JP5432520B2 - ガソリン組成物 - Google Patents
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Description
この種のガソリンとしては、カーボンニュートラルの概念、すなわち、植物中の炭素が比較的近い過去の大気中の二酸化炭素から固定されたことから、植物由来の燃料は大気中の二酸化炭素濃度を増加させることにならないという考えのもと、植物由来の基材を従来の石油由来ガソリンへ混合することによって、燃料消費による地球温暖化への影響を低減する、いわゆるバイオガソリンの開発が集中的になされてきた。
しかしながら、このようなバイオガソリンについては、運転性能において種々の問題が報告されている。例えば、代表的なバイオガソリン基材であるエチルアルコール(エタノール)は、従来の石油由来ガソリンに混合した際、蒸気圧を上昇させ、高温時の使用に適さない他、水分混入時の相分離によるエンジンの不具合も懸念されている(例えば、特許文献1、2)。他方、既に日本において導入されているバイオガソリン基材であるエチル−tert−ブチルエーテル(ETBE)は、このような懸念は小さいものの、従来の石油由来ガソリンへ混合した際に酸化安定性を低下させるため、長期貯蔵中にガソリン内に蟻酸や酢酸などの有機酸が生成し、貯蔵施設や自動車の金属部品を腐食するなどの恐れが懸念されている(例えば、特許文献3)。
そこで、地球温暖化緩和へ貢献するとともに、従来の石油由来ガソリンと同等またはそれ以上の運転性能を持つバイオガソリンが要望されている。
[1]イソブチルアルコールを2〜30容量%含有し、かつ以下の(1)〜(7)を満たすガソリン組成物、
(1)リサーチ法オクタン価が89以上93未満
(2)硫黄分が10質量ppm以下
(3)芳香族分が10〜30容量%
(4)ベンゼン含有量が1.0容量%以下
(5)オレフィン分が20容量%以下
(6)リード蒸気圧(RVP)が55〜90kPa
(7)50%留出温度が75℃〜100℃、70%留出温度が100〜120℃、90%留出温度が140〜165℃
[3]JIS K−2287による酸化安定度が1000分以上である、上記[1]又は[2]に記載のガソリン組成物、
[4]酸化防止剤を1〜20質量ppm含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のガソリン組成物、
[6]以下の(1)〜(7)を満たすガソリン組成物を製造する際に、ベースガソリンにイソブチルアルコールを、ガソリン組成物に対して2〜30容量%含有するように添加する、ガソリン組成物の酸化安定性を改善する方法、及び
(1)リサーチ法オクタン価が89以上93未満
(2)硫黄分が10質量ppm以下
(3)芳香族分が10〜30容量%
(4)ベンゼン含有量が1.0容量%以下
(5)オレフィン分が20容量%以下
(6)リード蒸気圧(RVP)が55〜90kPa
(7)50%留出温度が75℃〜100℃、70%留出温度が100〜120℃、90%留出温度が140〜165℃
[7]さらに、ガソリン組成物の潤滑性をも改善する上記[6]に記載の方法、
に関する。
本発明のガソリン組成物は、イソブチルアルコールを2〜30容量%含有する。本発明のガソリン組成物中におけるイソブチルアルコールの含有量が2容量%以上であれば、ガソリンの耐摩耗性及び酸化安定性を向上する効果を得ることができる。また、イソブチルアルコールの含有量が30容量%以下であれば、エンジンの空燃比の制御が困難になることなく運転性能を良好に保つことができる。
上記の点から、イソブチルアルコールの含有量は、好ましくは3容量%以上、より好ましくは5容量以上であり、その上限値は好ましくは20容量%、より好ましくは15容量%である。従って、ガソリン組成物中におけるイソブチルアルコールの含有量は、3〜20容量%であることが好ましく、5〜15容量%であることがより好ましい。
本発明のガソリン組成物は、上記イソブチルアルコールを2〜30容量%含有し、かつ以下の性状あるいは組成を満たすものである。
(1)リサーチ法オクタン価が89以上93未満
(2)硫黄分が10質量ppm以下
(3)芳香族分が10〜30容量%
(4)ベンゼン含有量が1.0容量%以下
(5)オレフィン分が20容量%以下
(6)リード蒸気圧(RVP)が55〜90kPa
(7)50%留出温度が75℃〜100℃、70%留出温度が100〜120℃、90%留出温度が140〜165℃
上記の点から、本発明のガソリン組成物における芳香族分は、好ましくは26容量%以下、より好ましくは24容量%以下であり、また、好ましくは15容量%以上である。なお、芳香族分は、JIS K 2536−2「石油製品成分試験方法」のガスクロマトグラフによる全成分試験方法で測定した値である。
50%留出温度(T50):75〜100℃(80〜96℃)
70%留出温度(T70):100〜125℃(105〜120℃)
90%留出温度(T90):140〜165℃(145〜160℃)
T50、T70及びT90が上記の範囲内にあれば、加速性など運転性能が良好に保たれ、また燃費を悪化させることもなく好ましい。なお、上記T50、T70及びT90は、JIS K 2254−「石油製品−蒸留試験方法」に基づいて測定した蒸留性状から求めた値である。
これらの中でも、上記の効果の点で2,6−ジ−tert−ブチルフェノールやN,N’−ジセカンダリーブチル−p−フェニレンジアミンが好ましい。
本発明のガソリン組成物においては、さらに前記潤滑性試験方法において、試験時間75分経過時における摩耗痕径が800μm以下であることが好ましく、790μm以下であることがより好ましい。試験時間75分経過時における摩耗痕径が800μm以下であれば耐摩耗性が良好であることが確認できる。
本発明のガソリン組成物の調製に用いるイソブチルアルコール及び必要に応じて用いる酸化防止剤の内容並びにそれらの好ましい配合量は、前述の通りである。
(1)リサーチ法オクタン価が89以上93未満
(2)硫黄分が10質量ppm以下
(3)芳香族分が10〜30容量%
(4)ベンゼン含有量が1.0容量%以下
(5)オレフィン分が20容量%以下
(6)リード蒸気圧(RVP)が55〜90kPa
(7)50%留出温度が75℃〜100℃、70%留出温度が100〜120℃、90%留出温度が140〜165℃
ベースガソリン、イソブチルアルコール、ガソリン組成物及び各性状、組成等に関しては前述の通りである。また、潤滑性及び/又は酸化安定性の改善効果についても、前述のとおりである。
(1)リサーチオクタン価(RON)
JIS K 2280により測定した。
(2)密度
JIS K 2249に準拠して測定した。
(3)蒸留性状
JIS K 2254により測定した。
石油学会規格JPI−5S−49−97に準拠して測定した。
(5)ベンゼン分、オレフィン分
JIS K 2536−2により測定した。
(6)硫黄分
JIS K 2541−2に準拠して測定した。
(7)リード蒸気圧(RVP)
JIS K 2258に準拠して測定した。
石油学会規格JPI−5S−98に規定する方法において、試験温度60℃を25℃にすると共に、試験時間75分経過時における摩耗痕径の測定及び試験時間10分経過時における摩耗痕径も測定した。
(9)酸化安定度
JIS K 2287「ガソリン酸化安定度試験法(誘導期間法)」により測定した。
表1に示すガソリン基材及び下記の化合物を用いて、表2に示す割合でガソリン基材及びイソブチルアルコール等を配合し調製したガソリン組成物の性状、組成及び性能を表2に示す。表1及び表2において、FGは分解ガソリン、PGPZは脱ベンゼン改質ガソリン、DLNは脱硫軽質ナフサ、BBはブテン留分、i−BuOHはイソブチルアルコール、EtOHはエチルアルコール、ETBEはエチル−tert−ブチルエーテルを表す。また、酸化防止剤としては市販のAO−613(丸和物産(株))を用いた。
Claims (7)
- イソブチルアルコールを2〜30容量%含有し、かつ以下の(1)〜(7)を満たすガソリン組成物。
(1)リサーチ法オクタン価が89以上93未満
(2)硫黄分が10質量ppm以下
(3)芳香族分が10〜30容量%
(4)ベンゼン含有量が1.0容量%以下
(5)オレフィン分が20容量%以下
(6)リード蒸気圧(RVP)が55〜90kPa
(7)50%留出温度が75〜100℃、70%留出温度が100〜120℃、90%留出温度が140〜165℃ - JPI−5S−98に規定する方法において、温度25℃とした時の10分経過時の磨耗痕径が430μm以下で、75分経過時の磨耗痕径が800μm以下である、請求項1記載のガソリン組成物。
- JIS K−2287による酸化安定度が1000分以上である、請求項1又は2に記載のガソリン組成物。
- 酸化防止剤を1〜20質量ppm含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のガソリン組成物。
- 前記イソブチルアルコールがバイオマス由来のイソブチルアルコールである、請求項1〜4のいずれかに記載のガソリン組成物。
- 以下の(1)〜(7)を満たすガソリン組成物を製造する際に、ベースガソリンにイソブチルアルコールを、ガソリン組成物に対して2〜30容量%含有するように配合する、ガソリン組成物の酸化安定性を改善する方法。
(1)リサーチ法オクタン価が89以上93未満
(2)硫黄分が10質量ppm以下
(3)芳香族分が10〜30容量%
(4)ベンゼン含有量が1.0容量%以下
(5)オレフィン分が20容量%以下
(6)リード蒸気圧(RVP)が55〜90kPa
(7)50%留出温度が75℃〜100℃、70%留出温度が100〜120℃、90%留出温度が140〜165℃ - さらに、ガソリン組成物の潤滑性をも改善する請求項6に記載の方法。
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