能なコンタクト部材を被打込み材に押し付けたときにのみ上記打込み工具を起動するトリガバルブの起動操作を有効にするものである。コンタクト部材は常時はノーズ部の先端よりも打ち込み方向に突出するようにバネ付勢されており、ファスナーを打込むときにノーズ部の先端が被打込み材の打込み部に当るまでコンタクト部材の先端を被打込み材に押し付けることにより相対的に押し付け方向と反対側に移動し、この移動によってノーズ部の先端が被打込み材に当てられたことを検出してトリガの操作を有効にすることができる。この場合のみ打込み工具は起動する。
これに対し、ストローク不要方式は、コンタクト部材を上死点側に保持してノーズ部の先端よりも突出しないようにしたもので、ノーズ部の先端を被打込み材に当ててトリガを引き操作すれば打込み工具は起動する。そして、被打込み材に当てずにトリガを引いたときは、コンタクト部材が突出するだけで、トリガの操作は無効になる。したがって、作業効率がよい。
特開2002−283253公報
しかしながら、コンタクト方式は、コンタクト部材はノーズ部の先端よりも打込み方向に突出するようにバネ付勢されているため、被打込み材に押し付けるときはバネ荷重以上の力によって強く押し付けることになる。バネ荷重が高いことは、作業者に対して誤作動でないことを認知させる上で有効であり、作業者にとってもこのように押し付けて打つという操作は無意識に身についたものになっている。
ところが、コンタクト部材はノーズ部の先端よりも打込み方向に突出するようにバネ付勢されているため、被打込み材に押し付けるときはバネ荷重以上の力によって強く押し付けることになる。したがって、例えば幅木の溝にピンネイルを打込む場合、ノーズ部の先端は上記溝に係合するように細くなっているので、押し付けたときの衝撃によって被打込み材の表面に傷や圧痕などが付くことがある。このため、打ち込み前の安全作業として、バネ力よりもわずかに大きい程度の力でコンタクト部材を押し付けなければならず、作業者はその押し付けの加減に細かな注意力を要求され、作業が煩わしいものになっていた。
これに対し、ストローク不要方式の場合、コンタクト部材を押し付けるという動作は不要なので作業効率はよい。しかし、コンタクト部材が上死点に保持されているので、初めにコンタクト部材の先端を被打込み材に当てるときにバネによるクッション性は全くないから、上述の幅木などの化粧材のように柔らかい被打込み材に打ち込むときは傷や凹みが付くのは避けられない。
また、ストローク不要方式は、トリガに配置されたコンタクトレバーの一端の枢支部と他端との間の中間部の上部に起動用トリガバルブのトリガバルブステムの下端が係合する構造であるから、トリガの動きが小さくても、コンタクト部材自体のストロークを大きく取れるという特徴がある。ところが、この点はこの方式にとって逆にマイナスの点でもある。すなわち、コンタクト部材は上下に長い一体構成であるから、釘打ち込みにあたりトリガを引き操作すると、トリガの動きはダイレクトにコンタクト部材に伝達されるが、コンタクト部材はその先端が被打込み材に当っていて動かない。このため、トリガをわずかに引いただけでトリガバルブステムが押し込まれて釘打機が起動してしまうことがある。この場合、釘打機のノーズ部を十分に強く被打込み材に押し付けないうちに釘打機が起動することになるので、その反力で釘打機が持ち上がり、釘が十分に打込まれないだけでなく、釘打機がグリップを中心に回動するようにモーメントが働くので、打込み不良が生じたり座屈が生じたりして打込みが不安定になるおそれがある。
本発明は上記問題点を解消し、作業の種類や作業場所に応じて作動方式を自由に切り替えることができる、打込み工具における打込み工具のコンタクト機構を提供することを第1の課題とする。
また、本発明は、ストローク不要方式を採用したときに、トリガの引き操作にゆとりをもたせて打込みを安定させ、操作性や作業性を改善することができる打込み工具のコンタクト機構を提供することをその第2の課題とする。
上記第1の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、工具本体の下部に設けられてファスナーを打ち込むノーズ部の射出路に沿って上下方向に移動可能に設けられたコンタクト部材を備え、コンタクト部材の下端を上記ノーズ部の先端よりも突出させておき、打ち込み時にノーズ部に対して相対的に上方に移動させることにより起動用トリガバルブを作動させるトリガの操作を有効にする打込み工具のコンタクト機構において、上記コンタクト部材を、上記ノーズ部の近傍に上下に設けられた2つのバネの間に保持するとともに、上記上部バネに抗して上記コンタクト部材の下端を上記ノーズ部の先端と略同じ上方位置に保持する第1の位置と、上記下部バネに抗して上記コンタクト部材の下端を上記ノーズ部の先端よりも下方に突出する下方位置に保持する第2の位置と、上記コンタクト部材の移動を規制しない第3の位置とに切替え可能な切り替え手段を設けたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、上記上部バネと下部バネを上記コンタクト部材と一体的に上下動する共通の軸体上に配設するとともに、上記切り替え手段を、上記軸体の外側に配置したカバーに上記第1の位置と第2の位置と第3の位置とに対応するように形成された切り替え溝と、上記軸体とともに上下動しかつ上記切り替え溝に係合可能に設けられた切り替えレバーとから構成したことを特徴とする。
次に、上記第2の課題を解決するため、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2において、上記コンタクト部材を上部コンタクト部材と下部コンタクト部材に分割し、これらの上下部コンタクト部材をそれぞれ上方に付勢し、上記トリガに一端が枢支されたコンタクトレバーの他端を上記上部コンタクト部材の上端に係合し、中央部を上記トリガバルブのバルブステムに係合させるとともに、上記コンタクト部材の下端が上記ノーズ部の先端と略同じ位置にあるときに、上記上部コンタクト部材の下端と下部コンタクト部材の上端との間にはクリアランスを形成し、上記トリガを引き上げ時に、上記コンタクトレバーは上記バルブステムの先端に係合した部分を中心にして回動して上記上部コンタクト部材を上記クリアランス分だけ下方に移動して下部コンタクト部材の上端に係合させるとともに、上記コンタクト部材が下方に移動可能なときは、上記コンタクトレバーは上記バルブステムの先端に係合した部分を支点に回動し、上記下部コンタクト部材が下方に移動不可能なときは、上記コンタクトレバーは上記上部コンタクト部材の先端に係合した部分を支点に回動して上記バルブステムを上方に押し込むようにしたことを特徴とする。
同様に、上記第2の課題を解決するため、請求項4に係る発明は、工具本体の下部に設けられてファスナーを打ち込むノーズ部の射出口に沿って上下方向に移動可能に設けられたコンタクト部材と、釘打機起動を起動させる起動バルブの下方に突出されたバルブステムと、工具本体のバルブステムの下方に回動可能に設けられたトリガと、一端がトリガに枢支され、他端が上記コンタクト部材の上端に係合するとともに、中央部が上記バルブステムに係合するように設けられたコンタクトレバーとを備えた打込み工具のコンタクト機構において、上記コンタクト部材を上部コンタクト部材と下部コンタクト部材に分割し、これらの上下部コンタクト部材をそれぞれ上方に付勢し、下部コンタクト部材の下端を上記ノーズ部の先端と略同じ位置に配置し、上記上部コンタクト部材の下端と下部コンタクト部材の上端との間にはクリアランスを形成し、上記トリガを引き上げ時に、上記コンタクトレバーは上記バルブステムの先端に係合した部分を中心にして回動して上記上部コンタクト部材を上記クリアランス分だけ下方に移動して下部コンタクト部材の上端に係合させるとともに、上記下部コンタクト部材が下方に移動可能なときは、上記コンタクトレバーは上記バルブステムの先端に係合した部分を支点に回動し、上記下部コンタクト部材が下方に移動不可能なときは、上記コンタクトレバーは上記上部コンタクト部材の先端に係合した部分を支点に回動して上記バルブステムを上方に押し込むようにしたことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、第1の位置では、コンタクト部材は上方位置に保持されるので、打ち込みにあたっては、コンタクト部材の先端を被打込み材に接触させてトリガを引けばよい。このように、コンタクト部材の押し付け操作が不要なストローク不要方式で操作できる。したがって、被打込み材の表面に沿ってノーズ部の先端を当てたまま引きずりながら打ち込むズリ打ちをしたいときや、高所で押し付けにくい体勢のときなどの場合は、押し付けにバネ荷重が不要なので、作業効率がよい。
第2の位置では、コンタクト部材は下方位置に保持されるので、打ち込みにあたっては、コンタクト部材を被打込み材に押し付けた後にトリガを引き操作したきにのみ、実際の打ち込みが可能となる。トリガバルブのバルブステムにより上記コンタクト部材をさらに下部バネに抗して下方に移動させるから、トリガを引いても起動しない。したがって、コンタクト方式で作業でき、安全性が確保される。
また、フロア材にさね打ちをする場合などのように、必要以上に上から荷重がかかる体勢で釘打ち込み作業をするときは、コンタクト方式によれば、クッション性を高め、押し付け荷重を上げることで釘打機に必要以上に荷重を与えることになるので、反動によって狙い箇所からずれが生じるのを有効に防止して正確な狙い打ちが可能となる。
第3の位置では、コンタクト部材は上下の2つのバネの間に保持されているので、それ自体がクッション性があり、実際に打ち込む場合のコンタクト部材のストロークは短くてよいから押し付けるときの力のコントロールも容易である。したがって、柔らかい素材の被打込み材にファスナーを打ち込むときも、傷や凹みなどがつきにくく、しかも操作性もよい。
このように、コンタクト部材による作動方式を自由に切り替え選択することができるので、作業の種類や場所に応じて、仕上げ、作業の迅速、確実な打ち込みなど、その時、その場所での作業の重要性にしたがって最適な打ち込みが可能となるので、利便性が高い。
請求項2に係る発明によれば、切り替えレバーによって上記軸体を上下に移動させながら係合溝に係合させることによってコンタクト部材を第1の位置、第2の位置又は第3の位置に容易確実に切替えることができる。
請求項3又は請求項4に係る発明は、コンタクト部材を上下に分割し、それぞれを上方にバネ付勢し、トリガに一端が枢支されたコンタクトレバーの他端を上記上部コンタクト部材の上端に係合し、中央部を上記トリガバルブのバルブステムに係合させるとともに、上記コンタクト部材の下端が上記ノーズ部の先端と略同じ位置にあるときに、上記上部コンタクト部材の下端と下部コンタクト部材の上端との間にはクリアランスを形成し、上記トリガを引き上げ時に、上記コンタクトレバーは上記バルブステムの先端に係合した部分を支点にして回動して上記上部コンタクト部材を上記クリアランス分だけ下方に移動して下部コンタクト部材の上端に係合させるとともに、上記下部コンタクト部材の先端が被打込み材に係合して下方に移動不可能なときは、上記コンタクトレバーは上記上部コンタクト部材の先端に係合した部分を中心に回動して上記バルブステムを上方に押し込むようにした構成である。この構成によれば、上部コンタクト部材のバネ荷重を下部コンタクト部材のバネ荷重に比べて小さくすることができるから、トリガを引き操作したときの上部コンタクト部材の押し込み荷重は軽く、さらに下部コンタクト部材と一体となったときの押し込み荷重は高くなる。このため、トリガを引いていくときに、最初は軽く、次いで重くなり、重くなったときに釘が打ち出されるので、感覚的に釘の打込みタイミングがよくわかる。このように、上部コンタクト部材と下部コンタクト部材との間にクリアランスを設けることによりトリガの引き操作にゆとりが生じるので、打込みが安定し、操作性や作業性を改善することができる。
さらにいえば、上部コンタクト部材のバネは低荷重のものでもよいので、コンパクトなバネを使用することができるため、バネの配置が容易となる。
図1および図2において符号1は釘打機(打込み工具)を示す。この釘打機1は、打撃機構を備えた工具本体2と、工具本体2から後方に配置されたグリップ3と工具本体2の下端に設けられたノーズ部4と、ノーズ部4に連結釘(ピンネイル)を供給する長方形状のマガジン5とを備え、マガジン5からノーズ部4の射出路に供給された先頭の釘を上記打撃機構を構成する打撃ピストン6と一体に結合したドライバ7によって打ち出すものである。なお、射出路はノーズ部4の前壁を構成するドライバガイド8と後壁を構成するウエアプレート9との間に形成されている。
釘を打ち出すにあたっては、トリガ10を引いて起動用トリガバルブ12を作動させることにより、エアコンプレッサから供給された圧縮空気を打撃機構に送ってそのエア圧によって上記先頭釘を打ち出すのであるが、上記トリガ10の引き操作は、コンタクト機構として次に示すコンタクトアーム機構Aを介してトリガバルブ12を作動させることができるように構成されている。
なお、トリガバルブ12は、従来公知のものと同じで、エアコンプレッサから圧縮空気が供給されたときは、バルブステム13を下方に押し出し、このバルブステム13をトリガ10によって上方に押し込むことによって起動するように作動するものである。
コンタクトアーム機構Aは、図4に示されるように、ノーズ部4の軸心と平行に移動する軸体14と一体的に設けられた下部コンタクト部材11と、その上部の上部コンタクト部材15等とから構成されている。また、軸体14は、図3のように上部軸体14aと下部軸体14bとを一体的に螺合したもので、下部軸体14bは上部軸体14aに対して回転しないように設けられている。また、上部軸体14aの上部にはアジャストダイヤル16が螺合し、アジャストダイヤル16を回転することによって連結アーム17の上下位置を調整できるようになっている。
下部コンタクト部材11は図4に示されるように、上記軸体14と軸体14の下部から前方に設けられた連結アーム17を介して下向きに配置されたコンタクト部18と、上記軸体14の下部から直角に屈曲した作動アーム19とから構成されている。なお、ウエアプレート9の先端は薄肉に形成され、コンタクト部18はその後面に沿って上下動可能に配置されている。
そして、マガジン5には、図3に示されるように、軸体14の上下部に対応する位置にバネ受け21、22が形成され、上下各バネ受け21、22と上記作動アーム19との間に各々上部バネ23と下部バネ24とが配設されている。これにより、下部コンタクト部材11は上部バネ23と下部バネ24との間に保持され、上部バネ23に抗して上方に移動し、下部バネ24に抗して下方に移動することができるようになっている。下部コンタクト部材11の上記停止位置から下部の移動端までのストロークは従来のストロークの半分程度に設定されている。
図4に示されるように、上部コンタクト部材15は上下動可能に配置され、バネ25により上方に位置するように付勢されている。上部コンタクト部材15は通常は作動アーム19の上部に係合している。
上部コンタクト部材15の上部にはトリガ10が配置されている。トリガ10の内部にはコンタクトレバー26が支軸27を中心に回動可能に配置されている。コンタクトレバー26の先端26aは上記上部コンタクト部材15の上端15aに係合可能に設けられている。
コンタクトレバー26の中間は起動用のトリガバルブ12のバルブステム13の下方に位置している。そして、上部コンタクト部材15が上動した状態でコンタクトレバー26の先端側を押し上げることによりトリガ10を引き上げ操作したときに、下部コンタクト部材11が上記バルブステム13を押し込んでトリガバルブ12を作動させるように構成されている。
次に、上記コンタクトアーム機構Aには、上記上部バネ23に抗して上記下部コンタクト部材11を上方位置に保持する第1の位置と、上記下部バネ24に抗して上記下部コンタクト部材11を下方位置に保持する第2の位置と、上記下部コンタクト部材11を中間位置に保持する第3の位置とに切替え可能な切り替え手段28が設けられている。
切り替え手段28は、図2に示されるように、上記軸体14の外側に配置したカバー29に上記第1の位置と第2の位置と第3の位置とに対応するように形成された切り替え溝30と、上記軸体14とともに上下動しかつ上記切り替え溝30に係合可能に設けられた切り替えレバー31とから構成されている。
すなわち、カバー29は上記下部コンタクト部材11と一体的に上下動する軸体14の外側に配置されているが、このカバー29には、上記位置と第2の位置と第3の位置とに対応する位置にそれぞれ切り替え溝30が連続形成されている。この切り替え溝30は上段溝30aと縦溝30bと下段溝30cとからZ字形に形成されている。上段溝30aは、上記上部バネ23に抗して上記下部コンタクト部材11を上方位置に保持する位置に対応し、下段溝30cは上記下部バネ24に抗して上記下部コンタクト部材11を下方位置に保持する第2の位置に対応し、また縦溝30bは上記下部コンタクト部材11を中間位置に保持する第3の位置に対応するように開口形成されている。
また、切り替えレバー31は上記軸体14の上部軸体14aのバネ受け21、22の間に上下動かつ回転可能に配置されている。上部軸体14aは回転可能であるとともに、下部コンタクト部材11と一体的に上下動する。切り替えレバー31は上記切り替え溝30を貫通して外部から操作でき、連続的に動かして上段溝30aと縦溝30bと下段溝30cのいずれかに選択的に係合させることができるようになっている。
上記構成において、切り替えレバー31を手で上下に移動させながら切り替え溝30に係合させることによって下部コンタクト部材11を第1の位置、第2の位置又は第3の位置のいずれかの選択位置に容易確実に切替えることができる。
まず、切り替えレバー31を上段溝30aに係合させて第1の位置に保持することにより、図4に示されるように、バネ受け21が上方に移動するので、上部バネ23は撓んだ状態でロックされ、下部コンタクト部材11は下部バネ24により、コンタクト部18の下端はノーズ部4の先端と略同じ上方位置に保持される。
この状態で釘を打ち込むときは、図5に示されるように、まず下部コンタクト部材11のコンタクト部18を被打込み材aに当てる。そして、トリガ10を引き操作すると、コンタクトレバー26はトリガバルブ12のバルブステム13との係合部を支点にして回動し、その先端26aは上部コンタクト部材15をバネ25に抗して押し下げようとする。ところが、上部コンタクト部材15の下端15bは上記作動アーム19に係合し、それ以上下がることはできない。このため、コンタクトレバー26は上部コンタクト部材15の上端との係合を支点にして回動するから、その中間部は上記バルブステム13を上方に押し込み、トリガバルブ12が作動して釘打機1が起動し、釘が打ち込まれる。
なお、コンタクト部18を被打込み材aに当てないでトリガ10を引き上げ操作すると、図6に示されるように、トリガバルブ12のバルブステム13は圧縮空気により下方に押し出されているから、コンタクトレバー26はバルブステム13との係合部を支点として回動し、その先端26aは上部コンタクト部材15をバネ25に抗して押し下げる。上部コンタクト部材15の下端は作動アーム19に係合しているから、作動アーム19とともに軸体14とコンタクト部18も下部バネ24に抗してさらに下方に突出する。したがって、このとき釘打機1は起動しない。
このように、切り替えレバー31を上段溝30aに係合させて位置に保持した状態で打ち込みするときは、下部コンタクト部材11の先端を被打込み材aに接触させてトリガを引けばよいから、下部コンタクト部材11の押し付け操作が不要なストローク不要方式で操作できる。
したがって、被打込み材aの表面に沿ってノーズ部の先端を当てたまま引きずりながら打ち込むズリ打ちをしたいときや、高所で押し付けにくい体勢のときには、押し付けに必要なバネ荷重は作業性を妨げるため、上記ストローク不要方式で作業をするのがよい。
次に、切り替えレバー31を下段溝30cに係合させて第2の位置に保持することにより、図7に示されるように、バネ受け22が下方に移動するので、下部バネ24は撓んだ状態でロックされ、下部コンタクト部材11は上部バネ23により、コンタクト部18の下端を上記ノーズ部4の先端よりも下方に突出する位置に保持する。このとき、作動アーム19と上部コンタクト部材15とは離間する。
この状態で打ち込みするときは、図8に示されるように、下部コンタクト部材11の先端を被打込み材aに押し付ける。これにより、作動アーム19は上部コンタクト部材15の下端に係合する。その後にトリガを引き操作すると、コンタクトレバー26はトリガバルブ12のバルブステム13との係合部を支点にして回動して上部コンタクト部材15をバネ25に抗して押し下げようとする。ところが、上部コンタクト部材15の下端15cは上記作動アーム19に係合し、それ以上下がることはできない。このため、コンタクトレバー26は上部コンタクト部材15の上端との係合を支点にして回動するから、その中間部は上記バルブステム13を上方に押し込み、トリガバルブ12が作動して釘打機が起動し、釘が打ち込まれる。
なお、コンタクト部18を被打込み材aに当てないでトリガ10を引き上げ操作すると、図7に示されるように、トリガバルブ12のバルブステム13は圧縮空気により下方に押し出されているから、コンタクトレバー26はバルブステム13との係合部を支点として回動し、その先端26aは上部コンタクト部材15の上端15aに当り、バネ25に抗して押し下げるが、上部コンタクト部材15の下端15bは作動アーム19に係合するだけであり、上部コンタクト部材15は空振り状態となる。したがって、バルブステム13を押し込むことはできないから、釘打機1は起動しない。
上述のように、下部コンタクト部材11の先端を被打込み材aに押し付けることで初めて実際の打ち込みが可能となる。しかも、下部バネ24は撓んだ状態で固定され、その分上部バネ23の作動範囲が大きくなるから、下部コンタクト部材11のストロークは大きくなる。したがって、この場合は完全なコンタクト方式で操作することができるので、安全性が確保できる。
また、たとえばフロア材にさね打ちをするときは、腰を曲げた体勢で先端を被打込み材aに当てるが、このような体勢では必要以上に上から荷重がかかるため、ストローク不要方式や後述の低荷重コンタクト方式では、被打込み材aに圧痕が付いたり打ち込み時の反動で狙ったところから外れて被打込み材aの表面を傷つけたりするおそれがある。しかし、この場合のコンタクト方式の釘打ち込みによれば、クッション性を高め、押し付け荷重を上げることで釘打機に必要以上に荷重を与えることになるので、反動によって狙い箇所からずれが生じるのを有効に防止して正確な狙い打ちが可能となる。
さらに、切り替えレバー31を縦溝30bに係合させて第3の位置に保持することにより、下部コンタクト部材11は上下方向に移動可能となる。この状態では、図3に示されるように、下部コンタクト部材11には上部バネ23と下部バネ24の両方のバネ作用が及ぶので、下部コンタクト部材11の先端コンタクト部18がノーズ部4から突出する出量は、図2に示すように、第2の位置に保持した場合(図7の場合)よりも小さい。また、下部コンタクト部材11の押し付け荷重も第2の位置に保持した場合よりも小さい。
釘を打ち込むときは、切り替えレバー31を第2の位置に保持した場合を示す図5の例と同様に、まず下部コンタクト部材11のコンタクト部18を被打込み材aに押し付けた後にトリガ10を引き操作すればよい。なお、下部コンタクト部材11の押し付けの移動量と押し付け荷重は、第2の位置に保持した場合よりも小さい。
なお、コンタクト部18を被打込み材aに当てないでトリガ10を引き上げ操作した場合は釘打機が起動しないのも、第2の位置に保持した場合と同様である。
上述のように、第3の位置における作動方式では、ノーズ部先端からの下部コンタクト部材11の突出度合いは位置における場合よりも小さいから、ストローク不要方式とコンタクト方式とを合わせたショートストローク方式ということができる。
そして、下部コンタクト部材11は上下の2つのバネ23、24の間に保持されているので、それ自体がクッション性があり、実際に打ち込む場合の下部コンタクト部材11のストロークは短く、強い力で押し付ける必要がないから、コントロールも容易である。したがって、柔らかい素材の被打込み材aに釘を打ち込むときも、傷や凹みなどがつきにくく、しかも操作性もよい。
上述のように、切り替えレバー31の操作により、ストローク不要方式とコンタクト方式とショートストローク方式の3つの作動方式の中から自由に選択することができるので、作業の種類や場所に応じて、仕上げ、作業の迅速、確実な打ち込みなど、その時、その場所での作業の重要性にしたがって最適な打ち込みが可能となるので、利便性が高い。
次に、ストローク不要方式を選択した場合、上部コンタクト部材15と下部コンタクト部材11とは一体に動く例に限定されない。例えば図9のように、上部コンタクト部材15の下端と下部コンタクト部材11の上端との間にはクリアランスdを形成してもよい。これにより、トリガ10を引き上げ回動時に、コンタクトレバー26はバルブステム13の先端に係合した部分を中心にして回動して上部コンタクト部材15を上記クリアランスd分だけ下方に移動して下部コンタクト部材11の上端に係合させるようにする。
なお、上部コンタクト部材15は下部コンタクト部材11に比べて衝撃が小さいので、軽量な部材で足りるため、上部コンタクト部材15を上方に付勢するバネ25のバネ荷重は、下部コンタクト部材11を上方に付勢するバネ24よりも低く設定されている。
そして、上記下部コンタクト部材11が下方に移動可能なときは、図10に示したように、コンタクトレバー26はバルブステム13との係合部を支点として回動し、その先端26aは上部コンタクト部材15をバネ25に抗して押し下げる。上部コンタクト部材15の下端は作動アーム19に係合しているから、作動アーム19とともに軸体14とコンタクト部18も下部バネ24に抗してさらに下方に突出する。したがって、このとき釘打機1は起動しない。
これに対し、下部コンタクト部材11の先端が被打込み材aに係合して下方に移動不可能なときは、図11に示されるように、トリガ10を引き操作すると、コンタクトレバー26は上部コンタクト部材15の上端との係合を支点にして回動するから、その中間部はバルブステム13を上方に押し込み、トリガバルブ12が作動して釘打機1が起動し、釘が打ち込まれる。
このように、上部コンタクト部材15のバネ荷重を下部コンタクト部材11のバネ荷重に比べて小さくすることができるから、トリガ10を引き操作したときの上部コンタクト部材15の押し込み荷重は軽く、さらに下部コンタクト部材11と一体となって移動するときの押し込み荷重は高くなる。このため、釘の打込み時に、トリガ10を引いていくときに、最初は軽く、次いで重くなり、重くなったときにバルブステム13が押し込まれて起動し、釘が打ち出されるので、感覚的に釘の打込みタイミングがよくわかる。つまり、上部コンタクト部材15と下部コンタクト部材11との間にクリアランスdを設けることにより、トリガ10の引き操作にクリアランスd分のゆとりが生じ、従来のようにトリガを少し引いただけで起動するということがない。しかも、トリガ10の引き荷重も最初に低荷重、次に高荷重となるので操作性がよく、打込みが安定する。このため作業性も改善することができる。
ところで、上部コンタクト部材と下部コンタクト部材11との間のクリアランスdは1〜2mmが好ましい。2mm以上だとトリガ10の引き量が大きくなりすぎ、操作感がよくなく、短時間で疲労しやすく、作業能率が悪くなるとともに、釘打機本体が大きくなってしまうからである。1ミリ以下では、従来と同じく、トリガ10の引き量がわずかでも釘打機が起動してしまうからである。
また、上部コンタクト部材15のバネ25は低荷重のものでもよいので、コンパクトなバネを使用することができるため、バネの配置が容易となる。
さらに、従来の一体構成のコンタクトアームは途中が屈曲した一体構成部材であるから、一点を押したときには各部の摺動抵抗が異なることによりモーメントが作用し、円滑に摺動しにくい。このため、全体を均一に同じ方向に円滑に移動させるため、複雑な摺動対策が必要となる。これに対し、上記コンタクト部材は上下に分割されているから、摺動抵抗が小さい。したがって、摺動対策が容易である。
また、図示しないが、上記作動アーム19は水平方向に回動可能として、その先端にマガジンの釘供給路内に突出する突出部を設け、マガジン内に釘があるときは上部コンタクト部材15に係合可能な位置にあり、マガジン内に釘がなくなったときには突出部が釘供給路内に飛び込むと同時に作動アーム19が回動して上部コンタクト部材15と係合しない位置に移動して、トリガ10の操作を無効にする空打ち防止機構を採用する場合には、クリアランスdにより作動アーム19の回動は上部コンタクト部材15との干渉を受けることがないから、確実に作動することができる。
なお、下部コンタクト部材11の先端のコンタクト部18は、ノーズ部の一部を構成するものでも、あるいはノーズ部とは別体であってもよい。
また、下部コンタクト部材11はノーズ部4の軸心と平行に、つまり射出路に沿って移動できるものであればよい。したがって、下部軸体14bと連結アーム17と作動アーム19とは上下方向に連動する構成であればよく、その形状や連結態様に限定されない。
さらに、切り替え手段は必ずしもZ字形切り替え溝と切り替えレバーとから構成されている必要はない。例えば切り替え溝をI字形としてもよい。切り替えレバーはボタン状に形成してもよい。
さらに、図9〜図11のストローク不要方式はコンタクト方式と切り換えるのではなく、単独のストローク不要方式として構成してもよい。
また、本発明は釘の打ち込みに限定されない。打ち込みネジやステープルなどのファスナーの打ち込み工具にも適用することができる。また、空気圧工具だけでなく、電力によって駆動される打ち込み工具にも適用することができる。
本発明に係る釘打機の一例を一部断面で示した斜視図である。 上記釘打機の側面図である。 軸体を図2のX−X線に沿う断面で示した説明図である。 第1の位置に保持した場合の要部の説明図である。 第1の位置における釘の打ち込み態様を示す説明図である。 第1の位置で押し付けずにトリガを引いた場合の作動状態を示す説明図である。 第2の位置に保持した場合の要部の説明図である。 第2の位置における釘の打ち込み態様を示す説明図である。 第1の位置において上下部のコンタクト部材の間にクリアランスを設けた状態の要部の説明図である。 被打込み材がないときにトリガを引いた場合の作動状態を示す説明図である。 被打込み材があるときにトリガを引いた場合の作動状態を示す説明図である。
符号の説明
1 釘打機
4 ノーズ部
12 トリガバルブ
10 バルブステム
11 コンタクト部材
23 上部バネ
24 下部バネ
30 切り替え溝
31 切り替えレバー



Claims (4)

  1. 工具本体の下部に設けられてファスナーを打ち込むノーズ部の射出路に沿って上下方向に移動可能に設けられたコンタクト部材を備え、コンタクト部材の下端を上記ノーズ部の先端よりも突出させておき、打ち込み時にノーズ部に対して相対的に上方に移動させることにより起動用トリガバルブを作動させるトリガの操作を有効にする打込み工具のコンタクト機構において、
    上記コンタクト部材を、上記ノーズ部の近傍に上下に設けられた2つのバネの間に保持するとともに、
    上記上部バネに抗して上記コンタクト部材の下端を上記ノーズ部の先端と略同じ上方位置に保持する第1の位置と、上記下部バネに抗して上記コンタクト部材の下端を上記ノーズ部の先端よりも下方に突出する下方位置に保持する第2の位置と、上記コンタクト部材の移動を規制しない第3の位置とに切替え可能な切り替え手段を設けた
    ことを特徴とする打込み工具のコンタクト機構。
  2. 上記上部バネと下部バネを上記コンタクト部材と一体的に上下動する共通の軸体上に配設するとともに、上記切り替え手段を、上記軸体の外側に配置したカバーに上記第1の位置と第2の位置と第3の位置とに対応するように形成された切り替え溝と、上記軸体とともに上下動しかつ上記切り替え溝に係合可能に設けられた切り替えレバーとから構成したことを特徴とする、請求項1に記載の打込み工具のコンタクト機構。
  3. 上記コンタクト部材を上部コンタクト部材と下部コンタクト部材に分割し、これらの上下部コンタクト部材をそれぞれ上方に付勢し、
    上記トリガに一端が枢支されたコンタクトレバーの他端を上記上部コンタクト部材の上端に係合し、中央部を上記トリガバルブのバルブステムに係合させるとともに、
    上記コンタクト部材の下端が上記ノーズ部の先端と略同じ位置にあるときに、上記上部コンタクト部材の下端と下部コンタクト部材の上端との間にはクリアランスを形成し、
    上記トリガを引き上げ時に、上記コンタクトレバーは上記バルブステムの先端に係合した部分を中心にして回動して上記上部コンタクト部材を上記クリアランス分だけ下方に移動して下部コンタクト部材の上端に係合させるとともに、上記コンタクト部材が下方に移動可能なときは、上記コンタクトレバーは上記バルブステムの先端に係合した部分を支点に回動し、上記下部コンタクト部材が下方に移動不可能なときは、上記コンタクトレバーは上記上部コンタクト部材の先端に係合した部分を支点に回動して上記バルブステムを上方に押し込むようにした
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の打込み工具のコンタクト機構。
  4. 工具本体の下部に設けられてファスナーを打ち込むノーズ部の射出口に沿って上下方向に移動可能に設けられたコンタクト部材と、釘打機起動を起動させる起動バルブの下方に突出されたバルブステムと、工具本体のバルブステムの下方に回動可能に設けられたトリガと、一端がトリガに枢支され、他端が上記コンタクト部材の上端に係合するとともに、中央部が上記バルブステムに係合するように設けられたコンタクトレバーとを備えた打込み工具のコンタクト機構において、
    上記コンタクト部材を上部コンタクト部材と下部コンタクト部材に分割し、これらの上下部コンタクト部材をそれぞれ上方に付勢し、下部コンタクト部材の下端を上記ノーズ部の先端と略同じ位置に配置し、
    上記上部コンタクト部材の下端と下部コンタクト部材の上端との間にはクリアランスを形成し、
    上記トリガを引き上げ時に、上記コンタクトレバーは上記バルブステムの先端に係合した部分を中心にして回動して上記上部コンタクト部材を上記クリアランス分だけ下方に移動して下部コンタクト部材の上端に係合させるとともに、上記下部コンタクト部材が下方に移動可能なときは、上記コンタクトレバーは上記バルブステムの先端に係合した部分を支点に回動し、上記下部コンタクト部材が下方に移動不可能なときは、上記コンタクトレバーは上記上部コンタクト部材の先端に係合した部分を支点に回動して上記バルブステムを上方に押し込むようにした
    ことを特徴とする打込み工具のコンタクト機構。

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