JP2005203510A - 光電変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光電変換装置を構成する材料の電気伝導度を高め、高い光電変換効率を得ること。
【解決手段】 第1導電体32の上に、バリスティック伝導体33、電解質からなるキャリア輸送体34および第2導電体35が、この順で積層されている、または、第1導電体の上に、一方導電型のバリスティック伝導体、他方導電型のキャリア輸送体、および第2導電体が、この順で積層されてなるとともに、前記バリスティック伝導体の前記キャリア輸送体が位置する側の表面に色素が存在している光電変換装置とする。これにより、バリスティック伝導体の光電変換により生じたキャリアが、前記第1導電体および前記第2導電体へそれぞれ効率よく移動させることができ、電気伝導率を高めて高い光電変換効率を備えた光電変換装置を提供できる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、光電変換効率に優れた新しい構造の光電変換装置に関する。
バルク型シリコン太陽電池は、変換効率の向上とともに急速に市場が拡大しているが、今後のさらなる市場拡大には低コスト化が大きな課題となっている。また、薄膜型シリコン太陽電池は、低コスト化や変換効率が未だバルク型シリコン太陽電池に及ばない。他方、色素増感型太陽電池は、高温処理や真空装置を必要としないことから低コスト化に有利であると考えられており、近年、急速に開発が進展している。
この色素増感型太陽電池は、導電性ガラス基板上に構築した粒径数10nmの微粒子を焼結して得られる多孔質の酸化チタン層の粒子表面に、有機色素を単分子吸着させた電極を光作用極として用い、白金をスパッタした導電性ガラス対極との間に、ヨウ素/ヨウ化物レドックス対を含む電解質溶液を満たし、この電解質溶液を封止した構造である。このような多孔質化により、光作用極の表面積を1000倍以上に高めて、吸着色素による光吸収を効率よく行なわせようとしている。しかし、実用化には光電変換効率の向上、色素の劣化防止、電解質溶液の蒸発の解消等、解決すべき課題が多い。
色素増感型太陽電池の光電変換効率を向上させる方法として、多孔質の酸化物半導体の導電性を向上させる方法や色素の増感能力を高める方法(分光感度の長波長化など)などが研究されている。さらに酸化物半導体の導電性を向上させる方法として、酸化物半導体の形状をより小さい多くの細孔を有するようにして比表面積を高める方法、焼結により結合を強固にする方法などが研究されている。
以下に具体的な従来例について説明する。
<例1>
酸化物半導体の導電性をより高めた一例として、基板の上面に、第1の電極、色素を担持した酸化チタンからなる多孔質の酸化物半導体、第2の電極および第3の電極を順次積層した太陽電池が知られている。この酸化チタンからなる多孔質の酸化物半導体に、導電性向上処理が施されている。その処理方法は、1)酸素欠陥を形成する酸素欠陥形成法によるもの、2)チタン原子の一部をチタン原子と異なる金属原子で置換する原子置換法によるもの、3)金および白金のうち少なくとも一方をより均一に存在(分散)させる金属含有法によるもの、が挙げられている。こうして、金属酸化物半導体に導電性向上処理が施されているので、色素で発生した電子を効率的に電極に受け渡すことができ、その結果、優れた変換効率が得られるとしている(例えば、特許文献1を参照。)。なお、この例において、導電性支持体と酸化チタンとの間に、下地層として酸化チタンと異なる性状の緻密な酸化チタンを設けた構成は知られていない。
<例2>
可視光応答型酸化チタンを利用した太陽電池が知られている。これは電極として利用する酸化チタンを、可視光領域で作動する可視光応答型としたものである。この可視光応答型酸化チタンは、紫外光をも含む可視光領域(200nm〜1100nm)の波長の光を吸収する。また、可視光応答型酸化チタンは、化学式:TiO2−x(ただし、0<x<1、0<y<1)を有する。そして、この可視光応答型酸化チタンを利用した太陽電池として、電解液を使用する湿式タイプやpn接合型の乾式タイプがある。特に、従来のように色素を用いた湿式タイプの太陽電池では、二酸化チタンによる色素の劣化や蒸発の問題などがあり、寿命が短く実用化は困難であったが、特定の可視光応答型酸化チタンを利用することにより、色素を利用しなくとも可視光で作動することが可能な耐久性がある太陽電池を提供することができるとしている(例えば、特許文献2を参照。)。なお、可視光応答型酸化チタンが多孔質体であること、ショットキー障壁型であること、可視光化に窒素以外の元素を用いること、この窒素含有が勾配を有するということ、および色素を有することは知られていない。
<その他>
微粒子状酸化チタン複合体の製造方法として、一次粒子内に、−O−Ti−X−結合(ただし、Xは、C(炭素)、N(窒素)、P(リン)、S(硫黄)より選ばれた1種以上の元素を表す)が存在することを特徴とする微粒子状酸化チタン複合体の製造方法に関するものが知られている(例えば、特許文献3を参照。)。この例の用途では、高性能の誘電体原料や紫外線遮断材、シリコーンゴムへの添加剤、光触媒など多岐にわたって検討が進められているとしており、特に太陽電池などの光電変換装置への応用は知られていない。
ところで、例2において示したように、色素増感型太陽電池には、色素の劣化や蒸発に起因したと思われる耐久性や信頼性の課題がある。これについては、光入射面に紫外線吸収部材を設けることで特性劣化を防ぐことができるとした例が知られている(例えば、特許文献4、5を参照。)。
また、感光層が紫外線吸収剤および半導体微粒子を含有することで特性劣化を防ぐことができるとしている例も知られている(例えば、特許文献6を参照。)。
特開2002−252359号公報 特開2003−151648号公報 特開2002−293540号公報 特開1999−345991号公報 特開2002−025634号公報 特開2000−223167号公報
特に、上述した例1において、金属酸化物半導体の導電性向上に関する3つの手法(酸素欠陥形成法、原子置換法および金属含有法)では、金属酸化物半導体のバンドギャップ内に不純物準位を形成しやすく、トラップによる特性劣化やキャリア移動度の低下などの問題があり、金属酸化物半導体層の導電性向上には不十分であった。すなわち、これら3つの手法では、バンドギャップが狭まって光吸収はできても、生成キャリアが不純物準位に容易にトラップされたり再結合するなどのため、金属酸化物半導体層の導電性向上には不十分であった。また、金属酸化物半導体が多孔質体であるために、正孔輸送層と導電性支持体との接触によるリーク電流が生じて光電変換効率が低下する問題があった。
また、例2の可視光応答型酸化チタンを利用した太陽電池では、色素を利用しなくとも可視光で作動するので、色素を混ぜて可視光領域まで光の吸収を増感させる必要が無いとしているが、十分な接合面積が得られず、高い光電変換効率が得られないという問題がある。また、上記の構成では色素を用いないと太陽光スペクトルを十分にカバーすることができないので、高い光電変換効率が得られない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、光電変換装置を構成する材料の電気伝導度を高め、高い光電変換効率を得ることにある。
上記目的を達成するために、本発明の光電変換装置はバリスティック伝導を用いて導電率を向上させた光電変換装置を実現している。すなわち、本発明の光電変換装置は、1)一方電極となる第1導電体の上に、光電変換を行なうバリスティック伝導体、電解質からなるキャリア輸送体および他方電極となる第2導電体が、この順で積層されていることを特徴とする。
また、2)一方電極となる第1導電体の上に、一方導電型のバリスティック伝導体、他方導電型のキャリア輸送体、および他方電極となる第2導電体が、この順で積層されているとともに、前記バリスティック伝導体の前記キャリア輸送体が位置する側の表面に色素が存在していることを特徴とする。
また、3)上記1)の光電変換装置において、前記バリスティック伝導体の前記キャリア輸送体が位置する側の表面に色素が存在していることを特徴とする。
また、4)上記2)または3)の光電変換装置において、前記バリスティック伝導体の前記色素が存在する表面が凹凸状に形成され、かつ前記バリスティック伝導体の凹部に前記色素の分子が複数存在していることを特徴とする。
また、5)上記2)または4)の光電変換装置において、前記キャリア輸送体がバリスティック伝導を発現するものであることを特徴とする。
また、6)上記1)乃至5)のいずれかの光電変換装置において、前記第1導電体および前記第2導電体の少なくとも一方がバリスティック伝導を発現するものであることを特徴とする。
さらに、7)上記1)乃至6)のいずれかの光電変換装置において、前記バリスティック伝導体が複数のナノチューブ体からなることを特徴とする。
ここで、バリスティック伝導とは、電子が散乱されることなく輸送されるときの電気伝導をいう。これは不純物などの散乱体がなく、平均自由行程が、電子が運動する経路の長さに比べて長くなるときに生じる。例えば、低温で半導体界面に形成する電子ガスでは、平均自由行程が10mm程度になり、バリスティック伝導が実現する。これによって低い電気抵抗、早いキャリア移動速度が実現できる。これに対し、金属では平均自由行程が10nm以下になるため、バリスティック伝導を生じさせるためには、試料形状をこのサイズより小さくすることが必要である。このような伝導が発現するものをバリスティック伝導体というが、本発明でいうバリスティック伝導体は、その全体がバリスティック伝導性を示す状態になくても、一部がバリスティック伝導性を示せばよいものとする。なお、従来、通常の光電変換装置等における電気伝導はドリフト伝導である。
バリスティック伝導の概念図を図1に、ドリフト伝導の概念図を図2にそれぞれ示す。図1中では、電子の平均自由行程11よりも電子の運動する経路の長さ12が小さいため、バリスティック伝導が発現する。図2では電子の平均自由行程21よりも電子の運動する経路の長さ22が大きいため電子は散乱されながら進み、オームの法則にしたがう抵抗が生じる。図中の13,23は原子核、14,24は電子の移動する経路を概念的に示したものである。
バリスティック伝導の電気伝導率をランダウアーの公式(下記式(1))で、ドリフト伝導の電気伝導率をオームの法則による下記式(2)でそれぞれ示す。これら式によりバリスティック伝導がドリフト伝導とは根本的に異なる伝導であることがわかる。
G=2e/h (ただし、G:電気伝導率、e:電子素量、h:プランク定数)
・・・(1)
G=σS/L (ただし、G:電気伝導率、σ:電気伝導度、S:断面積、L:長さ)
・・・(2)
また、前記電解質からなるキャリア輸送体とは、電解質が溶液中に分散されたもの、電解質がゲル中に分散されたもの、または不純物が半導体中に分散されたものなどをいい、電解質を有するものでありキャリア(電子,正孔)を輸送できるものであればよい。
さらに、バリスティック伝導を用いることで、従来法で見られたリーク電流等の損失は見られない。そのため、電気伝導率を高めた効果が現れ、高い光電変換効率を得ることができる。
上記1)の光電変換装置によれば、一方電極となる第1導電体の上に、光電変換を行なうバリスティック伝導体、電解質からなるキャリア輸送体および他方電極となる第2導電体が、この順で積層されているので、バリスティック伝導体の光電変換により生じたキャリア(電子および正孔)が損失することなく、前記第1導電体および前記第2導電体へそれぞれ移動させることができ、電気伝導率を高めて光電変換を高効率で行なわせる光電変換装置を提供することができる。
また、2)の光電変換装置によれば、一方電極となる第1導電体の上に、一方導電型のバリスティック伝導体、他方導電型のキャリア輸送体、および他方電極となる第2導電体が、この順で積層されてなるとともに、前記バリスティック伝導体の前記キャリア輸送体が位置する側の表面に色素が存在しているので、色素による光電変換により生じたキャリア(電子および正孔)が実質的に損失することなく、前記第1導電体および前記第2導電体へそれぞれ移動させることができ、電気伝導率を高めて光電変換を高効率で行なわせる光電変換装置を提供することができる。また、3)の光電変換装置によれば、前記バリスティック伝導体の前記キャリア輸送体が位置する側の表面に色素が存在しているので、上記1)の効果に加えて、この色素が前記バリスティック伝導体に対して色素増感作用をなすことにより、特定波長の光に対しても高い変換効率を有する光電変換装置を提供することができる。
また、4)の光電変換装置によれば、前記バリスティック伝導体の前記色素が存在する表面が凹凸状に形成され、かつ前記バリスティック伝導体の凹部に前記色素の分子が複数存在しているので、平板状のバリスティック伝導体の表面に色素を存在させる場合よりも、色素増感作用に寄与する色素をより多くバリスティック伝導体の表面に存在することになるので、より大きな色素増感作用を行なわせることができ、より高効率の光電変換装置を提供できる。
また、5)の光電変換装置によれば、前記キャリア輸送体がバリスティック伝導を発現するものであるので、より高効率の光電変換装置を提供できる。
また、6)の光電変換装置によれば、前記第1導電体および前記第2導電体の少なくとも一方がバリスティック伝導を発現するものであるので、さらに高効率の光電変換装置を提供できる。
さらに、7)の光電変換装置によれば、前記バリスティック伝導体が複数のナノチューブ体からなるので、ナノチューブによる表面に多数の色素を存在させることが可能になり、これにより大きな色素増感作用を行なわせることができ、より高効率の光電変換装置を提供できる。
以下、本発明の光電変換装置について、模式的に示した図面を参照しつつ詳しく説明する。
<例1>
本発明の光電変換装置の一例を図3に示す。一方電極となる第1導電体32の上に、光電変換を行なうバリスティック伝導体33、電解質からなるキャリア輸送体34および他方電極となる第2導電体35が、この順で積層されている。光を入射あるいは出射する面は、31または36に示された面のいずれでも両方でもよい。なお、他の例でも同様とする。
第1導電体32および第2導電体35は、一般に導体である金属や酸化物導電体等からなる。ここで、金属は白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)密着層付きTi/Ag/Tiの積層膜(ただし、上層/中間層/下層で表記)などがよく、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などで形成するのがよい。光電変換素子の一面を高反射面として光閉じ込めの機能を持たせる場合は、Ag,Alやこれらの積層膜のような反射率の高い金属を用いるとよい。
酸化物導電体は不純物をドープしたSnO、ZnO、In、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(フッ素をドープした酸化錫)等の材料がよく、スプレー熱分解法、ディップコート法、ゾル・ゲル法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、溶液内薄膜成長法等で形成するのがよい。
バリスティック伝導体33は、バリスティック伝導を発現する構造を有する物質からなるものであって、全体あるいは一部にバリスティック伝導が発現するものがあればよい。バリスティック伝導の発現は形状にもよるが、バリスティック伝導が発現するのに十分小さい粒子、十分な細さのワイヤ状、ロッド状またはチューブ状のもの、バリスティック伝導が発現するのに十分に薄いシート、格子状,網目状,ハニカム状の構造を有したもの、メソポア細孔を有するシート状のもの、メゾポア細孔を有するシート状のもの、ナノポア細孔を有するシート状のものなどが好適である。
特にバリスティック伝導体33が長孔を有するチューブ状であるとき、チューブの内側(長孔部)と外側で電荷が異なることや、光電変換された電子を有効に利用できる比表面積の増大といった要素が顕著となり、バリスティック伝導体33とキャリア輸送体34との電荷のやりとりが効率よく行なわれる。さらには、チューブが特に第1導電体32の主面に対して垂直方向にチューブの長孔が配向していることが、チューブの内側および外側において色素をより多く担持できる点で望ましい。
また、バリスティック伝導体33の材料としては、例えばチタン(Ti)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ニオブ(Nb)、インジウム(In)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、バナジウム(V)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、セシウム(Cs)、プロトン(H+)、シリコン(Si)およびカドミウム(Cd)の中から選択された1種類以上の元素と、ホウ素(B)、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)、フッ素(F)、硫黄(S)、塩素(Cl)およびセレン(Se)の中から選択された1種類以上の元素との化合物、または、CもしくはSiの単体からなるものとする。
また、バリスティック伝導体33を形成するには、ゾル・ゲル法、スパッタリング、金属を蒸着した後に酸化させる方法、スピンコート法、作製した酸化物をアルカリ中で熟成させて自己組織化させる方法や、金属アルコキシドと界面活性剤との働きで微小形状を形成させ、自己組織化させた後に溶剤を揮発させて焼成する方法などを用いることができる。あるいはMOCVD法やMBE法を用いることもできる。なお、バリスティック伝導体33は、その全てがバリスティック伝導性を示す状態になくても、一部がバリスティック伝導性を示せばよい。
また、電解質からなるキャリア輸送体34としては、電解質が溶液中に分散されたもの、電解質がゲル中に分散されたもの、または不純物が半導体中に分散されたものなどをいい、電解質を有するものでありキャリア(電子,正孔)を輸送できるものである。電解質溶液としては第4級アンモニウム塩やLi塩などを用いる。電解質溶液の組成としては、例えば、炭酸エチレン、アセトニトリルまたはメトキシプロピオニトリルなどに、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化リチウム、ヨウ素などを混合し調製したものを用いることができる。
また、ゲル電解質は、大別して化学ゲルと物理ゲルに分けられる。化学ゲルは架橋反応などにより化学結合でゲルを形成しているものであり、物理ゲルは物理的な相互作用により室温付近でゲル化しているものである。ゲル電解質としては、アセトニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートまたはそれらの混合物に対し、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどのホストポリマーを混入して重合させたゲル電解質が好ましい。なお、ゲル電解質や固体電解質を使用する場合、低粘度の前駆体を酸化物半導体層に含有させ、加熱、紫外線照射、電子線照射などの手段で二次元,三次元の架橋反応をおこさせることによってゲル化または固体化できる。
また、イオン伝導性の固体電解質としては、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドまたはポリエチレンなどの高分子鎖にスルホンイミダゾリウム塩、テトラシアノキノジメタン塩、ジシアノキノジイミン塩などの塩をもつ固体電解質が好ましい。ヨウ化物の溶融塩としてはイミダゾリウム塩、第4級アンモニウム塩、イソオキサゾリジニウム塩、イソチアゾリジニウム塩、ピラゾリジウム塩、ピロリジニウム塩、ピリジニウム塩などのヨウ化物を用いることができる。
上述のヨウ化物の溶融塩としては、例えば、1,1−ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムアイオダイド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾールアイオダイド、1−エチル−3−イソプロピルイミダゾリウムアイオダイド、ピロリジニウムアイオダイド等を挙げることができる。
このように作製された光電変換装置は、構成は同じながらバリスティック伝導をとり入れることで光電変換装置の抵抗が下がり、従来のバリスティック伝導を用いない光電変換装置と比較して光電変換効率を著しく向上させることができる。
なお、本発明でいう「積層」とは、それぞれを順次備えてなるということであり、製造する手段やその順番、使用する際の向きを限定するものではなく、以下の記述も同様の意味とする。
また、前記電解質からなるキャリア輸送体34は、バリスティック伝導を発現するもの(バリスティック伝導体)であってもよい。この場合、導電率の向上に伴って光電変換効率は向上する。
第2導電体35は第1導電体32と同様に作製されるが、電解質からなるキャリア輸送体に接する場合は触媒として白金等の金属あるいは金属酸化物を担持してもよい。
また、第1導電体32および第2導電体35導電体はバリスティック伝導を発現するもの(バリスティック伝導体)であってもよい。これにより、導電率の向上に伴って光電変換効率は向上する。
<例2>
図3で示したバリスティック伝導体32が色素を備え、色素増感作用を発現させることで光電変換効率が向上する。ここで、色素増感作用とは、物質が化学反応や物理的な応答を起こす光の波長が、その物質に色素を加えることで色素の吸収波長領域でも化学反応や物理的な応答を起こすことができる現象をいう。
この光電変換装置の一例を図4に示す。第1導電体42の上に、色素44をキャリア輸送体45が位置する側の表面に存在させた(備えた)バリスティック伝導体43、キャリア輸送体45および第2導電体46が、この順で積層されてなる。光を入射あるいは出射する面は、41または47に示された面のいずれからでも両方からでもよい。
例えば酸化チタンのバンドギャップは3.0〜3.2eV程度であり、可視光はわずかしか吸収しないため可視光照射下では光触媒反応があまり進行しないが、ローダミンBを吸着させた酸化チタンは550nmの可視光照射下でも光触媒反応を示すことがわかっている。このように物質に化学反応や物理的な応答を起こす光の波長が、その物質に色素を加えることによって色素の吸収波長領域にまで広がる現象を色素増感作用という。
バリスティック伝導体43の表面に色素44を存在させる方法の一つに吸着がある。この吸着の方法としては、例えば第1導電体42上に形成されたバリスティック伝導体43を、色素44を溶解した溶液に浸漬する方法が挙げられる。
色素44を溶解させるために用いる溶媒は、エタノール等のアルコール類,アセトン等のケトン類,ジエチルエーテル等のエーテル類,アセトニトリル等の窒素化合物等を1種または2種以上混合したものが挙げられる。
増感色素である色素44としては、例えば、ルテニウム−トリス,ルテニウム−ビス,オスミウム−トリス,オスミウム−ビス型の遷移金属錯体、多核錯体、無機顔料、セラミクス、ナノドットまたはルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル錯体、またはフタロシアニンやポルフィリン、多環芳香族化合物、ローダミンB等のキサンテン系色素であることが好ましい。溶液中の色素濃度は5×10−6〜2×10−3mol/l程度が好ましい。
バリスティック伝導体を形成した導電体を、色素を溶解した溶液に浸漬する際、溶液および雰囲気の温度は特に限定させるものではなく、例えば、大気圧下で室温でもよく、浸漬時間は色素、溶媒の種類、溶液の濃度等により適宜調整することができる。これにより色素をバリスティック伝導体43に吸着させることができる。
この様に作製された光電変換装置は、課題であった色素から導電体への電子の輸送が非常に早くなり、従来のバリスティック伝導を用いないで色素増感させた光電変換装置と比較して光電変換効率が著しく向上させることができる。
ここで、バリスティック伝導体43の色素44を備える側の界面が、凹凸状であれば変換効率がさらに向上する。または、第1導電体42に凹凸を形成することでバリスティック伝導体43の電気伝導率を阻害することなくバリスティック伝導体43の表面を自由に凹凸状に成形できる。特に第1導電体42の形状が配向したチューブ状であることが望ましい。また、肉厚が薄いチューブ状であることも有効に色素を利用するためには望ましい。
また、第2導電体46を凹凸状とすることも望ましい。第2導電体46の比表面積が向上するため、最適な金属の担持量が増加し、電解質の酸化還元反応に寄与する金属の量が増加し、触媒である金属等の反応場が増加する。その結果、キャリアの輸送速度が向上して光電変換効率が向上する。このときの凹凸形状は、ストライプ状、ハニカム状、格子状、チューブ状、細孔などに由来する凹凸が望ましい。
さらに、バリスティック伝導体43と第1導電体42の界面に下地層を形成してもよい。第1導電体42におけるSnOなどの透光性導電膜と電解質からなるキャリア輸送体45とが、バリスティック伝導体43の隙間を通り抜けて電気的に接触すると逆電流が流れるので、これを発生させないためである。この下地層の金属酸化物半導体の材料や組成としては、酸化チタン等の酸化物が望ましい。
<例3>
図4で示した電解質からなるキャリア輸送体を、他方導電型のキャリア輸送体55とした光電変換装置の一例を図5に示す。第1導電体52の上に、一方導電型のバリスティック伝導体53、他方導電型のキャリア輸送体55および第2導電体56が、この順で積層されてなるとともに、前記バリスティック伝導体53と前記キャリア輸送体55との間に色素54が介在していることを特徴とする。光を入射あるいは出射する面は、51または57に示された面のいずれからでも両方からでもよい。
他方導電型のキャリア輸送体55としては、導電性酸化物、電解質溶液、ゲル電解質や固体電解質などの電解質、有機正孔輸送剤、極薄膜金属などが挙げられる。導電性酸化物としては、一価の銅を含む化合物半導体やGaP、NiO、CoO、FeO、Bi、MoO、Crなどがよく、中でも一価の銅を含む半導体がよい。本発明によい化合物半導体としてはCuI、CuInSe、CuO、CuSCN、CuS、CuInS、CuAlSeなどがよく、この中ではCuIおよびCuSCNがよく、CuIが製造しやすく最も望ましい。また、これらは太陽光に対して透明に近ければ近いほど望ましい。
電解質溶液としては第4級アンモニウム塩やLi塩などを用いる。電解質溶液の組成としては例えば、炭酸エチレン、アセトニトリル、またはメトキシプロピオニトリルなどに、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化リチウム、ヨウ素などを混合し調製したものを用いることができる。
ゲル電解質は、大別して化学ゲルと物理ゲルに分けられる。化学ゲルは架橋反応などにより化学結合でゲルを形成しているものであり、物理ゲルは、物理的な相互作用により室温付近でゲル化しているものである。ゲル電解質としては、アセトニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、またはそれらの混合物に対し、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどのホストポリマーを混入して重合させたゲル電解質が好ましい。なお、ゲル電解質や固体電解質を使用する場合、低粘度の前駆体を酸化物半導体層に含有させ、加熱、紫外線照射、電子線照射などの手段で二次元、三次元の架橋反応をおこさせることによってゲル化または固体化できる。
イオン伝導性の固体電解質としては、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドもしくはポリエチレンなどの高分子鎖にスルホンイミダゾリウム塩、テトラシアノキノジメタン塩、ジシアノキノジイミン塩などの塩をもつ固体電解質が好ましい。ヨウ化物の溶融塩としてはイミダゾリウム塩、第4級アンモニウム塩、イソオキサゾリジニウム塩、イソチアゾリジニウム塩、ピラゾリジウム塩、ピロリジニウム塩、ピリジニウム塩などのヨウ化物を用いることができる。
上述のヨウ化物の溶融塩としては、例えば、1,1−ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムアイオダイド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾールアイオダイド、1−エチル−3−イソプロピルイミダゾリウムアイオダイド、ピロリジニウムアイオダイド等を挙げることができる。
有機正孔輸送剤としては、トリフェニルジアミン(TPD1,TPD2,TPD3)やOMeTADなどが挙げられる。
極薄膜金属としては、金(Au)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)などの極薄膜を電析したものが挙げられる。
また、図3で示したバリスティック伝導体が複数のナノチューブからなるものでもよい。この場合、ナノチューブが一方向に配列したものが望ましい。このように一方向に配列させることで、色素を有効に用いることができ、かつバリスティック伝導を有効に利用できる。このときの光電変換装置の一例を図6に示す。なお、図6には破線で囲まれた領域に対する拡大図、すなわちナノチューブを拡大した斜視図も示している。第1導電体62の上に、一方導電型のバリスティック伝導体としてのナノチューブ63、他方導電型のキャリア輸送体65および第2導電体66が、この順で積層されてなるとともに、前記ナノチューブに色素64を備えてなることを特徴とする。光を入射あるいは出射する面は61または67に示された面のいずれからでも両方からでもよい。
他方導電型のキャリア輸送体65がバリスティック伝導体であってもよい。この場合、電気伝導率の向上による光電変換効率の向上が見られる。
また、これらの光電変換装置を保持する基板は板状でもフィルム状でも構わない。光入射面としての性質を帯びる場合は、光電変換装置を保持する基板は薄いほうが望ましく、透光性が高いほうが望ましい。また、光入射面を粗面としたり、反射防止膜を備えて入射光をより多く光電変換装置に取り入れるようにするのが望ましい。また、光電変換装置側の面はうねりやゆがみをできるだけ抑えたものが望ましい。また、材料としては、硼珪酸ガラス、ソーダガラス、石英、サファイア等の透明無機質材料が耐熱性の観点から使い易く、また、鉄成分の少ない白ガラスが青ガラスより好ましく、さらにポリカーボネート等の透明有機樹脂等の材料でもよい。
また、本発明により得られる色素増感太陽電池は色素で生成した電子を導電体に注入しやすいのみならず、導電体に注入した電子が電解質に流れてしまうという現象をバリスティック伝導体が抑える効果もある。これは導電体とバリスティック伝導体がショットキー接合であり、なおかつバリスティック伝導体の伝導帯の電位が導電体の伝導帯の電位より高いときに現れる効果である。
また、光電変換装置とは太陽電池や光触媒のような光エネルギーを電気エネルギーに変換する装置や、フォトディテクターのような特定の波長を検知して電気信号を発生させるための装置、半導体発光装置のような電気エネルギーを光のエネルギーに変換する装置をいう。
かくして、本発明の光電変換装置によれば、第1導電体の上に、バリスティック伝導体、電解質からなるキャリア輸送体および第2導電体が、この順で積層されていることにより、バリスティック伝導体の光電変換により生じたキャリア(電子および正孔)が損失することなく、前記第1導電体および前記第2導電体へそれぞれ移動させることができ、電気伝導率を高めて光電変換を高効率で行なわせる光電変換装置を提供することができる。
また、一方電極となる第1導電体の上に、一方導電型のバリスティック伝導体、他方導電型のキャリア輸送体、および他方電極となる第2導電体が、この順で積層されてなるとともに、前記バリスティック伝導体の前記キャリア輸送体が位置する側の表面に色素が存在しているので、色素による光電変換により生じたキャリア(電子および正孔)が実質的に損失することなく、前記第1導電体および前記第2導電体へそれぞれ移動させることができ、電気伝導率を高めて光電変換を高効率で行なわせる光電変換装置を提供することができる。また、色素が前記バリスティック伝導体に対して色素増感作用をなすことにより、特定波長の光に対しても高い変換効率を有する光電変換装置を提供することができる。
また、前記バリスティック伝導体の前記色素が存在する表面が凹凸状に形成され、かつ前記バリスティック伝導体の凹部に前記色素の分子が複数存在していることにより、平板状のバリスティック伝導体の表面に色素を存在させるよりも大きな色素増感作用を行なわせることができ、より高効率の光電変換装置を提供できる。
また、前記キャリア輸送体がバリスティック伝導を発現するものであることにより、より高効率の光電変換装置を提供できる。
また、前記第1導電体および前記第2導電体の少なくとも一方がバリスティック伝導を発現するものであることにより、さらに高効率の光電変換装置を提供できる。
さらに、前記バリスティック伝導体が複数のナノチューブ体からなることにより、ナノチューブによる表面に多数の色素を存在させることが可能になり、その結果、大きな色素増感作用を行なわせることができ、より高効率の光電変換装置を提供できる。
次に、本発明をより具体的に示す実施例について図面を参照しつつ説明する。
図3に示す光電変換装置の実施例1では、まず第1導電体32を用意した。これを保持するための基板である1cm角の石英ガラスに、導電膜体として熱CVD法で堆積したシート抵抗10Ω/□のSnO膜(ただし、Fを0.1質量%ドープ)を用いた。
バリスティック伝導体3は酸化チタンを用いた。酸化チタン薄膜は以下のように調製した。テトライソプロピルオルトチタネートと、アセチルアセトンと、ラウリルアミン塩酸塩を用いてチタニア薄膜を作製した。アセチルアセトンとテトライソプロピルオルトチタネートをモル比で1:1に混合してTIPT溶液とした。また、ラウリルアミン塩酸塩は0.1mol/lに調製してLAHC水溶液とした。LAHC水溶液のpHは4.5とした。これらTIPT溶液とLAHC水溶液を、モル比で4:1に混合したものを第1導電体32の上に必要分量を垂らした。これを80℃で加水分解および重合反応を進行させて、固形物とした。その後48時間反応を進行させ、400℃で24時間焼成し、平均外径12nm、平均内径(長孔の径)3nm、平均高さ30nmのチタニアナノチューブとチタニア微粒子からなるバリスティック伝導体33を第1導電体32上に設けた。
電解質からなるキャリア輸送体34として、ヨウ素を0.1モル、ヨウ化リチウムを0.1モル、2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドを0.5モル、3−メトキシプロピオニトリル、TBPを1モルを混合し調製した電解液を用いた。
第2導電体35を第1導電体32と同様の手順で得て、バリスティック伝導体33と、これに第2導電体35を貼り合わせ、この隙間に電解質からなるキャリア輸送体34をしみ込ませ、光電変換装置を得た。また、比較例としてドリフト伝導を行なう従来の光電変換装置を作製するために、バリスティック伝導体33の代わりにドリフト伝導体とした。このドリフト伝導体は以下のようにして作製した。なお、他の構成要件は本実施例と同様に作製した。まず、平均粒径3μmのチタニア(TiO)アナターゼ粉末にアセチルアセトンを添加した後、脱イオン水とともに混練し、界面活性剤で安定化させたチタニアのペーストを作製した。このペーストをドクターブレード法により、第1導電体32に一定速度で塗布し、大気中において450℃で30分間焼成した。
こうして得られた光電変換装置は、色素を用いないでも紫外光に対して10%以上(比較例に対して約2倍以上)のきわめて良好な変換効率を示した。
図6に示す光電変換装置の実施例2では、まず第1導電体62を準備した。これを保持するための基板である1cm角の石英ガラスに、導電膜体として熱CVD法で堆積した実施例1と同様なシート抵抗10Ω/□のSnO膜(Fをドープ)を用いた。
一方導電型(n型)のバリスティック伝導体63は実施例1と同様なチタニアナノチューブを用いた。このチタニアナノチューブは以下のように調製した。テトライソプロピルオルトチタネート、アセチルアセトンおよびラウリルアミン塩酸塩を用いてチタニアナノチューブを作製した。アセチルアセトンとテトライソプロピルオルトチタネートをモル比で1:1に混合してTIPT溶液とした。ラウリルアミン塩酸塩は0.1mol/lに調製してLAHC水溶液とした。LAHC水溶液のpHは4.5とした。TIPT溶液とLAHC水溶液を、モル比で4:1に混合したものを第1導電体62の上に必要分量を垂らした。
これを80℃で加水分解および重合反応を進行させて固形物とした。その後、48時間反応を進行させ、400℃で24時間焼成し、チタニアナノチューブとチタニア微粒子からなるバリスティック伝導体63を第1導電体62上に備えた。
色素64としては、ルテニウム−トリス型の遷移金属錯体を用い、色素64を溶解させるために用いる溶媒としてはアセトニトリルを用い、一方導電型バリスティック伝導体63を形成した第1導電体62を、色素64を溶解した溶液に浸漬してバリスティック伝導体63に色素64を担持させた。
電解質からなる他方導電型(p型)のキャリア輸送体65として、ヨウ素を0.1モル、ヨウ化リチウムを0.1モル、2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドを0.5モル、3−メトキシプロピオニトリル、TBPを1モルを混合し調製した電解液を用いた。
これに導電体66を貼り合わせて光電変換装置を得た。また、実施例1と同様にして比較例を作製した。
こうして得られた光電変換装置は、AM(エアマス)1.5において、ドリフト伝導を行なわせる比較例に対して約2倍以上の変換効率を示した。なお、光は図示の61,67の面のどちらから入射させても構わないが、本実施例では面61から光を入射させた。
図5に示す光電変換装置の実施例3では、まず第1導電体52を準備した。これを保持するための基板である1cm角の石英ガラスに、導電膜体として熱CVD法で堆積した実施例1と同様なシート抵抗10Ω/□のSnO膜(Fをドープ)を用いた。
一方導電型(n型)のバリスティック伝導体53はチタニアナノチューブを用いた。チタニアナノチューブは以下のように調製した。テトライソプロピルオルトチタネート、アセチルアセトン、ラウリルアミン塩酸塩を用いてチタニアナノチューブを作製した。アセチルアセトンとテトライソプロピルオルトチタネートをモル比で1:1に混合してTIPT溶液とした。ラウリルアミン塩酸塩は0.1mol/lに調製してLAHC水溶液とした。LAHC水溶液のpHは4.5とした。TIPT溶液とLAHC水溶液を、モル比で4:1に混合したものを第1導電体52の上に必要分量を垂らした。
これを80℃で加水分解および重合反応を進行させて固形物とした。その後48時間反応を進行させ、400℃で24時間焼成し、チタニアナノチューブとチタニア微粒子からなる一方導電型のバリスティック伝導体53を第1導電体52上に備えた。
色素54としては、ルテニウム−トリス型の遷移金属錯体を用い、色素54を溶解させるために用いる溶媒としては、アセトニトリルを用い、一方導電型のバリスティック伝導体53を形成した第1導電体52を、色素54を溶解した溶液に浸漬してチタニアナノチューブ上に色素54を担持させた。
他方導電型(p型)のキャリア輸送体55として、導電性のp型化合物半導体であるCuIを次の方法で形成した。0.2gのCuIおよび0.5gのKIをアセトン30mlに入れ、溶液中のCuIが溶解するまで攪拌して溶液を調製した。ポテンショスタットまたはガルバノスタットを用い、対極に白金板を用い色素54を吸着させた一方導電型のバリスティック伝導体53を作用極として溶液に浸けた。電流密度25mA/cmの定電流で20秒間通電しCuIの析出物を得た。大気中で3時間放置して正孔輸送層CuIを形成した。また、実施例1と同様にして比較例を作製した。
こうして得られた光電変換装置は、AM(エアマス)1.5において、ドリフト伝導を行なわせる比較例に対して約2倍以上の変換効率を示した。
図7に示す光電変換装置の実施例4では、まず第1導電体72を準備した。これを保持するための基板である1cm角の石英ガラスに、導電膜体として熱CVD法で堆積した実施例1と同様なシート抵抗10Ω/□のSnO膜(Fをドープ)を用いた。これにフォトリソグラフ法とドライエッチングにより平均幅2μm、平均深さ0.5μmの凹凸を第1導電体72の表面に形成した。一方導電型(n型)のバリスティック伝導体73は実施例1と同様に作製したチタニアナノチューブを用いた。チタニアナノチューブは以下のように調製した。テトライソプロピルオルトチタネート、アセチルアセトン、ラウリルアミン塩酸塩を用いてチタニアナノチューブを作製した。アセチルアセトンとテトライソプロピルオルトチタネートをモル比で1:1に混合してTIPT溶液とした。ラウリルアミン塩酸塩は0.1mol/lに調製し、LAHC水溶液とした。LAHC水溶液のpHは4.5とした。TIPT溶液とLAHC水溶液を、モル比で4:1に混合したものを第1導電体72の上に必要分量を垂らした。
これを80℃で加水分解および重合反応を進行させて、固形物とした。その後48時間反応を進行させ、400℃で24時間焼成し、チタニアナノチューブとチタニア微粒子からなるバリスティック伝導体73を第1導電体72上に設けた。これにより、算術平均粗さ(Ra)が約0.5μmの凹凸を有するバリスティック伝導体の集合体を得た。
色素74としては、ルテニウムートリス型の遷移金属錯体を用い、色素74を溶解させるために用いる溶媒としてはアセトニトリルを用い、一方導電型のバリスティック伝導体73を形成した第1導電体72を色素74を溶解した溶液に浸漬して、バリスティック伝導体であるチタニアナノチューブに色素74を担持させた。
電解質からなる他方導電型(p型)のキャリア輸送体75として、ヨウ素を0.1モル、ヨウ化リチウムを0.1モル、2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドを0.5モル、3−メトキシプロピオニトリル、TBPを1モルとして混合して調製した電解液を用いた。これに第2導電体76を貼り合わせて光電変換装置を得た。また、実施例1と同様にして比較例を作製した。
こうして得られた光電変換装置は、AM(エアマス)1.5において、ドリフト伝導を行なわせる比較例に対して約2倍以上の変換効率を示した。なお、この場合も、光を図示の71,77いずれの面から照射しても構わないが、光は面71から照射した。
かくして、いずれの実施例においても、バリスティック伝導を発現させることで、従来課題とされていた光電変換装置の電気伝導率を向上させることができ、従来型と比較してきわめて変換効率の高いものが得られた。
バリスティック伝導を説明する概念図である。 ドリフト伝導を説明する概念図である。 本発明の光電変換装置の実施形態の一例を模式的に説明する断面図である。 本発明の光電変換装置の実施形態の他の例を模式的に説明する断面図である。 本発明の光電変換装置の実施形態の他の例を模式的に説明する断面図である。 本発明の光電変換装置の実施形態の他の例を模式的に説明する断面図およびその一部拡大斜視図である。 本発明の光電変換装置の実施形態の他の例を模式的に説明する断面図である。
符号の説明
11,21:電子の平均自由行程
12,22:電子の運動する経路の長さ
13,23:原子核
14,24:電子の移動する経路
21:電子の平均自由行程
31,36,41,47,51,57,61,67,71,77:光入射面
32,42,52,62,72:第1導電体
33,43,53,63,73:バリスティック伝導体
34,45,55,65,75:電解質からなるキャリア輸送体
35,46,56,66,76:第2導電体
44,54,64,74:色素

Claims (7)

  1. 一方電極となる第1導電体の上に、光電変換を行なうバリスティック伝導体、電解質からなるキャリア輸送体および他方電極となる第2導電体が、この順で積層されていることを特徴とする光電変換装置。
  2. 一方電極となる第1導電体の上に、一方導電型のバリスティック伝導体、他方導電型のキャリア輸送体、および他方電極となる第2導電体が、この順で積層されているとともに、前記バリスティック伝導体の前記キャリア輸送体が位置する側の表面に色素が存在していることを特徴とする光電変換装置。
  3. 前記バリスティック伝導体の前記キャリア輸送体が位置する側の表面に色素が存在していることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
  4. 前記バリスティック伝導体の前記色素が存在する表面が凹凸状に形成され、かつ前記バリスティック伝導体の凹部に前記色素の分子が複数存在していることを特徴とする請求項2または3に記載の光電変換装置。
  5. 前記キャリア輸送体がバリスティック伝導を発現するものであることを特徴とする請求項2または4に記載の光電変換装置。
  6. 前記第1導電体および前記第2導電体の少なくとも一方がバリスティック伝導を発現するものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光電変換装置。
  7. 前記バリスティック伝導体が複数のナノチューブ体からなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光電変換装置。
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