JP5611098B2 - 酸化チタン−ポリアニリン複合体 - Google Patents

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Description

本発明は、色素増感太陽電池、光触媒、センサー、樹脂強化材等に用いられる酸化チタン−ポリアニリン複合体及びその製造方法に関する。
酸化チタンは、色素増感太陽電池、光触媒等の用途に幅広く用いられている。
なかでも、色素増感太陽電池は、色素を修飾した二酸化チタン等を活性電極に用いたものであり(特許文献1参照)、安価で容易に製造できる太陽電池として注目を集めている。
しかし、現状では、更なる性能の向上が求められており、そのひとつに、活性電極となる酸化チタンの電子伝導の向上が挙げられている。
特公平8−15097号公報 特開2010−24133号公報
一般的には、酸化チタンナノ粒子が活性電極として高性能を示す。酸化チタンナノ粒子が用いられるのは、酸化チタン上に吸着させる色素を導く大面積とすることで、入射した光を効率よく吸収するためである。しかし、酸化チタンナノ粒子は粒子間に存在する界面のため、電荷分離した電子の効率的な移動を阻害するというトレードオフの関係があった。
また、粒径の小さい酸化チタンナノ粒子を基板上にコーティングした場合、乾燥時又は焼成時に塗膜が割れることが多く、酸化チタンナノ粒子をミクロン単位の厚みで配置することが困難であった。
このことを考慮し、粒子状の酸化チタンと、導電性が高い高アスペクト比のカーボンとを複合させる試みがなされている(特許文献2)。しかし、カーボンのなかでもカーボンナノチューブは、触媒としての重金属成分を含んでおり、色素増感太陽電池等の光電変換素子の構成材料として使用する場合には、電子のトラップとなる可能性がある。また、カーボンの表面に酸化チタンを複合することは容易ではなく、過酷な条件下での表面酸化処理(親水化)や分散剤の添加等が必要であった。
そこで、本発明は、比表面積が高く、且つ、活性の高い酸化チタン構造体及びその簡易な製造方法を提供することを目的とする。
上記目的に鑑み、鋭意検討した結果、本発明者らは、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面を酸化チタンナノ粒子が連なってなる被覆層で被覆することで、上記課題を解決した酸化チタン構造体が得られることを見出し、さらに研究を重ね、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の項1〜15の酸化チタン−ポリアニリン複合体及びその製造方法、並びに該酸化チタン−ポリアニリン複合体を用いた光電変換素子を包含する。
項1.チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面が、粒子状酸化チタン(A)が連なってなる被覆層で被覆されてなることを特徴とするチューブ状又はファイバー状の酸化チタン−ポリアニリン複合体。
項2.比表面積が30m/g以上である項1に記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体。
項3.粒子状酸化チタン(A)が、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン又はアモルファス酸化チタンを含む項1又は2に記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体。
項4.粒子状酸化チタン(A)が、アナターゼ型酸化チタンを含む項1〜3のいずれかに記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体。
項5.重金属含有量が1000ppm以下である、項1〜4のいずれかに記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体。
項6.前記酸化チタン−ポリアニリン複合体の長軸に直交する平均直径が10〜500nmであり、前記酸化チタン−ポリアニリン複合体の長軸の平均長さが0.1〜100μmである項1〜5のいずれかに記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体。
項7.前記ポリアニリンの長軸に直行する平均直系が8〜450nmであり、前記ポリアニリンの長軸の平均長さが0.1〜100μmである項1〜6のいずれかに記載の酸化チタン-ポリアニリン複合体。
項8.粒子状酸化チタン(A)の平均粒子径が1〜100nmである項1〜7のいずれかに記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体。
項9.10MPa圧力下での粉体抵抗が1×10Ω・m以下である項1〜8のいずれかに記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体。
項10.チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面に、チタンフルオロ錯体からの析出反応により、粒子状酸化チタン(A)が連なってなる被覆層を形成する工程
を備える、項1〜9のいずれかに記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体の製造方法。
項11.チタンフルオロ錯体が(NHTiF、HTiF、NaTiF、KTiF及びTiFよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項10に記載の製造方法。
項12.前記被覆層を形成する工程が、フッ化物イオン捕捉剤の共存下に行われる、項10又は11に記載の製造方法。
項13.さらに、得られた酸化チタン−ポリアニリン複合体を純水又はpH7以下の水溶液で洗浄する工程を備える、項10〜12のいずれかに記載の製造方法。
項14.さらに、得られた酸化チタン−ポリアニリン複合体を、100℃以上で乾燥処理を施す工程を備える、項10〜13のいずれかに記載の製造方法。
項15.平均粒子径が20nm以下の粒子状酸化チタン(B)を含む酸化チタンゾルと接触させ、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面に、粒子状酸化チタン(A)が連なってなる被覆層を形成する工程
を備える、項1〜9のいずれかに記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体の製造方法。
項16.項1〜9のいずれかに記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体を電極基板上に含有する光電変換素子。
本発明によれば、比表面積が高く、且つ、活性の高い酸化チタン構造体を、安易な方法で製造することができる。この酸化チタン構造体は、特に光電変換素子、光触媒等に好ましく用いられるものである。なお、本発明によれば、常温・常圧における反応でも、被覆層中にアナターゼ型酸化チタンを含ませることができる。また、本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体では、重金属含有量を大幅に低下させることができるため、電子のトラップとなる可能性を排除できる。さらに、本発明において、酸化チタンとポリアニリンとを複合化させる際に、ポリアニリンの親水化処理や分散剤の添加等は必ずしも必要ではなく、簡便な方法で製造することができる。
実施例1で作製したチューブ状ポリアニリンの電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例1の酸化チタン−ポリアニリン複合体の電子顕微鏡(SEM)写真である。
1.酸化チタン−ポリアニリン複合体
本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体は、チューブ又はファイバー状のポリアニリンの表面が、粒子状酸化チタン(A)が連なってなる被覆層で被覆されてなる酸化チタン被覆ポリアニリンである。
本発明において、「チューブ状」とは、その中心部分において長軸方向に空洞を有する略円柱状のことを指す。なお、本発明では、必ずしも端部が開いている、つまり貫通孔を有している必要は無く、端部が閉じている中空状であってもよい。また、「ファイバー状」とは、その中心部分において空洞を有さない略円柱状のことを指す。
さらに、本発明において、「酸化チタン」とは、二酸化チタン(TiO)のみを指すものではなく、三酸化二チタン(Ti);一酸化チタン(TiO);Ti、Ti等に代表される二酸化チタンから酸素欠損した組成のもの等も含むものである。また、末端OH基に代表されるように一部酸化チタンの合成に起因するTi−O−Ti以外の基を含んでいても良い。
<チューブ状又はファイバー状のポリアニリン>
本発明で使用するチューブ状又はファイバー状のポリアニリンとしては、特に制限はない。市販のポリアニリンを使用してもよいし、合成してもよい。このチューブ状又はファイバー状のポリアニリンは、導電性を有することが好ましい。
また、このチューブ状又はファイバー状のポリアニリンは、後にできるだけ微細で表面積が大きく、酸化チタンが長く連続した酸化チタン−ポリアニリン複合体を製造できる点から、長軸に直交する平均直径が8〜450nm程度、長軸の平均長さが0.1〜100μm程度、平均アスペクト比(長軸の平均長さ/長軸に直交する平均直径)が5〜2000程度が好ましく、長軸に直交する平均直径が20〜300nm程度、長軸の平均長さが1〜10μm程度、平均アスペクト比(長軸の平均長さ/長軸に直交する平均直径)が7〜1000程度がより好ましい。また、ポリアニリンがチューブ状である場合には、その内径は、平均が3〜300nm程度、好ましくは5〜100nm程度である。なお、長軸に直交する平均直径、長軸の平均長さ、平均アスペクト比及び内径は、例えば、5000倍以上の電子顕微鏡(SEM又はTEM)観察により測定できる。
チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの合成方法
(I)酸化重合法
チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの合成方法は、特に制限されない。例えば、アニリン又はその誘導体を、溶媒に溶解させた後に、当該アニリン又はその誘導体を重合させてもよい。
アニリンの誘導体としては、特に制限されないが、例えば、N−メチルアニリン、O−メチルアニリン、O−メトキシアニリン、O−クロロアニリン、フェニルキノンジイミン、エメラルジン、インダミン、アニリンスルホン酸等が挙げられる。
本発明では、アニリン及びその誘導体のなかでも、原料コスト及び重合体の導電性の点から、アニリンが好ましい。
アニリン又はその誘導体のモル濃度は、6.4×10−2〜1.7×10−1mol/lが好ましい。このモル濃度は、溶解させる溶媒に対するアニリン又はその誘導体のモル濃度である。アニリン又はその誘導体のモル濃度を前記範囲内とすることで、ナノサイズのチューブ状又はファイバー状(特にチューブ状)のポリアニリンが形成されやすくなる。
ここで用いる溶媒としては、最終的にアニリン又はその誘導体が溶解する溶媒であればどのようなものでもよく、水等の極性溶媒等が挙げられる。
本発明では、溶媒中に、二環式モノテルペンを含ませてもよい。これにより、アニリンを水に溶解させやすくするとともに、ポリアニリンのドーパントとしてポリアニリンの導電性を向上させ、さらに、チューブ状のポリアニリンの形成を促進できる。
二環式モノテルペンを溶媒中に含ませる場合は、溶媒にアニリン又はその誘導体を添加した後に二環式モノテルペンを添加してもよいし、溶媒にアニリン又はその誘導体を添加する前にあらかじめ二環式モノテルペンを添加してもよい。また、溶媒にアニリン又はその誘導体を添加するのと同時に二環式モノテルペンを添加してもよい。
二環式モノテルペンとしては、反応性置換基を有するショウノウ(camphor)の誘導体を用いるのが望ましい。反応性置換基としては、例えば、ハロゲン基、スルホ基、カルボキシル基、水酸基等が挙げられる。二環式モノテルペンとしては、特に、ショウノウスルホン酸が好ましい。このように、反応性置換基を有するショウノウの誘導体を用いれば、チューブ状又はファイバー状(特にチューブ状)のポリアニリンを形成しやすくなる。
二環式モノテルペンの添加量は、アニリン又はその誘導体と二環式モノテルペンとのモル比が、1:0.3〜0.7となるように調整することが好ましい。二環式モノテルペンの添加量を前記範囲内とすることで、ナノサイズのチューブ状又はファイバー状(特にチューブ状)のポリアニリンが形成されやすくなる。
アニリン又はその誘導体を重合させる方法としては、特に制限されないが、本発明では、酸化剤を使用した酸化重合法が好ましい。酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、重クロム酸カリウム、重クロム酸ナトリウム、重クロム酸アンモニウム、ベンゾキノン、過酸化水素等が挙げられ、過硫酸アンモニウムが好ましい。過硫酸アンモニウムは、市場で比較的安価に入手できるため、製造コストを下げることができる。
酸化剤のモル濃度は、3.9×10−2〜1.3×10−1mol/lが好ましい。このモル濃度は、前記の溶媒に対する酸化剤のモル濃度である。過硫酸アンモニウムのモル濃度を前記範囲内とすれば、効率の良い酸化重合を行うことができ、低コストで、ナノサイズのチューブ状又はファイバー状(特にチューブ状)のポリアニリンが形成されやすくなる。
アニリンの誘導体としてアニリンスルホン酸を用いた場合、二環式モノテルペンとしてショウノウスルホン酸を用いた場合には、スルホン酸が存在するため、これに加熱処理を施すと、人体に有毒なSOxガスが発生する場合がある。Soxガスの発生を抑制するためには、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンを合成してから、アルカリ溶液で還元する洗浄を行えばよい。アルカリ溶液としては、例えばアンモニア水溶液を用いることができる。これにより、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンからスルホ基又はスルホン酸を除去することができる。
なお、SOxガスの発生を抑制する方法としては、SOxガスが排出する部分にSOxガス吸着装置等を設置してもよい。
(II)電解重合法
本発明において、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンは、電解重合法で合成してもよい。具体的には、アニリン又はその誘導体を酸性溶液中に溶解させ、電解重合(好ましくは反復酸化的な電解重合)を行えばよい。
アニリンの誘導体としては、上記したものが挙げられる。
アニリン又はその誘導体のモル濃度は、0.01〜3mol/lが好ましい。このモル濃度は、溶解させる溶媒に対するアニリン又はその誘導体のモル濃度である。アニリン又はその誘導体のモル濃度を前記範囲内とすることで、ナノサイズのチューブ状又はファイバー状(特にチューブ状)のポリアニリンが形成されやすくなる。
アニリン又はその誘導体を溶解させる酸性溶液中に含まれる酸としては、特に制限はなく、例えば、ホウフッ化水素酸(HBF)、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、有機スルホン酸(例えばドデシルベンゼンスルホン酸)等が挙げられ、塩酸、硫酸、ホウフッ化水素酸(HBF)が好ましい。
酸のモル濃度は、0.01〜1mol/lが好ましい。このモル濃度は、後述の溶媒に対する酸のモル濃度である。酸のモル濃度を前記範囲内とすることで、反応時にアニリンが溶媒中に溶解しやすくなるとともに、導電性が高くなる。
溶媒としては、アニリン又はその誘導体を溶解させられるものであればよく、例えば、水、水と有機溶媒との混合溶媒等が挙げられる。この際の有機溶媒としては、特に制限はなく、各種アルコール類、テトラヒドロフラン(THF)等を使用できる。特に、水が好ましい。
反復酸化的な電解重合は、例えば、サイクリック・ボルタンメトリー(CV)、直流電圧印加法等により可能である。このような電気化学的重合のためのシステム、装置等は、公知のものを使用することができる。
<被覆層>
被覆層は、粒子状酸化チタン(A)が連なってなる。
粒子状酸化チタン(A)の結晶構造としては、とくに制限されるわけではないが、本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体を光電変換素子、光触媒等に使用する場合には、活性が高いアナターゼ型酸化チタンを含むことが好ましい。粒子状酸化チタン(A)としては、アナターゼ型酸化チタンのみに限られることはなく、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン等も含ませてもよい。また、結晶性の酸化チタンのみならず、アモルファス酸化チタンを含ませてもよい。ただし、粒子状酸化チタン(A)の30重量%以上をアナターゼ型酸化チタンとすることが好ましい。
逆に、本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体を、有機物と接触させて使用する用途で有機物の分解を抑制したい場合(例えば樹脂への添加)には、ルチル型酸化チタン又はアモルファス酸化チタンを含むことが好ましい。
なお、粒子状酸化チタン(A)の結晶構造は、例えば、X線回折法、ラマン分光分析等により測定することができる。
粒子状酸化チタン(A)の平均粒子径は、比表面積を大きくしてより多くの色素を吸着し、光を吸収できる点から、1〜100nmが好ましく、1〜50nmがより好ましい。ただし、本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体を光電変換素子の用途に使用する場合には、電池内部への光閉じ込め効果の観点から、光散乱の大きい、つまり平均粒子径が100nmより大きい酸化チタン粒子を併用してもよい。なお、平均粒子径は、例えば、電子顕微鏡(SEM)観察等により測定することができる。
被覆層の厚みは、酸化チタンを欠損なく被覆し、光電変換素子の用途に使用する場合には、漏れ電流を防止する点から、2〜250nmが好ましく、5〜200nmがより好ましい。なお、被覆層の厚みは、例えば、電子顕微鏡(SEM又はTEM)観察等により測定することができる。
<酸化チタン−ポリアニリン複合体の特性>
本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体は、上述したように、チューブ又はファイバー状のポリアニリンの表面が、粒子状酸化チタン(A)が連なってなる被覆層で被覆されている。これにより、本発明のチューブ状又はファイバー状の酸化チタン−ポリアニリン複合体の表面には、微細な凹凸が存在している。表面に微細な凹凸を有する酸化チタン−ポリアニリン複合体を色素増感太陽電池用として使用すれば、色素を多量に担持し、入射した光を効率よく吸収できる。そして、効率よく電子を発生させることができる。また、芯材となるポリアニリンが導電性の場合には、このポリアニリンを通して、電子を効率よく透明電極に運ぶことができる。
なお、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面が被覆層で充分に被覆されておらず、ポリアニリンの露出面積が大きい酸化チタン−ポリアニリン複合体を使用すると、光を吸収することにより発生した電子が、ポリアニリンから電解液中に逆電子移動を起こすため、電子を効率的に運ぶことができない。
このような観点から、本発明のチューブ状又はファイバー状の酸化チタン−ポリアニリン複合体は、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面の粒子状酸化チタン(A)の被覆率は、70〜100%が、特には85〜100%が好ましい。また、カーボン/チタンの表面元素比率は、0/100〜70/30(原子比)が好ましく、0/100〜50/50(原子比)がより好ましい。なお、表面被覆率(ポリアニリンの表面上の、粒子状酸化チタン(A)が連なってなる被覆層で覆われている箇所の割合)は、例えば、電子顕微鏡(SEM又はTEM)観察等により、また、カーボン/チタンの表面元素比率は、例えば、X線光電子分光分析等により、測定することができる。
本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体の抵抗率は、用途によって異なるが、10MPa下での粉体抵抗が10Ω・m以下が好ましく、10Ω・m以下がより好ましく、10Ω・m以下がさらに好ましい。粉体抵抗は、小さいほうが好ましく、下限値は特に制限されないが、0.001Ω・m程度である。なお、酸化チタン−ポリアニリン複合体の粉体抵抗の測定方法は、特に限定されないが、例えば、10MPaの圧力で厚さ0.3mmの平板状に加工し、ペレット間に電圧1Vを印加して流れる電流値を測ることにより測定できる。
本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体は、充分な表面積を有しつつ、効率よく電子を伝達する点から、長軸に直交する平均直径が10〜500nm(特に30〜400nm)、長軸の平均長さが0.1〜100μm(特に、基板上に担持する場合には1〜10μm)、平均アスペクト比が5〜2000(特に7〜1000)が好ましい。なお、本発明において、酸化チタン−ポリアニリン構造体の直径とは、芯材のポリアニリンの直径のみならず、酸化チタン被膜の厚みも加えたものの直径を言う。
本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体は、光電変換素子の用途に使用する場合には、表面積を大きくし、色素を多量に担持し、入射した光を効率よく吸収する点から、比表面積は30m/g以上が好ましく、50m/g以上がより好ましい。比表面積は、大きいほうが好ましく、上限値は特に制限されないが、1000m/g程度である。なお、比表面積は、BET法等により測定できる。
本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体において、重金属含有量は1000ppm以下が好ましく100ppm以下がより好ましい。この範囲内とすることにより、色素増感太陽電池等の光電変換素子の構成材料として使用する場合に、電子のトラップとなることを抑制できる。
2.酸化チタン−ポリアニリン複合体の製造方法
本発明において、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面に、粒子状酸化チタン(A)が連なってなる被覆層を形成する方法は、特に制限されない。例えば、容易な方法として、粒子状酸化チタン(B)を含む酸化チタンゾル、四塩化チタン溶液、硫酸チタン溶液、硫酸チタニル溶液等をチューブ状又はファイバー状のポリアニリンと接触させる湿式法が挙げられる。
しかし、これらの方法と比較して、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面に、チタンフルオロ錯体からの析出反応により、粒子状酸化チタン(A)が連なってなる被覆層を形成する方法が好ましい。その理由は、以下の通りである。
(1)被覆層中の粒子状酸化チタン(A)の平均粒子径を数nm程度とすることもでき、酸化チタン−ポリアニリン複合体の比表面積を大きくできる。
(2)常温常圧でチューブ状又はファイバー状のポリアニリンと、チタンフルオロ錯体を含む反応液とを接触させて静置すればよく、簡便な手法である。
(3)チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面に形成される被覆層中の粒子状酸化チタン(A)は、常温・常圧における反応を行っても、アナターゼ型結晶を多数有する。
(4)得られた酸化チタン−ポリアニリン複合体を焼成すれば結晶性を向上させることができる。光活性の高いアナターゼ型酸化チタンを多数含ませたい場合に特に好ましい。
(5)特にチューブ状又はファイバー状のポリアニリンが有する窒素原子に起因して、ポリアニリンの表面のみに粒子状酸化チタン(A)を析出させることが可能であるため、酸化チタンの塊等、不要な生成物の生成を防止することも可能である。
なお、結晶性の酸化チタンを含む酸化チタンゾルではなく、チタンアルコキシド又はチタンアルコキシドのエタノール等の溶液にチューブ状又はファイバー状のポリアニリンを浸漬した場合には、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面に析出する酸化チタンは、アモルファス酸化チタンのみであり、酸化チタン−ポリアニリン複合体の比表面積も小さくなる。また、粒子状酸化チタンが連なってなる被覆層は得られない。
また、単に粒子状酸化チタン(B)を分散させた分散液中にチューブ状又はファイバー状のポリアニリンを浸漬した場合には、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面は酸化チタンで被覆されておらず、ポリアニリンと酸化チタンとの単なる混合物が形成される。
チタンフルオロ錯体からの析出方法
チタンフルオロ錯体からの析出方法とは、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンを、チタンフルオロ錯体を含む反応液とを接触させ、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面に、粒子状酸化チタン(A)が連なってなる被覆層を形成する方法である。具体的には、これに限定されるわけではないが、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの分散液を、チタンフルオロ錯体を含む反応液中に浸漬すればよい。また、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの分散液にチタンフルオロ錯体又はチタンフルオロ錯体の水溶液を添加してもよい。
チューブ状又はファイバー状のポリアニリンを分散させる分散媒としては、特に制限はないが、水、又は水とアルコール類の混合溶媒等が挙げられる。
チューブ状又はファイバー状のポリアニリンを含む分散液には、後に粒子状酸化チタン(A)を、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面に満遍なく被覆させるため、分散操作を加えてもよい。
さらに、分散性を向上させるため、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、陽イオン系、陰イオン系、非イオン系のいずれも使用することができ、公知又は市販のものを使用すればよい。
チタンフルオロ錯体としては、特に制限されるわけではないが、例えば、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム((NHTiF)、ヘキサフルオロチタン酸(HTiF)、ヘキサフルオロチタン酸ナトリウム(NaTiF)、ヘキサフルオロチタン酸カリウム(KTiF)、フッ化チタン(IV)(TiF)等が挙げられるが、(NHTiF又はHTiFが好ましい。
チタンフルオロ錯体を含む反応液に使用する溶媒としては、チタンフルオロ錯体を溶解させられるものであれば特に制限されないが、例えば、水、水とアルコールとの混合溶媒等が挙げられる。なお、アルコールとしては、公知又は市販のものを使用すればよい。
チタンフルオロ錯体のモル濃度は、特に制限はないが、0.01〜0.3mol/lが好ましく、0.03〜0.25mol/lがより好ましい。
本発明では、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンと、チタンフルオロ錯体を含む反応液との接触は、フッ化物イオン補足剤の共存下に行うことが好ましい。これにより、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面上に、より粒子状酸化チタン(A)が析出しやすくなる。また、フッ化物イオン補足剤としては、特に制限はなく、ホウ酸(HBO)、塩化アルミニウム、アルミニウム等を使用できる。
フッ化物イオン補足剤のモル濃度は、特に制限はないが、0.02〜1.0mol/lが好ましく、0.03〜0.8mol/lがより好ましい。
なお、フッ化物イオン補足剤のモル濃度は、チタンフルオロ錯体のモル濃度にしたがって変化させることが好ましい。フッ化物イオン補足剤のモル濃度は、チタンフルオロ錯体のモル濃度の2〜5倍とすることが好ましい。
上記のようにすれば、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面に、粒子状酸化チタン(A)が連なってなる被覆層を形成させ、酸化チタン−ポリアニリン複合体を製造することができる。
ここで得られた酸化チタン−ポリアニリン複合体は、純水又はpH7以下の水溶液で洗浄してもよい。これにより、導電性を低下させずに未反応原料、反応開始剤等を除去することができる。また、pH7以下の水溶液としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の水溶液等が挙げられる。
上記の被覆工程は、特に加熱や加圧等をせずに、常温・常圧下においても進行させることができる。好ましい条件は、20〜50℃、0.05〜0.2MPaである。
また、上記の被覆工程は湿式反応である。酸化チタン−ポリアニリン複合体中に残存する溶媒を除去するため、乾燥させることが好ましい。例えば、溶媒が水である場合には、好ましい乾燥温度は100℃以上、より好ましくは150℃以上である。
この後、熱処理を施すことにより、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面に形成された粒子状酸化チタン(A)の結晶化を促進することもできる。この場合、熱処理温度は、250℃以上、特に300℃以上とすることが好ましい。これにより、実質的に全ての粒子状酸化チタン(A)をアナターゼ型酸化チタンとすることができる。
ただし、熱処理温度を空気中400℃以上とすると、芯体であるポリアニリンが焼失してしまうことがあるので、熱処理温度を400℃未満とするか、熱処理の雰囲気を酸素分圧0.01MPa以下の低酸素条件下(ただし、ポリアニリンがカーボンに変性しない条件)とすることが好ましい。
粒子状酸化チタン(B)を含む酸化チタンゾルを用いる湿式法
粒子状酸化チタン(B)を含む酸化チタンゾルを用いる湿式法とは、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンを、粒子状酸化チタン(B)を含む酸化チタンゾルと接触させ、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面に、粒子状酸化チタン(A)が連なってなる被覆層を形成する方法である。具体的には、これに限定されるわけではないが、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンを、粒子状酸化チタン(B)を含む酸化チタンゾル中に浸漬すればよい。
酸化チタンゾルは塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニル等の水溶液から合成してもよく、チタンアルコキシドを酸性溶液中で混合して合成してもよい。チタンアルコキシドとしては、特に制限はなく、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンn‐ブトキシド、チタンt‐ブトキシド等が挙げられ、チタンイソプロポキシドが好ましい。このようにして酸化チタンゾルを作製すれば、存在する粒子状酸化チタン(B)の平均粒子径を0.5〜20nm、好ましくは1〜10nmとすることができる。
チタンアルコキシドを原料とする酸化チタンゾルは、例えば、分散媒中に、チタンアルコキシドを滴下させて製造することができる。分散媒としては、特に制限はなく、硝酸水溶液、酢酸水溶液、しゅう酸水溶液、塩酸水溶液又はこれらの混合溶液等を使用すればよく、チタンアルコキシドを添加した後加熱すれば、酸化チタンの結晶性を向上させることができる。
なお、上記の湿式法の好ましい条件は、10〜90℃、0.05〜0.2MPaである。
3.用途
本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体は、例えば、色素増感太陽電池等の光電変換素子、光触媒、センサー、樹脂強化材等に使用できる。本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体は、高い光活性を有している。そのため、本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体を色素増感太陽電池等の光電変換素子に使用する場合は、負極の酸化チタン層に混合することにより、導電補助材として使用することもできるし、正極の立体的な構造を有する触媒層に用いることもできる。
本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体を光電変換素子に使用する場合は、具体的には、以下の構成とすることができる。
本発明の光電変換素子は、例えば、導電性基板(負極基板)、半導体層、電荷輸送層、触媒層及び導電性基板(正極基板)から少なくとも構成される。
導電性基板(負極基板)は、通常、基板上に電極層を有するものである。基板としては、特に限定されず、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、無色又は有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等が用いられる他、無色又は有色の樹脂でも良い。かかる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテン等が挙げられる。なお、本発明における基板とは、常温において平滑な面を有するものであり、その面は平面あるいは曲面であってもよく、また応力によって変形するものであってもよい。
また、電極として作用する導電膜の材料は特に限定されないが、例えば、金、銀、クロム、銅、タングステン、チタン等の金属、金属薄膜、金属酸化物からなる導電膜等が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、錫、亜鉛等の金属酸化物に、他の金属元素を微量ドープしたIndium Tin Oxide(ITO(In:Sn))、Fluorine doped Tin Oxide(FTO(SnO:F))、Aluminum doped Zinc Oxide(AZO(ZnO:Al))、Antimony doped Tin Oxide(ATO(SnO:Sb))等が好適なものとして用いられる。
導電膜の膜厚は、通常100〜10000nm、好ましくは500〜3000nmである。また、表面抵抗(抵抗率)は適宜選択されるところであるが、通常0.5〜500Ω/sq、好ましくは1〜50Ω/sqである。
導電膜の形成法は特に限定されるものではなく、用いる金属や金属酸化物の種類により公知の方法を適宜採用することができる。通常、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法又はスパッタリング法等が用いられる。いずれの場合も基板温度が20〜700℃の範囲内で形成されるのが好ましい。
本発明の光電変換素子における導電性基板(正極基板)は、導電性材料からなる単層構造でもよいし、導電層と基板とから構成されていてもよい。基板としては、特に限定されず、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、無色又は有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等が用いられる他、樹脂でも良い。かかる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテン等が挙げられる。また、電荷輸送層上に直接導電性材料を塗布、メッキ又は蒸着(PVD、CVD)して対極を形成しても良い。
導電性材料としては、白金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀、タングステン等の金属や、炭素材料、導電性有機物等の比抵抗の小さな材料が用いられる。
また、対極の抵抗を下げる目的で金属リードを用いても良い。金属リードは白金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀、タングステン等の金属からなるのが好ましく、アルミニウム又は銀からなるのが特に好ましい。
触媒層としては、上述した本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体からなるものを使用することができる。この触媒層は、必ずしも本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体のみからなるものである必要はなく、例えば、カーボン、白金、導電性ポリマー(ポリアニリン、PEDOT−PSS(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene) poly(styrenesulfonate))等)、酸化チタン等と混合してもよい。
導電性基板(正極基板)上に触媒層を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体を含むペーストを調製し、導電性基板(正極基板)上に塗布して焼成する方法等が挙げられる。この際、ペーストの溶媒としては、水、有機溶媒等を用いることができる。
有機溶媒としては、本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体を分散できるものであれば、特に限定はない。例えば、エタノール、メタノール、2−プロパノール等のアルコール類;α−テルピネオール、ブチルカルビトール等の高沸点溶媒等を用いることができる。これらの溶媒は、分散性と揮発性、粘度を考慮し、単独又は混合して用いられる。ペースト中の溶媒の割合としては、塗布時に流動性を持たせる点と塗布後の厚みを保持する点から、40〜90重量%が、特に50〜80重量%が好ましい。
分散液の成分として、上記の溶媒以外に、増粘剤等を含んでもよい。
増粘剤としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース等が挙げられる。なかでも、アルキルセルロース、特にエチルセルロースを好適に用いることができる。
ペースト中の増粘剤の割合としては、塗布時の流動性と塗布後の厚みのバランスをとる点から、1〜20重量%が、特に5〜15重量%が好ましい。
ペースト中の固形分の割合としては、上記と同様に塗布時の流動性と塗布後の厚みのバランスの点から、10〜60重量%%が、特に13〜40重量%が好ましい。さらにその固形分中において、本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体と他の材料とを併用する場合には、本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体を1〜40重量%(特に5〜25重量%)含んでいることが好ましい。
半導体層としては、上述した本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体からなるものを使用する。
導電性基板(負極基板)上に半導体層を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体を含むペーストを調製し、導電性基板(負極基板)上に塗布して焼成する方法等が挙げられる。この際、ペーストの溶媒としては、水、有機溶媒等を用いることができる。
有機溶媒としては、本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体を分散できるものであれば、特に限定はない。例えば、エタノール、メタノール、テルピネオール等のアルコール類やエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類等を用いることができる。これらの溶媒は、分散性、揮発性及び粘度を考慮し、通常混合して用いられる。ペースト中の溶媒の割合としては、塗布時に流動性を持たせる点と塗布後の厚みを保持する点、また多孔質の酸化チタンを形成する点から、50〜90重量%が、特に70〜85重量%が好ましい。
分散液の成分として、上記の溶媒以外に、増粘剤等を含んでもよい。
増粘剤としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース等が挙げられる。なかでも、アルキルセルロース、特にエチルセルロースを好適に用いることができる。
ペースト中の増粘剤の割合としては、塗布時の流動性と塗布後の厚みのバランスをとる点から、2〜20重量%が、特に3〜15重量%が好ましい。
ペースト中の固形分の割合としては、上記と同様に塗布時の流動性と塗布後の厚みのバランスの点から、10〜50重量%が、特に15〜30重量%が好ましい。さらにその固形分に対して、本発明の酸化チタン−ポリアニリン複合体を0.1〜90重量%(さらに0.1〜80重量%(特に0.1〜60重量%(さらに0.2〜40重量%(特に0.25〜20重量%))))含んでいることが好ましい。
本発明の光電変換素子においては、半導体層の光吸収効率を向上すること等を目的として、半導体層に色素を担持(吸着、含有等)させたものが用いられる。
色素は、可視域や近赤外域に吸収特性を有し、半導体層の光吸収効率を向上(増感)させる色素であれば特に限定されないが、金属錯体色素、有機色素、天然色素、半導体等が好ましい。また、半導体層への吸着性を付与するために、色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、カルボキシルアルキル基、ヒドロキシアルキル基、スルホニルアルキル基、ホスホニルアルキル基等の官能基を有するものが好適に用いられる。
金属錯体色素としては、例えば、ルテニウム、オスミウム、鉄、コバルト、亜鉛又は水銀の錯体(例えば、メリクルクロム等)、金属フタロシアニン、クロロフィル等を用いることができる。また、有機色素としては、例えば、シアニン系色素、ヘミシアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、金属フリーフタロシアニン系色素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。色素として用いることができる半導体としては、i型の光吸収係数が大きなアモルファス半導体、直接遷移型半導体又は量子サイズ効果を示し、可視光を効率よく吸収する微粒子半導体が好ましい。通常、各種の半導体、金属錯体色素及び有機色素の一種、又は光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、二種類以上の色素を混合することができる。また、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように、混合する色素とその割合を選ぶことができる。
色素を半導体層に吸着させる方法としては、例えば、溶媒に色素を溶解させた溶液を、半導体層上にスプレーコート、スピンコート等により塗布した後、乾燥する方法により形成することができる。この場合、適当な温度に基板を加熱しても良い。また、半導体層を溶液に浸漬して吸着させる方法を用いることもできる。浸漬する時間は色素が充分に吸着すれば特に制限されることはないが、好ましくは10分〜30時間、より好ましくは1〜20時間である。また、必要に応じて浸漬する際に溶媒や基板を加熱しても良い。溶液にする場合の色素の濃度としては、1〜1000mmol/L、好ましくは10〜500mmol/L程度である。
用いる溶媒は特に制限されるものではないが、水及び有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル等のニトリル類;ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、2−ブタノン等のケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメトキシエタン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸エチルジメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリへキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリス(トリフフロロメチル)、リン酸トリス(ペンタフロロエチル)、リン酸トリフェニルポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
色素間の凝集等の相互作用を低減するために、界面活性剤としての性質を持つ無色の化合物を色素吸着液に添加し、半導体層に共吸着させてもよい。このような無色の化合物の例としては、カルボキシル基やスルホ基を有するコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸等のステロイド化合物、スルホン酸塩類等が挙げられる。
未吸着の色素は、吸着工程後、速やかに洗浄により除去するのが好ましい。洗浄は湿式洗浄槽中でアセトニトリル、アルコール系溶媒等を用いて行うのが好ましい。
色素を吸着させた後、アミン類、4級アンモニウム塩、少なくとも1つのウレイド基を有するウレイド化合物、少なくとも1つのシリル基を有するシリル化合物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等を用いて、半導体層の表面を処理してもよい。好ましいアミン類の例としては、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。好ましい4級アンモニウム塩の例としては、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド等が挙げられる。これらは有機溶媒に溶解して用いてもよく、液体の場合はそのまま用いてもよい。
電荷輸送層は、色素の酸化体に電子を補充する機能を有する電荷輸送材料を含有する。本発明で用いる電荷輸送材料は、イオンが関わる電荷輸送材料であり、酸化還元対イオンが溶解した溶液、酸化還元対の溶液をポリマーマトリックスのゲルに含浸したゲル電解質組成物、固体電解質組成物等が挙げられる。
イオンがかかわる電荷輸送材料としての電解液は、電解質、溶媒及び添加物から構成されることが好ましい。電解液に用いる電解質の例としては、ヨウ素とヨウ化物(LiI、NaI、KI、CsI、CaI等の金属ヨウ化物、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物ヨウ素塩等)の組み合わせ、臭素と臭化物(LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr、CaBr等の金属臭化物、テトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等の4級アンモニウム化合物臭素塩等)の組み合わせ、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノン等が挙げられる。中でも、IとLiI又はピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物ヨウ素塩とを組み合わせた電解質が好ましい。電解質は混合して用いてもよい。
溶媒としては、一般に電気化学セルや電池に用いられる溶媒であればいずれも使用することができる。具体的には、無水酢酸、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、エチレンカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメトキシエタン、プロピオンニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸エチルジメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリへキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリス(トリフフロロメチル)、リン酸トリス(ペンタフロロエチル)、リン酸トリフェニルポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が使用可能である。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等が好ましい。また、常温溶融塩類も用いることができる。ここで、常温溶融塩とは、常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩を示すものである。溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、4−t−ブチルピリジン、2−ピコリン、2,6−ルチジン等の塩基性化合物を前述の溶融塩電解質組成物や電解液に添加することが好ましい。塩基性化合物を電解液に添加する場合の好ましい濃度範囲は0.05〜2mol/Lである。溶融塩電解質組成物に添加する場合、塩基性化合物はイオン性基を有することが好ましい。溶融塩電解質組成物全体に対する塩基性化合物の配合割合は、好ましくは1〜40重量%であり、より好ましくは5〜30重量%である。
ポリマーマトリックスとして使用できる材料としては、高分子マトリックス単体で、あるいは可塑剤の添加や、支持電解質の添加、または可塑剤と支持電解質の添加によって固体状態またはゲル状態が形成されれば特に制限は無く、一般的に用いられるいわゆる高分子化合物を用いることができる。
上記ポリマーマトリックスとしての特性を示す高分子化合物としては、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、フッ化ビニリデン等のモノマーを重合又は共重合して得られる高分子化合物を挙げることができる。また、これらの高分子化合物は単独で用いても良く、また混合して用いても良い。これらの中でも、特にポリフッ化ビニリデン系高分子化合物が好ましい。
電荷輸送層は2通りの方法のいずれかにより形成できる。1つ目の方法は半導体層と対極を貼り合わせておき、その間隙に液状の電荷輸送層を挟み込む方法である。2つ目の方法は半導体層上に直接電荷輸送層を付与する方法で、対極はその後付与することになる。
前者の方法の場合、電荷輸送層を挟み込む際には、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセス、又は常圧より低い圧力にして間隙の気相を液相に置換する真空プロセスを利用できる。
後者の方法において湿式の電荷輸送層を用いる場合は、通常未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防止措置を施す。また、ゲル電解質組成物を用いる場合には、これを湿式で塗布した後で重合等の方法により固体化してもよい。固体化は対極を付与する前に行っても後に行ってもよい。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらのみに限定されるものではない。
実施例1
水500gにアニリン5gを加え、さらに氷冷しながら(±)−しょうのうスルホン酸6.23gを加えて15分撹拌した。過硫酸アンモニウム12.4gを加え、1分撹拌した後25時間静置した(アニリン:0.107mol/l、(±)−しょうのうスルホン酸:0.054mol/l、過硫酸アンモニウム:0.109mol/l)。得られた濃緑色の反応液を減圧ろ過し、1Lの水で3回水洗を行い、200℃で真空乾燥を行うことにより、4.7gの濃緑色固体を得た。この固体を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、平均外径約200nm、平均長さ約2μm、平均アスペクト比約10、平均内径約10nmのチューブ状のポリアニリンを確認できた。なお、図1は、当該チューブ状ポリアニリンの電子顕微鏡(SEM)写真である。
このポリアニリン0.06gを水6gに投入し、超音波分散を行った。この分散液に1Mの(NHTiF水溶液を3g、1MのHBO水溶液を6g加え、室温で24h反応させたところ、濃緑色の沈殿が得られた(ポリアニリン:0.043mol/l、(NHTiF:0.2mol/l)。この沈殿を純水で洗浄し、減圧ろ過、200℃真空乾燥を行ったところ、0.18gの濃緑色の固体が得られた。この固体をTEMで観察し、チューブ状のポリアニリンの表面が、平均粒子径約3nmの粒子状酸化チタンが連なってなる被覆層で被覆されており、平均外径約250nm、平均長さ約2μm、平均アスペクト比約8、平均内径約10nmであることを確認した。なお、図2は、ここで得られた酸化チタン−ポリアニリン複合体の電子顕微鏡(SEM)写真である。
この材料をBET法にて比表面積を測定したところ130m/gと高い比表面積を有していた。また、X線結晶構造解析を行ったところ、室温反応であるにも関わらずアナターゼ型の結晶構造を有していることがわかった。
この材料の重金属含有量をICP法で測定したところ、重金属濃度は検出限界以下(5ppm以下)であった。
また、この材料を10MPaの圧力で厚さ0.3mmの平板状に加工し、ペレット間に電圧1Vを印加したところ、粉体抵抗が14.5Ω・mであることを確認した。
実施例2
投入するポリアニリンを0.04g(モル濃度は0.029mol/l)とすること以外は実施例1と同様にして実験を行った。
その結果得られた物質のBET比表面積を測定したところ、140m/gであった。また、X線結晶構造解析を行ったところ、室温反応であるにも関わらずアナターゼ型の結晶構造を有していることがわかった。
この材料の重金属含有量をICP法で測定したところ、重金属濃度は検出限界以下(5ppm以下)であった。
また、この材料を10MPaの圧力で厚さ0.3mmの平板状に加工し、ペレット間に電圧1Vを印加したところ、粉体抵抗が14.6Ω・mであることを確認した。
実施例3
水500gにアニリン5gを加え、さらに氷冷しながらS−(+)−しょうのうスルホン酸5.5gを加えて15分撹拌した。過硫酸アンモニウム12.4gを加え、1分撹拌した後15時間静置した(アニリン:0.107mol/l、S−(+)−しょうのうスルホン酸:0.047mol/l、過硫酸アンモニウム:0.109mol/l)。得られた濃緑色の反応液を減圧ろ過し、1Lの水で3回水洗を行い、200℃で真空乾燥を行うことにより、4.8gの濃緑色固体を得た。この固体を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、平均外径約250nm、平均長さ約2μm、平均アスペクト比約8、平均内径約10nmのチューブ状のポリアニリンを確認できた。
チタンイソプロポキシド56.8g(0.2mol)に酢酸12.0g(0.2mol)を加えて撹拌したところ粘性のある均一で透明な溶液が得られた。この溶液に290gの水と濃硝酸4mlを加え、80℃に加熱したところ、平均粒子径4nm程度の酸化チタンを含む白濁したゾルが得られた(酸化チタン:0.56mol/l)。
このゾル100mlに上記のポリアニリン0.1gを浸漬し、さらに撹拌、減圧ろ過、200℃真空乾燥を行った。
得られた固体をTEMで観察し、チューブ状のポリアニリンの表面が、平均粒子径約4nmの粒子状酸化チタンが連なってなる被覆層で被覆されており、平均外径約280nm、平均長さ約2μm、平均アスペクト比約7、平均内径約10nmであることを確認した。
また、BET法にて比表面積を測定したところ100m/gと高い比表面積を有していた。また、X線結晶構造解析を行ったところ、弱いアナターゼ型の結晶構造を有していることがわかった。
この材料の重金属含有量をICP法で測定したところ、重金属濃度は検出限界以下(5ppm以下)であった。
また、この材料を10MPaの圧力で厚さ0.3mmの平板状に加工し、ペレット間に電圧1Vを印加したところ、粉体抵抗が11.0Ω・mであることを確認した。
比較例1
酸化チタンを含むゾルの代わりに、平均粒子径10nmのアナターゼ型酸化チタンナノ粒子5gを水100mlに分散させた液を用いて、実施例3と同様に行った。得られた固体をSEMで観察したが、チューブ状のポリアニリンの表面は酸化チタンで被覆されておらず、単なる混合物となっていた。
比較例2
酸化チタンを含むゾルの代わりに、チタンイソプロポキシドの5重量%イソプロパノール溶液を用いて実施例3と同様に、チューブ状のポリアニリンの表面に酸化チタンを被覆した。
得られた固体をSEMで観察したところ、断続的にチューブ状のポリアニリンの表面は酸化チタンで被覆されていた(平均外径約330nm、平均長さ約2μm、平均アスペクト比約6、平均内径約10nm)が、比表面積は20m/gと低く、X線結晶構造解析を行ったところ、結晶性が見出せなかった。
比較例3
カーボンナノチューブ(大阪ガス製・直径30nm、長さ10μm)を90℃濃硫酸で6時間処理し、純水でpH5以上まで洗浄し、150℃で真空乾燥を行った。この表面を親水化したカーボンナノチューブ0.4gを60gのポリエチレンオキサイドアルキルアミン5wt%水溶液に加え、5分間超音波分散を行った。その後、1Mの(NHTiF水溶液30gと1Mホウ酸水溶液60gを加え、24時間静置したところ、酸化チタンで被覆されたカーボンナノチューブ(平均外径約125nm、平均長さ約5 μm、平均アスペクト比約40、平均内径約12nm)が1.5g得られた。
しかし、この物質の金属含有量をICP法で測定したところ、2000ppmの鉄を含有していた。
実験例1:分散性
実施例1で得られた酸化チタン−ポリアニリン複合体と、酸化チタンで被覆していないチューブ状ポリアニリンそれぞれ0.1gを水5gに加え、超音波分散を行った。その結果、前者は水に分散して粘度の低い分散液となったが、後者は水に分散せず、不均一で粘度の高い混合物となった。
つまり、酸化チタンにとってはポリアニリンに被覆することにより凝集せず、比表面積の高い粒径の小さい状態のまま立体的に配置することができ、さらにポリアニリンの導電性を付与することができる。一方、ポリアニリンにとっては親水性のチタニアで被覆することにより、表面電位を溶媒に分散しやすい状態に改善することができる。

Claims (16)

  1. チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面が、粒子状酸化チタン(A)が連なってなる被覆層で被覆されてなることを特徴とするチューブ状又はファイバー状の酸化チタン−ポリアニリン複合体。
  2. 比表面積が30m/g以上である請求項1に記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体。
  3. 粒子状酸化チタン(A)が、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン又はアモルファス酸化チタンを含む請求項1又は2に記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体。
  4. 粒子状酸化チタン(A)が、アナターゼ型酸化チタンを含む請求項1〜3のいずれかに記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体。
  5. 重金属含有量が1000ppm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体。
  6. 前記酸化チタン−ポリアニリン複合体の長軸に直交する平均直径が10〜500nmであり、前記酸化チタン−ポリアニリン複合体の長軸の平均長さが0.1〜100μmである請求項1〜5のいずれかに記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体。
  7. 前記ポリアニリンの長軸に直交する平均直径が8〜450nmであり、前記ポリアニリンの長軸の平均長さが0.1〜100μmである請求項1〜6のいずれかに記載の酸化チタン-ポリアニリン複合体。
  8. 粒子状酸化チタン(A)の平均粒子径が1〜100nmである請求項1〜7のいずれかに記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体。
  9. 10MPa圧力下での粉体抵抗が1×10Ω・m以下である請求項1〜8のいずれかに記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体。
  10. チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面に、チタンフルオロ錯体からの析出反応により、粒子状酸化チタン(A)が連なってなる被覆層を形成する工程
    を備える、請求項1〜9のいずれかに記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体の製造方法。
  11. チタンフルオロ錯体が(NHTiF、HTiF、NaTiF、KTiF及びTiFよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記被覆層を形成する工程が、フッ化物イオン捕捉剤の共存下に行われる、請求項10又は11に記載の製造方法。
  13. さらに、得られた酸化チタン−ポリアニリン複合体を純水又はpH7以下の水溶液で洗浄する工程を備える、請求項10〜12のいずれかに記載の製造方法。
  14. さらに、得られた酸化チタン−ポリアニリン複合体を、100℃以上で乾燥処理を施す工程を備える、請求項10〜13のいずれかに記載の製造方法。
  15. 平均粒子径が20nm以下の粒子状酸化チタン(B)を含む酸化チタンゾルと接触させ、酸化チタンゾル中の粒子状酸化チタン(B)が、同じ平均粒子径を保ってポリアニリンの表面の粒子状酸化チタン(A)となり、チューブ状又はファイバー状のポリアニリンの表面に、粒子状酸化チタン(A)が連なってなる被覆層を形成する工程
    を備える、請求項1〜9のいずれかに記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体の製造方法。
  16. 請求項1〜9のいずれかに記載の酸化チタン−ポリアニリン複合体を電極基板上に含有する光電変換素子。
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