JP2007002237A - 耐摩耗性ガソリン組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リサーチ法オクタン価が89以上96未満であり、硫黄分が10質量ppm以下であって、下記の一般式(1)
R1−O−R2 ・・・(1)
(式中、R1は、炭素数2〜8の直鎖又は分岐アルキル基、R2は、水素原子又は炭素数3〜5の分岐アルキル基を表す。)
で表される化合物を含有することを特徴とする耐摩耗性ガソリン組成物である。
【選択図】なし
Description
この種のガソリンとしては、例えば、排気ガス中のSOxの増加を防止するとともに、有害物質を除去する三元触媒の活性を維持するためにガソリン中の硫黄分を極度に低減し、また、排気ガス中のベンゼンの発生を抑制するためにガソリン中の芳香族分やベンゼンを低減するなどによって環境汚染を低減し、さらにその上で、ガソリンの蒸留性状を制御することによって運転性能も改良する提案が多く行われている(例えば、特許文献1〜4参照)。
このような不都合を解決する方法として、いわゆる潤滑性向上剤を配合することが考えられる(例えば、特許文献5参照)。しかし、それでは製造コストが上昇し経済性の点で難点があり、また、そのような潤滑性向上剤を配合することによっても、必ずしも目的とする耐摩耗性が得られるとは限らない。
そこで、そのような潤滑性向上剤を配合しない場合であっても、優れた耐摩耗性を有するガソリンの出現が要望されている。
1.リサーチ法オクタン価が89以上96未満であり、硫黄分が10質量ppm以下であって、下記の一般式(1)
R1−O−R2 ・・・(1)
(式中、R1は、炭素数2〜8の直鎖又は分岐アルキル基を示し、R2は、水素原子又は炭素数3〜5の分岐アルキル基を示す。)
で表される化合物を含有することを特徴とする耐摩耗性ガソリン組成物、
2.一般式(1)のR1が、炭素数2〜5の直鎖又は分岐アルキル基である前記1に記載の耐摩耗性ガソリン組成物、
3.一般式(1)のR2が、水素原子である前記1に記載の耐摩耗性ガソリン組成物、
4.オレフィン分が5容量%以上である前記1〜3のいずれかに記載の耐摩耗性ガソリン組成物、
5.酸化防止剤を含有することを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の耐摩耗性ガソリン組成物、
6.JPI−5S−98に規定する「軽油−潤滑性試験方法」に準拠し、試験温度を25℃で行った潤滑性試験において、試験時間10分経過時における摩耗痕径が480μm以下である前記1〜5のいずれかに記載の耐摩耗性ガソリン組成物、
7.潤滑性試験にける試験時間4分経過時における試験結果が、下記の(a)及び(b)のうち少なくとも一方を満たすことを特徴とする前記項6に記載の耐摩耗性ガソリン組成物、
(a)試験円盤と試験硬球との間に通電したときの絶縁率が20%以上
(b)試験円盤と試験硬球間の摩擦係数が1.0以下
を提供するものである。
本発明の耐摩耗性ガソリン組成物は、リサーチ法オクタン価(RON)が89以上、好ましくは90以上、より好ましくは91以上である。RONが89未満では、ノッキングを生ずる恐れがあるなど運転性能が低下してしまう場合がある。一方、RONの上限値については、通常96未満である。なお、このリサーチ法オクタン価は、JIS K 2280により測定した値である。
一般式(1)のR1は、炭素数2〜8の直鎖又は分岐アルキル基を示す。このR1が炭素数2〜8のアルキル基であれば、一般式(1)で表される化合物の溶解性が良好であると共に、組成物の耐摩耗性を高めることができる。一般式(1)で表される化合物のR1の具体例としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基,tert−ブチル基、n−アミル基(n−ペンチル基)、イソアミル基(イソペンチル基)、ネオペンチル基、tert−アミル基(tert−ペンチル基)、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソ−オクチル基などが挙げられる。これらの中でも、耐摩耗性を高めるなどの効果の点から、炭素数2〜5の直鎖又は分岐アルキル基、さらに炭素数2〜4の直鎖又は分岐アルキル基であることが好ましく、特に、炭素数2のアルキル基(エチル基)が好ましい。
一方、一般式(1)で表される化合物のR2は、水素原子又は炭素数3〜5の分岐アルキル基を示す。このようなR2の具体例としては、水素原子、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基,tert−ブチル基、イソアミル基(イソペンチル基)、ネオペンチル基、tert−アミル基(tert−ペンチル基)などが挙げられる。これらの中でも水素原子及び炭素数4、又は5の分岐アルキル基が好ましく、水素原子、tert−ブチル基及びtert−アミル基がより好ましい。特に好ましくは水素原子である。
一般式(1)で表される化合物の含有量は、特に制限はないが、通常0.001〜15容量%であることが好ましく、0.005〜10容量%、更には0.01〜8容量%であることがより好ましい。なお、一般式(1)で表される化合物の含有量は、JIS K 2536−6「酸素検出式ガスクロマトグラフによる酸素分、酸素化合物の求め方」によって測定した値である。
これらの中ででも、上記の効果の点で2,6−ジ−tert−ブチルフェノールやN,N’−ジセカンダリーブチル−p−フェニレンジアミンが特に好ましい。
本発明でいうJPI−5S−98「軽油―潤滑性試験方法」に準拠した潤滑性試験方法とは、実質的にはJPI−5S−98に規定する方法において、60℃と規定している試験温度を25℃にすると共に、潤滑性試験の初期の段階で摩擦・摩耗状態を測定する方法である。
(a)試験円盤と試験硬球との間に通電したときの絶縁率が20%以上
(b)試験円盤と試験硬球間の摩擦係数が1.0以下
また、(b)の試験円盤と試験硬球間の摩擦係数については、それが小さいほど潤滑状態が良好であることを示している。
上記のように、(a)の絶縁率(潤滑膜の膜厚)が20%以上、又は(b)の摩擦係数が1.0以下であれば、さらに潤滑状態が良好であり、燃料ポンプの摺動部の摩耗が問題となる可能性は小さくなる。もちろん本発明においては、(a)と(b)の条件を同時に満たすことがより好ましく、また前記(a)の絶縁率が30%以上、(b)の摩擦係数が0.5以下であることがより好ましい。
なお、試験時間4分経過時とするのは、潤滑膜が安定に形成されるために要する時間が経過した段階であり、その初期の安定した潤滑状態の良否が実際の装置(エンジン)に使用された場合の潤滑性(耐摩耗性)と相関するからである。
すなわち、本発明の耐摩耗性ガソリン組成物は、ベンゼン含有量が1.0容量%以下であることが好ましく、0.5容量%以下がより好ましい。ベンゼンが1.0容量%以下であれば、排気ガス中のベンゼン含有量を抑えることができ、また、ガソリン自体が人体に悪影響を及ぼすこともない。なお、ベンゼン含有量は、JIS K 2536−2「石油製品成分試験方法」のガスクロマトグラフィーによる全成分試験方法によって測定した値である。
また本発明の耐摩耗性ガソリン組成物は、JIS K 2287「ガソリン酸化安定度試験方法(誘導期間法)」によって測定した酸化安定度が480分以上であることが好ましく、600分以上であることがより好ましい。酸化安定度が480分以上であれば、貯蔵中にガムが生成する恐れがなく良好である。
(ア)ベースガソリン(A)に,一般式(1)で表される化合物(B)を配合する。
(イ)さらに酸化防止剤(C)を配合する。
(1)リサーチ法オクタン価、モーター法オクタン価
JIS K 2280に準拠して測定した。
(2)硫黄分
JIS K 2541−2の微量電量滴定酸化法によって測定した。
(3)オレフィン分、ベンゼン含有量、芳香族分
これらについては、JIS K 2536−2「石油製品成分試験方法」ガスクロマトグラフィーによる全成分試験法により測定した。
(4)蒸留性状
JIS K 2541により測定した。
(5)潤滑性試験
PCS Instruments社製「HFR2 Gasoline Conversion Kit」を用い、下記の条件にて摩耗痕径、絶縁率(潤滑膜の膜厚)、摩擦係数を測定し、耐摩耗性を評価した。
・試験温度:25℃
・試験時間:4分,10分,75分の各時間
・試料量:15ml
・試料浴表面積:14cm2
・その他の条件(試験円板、試験硬球、荷重、ストローク,周波数等):
JPI−5S−98で規定する方法と同じ方法で行った。
上記の絶縁率(潤滑膜の膜厚)は、試験円板と試験硬球間に一定の低電圧をかけて、潤滑性試験を行い、そのときの電流を測定して絶縁率(%)を求めた。
第1表に示した基材、及び下記の化合物を用いて、第2表−1及び第2表−2に示す割合で混合し、第2表−1及び第2表−2に示すガソリン組成物を調製し、その性状・組成及び性能を第2表−1及び第2表−2に示す。第1表、第2表−1及び第2表−2において、DLNは脱硫軽質ナフサ、PGPZは脱ベンゼン改質ガソリン、FGは分解ガソリンを示す。また、EtOHはエチルアルコール、tBuOHはtert−ブチルアルコール、ETBEはエチルtert-ブチルエーテルを表し、酸化防止剤の内容は、2,6−ジ−tert−ブチルフェノールとN,N’−ジセカンダリーブチル−p−フェニレンジアミンの混合物(Associated Octel社製「AO−613」)である。
なお、PGPZは、改質ガソリンから蒸留によってベンゼン及びその近傍の飽和炭化水素化合物を取除いた留分である。
Claims (7)
- リサーチ法オクタン価が89以上96未満であり、硫黄分が10質量ppm以下であって、下記の一般式(1)
R1−O−R2 ・・・(1)
(式中、R1は、炭素数2〜8の直鎖又は分岐アルキル基を示し、R2は、水素原子又は炭素数3〜5の分岐アルキル基を示す。)
で表される化合物を含有することを特徴とする耐摩耗性ガソリン組成物。 - 一般式(1)のR1が、炭素数2〜5の直鎖又は分岐アルキル基である請求項1に記載の耐摩耗性ガソリン組成物。
- 一般式(1)のR2が、水素原子である請求項1に記載の耐摩耗性ガソリン組成物。
- オレフィン分が5容量%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の耐摩耗性ガソリン組成物。
- 酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐摩耗性ガソリン組成物。
- JPI−5S−98に規定する「軽油−潤滑性試験方法」に準拠し、試験温度を25℃で行った潤滑性試験において、試験時間10分経過時における摩耗痕径が480μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の耐摩耗性ガソリン組成物。
- 潤滑性試験にける試験時間4分経過時における試験結果が、下記の(a)及び(b)のうち少なくとも一方を満たすことを特徴とする請求項6に記載の耐摩耗性ガソリン組成物。
(a)試験円盤と試験硬球との間に通電したときの絶縁率が20%以上
(b)試験円盤と試験硬球間の摩擦係数が1.0以下
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