JP4300321B2 - Dna合成反応を促進する方法、およびそのための組成物 - Google Patents

Dna合成反応を促進する方法、およびそのための組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分子生物学の分野に属する。本発明は、鋳型核酸からDNAの生成及び更なるDNA増幅を行う際に有用な新規組成物及び方法に関する。本発明は、具体的にはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に有用な新規組成物及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PCR(例えば、非特許文献4参照)に代表されるDNA増幅技術は、当分野においては周知の技術である。PCR技術による核酸類の検出、分析、転写及び増幅等は、現代の分子生物学において最も重要な操作法の1つであり、とりわけ、遺伝子発現の研究、伝染性病原体(infectious agents)又は遺伝病の診断、cDNAの生成及びレトロウイルス類の分析等への適用において重要である。
【0003】
DNA増幅の性能は使用するDNA合成酵素の性能に左右されるので、これまでに種々のDNA合成酵素が自然界より探索あるいは改良されてきた。例えば、PCRは当初、大腸菌などの常温菌由来の耐熱性が充分でないDNA合成酵素を用いて行われていた。PCRの反応は、熱循環(themocyc1ing)(約23℃〜約100℃の間、好ましくは約37℃〜約95℃の間)を、多数回サイクリング(好ましくは約5〜約99の範囲、より好ましくは約20サイクルより多く、最も好ましくは約25〜40サイクル)することを必要とする、きわめて過酷な条件であるため、その成功率(実際に目的DNAが増幅する確率)は低いものであったが、現在では、好熱菌由来の耐熱性に優れたDNA合成酵素の利用が常識となっている。
【0004】
DNA合成酵素に要求される重要な性能の1つとして「合成速度」が挙げられる。DNA合成速度を測定する方法は、当業者が知りうるものであれば特に限定されないが、典型的な方法の1つとして、M13の1本鎖DNA(1.6μg)とこれに相補的なプライマー(16pmole) をアニーリングさせたものを基質として、各種DNAポリメラーゼ、KOD、Pfu、Deep Vent、Taqなど(5U)をそれぞれの緩衝液にて反応させ、その反応時間と合成されるDNAの大きさの関係から算出することができる。
例えば、各ポリメラーゼのDNA合成速度は、KODポリメラーゼ 105〜130 塩基/秒、Pfuポリメラーゼ 24.8 塩基/秒、Deep Ventポリメラーゼ 23.3塩基/秒、Taqポリメラーゼ 61.0 塩基/秒である(Takagi, M. et al. : Characterization of DNA polymerase from Pyrococcus sp. strain KOD1 and its application to PCR. Appl. Environ. Microbiol. 63, 4504〜45410.(1997))。
【0005】
DNA合成酵素に要求される重要な性能の1つとして「正確性」が挙げられる。DNAポリメラ−ゼのDNA合成反応における正確性を測定する方法は、当業者が知りうるものであれば特に限定されないが、本発明ではプラスミドpMol 21をPCR増幅したときの変異発生率により算出した。
【0006】
DNA合成時の正確性を評価する方法の一例として、ストレプトマイシン耐性に関与するリボゾーマルタンパク質S12(rpsL)遺伝子を用いた方法が挙げられる。ストレプトマイシンは原核細胞のタンパク質合成を阻害する抗生物質であり、細菌の30SリボゾーマルRNA(rRNA)に結合してタンパク質合成の開始複合体形成反応を阻害し、また遺伝子暗号の誤読を引き起こす。ストレプトマイシン耐性変異株ではリボゾームタンパク質S12に変異が見られる。この変異はリボゾームの翻訳忠実度を上げるため、サプレッサーtRNAによる終始コドンの読み取りを抑制するなど多面的効果(pleiotropic effect)を示すことが知られている。したがって、rpsL遺伝子を鋳型としてPCRにより増幅を行うと、ある確率で変異が導入され、それがアミノ酸レベルの変異であった場合、rpsLタンパク質の構造が変化し、ストレプトマイシンが30SリボゾーマルRNAに作用できなくなるようなことが起こる。したがって、増幅したプラスミドDNAによって大腸菌を形質転換した場合、変異が多く導入されるほどストレプトマイシン耐性菌の出現頻度が増すこととなる。
【0007】
プラスミドpMol 21(Journal of Molecular Biology(1999)289,835-850に記載)は、rpsL遺伝子及びアンピシリン耐性遺伝子を含むプラスミドである。このプラスミドのアンピシリン耐性遺伝子上にPCR増幅用プライマーセット(片方をビオチン化、MluI制限酵素サイトを導入)を設計し、プラスミドの全長を耐熱性DNAポリメラーゼにてPCR増幅した。得られたPCR産物をストレプトアビジンビーズを用いて精製し、制限酵素MluIを用いて切り出した後、DNAリガーゼを用いて結合して大腸菌を形質転換した。アンピシリンとアンピシリン及びストレプトマイシンを含有する2種類のプレートに接種して、それぞれのプレートに出現したコロニーの比を算出することによりDNA合成時の正確性を求めることができる。
【0008】
先に示したDNA合成時の正確性を求める方法で、Taq DNAポリメラーゼのPCR産物の正確性を調べたところ、4%以上の変異挿入率であった。一方、単独で3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素では、0.05〜1%の変異挿入率であり、Taq DNAポリメラーゼなどの3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を持たない酵素に3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素を混合して調製された混合型酵素では、2〜4%の変異挿入率であった。ちなみに、KOD DNAポリメラーゼの変異挿入率は0.1%以下であり、正確性の高いPCR産物を得るためには最も相応しい酵素である。
【0009】
DNA合成酵素に要求される重要な性能の1つとして、どの長さまでの目的DNAを増幅できるかを示す性能(以後「long−PCR性能」と呼ぶ。)が挙げられる。
【0010】
ところで、一般に、耐熱性DNA合成酵素の1種であるDNAポリメラーゼは、Taq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼに代表されるPolI型酵素と、Pfu DNAポリメラーゼに代表されるα型酵素に大別される。一般的にPolI型酵素は、DNA合成速度が速い反面、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性が無いことから正確性に劣る。一方、α型酵素は、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を持つことから正確性に優れるが、DNA合成速度が遅い。このように、上記2タイプは「合成速度」「正確性」の面でそれぞれ優れた特性を持っているが、両方を兼ね備えてはいない。
【0011】
上記両タイプの長所を合わせる目的で、2種類の耐熱性酵素を混合して利用する技術 (混合型酵素)が開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。この酵素は、PolI型酵素を主成分としてDNA合成は主にPolI型酵素が行い、誤った塩基の校正のみα型酵素が行うと言われている。
【0012】
また、単独酵素(α型酵素)でありながら「合成速度」と「正確性」の両方を併せ持つ酵素である、KOD DNAポリメラーゼが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0013】
3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を測定する方法は、当業者が知りうるものであれば特に限定されないが、典型的な方法の1つとして、λDNAのHindIII 分解産物の3’端を 3Hでラベルしたものを基質として、各ポリメラーゼの至適条件で、 3Hの脱離する割合を調べることにより確認する。より具体的には、例えば、λDNA HindIII分解物の[3H]TTPを取り込ませたDNA断片を基質として、ポリメラーゼに適した反応温度で、緩衝液 (20mMTris−HCl pH6.5、10mMKCl、6mM(NH4)2 SO4 、2mM MgCl2 、0.1%Triton X−100、10μg/mlBSA) 中に放置し、遊離してくる[3H]TTPの割合を調べる。基質DNAは、まずλDNAの HindIII分解物(10 μg)に、0.2mM のdATP、dGTP、dCTPおよび[3H]TTPを添加して、クレノー・ポリメラーゼで3’端部を伸長反応した後、フェノール抽出、エタノール沈殿してDNA断片を回収し、さらにスパンカラム(クローンテック社製)で遊離モノヌクレオチドを除去して調製する。
【0014】
このほかにも、DNA合成反応液組成の改良として様々な研究がなされたきた。緩衝剤には、例えば、トリス(TRIS)、トリシン(TRICINE)、ビスートリシン(BIS-TRICINE)、へペス(HEPES)、モプス(MOPS)、テス(TES)、タプス(TAPS)、ピペス(PIPES)、キャプス(CAPS)などが試された。塩では、例えば塩化カリウム、酢酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、硫酸マンガン・塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化リチウム、及び酢酸リチウムが試された。添加剤としては、例えばDMSO、グリセロール、ホルムアミド、ベタイン、塩化テトラメチルアンモニウム、PEG、ツイン(Tween)20,NP40、エクトイン(ectoine)、ポリオール類、大腸菌(E.co1i)SSBタンパク質、ファージT4遺伝子32タンパク質、BSAが試みられた(例えば、特許文献2〜6、非特許文献2および3参照。)。上記試薬は全てのDNA合成酵素に有効というものではなく、それぞれの酵素で向き不向きがあり、それぞれの酵素に合わせて独自の反応液組成が検討され各種酵素には最適な反応緩衝液が推奨されており、添付緩衝液よりも高性能化することは不可能と考えられていた。
【0015】
また、我々は鋭意研究の結果、陰イオン物質もPCRの成否を決めるために重要であることを見出し先に出願した。具体的には、PCR反応系へジカルボン酸塩からなる2価のカルボキシルイオンを添加することによりPCRの成功率が向上することを見出した。また、2価のカルボキシルイオンの中でも特にシュウ酸イオン,マロン酸イオン,マレイン酸イオンが効果的であることを発見した。
【特許文献1】
特許3112148号公報
【特許文献2】
特表平09−511133号公報(請求項1など)
【特許文献3】
米国特許第5545539号明細書(クレーム1など)
【特許文献4】
国際公開第96/12041号パンフレット(クレーム1など)
【特許文献5】
米国特許第6114150号明細書(クレーム1など)
【特許文献6】
国際公開第99/46400号パンフレット(クレーム1など)
【非特許文献1】
Barns, W.M.著, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91巻, 1994年, p.2216-2220
【非特許文献2】
Chevet, E.著, Nucleic Acids Research, 23巻, 1995年, p.3343-3344
【非特許文献3】
Kovarova, M.著, Nucleic Acids Research, 28巻, 2000年 p70
【非特許文献4】
Nature, 324巻 (6093),1986年,p.13-19
【非特許文献5】
Kunkel著, Journal of Biological Chemistry, 260巻,1985年,p.5787-5796
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
DNA増幅、殊にPCRにおける「合成速度」「正確性」「long−PCR性能」などの要求性能は、近年のバイオテクノロジーの発展にともない、その要求レベルがますます高くなっている。特に、ヒトゲノムの全配列が解明されたことにより、研究の重点が、単に遺伝子を検出したり、違いを解析したりするだけでなく、遺伝子そのものあるいはその遺伝子がコードする蛋白質の機能を解析することに移行していることを考慮すると、DNA増幅における正確性の重要度がより高くなっている。
したがって、これらを兼ね備えたDNA増幅方法を確立することが望まれているが、上記いずれの先行技術も、「合成速度」「正確性」「long−PCR性能」全ての性能が最高レベルであるとは言えない。
【0017】
【課題を解決するための手段】
我々は鋭意研究の結果、ジカルボン酸塩からなる2価のカルボキシルイオンとグリシンを基本単位に持つ試薬あるいはDMSOの少なくともどちらか一方を組合わせることによりDNA増幅性能が更に向上することを見出した。また、2価のカルボキシルイオンの中でも特にシュウ酸イオンが効果的であり、グリシンを基本単位に持つ試薬の中でも特にトリメチルグリシンが効果的であることを発見した。また、シュウ酸イオンとDMSOの使用でも相乗効果があることを発見し、本発明を完成した。
相乗的な添加効果によるDNA増幅性能の向上とは、具体的にはGC含量の高いPCRターゲットにおける増幅成功や今まで不可能であった長鎖のターゲットでの増幅成功などが挙げられる。また、PCR増幅量の向上も本特許の相乗効果の一つである。
【0018】
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
項1.(1)鋳型となる核酸を基にDNAを合成する酵素反応において、DNA合成の促進に効果のある陰イオン物質、および、(2)グリシンを基本単位に持つ試薬あるいはDMSOの少なくとも1つ、を含有することを特徴とする反応液組成物。
項2.グリシンを基本単位に持つ試薬が、トリメチルグリシン(ベタイン)であることを特徴とする、項1の反応液組成物。
項3.DNA合成の促進に効果のある陰イオン物質が、カルボキシル基を持つ物質である、項1または2の反応液組成物。
項4.カルボキシル基を持つ物質が、ジカルボン酸塩である、項3の反応液組成物。
項5.ジカルボン酸塩が、シュウ酸亜鉛、シュウ酸アンモニウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸カルシウム、シュウ酸ジエチル、シュウ酸N,N'-ジスクシンイミジル、シュウ酸ジメチル、シュウ酸すず、シュウ酸セリウム、シュウ酸鉄、シュウ酸銅、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸ニッケル、シュウ酸ビス、シュウ酸(2,4-ジニトロフェニル)、シュウ酸(2,4,6-トリクロロフェニル)、シュウ酸マンガン、シュウ酸メチル、シュウ酸ランタン、シュウ酸リチウム、または、マロン酸イソプロピリデン、マロン酸エチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジベンジル、マロン酸ジメチル、マロン酸タリウム、マロン酸二ナトリウム、または、マレイン酸一ナトリウム、マレイン酸ジエチル、マレイン酸クロルフェニラミン、マレイン酸ジ-n-ブチル、マレイン酸モノ-n-ブチルエステルからなる群より選択される、項4に記載の組成物。
項6.トリメチルグリシン(ベタイン)の濃度が0.5〜1.5Mであり、および/または、DMSOの濃度が2〜5%である項2〜5に記載の組成物。
項7. DNAポリメラーゼ活性を有する1つ以上の酵素をさらに含む、 項1〜6に記載の組成物。
項8. DNAポリメラーゼ活性を有する前記酵素が、DNAポリメラーゼおよび逆転写酵素からなる群より選択される、 項7に記載の組成物。
項9. 前記DNAポリメラーゼがTaq,EX−Taq,LA−Taq,Expandシリーズ,Plutinumシリーズ,Tbr,Tfl,Tru,Tth,T1i,Tac,Tne,Tma,Tih、Tfi,Pfu,Pfutubo,Pyrobest,Pwo,KOD,Bst,Sac,Sso,Poc,Pab,Mth,Pho,ES4,VENT,DEEPVENT、KOD、ならびにそれらの変異体、改変体および誘導体からなる群より選択される、 項8に記載の組成物。
項10. 前記DNAポリメラーゼが、DNA合成速度が少なくとも30塩基/秒であり、かつ3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性DNAポリメラーゼである、 項8に記載の組成物。
項11. 前記DNAポリメラーゼが、DNA合成速度が少なくとも30塩基/秒であり、かつ、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が4%以下である熱安定性DNAポリメラーゼである、 項10に記載の組成物。
項12. 前記逆転写酵素がAMV−RT,M−MLV−RT,HIV−RT,EIAV−RT,RAV2−RT,C.ヒドロゲノホルマンス(C.hydrogenoformans)DNAポリメラーゼ、スーパースクリプト(SuperScript)I、スーパースクリプト(SuperScript)II、ならびにそれらの変異体、改変体および誘導体からなる群より選択される、 項8に記載の組成物。
項13. 前記逆転写酵素のRNaseH活性が実質的に減少している、 項8または12に記載の組成物。
項14.DNA合成の鋳型となる核酸、DNA合成酵素、1種以上のオリゴヌクレオチドプライマー、1種以上のヌクレオチド又はそれらの誘導体、緩衝剤、塩から成る群の少なくとも1つを含有する 項1〜13に記載の組成物。
項15.前記ヌクレオチド又はそれらの誘導体が、デオキシホスホヌクレオチド又はその誘導体である 項14記載の組成物。
項16.前記デオキシホスホヌクレオチド又はその誘導体が、dATP,dCTP, dGTP,dTTP,dITP,dUTP、α-チオ-dNTP類、ビオチンーdUTP、フルオレセインーdUTP、及びシゴキシゲニンーdUTPから成る群がら選択される 項15記載の組成物。
項17.DNAを合成する方法であって、該方法は: (a)核酸の鋳型を、 項1〜16に記載の1つ以上の組成物と混合し、混合物を形成する工程;および(b)該鋳型の全体または一部に相補的な第1の核酸分子を作製するのに、DNA合成速度が少なくとも30塩基/秒であり、かつ、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が4%以下である条件下で、該混合物をインキュベートする工程、を包含する、方法。
項18. 前記第1の核酸分子の全体または部分に相補的な第2の核酸分子を作製するのに、DNA合成速度が少なくとも30塩基/秒であり、かつ、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が4%以下である条件下で、該第1の核酸分子をインキュベートする工程をさらに包含する、 項17に記載の方法。
項19. 項17に記載の方法に従って作製される、核酸分子。
項20. DNA分子を増幅するための方法であって、該方法は、以下:(a)核酸の鋳型を、 項1〜16に記載の1つ以上の組成物と混合し、混合物を形成する工程;および(b)該鋳型の全体または一部に相補的な核酸分子を増幅するのに、DNA合成速度が少なくとも30塩基/秒であり、かつ、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が4%以下である条件下で、該混合物をインキュベートする工程、を包含する、方法。
項21. DNA分子を配列決定するための方法であって、該方法は、以下:(a)配列決定されるべき核酸分子を、1つ以上のプライマー、 項1〜16に記載の1つ以上の組成物、1つ以上のヌクレオチド、および1つ以上の終結因子と混合し、混合物を形成する工程;(b)配列決定されるべき該分子の全体または一部に相補的な分子の集団を合成するのに、DNA合成速度が少なくとも30塩基/秒であり、かつ、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が4%以下である条件下で、該混合物をインキュベートする工程;および(c)該集団を分離して、配列決定されるべき該分子の全体または一部のヌクレオチド配列を決定する工程、を包含する、方法。
項22.更にHot start PCRを採用する、 項17、18、20、21の方法。
項23.DNA分子を合成する際に使用するためのキットであって、該キットが、 項1〜16のいずれかに記載の1つ以上の化合物または成分を含む、キット。
項24.2以上のパーツからなるDNA分子を合成する際に使用するためのキットであって、 項1〜16のいずれかに記載の1つ以上の化合物または成分が、前記キットのいずれかのパーツの構成成分として、いくつかのパーツに分散して、あるいは、1つのパートに集中して含まれることを特徴とする、キット。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のDNA合成反応を促進する添加剤の実施の形態を具体的に説明する。
本発明は、(1)鋳型となる核酸を基にDNAを合成する酵素反応において、DNA合成の促進に効果のある陰イオン物質、および、(2)グリシンを基本単位に持つ試薬あるいはDMSOの少なくとも1つ、を含有することを特徴とする反応液組成物である。
【0020】
本発明において、「DNA合成反応を促進する」とは、「合成速度」および/または「long−PCR性能」が向上することをいう。
【0021】
本発明の反応液組成物に含まれる、DNA合成の促進に効果のある陰イオン物質としては、特に制限がないが、例えばカルボキシル基を持つ物質等が挙げられる。好ましくは、ジカルボン酸塩が挙げられる。ジカルボン酸塩は、例えば無機塩の形で添加される。好ましくはシュウ酸イオン、マロン酸イオン、マレイン酸イオンの少なくとも1種類を含有する。さらに好ましくは、これらの無機塩は、アルカリ金属(好ましくはカリウム塩、あるいはナトリウム塩の形態)またはアルカリ土類金属またはアンモニウムとの塩の形態をとる。
【0022】
具体的には、シュウ酸亜鉛、シュウ酸アンモニウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸カルシウム、シュウ酸ジエチル、シュウ酸N,N'-ジスクシンイミジル、シュウ酸ジメチル、シュウ酸すず、シュウ酸セリウム、シュウ酸鉄、シュウ酸銅、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸ニッケル、シュウ酸ビス、シュウ酸(2,4-ジニトロフェニル)、シュウ酸(2,4,6-トリクロロフェニル)、シュウ酸マンガン、シュウ酸メチル、シュウ酸ランタン、シュウ酸リチウム、または、マロン酸イソプロピリデン、マロン酸エチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジベンジル、マロン酸ジメチル、マロン酸タリウム、マロン酸二ナトリウム、または、マレイン酸一ナトリウム、マレイン酸ジエチル、マレイン酸クロルフェニラミン、マレイン酸ジ-n-ブチル、マレイン酸モノ-n-ブチルエステルなどが挙げられ、いずれも、市販品などを用いることができる。
【0023】
上記陰イオン物質は、通常、0.1〜20mMの濃度範囲で用いられる。好ましくは0.1〜10mM、さらに好ましくは1〜10mMである。
【0024】
本発明の反応液組成物に含まれる、グリシンを基本単位に持つ試薬としては、特に制限はないが、好ましくは、トリメチルグリシン(ベタイン)などが挙げられ、市販品などを用いることができる。トリメチルグリシン(ベタイン)の有効濃度は0.5〜2Mであり、好ましくは0.5〜1.5Mであり、さらに好ましくは1〜1.5Mである。一方、DMSOは、市販品などを用いることができる。DMSOの有効濃度は0.1〜15%であり、好ましくは2〜10%であり、さらに好ましくは5〜10%である。
【0025】
本発明の反応液組成物において、上記陰イオン物質と、グリシンを基本単位に持つ試薬あるいはDMSOの、両方を添加し最適な組合せとすることにより、さらに効果が増強することが期待できる。最適なシュウ酸イオン濃度ベタイン濃度の組合わせの決定には、標的DNAの種類及び増幅サイズ、PCR buffer組成等を考慮しなければならない場合もありうる。
【0026】
本発明の反応液組成物は、DNAを合成する酵素反応に用いることが出来る。本発明の反応液組成物に含まれるDNA合成酵素としては、特に制限がないが、例えばDNAポリメラーゼや逆転写酵素が挙げられる。該DNA合成酵素は耐熱性であることが好ましい。これらの酵素は市販品を用いることができる。また、本発明の反応液組成物は、種々の異なる性質をもつこれらのDNAを合成する酵素を複数含むこともできる。
【0027】
本発明の反応液組成物に含まれるDNAポリメラーゼはα型DNAポリメラーゼ、PolI型DNAポリメラーゼに大別される。一般的にPolI型酵素は、DNA合成速度が速い反面、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性が無いことから正確性に劣ると言われている。一方、α型酵素は、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を持つことから正確性に優れるが、DNA合成速度が遅いと言われている。α型DNAポリメラーゼとPolI型DNAポリメラーゼを混合して混合型酵素とすることもできる。
【0028】
PolI型酵素は、Taq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼに代表されるが、このほかに、EX−Taq,LA−Taq,Expandシリーズ,Plutinumシリーズ,Tbr,Tfl,Tru,T1i,Tac,Tne,Tma,Tih、Tfi並びにそれらの突然変異体、変異体及び誘導体などが挙げられる。α型酵素は、Pfuに代表されるが、このほかに、Pfutubo,Pyrobest,Pwo,KOD,Bst,Sac,Sso,Poc,Pab,Mth,Pho,ES4,VENT,DEEPVENT、並びにそれらの突然変異体、変異体及び誘導体などが挙げられる。
【0029】
本願で用いられるDNAポリメラーゼは、DNA合成速度が少なくとも30塩基/秒であり、かつ、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が4%以下である熱安定性DNAポリメラーゼである。本願で用いられるDNAポリメラーゼは、より好ましくは、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が1%以下である、および/または、20kb以上の目的DNAを増幅することができる。
DNAポリメラーゼの選択は、「合成速度」「正確性」「long−PCR性能」「耐熱性」などの性能を勘案して適宜選択することが可能である。選択にあたっては、いくつかの酵素を組み合わせることもできる。
正確性の観点からは、正確性が主として酵素の特性である3'-5'エキソヌクレアーゼ活性の有無に依存することから、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性をもつ酵素(例えばα型酵素)を選択することが好ましい。
なかでも、KODは、正確性以外の性能に関しても優れており、特に好ましい。KODは、DNA合成速度が少なくとも30塩基/秒であり、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有し、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が1%以下である熱安定性DNAポリメラーゼである。さらには、20kb以上の目的DNAを増幅することができる。
【0030】
本発明の反応液組成物には逆転写酵素を含んでも良い。逆転写酵素としては、AMV−RT,M−MLV−RT,HIV−RT,EIAV−RT,RAV2−RT,C.ヒドロゲノホルマンス(C.hydrogenoformans)DNAポリメラーゼ、スーパースクリプト(SuperScript)I、スーパースクリプト(SuperScript)II、並びにそれらの突然変異体、変異体及び誘導体から成る群から選択されるものが挙げられる。また、これら前記逆転写酵素のRNaseH活性は、改変などにより実質的に減少していてもよい。
【0031】
本発明の反応液組成物は、DNA合成酵素に加えて、さらに、鋳型となる核酸、1種以上のオリゴヌクレオチドプライマー、1種以上のヌクレオチド又はそれらの誘導体、緩衝剤、塩、DNA合成に有用な添加剤から成る群の少なくとも1つを含有することができる。
【0032】
具体的には、本発明の反応液組成物は、DNA合成酵素に加えて、さらに、標的核酸に相補的な塩基配列を有する正方向および逆方向プライマー、4種のdNTP、2価陽イオン、緩衝液などを含むことができる。2価陽イオンとしては、マグネシウムイオンが挙げられる。その濃度は1〜3mM程度であることが好ましい。また緩衝液としては、トリス緩衝液 (pH6.5 、75℃) 、トリシン緩衝液 (pH6.5 、75℃) などが挙げられる。
具体的な組成の1つは、下記のとおりである。20mM Tris−HCl (pH6.5 、75℃)10mM KCl6mM (NH4)2 SO41〜3mM Mg2 Cl20.1% Triton X−10010μg/ml BSA20〜200μM dNTPs0.1pM〜1μM プライマー0.1〜250ng 鋳型DNA。
【0033】
あるいは、本発明の反応液組成物は、DNA合成酵素に加えて、さらに、標的核酸に相補的な塩基配列を有する正方向および逆方向プライマー、4種のdNTP、2価陽イオン、緩衝液、核酸プローブ、発色試薬、発光試薬などを含んでもよい。
【0034】
本発明の反応液組成物に含まれる1種以上のヌクレオチド又はその誘導体には、特に制限がないが、デオキシホスホヌクレオチド又はその誘導体が挙げられる。具体的な好ましい組成としては、dATP,dCTP,dGTP,dTTP,dITP,dUTP、α-チオ-dNTP類、ビオチンーdUTP、フルオレセインーdUTP、及びシゴキシゲニンーdUTPから成る群から選択される物質が例示される。
【0035】
本発明の反応液組成物に含まれる塩は、特に制限がないが、塩化カリウム、酢酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、硫酸マンガン、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化リチウム、及び酢酸リチウムから成る群から選択される物質が例示される。これらの塩は市販品を容易に入手することができる。
【0036】
本発明の反応液組成物には、さらに、DNA合成酵素の抗体を添加して常温下で酵素活性を完全に抑え、プライマーダイマーなどの副産物の産生を抑えたり、primerの分解を保護することによりPCR成功率を高める方法(Hot start PCR法)のためのホットスタート用抗体や、公知のエンハンサー、などを含むことができる。
【0037】
本発明はまた、DNAを合成する方法であって、該方法は: (a)核酸の鋳型を、(1)鋳型となる核酸を基にDNAを合成する酵素反応において、DNA合成の促進に効果のある陰イオン物質、および、(2)グリシンを基本単位に持つ試薬あるいはDMSOの少なくとも1つ、を含有することを特徴とする反応液組成物と混合し、混合物を形成する工程;および (b)該鋳型の全体または一部に相補的な第1の核酸分子を作製するのに、DNA合成速度が少なくとも30塩基/秒であり、かつ、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が4%以下である条件下で、該混合物をインキュベートする工程、を包含する、方法である。さらに本発明は、該方法に従って作製される核酸分子を含む。
【0038】
上記方法の(b)においては、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が1%以下である条件、および/または、20kb以上の目的DNAを増幅することができる条件であることが好ましい。
【0039】
本発明は、前記DNAを合成する方法においてさらに、前記第1の核酸分子の全体または部分に相補的な第2の核酸分子を作製するのに、DNA合成速度が少なくとも30塩基/秒であり、かつ、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が4%以下である条件下で、該第1の核酸分子をインキュベートする工程をさらに包含する、方法である。
【0040】
上記方法の(b)においては、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が1%以下である条件、および/または、20kb以上の目的DNAを増幅することができる条件であることが好ましい。
【0041】
さらに本発明は、DNA分子を増幅するための方法であって、該方法は、以下:(a)核酸の鋳型を、DNA合成の促進に効果のある陰イオン物質、および、(2)グリシンを基本単位に持つ試薬あるいはDMSOの少なくとも1つ、を含有することを特徴とする反応液組成物と混合し、混合物を形成する工程;および(b)該鋳型の全体または一部に相補的な核酸分子を増幅するのに、DNA合成速度が少なくとも30塩基/秒であり、かつ、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が4%以下である条件下で、該混合物をインキュベートする工程、を包含する、方法である。
【0042】
上記方法の(b)においては、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が1%以下である条件、および/または、20kb以上の目的DNAを増幅することができる条件であることが好ましい。
【0043】
本発明の方法で用いられるDNAを合成する酵素反応としては、DNAポリメラーゼによる反応あるいは逆転写酵素による反応が挙げられる。中でも、DNAポリメラーゼによる反応、とりわけPCRに基づく遺伝子増幅方法において効果的である。さらには、前記PCR増幅が、少なくとも25回のDNA変性、アニーリング、DNA重合過程を繰り返す方法においてより効果的である。
【0044】
PCR法に基づく遺伝子増幅方法は、標的核酸、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、一対のプライマー及びDNA合成酵素の存在下で、変性、アニーリング、伸長の3工程からなるサイクルを繰り返すことにより、上記一対のプライマーで挟まれる標的核酸の領域を指数関数的に増幅させる方法である(Nature, 324 (6093), 13-19(1986))。すなわち、変性工程で試料の核酸を変性し、続くアニーリング工程において各プライマーと、それぞれに相補的な一本鎖標的核酸上の領域とをハイブリダイズさせ、続く伸長工程で、各プライマーを起点としてDNAポリメラーゼの働きにより鋳型となる各一本鎖標的核酸に相補的なDNA鎖を伸長させ、二本鎖DNAとする。この1サイクルにより、1本の二本鎖DNAが2本の二本鎖DNAに増幅される。従って、このサイクルをn回繰り返せば、理論上上記一対のプライマーで挟まれた試料DNAの領域は2n倍に増幅される。
【0045】
増幅のために好ましい反応条件は、熱循環(themocyc1ing)、即ちPCRサイクルの各々のステップを達成させるために、反応混合物の温度を変化させることである。熱循環は、約23℃〜約100℃の間、好ましくは約37℃〜約95℃の間の温度範囲で行う。核酸変性は、約90℃〜約100℃の間、好ましくは約94℃において通常行う。アニーリングは、約37℃〜約75℃の間、好ましくは約60℃において通常行う。DNAの伸長は、約55℃〜約80℃の間、好ましくは約68〜72℃において通常行う。サイクリング数は、所望のDNA生成物の量により大きく異なる。PCRサイクルの数は、好ましくは約5〜約99の範囲であり、より好ましくは約20サイクルより多く、最も好ましくは約25〜40サイクルである。
【0046】
本発明では上記増幅反応により生成した増幅産物を例えば標識プローブを用いて標的核酸を検出することができる。標識プローブとしては、標識核酸に相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、標識物質または標識結合物質を結合するものである。標識物質としては、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ガラクトシダーゼなどの酵素、蛍光物質または放射性物質があり、標識結合物質としてはビオチン、ジゴキシゲニンなどが例示される。標識物質はビオチン、ジゴキシゲニンあるいはアビジンを経由して結合されていてもよい。これらの標識をプローブに導入する方法としては、オリゴヌクレオチドの合成時に、dNTPの一成分として、これらの標識物質または標識結合物質を結合するdNTPを使用して合成する。
【0047】
標識プローブと結合した核酸の検出には、従来公知の方法、例えばサザンハイブリダイゼーションやノーザンハイブリダイゼーション法などが挙げられる。これらの方法は1本鎖DNAやRNAが互いに相補性をもっていると、ハイブリッドを形成することを利用して、未知の核酸断片群を例えばアガロース電気泳動法により、そのサイズを分離し、次いでゲル中の核酸断片を例えばアルカリ処理等により、1本鎖とした後、フィルターに転写し、固定し、さらに標識プローブとハイブリダイズさせるものである。標識の検出には、例えば標識物質として、アルカリホスファターゼを使用した場合、化学発光基質、例えば1,2−ジオキセタン化合物(PPD)を反応させると、ハイブリッドを形成した核酸のみが発光する。これをX線フィルムに感光して標的核酸の大きさや電気泳動上での位置を確かめることができる。
【0048】
本発明の別の実施態様は、DNA分子を配列決定するための方法であって、該方法は、以下:(a)配列決定されるべき核酸分子を、1つ以上のプライマー、DNA合成の促進に効果のある陰イオン物質、および、(2)グリシンを基本単位に持つ試薬あるいはDMSOの少なくとも1つ、を含有することを特徴とする反応液組成物、1つ以上のヌクレオチド、および1つ以上の終結因子と混合し、混合物を形成する工程;(b)配列決定されるべき該分子の全体または一部に相補的な分子の集団を合成するのに、DNA合成速度が少なくとも30塩基/秒であり、かつ、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が4%以下である条件下で、該混合物をインキュベートする工程;および(c)該集団を分離して、配列決定されるべき該分子の全体または一部のヌクレオチド配列を決定する工程、を包含する、方法である。
【0049】
上記方法の(b)においては、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が1%以下である条件、および/または、20kb以上の目的DNAを増幅することができる条件であることが好ましい。
【0050】
核酸を配列決定するための方法として、マキサム・ギルバート法(Maxam,A.M.and Gilbert,W.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:560-564,1997)、および、サンガー法(Sanger,F. and Coulson,A.R.,J.Mol.Biol.94:444-448,1975)が広く知られている。マキサム・ギルバート法では、DNAは放射標識され、4つの試料に分割され、そしてDNA中の特定のヌクレオチド塩基を選択的に破壊しそして損傷部位で分子を切断する化学薬品で処理される。そして、得られるフラグメントをゲル電気泳動によって異なるバンドに分離しそしてゲルをX線フィルムに曝露することによって、元のDNA分子の配列をフィルムから読むことができる。一方サンガー法は、DNAポリメラーゼのDNA合成活性を使用し、これは、反応停止ジデオキシヌクレオシド三リン酸(Sanger,F.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463-5467,1977)と短いプライマー(そのいずれかが検出可能に標識され得る)との混合物と合わせ、4つのジデオキシ塩基のうちの1つで特異的に停止した一連の新しく合成されたDNAフラグメントを生じる。次いで、これらのフラグメントをゲル電気泳動によって解析し配列を決定する。4つの別々の反応を行うことによって(各ddNTPで1回)、かなりの複雑なDNA分子の配列は、迅速に決定され得る(Sanger,F.ら、Nature 265:678-695,1977;Barnes,W.,Meth.Enzymol.152:538-556,1987)。
【0051】
本発明は、DNA分子を合成する際に使用するためのキットであって、該キットが、(1)DNA合成の促進に効果のある陰イオン物質、および、(2)グリシンを基本単位に持つ試薬あるいはDMSOの少なくとも1つ、を含有する、キットである。
【0052】
上記キットは、2以上のパーツからなることができ、上記化合物または成分は、該キットのいずれかのパーツの構成成分として、いくつかのパーツに分散して、あるいは、1つのパートに集中して含まれることができる。
【0053】
本発明のキットには、DNA合成酵素に加えて、さらに具体的に、上記の反応液組成物に含まれうる種々の成分を含むことができる。
【実施例】
以下実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら限定されるものではない。
【0054】
実施例1.
混合型酵素 (EX-Taq) におけるシュウ酸イオン、ベタインの相乗効果確認(図 1 通常、EX-Taq DNAポリメラーゼ(宝酒造製)を用いたPCRでは増幅ができないターゲットにて、シュウ酸イオンとベタインの相乗効果を確認した。PCR bufferはEX-Taq添付のものに最終濃度2mMとなるようシュウ酸カリウムを添加して、0.2mM dNTPs、配列番号1、2記載のプライマー対0.3μM使用した。EX-Taq DNAポリメラーゼ1.0Uを用い、鋳型にはヒト培養細胞K562由来のGenomic DNA20ngを使用し、ベタイン添加量の違いによるPCR結果に及ぼす影響について調べた。94℃,2分の前反応の後、94℃,15秒―60℃,30秒−68℃,8.5分を35サイクル繰り返すスケジュールでGeneAmp2400(PEアプライドバイオシステムズ社)にてPCRを行った。結果を図1に示す。
【0055】
ベタイン無添加の場合には僅かに目的DNAの増幅が確認できる程度であったが、0.5Mベタインを添加した時に増幅量の増大が認められた。以上の結果から、混合型酵素においてシュウ酸イオンとベタインの相乗効果が確認できた。
【0056】
実施例2.
α型酵素 (native Pfu) におけるシュウ酸イオン、ベタインの相乗効果確認(図 2
通常、nPfuポリメラーゼを用いたPCRでは増幅ができないターゲットにて、シュウ酸イオンとベタインの相乗効果を確認した。PCR bufferはnPfu(Stratagene製)添付(20mM Tris-HCl(pH8.75), 10mM KCl, 10mM (NH4)2SO4, 2mM MgSO4, 0.1% TritonX-100, 100ug/ml BSA)のものに最終濃度2mMとなるようシュウ酸カリウムを添加して、0.2mM dNTPs、配列番号5,6記載のプライマー対0.3μM使用した。nPfu DNAポリメラーゼ2.5Uを用い、鋳型にはヒト培養細胞K562由来のGenomic DNA20ngを使用し、ベタイン添加量の違いによるPCR結果に及ぼす影響について調べた。94℃,2分の前反応の後、94℃,15秒―60℃,30秒−68℃,8分を35サイクル繰り返すスケジュールでGeneAmp2400(PEアプライドバイオシステムズ社)にてPCRを行った。結果を図2に示す。
【0057】
ベタイン無添加の場合にはスメアしか認められなかったが、0.5Mベタインを添加した時に目的DNAの増幅が確認できた。以上の結果から、α型酵素においてもシュウ酸イオンとベタインの相乗効果が確認できた。
【0058】
実施例3.
Hot start 酵素 (KOD-plus) におけるシュウ酸イオン、ベタインの相乗効果確認(図 3
Hot start酵素におけるシュウ酸イオン、ベタインの相乗効果を確認するため、KOD(α型酵素)に2種類のKOD抗体が添加されたHot start酵素、KOD-plus DNAポリメラーゼを用いて、通常のPCRでは増幅が困難であったターゲットにて検討した。PCR bufferはKOD-plus(東洋紡績製)添付のものに最終濃度2mMとなるようシュウ酸カリウムを添加して、0.2mM dNTPs、配列番号1,2記載のプライマー対0.3μM使用した。KOD-plus DNAポリメラーゼ1.0Uを用い、鋳型にはヒト培養細胞K562由来のGenomic DNA20ngを使用し、ベタイン添加量の違いによるPCR結果に及ぼす影響について調べた。94℃,2分の前反応の後、94℃,15秒―60℃,30秒−68℃,8.5分を35サイクル繰り返すスケジュールでGeneAmp2400(PEアプライドバイオシステムズ社)にてPCRを行った。結果を図3に示す。
【0059】
ベタイン無添加の場合には僅かに目的DNAの増幅が確認できる程度であったが、0.5〜1.5Mベタインを添加した時に増幅量の増大が認められた。1.5Mベタイン添加時に増幅量が最大となった。以上の結果から、Hot start酵素においてシュウ酸イオンとベタインの相乗効果が確認できた。
【0060】
実施例4.
Hot start 酵素 (KOD-plus) におけるシュウ酸イオン、DMSOの相乗効果確認(図 4
Hot start酵素におけるシュウ酸イオン、DMSOの相乗効果確認のため、Hot start酵素、KOD-plus DNAポリメラーゼを用いて、通常のPCRでは増幅が困難であったターゲットに対して検討を行った。PCR bufferはKOD-plus(東洋紡績製)添付のものに最終濃度2mMとなるようシュウ酸カリウムを添加して、0.2mM dNTPs、配列番号5,6記載のプライマー対0.3μM使用した。鋳型にはヒト培養細胞K562由来のtotal RNA500ngをサーモスクリプト(インビトロジェン製)にて逆転写反応して得られたcDNA 0.5μLを使用した。KOD-plus DNAポリメラーゼ1.0Uを用い、DMSO添加量の違いによるPCR結果に及ぼす影響について調べた。94℃,2分の前反応の後、94℃,15秒―60℃,30秒−68℃,9分を40サイクル繰り返すスケジュールでGeneAmp2400(PEアプライドバイオシステムズ社)にてPCRを行った。結果を図4に示す。
【0061】
DMSO無添加の場合には僅かに目的DNAの増幅が確認できる程度であったが、DMSOの添加により増幅量の増大が認められ,5%DMSO添加時には十分な増幅が確認できた。以上の結果から、Hot start酵素においてシュウ酸イオンとDMSOの相乗効果が確認できた。
【0062】
実施例5.
α型酵素 (KOD) を用いた PCR においてシュウ酸カリウムとベタインの long PCR に対する相乗効果を確認(図 5
シュウ酸イオンとベタインのlong PCRに対する相乗効果を確認するため、KOD DNAポリメラーゼを用いて、α型酵素単独では増幅が報告されていないヒトゲノム由来の20kbを越えるターゲットに対して検討を行った。PCR bufferはKOD-plus(東洋紡績製)添付のものに最終濃度2mMとなるようシュウ酸カリウムを添加して、0.4mM dNTPs、配列番号7,8記載のプライマー対0.3μM使用した。KOD DNAポリメラーゼ2.0Uを用い、鋳型にはヒト培養細胞K562由来のGenomic DNA200ngを使用し、ベタイン添加量の違いによるPCR結果に及ぼす影響について調べた。94℃,2分の前反応の後、98℃,10秒‐74℃,18分(5サイクル)―98℃,10秒‐72℃,18分(5サイクル)―98℃,10秒‐70℃,18分(5サイクル)―98℃,10秒‐68℃,18分(25サイクル)のサイクル繰り返し、最後に68℃,7分の追加反応を行うスケジュールでGeneAmp2400(PEアプライドバイオシステムズ社)にてPCRを行った。結果を図5に示す。
【0063】
1.2M以下のベタイン濃度では目的DNAの増幅が認められないが、1.4M, 1.6M使用時に十分な増幅が確認できた。なお、ベタインの至適濃度は使用する酵素によって異なり、ベタイン使用量は上記濃度に限定されるものではない。
【0064】
実施例6.
α型酵素 (KOD) を用いた PCR においてベタインとシュウ酸カリウムの long PCR に対する相乗効果を確認(図 6
シュウ酸イオンとベタインのlong PCRに対する相乗効果を確認するため、KOD DNAポリメラーゼを用いて、α型酵素単独では増幅が報告されていないヒトゲノム由来の20kbを越えるターゲットに対して検討を行った。PCR bufferはKOD-plus(東洋紡績製)添付のものに最終濃度1.5Mとなるようベタインを添加して、0.4mM dNTPs、プライマー対0.3μM使用した。なお、tPA22kbのPCRには配列番号9,10記載のプライマー対を、tPA24kbのPCRには配列番号9,11記載のプライマー対を使用した。KOD DNAポリメラーゼ2.0Uを用い、鋳型にはヒト培養細胞K562由来のGenomic DNA200ngを使用し、シュウ酸カリウム添加量の違いによるPCR結果に及ぼす影響について調べた。94℃,2分の前反応の後、98℃,10秒‐74℃,18分(5サイクル)―98℃,10秒‐72℃,18分(5サイクル)―98℃,10秒‐70℃,18分(5サイクル)―98℃,10秒‐68℃,18分(25サイクル)のサイクル繰り返し、最後に68℃,7分の追加反応を行うスケジュールでGeneAmp2400(PEアプライドバイオシステムズ社)にてPCRを行った。結果を図6に示す。
【0065】
tPA22kbをターゲットとした場合、2mMシュウ酸カリウム添加時のみターゲットの増幅が確認できた。また、tPA24kbをターゲットとした場合、1.5mMあるいは2.0mMシュウ酸カリウム添加時において僅かながらターゲットの増幅が確認できた。なお、シュウ酸カリウムの至適濃度は使用する酵素によって異なるため、シュウ酸カリウム使用量は上記濃度に限定されるものではない。
【0066】
実施例7.
Long PCR における Hot start PCR の効果を確認(図 7
先のシュウ酸イオンとベタインが共存する反応条件において、抗体を使用したHot start PCRの効果を確認するため、KOD DNAポリメラーゼを用いたlong PCRを検討した。PCR bufferはKOD-plus(東洋紡績製)添付のものに最終濃度2mMシュウ酸カリウムと1.5Mベタインを添加して、0.4mM dNTPs、プライマー対0.3μM使用した。なお、tPA12kbのPCRには配列番号9,12記載のプライマー対を、tPA15kbのPCRには配列番号9,13記載のプライマー対を、tPA18kbのPCRには配列番号9,14記載のプライマー対を、tPA22kbのPCRには配列番号9,10記載のプライマー対を、tPA24kbのPCRには配列番号9,11記載のプライマー対を、β-globin17.5kbのPCRには配列番号15,16記載のプライマー対を使用した。KOD DNAポリメラーゼ2.0Uを用い、鋳型にはヒト培養細胞K562由来のGenomic DNA200ngを使用し、抗体の有無にてHot start PCRの効果を調べた。94℃,2分の前反応の後、98℃,10秒‐74℃,18分(5サイクル)―98℃,10秒‐72℃,18分(5サイクル)―98℃,10秒‐70℃,18分(5サイクル)―98℃,10秒‐68℃,18分(25サイクル)のサイクル繰り返し、最後に68℃,7分の追加反応を行うスケジュールでGeneAmp2400(PEアプライドバイオシステムズ社)にてPCRを行った。結果を図7に示す。
【0067】
6種類のターゲットにて評価したところ、抗体使用により総じてスメアリングの減少、増幅量の拡大が認められた。特に、tPA22kbのターゲットにおいては、抗体を使用しない場合、ターゲットの増幅は認められなかったが、抗体使用により増幅が確認された。
Hot start PCRがlong PCRにも有効である事は予想されていたが、明確に示した例はなく、ヒトゲノム20kb以上のターゲットでは初めての報告と思われる。
【0068】
実施例8.
GC rich target PCR に効果的な試薬の long PCR への効果を確認(図 8
ベタインと同様にGC含有量が高いターゲットに対して有効に働くと考えられている試薬“PCRx”(Invitrogen社製)に対して、同様にlong PCRに効果があるか調べた。PCR bufferはKOD-plus(東洋紡績製)添付のものに最終濃度2mMとなるようシュウ酸カリウムを添加して、0.4mM dNTPs、プライマー対0.3μM使用した。なお、tPA9kbのPCRには配列番号17,18記載のプライマー対を、tPA12kbのPCRには配列番号9,10記載のプライマー対を使用した。KOD DNAポリメラーゼ1.0Uを用い、鋳型にはヒト培養細胞K562由来のGenomic DNA200ngを使用し、ベタインとPCRxの添加効果を比較した。94℃,2分の前反応の後、98℃,10秒‐74℃,12分(5サイクル)―98℃,10秒‐72℃,12分(5サイクル)―98℃,10秒‐70℃,12分(5サイクル)―98℃,10秒‐68℃,12分(25サイクル)のサイクル繰り返し、最後に68℃,7分の追加反応を行うスケジュールでGeneAmp2400(PEアプライドバイオシステムズ社)にてPCRを行った。結果を図8に示す。
【0069】
tPA9kb, 12kbのいずれのターゲットでも、添加剤を加えない時には僅かしかターゲットの増幅が認められなかった。しかしながら、1Mあるいは1.5Mベタインを添加することにより両ターゲットにおいて十分な増幅が認められるようになった。一方、PCRxを使用説明書に従い、1x濃度, 2x濃度, 3x濃度で使用した場合、全く増幅が認められなかった。以上の結果から、GC richターゲットに対して有効である試薬が必ずしもlong PCRに有効であるとは言えず、long PCRに対する有効性はベタイン特有の性質であることが示唆された。なお、ベタインのlong PCRに対する効果はα型DNAポリメラーゼだけでなく、全ての耐熱性DNAポリメラーゼにおいて確認できている。
【0070】
【発明の効果】
上述したように、本発明により、今まで不可能であった目的DNAに対してもPCRが可能となり、PCR成功率を高めることができた。また、2価のカルボン酸塩とベタイン、DMSOの相乗効果は、複数のDNA合成酵素で確認でき、単純なDNA合成反応だけでなく、PCR法においても有効であった。特に、今までlong PCRには不向きと考えられていたα型DNAポリメラーゼでもシュウ酸イオンとベタインの相乗効果により、long PCRが可能となり、更にHot start PCRを採用することによりlong PCRに対する効果が安定することを見出した。
【0071】
【配列表】
Figure 0004300321
【0072】
Figure 0004300321
【0073】
Figure 0004300321
【0074】
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【0075】
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【0076】
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【0077】
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【0078】
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【0079】
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【0080】
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【0081】
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【0082】
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【0083】
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【0084】
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【0086】
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【0087】
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【0088】
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【図面の簡単な説明】
【図1】混合型酵素(EX-Taq)を用いたPCRにおいてシュウ酸カリウムと他試薬の相乗効果を確認した電気泳動写真の代用図面である。
【図2】α型酵素(Pfu)を用いたPCRにおいてシュウ酸カリウムと他試薬の相乗効果を確認した電気泳動写真の代用図面である。
【図3】Hot start酵素(KOD-Plus)を用いたPCRにおいてシュウ酸カリウムと他試薬の相乗効果を確認した電気泳動写真の代用図面1である。
【図4】Hot start酵素(KOD-Plus)を用いたPCRにおいてシュウ酸カリウムと他試薬の相乗効果を確認した電気泳動写真の代用図面2である。
【図5】α型酵素(KOD)を用いたPCRにおいてシュウ酸カリウムとベタインのlong PCRに対する相乗効果を確認した電気泳動写真の代用図面である。
【図6】α型酵素(KOD)を用いたPCRにおいてベタインとシュウ酸カリウムのlong PCRに対する相乗効果を確認した電気泳動写真の代用図面である。
【図7】Long PCRにおけるHot start PCRの効果を確認した電気泳動写真の代用図面である。
【図8】GC rich targetのPCRに効果的な試薬のlong PCRへの効果を確認した電気泳動写真の代用図面である。

Claims (9)

  1. 鋳型となる核酸を基にDNAを合成する酵素反応において、KOD DNAポリメラーゼを含有し、DNA合成の促進に効果のある陰イオン物質として最終濃度2mMのシュウ酸カリウム、および、最終濃度1.5Mのトリメチルグリシンを含有することを特徴とする以下の(a)〜(c)のすべての特性を有する反応液組成物。
    (a)DNA合成速度が少なくとも30塩基/秒である。
    (b)pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が1%以下である。
    (c)20kb以上の目的DNAを増幅することができる。
  2. DNA合成の鋳型となる核酸、DNA合成酵素、1種以上のオリゴヌクレオチドプライマー、1種以上のヌクレオチド又はそれらの誘導体、緩衝剤、塩から成る群の少なくとも1つを含有する請求項1に記載の組成物。
  3. 前記ヌクレオチド又はそれらの誘導体が、デオキシホスホヌクレオチド又はその誘導体である請求項2記載の組成物。
  4. 前記デオキシホスホヌクレオチド又はその誘導体が、dATP,dCTP, dGTP,dTTP,dITP,dUTP、α−チオ−dNTP類、ビオチン−dUTP、フルオレセイン−dUTP、及びシゴキシゲニン−dUTPから成る群から選択される請求項3記載の組成物。
  5. DNAを合成する方法であって、該方法は:(a)核酸の鋳型を、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物と混合し、混合物を形成する工程;および(b)該鋳型の全体または一部に相補的な第1の核酸分子を作製するのに、DNA合成速度が少なくとも30塩基/秒であり、かつ、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が1%以下である条件下で、該混合物をインキュベートする工程、を包含する、方法。
  6. 前記第1の核酸分子の全体または部分に相補的な第2の核酸分子を作製するのに、DNA合成速度が少なくとも30塩基/秒であり、かつ、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が1%以下である条件下で、該第1の核酸分子をインキュベートする工程をさらに包含する、請求項5に記載の方法。
  7. DNA分子を増幅するための方法であって、該方法は、以下:(a)核酸の鋳型を、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物と混合し、混合物を形成する工程;および(b)該鋳型の全体または一部に相補的な核酸分子を増幅するのに、DNA合成速度が少なくとも30塩基/秒であり、かつ、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が1%以下である条件下で、該混合物をインキュベートする工程、を包含する、方法。
  8. DNA分子を配列決定するための方法であって、該方法は、以下:(a)配列決定されるべき核酸分子を、1つ以上のプライマー、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物、1つ以上のヌクレオチド、および1つ以上の終結因子と混合し、混合物を形成する工程;(b)配列決定されるべき該分子の全体または一部に相補的な分子の集団を合成するのに、DNA合成速度が少なくとも30塩基/秒であり、かつ、pMol 21を鋳型としたPCRにおいて誤りが発生する確率が1%以下である条件下で、該混合物をインキュベートする工程;および(c)該集団を分離して、配列決定されるべき該分子の全体または一部のヌクレオチド配列を決定する工程、を包含する、方法。
  9. 更にHot start PCRを採用する、請求項5〜8のいずれかに記載の方法。
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