JP2006528605A - 不飽和カルボニル化合物の製造方法 - Google Patents

不飽和カルボニル化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】オキソ基を有する炭化水素を、気相にて、不均一触媒を用いて脱水素する改善された方法を提供する。
【解決手段】α−、β−不飽和非環式又は環式カルボニル化合物の製造方法であって、対応の飽和カルボニル化合物を、酸化物担体上に白金及び/又はパラジウム及び錫を含む不均一触媒を用い、気相で脱水素することによる製造方法が得られた。

Description

本発明は、α−、β−不飽和非環式又は環式カルボニル化合物の製造方法であって、対応の飽和カルボニル化合物を、不均一脱水素触媒を用い、気相で脱水素することによる製造方法に関する。
JP49127909A2には飽和ケトンの脱水素方法が記載されている。この方法では、500℃にて、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化カリウムを含む触媒を用い、水蒸気を添加することにより、ブタノンを1−ブテン−3−オンに転化率5.5%及び選択率83%にて転化することができる。
しかしながら、酸化鉄を主材料とする上記触媒は、脱水素対象の炭化水素に対して比較的大量の水蒸気と共に用いる必要があり、オキソ基を有する炭化水素の存在下では失活が非常に早い。
US6,433,299B1には、対応の飽和ケトンの脱水素により環式α−、β−不飽和ケトンを製造する方法、特にシクロペンタノンを脱水素して2−シクロペンテン−1−オンを得る方法が記載されている。この方法は不均一触媒を用い、脱水素の対象である出発材料1モル当たり0.1モル未満の酸素の存在下に気相で行われる。同文献に記載されている触媒はCuO、AgO、PdO、NiO、Mn23又はRe27を、ZnO、CaO、BaO、SiO2又はAl23に施したものである。実施例においては、9.5%のPd、及び0.55%のPtをZrO2上に含む触媒が使用されている。明細書の記載によると、400〜500℃で触媒の再生が行われる。
US6,433,299B1に記載された触媒も、同文献に記載された条件下において数時間で失活する。更に、400〜500℃における再生は、反応技術管理の観点から、あまり実際的ではない。すなわち、比較的高い温度のホットスポットの発生を回避するために、酸素含有ガスを非常に高率で希釈することが必要であり、これにより再生時間が長引き、作業が煩わしく、更に費用が嵩むため実際の使用には好ましくない。更に、400〜500℃の範囲の温度は、実際に行われる再生時間内で、特に深い細孔を有する組成物等の触媒から炭素含有堆積物を完全に取り除くためには十分ではない場合が多い。一方、比較的高いホットスポットの温度が生ずることにより、酸化物材料の焼結等に起因して、上記触媒が損傷を受けることが考えられる。
JP49127909A2 US6,433,299B1
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、オキソ基を有する炭化水素を、気相にて、不均一触媒を用いて脱水素する改善された方法を提供することにある。本発明の方法は、簡単かつ実際的な、触媒の再生方法を含むと好ましい。
上記目的を達成するため、本発明者等により、α−、β−不飽和非環式又は環式カルボニル化合物の製造方法であって、対応の飽和カルボニル化合物を、酸化物担体上に白金及び/又はパラジウム及び錫を含む不均一触媒を用い、気相で脱水素することによる製造方法が見出された。
本発明において用いられる脱水素触媒は通常、担体と活性組成物とを含む。担体は耐熱性酸化物又は混合酸化物を含む。脱水素触媒に含まれる担体は、二酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ランタン、酸化セリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択されると好ましい。更に好ましい担体の例は、二酸化ジルコニウム及び/又は二酸化ケイ素、特に好ましくは二酸化ジルコンと二酸化珪素との混合物である。
本発明の脱水素触媒の活性組成物は、白金及び/又はパラジウムを活性金属として含む。本発明の脱水素触媒は、更に錫を含む。一般に、脱水素触媒は、脱水素触媒全質量に対して、0.01〜2質量%、好ましくは0.1〜1質量%、特に好ましくは0.2〜6質量%のパラジウム及び/又は白金と、0.01〜10質量%、好ましくは0.2〜2質量%、特に好ましくは0.4〜1質量%の錫とを含む。脱水素触媒中の活性金属として白金を用いる場合には、白金:錫の質量割合は1〜3、特に約2とされる。
更に、脱水素触媒は、更に主族I及び/又はIIの1種類以上の元素、好ましくはカリウム及び/又はセシウムを更に含んでもよい。また、脱水素触媒はランタノイド及びアクチノイドを含む遷移族IIIの1種類以上の元素、好ましくはランタン及び/又はセリウムを含んでもよい。更に、本発明の脱水素触媒は主族IIIの1種類以上の元素、及び/又は主族IVの他の元素、好ましくはホウ素、ガリウム、珪素及び鉛からなる群から選択された1種類以上の元素を更に含んでもよい。
好ましい実施の形態において、パラジウム及び/又は白金、及び錫、更に主族I及び/又はIIの少なくとも1種類の元素、及びランタノイド及びアクチノイドを含む遷移族III の少なくとも1種類の元素を含む。
好ましい実施の形態において、活性組成物は更に以下の成分を含む。
触媒の全質量に対して0〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましくは0.2〜1.0質量%の主族I又はIIの少なくとも1種類の元素、好ましくはセシウム及び/又はカリウム、
触媒の全質量に対して0〜20質量%、好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.2〜10質量%、更に好ましくは1〜5質量%のランタノイド及びアクチノイドを含む遷移族IIIの少なくとも1種類の元素。
脱水素触媒は、ハロゲンを含まないことが好ましい。
[脱水素触媒の製造]
本発明により使用される脱水素触媒を製造するため、か焼により酸化物に変換可能な、ジルコニウム、珪素、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ランタン又はセリウムの酸化物の前駆体を使用することができる。これらの脱水素触媒は、ゾル-ゲル法、塩の沈殿、対応する酸の脱水、乾燥、混合、スラリー化、又はスプレードライを行うことにより製造される。例えば、ZrO2・Al23・SiO2混合酸化物を製造するためには、適当なジルコニウム含有前駆体を沈殿させることにより、まず、式ZrO2・xH2Oで示される水を多く含む酸化ジルコニウムを製造することができる。適当なジルコニウム前駆体の例は、Zr(NO34、ZrOCl2又はZrCl4である。沈殿は、NaOH、KOH、Na2CO3及びNH3等の塩基を添加することにより行われるが、これについては例えばEP−A0849224号公報に記載されている。
ZrO2・SiO2混合酸化物を製造するために、上記ジルコニウム含有前駆体をシリコン含有前駆体と混合する。SiO2の適する前駆体は、例えばSiO2の水含有ゾル、例えばLudox(登録商標)である。2種類の前駆体の混合は、例えば簡単な機械的混合、又はスプレードライヤーを用いたスプレードライにより行われる。
ZrO2・SiO2・Al23混合酸化物の製造において、上記のように得られたZrO2・SiO2粉体混合物をアルミニウム含有前駆体に混合することが可能である。混合は、例えば混練器を用いた単純な機械的混合により行われる。また、ZrO2・SiO2・Al23混合酸化物も各前駆体を乾燥混合することにより単一工程で製造することが可能である。
本発明により用いられる脱水素触媒に用いる単体は、特に、簡単に成形可能であるという利点を有する。このため、得られた粉体混合物を濃縮した酸と混練器で混合し、次いでラム押出機又はスクリュー押出機等により成形体とされる。
好ましい実施の形態において、本発明の脱水素触媒は、所定の細孔構造を有する。混合酸化物を用いる場合には、細孔構造を所定の方法で変化させることができる。各種前駆体の粒径を変化させることにより細孔構造に影響が与えられる。すなわち、例えばAl23は強熱減量が少ないため、これを用いて所定の粒径分布とすることにより、微細構造体中にミクロ細孔を形成することが可能となる。強熱減量が約3%のAl23(例えばPuralox(登録商標))が、この目的に有効であることがわかっている。
本発明の脱水素触媒に用いられる特定の孔径分布を有する担体を製造するための他の方法として、担体の製造中に種々のポリマーを添加する方法がある。そして、後に、か焼によりポリマーが部分的又は完全に除去されると、所定孔径分布範囲の細孔が形成される。ポリマーと酸化物前駆体との混合は、例えば簡単な機械的混合又はスプレードライヤーを用いたスプレードライにより行うことができる。
双峰孔径分布を有する担体を製造するために、PVP(ポリビニルピロリドン)を用いると特に有効であることがわかっている。Zr、Ti、Al又はSiのいずれかの元素の酸化物を得るための1種類以上の酸化物前駆体に、製造工程でPVPを添加すると、か焼後に200〜5000nmのミクロ細孔が形成される。PVPを用いることにより、担体の成形性が向上するという利点も得られる。すなわち、新たに沈殿したZrO2・xH2Oを予めPVPと蟻酸とを添加して120℃で乾燥させて用いることにより、他の酸化物前駆体を使用しなくても、優れた機械的特性を有する押出物を得ることができる。
本発明の脱水素触媒に用いられる担体は、活性成分を施した後に400〜1000℃、好ましくは500〜700℃、特に好ましくは550℃〜650℃、更に560℃〜620℃でか焼される。か焼温度は、一般に、本発明の脱水素触媒が使用される脱水素反応の温度以上とするとよい。
本発明の脱水素触媒用担体は、通常、か焼後に大きなBET表面積を有する。BET表面積は、通常40m2/gを超過し、50m2/gを超過すると好ましく、70m2/gを超過すると特に好ましい。本発明の脱水素触媒の細孔容量は、通常は0.2〜0.6ml/gの範囲にあり、0.25〜0.5ml/gの範囲にあると好ましい。本発明の脱水素触媒の平均孔径のHg細孔解析法(ポロシメトリー)による測定値は、3〜20nm、好ましくは4〜15nmである。
本発明の脱水素触媒は、更に双峰孔径分布を有するという特徴を有する。細孔(径)は20nm以下と、40〜5000nmの双方の範囲に分布する。これらの細孔の合計は、脱水素触媒の全細孔容量の70%以上となる。20nmよりも小さい細孔の割合は通常20〜60%であり、40〜5000nmの範囲の細孔の割合は通常は20〜60%である。
脱水素活性成分は、適する金属塩前駆体の含浸により施与されると好ましい。適する金属塩前駆体での含浸の代わりに、脱水素活性成分を、金属塩前駆体を担体上に噴霧する等の他の方法で脱水素活性成分を施すことも可能である。適当な金属前駆体の例としては、適当な金属の硝酸塩、酢酸塩及び塩化物、及び使用金属の錯体カチオンがある。白金をH2PtCl6、シュウ酸白金(II)又はPt(NO32として用いるか、又はパラジウムをシュウ酸パラジウム(II)又はPd(NO32として用いると好ましい。水と有機溶媒の双方が金属塩前駆体用の溶媒として好ましく用いられる。特に適する溶媒は、水及び低級アルコール、例えばメタノール又はエタノールである。
脱水素活性成分として貴金属を用いる場合の適する前駆体は、対応の貴金ゾルである。貴金属ゾルは、PVP等の安定剤の存在下に、還元剤により金属塩を還元する等の公知方法により製造される。この技術は、ドイツ特許出願DE19500366号に包括的に記載されている。
活性組成物の他の成分は、担体を製造する間に共沈等により施与してもよいし、適当な前駆体化合物で担体を含浸する等により後の工程で施与してもよい。前駆体化合物としては、か焼により対応の酸化物に変換可能な化合物が一般的に用いられる。適する前駆体の例には、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、塩化物、又は適当な金属のヒドロキシ炭酸塩がある。
アルカリ金属及びアルカリ土類金属を施すためには、か焼により対応の酸化物に変換可能な化合物の水溶液を用いることが好ましい。適する化合物の例は、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の水酸化物、炭酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、又は塩基性炭酸塩である。触媒の担体を主族又は遷移族IIIでドープする場合、か焼により対応の酸化物に変換可能な水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、蟻酸塩又はシュウ酸塩、例えばLa(OH)3、La3(CO32、La(NO33、酢酸ランタン、蟻酸ランタン又はシュウ酸ランタン等が頻繁に使用される。
脱水素触媒は、固定床又は流動床形態としての反応器中で用いることができ、適当な形状とされる。適当な形状とは、例えば細粒(顆粒)、ペレット、モノリス、球体又は押出物(棒状、車輪型、星型、環状)等である。
[好ましい触媒担体の製造]
本発明の方法の特に好ましい実施の形態では、二酸化ジルコニウムをモノマー、オリゴマー又はポリマーの有機珪素化合物(バインダー)、及び必要に応じて細孔形成剤、必要に応じて酸、水、及び必要に応じて他の添加剤と混合することにより得られた担体を用い、混練可能な組成物を製造し、得られた組成物を均質化し、成形し、得られた成形体を乾燥、か焼する。
実施的に単斜晶系の大きな表面積を有する二酸化ジルコニウムの粉体を、か焼によりSiO2を形成する有機珪素化合物(バインダー)と混合し、ペレット、押出物及び球等の成形体を成形し、成形体をか焼することにより、機械的安定性が高く、カルボニル化合物の脱水素に非常に適した細孔構造を有する触媒担体の製造が可能となる。得られた触媒用担体は数百回の酸化再生サイクルに耐えるに十分な安定性を有し、機械的損傷や活性の損失も示さない。
バインダーとして使用される有機珪素化合物は、通常は液体である。このように、大表面積を有する二酸化ジルコニウムを、混合中に有機珪素化合物で均一に湿潤させ、この結果、二酸化ジルコニウム粒子の周囲に有機珪素化合物を施すか、あるいは二酸化ジルコニウム粒子を有機珪素化合物にて部分的に含浸する。これにより、二酸化ジルコニウム粒子間に高い結合力が得られると共に、成形した触媒担体も非常に良好な機械的安定性を有するものとなる。成形後の触媒担体をか焼すると、有機珪素バインダーの有機基が燃焼する。これによりSiO2が得られ、二酸化ジルコニウム母材中に非常に微細に分散される。有機珪素バインダーの有機基が燃焼することにより更に細孔が形成される。有機珪素バインダーを二酸化ジルコニウム母材中に均一に分配したことによって、これらの細孔も同様に均一に分布することになる。これにより、触媒担体の全細孔の割合が増大する。更にSiO2が存在することにより、加熱焼結に対して二酸化ジルコニウムを安定化させる作用が生ずる。二酸化珪素の分散が均一に行われるほど、上記の安定化作用が徐々に顕著となる。
適する有機珪素バインダーは、例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、A24版、21〜56頁に記載されているように、モノマー、オリゴマー、又はポリマー状シラン、アルコキシシラン、アリールオキシシラン、アシルオキシシラン、オキシイミノシラン、ハロシラン、アミノシラン、アミノシラン、アミドシラン、シラザン又はシリコンである。これらの具体例としては、以下の式(I)〜(VI)で表されるモノマー化合物が含まれる。
Figure 2006528605
上記式中、
Halは、相互に独立に、ハロゲン(F、Cl、Br又はI)を、
Rは、相互に独立に、H、置換又は無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールアルキル又はアリール基を、
1、R2は、相互に独立に、H、置換又は無置換のアルキル、アシル、アリールアルキル又はアリール基を、及び
xは、0〜4を意味する。
R、R1及びR2は、それぞれ、H、直鎖状又は分岐状のアルキル基、好ましくはC1−C6アルキルとすることができる。Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル又はtert−ブチルであると特に好ましく、メチル又はエチルであると極めて好ましい。R、R1及びR2は、更にアリール基(好ましくはフェニル)、又はアリールアルキル基(好ましくベンジル)であると好ましい。
更に、Rはアルケニル基(好ましくはC2−C6アルケニル、特にビニル又はアリル)、又はアルキニル基(好ましくはエチニル)であってもよい。
更に、R1及びR2は、アシル基、好ましくはC2−C6アシル基、特にアセチル基であってもよい。
式(I)で表される適当な有機珪素の例は、SiCl4、MeSiCl3、Me2SiCl2及びMe3SiClである。
式(IV)の適する有機珪素化合物の例は、Si(OEt)4、MeSi(OEt)3、Me2Si(OEt)2、Me3SiOEtである。
式(V)で示される適する化合物の例は、Me3Si(NMeCOMe)及び
MeSi(NMeCOCH265)である。
式(VI)で表される適する化合物の例は、(MeO)3SiNMe2である。
適するオリゴマー及びポリマー状の有機珪素化合物はメチルシリコーンとエチルシリコーンである。
極めて好ましい有機珪素バインダーはメチルシリコーン、例えばWacker社製、Silres(登録商標)シリーズである。
第一の工程では、二酸化ジルコニウムの粉体を有機珪素バインダー、必要に応じて細孔形成剤、必要に応じて酸、水、及び必要に応じて他の添加剤と混合し、混練可能な組成物を製造する。以下の材料、すなわち
a)50〜98質量%の二酸化ジルコニウム粉末、
b)2〜50質量%、特に好ましくは5〜20質量%の有機珪素化合物、
c)0〜48質量%、特に好ましくは0〜10質量%の細孔形成剤、及び
d)0〜48質量%、特に好ましくは0〜10質量%の他の添加剤、
を、成分a)〜d)の合計を100質量%とし、更に水と酸とを添加して混合し、混練可能な組成物を得ると好ましい。
二酸化ジルコニウム粉末は大きな表面積を有し、通常は実質的に単斜晶系の二酸化ジルコニウム粉末である。85〜100質量%、好ましくは90〜100質量%の単斜晶系二酸化ジルコニウムを含む実質的に単斜晶系の二酸化ジルコニウム粉末は、EP−A0716883号に記載されているように、硝酸ジルコニル又は塩化ジルコニル溶液をアンモニア水溶液にpHが14〜6に低下するように添加することにより、アンモニアによるジルコニウム塩の沈殿を行い、沈殿生成物を洗浄し、乾燥及びか焼することにより製造可能である。このため、まず、炭酸ジルコニウムと塩酸とから通常2〜5モル%濃度の濃縮塩化ジルコニウム溶液を製造するか、又は炭酸ジルコニウムと硝酸とから通常2〜5モル%濃度の濃縮硝酸ジルコニウム溶液を製造する。このように得られた溶液を最初に装填したアンモニア水溶液(約15モル%のNH3)に、通常は20〜60℃で添加し、この間pHを監視する。pHが6〜8となったら添加を終了する。pHを6未満に低下させてはならない。この後、更に通常30〜600分にわたり攪拌を行う。
沈殿生成物を洗浄し、次いでアンモニア塩を圧搾ろ過器等で除去し、乾燥させ、300〜600℃、好ましくは400〜500℃、0.05〜1バールの空気中でか焼する。このように得られた実質的に単斜晶系の二酸化ジルコニウムは、少量の正方晶形又は立方晶形の変形体を含む。か焼前の水蒸気分圧を0.2〜0.9バールとして乾燥を行うことにより、正方晶形又は立方晶形の変形体の割合をX線検知限界まで低下させることが可能である。この乾燥処理は、例えば120℃にて16時間かけて行われる。
通常は、二酸化ジルコニウムと有機珪素化合物に水を添加することにより混練可能な化合物が得られる。
更に、触媒担体組成物に酸を添加することも可能である。これにより混練可能な化合物の解膠(ペプチゼーション)作用が得られる。適する酸の例は、硝酸及び酢酸、好ましくは硝酸である。
通常、触媒担体組成物は細孔形成剤を含む。適する細孔形成剤の例は、ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシド、炭水化物、例えばセルロース及び糖、天然繊維、パルプ又は合成ポリマー、例えばポリビニルアルコールである。
触媒担体成形組成物は、更に他の添加剤を含んでもよい。他の添加剤の例には、流動性に影響を与える公知の化合物がある。
成分a)〜f)を混合し、慣用の混合器で均一化する。適する混合器としては、例えば混練器、パンミル及びMix-Mullersが挙げられ、これらにより良好な混合が行われ、当初不均一であった混練可能材料が均一とされる。次いで触媒担体成形組成物は押出し等により成形体とされ、押出物又は中空の担体が得られる。
このように得られた触媒担体の成形体は、次いで一般には乾燥に付される。乾燥は、例えば90〜120℃において10〜100時間にわたり行われる。
乾燥した触媒担体成形体は、更にか焼される。か焼は、一般に300〜800℃、好ましくは400〜600℃で0.5〜6時間にわたり行われる。か焼は空中で、大気圧にて行われると好ましい。
触媒担体に適当な金属塩溶液を含浸させたか焼は、通常350〜650℃にて0.5〜6時間にわたり行われる。
[脱水素触媒の再生]
本発明のカルボニル化合物では、少量の高沸点、高分子量有機化合物、又は炭素が長時間にわたり形成され、これらが触媒表面及び細孔に堆積し、最終的に触媒を失活させる。
失活後の脱水素触媒は、一般に、不活性ガスでフラッシュし、酸素含有ガス混合物を触媒に通し、不活性ガスでフラッシュし、次いで水素により活性化を行うことにより再生される。そして上記全工程は大気圧下で行われる。US5,087,792号明細書に記載された方法では、不活性ガスによりフラッシュし、酸素含有ガス混合物を触媒に通し、不活性ガスでフラッシュし、次いでHCl/酸素混合物を触媒に通して活性金属(パラジウム)を触媒上に再分散させる。
再生方法は以下の工程(b)を含むと好ましい。
(b)不活性ガスを含む酸素含有ガス混合物を、酸素濃度をO2初期値0.01〜1容量%から、O2最終値10〜25容量%に段階的又は連続的に上昇させながら、0.5〜20バールの圧力、気体の空間速度1000〜50000時間-1にて、0.25〜24時間にわたり、触媒床中を通過させる。
通常は、工程(b)を行う前に下記工程(a)が行われる。
(a)圧力0.5〜2.0バール、気体空間速度1000〜50000時間-1の不活性ガスでフラッシュする。
後の工程としては、必要に応じて、工程(c)及び/又は(d)を行う。
(c)必要に応じて、不活性ガスを含む酸素含有ガス混合物を、酸素濃度をO2容量10%〜25%として、気体空間速度10〜500時間-1、0.25〜10時間にわたり触媒に通す。
(d)必要に応じて、0.5〜20バールの範囲にて圧力を反対方向に2〜20倍で迅速に変化させる操作を繰り返す。
一般的には工程(b)、(c)又は(d)の後に工程(e)を行う。
(e)不活性ガス又はガス流にてフラッシュする。
最後に工程(f)を行うことが好ましい。
(f)触媒を水素により活性化させる。
通常は、少なくとも工程(c)及び(d)のいずれかを行い、再生工程(方法)の全体を300〜800℃の範囲内で行う。工程(b)と、工程(c)((c)を行う場合)を、500℃を超過する温度で行うことが好ましい。
脱水素触媒は脱水素反応器中に存在すると好ましい。しかしながら、別の再生反応意中で再生を行ってもよい。
工程(a)において、使用後のフラッシュ用のガスが脱水素生成物及び水素を検知可能な(痕跡)量も含まなくなるまで、すなわちガスクロマトグラフィー等の慣用の分析方法では痕跡も検出できない水準まで、不活性ガスを用いたフラッシュを継続すると好ましい。圧力0.5〜2.0バール、気体の空間速度1000〜50000時間-1とする場合には、通常0.1〜24時間のフラッシュが必要とされる。圧力は、一般に1〜1.5バールであり、気体の空間速度は2000〜20000時間-1であると好ましい。このフラッシュ工程は、0.1〜6時間で行われると好ましい。不活性ガスとしては一般に窒素が用いられる。更にフラッシュガス中に、例えば10〜90容量%の水蒸気が存在してもよい。
工程(b)において、酸素含有ガス混合物を触媒床に通し、触媒粒子表面上の炭素堆積物を燃焼させる。酸素含有ガス混合物としては、希釈空気を用いると好ましく、希釈空気は、不活性ガスの他に、例えば10〜90容量%の水蒸気を含んでもよい。酸素含有量は、通常は初期濃度0.01〜1容量%、例えば0.1容量%から、最終濃度10〜25容量%へと徐々に増加させる。酸素含有ガス中に水蒸気が存在せず、空気を用いる場合、最終濃度は酸素の容量を約21%とすることが一般的である。圧力は、脱水素工程で用いられる圧力を確実に上回る値とすることが重要である。具体的には、圧力は3〜7バールであると好ましく、4〜6バール等とすることができる。処理時間は0.5〜12時間であると好ましく、1〜9時間等とすることができる。通常は、高速の気体の空間速度、好ましくは2000〜20000時間-1が用いられる。
工程(c)では、酸素割合の大きな酸素含有ガス混合物を、触媒床を通過させる。この目的では空気が好ましく使用される。酸素含有気体混合物は水蒸気を、例えば10〜90容量%の量で含んでいてもよい。本工程では、触媒粒子の細孔中に体積した炭素を焼却する。この工程は、低速の気体の空間速度、例えば10〜500時間-1、好ましくは20〜100時間-1で行われる。圧力には、特に制限はなく、工程(b)と同様の圧力を用いても、これより低い圧力を用いてもよいが、一般には0.5〜20バール、好ましくは1〜5バールが用いられる。
工程(d)では、圧力を反対方向に迅速に繰り返し変化させるため、短い時間間隔で、圧力上昇とこれに次ぐ圧力降下が行われる。これにより、細孔間に形成されたCO2が効果的に除去される。圧力変化は、1〜5バールの範囲内で2〜5倍の変化となるように、2〜20回にわたり繰り返される。例えば、1バールから5バールへ、及び5バールから1バールへの、合計で3回の圧力上昇と3回の圧力降下とを行う。圧力上昇工程と圧力降下工程との総合時間は0.1〜1時間であることが好ましい。反応器内で圧力を迅速に下降させるためには、気体の空間速度は低すぎてはならず、通常100〜50000時間-1、好ましくは1000〜20000時間-1される。
工程(c)及び工程(d)は、交互に行ってもよい。通常は、これらの工程の少なくとも一方を行う。工程(d)は、工程(C)が0.25〜5時間等の短時間で行われた場合に採用するとよい。工程(c)がこれよりも長時間、例えば20〜100時間にわたり行われる場合には、工程(d)を割愛してもよい。
工程(e)では、窒素又はアルゴン等の不活性ガス、又は蒸気により、好ましくは1分から1時間にわたり触媒をフラッシュする。この後、工程(f)において、水素による触媒の活性化を行う。これ自体は公知であり、同工程は純粋な水素を用いて行っても、不活性ガス及び/又は水蒸気を例えば10〜90容量%の量で含む水素含有ガスを用いて行ってもよい。活性化は10分〜2時間にわたり大気圧下にて行われると好ましい。
工程(a)〜(f)の全工程は、通常300〜800℃、好ましくは400〜700℃の温度とされると好ましい。工程(b)と(c)は500℃を超過する温度で行われると好ましい。
[脱水素]
非酸化的脱水として、カルボニル化合物の気相における脱水素を行った。この反応では、適当な飽和カルボニル化合物が脱水素反応器中の脱水素活性触媒の使用により、少なくとも部分的にα−、β−不飽和カルボニル化合物へと転化する。同反応では、複数種類の不飽和化合物を生成することもある。更に、水素と少量の低分子量副生成物、例えばメタン、エタン、エテン、プロパン及びプロペンが得られる。脱水素を行う方法によっては、炭素酸化物(CO、CO2)、水及び窒素が生成物ガス混合物中に含まれることもある。更に、未反応の不飽和出発材料が生成物ガス混合物中に含まれることも一般に生ずる。
環式又は非環式カルボニル化合物として、環式又は非環式アルデヒド又はケトンの脱水素を行うことも可能である。本発明の方法により脱水素可能であり、対応のα−、β−不飽和化合物を生成する非環式アルデヒド及びケトンの例は、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ブタノン、2−ペンタノン、及び2−ヘキサノンである。脱水素は以下の反応スキームにより生ずる。
Figure 2006528605
1は、H又はメチル、R2はH、メチル又はエチル、R3及びR4は相互に独立にH、C1−C4アルキル(メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル)又は飽和又は不飽和フェニル又はピリジルを意味する。
本発明の方法により脱水素可能な環式ケトンの例は、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びシクロヘプタノンである。上記環式ケトンの脱水素は、以下の反応スキームにより生ずる。
Figure 2006528605
式中、Yは−CH2−、−CH2CH2−又は−CH2CH2CH2−を意味する。
非酸化的接触脱水素は、追加的な供給ガス流に酸素含有ガスを用いても、用いなくても行うことができる。
酸化的処理に比較して、上記非酸化的方法では生成ガスに水素が含まれるという異なる特徴を有する。酸化的脱水素においては、一定量の遊離水素が生成することはない。
上記非酸化的接触脱水素は、原則的に、従来技術において公知のあらゆる操作方法を用い、あらゆるタイプの反応器において行われる。本発明の目的に適する脱水素方法について、「Catalytica(登録商標)Studies Division, Oxidative Dehydrogenation and Alternative Dehydrogenation Process」 (Study Number 4192 OD, 1993, 430 Ferguson Drive, Mountain View, カリフォルニア、94043-5272,USA)に包括的な記載がある。
適する反応器の型は、固定床管状反応器、又はシェルアンドチューブ型反応器である。これらの反応器において、触媒(脱水素触媒、及び、追加的給送ガス流として酸素を用いる場合には場合により所定の酸化触媒)を固定床として反応管内又は反応管群内に配置する。反応管は、一般に、メタン等の炭化水素ガスを反応管周囲の空間で燃焼させることにより、又は熱移動媒体(塩浴、循環ガス等)を用いること等による気体を用いた、間接的な加熱を行う。加熱スリーブ等により反応管の電気的加熱を行うことも可能である。通常用いられる反応管の内径は、約10〜15cmの範囲にある。脱水素用の特定のシェルアンドチューブ反応器は、約10〜10000本、好ましくは10〜200本の反応管を含む。反応管の内部温度は、通常300〜1200℃、好ましくは400〜600℃とされる。処理圧力は、通常0.5〜8バールであり、低希釈率の蒸気を用いる場合(プロパンの脱水素についてのLinde法参照)は1〜2バールとすることが多く、高希釈率の水蒸気を用いる場合(Phillips Petroleum Co.,によるプロパンとブタンの脱水素法に関する「Steam active reforming process」(STAR法)、US4,902,849、US4,996,387、US5,389,342参照)には3〜8バールとすることが多い。同触媒についての典型的な空間速度(GHSV)は、使用する炭化水素に対して500〜2000時間-1の範囲とされる。触媒の形状は、例えば球形又は円筒形(中空又は中実)とされる。
非酸化的接触脱水素は、Chem. Eng. Sci. 1992 b, 47(9-11)2313に記載されているように、流動床中、不均一触媒により行ってもよい。2個の流動床を平行に用い、その一方を再生用として稼動することが好ましい。処理圧は通常1〜2バールとされ、脱水素温度は一般に550〜600℃とされる。脱水素触媒を反応温度まで予備加熱することにより、脱水素に必要とされる熱を反応系にもたらす。追加的な酸素含有供給ガス流(補助流)に混合することにより、酸素の存在下に水素が燃焼して反応系中で必要な熱が直接生成すれば、予備加熱器を省略することができる。
非酸化的接触脱水素反応は、トレイ型反応器中、補助反応流として酸素含有ガスを用いても、用いなくても行うことができる。トレイ型反応器内には1個以上の触媒床が順次配列されており、触媒床の数は1〜20、好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜3とされる。反応ガスは触媒床の半径方向又は軸方向に流動すると好ましい。このようなトレイ型反応器は、固定触媒床を用いることにより使用される。最も単純な場合は、固定触媒床はシャフト炉型反応器(shaft furnace reactor)内又は同軸の円筒状メッシュの環状の間隙内に半径方向に配置することが可能である。シャフト炉型反応器1個は1トレイに相当する。単純なシャフト炉型反応器中での脱水素反応は、酸素含有補助流の併用が可能な好ましい実施の形態に対応する。他の好ましい実施の形態において、脱水素は3個の触媒床を有するトレイ反応器中で行われる。酸素含有ガスを補助供給流として使用しない操作においては、反応ガス混合物がトレイ反応器中で1個の触媒床から次の触媒床に移動する経路において、高温ガスにより加熱された熱交換表面上に反応ガス混合物を通過させることにより、又は反応ガス混合物を高温の燃焼気体により加熱された管内を通過させることにより、反応ガス混合物を中間加熱する。
本発明の方法の一実施の形態において、非酸化的接触脱水素を自熱により行う。このため、酸素を反応ガス混合物中に、少なくとも一箇所の反応帯域において混入させ、更に水素及び/又は反応ガス混合物中に存在する炭化水素の少なくとも一部を燃焼させ、これにより脱水素に必要な熱の少なくとも一部が、一箇所以上の反応帯域における反応ガス混合物中で直接生成する。
一般に、反応ガス混合物に添加された酸素含有ガスの使用量は、脱水素反応に必要な熱が、反応ガス混合物中に存在する水素、場合によっては更に反応ガス混合物中に存在するカルボニル化合物、及び/又は炭素析出物の形態で存在する炭素の燃焼により生じるように選定される。一般に、カルボニル化合物の全使用量に対して、導入される酸素の総量は0.001〜0.5モル/モル、好ましくは0.005〜0.2モル/モル、特に好ましくは0.05〜0.2モル/モルである。純粋な酸素を用いても、酸素と不活性ガスとの混合物の形態、例えば空気の状態としての酸素含有ガスを用いてもよい。不活性ガスと得られた燃焼ガスは更に希釈効果を有し、これにより不均一接触脱水素反応が進行する。
発熱のために燃焼させる水素は、該接触脱水素により生成した水素と、場合により反応混合物に水素含有ガスとして添加される追加の水素とを含む。水素の使用量は、酸素導入直後の反応ガス混合物中のH2/O2のモル比が1〜10モル/モル、好ましくは2〜5モル/モルとなるような量であると好ましい。多段の反応器における、酸素含有ガス、及び水素含有ガス(使用する場合)の各中間的導入において上記使用量が用いられる。
水素の燃焼は接触的に行われる。脱水素触媒を用い、更に酸素を添加することにより、カルボニル化合物及び水素の燃焼の触媒作用が得られる。従って、原則的には、上記以外の特別の酸化触媒を用いる必要はない。一実施の形態において、カルボニル化合物の存在下における酸素を用いた水素の燃焼に選択的触媒作用を示す1種類以上の酸化触媒が使用される。すなわち、酸素を用いたカルボニル化合物の燃焼では、CO、CO2及び水が副次的量(少量)でのみ得られる。脱水素触媒と酸化触媒は、異なる反応帯域に存在すると好ましい。
反応を複数工程で行う場合、酸化触媒を単一の反応帯域のみに用いても、複数の反応帯域に用いても、全ての反応帯域に用いてもよい。
水素の酸化に選択的触媒作用を与える触媒は、反応器中の他の場所よりも高い酸素分圧を有する部分、特に酸素含有ガス供給部付近に装填されると好ましい。酸素含有ガス及び/又は水素含有ガスは反応器の一部分で供給しても、多部分で供給してもよい。
本発明の方法の一実施の形態において、酸素含有ガス、及び水素含有ガスの中間的導入は、トレイ反応器の各トレイの上流で行われる。更に、本発明の他の実施の形態において、酸素含有ガスと水素含有ガスとを、第一のトレイから各トレイの上流で供給する。そして、他の形態では所定の酸化触媒床を各導入部の下流に施し、次いで脱水素触媒床を設ける。更に他の実施の形態では酸化触媒を特に用いない場合もある。脱水素温度は通常400〜1100℃、トレイ反応器の最後の触媒床の圧力は通常0.2〜5バール、好ましくは1〜3バールとされる。空間速度(GHSV)は通常は500〜2000時間-1、高装填量の処理では100000時間-1まで、好ましくは4000〜16000時間-1とされる。
水素の燃焼に選択的触媒作用を示す好ましい触媒の例には、ゲルマニウム、錫、鉛、砒素、アンチモン又はビスマスの酸化物及び/又はリン酸塩からなる群から選択された酸化物及び/又はリン酸塩が含まれる。水素の燃焼における触媒の他の好ましい例には、遷移族VIII及び/又はIの貴金属がある。
[脱水素生成物の後処理]
脱水素生成物の後処理を連続的又はバッチ式に行った。
脱水素反応による生成物は、主に、α−、β−不飽和カルボニル化合物、未反応出発化合物、水、水素、CO、CO2及び低沸点炭化水素、例えばメタン、エテン、エタン、プロペン及びプロパンから構成される。反応器生成物中における低沸点成分は冷却器に分離可能であり、水、生成物に含まれる出発材料の凝縮液混合物が得られる。出発材料及び生成物の各カルボニル化合物は双方とも極性が高いため、有機相と水相とに分ける相分離は十分に行えない場合も、全く生じない場合もある。このような場合には、水性凝縮液の有機抽出剤による抽出を後処理として行ってもよい。出発材料と生成物の沸点よりも顕著に高い沸点又は顕著に低い沸点の抽出剤を用いると好適である。同抽出剤は後に蒸留を行うことにより回収される。次いで、残留する出発材料/生成物混合物を更に蒸留により分割する。回収した出発材料を脱水素反応に戻すと好ましい。水、出発材料及び/又は生成物の間の共沸が起こる場合には、抽出剤の留去を行っても同時に水相に水が残存するような抽出剤を選択して使用すると好ましい。また、抽出処理の代わりに、シクロヘキサン等の適当な共留剤を用いた共沸蒸留を行いて、水も分離してもよい。
後処理は、シクロペンタノンから2−シクロペンテン−1−オンへの脱水素については、図に示した例によりこれを行うことができる。シクロペンタノン(1)と、水/水蒸気混合物(2)とを蒸発器(3)に給送し、気化させる。水素(4)と、必要に応じて酸素又は酸素含有ガス(5)とを気体状のシクロペンタノン/水蒸気混合物に給送し、同気体混合物を脱水素反応器(6)に給送する。反応生成物(7)は、主に、水素化生成物の2−シクロペンテン−1−オン、未反応のシクロペンタノン、水蒸気、水素、CO、CO2、及びメタン等の低沸点炭化水素から構成される。冷却器(8)では、低沸点材料、例えば水素、CO、CO2及びメタン、並びにメタンが分離される。凝縮液(10)は主に、水、2−シクロペンテン−1−オン、及びシクロペンタノンからなる。更に後の抽出工程(11)では、凝縮液(10)の有機成分が有機抽出剤(15)により抽出される。適する有機抽出剤の例は、酢酸エチル、メチルtert−ブチルエーテル及びジクロロメタンである。抽出工程(11)を経た水相は、少なくとも部分的に副流(12a)として脱水素反応に循環給送される。抽出工程を経た有機相は主に2−シクロペンテン−1−オン、シクロペンタノン及び有機抽出剤からなる。同有機相は蒸留塔(14)にもたらされ、有機抽出剤は塔頂にて圧力150ミリバール等で分離、回収される。副生物の堆積を回避するため、回収した抽出剤の副流(15a)(パージ流)を主流(15)から除外する。塔底のオフテイク流(16)はシクロペンタノン及び2−シクロペンテン−1−オンからなり、更なる蒸留塔(17)で、好ましくは減圧下、例えば70ミリバールで分離される。これによりシクロヘキサノン(18)が塔頂生成物として、2−シクロペンテン−1−オン(19)が塔底生成物として得られる。シクロペンタノン(18)は脱水素反応に再度循環される。粗生成物(19)は下流の高純度蒸留塔(20)での蒸留により更に精製され、純粋な生成物が塔頂オフテイク流(21)として得られる。高純度蒸留塔(20)は30ミリバール等の減圧下で操作されると好ましい。残留物流動化剤(bottom fluidizer)、例えばプロピレカーボネート又は脂肪族アルコールエトキシレート等を添加する。高沸点不純物を残留物流動化剤と共に、塔底テイクオフ流(23)(パージ流)として除去する。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
[脱水素触媒の製造]
11.992gのSnCl2・2H2Oと、7.888gのH2PtCl6・6H2Oとの5950mlのエタノール溶液を、1000gの粉砕したZrO2・SiO2混合酸化物(Norton社製)(篩分け画分:1.6〜2mm)に注入した。
回転式蒸発器で上澄みのエタノールを除去した。次いで固体成分を100℃にて15時間乾燥させ、560℃にて3時間か焼した。得られた触媒に、7.68gのCsNO3、13.54gのKNO3、及び98.329gのLa(NO33・6H2Oを23mlのH2O中に含む溶液を添加した。回転式蒸発器にて上澄みの水を除去した。次いで固体成分を100℃にて15時間乾燥させ、560℃にて3時間か焼した。
得られた触媒のBET表面積は85m2/gであった。水銀ポロシメトリー(水銀圧入法)による測定では、孔径0.29ml/gの結果を得た。
[実施例2]
[シクロペンタノンから2−シクロペンテノンへの脱水素]
シクロペンタノンと水とを一緒に蒸発器により気化させ、実施例1により得られた触媒を用い、500℃の連続法にて管状反応器にて脱水素に付する。供給材料としての水蒸気:シクロペンタノンの質量割合は1:1である。供給材料をLHSV1.25時間-1にて触媒に通過させる。LHSVは触媒床の単位体積あたりのシクロペンタノン流と定義される(標準条件下における液体体積流と定義)。
反応器において得られた生成物は、冷却器中0℃で液化し、未凝縮の気体成分から分別される。液化された反応器内の生成物(約50%の水を含む)を酢酸エチルで抽出する。2相を分離した後、主に抽出剤、シクロペンタノン及びシクロペンテノンからなる有機相を分別蒸留に付す。
抽出剤(酢酸エチル)を150ミリバール、40℃の塔頂にて最初に留去する。塔底にて分離される高沸点留分を残留物流動化剤と混合する。この後の蒸留工程において、再度減圧し、70ミリバール、60℃の塔底生成物から最初にシクロペンタノンを分離し、30ミリバール、60℃の塔頂にて最後に2−シクロペンテン−1−オンを分離する。
得られたシクロペンテノンの純度は>99.5%であった。回収されたシクロペンタノンは脱水素反応に再度利用され、抽出剤は抽出に戻し使用される。
8時間のテスト稼動では、平均転化率18%が得られた。すなわち、転嫁率は稼動一時間後の約24%から8時間後には約8%に下降した。2−シクロペンテン−1−オン生成の平均選択率は85%であった。触媒上の有機堆積物以外に生成した副生成物は、メタン、エチレン、プロピレン及び炭素酸化物等、実質的に気体の化合物のみであった。
一定サイクルで触媒を再生した。
[実施例3]
LHSVを0.4時間-1、シクロペンタノンに対する水蒸気の使用割合を50質量%とした以外は、実施例2と同様の操作を行った。生成物を回収し、8時間後に分析した。転化率は24.8%の測定結果が得られた。

Claims (14)

  1. α−、β−不飽和非環式又は環式カルボニル化合物の製造方法であって、対応の飽和カルボニル化合物を、酸化物担体上に白金及び/又はパラジウム及び錫を含む不均一触媒を用い、気相で脱水素することによる製造方法。
  2. 酸化物担体が、二酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ランタン又は酸化セリウムである請求項1に記載の製造方法。
  3. 脱水素触媒が、二酸化ジルコニウム及び/又は二酸化ケイ素を含む請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 脱水素触媒が、更に主族I又はIIの少なくとも1種類の元素、及びランタノイド及びアクチノイドを含む遷移族IIIの少なくとも1種類の元素を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 脱水素触媒が、セシウム及び/又はカリウムを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 脱水素触媒が、ランタン及び/又はセリウムを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 酸素分子の存在下、自熱条件下で脱水素を行う請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 不活性ガスを含む酸素含有ガス混合物を、その酸素濃度をO2容量初期値0.01〜1%から、O2容量最終値10〜25%に段階的又は連続的に上昇させながら、2〜20バールの圧力、気体の空間速度1000〜50000時間-1にて、0.25〜24時間にわたり触媒床を通過させる工程を少なくとも含む再生方法により再生された脱水素触媒を使用する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 脱水素触媒の再生方法が、以下の工程(a)、(b)及び(e)、及び必要に応じて(c)、(d)及び(f)、すなわち
    (a)0.5〜2.0バールの圧力、かつ気体の空間速度1000〜50000時間-1の不活性ガスにてフラッシュする工程、
    (b)不活性ガスを含む酸素含有ガス混合物を、その酸素濃度をO2容量初期値0.01〜1%から、O2容量最終値10〜25%に段階的又は連続的に上昇させながら、2〜20バールの圧力、気体の空間速度1000〜50000時間-1にて、0.25〜24時間にわたり触媒床中を通過させる工程、
    (c)必要に応じて、不活性ガスを含む酸素含有ガス混合物を、その酸素濃度をO2容量10%からO2容量25%に上昇させながら、0.5〜20バールの圧力、気体の空間速度10〜500時間-1にて、0.25〜100時間にわたり触媒床中を通過させる工程、
    (d)必要に応じて、高速の反対方向の圧力変化を、2〜20倍の変化となるように0.5〜20バールの範囲で繰り返し行う工程、
    (e)不活性ガスでフラッシュする工程、
    (f)水素を用いて触媒を活性化する工程、
    を含み、前記工程(c)又は(d)の少なくともいずれか一方が行われ、全再生方法が300〜800℃の範囲で行われる、請求項8に記載の製造方法。
  10. 工程(b)と、場合により工程(c)を>500℃で行う、請求項8又は9に記載の製造方法。
  11. 環式又は非環式カルボニル化合物が、環式又は非環式アルデヒド又はケトンである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ブタノン、2−ペンタノン及び2−ヘキサノンからなる群から選択された非環式アルデヒド又はケトンの脱水素を行う、請求項11に記載の製造方法。
  13. シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びシクロヘプタノンからなる群から選択された環式ケトンの脱水素を行う、請求項11に記載の製造方法。
  14. 請求項8〜10のいずれか1項に記載の製造方法により得られた、再生された脱水素触媒を請求項1に記載の製造方法に使用する方法。
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