JP2006521827A - 酵素反応成分の放出を制御する方法 - Google Patents

酵素反応成分の放出を制御する方法 Download PDF

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Abstract

組成物及び反応キットは酵素プロセスを制御するために提供される。組成物及びキットは実質的に水に不溶性の、水浸透性ポリマー及び必須のイオン性酵素反応物の、低い水溶性の塩を含む。開示された組成物及び方法はPCRの特異性及び性能を改善するために特に有用である。

Description

(背景)
この出願は、合衆国法典第35巻第119条のもとで2003年4月4日に提出されたドイツ国出願DE 103 15 640.2の優先権の利益を主張する。
生体分子プロセスにおいて、酵素の活性を制御することがしばしば重要である。これは、特にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で使用されるDNAポリメラーゼ酵素による場合である。PCR反応は、しばしば加熱と冷却を交互に数回繰り返してNDAを増幅する工程を用いる多サイクルプロセスにおいて、Mg2+依存性耐熱性DNAポリメラーゼ酵素(例えば、Taq DNAポリメラーゼ)の使用に関連する(米国特許第4,683,202号及び第4,683,195号)。最初に、二本鎖ターゲットDNAをその2つの一本鎖に変性させるのに十分な温度に反応混合物を加熱する。次いで、反応混合物の温度を下げて、特定のオリゴヌクレオチドプライマーをそれらのそれぞれの相補一本鎖ターゲットDNAとアニール化させる。アニール化工程後、温度を、使用するDNAポリメラーゼに最適な温度に上げ、それによって、アニール化されたオリゴヌクレオチドプライマーの3'末端で相補ヌクレオチドを組み込み、二本鎖ターゲットDNAを再形成する。熱安定DNAポリメラーゼを用いる、変性、アニール化及び伸長のサイクルは、各熱変性後ポリメラーゼを追加することなく、所望の産物を生成するのに必要な回数繰り返すことができる。20又は30回の複製サイクルは、ターゲットDNA配列の最大100万倍の増幅を生じることができる("Current Protocols in Molecular Biology,"F. M. Ausubel et al. (Eds.), John Wiley and Sons, Inc., 1998)。
PCR技術は生物医学研究及び遺伝的同一性分析に大きな影響を持つが、非ターゲットオリゴヌクレオチドの増幅及び非ターゲットバックグラウンドDNA、RNA及び/またはプライマー自身のミスプライミングは、依然として重要な問題を提示する。これは、ターゲットDNAが比例して非常に低レベルで存在する場合がある複雑な遺伝的バックグラウンドの環境において、PCRが行われる診断用途では特にその傾向が強い(Chou et al., Nucleic Acid Res., 20: 1717-1723(1992))。
主要な問題は、Taq DNAポリメラーゼ活性に最適の温度は典型的には62〜72℃の範囲であるけれども、20〜37℃でも有意な活性は生じ得ることである(W. M. Bames, et al, U. S. Pat. No. 6,403,341)。その結果、周囲温度での標準的なPCR調製の際、プライマーは、DNA配列に相補的であるプライマーの3'末端で数塩基対のみが安定なプライミング複合体を生じ得るために、非特異的配列で伸長を初回刺激する場合がある。その結果、競合的又は阻害性産物が所望の産物を犠牲にして産生され得る。したがって、例えばプライマーからのみなる構造(しばしば「プライマーダイマー」と呼ばれる)は、互いに不適切に対を作るプライマーにおいてTaq DNAポリメラーゼ活性によって形成される。
また、望ましくないプライマー間相互作用の確率は、反応、特に多重PCRにおけるプライマー対の数によって増加する。また、鋳型DNAのミスプライミングは、阻害性産物又は種々の長さの「誤ったバンド(wrong bands)」の生成を生じる得る。PCRサイクルの際、望ましくない産物の非特異的増幅は、所望のターゲットDNAの増幅と必要な因子及びアッセイの誤解釈をもたらし得る伸長成分(例えば、dNTP)において競合する。初回刺激現象から相対的に多量のDNAを連続的に増幅するために、Taq DNAポリメラーゼの感受性及びその特性が与えられると、特にPCR反応を構成する場合、DNA増幅産物を汚染する無関係な生成を防止するためにTaq DNAポリメラーゼ活性を制御することが必要である。
望ましくないPCR副反応は、典型的には周囲温度でPCR調製の際に生じる。これらの副反応を最小にする1つのアプローチは、すべての反応成分を高温にするまで(例えば、DNA変性)、反応から少なくとも1つの必須の試薬(dNTP、Mg2+、DNAポリメラーゼ又はプライマー)を除くことに関する。このアイデアは、プライマーの他のプライマーへの、又は望ましくないターゲット配列への結合を防止する(Erlich, et al., Science 252, 1643-1651, 1991; D'Aquila, et al., Nucleic Acids Res. 19, 3749, 1991)。これは、所望の反応温度に達するまで、必須の成分を物理的に隔離する「物理的」PCRホットスタートアプローチの例である。
他の物理的ホットスタートアプローチは、反応成分を互いに物理的に隔離して、DNAポリメラーゼ活性がPCR開始の前の期間に抑制されることを保証するものとして(米国特許第5,643,764号、ロシア特許RU 2,215,037を参照のこと)又は加熱によって可逆的に活性化可能な変性DNAポリメラーゼを利用する「化学的/生化学的ホットスタート」法を用いるものとして(例えば、AMPLITAQ GOLDTM DNA POLYMERASE, PE Applied Biosystems)又は周囲温度でポリメラーゼと結合するTaq DNAポリメラーゼに対するモノクローナル不活性化抗体として(Scalice et al., J. Immun. Methods, 172: 147-163,1994; Sharkey et al., Bio/Technology, 12: 506-509, 1994; Kellogg et al., Biotechniques, 16: 1134-1137, 1994)記載されている。
異なるPCRホットスタートアプローチは複数の欠点を有している。物理的ホットスタート法は汚染、ワックス又はグリースによるピペットチップの目詰まり及び加熱時間の増加の問題によって悩まされる。化学的/生化学的ホットスタート法は、鋳型DNAを損傷し得、過剰量の非常に高価な抗Taq抗体を必要とする。
したがって、従来技術の手順に関連して多くの問題又は欠点を最小又は排除する新しいPCRホットスタート法が当業界において必要である。より一般的に、制御された活性が望まれる他のMg依存性酵素又は他の非Mg依存性酵素を制御するための新しいアプローチが必要である。
(要約)
1つの態様において、本発明は、実質的に水に不溶性の、水浸透性ポリマー及びイオン性酵素反応物の水溶性の低い塩を組み合わせてイオン性酵素反応物の制御された放出を与える組成物を形成する酵素プロセスを制御するための組成物及び方法を提供する。水不溶性/水浸透性ポリマーは、前記塩の陽イオン性基との静電的相互作用を促進し、周囲の反応媒体へのイオン性反応物の放出に対する拡散障壁として作用するように設計される。前記塩は、水における溶解度が低くなるように選ばれ、その金属イオン封鎖及びポリマーからの放出は、制御された態様で、種々の酵素反応条件、例えば温度、インキュベーション時間及び/又はpHに依存して生じ得る。実際、前記ポリマーは、前記塩からの必須のイオン性酵素反応物の制御された放出に対する拡散障壁を与え、前記塩のポリマーからの解離及び放出は、さらに例えば前記塩の溶解度及び/又は反応媒体の温度によって決定される。
別の態様において、実質的に水に不溶性の、水浸透性ポリマー及び水溶性が低い塩を含む組成物は、酵素プロセスを制御するための反応容器に、又は反応表面及び/又は反応キットに組み込まれる。特異的に、水不溶性/水浸透性ポリマー、例えばポリ(ビニルアセタール)樹脂に組み込まれるイオン性酵素反応物の塩によってコートされた反応容器を調製及び使用するための方法が提供される。コートされた反応容器は、酵素プロセス、例えばPCR反応において熱安定DNAポリメラーゼ酵素を含むものを制御するために使用してもよい。
イオン性酵素反応物の塩としては、マグネシウム、マンガン、カドミウム、カルシウム、コバルト、銅、鉄、鉛、モリブデン、水銀、ニッケル、カリウム、ナトリウム又は亜鉛の1価、2価又は多価金属イオンが挙げられる。好ましい実施態様としては、金属イオン依存性酵素活性を制御するために使用される組成物及びコートされた反応容器又は表面が挙げられる。具体的な組成物又は反応キットとしては、Mg2+依存性酵素活性を制御するためのポリ(ビニルアセタール)樹脂に組み込まれたマグネシウムイオン又はマグネシウム塩、例えばシュウ酸マグネシウムが挙げられる。
前記反応容器、表面又はキットは追加の反応成分を含んでもよい。さらに、前記反応キットは、それぞれが少なくとも1つの追加の反応成分を含む複数の追加の反応容器を含むことができる。追加の反応成分の中で、その活性が前記ポリマー及び塩の両方からのイオン性反応物(たとえば、金属イオン)の放出及び/又は解離に依存する酵素(例えば、PCRのための熱安定ポリメラーゼ)を含んでもよい。
本発明の他の特徴、態様及び利点は、添付図面及び詳細な説明の検討によって当業者にとって明らかであり、又は明らかとなるであろう。この説明に含まれるすべてのそのような追加のシステム、特徴、態様及び利点は、本発明の範囲内であり、特許請求の範囲によって保護されることを目的とする。
本発明のこれらの及び他の特徴、態様及び利点は、本明細書、特許請求の範囲及び添付図面に関してより理解されるであろう。
(詳細な説明)
本明細書及び特許請求の範囲の明確、かつ、一貫した理解を与えるために、以下の定義を規定する。
「水における低い溶解度」、「溶解性が低い」及び「水溶性が低い」は、25℃で約1×10-3モル/L未満の水におけるモル溶解度を有する塩を表すために、本明細書で交換可能に用いられる。
「イオン性酵素反応物」及び「イオン性反応物」は、必要であるが、必ずしも(単独で)酵素を活性化するのに十分ではないイオン性補助因子又はイオン性基質試薬を表すために、本明細書で交換可能に用いられる。イオン性補助因子又は基質は陽イオン性反応物を構成してもよく、例えば金属イオンなどが挙げられるが、これに限定されるものではなく、又は陰イオン性反応物を構成してもよく、例えばATP、ヌクレオチド、ヌクレオシドなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
「熱安定(thermostable)」、「熱安定(thermally stable)」及び「熱安定(heat-stable)」は、不可逆な変性を生じることなく、少なくとも95℃までの温度に数分間耐えられる酵素を表すために、本明細書で交換可能に用いられる。典型的には、そのような酵素は45℃よりも高い、好ましくは50〜75℃の最適温度を有する。
1つの態様において、本発明は、実質的に水に不溶性の、水浸透性ポリマー及び水における溶解度が低いイオン性酵素反応物の塩を組み合わせてイオン性酵素反応物の制御された放出を与える酵素プロセスを制御するための組成物及び方法を提供する。水不要性/水浸透性ポリマーは、前記塩の陽イオン性基との静電的相互作用を促進するために選択してもよい。限定することを意図しないが、前記ポリマーは、溶解性が低い塩の拡散係数を減少させ、その分配及び放出を抑制すると考えられる。実際、前記ポリマーは、前記塩からの必須のイオン性酵素反応物の解離及び/又は放出の拡散障壁を与える。前記塩から周囲の反応媒体へのイオン性酵素反応物の解離及び/又は放出は、前記塩自体の物理的特性(例えば、溶解度)又は前記塩の溶解度に影響を与える反応条件(例えば、温度、時間及び/又はpH)によってさらに決定してもよい。イオン性酵素反応物の濃度及び放出特性を制御することによって、本発明は、酵素プロセスを制御する手段を与える(例えば、酵素プロセスの開始などであるが、これに限定されない)。
1つの態様において、本発明は、実質的に水に不溶性の、水浸透性ポリマー及びイオン性酵素反応物の、溶解性が低い塩を含む、酵素プロセスを制御するための反応混合物を提供する。この反応混合物は、酵素プロセスを制御するための反応キットにおいて、提供される反応容器の壁にコートしてもよい。前記容器又はキットは、前記ポリマー/塩混合物を含む第1反応容器を含んでもよく、酵素プロセスを促進するために、さらに1つ以上の追加の反応成分を含んでもよい。あるいは、前記反応キットは、酵素プロセスを促進するために、それぞれが少なくとも1つの追加の反応成分を含む複数の追加の反応容器を含んでもよい。
また、酵素プロセスを制御するための反応容器を作製及び使用する方法が提供され、この方法において、水に不溶性の、水浸透性ポリマー及びイオン性酵素反応物の、溶解性が低い塩は反応容器に加えられる。追加の工程は、酵素プロセスを活性化及び/又は完了するために、酵素などの追加の反応成分の混合、並びに反応条件を調整して第1反応条件のもとでイオン性酵素反応物の金属イオン封鎖及び第2反応条件(例えば、温度の上昇)のもとでイオン性酵素反応物の周囲の反応媒体への放出を行うことを含む。
ポリビニルアセタールポリマーは本発明で使用される水不溶性/水浸透性ポリマーの好ましいクラスである。特に好ましい実施態様は、ポリ(ビニルブチラール-co-ビニルアルコール-co-酢酸ビニル)(例えば、シグマ-アルドリッチ社、製品番号41,841-2)のようなポリ(ビニルブチラール)ポリマーである。このポリマーは、ポリ(ビニルアルコール)をブチルアルデヒドと酸触媒(例えば、硫酸)の存在下で縮合することによって製造してもよい("Textbook of Polymer Science,"3rd ed., F.W.Billmeyer (Ed.), John Wiley and Sons, Inc., 1984を参照のこと)。この反応は、ポリ(ビニルアルコール)の水性混合物で始め、ブチルアルデヒド及び酸触媒を添加してポリ(ビニルブチラール)沈殿物を形成することによって行ってもよい。隣接したアルコール基はブチルアルデヒドと反応して脂肪族ブチル鎖に結合したエーテル結合を形成する。縮合反応は、ヒドロキシル基が反応して十分な数の結合したエーテル結合を形成するときに停止させてもよい。
ポリ(ビニルアルコール)をアルデヒドと縮合反応において反応させる場合、ブチルアルデヒドの脂肪族鎖は、エーテル結合の炭素と上記2つの反応性アルコール基と結合した炭素との間にある。脂肪族の延長は、式Cn2n+1によって表すことができる。本発明の範囲内で、別の樹脂としては、ポリ(ビニルアルコール)がブチルアルデヒド以外のアルデヒドと反応する他のポリ(ビニルアセタール)などが挙げられる。ブチルアルデヒドによって、加えられた脂肪族鎖は式C37を有する。しかしながら、ポリ(ビニルアルコール)は、また他のアルデヒド、例えばホルムアルデヒドと反応して、C13延長を有するポリ(ビニルホルマール)樹脂を生成してもよい。他のアルデヒドを使用して、異なるCn2n+1延長を有する他のポリビニルアセタールを生成してもよい。適したCn2n+1延長は、n=1〜20の場合に合成できる。
どのような理論によっても束縛されることを意図しないが、本発明の水不溶性/水浸透性ポリマーは、反応媒体において使用できるイオン性酵素反応物に対する拡散障壁を与えると考えられる。この障壁は静電気的及び/又は物理的であってもよい。例えば、前記塩の荷電基は、水に不溶性の、水浸透性ポリマーとの静電的相互作用を媒介することができ、これによって複合型イオン性酵素反応物が第1反応条件で前記ポリマーによって選択的に封鎖されるが、第2反応条件で前記ポリマーから放出されるようにする。特に、ポリ(ビニル)アセタールポリマーのアセタール環の酸素原子は、水における溶解度が低い塩の陽イオン性基(例えば、Mg2+)との静電的相互作用を促進すると考えられる。さらに、温度の上昇は、水に不溶性の、水浸透性ポリマーに関連した基質の浸透性を増加させると考えられる。したがって、本発明の水に不溶性の、水浸透性ポリマーは、イオン性酵素反応物の塩に対して拡散障壁を提供すると考えられる。
水に不溶性の、水浸透性ポリマーとの静電的相互作用を媒介するイオン性酵素反応物は、それ自体、酵素プロセスを開始又は完了させるために必要である。あるいは、対イオンは、前記ポリマーとの静電的相互作用を媒介してもよく、それによって酵素プロセスに直接関連するイオン性酵素反応物の解離及び放出に直接影響する。
本発明の水に不溶性の、水浸透性ポリマーは、与えられたポリマーの種々の量のモノマーを含んでもよい。例えば、ポリビニルアセタールは、約5〜40%のポリビニルアルコール、好ましくは約10〜30%、より好ましくは約15〜25%、最も好ましくは約15〜20%のポリビニルアルコールを含んでもよい。ポリビニルアセタールは、また約5%未満のポリ(酢酸ビニル)、約3%未満、約0.3〜2.5%又は約0.3〜1.5%のポリ(酢酸ビニル)を含んでもよい。水に不溶性の、水浸透性ポリマーのモノマー比は、イオン性酵素反応物の制御された放出を最適にするために調整してもよい。
具体的なポリビニルアセタールとしては、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、それらの組み合わせ、ブレンド及びコポリマーなどが挙げられる。ポリビニルエステル及びアルキルポリエステルのようなポリマー樹脂を含むアルキルエステルは、また本発明の前記ポリマーに加えてもよい。ポリビニルエステルの例としては、ポリ酢酸ビニル、ポリ酪酸ビニルなどが挙げられる。アルキルポリエステルの例としては、これに限定されないが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、これらのコポリマーなどが挙げられる。
本発明のポリマーを合成するために使用されるポリ(ビニルアルコール)は、さらに得られるポリマーの物理的及び化学的特性を最適化するために、アセテートに似た構造を有するモノマーを含むように処理してもよい。例えば、酢酸ビニルをポリマー化して、例えばポリ(ビニルブチラール-co-ビニルアルコール-co-酢酸ビニル)の形成におけるポリ(ビニルアルコール)への前駆体であるポリ(酢酸ビニル)を形成してもよい。しかしながら、これに限定されないが、例えばアクリロニトリル、ポリアシルオニトリル、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリラート、メチルメタクリラート、2-ヒドロキシエチルメタクリラート、グリシジルメタクリラート、エチレングリコールジメタクリラート、これらの組み合わせ、ブレンド及びコポリマーなどの他のモノマーを酢酸ビニルとコポリマー化してもよい。
米国特許第4,247,498号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれるものとする)に開示される、及びその開示にしたがって調製される水に不溶性の、水浸透性ポリマーは、本発明の範囲内に含まれる。本発明で使用される適した水に不溶性の、水浸透性ポリマーとしては、これに限定されないが、非アクリル酸ポリオレフィン、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンターポリマー、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、ポリ(4-メチル-ペンテン-1)、ポリブチレン、ポリビニリデンクロリド、ポリビニルブチラール、塩素化ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、及びこれらの組み合わせ及びブレンド;アクリル酸ポリオフレフィン、例えばポリメチル-メタクリラート、ポリメチル-アクリラート、エチレン-アクリル酸コポリマー、エチレン-アクリル酸金属塩コポリマー、及びこれらの組み合わせ及びブレンド;酸化ポリマー、例えばポリフェニレンオキシド;及び縮合ポリマー、例えばポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ナイロン 6、ナイロン 11、ナイロン 13、ナイロン-6,6、ポリカルボナート、ポリスルホン、及びこれらの組み合わせ及びブレンドなどが挙げられる。
さらに、米国特許第5,580,573号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれるものとする)に開示される、及びその開示にしたがって調製される水に不溶性の、水浸透性制御放出ポリマーは、本発明の範囲内に含まれる。本発明で使用される適した水に不溶性の、水浸透性ポリマーとしては、これに限定されないが、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸 n-プロピル)及びポリ(メタクリル酸イソブチル)などが挙げられる。
また、米国特許第4,830,855号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれるものとする)に開示される、及びその開示にしたがって調製及び/又は架橋される水に不溶性の、水浸透性温度制御側鎖結晶化可能ポリマーは、本発明の範囲内に含まれる。本発明で使用される適した水に不溶性の、水浸透性ポリマーとしては、これに限定されないが、側鎖結晶化可能ポリマー(しばしば、「櫛型(comb-like)」ポリマーと呼ばれる;J. Poly. Sci.: Macromol. Rev. (1974) 8: 117-253で概説される)又は融点温度未満で実質的に薬剤不浸透性であるが融点温度よりも高い温度で実質的に薬剤浸透性である架橋側鎖結晶化可能ポリマーが挙げられ、これに限定されないが、再結晶化ポリ(ステアリン酸ビニル)(PVS)、ポリオクタデシルアクリラート(PODA)、エルバックス 40、エルバックス 250、ポリメチルテトラデシルシロキサン;アクリラート、フルオロアクリラート、メタクリラート及びビニルエステルポリマー(また、J. Poly. Sci. (1972) 10: 3347; J. Poly. Sci. (1972) 10: 1657; J. Poly. Sci. (1971) 9: 3367; J. Poly. Sci. (1971) 9: 3349; J. Poly. Sci. (1971) 9: 1835; J. A. C. S. (1954) 76: 6280 ; J. Poly. Sci. (1969) 7: 3053; Polymer J. (1985) 17: 991に記載されている);対応するアクリルアミド、置換アクリルアミド及びマレイミドポリマー(また、J. Poly. Sci. , Poly. Physics Ed. (1980) 18: 2197に記載されている);ポリαオレフィンポリマー(また、J. Poly. Sci.: Macromol. Rev. (1974) 8: 117-253及びMacromolecules(1980) 13: 12に記載されている);ポリアルキルビニルエーテル、ポリアルキルエチレンオキシド(また、Macromolecules(1980) 13: 15に記載されている);アルキルホスファゼンポリマー、ポリアミノ酸(また、Poly. Sci. USSR (1979) 21: 241, Macromolecules (1985)18 : 2141に記載されている)、ポリイソシアナート(また、Macromolecules (1979) 12: 94に記載されている);アミン又はアルコール含有モノマーと長鎖アルキルイソシアナートとを反応させて調製したポリウレタン、ポリエステル及びポリエーテル、ポリシロキサン及びポリシラン(また、Macromolecules (1986) 19: 611に記載されている)及びp-アルキルスチレンポリマー(また、J. A. C. S. (1953) 75 : 3326及びJ. Poly. Sci. (1962)60 : 19に記載されている)などが挙げられる。
反応容器で使用されるポリマーの量は、反応容器のサイズ及び反応混合物の容積に依存し得る。例えば、100μlの反応容積のPCR反応用の小さい反応チューブ(例えば、20、50、100、200、500μlのエッペンドルフチューブ)は、種々の樹脂量に対応できる。一例として、PCR用ポリ(ビニルブチラール)樹脂(例えば、ポリ(ビニルブチラール-co-ビニルアルコール-co-酢酸ビニル))は、0.02〜2.5mg、好ましくは0.03〜1.0mg、さらにより好ましくは0.3〜0.5mg又は0.03〜0.10mg/反応チューブ/100μl反応容積で使用してもよい。他の実質的に水に不溶性の、水浸透性ポリマーの量は、これらの量から外挿してもよく、又は種々の因子、例えば、これに限定されないが、酵素反応容積、酵素反応に必要な遊離イオン性反応物の量、前記ポリマーの塩放出特性、塩溶解度及び解離特性、温度及び/又はpHの関数として塩放出及び解離特性、ポリマーの分子量などに基づいて、当業者によって経験的に決定されていもよい。
水に不溶性の、水浸透性ポリマーの原液は、適した溶媒に前記ポリマーを溶解することによって調製してもよい。種々の樹脂濃度、例えば、これに限定されないが1.5〜50mg/mlで調製してもよい。好ましい濃度は10〜20mg/mlである。水に不溶性の、水浸透性ポリマーを懸濁するのに適した溶媒としては、クロロホルム、エタノール、氷酢酸、アセトン、塩化メチレン、DMSOなどが挙げられる。クロロホルム及びエタノールは、ポリ(ビニルブチラール-co-ビニルアルコール-co-酢酸ビニル)のようなポリ(ビニルブチラール)樹脂に対して特に好ましい溶媒である。
本発明で使用される塩としては、温度、インキュベーション時間及び/又はpHのような酵素反応条件に依存して制御された態様で、金属イオン封鎖又は前記ポリマーからのイオン性反応物の放出を促進するために、水における溶解度が低い、必須のイオン性酵素反応物の塩が挙げられる。イオン性酵素反応物は、陽イオン又は陰イオン対イオンとの複合体形成によって一時的に水不溶性となる。陽イオン又は陰イオンはモノマー又はポリマーであってもよい。
本発明で使用される陽イオン反応物としては、遊離1価、2価又は多価陽イオンが挙げられ、例えば、これに限定されないが、マグネシウム、マンガン、カドミウム、カルシウム、クロム、コバルト、銅、鉄、鉛、水銀、モリブデン、ニッケル又は亜鉛の金属イオンが挙げられる。このリストの中で好ましい陽イオン反応物は、例えば、これに限定されないが、Mg2+、Mn2+、Zn2+、Ca2+、Cd2+、Cu2+、Co2+、Cr2+、Cr3+、Cr6+、Ni2+、Ni3+、Pb2+、Pb4+、Fe2+、Fe3+及びHg2+が挙げられる。適した1価陽イオン反応物としては、例えばこれに限定されないが、Na+、K+、NH4 +が挙げられ、他の陽イオン反応物としては、NAD+、NADP+などが挙げられる。
陽イオンは、陰イオン(例えば、これに限定されないが、ハライド、ニトラート、シトラート、マレアート、スルファート、アセタート、オキサラート、マロナート、スクシナート、グルタラート、フマラート、ベンゾアート、フタラート、イソフタラート、テレフタラート、マラート、タルタラート、ピロホスファート、ホルマート、イソシトラート、エチレンジニトリロテトラ-アセタート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシラート、ベンゾアート、ヘミメリタート(hemimellitate)、トリメリタート、トリメサート(trimesate)、ピロメリタート、メリタート、メサコナート、メサコナート2-ナフチレンスルホナート(ナプシラート(napsylate))、グルコナート、1,1'メチレンビス(2-ヒドロキシ-3-ナフタレン)カルボン酸(パモアート)、トリルスルホナート(トシラート)、メタンスルホナート(メルシラート(mersylate))、グルコヘプタノアート(グルセプタート)、ビタルトラート、ポリグルタミン酸及び/又はベヘナート(蝋質脂肪酸の陰イオン形)が挙げられる)との複合体形成によって水溶性が低くなり得る。
陰イオン性反応物としては、例えば、これに限定されないが、ATP、ADP、ピロホスファート、ヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ジデオキシリボヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、コエンザイムA、陰イオン性基などの種々のヌクレオシド又はヌクレオシド誘導体などが挙げられる。
陰イオン性反応物は、金属イオン、カルシウム、マグネシウム又はそれらの1:1脂肪酸塩;ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、N,N'(ジヒドロアビエチル)エチレンジアミン(ヒドラバミン(hydrabamine))などの種々のアミン又はポリリジンのようなポリマーに限定されない陽イオンとの複合体形成によって水溶性が低くなり得る。
本発明で使用される塩は、水における溶解度が低い。前記塩の水におけるモル溶解度は、25℃で約1×10-2モル/L未満、約1×10-3モル/L未満、約1×10-4モル/L未満又は約1×10-5モル/L未満である。好ましくは、前記塩の溶解度は、約1×10-3〜1×10-8モル/L、約5×10-4〜5×10-5モル/L、1×10-5〜1×10-6モル/L又はこれらの溶解度の範囲の組み合わせである。
好ましくは、前記塩は、水において温度依存性溶解度を示し、15〜60℃又は25〜50℃の水においてその溶解度の増加は、少なくとも2倍、好ましくは4倍又はさらに10倍又は15〜100℃又は25〜90℃の水においてその溶解度の増加は少なくとも4倍、好ましくは少なくとも10倍又はさらに30倍である。
反応条件を変える(インキュベーション時間を長くする、温度を高くする又はpHを変える)ことは、遊離イオンの増大、解離及び/又は放出によって前記塩の溶解度に影響を及ぼし得る。したがって、塩は、酵素反応媒体におけるその解離速度に基づいて選択してもよい。具体的な態様において、塩は、イオン性酵素反応物を複合状態で低温で維持する(かなりの、又は検出可能な酵素活性を防止する)及び酵素プロセスを活性化及び完了するためにより高温で遊離イオン性酵素反応物の解離及び/又は放出を促進するその能力に基づいて選択してもよい(ただし、すべての他の必要な反応成分は反応媒体に存在する)。
前記塩としては、無水物形態又は半水化物、2水和物、3水和物などのような水和形態が挙げられる。上記特性を有する塩は、例えばCRC Handbook of Chemistry and Physics, 82nd Edition, D.R.Lide (ed), The Chemical Rubber Company, 2001に記載されている。当業者に公知の従来の方法論は、溶解度を経験的に決定又は変更するために利用できる。
前記塩は、ポリマー樹脂懸濁液に懸濁し、及び/又は凍結乾燥によって反応容器の壁又は反応表面にコートしてもよい。追加の反応成分(例えば、酵素、基質など)は、懸濁液及び/又は壁コーティングに加えてもよい。
マグネシウム依存性酵素で使用される好ましい塩としては、これに限定されないが、亜硫酸マグネシウム(MgSO3)、シュウ酸マグネシウム(MgC24)、フッ化マグネシウム(MgF2)、タングステン酸マグネシウム(MgWO4)及びこれらの組み合わせが挙げられる。
マンガン依存性酵素で使用される好ましい塩としては、これに限定されないが、ヨウ素酸マンガン(II)(Mn(IO3)2)、シュウ酸マンガン(II)(MnC24)、タングステン酸マンガン(II)(MnWO4)及びこれらの組み合わせが挙げられる。
カルシウム依存性酵素で使用される好ましい塩としては、これに限定されないが、タングステン酸カルシウム(CaWO4)、リン酸水素カルシウム(CaHPO4)、亜硫酸カルシウム(CaSO3)、フッ化カルシウム(CaF2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、シュウ酸カルシウム(CaC24)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、ヨウ素酸カルシウム(Ca(IO3)2)及びこれらの組み合わせが挙げられる。
銅依存性酵素で使用される好ましい塩としては、これに限定されないが、フッ化銅(II)(CuF2)、ヨウ素酸銅(II)(Cu(IO3)2)、モリブデン酸銅(II)(CuMoO4)、塩化銅(I)(CuCl)、シュウ酸銅(II)(CuC24)、臭化銅(I)(cuBr)及びこれらの組み合わせが挙げられる。
鉄依存性酵素で使用される好ましい塩としては、これに限定されないが、シュウ酸鉄(II)(FeC24)、フッ化鉄(II)(CuF)及びこれらの組み合わせが挙げられる。
鉛依存性酵素で使用される好ましい塩としては、これに限定されないが、臭化鉛(II)(PbBr2)、フッ化鉛(II)(PbF2)、ヨウ化鉛(II)(PbI2)、チオシアン酸鉛(II)(Pb(SCN)2)、タングステン酸鉛(II)(PbWO4)、硫酸鉛(II)(PbSO4)、シュウ酸鉛(II)(PbC24)及びこれらの組み合わせが挙げられる。
モリブデン依存性酵素で使用される好ましい塩としては、これに限定されないが、酸化モリブデン(VI)(MoO3)が挙げられる。
ニッケル依存性酵素で使用される好ましい塩としては、これに限定されないが、ヨウ素酸ニッケル(II)(Ni(IO3)2)、炭酸ニッケル(II)(NICO3)及びこれらの組み合わせが挙げられる。
カリウム依存性酵素で使用される好ましい塩としては、これに限定されないが、過ヨウ素酸カリウム(KIO4)が挙げられる。
ナトリウム依存性酵素で使用される好ましい塩としては、これに限定されないが、テルル酸ナトリウム(Na2TeO4)、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウム(Na2SiF6)及びこれらの組み合わせが挙げられる。
亜鉛依存性酵素で使用される好ましい塩としては、これに限定されないが、ヨウ素酸亜鉛(Zn(IO3)2)、亜硫酸亜鉛(ZnSO3)、シュウ酸亜鉛(ZnC24)及びこれらの組み合わせが挙げられる。
他の塩は、使用により酵素プロセスを制御することができ(ただし、それらが水において溶解度が低いことを条件とする)、前記ポリマーからの制御された放出を与え得る。好ましくは、前記塩はより高温で溶解度の上昇を示す。
シュウ酸マグネシウム(MgC24)は、Mg2+依存性酵素プロセス、例えばPCRにおいて特に好ましい塩である。MgC24は、周囲温度でのその溶解度が低いために、水に溶解するのが難しい。例えば、18℃では、MgC24の水における溶解度は、5.7×10-4モル/Lである。しかしながら、MgC24は、100℃でほぼ100倍の溶解度となる(5.4×10-3モル/l、Ignatov et al., Russian Journal of Bioorganic Chemistry, Vol.29, No.4, pp.368-371, 2003)。したがって、溶解性が低いマグネシウム塩(例えば、MgC24)及び実質的に水に不溶性の、水浸透性ポリマーを含む組成物は、低温での遊離Mg2+の放出を抑制するが、遊離マグネシウムイオンの温度依存性放出を促進し(例えば、72℃で)、Taq DNAポリメラーゼ触媒伸長用特異的結合プライマーの選択によってPCR反応の特異性を増大できる。
本発明の組成物における塩の量は、例えば特定の酵素プロセスに必要な遊離イオン性酵素反応物の量に依存する。酵素条件は、広く公開され、当業者であれば日常的に入手可能である。さらに、それらは、経験的に決定及び/又はルーチン的に最適化できる。したがって、酵素活性を制御しようとする場合、塩の量は、前記ポリマーによる塩の金属イオン封鎖の程度、前記塩の溶解度、酵素プロセスに必要な遊離イオン性酵素反応物の量及び/又は上記反応条件(例えば、温度、pHなど)の効果に基づいて経験的に決定できる。
熱安定DNAポリメラーゼ酵素を利用するPCRプロセスについて、前記ポリマーに関するマグネシウム塩の量は、経験的に決定でき、例えば、これに限定されないが酵素反応容積、酵素反応容積に必要な遊離Mg2+の量、前記ポリマーの塩放出特性、塩溶解度及び解離特性、温度及び/又はpHの関数として塩放出及び解離特性、塩の分子量などの種々の因子に依存し得る。PCR反応用の小さい反応チューブ(例えば、20、50、100、200、500μlのエッペンドルフチューブ)は、種々のマグネシウム塩の量に対応できる。一例として、ポリ(ビニルブチラール-co-ビニルアルコール-co-酢酸ビニルが前記ポリマーである場合、PCR反応用シュウ酸マグネシウムの量は、反応チューブ1個当たり100μl反応容積当たり0.003〜10mgの範囲であってもよい。シュウ酸マグネシウムの好ましい量/反応チューブ/100μl反応容積は0.1〜5mg/反応チューブ/100μl反応容積であり、より好ましくは0.1〜0.5mg/反応チューブ/100μl反応容積であり、さらにより好ましくは0.1mg/反応チューブ/100μl反応容積である。同等のモル量は、例えば上述の因子に依存して、他の溶解性が低いマグネシウム塩について決定でき、さらに経験に基づいた決定によって最適化できる。
別の態様において、本発明は、酵素プロセスを制御するための反応容器又は反応キットを提供する。前記容器又はキットは、水不溶性/水浸透性ポリマー及び酵素プロセスを完了するために必要なイオン性酵素補助因子を含む第1反応容器を含んでもよい。第1反応容器は、さらに酵素プロセスを促進する1つ以上の追加の反応成分を含んでもよい。あるいは、反応キットは、それぞれが酵素プロセスを促進する少なくとも1つの追加の反応成分を含む複数の追加の反応容器を含んでもよい。
好ましい実施態様において、本発明は、水不溶性/水浸透性ポリマー及びイオン性酵素反応物の塩を有する組成物を含む反応キットを提供する。前記組成物は、反応容器(例えば、チューブ、ウエル又はプレート)の壁にコートされていてもよい。前記ポリマー及び塩は適した溶媒(例えば、クロロホルム)に懸濁されてもよい。特に好ましい実施態様において、前記ポリマー/塩懸濁液は、凍結乾燥により反応容器の壁表面にコートされる。
コートされた反応容器はエッペンドルフチューブ(例えば、20、50、100、200、500μl反応容積容量などを有する)のような小さい反応チューブであってもよく、又は調製用のレベルが所望である場合、試験チューブのような大きなチューブであってもよい。コートされた反応容器は、またそれぞれがポリマー/塩混合物でコートされたウエルである複数のウエルを含むマイクロタイタープレートであってもよい。コートされた反応容器は、またマイクロアレー技術で有用なスライドであってもよい。前記容器又は反応チューブのサイズは、酵素プロセスの範囲又は感度に応じて変えることができる。本質的に容器の任意の形状又はサイズは、従来の酵素手順に従って使用できる。
反応容器をコートするための樹脂/塩の最適な量は、特定の用途について経験的に決定でき、特定の酵素プロセスで必要なイオン性反応物に依存する。好ましい実施態様において、ポリマー/塩懸濁液(例えば、クロロホルムの)を反応容器に加えて乾燥する。次いで、この懸濁液を空気乾燥できる。あるいは、減圧下で乾燥でき(スピード真空)、及び/又は例えば、10分間50℃以上で乾燥できる。
コートされた反応容器は、さらに酵素プロセスを促進するための1つ以上の反応成分を含む反応キットの一部であってもよい。1つの態様において、コートされた反応チューブの内容物は、酵素プロセスを促進するための1つ以上の追加の反応成分を含む反応媒体に懸濁されていてもよい。追加の反応成分としては、例えば酵素プロセスを完了するための酵素バッファー、塩、補助因子及び/又は基質が挙げられる。一例として、本発明に従うPCRプロセスは、少なくとも1つのDNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオシド3リン酸、少なくとも2つのプライマー、少なくとも1つのターゲット核酸配列又はそれらの組み合わせを含んでもよい。マーカー又は染料(例えば、生物発光、化学発光など)などの追加の反応成分は、酵素プロセスの定性的又は定量的情報を与えるために加えられてもよい。
追加の反応成分を再懸濁前にコートされた反応容器に入れてあってもよく、特定の反応キットによって与えられる1つ以上の追加の反応容器に入れてあってもよい。したがって、特定の反応キットは、それぞれが酵素プロセスを促進する少なくとも1つ以上の追加の反応成分を含む複数の追加の反応容器を含んでいてもよい。
ポリマー/塩混合物でコートされた反応容器は、最適の活性に必要な異なった補助因子/基質を有する種々の酵素によって交換可能に使用できる。Taq DNAポリメラーゼは、典型的により高い遊離Mg2+濃度(例えば、3〜4mM)を必要とするKlentaqのような他のPCRポリメラーゼ酵素と比べて、PCRにおける最適の活性についてより低いMg2+量(1.5〜3.0mM)を必要とすることが観測された。したがって、酵素反応に必要なイオン性酵素反応物の解離及び/又は放出に影響を及ぼすために、追加の塩を反応媒体に加えてもよい。典型的には、追加の塩は、酵素プロセスを行うために、全レベルの自由に利用できるイオン性塩を微調整(又は減少)することができる低い溶解性の第1塩と共通の陰イオンを共有する。
シュウ酸アンモニウム((NH4)224)は、MgC24のようなシュウ酸含有塩とともに使用して酵素プロセスのために放出されるイオン性酵素反応物のレベルを微調整できる典型的な塩である。25℃で、水における(NH4)224の溶解度は、MgC24と比べて124倍高い。したがって、より高い溶解性をもつシュウ酸塩(例えば、(NH4)224)の添加は、低い溶解性のMgC24塩から放出されるMg2+の最終濃度に対するバランス効果を与え得る。
一例として、(NH4)224は、この場合、PCRのようなMg2+依存性酵素プロセスを制御するための自由に利用できるMg2+イオンのレベルを最適化するために、酵素反応媒体に含ませてもよい。1つの実施例において、(NH4)224は、Klentaqよりも低いMg2+濃度を必要とする、例えばTaq DNAポリメラーゼを含む特定のPCRホットスタート反応において放出される自由に利用できるMg2+の有効量を減らすために、例えば10〜12mMの最終濃度でインキュベートしてもよい。
第2塩は、反応バッファー濃厚物の形態で提供されてもよい。例えば、PCR反応のためのポリマー樹脂/MgC24混合物と関連して使用するために適した10倍反応バッファーは、300mMのKCl、200mMのTris-HCl(pH=9.0、25℃)、100mMの(NH4)224、1%のTriton X-100を含んでもよい。他の塩で使用するため及び/又は他の酵素プロセスを制御するための第2塩バッファーは、類似の態様で調製してもよい。一般に、バッファーは酵素反応条件に適合し、前記ポリマーに取り込まれたイオン性反応物の低い溶解性の塩と共通の対イオンを共有するより高い溶解性をもつ(第2)塩を含む。
別の態様において、本発明の組成物、反応容器又はキットは酵素プロセスを制御するための方法で使用され、この方法において、水に不溶性の、水浸透性ポリマー及びイオン性酵素反応物を含む低い溶解性の塩を含む組成物を、水性反応媒体中の追加の反応成分(少なくとも1つの酵素など)と接触させる。反応成分の組成物及び反応条件(温度、pHなど)は、第1反応条件下でイオン性酵素反応物の金属イオン封鎖及び第2反応条件下(例えば、温度の上昇)で周囲の反応媒体へのイオン性酵素反応物の放出を可能にするために適応されて、酵素プロセスを活性化及び/又は完了する。
好ましい酵素プロセスは、塩で処方され得るイオン性酵素反応物を必要とするものを含む。イオン性酵素反応物は、金属イオンのような酵素プロセスを開始又は完了するために必要な補助因子であってもよい。しかしながら、イオン性反応物の塩は、また酵素プロセスに直接関連しない金属イオンを含んでもよい。この場合、金属イオンは、酵素プロセスに直接関連する対イオン(例えば、ATP、コエンザイムAなど)のポリマーからの解離及び/又は放出にのみ影響を及ぼし得る。
金属イオンは、多くの代謝プロセスに関与し、約1/3の酵素において重要な役割を果たす(概説するために、例えばNelson, EMBO J., Vol.18, No.16, pp.4361-4371, 1999; Glusker et al., Rigalcu K., Vol.16, No.2, 1999を参照のこと)。種々の酵素プロセスに必要な金属イオンの例としては、これに限定されないが、Mg2+、Mn2+、Zn2+、Ca2+、Cd2+、Cu2+、Co2+、Cr2+、Cr3+、Cr6+、Ni2+、Ni3+、Pb2+、Pb4+、Fe2+、Fe3+及びHg2+が挙げられる。金属イオン(又はさらにその対イオン)の制御放出は、低い水溶性の金属イオン塩を加えることによって提供され得る。
1つの態様において、本発明は、酵素プロセスを制御するための方法及び反応容器を提供する。好ましい酵素としては、分子生物学用途で使用されるものが挙げられる。分子生物学用途の酵素に関するさらなる情報は、例えば"LabFax: Molecular Biology,"T.A.Brown (Ed.), Academic Press, 1991; "Methods in Molecular Biology: Vol.16-Enzymes of Molecular Biology,"M.M.Burrell (Ed.), Humana Press, 1993; 及び"Current Protocols in Molecular Biology,"F.M.Ausubel et al. (Eds.), John Wiley and Sons,Inc., 1998で見つけることができる。
好ましい実施態様において、本発明は、Mg2+依存性酵素を制御するための方法及び反応容器を提供する。一例として、ポリ(ビニルブチラール-co-ビニルアルコール-co-酢酸ビニル)のような水に不溶性の、水浸透性ポリマーにおいてシュウ酸マグネシウムのような水溶性の低いMg2+含有塩を囲む本発明は、PCRのようなMg2+依存性酵素プロセスのために制御された温度、遊離Mg2+イオンの制御された放出を提供できる。したがって、遊離Mg2+イオンの放出に必要な温度の上昇に加えて、前記ポリマーは、酵素プロセスを活性化及び/又は完了させるために遊離Mg2+イオンの利用可能性を制御するさらなる手段を提供する。好ましくは、検出できるほどの量のMg2+イオンは、反応混合物が少なくとも約5分間94℃でインキュベートされるまで、放出されない。
本発明に従って制御され得るMg2+依存性酵素としては、種々の一般的な酵素クラスによって定義される種々の酵素メンバー又は種が挙げられ、例えばDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素、DNAリガーゼ、エンドヌクレアーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、キナーゼ及びプロテアーゼなどが挙げられる。Mg2+依存性酵素は、広範囲の動物、細菌又はウイルス源が起源であってもよく、天然の遺伝子構造又は例えば、突然変異誘発によって遺伝子組み換えされた、若しくは複数の区別可能な機能ドメインを有する融合タンパク質を発現するように遺伝子組み換えされた変異体から合成してもよい。
Mg2+依存性酵素の追加の例としては、クレノウフラグメント及びDNA PolIのようなDNAポリメラーゼ、AMV RT及びMMLV RTのような逆転写酵素(RT)、たいていの制限エンドヌクレアーゼ、RNase Hのようなリボヌクレアーゼ及びトポイソメラーゼIのようなトポイソメラーゼが挙げられる。
いくつかの酵素は、Mg2+に代えて他の金属イオンを用いることができる。例えば、RNAポリメラーゼI又はT7-、SP6-及びT4 RNAポリメラーゼのようなRNAポリメラーゼは、Mg2+又はMn2+を使用できる。Bal 31ヌクレアーゼは、Mg2+又はCa2+のいずれかを使用できる。DNase IはMg2+、Mn2+、Ca2+、Co2+又はZn2+などの種々の異なる金属イオンを利用できる。
本発明で使用される酵素は、好ましくは高温及び/又は種々のpH条件(高/低など)などのイオン性酵素反応物の放出に影響を及ぼす種々の反応条件下で酵素の安定性を保持することに基づいて選択又は加工してもよい。特に好ましい酵素としては、熱安定及び/又はpH耐性酵素が挙げられる。
熱安定酵素は、好熱性細菌源(例えば、好熱性の属であるサームス属)から分離してもよく、又は組み換え手段によって分離及び調製してもよい。サームス属の代表的な種としては、サームスアクアディカス(T. aquaticus)、サームスサーモフィラス(T. thermophilus)、サームスルバー(T. rubber), サームスフィリホルミス(T. filiformis)、サームスブロッキアヌス(T. brockianus)及びサームススコトダクタス(T. scotoductus)が挙げられる。本発明で使用される熱安定酵素は、広範囲の酵素タイプに由来してもよい。
本発明で使用される熱安定酵素の例としては、これに限定されないが、例えば米国特許第4,889,818号、第5,079,352号、第5,192,674号、第5,374,553号、第5,413,926号、第5,436,149号、第5,455,170号、第5,545,552号、第5,466,591号、第5,500,363号、第5,614,402号、第5,616,494号、第5,736,373号、第5,744,312号、第6,008,025号、第6,027,918号、第6,033,859号、第6,130,045号、第6,214,557号に開示される熱安定DNAポリメラーゼ;例えば米国特許第5,998,195号及びU.S.2002/0090618に開示される熱安定逆転写酵素;例えば米国特許第5,633,138号、第5,665,551号、第5,939,257号に開示される熱安定ホスファターゼ;例えば米国特許第5,494,810号、第5,506,137号、第6,054,564号及び第6,576,453号に開示される熱安定リガーゼ;例えば米国特許第5,215,907号、第5,346,820号、第5,346,821号、第5,643,777号、第5,705,379号、第6,143,517号、第6,294,367号、第6,358,726号、第6,465,236号に開示される熱安定プロテアーゼ;例えば米国特許第5,427,928号及び第5,656,463号に開示される熱安定トポイソメラーゼ;例えば米国特許第5,459,055号及び第5,500,370号に開示される熱安定リボヌクレアーゼ;例えば米国特許第5,432,078号及び第5,744,345号に開示される熱安定βガラクトシダーゼ;例えば、Acc III、Acs I/Apo I、Acy I、Bco I、BsaBI/BsiBI、BsaMI、BsaJI、BsaOI、BsaWI、BscBI、BscCI、BscFI、BseAI、BsiC1、BsiE1、BSi HKAJ、BsiLI、BsiMI、BsiQI、BsiWI、BsiXI、BsiZI、Bsi I、Bsm I、BsmAI、BsmBI、Bss、T11、Bsr1、BsrD1、Bsi711、BsiB1、BsiN1、BsiU1、BsiY1、BsiZ1、Dsa 1、Mae 11、Mae 111、Mwo 1、SspB1、Taq I、Taq II、Taq52 I、Tfi I、Tru91、TspE1、TspRI、Tsp45 I、Tsp4CI、Tsp509 I、Tth111 IIなどの熱安定制限エンドヌクレアーゼ;米国特許第6,251,649号に開示さえるFlapエンドヌクレアーゼ;及びFlpの変異体熱安定リコンビナーゼであるFLPeが挙げられる(Bucholz et al., Nature Biotechnology, Vol. 16, pp.657-662, 1998)。
好ましいMg2+依存性酵素としては、これに限定されないが、熱安定酵素が挙げられる。熱安定Mg2+依存性酵素としては、熱安定DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素、DNAリガーゼ、エンドヌクレアーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、キナーゼ及びプロテアーゼが挙げられ、例えば、これに限定されないが、上述の酵素が挙げられる。熱安定酵素は、好熱性細菌源から単離されてもよく、組み換え手段によって単離及び調製されてもよい。
PCR用途で使用される好ましいDNAポリメラーゼとしては、熱安定DNAポリメラーゼ及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。熱安定DNAポリメラーゼとしては、これに限定されないが、サームスアクアティカスDNAポリメラーゼ;例えば、DNAポリメラーゼのストッフェルフラグメント、Klentaq-235及びKlentaq-278などのTaq ポリメラーゼのN末端欠失;サームスサーモフィラスDNAポリメラーゼ;バシラスカルドテナクスDNAポリメラーゼ;サームスフラバスDNAポリメラーゼ;バシラスステアロサーモフィラスDNAポリメラーゼ及びサーモコッカ スリトラリスDNAポリメラーゼ(VentR(商標)とも呼ばれる)、Pfu、Pfx、Pwo及びDeepVentR(商標)又はこれらの混合物のような古細菌DNAポリメラーゼが挙げられる。他の市販のポリメラーゼDNAポリメラーゼとしては、TaqLA又はExpand High FidelityPlus Enzyme Blend(ロシュ);KlenTaqLA、KlenTaq1、TthLA(パーキンエルマー)、ExTaq(商標)(宝酒造);Elongase(商標)(ライフテクノロジーズ);TaquenaseTM(アマシャム)、TthXL(パーキンエルマー);AdvantageTM KlenTaq及びAdvantageTM Tth(クロンテック);TaqPlus(商標)及びTaqExtenderTM(ストラタジーン);又はこれらの混合物が挙げられる。
好ましい実施態様において、本発明はPCRの特異性を高める組成物及び方法を含む。特異的に、本発明はホットスタートPCRを行うためのプロセス及びキットを与える。前記プロセス及びキットは水に不溶性の、水浸透性ポリマーにおいてマグネシウムイオンを金属イオン封鎖する工程を利用し、反応媒体の温度が金属イオン封鎖ポリマーからマグネシウムイオンを可溶化及び放出させ、その結果それらがポリメラーゼを活性化できるまでDNAポリメラーゼの大部分を不活性にする。重合が所望される伸長サイクルまでPCR用DNAポリメラーゼ酵素の活性を制限することによって、ターゲットDNA分子の増幅特異性は増大し、競合又は抑制生成物の形成を最小限に、又はそれらを形成しないようにする。
本発明の反応組成物は、例えば下記実施例1、4及び5に記載の、他の従来のPCR法を用いるPCRプロセスに適用できる(例えば、PCR Protocols: A Guide To Methods And Applications, M.A.Innis (ed.), Academic Press, Inc., 1990; PCR Technology: Principles And Applications For DNA Amplification, H.A.Erlich(ed.), Oxford University Press, Inc., 1992; Current Protocols in Molecular Biology, F.M.Ausubel et al. (Eds.), John Wiley and Sons, Inc., 1998を参照のこと)。
本発明の範囲は、さらに活性のために他の金属イオンを必要とする酵素を制御するための組成物及び方法を含む。一例として、Zn2+はS1ヌクレアーゼ、ヤエナリ(Mung Bean)ヌクレアーゼ及びアルカリホスファターゼのためのイオン性酵素反応物である。アルカリホスファターゼは、さらにMg2+、Mn2+、Co2+又はHg2+のような他の金属イオンを利用してもよい。Ca2+はS7ヌクレアーゼのためのイオン性反応物である。Co2+は末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)及び真核生物のメチオニルアミノペプチダーゼのためのイオン性反応物である(Proc. Natl. Acad. Sci., Vol.92, pp.7714-7718, Aug.1995)。Cd2+はメタロチオネインプロモーターに結合する2量体化及び転写因子のためのイオン性反応物である(Biochemistry, Vol.31, No.7, pp.2181-2186, Feb.25,1992)。Pb2+はリードザイム(leadzyme)によって触媒されるリボザイム媒介RNA切断プロセスのためのイオン性反応物である(Wedekind et al., Biochemistry, Vol.42, No.32, pp.9554-9563, Aug.19,2003)。
Tth DNAポリメラーゼはその逆転写酵素活性を高めるためにMg2+に代えてMn2+を利用できる(Myers et al., Biochemistry, Vol.30, No.31, Aug.6,1991)。したがって、シュウ酸Mgを用いるMg2+依存性酵素の制御に関する本発明の実施例の変形において、Tth DNAポリメラーゼの逆転写酵素活性は、シュウ酸マンガン(II)、ヨウ素酸マンガン(II)又はタングステン酸マンガン(II)のような低い水溶性Mn2+塩と組み合わせて、ポリ(ビニルブチラール)のような水に不溶性の、水浸透性ポリマー樹脂を用いる類似のプロセスによって制御されてもよい。
Mg2+依存性DNAポリメラーゼ活性を制御するための、本明細書に(及び以下に)記載した原理、方法及び実施例は、上記のMg2+依存性又はMg2+非依存性酵素の他のタイプを制御する類似の様式で適用してもよい。前記酵素は、活性に必要な金属イオンがマグネシウム、マンガン、カドミウム、カルシウム、コバルト、銅、鉄、鉛、モリブデン、水銀、ニッケル又は亜鉛から生じる場合に同様に制御され得る。好ましいイオン性反応物としては、これに限定されないが、Mg2+、Mn2+、Zn2+、Ca2+、Cd2+、Cu2+、Co2+、Cr2+、Cr3+、Cr6+、Ni2+、Ni3+、Pb2+、Pb4+、Fe2+、Fe3+及びHg2+が挙げられる。好ましい1価陽イオンとしては、これに限定されないが、Na+、K+及びNH4 +が挙げられる。
金属イオン依存性酵素プロセスを制御するための原理は、例えば、これに限定されないが、ATP、ADP、ピロホスファート、コエンザイム、ニコチンアミド、アデニンジヌクレオチド(NAD+)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスファート(NADP+)、コエンザイムA、コエンザイムB12、コエンザイム1-10、ピリドキサールホスファート、チアミンピロホスファート、ヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ジデオキシリボヌクレオチド、プライマー及びオリゴヌクレオチド;陰イオン性基などの他のイオン性反応物を必要とする酵素プロセスにも同様に及び得る。
以下の実施例は本発明の態様を詳しく説明する。
(実施例)
(実施例1)
PCRのためのDNAポリメラーゼ活性の制御
1.シュウ酸マグネシウム/ブチラール樹脂懸濁液の調製
1グラムのシュウ酸マグネシウムを1mlのブチラール樹脂溶液(クロロホルム中0.05g/ml)に懸濁した。5μlの得られた懸濁液を小さい反応チューブに加えた。懸濁液を10分間50℃で乾燥した。5μlのシュウ酸マグネシウム溶液(クロロホルム中1g/ml)を有し、ブチラール樹脂を含まないコントロールとして別のチューブを調製した。
2.PCR反応のための反応成分の添加
100μlのPCR反応混合物(10mMのTris-HCl, 25℃でpH9.0; 50mMのKCl; 0.1%のTriton X-100; 0.2mMのデオキシリボヌクレオシド3リン酸(dNTPs); プライマーP1及びP2(それぞれ20pmol); 鋳型としての100ngのE. coli DNA; 及び10UのKlentaqポリメラーゼ)を、シュウ酸マグネシウム/ブチラール樹脂又はシュウ酸マグネシウムコントロールを含む反応チューブに添加した。プライマーP1(5'-ATGGCTAACGAATTAACCTGGCA、配列番号1)及びP2(5'-TTACTCACTCTCTGCCGGTAAT、配列番号2)を、E. coliウラシルDNAグリコシラーゼ遺伝子由来の690bp DNAフラグメントを増幅するように設計した。
3.PCR反応条件及び分析
反応混合物を24〜94℃に1℃/秒の速度で加熱した。94℃の温度に達したときに、15μlのサンプルをt=0、1、2、3及び5分で除去した。各サンプルをきれいなチューブ(シュウ酸マグネシウム及び/又は樹脂を含まない)に移し、以下の反応条件に従って25サイクル行った。94℃30秒、58℃30秒、72℃100秒。図1は得られたPCR産物の電気泳動分析を示す。この分析は、少なくとも3.5分のインキュベーション時間がポリメラーゼを活性化するのに十分な量のマグネシウムイオンを遊離させるのに必要であり、それによって増幅PCR産物は25サイクルで検出され得ることを示唆する(図1レーン4)。観測された誘導期間は、Klentaq DNAポリメラーゼ活性の活性化に対する制御を示す。ホットスタート中に放出されるマグネシウムの量は、追加のマグネシウムを添加しないで、続くPCR増幅反応における酵素の活性を維持するのに十分である。対照的に、コントロール反応は、ブチラールポリマー樹脂を含まずに、検出可能なPCR産物がインキュベーションなしに94℃で得られることを示した。これは、ブチラール樹脂によるマグネシウムイオンの金属イオン封鎖なしに、ポリメラーゼが94℃の温度に達する前でさえ活性であったことを示唆する。
(実施例2)
制限エンドヌクレアーゼ消化の制御
1.シュウ酸マグネシウム/ブチラール樹脂コート反応チューブの調製
実施例1に記載の通り、シュウ酸マグネシウム/ブチラール樹脂コート反応チューブを調製した。
2.制限エンドヌクレアーゼ消化のための反応成分の添加
100μlの制限酵素消化混合物(100mMのHCl; 10mMのTris-HCl(25℃でpH8.4); 10mMの2-メルカプトエタノール; 2μgのDNA pBR322; 2UのTaq I制限エンドヌクレアーゼ)を、シュウ酸マグネシウム/ブチラール樹脂を含む各反応チューブに添加した。
3.制限エンドヌクレアーゼ消化条件及び分析
反応混合物を24〜64℃に0.5℃/秒の速度で加熱した。64℃でt=0、1、2、3及び5分間インキュベーションした後、15μlのサンプルをきれいな反応チューブ(シュウ酸マグネシウムを含まない)に移し入れた。反応チューブ内でのインキュベーションを1時間64℃で続けた。図2は消化産物の電気泳動分析であり、制限エンドヌクレアーゼ活性の活性化が少なくとも2分間の64℃でのインキュベーションを必要とすることを示す。この初期インキュベーション時間は、追加のマグネシウムを添加しないで、連続反応期間中制限酵素の活性を維持するのに十分な量のマグネシウムを反応中に放出するのに十分である。
(実施例3)
DNAリガーゼ活性の制御
シュウ酸マグネシウム/ブチラール樹脂コート反応チューブの調製
実施例1に記載の通り、シュウ酸マグネシウム/ブチラール樹脂コート反応チューブを調製した。
100μlのDNAリガーゼ反応混合物(50mMのTris-HCl(25℃でpH8.0); 10mMの2-メルカプトエタノール; 1mMのATP; 2μgの、Hind IIIによって消化されたλDNA; 2ワイス単位のT4 DNAリガーゼ)を調製した反応チューブに添加した。DNAリガーゼ反応混合物を含むシュウ酸マグネシウム含有チューブを30℃でt=1、2、3、5及び10分間インキュベーションした後、15μlのサンプルをきれいな反応チューブ(シュウ酸マグネシウムを含まない)に移し、さらに1時間30℃でインキュベーションを行った。電気泳動分析は、30℃で10分のインキュベーション時間がT4 DNAリガーゼを活性化するために十分な量のマグネシウムが前記樹脂から拡散するのに必要であることを示した(図3レーン5)。
(実施例4)
従来のPCRアプローチと比較したコートされた反応チューブを用いるPCRの特異性の増加
A.従来のPCRホットスタート反応との比較
180bpのDNAフラグメントを50ngのヒトゲノムDNAから30サイクルで増幅した。以下の反応条件を比較した。手動ホットスタートは、Taq DNAポリメラーゼ酵素(図4レーン1、0.5U;レーン2、2.0U)を5分間94℃で予め加熱し、標準的なPCR条件に供した25μlの反応混合物に添加することによって行った(レーン1及び2)。比較のために、Taq DNAポリメラーゼ酵素を含む25μlの完全反応混合物(レーン3、0.5U;レーン4、2.0U)を本発明のコートされた反応チューブに加えた。完全反応混合物を5分間94℃で予め加熱し、レーン1及び2で使用した同じPCR条件に供した。図4は得られた増幅産物の電気泳動分析を示す。手動ホットスタート手順と比較して、コートされた反応チューブを用いた場合、得られた非特異的増幅産物はより少なかった(レーン1、2と比較してレーン3、4における高分子量増幅産物がないことを参照のこと)。
B.1.2kbのアフリカツメガエルのプロモーター領域の増幅
従来のPCRサイクル条件下(例えば、30サイクル)で適切に設計されたプライマーを用いて、アフリカツメガエル遺伝子XAC-2のプロモーター領域の1.2kbのフラグメントを20ngの南アフリカのカエルであるアフリカツメガエルのゲノムDNAライブラリーから増幅した。従来の反応チューブ(レーン1)及びコートされた反応チューブ(レーン2)において、PCR反応を調製した。図5は得られた増幅産物の電気泳動分析を示す。これらの反応条件下で、コートされた反応チューブのみが検出可能なレベルの所望の産物を与えた(レーン2)。従来のチューブを用いた場合、より小さい非特異的産物が得られた(レーン1)。
上記組成物及び方法が本発明の原理を詳細に説明する単なる代表的な実施態様であり、この組成物及び方法における他の変形は、本発明の意図及び範囲から離れることなく、当業者によって工夫され得ることは理解されるべきである。
ブチラール樹脂に包埋されたシュウ酸Mgでコートされた反応チューブを用いた(レーン1〜5)又はシュウ酸Mgのみを含む(すなわち、ブチラール樹脂のない)反応チューブを用いた(レーン6〜10)実施例1で得られるPCR産物の電気泳動分析を示す。反応混合物は最初に94℃で0分間(レーン1及び6)、1分間(レーン2及び7)、2分間(レーン3及び8)、3分間(レーン4及び9)及び5分間(レーン5及び10)インキュベートされた。 実施例2に記載される通り、Taq Iを用いてpBR322の制限エンドヌクレアーゼ消化によって得られるDNA断片の電気泳動分析を示す。制限消化混合物は最初に64℃で0分間(レーン1)、1分間(レーン2)、2分間(レーン3)、3分間(レーン4)及び5分間(レーン5)インキュベートされた。 実施例3で得られるDNA連結産物の電気泳動分析を示す。T4 DNAリガーゼのシュウ酸Mg含有チューブへの添加によって、反応混合物は最初に30℃で1分間(レーン1)、2分間(レーン2)、3分間(レーン3)、5分間(レーン4)及び10分間(レーン5)インキュベートされた。 50ngのヒトのゲノムDNAから増幅されるPCR産物の電気泳動分析を示す。手動ホットスタートは、Taq DNAポリメラーゼ酵素(レーン1、0.5U;レーン2、2.0U)を25μlの予め加熱した(94℃、5分)反応混合物に添加することによって行った。得られる反応混合物を標準のPCRサイクル条件に供した(レーン1及び2)。比較のため、Taq DNAポリメラーゼ酵素を含む(レーン3、0.5U;レーン4、2.0U)25μlの全反応混合物を、ポリマー及び塩でコートされた反応チューブに加え、標準のPCRサイクル条件に供した(レーン3及び4)。 20ngの南アフリカのカエルであるアフリカツメガエルのゲノムDNAを増幅してアフリカツメガエル遺伝子XAC-2のプロモーター領域から1.2kbの断片を生成したときに得られる増幅産物の電気泳動分析を示す。標準のPCRサイクル条件で、従来法(レーン1)及びコートされた反応チューブ(レーン2)を使用した。

Claims (36)

  1. 少なくとも1つの実質的に水に不溶性の、水浸透性ポリマー、及び
    少なくとも1つの、イオン性酵素反応物と対イオンとの塩を含む組成物であって、
    前記少なくとも1つの塩の水における溶解度が低い、組成物。
  2. イオン性酵素反応物がマグネシウム、マンガン、カドミウム、カルシウム、コバルト、銅、鉄、鉛、モリブデン、水銀、ニッケル、亜鉛、ナトリウム、カリウム及びアンモニウムからなる群より選ばれる、請求項1記載の組成物。
  3. 前記少なくとも1つのポリマーがブチラール樹脂、ポリビニルアセタール、ポリ(ビニルブチラール-co-ビニルアルコール-co-酢酸ビニル)、ポリ酪酸ビニル、ポリ酢酸ビニル並びにそれらの組み合わせ及びコモノマーからなる群より選ばれる、請求項1記載の組成物。
  4. 前記少なくとも1つのポリマーがポリ(ビニルブチラール-co-ビニルアルコール-co-酢酸ビニル)を含む、請求項1記載の組成物。
  5. 前記塩の水におけるモル溶解度が25℃で約1×10-2〜1×10-8mol/Lである、請求項1記載の組成物。
  6. 前記塩の水におけるモル溶解度が25℃で約1×10-3〜1×10-7mol/Lである、請求項1記載の組成物。
  7. 前記塩が亜硫酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、フッ化マグネシウム、タングステン酸マグネシウム、ヨウ素酸マンガン(II)、シュウ酸マンガン(II)、タングステン酸マンガン(II)、タングステン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、亜硫酸カルシウム、フッ化カルシウム、シュウ酸カルシウム、水酸化カルシウム、ヨウ素酸カルシウム、フッ化銅(II)、ヨウ素酸銅(II)、モリブデン酸銅(II)、塩化銅(I)、シュウ酸銅(II)、臭化銅(I)、シュウ酸鉄(II)、フッ化鉄(I)、臭化鉛(II)、フッ化鉛(II)、ヨウ化鉛(II)、チオシアン酸鉛(II)、タングステン酸鉛(II)、硫酸鉛(II)、シュウ酸鉛(II)、酸化モリブデン(VI)、ヨウ素酸ニッケル(II)、炭酸ニッケル(II)、過ヨウ素酸カリウム、テルル酸ナトリウム、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウム、ヨウ素酸亜鉛、亜硫酸亜鉛、シュウ酸亜鉛からなる群より選ばれる、請求項1記載の組成物。
  8. 前記少なくとも1つの塩がマグネシウム塩である、請求項1記載の組成物。
  9. 対イオンがシュウ酸イオンである、請求項1記載の組成物。
  10. 前記少なくとも1つの塩がシュウ酸マグネシウムである、請求項1記載の組成物。
  11. イオン性酵素反応物が酵素補助因子である、請求項1記載の組成物。
  12. イオン性酵素反応物が酵素基質である、請求項1記載の組成物。
  13. ポリ(ビニルブチラール-co-ビニルアルコール-co-酢酸ビニル)及びシュウ酸マグネシウムを含む請求項1記載の組成物。
  14. さらに、酵素プロセスを促進するための少なくとも1つの反応成分を含む請求項1記載の組成物。
  15. 前記少なくとも1つの反応成分が酵素である、請求項14記載の組成物。
  16. 前記酵素が酵素的に活性であるためにイオン性酵素反応物を必要とする、請求項15記載の組成物。
  17. 前記酵素がマグネシウム、マンガン、カドミウム、カルシウム、コバルト、銅、鉄、鉛、モリブデン、水銀、ニッケル、亜鉛、ナトリウム、カリウム及びアンモニウムからなる群より生じるイオン性酵素反応物を必要とする、請求項16記載の組成物。
  18. 前記酵素が酵素的に活性であるためにMg2+を必要とする、請求項16記載の組成物。
  19. 前記酵素がポリメラーゼ、リガーゼ、エンドヌクレアーゼ、キナーゼ、プロテアーゼ及びそれらの組み合わせからなる群の1つである、請求項16記載の組成物。
  20. 前記酵素が熱安定酵素である、請求項16記載の組成物。
  21. 前記酵素が熱安定DNAポリメラーゼ酵素である、請求項16記載の組成物。
  22. 壁の表面にコートされた請求項1記載の組成物。
  23. 前記壁がチューブ、プレート、スライド、ウエル又はそれらの組み合わせの表面である、請求項22記載の組成物。
  24. 少なくとも1つの実質的に水に不溶性の、水浸透性ポリマー、及び
    少なくとも1つのマグネシウム塩を含む酵素プロセスのための組成物であって、
    マグネシウム塩の水における溶解度が低い、組成物。
  25. ポリ(ビニルアセタール)ポリマー、及び
    少なくとも1つの、イオン性酵素反応物の塩を含む酵素プロセスのための組成物であって、
    前記少なくとも1つの塩の水における溶解度が低い、組成物。
  26. 少なくとも1つの実質的に水に不溶性の、水浸透性ポリマー及び少なくとも1つの、イオン性酵素反応物の塩を含む組成物を調製することを含み、前記少なくとも1つの塩の水における溶解性が低く、酵素を含む反応媒体と前記組成物を、前記イオン性酵素反応物を放出するのに十分な時間接触させて酵素プロセスを活性化することを含む酵素プロセスを活性化する方法。
  27. さらに、前記反応媒体の温度を高めて前記イオン性酵素反応物の放出を刺激する工程を含む請求項26記載の方法。
  28. 温度を高めることによって前記ポリマーからの前記イオン性酵素反応物の放出を増加させる、請求項26記載の方法。
  29. 温度を高めることによって前記塩からの前記イオン性酵素反応物の解離を増加させる、請求項26記載の方法。
  30. 温度を高めることによって前記ポリマーからの前記イオン性酵素反応物の放出を増加させ、前記塩からの前記イオン性酵素反応物の解離を増加させる、請求項26記載の方法。
  31. 1つの実質的に水に不溶性の、水浸透性ポリマーを含む第1反応容器、及び
    少なくとも1つの、イオン性酵素反応物の塩を含み、前記少なくとも1つの塩の水における溶解性が低い、酵素プロセスのための反応キット。
  32. 第1反応容器がさらに少なくとも1つの反応成分を含む、請求項31記載の反応キット。
  33. さらに注意書きを含む請求項31記載の反応キット。
  34. さらに1つ以上の反応容器を含み、この1つ以上の反応容器がそれぞれ少なくとも1つの反応成分を含む、請求項31記載の反応キット。
  35. その活性が前記イオン性酵素反応物に依存する少なくとも1つの酵素を含む請求項32記載の反応キット。
  36. その活性が前記イオン性酵素反応物に依存する少なくとも1つの酵素を含む請求項34記載の反応キット。
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