JP2007012503A - 光電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性基板、半導体層、電荷輸送層および対向電極から少なくとも構成される光電変換素子において、該半導体層が、ハロゲン原子を含有するイオンを含む電解質溶液中でチタンもしくはチタンを主成分とする合金を電解酸化することにより製造される長手方向の長さが1μm以上のナノチューブ形状のチタニアを、電気泳動法により前記導電性基板の導電層上へ付着させることによって形成されたものであることを特徴とする光電変換素子。
【選択図】なし
Description
また、本発明は、前記ナノチューブの形状が、外径5〜50nm、肉厚2〜20nmであることを特徴とする前記記載の光電変換素子に関する。
また、本発明は、前記電気泳動法が、電解質を含まないチタニア分散液を用いて行われることを特徴とする前記記載の光電変換素子に関する。
また、本発明は、前記チタニア分散液が、ナノチューブ形状のチタニアとナノ粒子形状のチタニアの混合分散液であることを特徴とする前記記載の光電変換素子に関する。
また、本発明は、前記電気泳動法が直流電場で行われ、その電界の強さが50〜300V/cmであることを特徴とする前記記載の光電変換素子に関する。
また、本発明は、形成された半導体層を100〜600℃で加熱処理することを特徴とする前記記載の光電変換素子に関する。
また、本発明は、前記半導体層が色素で増感されることを特徴とする前記記載の光電変換素子に関する。
さらに、本発明は、前記記載の光電変換素子を用いた光電池に関する。
本発明の光電変換素子は、導電性基板、半導体層、電荷輸送層および対向電極から少なくとも構成される。
導電性基板は、通常、基板上に電極層を有するものである。基板としては、特に限定されず、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、無色あるいは有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等が用いられる他、無色あるいは有色の樹脂でも良い。かかる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。なお、本発明における基板とは、常温において平滑な面を有するものであり、その面は平面あるいは曲面であってもよく、また応力によって変形するものであってもよい。
導電膜の膜厚は、通常100〜10000μm、好ましくは500〜3000μmである。また、表面抵抗(抵抗率)は適宜選択されるところであるが、通常0.5〜500Ω/sq、好ましくは1〜50Ω/sqである。
導電性材料としては、白金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀、タングステン等の金属や、炭素材料、導電性有機物等の比抵抗の小さな材料が用いられる。
また、対極の抵抗を下げる目的で金属リードを用いても良い。金属リードは白金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀、タングステン等の金属からなるのが好ましく、アルミニウム又は銀からなるのが特に好ましい。
電解酸化は、通常、印加電圧が5〜200V、好ましくは10〜150V、より好ましくは14〜110Vであり、電流密度が0.2〜500mA/cm2、好ましくは0.5〜100mA/cm2の範囲で、時間は1分〜24時間、好ましくは5分〜10時間行われる。電解中、これらの印加電圧や電流密度を変化させることも可能であり、この際は周波数が1×10−6Hz〜1×105Hzのパルスを印加して電解を行う。
また、陽極酸化時の電解質溶液の温度は0〜50℃が好ましく、より好ましくは0〜40℃である。
本発明においては、ハロゲン原子としては塩素原子が特に好ましい。
かかる酸性化合物としては、前述のハロゲン化物もしくはその酸化体イオンの酸の他、硫酸、硝酸、酢酸、過酸化水素、シュウ酸、リン酸、クロム酸、グリセロリン酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
かかる塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
その濃度は、ハロゲン原子含有イオンに対して、モル比で0.001〜1000の範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜50、さらに好ましくは0.04〜5の範囲で用いられる。
かかる水溶性のチタン化合物としては、チタンイソプロポキシド等のチタンアルコキシド、三塩化チタン、四塩化チタン、フッ化チタン、テトラフルオロチタン酸アンモニウム、硫酸チタン、硫酸チタニル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。その濃度は、ハロゲン原子含有イオンに対して、モル比で0.001〜1000の範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜50、さらに好ましくは0.04〜5の範囲で用いられる。
かかるチタニア微粒子としては、粒径が0.5〜100nmのものが好ましく、より好ましくは2〜30nmのものが使用される。具体的には、チタン鉱石から液相法により調製したものや、気相法、ゾル・ゲル法、液相成長法で合成したものを挙げることができる。ここで、気相法とは、チタン鉱石を、硫酸等の強酸で、加熱加水分解して得られる含水酸化チタンを800℃〜850℃で焼成してチタニアを製造する方法である。液相法とは、塩化チタンに酸素及び水素を接触させて、チタニアを製造する方法である。ゾル・ゲル法とは、チタンアルコキシドをアルコール水溶液中で加水分解させてゾルを生成させ、さらに、該ゾルに加水分解触媒を加えて、放置してゲル化させ、該ゲル化物を焼成してチタニアを製造する方法である。液相成長法とは、フッ化チタンやテトラフルオロチタン酸アンモニウム、硫酸チタニル等の加水分解でチタニアを得る方法である。
電気泳動法は、導電性基板の導電膜と電着用対極とを一定の間隔で平行に対向させ、この間隙に、ナノチューブ形状のチタニアを溶媒に分散した分散液を注入し、両電極間に直流電圧を印加することにより行われる。その電界の強さは50〜300V/cmであることが好ましく、より好ましくは100〜250V/cmである。両電極間の間隔は特に限定されないが、0.1〜2mmが好ましく、より好ましくは0.2〜0.5mmである。また、印加時間は、通常1〜10分間程度である。温度は特に制限されず、通常0〜50℃であり、好ましくは0〜40℃である。
本発明の電気泳動法で形成する半導体層の厚みは、1〜30μmが好ましく、より好ましくは2〜25μmである。
色素は、可視域や近赤外域に吸収特性を有し、半導体層の光吸収効率を向上(増感)させる色素であれば特に限定されないが、金属錯体色素、有機色素、天然色素、半導体が好ましい。また、半導体層への吸着性を付与するために、色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、カルボキシルアルキル基、ヒドロキシアルキル基、スルホニルアルキル基、ホスホニルアルキル基などの官能基を有するものが好適に用いられる。
上記高分子マトリックスとしての特性を示す高分子化合物としては、ヘキサフロロプロピレン、テトラフロロエチレン、トリフロロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、フッ化ビニリデンなどのモノマーを重合または共重合して得られる高分子化合物を挙げることができる。またこれらの高分子化合物は単独で用いても良く、また混合して用いても良い。これらの中でも、特にポリフッ化ビニリデン系高分子化合物が好ましい。
後者の方法において湿式の電荷輸送層を用いる場合は、通常未乾燥のまま対極を付与しエッジ部の液漏洩防止措置を施す。またゲル電解質組成物を用いる場合には、これを湿式で塗布した後で重合等の方法により固体化してもよい。固体化は対極を付与する前に行っても後に行ってもよい。
《ナノチューブ形状のチタニアの作製》
1cm×5cmの純度99.9%のチタンを0.3%過塩素酸水溶液中で、30V定電圧で電解酸化することによりチタニアを得た。SEMおよびTEMを用いて、チューブ構造であり、直径が約20nm、肉厚が約5nm、長さが10μm程度であることを確認した。窒素吸着による比表面積は220m2/gであった。
《電気泳動による半導体層(チタニア電極)の作製》
ろ過したチタニアナノチューブ3gを100mlのt−ブタノール中で超音波ホモジナイザーにて分散させた。この分散液を用いF−SnO2を電極として、電極間距離0.3mm、200V/cmで電気泳動して、F−SnO2上に白濁した膜を得た。膜厚は11μmであった。
《光電変換特性評価》
得られた膜を450℃で1時間焼成し、ルテニウム色素(Rutenium535−bisTBA:SOLARONIX社製)/エタノール溶液(3.0×10−4mol/L)に15時間浸し、色素層を形成した。得られた基板とPt薄膜のついたガラスのPt面を合わせ、0.3mol/Lのヨウ化リチウムと0.03mol/Lのヨウ素を含むアセトニトリル溶液を毛細管現象によって染み込ませ、周辺をエポキシ接着剤で封止した。なお、透明導電基板の導電層部分と対向電極にはリード線を接続した。
このようにして得たセルに疑似太陽光(1kW/m2)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、良好な光電変換特性(変換効率7.1%)を得た。
《電気泳動による半導体層の作製》
実施例1で得られたろ過したチタニアナノチューブ3gおよびチタニアナノ粒子(日本アエロジル社製、P−25)0.5gを100mlのt−ブタノール中で超音波ホモジナイザーにて分散させた。この分散液を用いF−SnO2を電極として、電極間距離0.3mm、200V/cmで電気泳動して、F−SnO2上に白濁した膜を得た。膜厚は12μmであった。
《光電変換特性評価》
得られた膜を450℃で1時間焼成し、ルテニウム色素(Rutenium535−bisTBA:SOLARONIX社製)/エタノール溶液(3.0×10−4mol/L)に15時間浸し、色素層を形成した。得られた基板とPt薄膜のついたガラスのPt面を合わせ、0.3mol/Lのヨウ化リチウムと0.03mol/Lのヨウ素を含むアセトニトリル溶液を毛細管現象によって染み込ませ、周辺をエポキシ接着剤で封止した。なお、透明導電基板の導電層部分と対向電極にはリード線を接続した。
このようにして得たセルに疑似太陽光(1kW/m2)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、良好な光電変換特性(変換効率7.3%)を得た。
《ナノチューブ形状のチタニアの作製》
チタニアナノチューブを特開2002−241129号公報に従い、チタンイソプロポキシドをエタノール水溶液中に溶解させて加水分解により生じたゾルに、希塩酸を加水分解触媒として添加し放置後、600℃で2時間焼成し、粉砕したチタニア粉末を、20重量%の水酸化ナトリウム水溶液中に分散させ、110℃で20時間水熱合成を行い、塩酸にて中和洗浄を行い、チタニアナノチューブを得た。得られたチューブの直径は8nmで、長さは平均150nmであったが、チューブ以外の不定形の結晶も多く見られた。
《電気泳動による半導体層の作製》
ろ過したチタニアナノチューブ3gを100mlのt−ブタノール中で超音波ホモジナイザーにて分散させた。この分散液を用いF−SnO2を電極として、電極間距離0.3mm、200V/cmで電気泳動を行ったが、F−SnO2上に形成された膜は脆く、乾燥後F−SnO2から剥離し、膜を得ることができなかった。
Claims (9)
- 導電性基板、半導体層、電荷輸送層および対向電極から少なくとも構成される光電変換素子において、該半導体層が、ハロゲン原子を含有するイオンを含む電解質溶液中でチタンもしくはチタンを主成分とする合金を電解酸化することにより製造される長手方向の長さが1μm以上のナノチューブ形状のチタニアを、電気泳動法により前記導電性基板の導電層上へ付着させることによって形成されたものであることを特徴とする光電変換素子。
- 前記ナノチューブの比表面積が50m2/g以上であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
- 前記ナノチューブの形状が、外径5〜50nm、肉厚2〜20nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子。
- 前記電気泳動法が、電解質を含まないチタニア分散液を用いて行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記チタニア分散液が、ナノチューブ形状のチタニアとナノ粒子形状のチタニアの混合分散液であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記電気泳動法が直流電場で行われ、その電界の強さが50〜300V/cmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換素子。
- 形成された半導体層を100〜600℃で加熱処理することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記半導体層が色素で増感されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光電変換素子。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の光電変換素子を用いた光電池。
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