JP2006522228A - 繊維を形成する装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、繊維を形成するための装置及び方法を対象とする。装置の1つの実施形態は、複数のノズル、1つ以上の繊細化媒質通路、及びカバープレートを有するダイ組立体を備える。カバープレートはカバープレート開口部を有し、この中へノズルの1つ以上が延びることができる。繊細化媒質通路は最小断面積を有し、及びカバープレート開口部は制限断面積を有し、繊細化媒質通路の最小断面積がカバープレート開口部の制限断面積より大きいようになっている。本発明の方法は又、小さい内部圧力低下をもたらすダイを提供すること、ダイを出る繊細化媒質を冷却すること、及び/又は高い相対溶媒蒸気含量を有する繊細化媒質を繊細化領域へ提供することを備えることができる。

Description

本発明は、一般に、繊維を形成する装置及び方法と繊維を備える製品に関する。より具体的には、本発明は、高生産性ダイを備える装置と紡糸方法に関する。
製造された繊維及びそのような繊維を備える不織布は、業務製品及び消費者製品において種々の多数の用途を有する。製造された繊維は、例えば、おむつ、女性用衛生物品、拭取り布、衣料品、包装材、タオル、ティッシュー、手術用外衣及びガウン、壁紙、自動車用途、航空機用途、軍事用途、及び船舶用途などの吸収性物品、並びに建築原料、筆記媒体、フィルター、及び断熱材中で使用されることが多い。種々の特性を有する異なるタイプの製造繊維に対する要求のために、多数の繊維形成方法及び装置が開発されてきた。
最も一般的な繊維形成技法の一部として、メルトブローイング、湿式紡糸、及び乾式紡糸が挙げられる。これらの方法のそれぞれでは、繊維原料は、流動可能な状態に軟化され、ダイ及び/又は紡糸口金を押し通されて、初期繊維を形成し、これが次に通常は機械的に細長くされて、所望の最終繊維を形成する。繊維のメルトブローイング法は、一般に、熱可塑性原料を溶融すること、繊維を形成すること、及び次に熱可塑性原料を冷却して固化繊維を形成することを備える。湿式紡糸は、一般に、ポリマーと溶媒の溶液で形成された繊維を硫酸ナトリウム水溶液などの凝固浴中に押し出すことを備える。乾式紡糸は、一般に、ポリマーと溶媒の溶液を空中に押し出して固体繊維を形成することを備える。これらの方法により形成される繊維は、ベルトのような表面上に集積されて不織布を形成することが多く、又は他の方法で化学的又は機械的操作により処理されて、その特性を変化又は強化される。繊維をメルトブローイング及び紡糸する方法及び装置の例が、米国特許第3,825,379号(ローカンプ(Lohkamp)へ発行)、米国特許第4,826,415号及び第5,017,112号(メンデ(Mende)へ発行)、米国特許第5,445,785号(リム(Rhim)へ発行)、米国特許第4,380,570号、第5,476,616号、及び第6,013,223号(シュワルツ(Schwarz)へ発行)、並びに米国特許第6,364,647B1号(サンボーン(Sanborn)へ発行)に記載されている。
しかしながら、そのような既知の方法及び装置の成功にもかかわらず、改善が当技術分野において必要とされている。例えば、より効率的に繊維を形成するための方法及び装置を提供することが望ましい。より細い及び/又はより均一なサイズの繊維を形成するための方法及び装置を提供することも望ましい。更に、ダイ内の繊細化媒質に関連する圧力低下が既知の繊維製造装置及び方法と比べると比較的小さい、繊維を形成するための方法及び装置を提供することが望ましい。装置内部と装置を出た後の間の繊細化媒質の圧力差を減少することにより、既存繊維形成方法及び装置と比較すると、繊細化領域内の繊細化媒質中でより高い相対溶媒蒸気含量レベルが可能になる、繊維を形成するための方法及び装置を提供することも望ましい。更にまた、非熱可塑性及び/又は溶媒可溶性の原料から繊維を形成するための方法及び装置を提供することが望ましい。更にまた、非熱可塑性及び/又は溶媒可溶性の原料から繊維を形成可能な多列紡糸オリフィスを備える、高生産性ダイ装置を提供することが望ましい。更にまた、ダイ内の繊細化媒質に関連する圧力低下が小さいので、繊細化媒質の流量及び/又は速度が従来型ダイと同じようなものである時でさえも高い相対溶媒蒸気含量レベルが可能である、繊維を形成するための方法及び装置を提供することが望ましい。
本発明の装置及び方法は、従来技術の欠点を解決し、繊維を形成するための改良された装置及び方法を提供可能であることが判明した。具体的には、一実施形態において、本発明は、繊維を形成するための装置を提供し、これは:繊維に形成される原料を受け入れるための繊維原料供給空洞及び繊細化媒質入口を備えるダイ組立体と;複数のノズル及び1つ以上の繊細化媒質通路を備える紡糸口金組立体であって、ノズルは、ノズルの少なくとも一部が繊維原料供給空洞と流体連通するように、紡糸口金組立体内に配置されており、1つ以上の繊細化媒質通路が最小断面積を有する紡糸口金組立体と;紡糸口金組立体の少なくとも一部に隣接して配置されたカバープレートであって、カバープレートがカバープレート開口部を有してこの中にノズルの1つ以上が延びることができ、カバープレート開口部が制限断面積を有するカバープレートとを備え;1つ以上の繊細化媒質通路の最小断面積が、カバープレート開口部の制限断面積より大きくなっている。
別の実施形態では、本発明は、溶媒に溶解された原料から繊維を創り出すための改良された方法を提供し、その方法は、次の:溶媒に溶解された繊維形成原料を、繊維ストランドを形成するための少なくとも2列のノズルを備えるダイを通して提供する段階と;繊維ストランドの周りに繊細化媒質を提供する段階であって、繊細化媒質は、繊細化媒質が繊維ストランドを細長くするように、繊維ストランドに概ね平行である方向に備えられ、繊細化媒質が少なくとも約50%の相対溶媒蒸気含量を有する、繊維ストランドの周りに繊細化媒質を提供する段階とを備える。
別の実施形態では、本発明は、溶媒に溶解された原料から繊維を創り出すための改良された方法を提供し、その方法は、次の:溶媒に溶解された繊維形成原料を、繊維ストランドを形成するための少なくとも2列のノズル及びカバープレート開口部を有するカバープレートを備えるダイを通して提供する段階と;繊細化媒質を約90〜約350m/sの間の速度でカバープレート開口部を通して提供する段階であって、繊細化媒質は、繊細化媒質が繊維ストランドを細長くするように、繊維ストランドに概ね平行である方向に備えられる、繊細化媒質を提供する段階とを備えて、繊細化媒質が約4未満の圧力低下係数を有する。
更に別の実施形態では、本発明は、溶媒に溶解された原料から繊維を創り出すための改良された方法を提供し、その方法は、次の:溶媒に溶解された繊維形成原料を、繊維ストランドを形成するための1つ以上のノズルを通して提供する段階と;繊細化媒質を繊維ストランドの周りに提供する段階であって、繊細化媒質は、繊細化媒質が繊維ストランドを細長くするように、繊維ストランドに概ね平行である方向に備えられ、繊細化媒質が繊維ストランドに接触する前に圧力低下を経過する、繊細化媒質を繊維ストランドの周りに提供する段階と;繊細化媒質が圧力低下を経過した後で繊細化媒質を冷却する段階とを備える。
上記のように、本発明の方法及び装置は、一般に、繊維及び織物の製造とそのような繊維を備える製品とを対象とする。本発明の装置及び方法を使用することにより、メルトブローン繊維、湿式紡糸繊維、及び/又は乾式紡糸繊維を備える、上述した種々のタイプの繊維の全てを生産することができる。しかしながら、その方法及び装置は、溶媒中に分散、懸濁、又は溶解することにより流動性にされる原料のような、非熱可塑性又は疑似熱可塑性の原料から繊維を生産するのに特に適する。本明細書で使用する時、用語「非熱可塑性」は、原料が望むように成形可能であるように流動状態にすることができる程度まで、より具体的には可撓性繊維構造体を形成するのに好適な複数の非可塑性繊維を形成するために(例えば紡糸により)加工可能であるように流動状態にできる程度まで、原料を軟化するのに溶媒を必要とする原料について言う。非熱可塑性組成物は、高温の影響だけでは必要な流動状態になり得ない。非熱可塑性組成物は、ある量の他の構成成分、例えば非熱可塑性組成物の流動を促進することができる可塑剤などを備えてもよいが、これらの量そのものだけでは、非熱可塑性組成物を全体として好適な非熱可塑性繊維を形成する加工が可能な流動状態にするには不十分である。非熱可塑性組成物は又、非熱可塑性組成物から例えば乾燥により溶媒が一旦除去されて原料が固化状態に達すると、その熱可塑性様の品質を失うという点で、熱可塑性組成物とは異なる。組成物が架橋剤を備える時には、溶媒を除去された原料は、実際には、架橋された熱硬化性組成物になる。例えばそのような非熱可塑性組成物で形成された複数の繊維などの製品は、全体として融点を示すことが無く、及び全体として(熱可塑性組成物の特性である)融解温度を有さなく;その代り、非熱可塑性製品は、その温度がある程度(「分解温度」)まで上昇すると、全体として流動状態には決して到達することなく分解する。対照的に、熱可塑性組成物は、溶媒の存在又は非存在には関わりなくその熱可塑性品質を維持し、及びその温度が上昇すると融点(「融解温度」)に到達して流動可能になることができる。
例えば、本発明の装置及び方法は、溶媒溶解性である原料、したがって溶媒に溶解されてからダイ/紡糸口金組合せ体を押し通されて繊維ストランドを形成する原料に良く適合する。多くの場合、紡糸口金を出る繊維は、繊細化又は細長くされることが望ましい。しかしながら、現状技術を使用して非熱可塑性で溶媒可溶性の原料から繊維を形成する時には、繊維の所望の伸張を可能にするのに充分な相対溶媒蒸気含量をプロセスの繊細化領域内で維持するのは困難なことがある。(本明細書で使用する時、「相対溶媒蒸気含量」とは、繊細化媒質中の蒸気形態の溶媒の部分圧をその特定の温度及び圧力における平行蒸気圧により割り算したものである。空気中の水蒸気の場合、相対溶媒蒸気含量は、相対湿度と通常呼ばれる。)このことは、繊維の商業製造に望ましい多列高生産量用に設計された設備を使用している間に、更により困難になることがある。理論に束縛されるものではないが、この問題は、部分的には、ダイ内の繊細化媒質中の著しい圧力低下の結果であると考えられている。(繊細化媒質は、いかなる流動性媒質、例えば空気、任意の気体若しくは気体混合物、液体、又は他の流体媒質であってもよいが、典型的な繊維形成プロセスは、繊細化媒質として空気を使用する。したがって、繊細化媒質は、以降において空気又は気体と記述されることがあるが、いかなる好適な繊細化媒質をも使用可能であることを理解すべきであり、及び空気又は気体の引用は、限定するものではなく、むしろ好適な繊細化媒質の一例として考えるべきである。更に、本明細書において繊維形成原料のある例が水溶性と記述されることがあるが、繊維形成原料は、いかなる好適な原料にもすることができ、及び溶媒がある場合は、いかなる好適な溶媒にもすることができる。)
繊細化媒質がダイ本体を通過する典型的なメルトブローイング・ダイにおいては、繊細化媒質は、ダイを出る前に、昇圧(例えば、大気圧超過に)されている。圧力と温度と相対溶媒蒸気含量の間の関係(湿度平行と呼ばれることが多い)のために、昇圧された繊細化媒質によって運ばれる媒質は少なくなる。通常は、過剰溶媒蒸気は、繊細化媒質がダイ内で昇圧される時に凝縮する。これにより、加圧された繊細化媒質中で運ばれる溶媒蒸気の最大量が減少する。したがって、繊細化媒質がダイを出て大気圧に膨張する時に、繊細化媒質の相対溶媒蒸気含量は、ダイ内で昇圧されていない繊細化媒質流と比較して減少する。
典型的な紡糸操作においては、繊維は熱可塑性原料から形成されて乾燥よりも温度低下により固化されるので、繊細化媒質中の相対溶媒蒸気含量の大きさは、特に重要ではない。そのような運転では、一般に、繊細化空気が所望の繊維伸張をできるように、ある時間繊維を融点以上に維持することが重要である。それ故に、繊維が細長くされる前に固化しないことを確実にするために、繊細化媒質(例えば空気)が加温されるか、又は代わりの熱源が設けられることが多い。しかしながら、非熱可塑性又は疑似熱可塑性繊維の形成を対象とする操作においては、所望の繊細化を達成できる前に繊維が早過ぎる乾燥をして破断するのを防止するために、繊細化媒質中に高い相対溶媒蒸気含量レベルを提供するのが望ましいことがある。非熱可塑性繊維を形成する時には、繊維温度は、繊維固化に影響を与える重要な要因ではない。むしろ、周囲の相対溶媒蒸気含量により影響を及ぼされる溶媒の損失が、繊維固化に重要な役割を果たす。
本発明の装置及び方法は、ダイ内の繊細化媒質に関連する圧力低下を減少する手段を提供することにより、この問題に対する解決をもたらす。これによって、繊細化媒質は、繊細化領域においてより高い溶媒蒸気含量を維持することができる。したがって、本発明の装置及び方法は、特に非熱可塑性で溶媒可溶性の原料と共に使用される時に、繊維が早過ぎる乾燥を確実にしないように助けることができる。このことは、形成される繊維が直径及び均一性などの所望の特性を確実に有するように助けることができ、繊維の破断を防止するように助ける及び/又はダイの閉塞を防止するように助けることができる。本発明の装置及び方法のこれら及び他の利点は、繊維が多列及び/又は高生産速度で形成される時に特に有益であり得る。
図1を参照すると、本発明の装置の1つの実施形態が示され、全体的に装置(又はダイ)10として表示されている。装置10は、ダイ組立体15、紡糸口金組立体20、及び繊細化媒質出口22を備える。装置10は、繊維が形成される原料と繊維ストランドを繊細化するための空気流(又は他の繊細化媒質流)との両方を供給するように設計される。より具体的には、ダイ組立体15は、ダイ本体17とダイ本体17内に形成された供給空洞25とを備える。供給空洞25は、好ましくは、繊維が形成される原料をダイ組立体15に供給する1つ以上の器具に作動可能に関連付けられている。ダイ組立体15は又、好ましくは、繊細化媒質が通過可能な少なくとも1つの繊細化媒質入口30を備える。繊細化媒質入口30は、好ましくは、繊維形成時に繊細化媒質として使用される空気、気体、又は他の流体の少なくとも1つの供給源に、作動可能に関連付けられている。出口22は、繊細化媒質が装置10の全体構造を出る場所である。
紡糸口金組立体20は、紡糸口金本体35と、1つ以上のノズル40と、少なくとも1つの繊細化媒質通路80と、排出開口部50とを備える。紡糸口金本体35は、ダイに面する表面37と、反対側の出口面39とを有する。紡糸口金組立体20は、一般に、ダイに面する表面37の少なくとも一部がダイ組立体15の少なくとも一部に隣接するように配置される。図1に示されるように、ノズル40の少なくとも一部は、好ましくは、ダイ組立体15の供給空洞25と流体連通している。(「流体連通」により、供給空洞25内へ置かれた流体が、ノズル40の少なくとも1つへ流入又は強制流入可能であることを意味する。)更に、繊細化媒質通路80の少なくとも1つは、繊細化媒質入口30構造の1つ以上と流体連通して、繊細化媒質がダイ組立体15から紡糸口金組立体20へ流入可能なようになっている。紡糸口金組立体20は、単一要素で形成されるか、あるいは一時的若しくは永久的に互いに結合された(例えば図2に示されるような)2つ以上の別個の要素から形成される、又はこれらを備えることができる。
紡糸口金本体35は、紡糸口金組立体20のダイ組立体15に隣接して配置された部分に対して一般に反対側の出口面39内に、排出開口部50を有する。ある種の実施形態では、ノズル40の少なくとも一部は、1つ以上のノズル40の一部が排出開口部50の中へ又はこれを通って延びるように、紡糸口金組立体20内に取り付けられる。ノズル40は、通常は互いに間隔を離され、及び好ましくは、ダイ10が使用されている時に排出開口部50を通過する繊細化媒質によりそれぞれのノズル40が少なくとも部分的に包囲されるように、紡糸口金本体35から間隔を離される。
上記のように、ノズル40は、好ましくは、紡糸口金組立体20の一部を形成する。通常は、ノズル40は、紡糸口金組立体20全体を貫いて延びるように紡糸口金本体35に取り付けられる。したがって、図1に示されるように、ノズル40は、紡糸口金本体35のダイに面する表面37から紡糸口金本体35を貫いて紡糸口金組立体20の出口面39に向かって延びる。(しかしながら、ノズル40が紡糸口金本体35全体ではなくその一部だけを延びる実施形態も考慮されている。)ノズル40は又、1つ以上の繊細化媒質通路80の中へ又はこれを貫いて延びてもよく、好ましくは、少なくとも部分的に排出開口部50の中へ延びる。ある種の実施形態では、ノズル40の少なくとも一部は、排出開口部50を越えて及び紡糸口金本体35から離れて延びる。いずれの場合でも、ノズル40の少なくとも一部は、その他のノズル40の少なくとも一部と異なる長さであってもよく、排出開口部50を越えて異なる量を延びてもよい。更に、一部の実施形態では、少なくとも一部のノズル40は、繊維形成原料が通過できる開口部が無く又は他の方法で供給空洞25との連通なしに、塞き止め状態にされる又は中実構造で形成されることが望ましい。
図3に示されるように、ノズル40それぞれは、外側構造51、ノズル開口49、上流側端部41、下流側端部42を有する。本明細書で使用する時、用語「上流側」は、一般に製造プロセスの開始部分を指し、ここで原料物質がプロセスに加えられることが多い。用語「下流側」は、一般に、最終製品が仕上り形態に作られて製造プロセスから取り出されるプロセスの部分を指す。したがって、構成要素の上流端部又は部分は、同一構成要素の対応する下流端部又は部分よりも製造プロセスの開始部側に位置する。特定のノズル40が繊維形成原料を通過させるように意図されている(すなわち、ノズル開口49を有して塞き止められていない)場合、内側有効径43及び外側有効径44も有する。更に、各ノズル40は、上流端部内側有効径45と、上流端部外側有効径47と、下流端部内側有効径46と、下流端部外側有効径48とを有する。本明細書で使用する時、ノズル40に関する用語「有効径」は、ノズル開口49の断面積の4倍をノズル開口49のぬれぶちで割算したものとして定義される。ノズルに関する用語「断面積」は、ノズル40内で繊維形成原料が移動する方向に実質的に垂直にとった、ノズル40(外側有効径測定の場合)又はノズル開口49(内側有効径測定の場合)の断面積である。ノズル開口49の中に位置する何かの構造物を有するノズル40の断面積は、繊維原料流れに対して開放された断面積であり、したがって、ノズル開口49の断面内にある任意の構造物の断面積が引き算されていなければならない。
ノズル40は、概ね円形の断面を有する小金属管から作成することができる。あるいは、任意の特定のノズル40の外側構造51及び/又はノズル開口49は、いかなる断面形状を有してもよく、図6に示されるような変化する内側及び/又は外側有効径を有してもよく、先細であるか(例えば、下流外側有効径が上流外側有効径より小さい)又は面取りされてもよく、及びいかなる好適な原料で形成されてもよい。ノズル40は全て、同一の上流内側及び/又は外側有効径を有してもよく、あるいは異なる上流内側及び/又は上流外側有効径を有してもよい。同様に、ノズル40は全て、同一の下流内側及び/又は外側有効径を有してもよく、あるいは異なる上流内側及び/又は下流外側有効径を有してもよい。更に、ノズル40は、同一の長さであっても異なる長さであってもよく、及び/又はダイ10から異なる量を延びるように取り付けられてもよい。ノズル40は、紡糸口金本体35に取り付けられた若しくは他の方法で結合された別個の原料で形成されてもよく、又は紡糸口金本体35そのものを形成する原料中に形成されてもよい。ノズル40は、紡糸口金本体35に永久的に取り付けられてもよく、あるいは、取外し可能及び/又は交換可能であってもよい。ノズル40を紡糸口金本体35中に取り付ける代表的な方法として、レーザー溶接、はんだ付け、接着、圧力嵌合、及びろう付けなどが挙げられるが、これらに限定されない。更に、ノズル40は、可撓性原料で形成されても、1つ以上の(例えば図4bに示されるような)ヒンジ91を備えても、又は紡糸口金本体35に可撓的に取り付けられてもよい。そのようなノズル40は、ダイ10の運転中に自己的に中心を合わせることができる。
1つの代表的な実施形態では、図2に示されるように、ノズル40は、隣接する複数の列で配置され、各列が複数のノズル40を備える。図2ではノズル40が各列に同数のノズル40を有する規則的な列で示されるが、いかなる好適な数のノズル40がいかなる列にあってもよい。更に、単一列のノズル40が好ましい一部の用途もあり得る。ノズル40は、いかなる所望の距離で間隔が離れていてもよい。更に、ノズル40は、規則的な横列及び/又は縦列で配置されても、無作為及び/又は不規則なパターンで配置されても、あるいはこれらの組合せでもよい。
本発明の装置10は又、例えば図1、2、及び4aに示されるように、紡糸口金本体35の出口面39の少なくとも一部に隣接して配置されたスペーサプレート55を備えてもよい。スペーサプレート55は、繊細化媒質をノズル40に概ね平行な方向に向けると共に、ノズル40を包囲する繊細化領域全体にわたって望むような流れの均一性を促進するように機能する。そのようなものとして、スペーサプレート55は、ノズル40の少なくとも一部がその中を延びることができるスペーサプレート開口部57を有する。
スペーサプレート55は、いかなる好適な大きさ及び形状にもすることができ、いかなる好適な原料からも形成することができる。更に、スペーサプレート55は、紡糸口金本体35の一部に隣接して配置されるように意図された別個の構造とすることができ、あるいは、紡糸口金本体35又は装置10の任意の他の部分と一体に形成されてもよい。スペーサプレート55は、スペーサプレート開口部57を有して開放区域を提供し、この中をノズル40が通り、運転中に繊細化媒質が流れることができる。スペーサプレート開口部57は、ノズル40の一部又は全てが嵌り込むような、長方形又は任意の他の形状であってもよい。更に、望む場合は、スペーサプレート55は、2つ以上のスペーサプレート開口部57を有してもよい。
本発明の装置10は又、スペーサプレート55の少なくとも一部に隣接して配置されたカバープレート60を備えてもよい。カバープレート60は、上流面62及び反対側の下流面63を有して、通常は、上流面62がスペーサプレート55の紡糸口金組立体20から遠くに面する表面に隣接するように配置される。カバープレート60は、繊細化媒質がダイ10を出る時に、繊細化媒質噴流の形状及びノズル40に相対的なその位置の画定を助けるように、繊細化媒質を方向付ける機能をする。カバープレート60は又、繊細化媒質の流れの均一性及び速度を助長する助けをする、圧力低下を形成する手段を提供する。そのようなものとして、カバープレート60は、好ましくは、少なくとも1つのカバープレート開口部65を有し、これを繊細化媒質が通過することができ、及び/又はこの中へ1つ以上のノズル40が延びることができる。
カバープレート開口部65は、1つ以上の繊細化媒質穴67を有して、これらが共にカバープレート開口部65を作り上げてもよい。各繊細化媒質穴67は、上流端部73と、対応する上流有効径75と、下流端部74と、対応する下流有効径76とを有する。(本明細書で使用する時、繊細化媒質穴67に関する用語「有効径」は、穴67の断面積の4倍を穴67のぬれぶちで割り算したものとして定義される。)カバープレート開口部65は、例えば図4a、4b、及び5に示されるように、それぞれの個々のノズル40を囲む個別の繊細化媒質穴67を有してもよく、又は2つ以上のノズル40が繊細化媒質穴67の少なくとも一部を貫通できるように設計されてもよい。そのような実施形態では、各繊細化媒質穴67が少なくとも約0.064平方ミリメートルの開放面積を有することが有益であるが、開放面積が約0.064平方ミリメートル未満であり得る他の実施形態も考慮されている。
代替実施形態では、ノズル40の少なくとも一部は、図5に示されるように繊細化媒質穴67から分離したノズル通路68中で、カバープレート60を貫通してもよい。ノズル通路68、カバープレート開口部65、及び開口部65を作り上げる繊細化媒質穴67は、いかなる所望の大きさ及び/又は形状であっても、円形及び非円形断面が備えてもよく、並びに先細、面取り、及び/又は丸み付き縁部、又は他の属性を有してもよい。例えば、カバープレート開口部65、繊細化媒質穴67のいずれか、及び/又はノズル通路68のいずれかは、例えば図4a及び4bに示されるように、下流有効径より大きい上流有効径を有しても、又はその逆であってもよい。更に、2つ以上の開口、穴、又は通路がある場合、それらの任意の1つ又はより多くは、任意の他の1つ以上の開口、穴、又は通路と大きさが異なってもよい。ノズル40が繊細化媒質穴67を貫通する場合、ノズル40は、穴67の中で中心に置かれても、又は任意の所望の方向に片寄らされてもよい。繊細化媒質穴67は、任意のノズル40に向かって、これから離れて、又はいかなる角度で方向付けられてもよい。
上記のように、ノズル40は、互いに関して変化する長さであってもよい。更に、ノズル40は又、異なるダイ設計で、又は同一ダイ内で、異なる量で供給空洞25から離れて延びるように設計されていてもよい。例えば、ノズル40の一部又は全ては、供給空洞25からダイ10を貫いてカバープレート60を越えて延びるのが望ましいことがある。代替実施形態では、ノズル40の一部又は全てが、カバープレート開口部65の中へ延びるが、カバープレート60の下流面63を越えないことが望ましいことがある。カバープレート65の下流面63に相対的なノズルの延びと繊維特性上の効果の間は、非線形関係であることが判明した。例えば、ある種の実施形態では、カバープレート60の下流面63を約0mm〜約2.2mmの間で越えて延びるノズル40は、カバープレート60の下流面63を更に越えて延びるノズル40より、又はカバープレート開口部65の中へ延びるがカバープレート60の下流面63を越えては延びないものより、性能が思わしくない。
ある種の実施形態では、カバープレート開口部65、繊細化媒質穴67のいずれか、及び/又はノズル40のいずれかは、通過する繊維原料及び/又は繊細化媒質が開口、穴、又はノズル40を出る時に回転、渦巻き、又は他の方法で方向付けられるように設計するのが望ましい。このことは、ノズル40内にライフル構造を組み込む、又は開口若しくは穴を囲む原料を組み込むことにより実施可能である。別の方法としては、繊維原料流れ及び/又は繊細化媒質流れは、追加構造により、例えば以下に説明する支持要素70などにより影響を及ぼされることがある。繊細化媒質又は原料流の回転が望ましい場合、流れの逆転回避を助けるために、回転を約30度未満に制限するのが有益なことがある。
カバープレート60は、スペーサプレート55又は紡糸口金本体35の一部に隣接して配置された別個の要素であってもよく、あるいは、スペーサプレート55及び/又は紡糸口金本体35又は装置10の任意の他の部分と一体に形成されてもよい。更に、カバープレート60は又、図7に示される代表的な支持要素70のような、ノズル40を支持する手段を備えてもよい。支持要素70は、ノズル40に対して支持を提供して、使用中にノズル40が確実に不整列にならないことを助ける。このことは、繊維及び任意の得られる最終製品の、創り出される可能性がある繊維ウェブなどの、均一性を増加する助けになり得る。
支持要素70は、いかなる原料からも形成可能であり、いかなる好適な形状であってもよい。更に、支持要素70は、カバープレート60又は装置10の任意の他の要素とは別個の要素であっても、あるいは一体であってもよい。一実施形態では、図7に示すように、支持要素70は、穴67の中に配置された対応するノズル40に向かってカバープレート開口部65の穴67の中へ延びる、1つ以上の突起72の形体とすることができる。支持要素70は、対応するノズル40に接触してもよいが、そのようである必要はなく、ノズル40からいかなる所望の距離に配置されもよい。支持要素70は又、カバープレート60(その上流若しくは下流どちらでも)又はダイ10の任意の他の構造物に隣接して支持要素70の少なくとも一部が繊細化媒質穴67の少なくとも一部と整列するように配置された、別個の支持プレート85に配置されてもよい。ある種の実施形態では、支持プレート85は、相互組合せで使用されてノズル40に対する支持を提供する2つ以上のプレートを備えてもよく、その例が図8に示される。別の方法としては、ノズル40は、スクリーン89又は他の原料により支持されてもよく、スクリーンの一例が図9に示される。通常は、支持プレート85は、繊細化媒質開口部87を備え、これを通って繊細化媒質が通過することができる。
本発明のある種の実施形態では、繊細化媒質がそれを通って装置10を通過する通路80の一部又は全ては、ダイ10内で繊細化媒質に関連する圧力低下全体が従来技術ダイ設計に比べると比較的低いような方法で設計されることが望ましい。ダイ10内で繊細化媒質に関連する圧力低下の減少は、一部の点で有益であり得、それには、より高い圧力低下のダイを伴う類似繊維の製造に必要とされるより少ないエネルギー使用、より小径の繊維を形成する可能性の提供、より均一な繊維を形成する可能性の提供、及び/又は繊細化媒質の相対溶媒蒸気含量のより良い制御の可能性などが挙げられるが、これらに限定されない。
ある装置の圧力対流れ挙動は、圧力低下係数を使用して特徴付けることができる。この場合、圧力低下係数は、測定又は計算された圧力低下を繊細化媒質流の動圧すなわち速度圧により割り算した比により定義される。測定された圧力低下は、繊細化媒質がダイ10内を流れている時の、ダイ10の上流の測定点と室又は大気圧との間の圧力差である。繊細化流の動圧は、0.5×ρV2であり、ここで、ρは繊細化媒質の密度、及びVは流れチャネル内の平均速度である。繊細化流の密度及び速度は、カバープレート開口部65の内側の平均値として定義される。実際には、速度は、カバープレート開口部65中を通過する気体の総容積をカバープレート開口部65の制限面積で割り算することにより決定される。気体の密度は、気体の分子組成、その温度、及びその圧力に依存する。約4未満の圧力低下係数が、本発明の利点を提供するために望ましいことが判明した。しかしながら、約3未満、約2未満の圧力低下計数値、及び約4未満の任意の個別又は範囲の圧力低下計数値が、うまく作用する。
ダイ10内の繊細化媒質に関連する圧力低下の著しい減少は、ダイ10内の繊細化媒質の速度を低下させることによりもたらすことができると判明した。ダイ10内の速度を低下させる1つの方法は、繊細化媒質がそれを通ってダイ10を出る開口部の制限断面積に比べて、比較的大きい最小断面積を有する繊細化媒質通路80をダイ10内に組み込むことである。比較的大きい断面通路と減速した速度は、摩擦の低減と流れの分離及び乱れの減少を備える一部の要因に起因して、ダイ10内の圧力低下の減少を助けることができる。本明細書で使用する時、用語「繊細化媒質通路」及び「繊細化媒質チャネル」両方は、ダイ10内のカバープレート開口部65の上流において繊細化媒質がこれを通る任意の通路を指す。繊細化媒質通路又は開口部に関連して本明細書で使用する時、用語「断面積」は、繊細化媒質が通路又は開口部内を移動する方向に実質的に垂直にとった、通路又は開口部の断面積である。通路又はチャネルの中に位置する何かの構造物を有する開口部又は通路の断面積は、繊細化媒質流れに対して開放された断面積であり、したがって、開口部又は通路の断面内にある任意の構造物の断面積が引き算されていなければならない。用語「最小断面積」は、繊細化媒質が特定の通路内を移動する方向に実質的に垂直にとった、ダイ10内の個々の繊細化媒質通路80の全てについての最小断面積測定値の総計である。用語「制限断面積」は、単一平面にとった、カバープレート開口部65の最小断面積を指す。カバープレート開口部65が2つ以上の開口部を備える場合、制限断面積は、特定の穴67内で繊細化媒質が移動する方向に実質的に垂直にとった、各個繊細化媒質穴67の最小断面測定値の総計である。
ある種の実施形態では、繊細化媒質通路80は、通路80の最小断面積がカバープレート開口部65の制限断面積より大きいように設計すると有益であることが判明した。繊細化媒質通路80の最小断面積をカバープレート開口部65の制限断面積より大きく設計することにより、繊細化媒質通路80内の繊細化媒質の速度は通常、カバープレート開口部65を通ってダイ10を出る繊細化媒質の速度より低い。一般に、ダイ10内の繊細化媒質の速度が低ければ低い程、ダイ10内で繊細化媒質に関連する圧力低下は低い。ある種の好ましい実施形態では、繊細化媒質通路80の最小断面積は、カバープレート開口部65の制限断面積の少なくとも約2倍、又は少なくとも約4倍である。
更に、繊細化媒質入口30からカバープレート開口部65に向かって移動するにつれて次第に繊細化媒質通路80の断面積を減少すると、ダイ10内の圧力低下を減少する助けをすることができると判明した。しかしながら、断面積の縮小に続いて断面積を拡大するのが望ましいという状況があり得ることが理解される。例えば、縮小と拡大は、繊細化媒質通路80内に圧力低下を創り出し、これを用いると、繊細化媒質を通路80若しくは開口部の幅全体にわたって均一に分配する、又は他の方法で繊細化媒質流れの変化に影響を及ぼすことができる。ある種の実施形態では、カバープレート開口部65を出る時の繊細化媒質流れの良好な均一性を維持するのが望ましい。そのような場合、ダイ10を出る繊細化流の流速、流量、及び方向は、均一な繊維及び繊維ウェブを生産するために可能な限り調和しなければならない。繊細化媒質通路の断面積の漸進的減少が、ダイ10内の圧力低下をカバープレート60において集中することにより、均一性をもたらす助けをする。
ダイ10内の繊細化媒質に関連する圧力低下を減少する助けをする別の方法は、比較的滑らかな曲線状又は丸み付きの断面形状を繊細化媒質通路80に使用することである。さらに加えて、繊細化媒質通路80に対してきつい小さな半径や曲りを確実に避けることにより、圧力低下を減らすことができる。きつい曲りは、鋭い角部のように機能して、望まない流れの剥離、速度変動、及び流れの不均一性をもたらす。ある種の実施形態では、曲り平面内でチャネル幅の約1/4超過の内半径を有する曲りが、うまく作用して、そのような曲りに関連する望まない圧力低下を防止することが判明した。
ダイ10が複数の独立した部品からなる実施形態では、繊細化媒質通路80を注意深く整列して滑らかな流れ通路を作り出すことが有利である。個々の部品が不整列である場合、鋭い縁部又は他の不均一性が、繊細化媒質の流れ通路に導入されることがあり、これが、繊細化媒質流れを乱す、又は他の方法で影響を及ぼすことがある。ある種の実施形態では、ダイ組立て又は使用中に不整列にならないことを確実にするために、ダイ10の種々の部品を共に機械的にピン留めすることが好ましい。合わせ面において符合させる原料を有する部品又は繊細化媒質通路を備えるある種の好ましい実施形態では、その通路を合わせ面に沿って約0.03mm以内に整列させることが望ましい。更に、一般に、封止を達成して流れの漏れを防止するために、そのような合わせ面を相互にピタリと保持することが望ましい。
上記のように、本発明の装置及び方法の1つの利点は、繊細化媒質の相対溶媒蒸気含量が従来型ダイを使用する時よりも容易に制御可能なことである。例えば、本発明の方法及び装置は、少なくとも約50%の、少なくとも約60%の、少なくとも約75%の、及び少なくとも約75%を超える相対蒸気溶媒含量を有する繊細化媒質流を提供可能であることが判明した。したがって、本発明の改良された装置及び方法は、繊細化媒質中に存在する溶媒により影響を及ぼされ得る何らかの特性を有する原料から繊維が形成される時に特に有利である。例えば、繊維形成に使用される一部の非熱可塑性原料は、繊細化媒質中の湿気量により影響を及ぼされることがある。(繊細化媒質(例えば空気)中に見出し得る1つの特定の溶媒を記述するのに本明細書において湿気(すなわち水蒸気)を使用しているが、他の溶媒及び繊細化媒質も、異なる繊維原料と共に使用されると考えており、予期していることを特記しなければならない。)更に、繊細化媒質中の湿気量又は他の溶媒蒸気含量に関係するプロセス制限のために繊維への商業製造にこれまで好適でなかった他の原料が、本発明の装置及び方法でより有効に繊維に形成可能である。
デンプンが、その入手性、コスト、及び再生可能な性質に起因して、繊維形成に使用されるのが有利な原料の1つの例である。繊維形成に好適なデンプン系組成物の例とそのような組成物から繊維及びウェブを形成する方法とが、米国特許出願シリアル番号09/914,966(マッケイ(Mackey)ら、2001年9月6日出願)、米国特許出願シリアル番号10/062,393(マッケイ(Mackey)ら、2002年2月1日出願)、米国特許出願シリアル番号10/220,573(マッケイ(Mackey)ら、2002年9月3日出願)、及び米国特許出願シリアル番号10/061,680(ジェームス(James)ら、2002年2月1日出願)に記載されている。しかしながら、デンプンは一般に非熱可塑性及び水溶性であるので、繊維形成に有用なデンプン系原料の調合に関してなされた進歩にもかかわらず、典型的な繊維形成ダイは、商業的に実行可能なデンプン繊維形成に非常に有効ではない。繊維形成に使用するのに好適な原料であって繊細化媒質の溶媒蒸気含量により影響を及ぼされ得る別の例には、ポリビニルアルコールがある。デンプン及びポリビニルアルコールのような原料から繊維を形成する時に、繊細化媒質がダイ10を出た後で確実に充分な相対溶媒蒸気含量を有すると、繊維原料の早過ぎる乾燥及び/又は紡糸口金ノズル40端部への粘着を低減又は防止する助けができる。
繊細化媒質が空気である場合、空気により保持可能な水蒸気(又は他の溶媒)量は、一般に受け入れられている熱力学的原理によって、空気の圧力と温度により決定される。一般に、空気は、所与の圧力において温度が上昇するにつれて、より多くの水蒸気を保持可能である。同様に、空気は、任意の所与の温度において圧力が低下するにつれて、より多くの水蒸気を保持可能である。空気が飽和(すなわち、その特定の温度と圧力において可能な最大量の水蒸気を保持)している時、僅かな温度低下又は僅かな圧力上昇が、空気中の水蒸気(又は他の溶媒)の凝縮を引き起し得る。
繊細化媒質を使用して形成中の繊維を細長くする又は他の方法で影響を及ぼす繊維形成ダイは通常、繊維ストランドと比べて比較的高い速度で繊細化媒質をダイ10から放出可能にするために、繊細化媒質を加圧する。したがって、繊細化媒質は一般に、ダイ10から出る時、急速に圧力低下する。繊細化媒質が溶媒を含有する場合、繊細化媒質中の相対溶媒蒸気含量は、圧力低下につれて減少する。所与の繊細化媒質流については、圧力低下の結果として溶媒蒸気の絶対量は変化しないが、むしろ、溶媒の平行レベルが圧力低下につれて上昇するので、相対溶媒蒸気含量が減少する。これにより、繊維を有効に繊細化することがより困難になるおそれがあり、及び繊維の破断又は不良形成に繋がることがある。更に、圧力低下がそのような相対溶媒蒸気含量の減少を引き起すという事実により、繊細化媒質がダイ10を出る前により高い溶媒濃度を有することを必要とされる可能性がある。それ故に、一部の場合、繊細化媒質がダイ10の繊細化媒質通路80内にある時より前又はその間に、繊細化媒質中の溶媒量を飽和させる又は他の方法で増加させるのが必要又は望ましいことがある。1つの例では、水が溶媒である時、繊細化媒質がダイ組立体15に入る前に、その相対湿度を上昇させるために、繊細化媒質を蒸気で処理することが望ましい又は必要である。このことは、原料及びエネルギーコストの追加となるおそれがあり、並びに好適な繊維を形成するのに必要なプロセスの工程数を増加させることがある。これは又、プロセスの全体的な信頼性を低下させる、及び/又は余分の監視段階を必要とすることがある。
図10〜12のグラフ表示は、繊細化媒質がダイ10を出る時に繊細化媒質の圧力低下の減少をもたらす本発明の装置10が、特に非熱可塑性でありむしろ可溶性である原料から繊維を形成するのに使用される時に、従来型ダイと比べて如何に装置性能を改善可能かを示す助けとして意図されている。図10〜12に示される例においては、繊細化媒質は空気であるように選定され、溶媒は水である。
図10は、ダイ圧力に対する装置出口における繊細化空気の相対湿度パーセント(%RH)を示すグラフである。本明細書で使用する時、「ダイ圧力」とは、ダイ10内の紡糸口金20の上流の繊細化空気の最大圧力と、ダイ10を出た後の繊細化空気の圧力(通常は大気圧)との間の差である。それぞれの示されたシナリオにおいて、繊細化空気は、ダイ10内で加圧される前に飽和されており、したがって、その相対湿度パーセントは、ほぼ100%である。縦軸は、ダイ10の出口における繊細化空気の相対湿度パーセントである。横軸は、ダイ圧力(すなわちゲージ圧)であり、キロパスカル(kPa)の単位で示される。このグラフの目的及び本明細書の開示の場合、ダイ10を出た後の繊細化媒質の圧力は、繊細化媒質がその中に向けられる、ノズル40を囲む環境の圧力と考えるべきである。
図10に示されるように、空気の温度がダイ内で一定のままであって装置を出るに際に圧力低下を経る場合、相対湿度パーセントは、図10で100とラベル付けされた曲線のような曲線を追従する。したがって、例えば、ダイ圧とノズルを包囲する環境との間がゼロ差圧であって、繊細化空気が飽和又は飽和に近い(例えば、98%RH以上)場合、繊細化空気は、ダイ10を出ても、飽和又は飽和に近いままである。しかしながら、圧力低下が増加するにつれて、繊細化媒質出口22における相対湿度パーセントは低下する。したがって、例えば、69kPa圧力低下においては、図10に示されるように、繊細化媒質出口22における繊細化空気の%RH値は、60%近くである。この点は、図10において102とラベル付けされている。同様に、圧力低下が約241kPaの場合、相対湿度は約30%に低下する。この点は、図10において104とラベル付けされている。
図10は又、空気の温度が繊細化媒質出口22において又はその周りで低下する場合、繊細化空気が如何にふるまうかを示す。上記のように、一般に、所与の圧力において温度が低下するにつれて、空気が保持可能な水蒸気量が減少する。したがって、所与の量の水蒸気を有する高温の空気は、同一空気で温度が下がったものより相対湿度が低い。それ故に、温度及び圧力の変化が繊細化媒質の相対湿度パーセントに如何に影響を及ぼすかを示す3つの異なる曲線が、図10に示される。曲線105が2.8℃の温度損失に対して何が起きるかを示し、曲線110が5.6℃の温度損失に対して何が起きるかを示し、及び曲線115が8.3℃の温度損失に対して何が起きるかを示す。
図11は、ダイ圧力と繊細化媒質流量とを関係付けるグラフである。図11の圧力−流量曲線は、ウィスコンシン州グリーンビル(N992 Quality Drive Suite B,Greenville,WI 54942-8635)のバイアックス・ファイバーフィルム社(Biax-Fiberfilm Corporation)から購入可能な約12.7cm(5インチ)幅で10列のダイと、同じような約12.7cm(5インチ)幅ダイで10列のノズルを有する本発明の実施形態とにより創り出される値を示す。ダイ圧力は、ダイ10内で紡糸口金組立体20の上流の繊細化媒質通路内に配置された圧力変換器を使用して測定された。「乾燥」繊細化空気流量及び蒸気流量の両方が、標準コリオリ(Corriolis)型質量流量計を使用して測定される。繊細化空気の総質量流量は、蒸気流量と「乾燥」空気流量の合計である。図11の圧力流量曲線により、本発明の低い圧力低下ダイ(曲線120)は、購入可能なダイ(曲線125)と同じ繊細化流量範囲に対してはるかにより低いダイ圧力で運転されることが示される。このように、本発明の装置は、繊細化媒質を所望の速度に加速するのにより低いダイ圧力を、ひいてはより低いエネルギーを使用しており、及びこの空気流中でより高い湿度レベルも可能にしている。より高い湿度レベルであるので、ダイ近くの繊維の溶媒損失率すなわち乾燥が低減される。より低い乾燥レベルであると、繊維のより大きな延び、ひいてはより細い繊維の創出が可能になる。
図12は、図11のグラフに関する記述と同一のダイ組立体について、繊細化空気の相対湿度パーセントと繊細化流量の間の関係を示す。湿球及び乾球測定により相対湿度を測定する1つの好適な方法については、以下で説明する。その流量に対する相対湿度パーセントの曲線は、本発明のダイの繊細化空気のダイ出口相対湿度パーセント値(曲線135)が、購入可能なダイにより同一流量範囲内で作り出されるもの(曲線130)よりはるかに大きいことを示す。したがって、同一のダイ圧力及び出口相対湿度において、より大量の繊細化空気が、ダイ10を通して放出可能であるより大量の空気は、得られる繊細化空気流でより高い空気速度をもたらすことができる。空気速度を増加すると、フィラメント上により大きな力を作り出して、より細い繊維を創り出すことができる。
繊細化媒質の相対溶媒蒸気含量を増加するための追加手段は、繊細化媒質を冷却することである。繊細化媒質冷却のその相対溶媒蒸気含量への影響は、図10のグラフで見ることができる。一般に、固定された圧力において気体を冷却するにつれて、気体の相対溶媒蒸気含量(この場合は湿度)が増加する。したがって、高温気体に比較すると、冷却された気体においては、所望の相対溶媒蒸気含量レベルをもたらすために必要とされる溶媒蒸気は、より少ない。しかしながら、液体凝縮を避けるために、いかなる冷却も、注意深く制御されなければならない。
繊細化媒質流を冷却する1つの方法は、ダイ10に冷却媒質流路を追加して、冷却媒質を冷却流路に通して供給し、冷却媒質をダイ10内の繊細化媒質の上に向けることである。別の方法として、繊細化媒質流の冷却は、ダイ10の外部から生じさせてもよい。そのような実施形態では、冷却媒質は、繊細化媒質流がダイ10を出るカバープレート60又はダイ10の他の部分の上に向けられてもよい。さらに別の実施形態では、冷却媒体は、繊細化媒質と実際に混合することなく冷却するように、冷却媒質が通過可能な閉鎖システム流路又は他の構造体で供給されてもよい。いずれの場合でも、冷却の全て又は大部分は、繊細化媒質が圧力低下した後で生じるのが好ましい。そうでなければ、特に繊細化媒質が飽和状態又は飽和状態に近い時に、冷却が、過剰な凝縮を引き起すことがある。
冷却媒質は、いかなる好適な気体、液体、又はこれらの混合物であってもよい。さらに、冷却媒質を提供するシステムは、受動的でも能動的でもよい。受動システムでは、冷却媒質は、繊細化媒質の作用だけによって繊細化媒質流中へ送られる。能動システムは、冷却媒質を繊細化媒質流中へ押し込むために、繊細化媒質流により創り出される力以外又はこれに追加の何かの手段を使用する。他の既知の冷却システムが、同等に望ましいものであり有効なことがある。いずれの場合においても、冷却媒質及び繊細化媒質それぞれの温度が組み合わされるまで確実に維持されるように、繊細化媒質通路と冷却媒質及び/又は手段との間は断熱されることが望ましい。
ダイのタイプには関係なく、ある種の実施形態では、ダイの設計及び/又は繊細化媒質の組成により、幾分の凝縮が、ダイ10内及び/又は繊細化媒質出口22において生じるという結果になることがある。したがって、凝縮物を収集する又は他の方法で扱う何かのシステムが必要であることが多い。凝縮物を扱うのに失敗すると、効率低下、繊細化媒質中の相対湿度又は溶媒蒸気含量のレベル低化、及び/又は繊維破断若しくは他の繊維中不均一領域の可能性という結果になるおそれがある。
凝縮に関連する副作用の可能性を低減する1つの方法は、ダイ10及びダイ組立体15へ導かれるダクトの温度を制御することである。繊細化媒質流以上の温度を有する加熱された表面は、一般に凝縮を生じさせない。ある種の実施形態では、任意の表面(単数又は複数)全体にわたる熱損失を最小限にするために、望みにより断熱材を使用してもよい。加えて又は代りとして、ダイ10の部品の一部又は全部の上に、能動的な加熱を使用することができる。加熱は、ダイ10及びダクトの中及び回りの流路又はチャネルを通して、油などの加熱流体を循環することにより達成可能である。同様に、電気的加熱エレメント又はヒートテープを同じ目的に使用することができる。もちろん、ダイ10又はその任意の部分を加熱するための任意の他の既知の手段も実施することができる。
凝縮の影響を低減する第二の方法は、凝縮物を繊細化媒質流からトラップする、好ましくは除去することである。凝縮物の大部分を除去するために、一般的には、そのようなトラップは可能な限りカバープレート開口部65の近くに置くことが望ましいが、トラップは、ダイ10又はダイ10に導かれるダクト中のどこにでも置くことができる。トラップの1つのタイプは、繊細化媒質を鋭く方向変化させることにより機能する。凝縮物は、その曲りができず、トラップ壁上に付着する。凝縮物は、次に、排水口、水抜き穴、又は他の構造物により排出可能であり、一方、繊細化媒質は、カバープレート開口部65へ向うままとされる。
(代表的なダイ実施形態)
本発明の装置10の1つの代表的な実施形態は、水平及び垂直両方向に約1.52mm中心間隔である概ね方形格子の毛管ノズル40を有する紡糸口金組立体20を備える。ノズル40は、横列10×縦列82の格子に並べられ、総数820ノズルである。ノズル40は、外側有効径が約0.81mm、内側有効径が約0.25mmである。ノズル40は、ダイ組立体15の供給空洞25からダイ組立体15の排出開口部50へ向かって延びる。ノズル40はそれぞれ、長さが31.8mmであり、カバープレート60を越えて約2.5mm延びる。
繊細化媒質は、概ね長方形断面の繊細化媒質入口穴30を通って、ダイ組立体15へ入る。4つの繊細化媒質入口穴30は、丸み付き隅部を有し、及び最小断面寸法が約20.1mm×約38.1mmであり、その結果、総断面積が約3071平方ミリメートルである。
ダイ組立体は、紡糸口金本体35の出口面39に隣接して配置されたスペーサプレート55を備える。この代表的な実施形態のスペーサプレート55は、厚さが約2.5mmである。スペーサプレート55の中央領域は、概ね長方形のスロットが取り除かれて開口部57が作り出され、これを通って、ノズル40が延び、及び繊細化空気が流れる。スペーサプレート開口部57は、寸法が約17.8mm×約127.0mmであって、毛管ノズル40の面積をスペーサプレート開口部57の総断面積から引き算すると、空気流れのための断面積は約1832平方ミリメートルとなる。
ダイ組立体15は又、約1.9mm厚の鋼板で形成されたカバープレート60を備える。カバープレート60は、カバープレート60をドリル加工で貫通された多数の穴67を備えるカバープレート開口部65を有する。穴67は、ノズル40のパターンに一致する方形格子(すなわち、中心間隔約1.52mmの10×82穴の正方形格子)で配置されている。カバープレート開口部65の穴67それぞれは、テーパが付けられて、上流有効径約1.18mm及び下流有効径約1.40mmを有する穴67を提供するようになっている。各ノズル40の周りに結果として得られる繊細化流れ面積は、約0.81mm直径のノズル40とカバープレート60の約1.18mm外側有効径の穴67との間に創り出されるドーナツ形状のオリフィスである。したがって、それぞれの穴は、約0.57平方ミリメートルの開放面積を有する。結果として得られるカバープレート開口部65の制限断面繊細化面積は、総計約471平方ミリメートルである。上の説明及び図7に示されるような一体支持突起72を有するカバープレート60も使用されており、中心間隔約1.52mmの10×82穴の同一穴パターンに対して、約458平方ミリメートルのカバープレート開口部制限断面積を有する。
繊細化媒質通路の最小断面積対カバープレート開口部の制限断面積の比較は、1より大きい。この代表的な実施形態では、繊細化通路の最小断面積は、スペーサプレートにあり、及び繊細化媒質通路の最小断面積対カバープレート開口部の制限断面積の比は、約3.9対1である。
(代表的な繊維形成方法)
この代表的な実施形態の目的のために、中心間隔約1.52mmの横列10及び縦列82の格子に規則的に置かれたノズル40を有するダイ10が、繊維形成原料から繊維ストランドを創り出すのに使用される。繊維形成原料は、イリノイ州デカトゥール(2200 E.Eldorado,Decatur,IL 62525)のテイト・アンド・ライル(Tate and Lyle)の一部門であるAEスタレイマニュファクチャリング(A.E.Staley Mfg.)から入手可能なエシレックス(Ethylex)2025デンプンと水(溶媒)との組成物であり、質量基準で約46%の水を備える。繊維形成原料は、エクストルーダー内でデンプンを煮沸又は構造破壊することにより調製される。エクストルーダーは、組成物が約160℃のピーク温度に到達するように運転されてもよい。繊維形成原料が、圧力約8300kPa及び温度約70℃でダイのノズルに供給される。繊維形成原料がダイ10を出る時、連続繊維ストランドの形態である。
加熱空気の繊細化媒質が、ダイ10を出る繊維ストランドに概ね平行な方向に備えられる。繊細化媒質は、毎分約2500グラムの93℃まで加熱された空気と毎分約500グラムの133℃の蒸気との組合せを備える。繊細化媒質は、カバープレート開口部の制限断面積の約4倍の最小断面積を合わせて有する、ダイ内の繊細化媒質通路を通過する。ダイの内部部分に対する圧力低下係数は、約1.4である。繊細化媒質は、望ましくない液体水を除去するために、ダイ10へ入る前に凝縮分離器を通過する。繊細化媒質は、約69℃の温度を有し、及びダイ本体入口で約26kPaのゲージ圧を示す。ダイ出口22において、繊細化媒質は、大気圧に戻り、及び約82%の測定相対湿度を有する。
本発明のダイ10についての総圧力低下係数は、約1〜約2の間であり、例えば、カバープレートに同様の制限断面開口部面積を有する、バイアックス・ファイバーフィルム社(Biax-Fiberfilm Corporation)から購入可能な約12.7cm(5インチ)幅で10列のダイについての約4〜約5間の総圧力低下係数と比較して。これらの測定された圧力低下係数は、毎秒約90メートル〜約350メートルの範囲の繊細化媒質速度に対応する。
繊維ストランドがダイを離れた後、繊維は、温度約260℃に加熱された毎分約9000グラムの空気の追加により乾燥される。乾燥空気は、それぞれが約360mm幅×130mm深の対の乾燥ダクトを通して供給される。ダクトは、ダイに関して対向する側上に配置され、乾燥空気は、ダイを離れる繊維ストランドに概ね垂直に向けられる。乾燥ダクトの前縁は、ダイのカバープレートから約80mm下流及び相互に対して約130mmに配置される。繊維は2つの乾燥ダクトの間を通る。得られる乾燥繊維は、約12ミクロン未満の平均径を有する。所望に応じて、乾燥繊維は、ベルトなどの移動構造体上に堆積されて、ウェブを形成する。(移動構造体は、いかなる好適な構造であってもよく、例えば繊維ウェブ製造に普通に使用される任意の既知のベルト又は有孔構造体を備えてもよく、あるいは例えば抄紙に普通に使用される任意の構造付き又は構造無しのベルト又は抄紙用具を備えてもよい。)
代替実施形態では、繊細化媒質は、ダイを離れると冷却される。冷却は、冷却空気を繊細化媒質流へ押し込む手段により実施される。冷却空気の温度は約35℃である。この特定の実施形態では、冷却空気は、繊細化媒質流量の約10%の比率で繊細化媒質流に押し込まれる。約66℃まで冷却された後で、繊細化空気と冷却媒質の混合物は、約75%の相対湿度を有する。
(相対湿度測定方法)
溶媒が水である時、相対湿度は、湿球温度及び乾球温度の測定値と関連付けられた湿度図表とを用いて決定することができる。湿球温度測定は、綿のソックス状物を温度計の球の回りに配置することにより行われる。綿ソックス状物で覆われた温度計は、水温が湿球の予想温度より高くなるまで温水中に置かれる。温度計が、繊細化空気流中の押出ノズル先端から約3ミリメートル(約1/8インチ)のところに置かれる。温度は、最初は水がソックス状物から蒸発するにつれて低下する。温度は、湿球温度にて横ばいになり、ソックス状物がその残りの水を失うと上昇し始める。横ばい温度が湿球温度である。温度が低下しない場合は、水をより高温に加熱すべきである。乾球温度は、押出しノズル先端から約3mm下流に置かれた1.6mm直径のJ型熱電対を用いて測定される。相対湿度は、湿球温度及び乾球温度に基づいて、標準大気湿度図表又はコンピュータープログラム、例えばケミカロジック社(ChemicaLogic Corporation)から入手可能な「モイストエアータブ(MoistAirTab)」のようなエクセル(商標)プラグインなどから決定可能である。溶媒が空気でない場合、相対溶媒蒸気含量は、相対湿度決定について上で説明したものに類似の原理を用いて測定可能である。しかしながら、空気と水蒸気の系に対する湿度比は1とみなし得るのに対して、他の系に対する比は、一般に1に等しくない。したがって、断熱飽和温度は、湿球温度とは異なることになる。それ故に、空気と水蒸気以外の系についての溶媒蒸気含量及び乾燥の決定には、一般に、各点における蒸発表面温度の計算を必要とする。例えば、空気と水蒸気の系の場合、蒸発表面の温度は、たとえ気体流の温度及び湿度が変化しても、定率乾燥期間中は一定である。他の系の場合、蒸発表面の温度は変化するものであり、それ故に、蒸発表面温度はそれぞれの点に対して計算されなければならない。ロバートHペリー(Robert H.Perry)による「ペリーの化学技術者ハンドブック(Perry's Chemical Engineers' Handbook)」第4版、15−2ページ、マクグローヒルブック社(McGray-Hill Book Company)1969年刊行を参照されたい。
本発明の装置の1つの実施形態の拡大断面図。 本発明の装置の1つの実施形態の拡大斜視図。 本発明の代表的なノズルの拡大斜視図。 より詳細に示すために個々の要素の間隔を相互に離した、本発明のダイの1つの実施形態の拡大した部分断面図。 より詳細に示すために個々の要素の間隔を相互に離した、本発明のダイの別の実施形態の拡大した部分断面図。 本発明の1つの代表的な実施形態のカバープレートの拡大した断面図。 本発明の1つの代表的なノズルの拡大した部分断面図。 支持要素を備える本発明の装置の1つの実施形態の拡大した部分平面図。 複数片支持プレートの1つの代表的な実施形態の拡大した断面図であり、それらの個々の詳細を示すために互いに分離された個別片。 スクリーン型支持要素の代表的な実施形態の拡大した部分平面図。 ダイ出口における繊細化空気の相対湿度パーセント(縦軸)とダイ圧力(横軸)との間の関係のグラフ表示。 ある繊維形成ダイの流動特性の関係のグラフ表示であって、縦軸がダイ圧力を示し、横軸が繊細化流量を示す。 ある繊維形成ダイからの繊細化空気流の相対湿度パーセント(縦軸)と繊細化流量(横軸)の間の関係のグラフ表示。

Claims (20)

  1. 繊維を形成するための装置であって:
    繊維に形成される原料を受け入れるための繊維原料供給空洞及び繊細化媒質入口を備えるダイ組立体と;
    複数のノズル及び1つ以上の繊細化媒質通路を備える紡糸口金組立体と、前記ノズルが、前記ノズルの少なくとも一部が前記繊維原料供給空洞と流体連通するように、前記紡糸口金組立体内に配置され、前記1つ以上の繊細化媒質通路が、最小断面積を有し;
    前記紡糸口金組立体の少なくとも一部に隣接して配置されたカバープレートと、前記カバープレートが、前記ノズルの1つ以上が延びることがあるカバープレート開口部を有し、前記カバープレート開口部が、制限断面積を有し;
    前記1つ以上の繊細化媒質通路の前記最小断面積が、前記カバープレート開口部の前記制限断面積より大きいことを特徴とする装置。
  2. 前記ノズルが、2つ以上の列で配置され、且つ前記1つ以上の繊細化媒質通路の前記最小断面積が、前記カバープレート開口部の前記制限断面積の2倍以上である、請求項1に記載の装置。
  3. 前記ノズルが、ノズル通路内で前記カバープレートを貫いて延び、且つ前記カバープレート開口部が、前記ノズル通路から分離されている少なくとも一部の繊細化媒質穴を備える、請求項1又は2のいずれか一項に記載の装置。
  4. 前記カバープレート開口部が、1つ以上の繊細化媒質穴を備え、前記繊細化媒質穴の少なくとも一部がテーパ付けされて、前記繊細化媒質穴が上流有効径及び下流有効径を有し、且つ前記上流有効径が、前記下流有効径より大きい;又は前記繊細化媒質穴の少なくとも一部の前記下流有効径が、その他の繊細化媒質穴の少なくとも一部の前記下流有効径と異なる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
  5. 前記カバープレート開口部が、1つ以上の繊細化媒質穴を備え、前記繊細化媒質穴が、上流端部及び下流端部を有し、且つ前記上流端部又は下流端部の1つ以上が丸み付け又は面取りされており、あるいは1つ以上の繊細化媒質穴は断面が非円形である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
  6. 前記カバープレート開口部が、1つ以上の繊細化媒質穴を備え、且つ前記装置が、前記繊細化媒質穴の少なくとも一部の中に配置された支持要素を備え、好ましくは、前記支持要素が、前記繊細化媒質穴内で前記ノズルを支持する突起部を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
  7. 前記カバープレート開口部が、1つ以上の繊細化媒質穴を備え、且つ前記装置が、支持要素を有する支持プレートを備え、前記支持プレートが、前記カバープレートに隣接して配置されて、前記支持要素の少なくとも一部が、前記繊細化媒質穴の少なくとも一部と整列する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
  8. 支持プレートを備える請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置であって、前記支持プレートが、前記カバープレートの上流に配置され;好ましくは、前記支持プレートが、スクリーン若しくは他の多孔質材料、又は少なくとも2つの重ねられたプレートを備え、ここで前記プレートの少なくとも1つが、1つの方向に少なくとも2つのノズルに及ぶスロットを有すると共に、前記プレートの少なくとも1つが、異なる方向に少なくとも2つのノズルに及ぶスロットを有する、装置。
  9. 前記カバープレート開口部又は前記カバープレート開口部を構成する任意の個々の繊細化媒質穴が、前記繊細化媒質に回転流れを誘起するように設計されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
  10. 前記ノズルが、可撓性であるか、又は前記紡糸口金内で可撓性に取り付けられている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
  11. 前記ノズルが、内側有効径及び外側有効径を有し、且つ前記ノズルの少なくとも一部の前記内側有効径及び/又は外側有効径が、ノズル毎に変化する、又はいずれかの1つ以上のノズルの中で変化する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
  12. 前記ノズルの少なくとも1つが、1つ以上の他のノズルとは異なる距離で前記供給空洞から離れて延びる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
  13. 前記カバープレートの少なくとも一部が、前記口金組立体から外向きに前記ノズルの少なくとも一部より遠くへ延びる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
  14. 溶媒中に溶解された繊維形成原料を、繊維ストランドを形成するための少なくとも2列のノズルを備えるダイを通して供給する工程と;
    前記繊維ストランドの周りに繊細化媒質を提供する工程と、前記繊細化媒質が、前記繊維ストランドを細長くするように、前記繊細化媒質が、前記繊維ストランドに平行である方向に備えられ、前記繊細化媒質が、少なくとも50%の、好ましくは少なくとも60%の相対溶媒蒸気含量を有し;
    を備える、溶媒中に溶解された原料から繊維をつくる方法。
  15. 前記繊維形成原料が、非熱可塑性であり、好ましくは、デンプン系組成物及び/又はポリビニルアルコールを含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記溶媒が水である、請求項14に記載の方法。
  17. 前記繊細化媒質が、カバープレート開口部を通して90〜350m/sの間の速度で提供され、且つ前記繊細化媒質が、4未満、好ましくは約3未満の圧力低下係数を有する、請求項14に記載の方法。
  18. 前記繊細化媒質が、前記繊維ストランドに接触する前に圧力低下を経過し、且つ前記繊細化媒質が、前記圧力低下を経過した後で冷却される、請求項14に記載の方法。
  19. 前記繊維形成原料が、異なる溶融流量をノズル中にもたらす異なる長さ及び/又は異なる直径を有する前記ノズルを通して押し出される、請求項14に記載の方法。
  20. 前記ダイが、前記繊細化媒質が流れる繊細化媒質穴を有するカバープレートを備え、且つ前記繊細化媒質穴が、異なる繊細化媒質流量をもたらすように変化する形状及び/又は直径を有する、請求項14に記載の方法。

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