JP2007001504A - 可動グリルシャッタ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 シャッタ装置の開閉のために特別な駆動手段を必要としない可動グリルシャッタ装置を提供する。
【解決手段】 シャッタ装置25,26は、回転軸41上に取付けられ第1空気流通領域31を開閉する小羽根体43および第2空気流通領域33を開閉する大羽根体44を少なくとも有する回動可能な羽根部材42を備え、回転軸を通常小羽根体が第1空気流通領域を閉止する第1の角度位置に保持する付勢手段48を備え、回転軸は小羽根体に作用する風圧により付勢手段の付勢力に抗して回動され大羽根体によって第2空気流通領域を閉止する第2の角度位置に保持されるように構成されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、フロントグリルのグリル開口部よりエンジンルーム内に流入される空気を遮断できるようにした可動グリルシャッタ装置、特にシャッタ装置の開閉のために特別な駆動手段を必要としない可動グリルシャッタ装置に関するものである。
一般に、車両前面部のフロントグリルには、エンジンルーム内に設置されたラジエータの前方に外気(空気)を導入するグリル開口部が設けられ、これによってラジエータの冷却水を冷却し、エンジンのオーバヒートを防止するようになっている。しかしながら、エンジンルーム内に導入される空気の抵抗によって、特に高速走行時において燃費効率を低下させる問題があり、また、冬季および連続した高速走行時においてはエンジンを過冷却する恐れがある。
このために従来、ラジエータグリルを開閉できるようにし、車速およびエンジン冷却水の温度に応じてエンジンルーム内への空気の導入を遮断できるようにしたものが、例えば、特許文献1あるいは特許文献2に記載されている。
上記した特許文献1に記載のものは、開閉可能なラジエータグリルを開閉作動させる負圧式のアクチュエータと、このアクチュエータを作動させるワックス型サーモスタットとを備えたもので、エンジン冷却水が設定値以下の場合には、ワックスが固形状態となってアクチュエータの両室が等圧となり、ラジエータグリルを閉状態に保持させ、エンジン冷却水が設定値以上になると、ワックスが溶解膨張してアクチュエータの両室に差圧を発生させ、これによりプランジャを移動してラジエータグリルを開状態に作動させるものである。
一方、上記した特許文献2に記載のものは、開閉可能なラジエータグリルを開閉作動させる電磁ソレノイドを備えたもので、例えば、車速が設定値以上か、あるいは、冷却水温度が設定値以下の場合には、電磁ソレノイドを無勢してラジエータグリルを閉状態に保持させ、車速が設定値以下で、冷却水温度が設定値以上の場合には、電磁ソレノイドを付勢してラジエータグリルを開状態に作動させるものである。
特開昭58−30412号公報 実開昭58−25226号公報
上記した特許文献1あるいは特許文献2に記載のものでは、ラジエータグリルを開閉させるために、負圧式のアクチュエータや電磁ソレノイド等の駆動源を必要としていた。従って、空気抵抗の低減によって燃費を改善できても、駆動源の設置により車両重量が増大した分、燃費が悪くなる恐れがあり、燃費効果を十分に発揮できないことになる。
また、従来のものでは、ラジエータグリルの開閉によって空気抵抗を低減させることは可能であるが、エンジン冷却水への影響、特にオーバヒート対策が必要となり、冷却水の温度をモニタするセンサ類が不可欠となる等、システム構成が複雑となる。このように、システム構成が複雑となることで、組付け工数が増加し、コストアップとなる問題を生ずる。
本発明は、上述した従来の問題を解消するためになされたもので、シャッタ装置を開閉するための特別な駆動源を不要にした可動グリルシャッタ装置を提供することを目的とするものである。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、フロントグリルのグリル開口部よりエンジンルーム内のラジエータに空気を流入させるとともに、エンジンルーム内への空気の流入を遮断する開閉可能なシャッタ装置を備えた可動グリルシャッタ装置において、前記シャッタ装置は、回転軸上に取付けられ第1空気流通領域を開閉する小羽根体および第2空気流通領域を開閉する大羽根体を少なくとも有する回動可能な羽根部材を備え、前記回転軸を通常前記小羽根体が前記第1空気流通領域を閉止する第1の角度位置に保持する付勢手段を備え、前記回転軸は前記小羽根体に作用する風圧により前記付勢手段の付勢力に抗して回動され前記大羽根体によって前記第2空気流通領域を閉止する第2の角度位置に保持されるように構成されていることを特徴とするものである。
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記大小の羽根体は、前記回転軸上に90度異なる角度位相で設けられ、前記小羽根体が風圧によって前記付勢手段の付勢力に抗して回動されると、前記大羽根体が前記第2流入領域を閉止する角度位置に回動されるようになっているものである。
請求項3に係る発明は、請求項2において、前記回転軸の両端部に前記小羽根体がそれぞれ取付けられ、前記回転軸の中央部に前記大羽根体が取付けられているものである。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記シャッタ装置を、前記ラジエータを設置した車体ボディ側に取付けたものである。
請求項5に係る発明は、請求項4において、前記シャッタ装置を、前記車体ボディに取付けたダクト装置に設けたものである。
また、請求項6に係る発明は、請求項5において、前記ダクト装置の前記空気流通路の開口端に前記グリル開口部の端部に気密的に接続する柔軟結合部を設けたものである。
上記のように構成した請求項1に係る発明によれば、回転軸上に取付けられ第1空気流通領域を開閉する小羽根体および第2空気流通領域を開閉する大羽根体を少なくとも有する回動可能な羽根部材を備え、回転軸を通常小羽根体が第1空気流通領域を閉止する第1の角度位置に保持する付勢手段を備え、回転軸は小羽根体に作用する風圧により付勢手段の付勢力に抗して回動され大羽根体によって第2空気流通領域を閉止する第2の角度位置に保持されるように構成されているので、羽根部材に作用する空気圧力を利用してシャッタ装置を開閉させることができ、シャッタ装置を開閉するための特別な駆動手段を不要にすることができる。
従って、可動グリルシャッタ装置を車両に装備しても、車両重量の増大を極力抑制でき、燃費効果を遺憾なく発揮することができる。また、車速を検出するセンサおよびそのセンサ信号に応じて制御するシステム構成も必要なくなるので、コスト低減に寄与することができる。
上記のように構成した請求項2に係る発明によれば、大小の羽根体は、回転軸上に90度異なる角度位相で設けられ、小羽根体が風圧によって付勢手段の付勢力に抗して回動されると、大羽根体が第2流入領域を閉止する角度位置に回動されるようになっているので、小羽根体が風圧によって回動されると、大羽根体が風圧を受ける角度位置に回動され、シャッタ装置を安定かつ確実に作動することができる。
上記のように構成した請求項3に係る発明によれば、回転軸の両端部に小羽根体がそれぞれ取付けられ、回転軸の中央部に大羽根体が取付けられているので、シャッタ装置を車幅方向に対称に配置することができ、バランス上および見栄えをよくすることができる。
上記のように構成した請求項4に係る発明によれば、シャッタ装置を、ラジエータを設置した車体ボディ側に取付けたので、車両の衝突等によってバンパーがダメージを受けても、シャッタ装置への影響を少なくすることができるとともに、バンパーを車両に取付ける前にシャッタ装置の組付けを行い得、組付性および作業性を向上することができる。
上記のように構成した請求項5に係る発明によれば、シャッタ装置を、車体ボディに取付けたダクト装置に支持したので、ダクト装置によって取り込んだ空気を整流してラジエータに導くことができ、空気の乱流等による空気抵抗の増大を抑えて燃費効果を高めることができる。
上記のように構成した請求項6に係る発明によれば、ダクト装置の空気流通路の開口端にグリル開口部の端部に気密的に接続する柔軟結合部を設けたので、グリル開口部とラジエータとの間に密閉された空気流通路を容易に形成できるとともに、車両衝突時のバンパーの軽度な変形を柔軟結合部で吸収でき、シャッタ装置への影響を少なくすることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は車両前部のエンジンルーム10内を示すもので、エンジンルーム10内には、エンジン冷却水を冷却するためのラジエータ11が配置され、ラジエータ11は車体ボディ12に取付けられている。ラジエータ11の前方上方に対応して、グリル意匠部13に開口された第1のグリル開口部14が配設され、また、ラジエータ11の前方上方に対応して、バンパー15に開口された第2のグリル開口部16が配設されている。ラジエータ11の前方には、第1のグリル開口部14と第2のグリル開口部16との間において、車体ボディ12に取付けられるバンパーリィンフォース17が配置され、バンパーリィンフォース17の前面には発泡体緩衝材18を介して樹脂からなるバンパー15の表皮部材19が取付けられている。
ラジエータ11の前方には、第1のグリル開口部14より導入された空気をラジエータ11の前面上部に導入する第1のダクト装置21と、第2のグリル開口部16より導入された空気をラジエータ11の前面下部に導入する第2のダクト装置22が上下に併設され、これらダクト装置21、22はブラケット23、24を介して車体ボディ12にそれぞれ取付けられている。
第1および第2のダクト装置21、22には、グリル開口部14、16より流入した空気を遮断する第1および第2のシャッタ装置25,26がそれぞれ備えられている。以下、第2のシャッタ装置26を備えた第2のダクト装置22の構成を、図2〜図6に基づいて説明するが、第1のシャッタ装置25を備えた第1のダクト装置21も基本的には同じ構成であるため、同一構成については同一符号を付し、重複する説明は極力省略することにする。
下方に配置された第2のダクト装置22は、図2および図3に示すように、矩形状の比較的流通面積の小さな第1空気流通領域31を形成したダクト部材32と、このダクト部材32の側方に一体に取付けられ車幅方向に細長く延びた矩形状(長方形状)の流通面積の大きな第2空気流通領域33を形成した筐体枠34とによって構成されている。なお、第2空気流通領域33の側壁の一部は後述する羽根部材の回動を許容するために切り欠かれている。
ダクト部材32の先端は、前記第2のグリル開口部16に向けて開口され、後端は上下方向に拡大されてラジエータ11の下方右端に向けて開口されている。第1および第2空気流通領域31,33は水平方向に隣接され、第2のグリル開口部16より導入された空気が流通するようになっている。
シャッタ装置26は、ダクト部材32および筐体枠34の上部に回転可能に支持された回転軸41と、この回転軸41上に取付けられた大小の羽根体からなる羽根部材42を備えている。回転軸41の一端には第1空気流通領域31を開閉する横幅の小さな小羽根体43の一端が固定され、回転軸41の他端には第2空気流通領域33を開閉する横幅の大きな大羽根体44の一端が固定されている。小羽根体43および大羽根体44は角度が90度異なる直交した関係に配置され、小羽根体43が鉛直な姿勢となる第1の角度位置と、大羽根体44が鉛直な姿勢となる第2の角度位置との間で羽根部材42は90度回動できるようになっている。羽根部材42の回動範囲を90度に規制するために、回転軸41に固設された当接部材45に当接する一対のストッパ46,47が筐体枠34に取付けられている。筐体枠34と羽根部材42(大羽根体44)との間には付勢手段をなす引張スプリング48が設けられ、引張スプリング48のばね力によって回転軸41は通常一方のストッパ46に当接部材45が当接する角度位置に保持されている。これによって、通常は小羽根体43によってダクト部材32に形成された第1空気流通領域31を閉止し、筐体枠34に形成した第2空気流通領域33を開口している。この状態において、小羽根体43に作用する風圧(空気圧力)により小羽根体43がラジエータ11側に向いた水平な角度位置に回動されると、大羽根体44は第2空気流通領域33を閉止する角度位置に回動される。
ダクト部材31の先端開口部には、図1に示すように、柔軟結合部51が取付けられ、柔軟結合部51の内周に第2のグリル開口部16に形成した開口端部16aが気密的に嵌合するようになっている。柔軟結合部51は、前後方向に伸縮可能でかつそれに直交する鉛直な面内で弾性変位可能な柔軟性をもつ蛇腹機能を有しており、バンパー15の組付け時の位置ずれを吸収しながらバンパー15とダクト部材31とを気密を保持して接続できるようにしている。これによって、第2の開口部16よりラジエータ11の前面下部に至る密閉された下部導入通路52を形成している。なお、柔軟結合部51としては、蛇腹状に形成する他、伸縮かつ変形可能なゴム材にて構成することもできる。
シャッタ装置23を備えた第1のダクト装置21についても、ダクト部材31の先端開口部に柔軟結合部53が取付けられ、この柔軟結合部53の内面上面にはボンネット周囲部材54から延長された壁55が接合され、内面下面にはバンパー15の上部壁15aが接合され、これによって、第1の開口部14よりラジエータ11の前面上部に至る密閉された上部導入通路56を形成している。
次に上記した実施の形態における動作について説明する。通常第1および第2のシャッタ装置25,26は付勢手段(引張スプリング)48の付勢力によって、小羽根体43が第1空気流通領域31を閉止し、大羽根体44が第2空気流通領域33を開口する第1の角度位置に保持されている。これにより、車両が走行すると、第1および第2のグリル開口部14、16より導入された空気は、第2空気流通領域33を介してエンジンルーム10内に流入され、この空気はラジエータ11の前面に作用してラジエータ11の放熱効果を高め、エンジン冷却水の温度上昇を抑制する。
車両の速度が上昇すると、小羽根体43に作用する空気圧力(空気抵抗)が増加し、その空気圧力による羽根回動力が付勢手段48の付勢力に打ち勝つと、羽根部材42が回転軸41を中心にして回動する。これにより、小羽根体43は第1空気流通領域31を徐々に開口状態に変化させ、一方、大羽根体44は第2空気流通領域33を徐々に閉止状態に変化させる。大羽根体44が閉止状態に近づくと、空気圧力は大羽根体44に作用して羽根部材42にはさらに大きな回動力が作用されるようになるため、羽根部材42は大羽根体44によって第2空気流通領域33を閉止する第2の角度位置まで回動され、その位置で当接部材45がストッパ47に当接して回動を規制される。
この結果、高速走行時においては、流通面積の大きな第2空気流通領域33が大羽根体44によって閉止されるため、エンジンルーム10内に流入される空気によって車両に作用する空気抵抗を減少させることができ、燃費を向上させることができる。また、高速走行時においても、小羽根体43が流通面積の小さな第1空気流通領域31を開口しているため、この第1空気流通領域31より空気をエンジンルーム10内に取り込むことができ、高速走行時におけるエンジンのオーバヒートを防止することができる。この場合、高速走行時においては低速ないしは中速走行時に比べてエンジンルーム10内に取り込まれる風量が多くなるため、小さな開口面積でもオーバヒートを防止するに十分な空気を導入できる。
このように高速走行時においては、グリル開口部14、16より多量の空気が導入され、第1空気流通領域31を通ってラジエータ11の前面に導かれるが、第1空気流通領域31を通る空気はダクト部材32に沿って流れ、エンジンルーム10内で澱んだり、乱流となって流れることがないので、高速走行時における空気抵抗を効果的に低減することができ、燃費を向上することができるようになる。
なお、小羽根体43および大羽根体44によって第1および第2空気流通領域31、33の開閉が切替えられる車速領域は、空気圧力を受ける小羽根体43の受圧面積および付勢手段48の付勢力によって予め設定することが可能であり、また、付勢手段48の付勢力を調整できる構造にすれば、車両装着後に切替え時期を任意に変更することも可能である。
車両の速度が低下すると、大羽根体44にかかる空気圧力(空気抵抗)が減少し、その空気圧力による羽根回動力が付勢手段48の付勢力より下回ると、羽根部材42は付勢手段48の付勢力によって前記と逆方向に回動する。これにより、大羽根体44は第2空気流通領域33を徐々に開口状態に変化させるとともに、小羽根体43は第1空気流通領域31を徐々に閉止状態に変化させ、遂には、小羽根体43によって第1空気流通領域31を閉止する第1の角度位置に保持されるに至る。
ここで、羽根部材42が第1の角度位置から第2の角度位置に回動される車速と、第2の角度位置から第1の角度位置に復帰される車速は、空気圧力を受ける小羽根体43および大羽根体44の受圧面積が相違するために同じにはならずヒステリシスを生ずる。このヒステリシスは、ある車速領域を境に車両が増速、減速を繰り返しても、羽根部材42が復帰した後にすぐに再び回動を始めるといったハンチング的な挙動を抑えるうえで有効となる。
上記した第1の実施の形態によれば、羽根部材42に作用する空気圧力を利用してシャッタ装置25,26を開閉させるようにしたので、シャッタ装置25、26を開閉するための特別な駆動手段を不要にすることができ、これにより、可動グリルシャッタ装置を車両に装備しても、車両重量の増大を極力抑制でき、燃費効果を有効に発揮することができるとともに、システム構成も必要なくなるので、コスト低減に寄与できる。
上記した第1の実施の形態においては、回転軸41上に1つずつの小羽根体43と大羽根体44を設けた羽根部材42の例で説明したが、左右方向(車幅方向)のバランスを考慮して、図7に示すように、両端に小羽根体43A、43Bを、中央に大羽根体44を左右対称に配置することもできる。そして、この場合には、両端に一対のダクト部材31を配置し、その間に筐体枠34を設けるようにすればよい。
図8は、本発明の第2の実施の形態を示すもので、羽根部材42を互いに受圧面積の異なる3種類の羽根体によって構成したものである。すなわち、図8に示すように、回転軸41には、第1空気流通領域Z1を開閉する横幅が最も小さな小羽根体61と、第3流入領域Z3を開閉する横幅が最も大きな大羽根体63と、第2流入領域Z2を開閉するその中間の横幅をもつ中羽根体62が、それぞれ90度ずつ角度位相を異にして設けられている。
羽根部材42は通常、小羽根体61が第1空気流通領域Z1を閉止する第1の角度位置に保持され、このとき、中羽根体62は90度異なる水平な角度位置に、また、大羽根体63は180度異なる上向きの角度位置にそれぞれ保持され、共に第2および第3空気流通領域Z2、Z3を開口している。羽根部材42は、第1の実施の形態で述べたと同様に、通常付勢手段による付勢力によって第1の角度位置に保持されるが、この第2の実施の形態においては、図示を省略したが、付勢手段が羽根部材42の角度位置に応じて異なる2段階の付勢力を発生するように構成されている。すなわち、羽根部材42の第1の角度位置においては、羽根部材42には第1付勢手段(第1スプリング)の付勢力が作用されているが、羽根部材42が図8に示すように第2の角度位置に達すると、さらに第2付勢手段(第2スプリング)の付勢力が羽根部材42に作用し、より大きな外力が作用しないと羽根部材42が回動されないようにしている。
かかる第2の実施の形態においては、車両の速度の上昇によって、小羽根体61に作用する空気圧力(空気抵抗)が増加すると、羽根部材42は第1の付勢手段65の付勢力に打ち勝って回動され、小羽根体61によって第1空気流通領域Z1が開口されるとともに、中羽根体62によって第2空気流通領域Z2が閉止される。これによって、グリル開口部14,16より導入された空気は、小羽根体61によって開口された第1空気流通領域Z1および大羽根体63によって依然開口している第3空気流通領域Z3を介してエンジンルーム10内に流入し、ラジエータ11を通るエンジン冷却水を冷却する。
車両の速度がさらに上昇して、中羽根体62にかかる空気圧力(空気抵抗)が第2の付勢手段66の付勢力に打ち勝つまで増加すると、羽根部材42は第2の付勢手段66の付勢力に抗して回動され、中羽根体62によって第2空気流通領域Z2が開口されるとともに、大羽根体63によって第3空気流通領域Z3が閉止される。
この結果、高速走行時においては、空気流通領域の大部分が大羽根体63によって閉止されるため、エンジンルーム10内に導入される空気によって車両に作用する空気抵抗を減少させることができ、燃費を向上させることができる。特に、第2の実施の形態においては、車速に応じて空気流通領域の開口面積を多段階に制御できるので、車速の上昇に応じて空気低減の減少程度を変化させることができる。
従って、高速走行時においては、第1の実施の形態で述べたと同様に、エンジンルーム10内に流入される空気によって車両に作用する空気抵抗を減少させることができ、燃費を向上させることができるとともに、中速走行時においては、エンジン冷却水の冷却作用を行いながら、車両に作用する空気抵抗を減少させることができるようになる。
上記した実施の形態においては、第1および第2のシャッタ装置25,26を備えた第1および第2のダクト装置21、22を、車体ボディ12側に取付けたが、ダクト装置21、22はフロントグリル側(グリル意匠部13、バンパー15)に取付けることもできる。
上記した実施の形態においては、グリル意匠部13およびバンパー15にそれぞれグリル開口部14、16を設け、これらグリル開口部14、16から導入される空気を2組のシャッタ装置25,26によって遮断できるようにした例について述べたが、グリル開口部をグリル意匠部13もしくはバンパー15のいずれか一方にのみ設けた車両については、当然のことながら空気流通領域およびそれを開閉するシャッタ装置はそれぞれ1組となる。
また、上記した実施の形態においては、大小の羽根体43,44によって開閉される第1および第2空気流通領域31、33が相互に仕切られた構成となっているが、1つの連続した空気流通路とし、その空気流通路の各領域を大小の羽根体43,44によって開閉させるようにしてもよい。
本発明の第1の実施の形態を示す可動グリルシャッタ装置の概要図である。 図1におけるシャッタ装置を備えたダクト装置を示す斜視図である。 図2のA方向から見た図である。 図3のB−B線に沿って切断した断面図である。 図3の作動状態を示す図である。 図5のC−C線に沿って切断した断面図である。 羽根部材の変形例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態を示す羽根部材を示す図である。
符号の説明
10…エンジンルーム、11…ラジエータ、12…車体ボディ、13…グリル意匠部、14、16…グリル開口部、15…バンパー、17…バンパーリィンフォース、21、22…ダクト装置、25、26…シャッタ装置、31…第1空気流通領域、32…ダクト部材、33…第2空気流通領域、34…筐体枠、41…回転軸、42…羽根部材、43…小羽根体、44…大羽根体、46、47…ストッパ、48…付勢手段(引張スプリング)、51、53…柔軟結合部。

Claims (6)

  1. フロントグリルのグリル開口部よりエンジンルーム内のラジエータに空気を流入させるとともに、エンジンルーム内への空気の流入を遮断する開閉可能なシャッタ装置を備えた可動グリルシャッタ装置において、前記シャッタ装置は、回転軸上に取付けられ第1空気流通領域を開閉する小羽根体および第2空気流通領域を開閉する大羽根体を少なくとも有する回動可能な羽根部材を備え、前記回転軸を通常前記小羽根体が前記第1空気流通領域を閉止する第1の角度位置に保持する付勢手段を備え、前記回転軸は前記小羽根体に作用する風圧により前記付勢手段の付勢力に抗して回動され前記大羽根体によって前記第2空気流通領域を閉止する第2の角度位置に保持されるように構成されていることを特徴とする可動グリルシャッタ装置。
  2. 請求項1において、前記大小の羽根体は、前記回転軸上に90度異なる角度位相で設けられ、前記小羽根体が風圧によって前記付勢手段の付勢力に抗して回動されると、前記大羽根体が前記第2空気流通領域を閉止する角度位置に回動されるようになっている可動グリルシャッタ装置。
  3. 請求項2において、前記回転軸の両端部に前記小羽根体がそれぞれ取付けられ、前記回転軸の中央部に前記大羽根体が取付けられている可動グリルシャッタ装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記シャッタ装置を、前記ラジエータを設置した車体ボディ側に取付けてなる可動グリルシャッタ装置。
  5. 請求項4において、前記シャッタ装置を、前記車体ボディに取付けたダクト装置に設けてなる可動グリルシャッタ装置。
  6. 請求項5において、前記ダクト装置の前記空気流通路の開口端に前記グリル開口部の端部に気密的に接続する柔軟結合部を設けてなる可動グリルシャッタ装置。
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