JP2007013072A - 圧粉磁心の製造方法とその圧粉磁心並びに圧粉磁心を用いたリアクトル - Google Patents

圧粉磁心の製造方法とその圧粉磁心並びに圧粉磁心を用いたリアクトル Download PDF

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Abstract

【課題】 コアロス、直流重畳特性を向上する。
【解決手段】 表面絶縁処理したFe基軟磁性粉末を圧縮成形した後に熱処理を施す圧粉磁心の製造方法において、ハンマー17などにより、圧縮成形が成形速度Vが1m/s以上の高速圧縮成形を行う。この製法により、成形体の密度が向上し、磁束密度が向上する効果に加えて、保磁力が低減され、鉄損が低減し、さらに、磁化曲線の直線性が向上し、直流重畳特性を改善した圧粉磁心を製造することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧粉磁心の製造方法とその圧粉磁心並びに圧粉磁心を用いたリアクトルに関する。
従来、表面絶縁処理した磁性粉末を圧縮成形した圧粉磁心として、Coを3%を超え35%未満の範囲内の質量割合で含むFe−Co系粒子から成る軟質磁性粉末が加圧成形され、その軟質磁性粉末の平均粒径が30μmを超え110μm未満の範囲内にある圧粉磁心(例えば特許文献1)が提案されている。
また、高周波用圧粉磁心として、組成が3.0〜6.0wt%Si、0.1〜1.0wt%O(酸素)、残部がFeから成る、粒径が150μm以下である混合物をプレス成形、熱処理により得られるコア部材を複数個環状に組み合わせて構成され、コア部材の成形圧力が5〜20t/cm2、熱処理温度が500〜1000℃である高周波リアクトル用圧粉磁性の製造方法(例えば特許文献2)が提案されており、この製造方法では、圧粉磁心のコアロス(鉄損)と直流重畳特性を改善することができ、また、絶縁皮膜で被覆された鉄を主成分とする軟磁性粉末を加圧成形してなる圧粉磁心において、前記軟磁性粉末は、ケイ素(Si)を2〜5重量%含み、重量平均粒径が30〜70μmで、平均アスペクト比が1〜3である粒子からなり、真密度比が92%以上である圧粉磁心が提案されており、成形圧力を1176MPa〜1960MPa、熱処理温度750℃とすることが例示され(例えば特許文献3)、この圧粉磁心ではコアロスを改善することができる。
さらに、圧粉磁心とは異なるが、高速成形方法による多段部品の製造方法では、通常のプレス成形の成形速度が0.02〜0.1m/sであるのに対し、1〜100m/sの成形速度で成形することにより、真密度比98%以上の高密度が達成でき、且つ成形体の高さ方向の密度むらを小さくすることが開示されている(例えば特許文献4)。
特開2002−75721号公報 特開2004−103779号公報 特開2004−288983号公報 国際公開WO01/008131号公報
圧粉磁心の磁束密度、直流重畳特性を向上させるためには、高密度の成形体を得る必要があるが、上記の製造方法を用いて、真密度比90%以上の成形体を得るためには、10t/cm2以上の高い成形圧で成形する必要がある。このため、成形用金型の寿命が著しく短かったり、がじりが発生したりして、量産上問題である。
そして、圧粉磁心に対するコアロス、直流重畳特性に対する要求は益々高まっており、従来の製造方法ではコアロス、直流重畳特性に対する要求に十分に対応することができなかった。
そこで、本発明は、上記問題点を解決するものであり、鉄損、直流重畳特性を向上することができる圧粉磁心の製造方法とその圧粉磁心並びに圧粉磁心を用いたリアクトルを提供することを目的とする。
請求項1の発明は、表面絶縁処理した軟磁性粉末を圧縮成形した後に熱処理を施す圧粉磁心の製造方法において、前記圧縮成形が成形速度1m/s以上の高速圧縮成形である製造方法である。
また、請求項2の発明は、前記軟磁性粉末が、Fe−Si合金粉末である製造方法である。
また、請求項3の発明は、前記軟磁性粉末が、Fe−Al−Si合金粉末である製造方法である。
また、請求項4の発明は、前記軟磁性粉末が、Fe基アモルファス粉末である製造方法である。
また、請求項5の発明は、前記軟磁性粉末が、Co基アモルファス粉末である製造方法である。
また、請求項6の発明は、前記軟磁性粉末が、ナノ結晶合金粉末である製造方法である。
また、請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたものである。
また、請求項8の発明は、請求項7記載の圧粉磁心を使用したものである。
請求項1の構成によれば、成形速度Vが1m/s以上の高速圧縮成形を行うことにより、成形体の密度が向上し、磁束密度が向上する効果に加えて、保磁力が低減され、鉄損が低減し、さらに、磁化曲線の直線性が向上し、直流重畳特性を改善した圧粉磁心を製造することができる。
また、請求項2の構成によれば、Siは軟磁気特性の改善に寄与し、コアロスが少ない圧粉磁心を製造することができる。
また、請求項3の構成によれば、磁束密度の向上効果は請求項2に比べて低いが、更に、コアロスが少ない圧粉磁心を製造することができる。尚、磁束密度の向上効果が低くても、部材の断面積などを上げれば磁束密度を確保できるから、特にコアロスを少なくする必要がある圧粉磁心への適用範囲が大となる。
また、請求項4の構成によれば、軟磁気特性に優れたコアロスが少ない圧粉磁心を製造することができる。
また、請求項5の構成によれば、軟磁気特性に優れたコアロスが少ない圧粉磁心を製造することができる。
また、請求項6の構成によれば、軟磁気特性に優れたコアロスが少ない圧粉磁心を製造することができる。
また、請求項7の構成によれば、磁束密度、直流重畳特性に優れたものとなる。
また、請求項8構成によれば、磁束密度、直流重畳特性に優れた圧粉磁心を用いたものとなる。
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる新規な圧粉磁心の製造方法とその圧粉磁心を採用することにより、従来にない圧粉磁心の製造方法とその圧粉磁心が得られ、その圧粉磁心の製造方法とその圧粉磁心並びに圧粉磁心を用いたリアクトルについて記述する。
以下、本発明の実施例について説明すると、図1〜図3は本発明の実施例1を示し、同図に示すように、圧粉磁心は、表面絶縁処理した軟磁性粉末たるFe基軟磁性粉末1を、圧縮成形した後に熱処理を施してなり、前記Fe基軟磁性粉末1の表面は絶縁層2により表面絶縁処理されている。前記Fe基軟磁性粉末1としては、Fe−Si合金粉末、又はFe−Al−Si合金粉末などが用いられ、特にFe−1〜8質量%Si、又はFe−4〜8質量%Al−9〜12質量%Siとすることが好ましい。前記Fe基軟磁性粉末1には、前記表面絶縁処理の前に、非酸化性雰囲気中、800〜1100℃で、熱処理を施すことが好ましく、この熱処理によりFe基軟磁性粉末1の結晶粒を成長させることにより軟磁気特性を改善したり、残留応力や歪みなどを除去することにより粉末の圧縮性を改善したりすることができる。尚、表面絶縁処理前のFe基軟磁性粉末1に行う熱処理を、粉末熱処理という。
前記Fe基軟磁性粉末1を、Fe−1〜8質量%Siとするのは、Siが1質量%未満でも、Siが8質量%を超えても、軟磁気特性が低下してコアロスが増大するので好ましくないからであり、また、Fe−4〜8質量%Al−9〜12質量%Siとするのは、この範囲を外れると、軟磁気特性が低下してコアロスが増大するので好ましくないからである。
前記絶縁層2は、電気的絶縁性を有する樹脂をコーティングする絶縁コーティングや、無機絶縁処理などにより形成され、前記絶縁コーティングとしては、シリコーン樹脂などのコーティングによる絶縁層が例示され、前記無機絶縁処理としては、燐酸塩処理、酸化処理、ゾルゲル法による酸化物被覆などの電気の絶縁層が例示され、前記絶縁層2は、Fe基軟磁性粉末1,1同士を結合するバインダーの役目をなす。尚、この例の原料粉末は、平均粒径20〜100μmのFe基軟磁性粉末1の表面に、樹脂の絶縁コーティングからなる絶縁層2を設けてなる。
前記Fe基軟磁性粉末1は、短軸長をb、長手方向である長軸長をaとすると、短軸長bに対する長軸長aの比率、すなわちアスペクト比(a/b)が1〜3のものを用いる。尚、アスペクト比の測定においては、圧粉磁心の製品を切断した断面を研磨し、この断面の組織写真を例えばSEM(走査型電子顕微鏡)により撮影し、これを画像解析することにより、個々の粉末断面の長軸長aと短軸長bを求め、a/bを平均した値をアスペクト比と定義する。
次に、前記Fe基軟磁性粉末1を圧縮成形する成形用金型11について説明すると、この成形用金型11は、上下方向を軸方向(プレス上下軸方向)としており、ダイ12、下パンチ13、上パンチ14、上ガイド部材15、図示しないコアロッドを備え、前記ダイ12に前記コアロッドが同軸的に位置している。前記下パンチ13は、前記ダイ12とコアロッド間に下方から上下動自在に嵌合し、圧縮成形時には固定されている。前記上ガイド部材15は前記上パンチ14が挿通するガイド孔16を有し、このガイド孔16に挿通した前記上パンチ14は、上方からダイ12とコアロッド間に上下動自在に嵌合する。また、前記上パンチ14に衝撃力を加える打撃手段たるハンマー17を備え、このハンマー17は上パンチ14の上方から落下して該上パンチ14に衝撃力を加える。そして、前記ダイ12にコアロッドと下パンチ13とを挿入した状態で、前記ダイ12内には、前記Fe基軟磁性粉末1を充填する充填部Jが形成される。
そして、ダイ12,コアロッド,下パンチ13及び上パンチ14を予め100〜200℃に加熱しておき、ダイ12から上パンチ14を抜いた状態で、前記充填部1の壁面に潤滑材を塗布する。この潤滑材としては、ステアリン酸の金属塩を水または溶媒に分散させたものなどが例示される。尚、充填部Jの壁面とはダイ11の内周面、下パンチ13の上面、下パンチ13から出たコアロッドの外周面である。また、前記表面絶縁処理したFe基軟磁性粉末1を予め100〜200℃程度に加熱し、この加熱したFe基軟磁性粉末1を前記充填部Jに充填する。充填後、図1(A)に示すように、上パンチ14の下端を前記ダイ12内に挿入配置する。この後、ハンマー17を上方から落下させ、該ハンマー17を上パンチ14の上部に衝突させることにより、衝突時に上パンチ14が所定の速度でFe基軟磁性粉末1を圧縮し、このような圧縮成形により圧粉体である成形体が形成される。そして、前記ハンマー17の衝突時に、上パンチ14に発生する前記速度が、圧縮成形における成形速度Vであり、上パンチ衝突時のハンマー17の速度とほぼ等しい。また、ハンマー17により加えられる成形エネルギーは、ハンマー17の衝突時の速度とハンマー17の重量から算出される。このように打撃手段たるハンマー17の落下により、成形速度Vが1m/s以上で、絶縁コーティングされたFe基軟磁性粉末1を圧縮成形し、成形体を形成する。成形後、上パンチ14をダイ11から抜き、ダイ12が降下するか、固定されていた下パンチ13が上昇して成形体を充填空間Jから排出し、その成形体を非酸化雰囲気中、700〜1000℃で熱処理し、圧粉磁心が得られる。尚、成形体に行う熱処理を成形体熱処理という。
このように成形速度Vが1m/s以上の高速圧縮成形を行うことにより、成形体の密度が向上し、磁束密度が向上する効果に加えて、圧粉磁心においては、保磁力が低減され、鉄損が低減し、さらに、磁化曲線の直線性が向上し、直流重畳特性を改善することが見出された。これは、高速圧縮成形を採用することにより、極めて短時間で、表面絶縁処理を施したFe基軟磁性粉末1に、変形を与えることになるため、成形時にFe基軟磁性粉末1に導入されて熱処理後もFe基軟磁性粉末1に残留する歪みが低減され、また、成形体内の僅かに残る気孔の分布が均一化されるなどに起因するものと考えられる。一方、成形速度Vが1m/s未満では、表面絶縁処理したFe基軟磁性粉末1を圧縮成形する本発明において、上記の効果が十分に得られず、通常のプレス成形で成形速度が最大で0.1m/s程度であるから、本発明では、成形速度Vを1m/s以上とすることにより、圧粉磁心において予想外の効果が得られた。
したがって、本発明では、高磁束密度を有する圧粉磁心を、量産性に優れた方法で製造することができ、しかも、従来に比して、鉄損を低減でき、直流重畳特性を改善することができ、例えば、高周波用の圧粉磁心及びこの高周波用の圧粉磁心を用いた高周波リアクトルとして優れた性能を発揮することができる。
実施例
平均粒径70μm、平均アスペクト比2.4のFe基軟磁性粉末1(Fe−3質量%Si)に、水素雰囲気中950℃で2時間の粉末熱処理を施した後、2質量%の室温硬化型液状シリコーン樹脂を添加、混合することにより、Fe基軟磁性粉末1の表面にシリコーン樹脂コーティングによる絶縁層2を形成した原料粉末を得た。
前記絶縁層2を設けたFe基軟磁性粉末1を150℃に加熱し、予め150℃に加熱し且つ壁面に潤滑材を塗布した成形用金型11の充填部Jに充填し、表1に示すハンマー重量、インパクト(衝突)時のハンマー速度(成形速度V)で高速成形することにより、外径20mm、内径10mm、厚さ5mmのリング状成形体及び長さ30mm、幅8mm、厚さ5mmのバー状成形体を圧縮成形し、これらリング状成形体及びバー状成形体を真空中で850℃、1時間の成形体熱処理を施すことにより、リング状試験片及びバー状試験片を得た。
Figure 2007013072
上記表1は、以下の測定などにより得られた。前記リング状試験片の水中密度を測定した後、巻線を施し、B−Hアナライザにより励磁磁束密度0.1T(テスラ)、周波数10kHzにおける鉄損W1/10kを測定し、表1に結果を示した。また、B−Hループトレーサにより磁化特性を測定し、表1に結果を示した。尚、実施例では、表1に示すように、ハンマー17の重量と、ハンマー速度(成形速度V)を変えて、No.1〜5のそれぞれの測定し、その結果を示した。この場合、No.1〜5は、成形エネルギーを近似した値として、それぞれのハンマー17の重量を変えている。尚、成形エネルギーは、ハンマー重量とハンマー速度から算出される。
また、バー状試験片において、四端子法により測定した比抵抗の値を表1に示した。
比較例1
成形を従来の油圧プレスにより、1180MPaで成形する以外は、上記実施例No.1〜5と同様にして製作したリング状試験片およびバー状試験片において、同様の評価を行った結果を表1に示した。
ここで、磁化曲線の直線性の評価には、図3に示すように、磁化曲線の原点と磁束密度1.2Tの点から求めた平均透磁率と最大透磁率との「比」を用いた。即ち、平均透磁率は、磁束密度が1.2Tの時の磁界と0点とを結ぶ直線の傾きである。また、表1中「比」は、最大透磁率/平均透磁率の値であり、この値が1に近いほど磁化曲線の直線性に優れる。
実施例No.1〜5と比較例1から本発明の方法で製作した圧粉磁心は、保磁力が低く、コアロスが低いことが分かる。また、本発明の方法では、表1中の「磁化曲線直線性」の「比」が1.6以下となり、比較例1の1.86に比べて、磁化曲線の直線性に優れることが分かる。
このように本実施例では、請求項1に対応して、表面絶縁処理した軟磁性粉末たるFe基軟磁性粉末1を圧縮成形した後に熱処理を施す圧粉磁心の製造方法において、圧縮成形が成形速度Vが1m/s以上の高速圧縮成形であるから、成形体の密度が向上し、磁束密度が向上する効果に加えて、保磁力が低減され、鉄損が低減し、さらに、磁化曲線の直線性が向上し、直流重畳特性を改善した圧粉磁心を製造することができる。
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、基軟磁性粉末1が、Fe−Si合金粉末であるから、Siは軟磁気特性の改善に寄与し、コアロスが少ない圧粉磁心を製造することができる。
また、Fe−Si合金粉末に代えて、請求項3に対応して、基軟磁性粉末1が、Fe−Al−Si合金粉末の場合には、磁束密度の向上効果は請求項2に比べて低いが、コアロスが少ない圧粉磁心を製造することができる。尚、磁束密度の向上効果が低くても、部材の断面積などを上げれば磁束密度を確保できるから、特にコアロスを少なくする必要がある製品への適用範囲が大となる。
また、このように本実施例では、請求項7に対応して、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により製造された圧粉磁心であり、磁束密度、直流重畳特性に優れたものとなる。
また、請求項8に対応して、請求項7記載の圧粉磁心を使用したリアクトルは、磁束密度、直流重畳特性に優れた圧粉磁心を用いたものとなる。そして、本発明の圧粉磁心により、リアクトルの小型化、低損失化を実現でき、その結果、スイッチング電源、DC/DCコンバータ、インバータの小型化、高効率化を実現できる。
図4は、本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は、軟磁性粉末としてFe基アモルファス粉末1A(図2参照)を用いた例であり、平均粒径60μm、平均アスペクト比1.2で、Fe−12質量%Si−11質量%B−2.5質量%Cr−2.5質量%Cの組成を有するFe基アモルファス粉末1Aに、1質量%の室温硬化型液状シリコーン樹脂を添加、混合することにより、粉末1Aの表面にシリコーン樹脂コーティングによる絶縁層2を形成した原料粉末を得た。
前記絶縁層2を設けたFe基アモルファス粉末1Aを150℃に加熱し、予め150℃に加熱し且つ壁面に潤滑材を塗布した成形用金型11の充填部Jに充填し、表2に示すハンマー重量、インパクト(衝突)時のハンマー速度(成形速度V)で高速成形することにより、外径20mm、内径10mm、厚さ5mmのリング状成形体及び長さ30mm、幅8mm、厚さ5mmのバー状成形体を圧縮成形し、これらリング状成形体及びバー状成形体を真空中で400℃、1時間の成形体熱処理を施すことにより、リング状試験片及びバー状試験片を得た。
Figure 2007013072
上記表2は、以下の測定などにより得られた。前記リング状試験片の水中密度を測定した後、巻線を施し、B−Hアナライザにより励磁磁束密度0.1T(テスラ)、周波数10kHzにおける鉄損W1/10kを測定し、表2に結果を示した。また、B−Hループトレーサにより磁化特性を測定し、表2に結果を示した。尚、実施例では、表2に示すように、ハンマー17の重量と、ハンマー速度(成形速度V)を変えて、No.6〜10のそれぞれの測定し、その結果を示した。この場合、No.6〜10は、成形エネルギーを近似した値として、それぞれのハンマー17の重量を変えている。尚、成形エネルギーは、ハンマー重量とハンマー速度から算出される。
また、バー状試験片において、四端子法により測定した比抵抗の値を表2に示した。
比較例2
成形を従来の油圧プレスにより、1180MPaで成形する以外は、上記実施例No.6〜10と同様にして製作したリング状試験片およびバー状試験片において、同様の評価を行った結果を表2に示した。
ここで、磁化曲線の直線性の評価には、図4に示すように、磁化曲線の原点と磁束密度0.5Tの点から求めた平均透磁率と最大透磁率との「比」を用いた。即ち、平均透磁率は、磁束密度が0.5Tの時の磁界と0点とを結ぶ直線の傾きである。また、表2中「比」は、最大透磁率/平均透磁率の値であり、この値が1に近いほど磁化曲線の直線性に優れる。
実施例No.6〜10と比較例2から本発明の方法で製作した圧粉磁心は、保磁力が低く、コアロスが低いことが分かる。また、本発明の方法では、表2中の「磁化曲線直線性」の「比」が1.44以下となり、比較例2の1.6に比べて、磁化曲線の直線性に優れることが分かる。
また、同様な比較実験を行い、Co基アモルファス粉末についても、同様な効果が確認された。
このように本実施例では、請求項4又は5に対応して、軟磁性粉末が、Fe基アモルファス粉末1A又はCo基アモルファス粉末であるから、軟磁気特性に優れた圧粉磁心を製造することができ、また、請求項1、7及び8に対応して、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
本発明の実施例3について、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例は、軟磁性粉末としてナノ結晶合金粉末(微結晶合金粉末)1B(図2参照)を用いた例であり、平均粒径45μm、平均アスペクト比2.7で、Fe−12質量%Zr−1質量%B−1質量%Cuの組成を有し、平均結晶粒径が30nmのナノ結晶合金粉末1Bに、1質量%の室温硬化型液状シリコーン樹脂を添加、混合することにより、粉末1Bの表面にシリコーン樹脂コーティングによる絶縁層2を形成した原料粉末を得た。
前記絶縁層2を設けたナノ結晶合金粉末1Bを150℃に加熱し、予め150℃に加熱し且つ壁面に潤滑材を塗布した成形用金型11の充填部Jに充填し、表2に示すハンマー重量、インパクト(衝突)時のハンマー速度(成形速度V)で高速成形することにより、外径20mm、内径10mm、厚さ5mmのリング状成形体及び長さ30mm、幅8mm、厚さ5mmのバー状成形体を圧縮成形し、これらリング状成形体及びバー状成形体を真空中で500℃、1時間の成形体熱処理を施すことにより、リング状試験片及びバー状試験片を得た。
Figure 2007013072
上記表3は、以下の測定などにより得られた。前記リング状試験片の水中密度を測定した後、巻線を施し、B−Hアナライザにより励磁磁束密度0.1T(テスラ)、周波数10kHzにおける鉄損W1/10kを測定し、表3に結果を示した。また、B−Hループトレーサにより磁化特性を測定し、表2に結果を示した。尚、実施例では、表3に示すように、ハンマー17の重量と、ハンマー速度(成形速度V)を変えて、No.11〜15のそれぞれの測定し、その結果を示した。この場合、No.11〜15は、成形エネルギーを近似した値として、それぞれのハンマー17の重量を変えている。尚、成形エネルギーは、ハンマー重量とハンマー速度から算出される。
また、バー状試験片において、四端子法により測定した比抵抗の値を表3に示した。
比較例3
成形を従来の油圧プレスにより、1180MPaで成形する以外は、上記実施例No.10〜15と同様にして製作したリング状試験片およびバー状試験片において、同様の評価を行った結果を表2に示した。
実施例2と同様に、磁化曲線の直線性の評価には、図4に示すように、磁化曲線の原点と磁束密度0.5Tの点から求めた平均透磁率と最大透磁率との「比」を用いた。
実施例No.11〜15と比較例3から本発明の方法で製作した圧粉磁心は、保磁力が低く、コアロスが低いことが分かる。また、本発明の方法では、表3中の「磁化曲線直線性」の「比」が1.45以下となり、比較例3の1.57に比べて、磁化曲線の直線性に優れることが分かる。
このように本実施例では、請求項6に対応して、軟磁性粉末が、ナノ結晶合金粉末1Bであるから、軟磁気特性に優れた圧粉磁心を製造することができ、また、請求項1、7及び8に対応して、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実施が可能である。
本発明の実施例1の成形用金型の断面図であり、図1(A)は、圧縮前、図1(B)は圧縮後の状態を示す。 同上、軟磁性粉末の拡大説明断面図である。 同上、磁束密度と磁界の関係を表すグラフ図である。 本発明の実施例2における磁束密度と磁界の関係を表すグラフ図である。
符号の説明
1 Fe基軟磁性粉末(軟磁性粉末)
1A Feアモルファス粉末(軟磁性粉末)
1B ナノ結晶合金粉末(軟磁性粉末)
2 絶縁層

Claims (8)

  1. 表面絶縁処理した軟磁性粉末を圧縮成形した後に熱処理を施す圧粉磁心の製造方法において、前記圧縮成形が成形速度1m/s以上の高速圧縮成形であることを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  2. 前記軟磁性粉末が、Fe−Si合金粉末であることを特徴とする請求項1記載の圧粉磁心の製造方法。
  3. 前記軟磁性粉末が、Fe−Al−Si合金粉末であることを特徴とする請求項1記載の圧粉磁心の製造方法。
  4. 前記軟磁性粉末が、Fe基アモルファス粉末であることを特徴とする請求項1記載の圧粉磁心の製造方法。
  5. 前記軟磁性粉末が、Co基アモルファス粉末であることを特徴とする請求項1記載の圧粉磁心の製造方法。
  6. 前記軟磁性粉末が、ナノ結晶合金粉末であることを特徴とする請求項1記載の圧粉磁心の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする圧粉磁心。
  8. 請求項7記載の圧粉磁心を使用したことを特徴とするリアクトル。
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