JP2006518325A - 酸化ビスマスガラスおよびそれを製造するプロセス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、ビスマス酸化物およびゲルマニウム酸化物の添加物を含み、B2O3およびSiO2の含有量が0.1モル%より多く、かつ5モル%未満であるガラスに関する。本発明は、また、前記ガラスの製造に適する方法に関する。本発明のガラスは特に希土類をドープしたときに、光学活性なガラスとして使用することができる。
Description
本質的に、この種のガラスは、原子間結合力が弱く、機械的性質としての安定性がSiO2ファイバよりも低い。しかしながら、良好な機械的安定性は、特に、長期間にわたる信頼性の点で広帯域ファイバ増幅器を製造するうえで、とりわけ重要である。好適な増幅器ケーシング内に設置できるようにするために、これらのガラスから延伸して得たファイバは約5cmから10cmの直径で破壊せずに巻き取られることが必要とされる。さらに、巻き取られた状態で、このガラスファイバはまた、長期安定性を保持しなければならない。
− 1550nm近傍のC伝送帯域の範囲のみならず、特にこの範囲内における希土類イオンの広く平坦な吸収帯および発光帯を有すること。
− 発光状態、またはレーザー準位それぞれに十分な寿命があること。
− できるだけ高い熱耐久性、すなわち高軟化点を有すること。
− できるだけ小さな結晶化傾向を示すこと。
− 高い機械的安定性を有すること。
− 標準的な溶融プロセスを使用する場合の良好な溶融性が実現できること。
− 良好なファイバ延伸性が発揮できること。
20モル%〜80モル%のBi2O3、
5モル%〜75モル%のBi2O3+SiO2、
0.1モル%〜35モル%のGa2O3+WO3+TeO2、
10モル%以下のAl2O3、
30モル%以下のGeO2、
30モル%以下のTiO2、
30モル%以下のSnO2。
ただし、このガラスはCeO2を全く含まないものとし、0.1重量%〜10重量%のエルビウムがガラスマトリックス中で組み込まれるものとする。しかしながら、タングステン酸化物および酸化テルルを添加することは好ましくない。酸化テルルを添加すると、Bi3+が元素のBi0に還元される可能性が高まり、したがってガラスの黒色化の危険性が生じる。タングステン酸化物を重金属酸化物含有ガラスに添加すると、結晶化に対するガラスの不安定性が増し、元素のW0の析出を招くことがある。対照的に、TiO2を添加すると、結晶化傾向が大幅に増加することがある。
20モル%〜80モル%のBi2O3、
0モル%〜74.8モル%のB2O3、
0モル%〜79.99モル%のSiO2、
0.01モル%〜10モル%のCeO2、
0モル%〜50モル%のLi2O、
0モル%〜50モル%のTiO2、
0モル%〜50モル%のZrO2、
0モル%〜50モル%のSnO2、
0モル%〜30モル%のWO3、
0モル%〜30モル%のTeO2、
0モル%〜30モル%のGa2O3、
0モル%〜10モル%のAl2O3。
さらに下記特許文献3によれば、0.001重量%〜10重量%のTm(ツリウム)でドープされているマトリクスガラスを有するある光増幅ガラスが知られている。このマトリクスガラスは、15モル%〜80モル%のBi2O3および少なくともSiO2、B2O3またはGeO2を含む。このマトリクスガラスがGeO2を含む場合、それは単独でBi2O3を含むが、SiO2やB2O3は含まない。
したがって、本発明の目的は、前述の要求による必要条件が改善されている酸化ビスマスを含むガラスを開示することであり、これによって、先行技術中で少なくともある程度まで生じる不都合を回避することができ、その結果、それぞれ光増幅器への応用またはレーザーへの応用に特に適するようになる。また、本発明はこの種のガラスを製造する適切なプロセスを開示するものとする。
Bi2O3 10〜18
GeO2 ≧1
B2O3+SiO2 ≧0.1かつ<5
他の酸化物 18.9〜88.9
驚くべきことに、酸化ビスマスを含有し、かつ酸化ゲルマニウムを含有するこのガラスは、特に、B2O3およびSiO2の総含有量が5モル%未満、かつ0.1モル%超である場合に良好な光学特性を備えた特に良好なガラス品質を示すことがわかった。変態温度Tgは十分に高くまた、結晶化温度TXは、変態温度から十分な間隔を有するものとする。ガラス溶融物から最初に冷却され冷間成長したあとに、このガラスがさらに処理を経る場合、これは好都合である。結晶化温度TXが変態温度Tgよりも高いほど、再加熱時にガラスが使用不能になる結晶化を起こす危険性が低くなる。
B2O3 ≧1
Bi2O3 10〜0
GeO2 10〜60
希土類 0〜15
M’2O 0〜30
M’’O 0〜20
La2O3 0〜15
Ga2O3 0〜40
Gd2O3 0〜10
Al2O3 0〜20
CeO2 0〜10
ZnO 0〜30
他の酸化物 残部。
ここにおいて、M’は、Li、Na、K、Rbおよび/またはCsの少なくとも1つであり、M’’は、Be、Mg、Ca、Srおよび/またはBaの少なくとも1つである。
しかしながら、このガラスを単にガラスファイバ用クラッドガラスとして使用する場合には、希土類を添加していないガラスを使用することが適当である。
Ga2O3およびLa2O3を添加すると、ガラスの生成が容易になり、かつ結晶化を打ち消すのに好適であることが見いだされている。
タングステン酸化物を添加することは、帯域幅および増幅の均質性を改善するのに基本的に適切であるが、結晶化傾向が増大する可能性が高まる。
Li2Oの添加によって、帯域幅は、スペクトルの低いエネルギー範囲(Lバンド)で特に改善される場合がある。またNa2Oの添加と比較した場合、ガラス形成領域が広くなる。
増幅作用の最大値は、La2O3を添加することによってより高いエネルギーへ変動するが、帯域幅は多少減少する。
ZnOおよびBaO(またはそれぞれBeO、MgO、CaOおよびSrO)を添加すると、ガラスの安定性の向上に好適であることが見いだされている。
このため、約1モル%〜15モル%、特に約2モル%〜12モル%のZnOを添加することが好ましい。特に、ガラスの安定性に関しては、約10モル%までのZnOが好適な効果を有することがわかっている。BaO(または、それぞれBeO、MgO、CaO、SrO)を約10モル%まで、特に約5モル%まで添加すると、ガラスの安定性が向上することが見いだされている。
可能であれば、本発明によるガラスは、F−またはCl−等のハロゲン化物を10モル%まで、特に約5モル%まで含んでいてもよい。
本発明によるガラスを、増幅ファイバの光学活性なコアのまわりのクラッド等のいわゆる受動素子として使用する場合、このガラスは光学活性な希土類を含まないことが好ましい。しかしながら、特定の実施形態においては、基本的な増幅ファイバのクラッド等の受動素子は光学活性な希土類を少量含むことも好ましい。本発明によるガラスを希土類でドープすると、特に、光増幅器およびレーザー用の光学活性なガラスとして適するようになる。好ましくは、このドーパントとしては、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Ybおよび/またはLuから選択される酸化物が挙げられる。特に、元素Er、Pr、Ndおよび/またはDyの酸化物が好ましく、ErまたはEuの酸化物が最も好ましい。希土類でガラスをドーピングすると光学活性が得られ、レーザー等の適切なポンピング源で励起すれば、本発明によるガラスは誘導放出が可能となる。
融解条件がガラス品質、特にビスマスの酸化状態に対しても重要な影響を与えることが見いだされている。元素のビスマスが微細な黒い析出物の形態で析出すると光学特性、特にガラスの透明度を損なう。さらに、Bi0が生じると、標準的なるつぼ材料、特にプラチナとの間に合金が生じる可能性が起こる。このプロセスが起こると、るつぼの腐食を促進し、合金粒子ができ、これによって、たとえばファイバ引上法等においてファイバ特性が阻害されて望ましくない結果を招く。ビスマスを高い酸化状態で安定させるために、酸化セリウムを添加することが基本的な解決法である。しかしながら、特に、高濃度で酸化セリウムを添加すると、やや黄色のオレンジ色に発色する可能性がある。また、酸化セリウムの添加によって、このガラスの紫外端は1550nmで、Er3+輝線の範囲へずれる。
使用したガラス組成物およびそのガラスの特性を表1ないし表15に要約した。
また、部分的に、本発明によらないガラスを、比較のために示した。
希土類でドープすることによるガラスの光学活性を図1に示す。図1は、Er3+のエネルギー項図を示している。ポンピング放射で励起すると、上部のレーザー準位4I13/2は、間接的に(980nm、4I11/2経由で)、または直接的に(1480nm)占有される。入射信号フォトンによって、励起Er3+イオンが誘導放出を引き起こす。たとえば、その信号の波長のフォトンを放出して電子は基底状態4I15/2に緩和する。上位からより低位のレーザー準位までの多重項分裂(シュタルク準位)の度合いに依存して、Er3+は、より狭いまたはより広い1550nm帯域内で発光する。さらに、この分裂は、ガラスマトリックス内のEr3+イオンの局所的な環境に依存する。
このようにして、本発明によるガラスによって、十分なホウ酸の添加量と広い平面性を有する増幅との間のバランス、およびより少量のホウ酸の添加量と十分な放出寿命との間のバランスが見いだされた。
表3に、本発明によるさらなる一連のガラスの組成をまとめたが、表1(ガラス3は別として)のガラスと比較すると、さらなるガラス安定性の向上が見られる。
表5および表6に、本発明による他の一連のガラス(ガリウム酸化物を含有しない)を示す。
しかしながら、概して、酸化ゲルマニウムのみならずガリウム酸化物を含む酸化ビスマスを含むガラスで、よりよい光学特性が達成できた。
図2は、C帯域領域で、これらのガラスの、nm表示の波長において標準化した増幅作用を示したものである。
ガラス16では、Er2O3によるドーピングを増すと増幅作用が向上する。
酸化セリウムを少量添加すると、増幅作用の帯域幅、平坦性および寿命に改善が見られる(ガラス16を参照)。
本発明によるさらなる一連のガラスおよびにその特性を表9および表10にまとめた。
酸化リチウムを犠牲にして、酸化ゲルマニウムおよび酸化ビスマスの含有量を同時にある程度まで高めつつ酸化セリウムを添加すると、ガラス品質および光学特性(ガラス20)が向上する。
表13に、一連のガラスのガラス組成および特性を示すが、これらはイオン交換によって平坦性を有する広帯域の増幅用ガラスとして特に適切である。これらのガラスはすべて優れたガラス品質を有している。
この好適な光学ガラス特性を図2および図3に見ることができる。
また、酸化雰囲気での溶解条件をとることによってビスマスが元素のビスマスへ還元されるのを回避するために、ガラス溶融物中へ酸素をバブリングすることが有利であることがわかった。
Claims (24)
- 酸化ビスマスガラスであって、酸化物含有量基準のモル%で、
Bi2O3 10〜80
GeO2 ≧1
B2O3+SiO2 ≧0.1かつ<5
他の酸化物 18.9〜88.9
を含む酸化ビスマスガラス。 - 酸化物含有量基準の、
B2O3 ≧1
Bi2O3 10〜60
GeO2 10〜60
希土類 0〜15
M’2O 0〜30
M’’O 0〜20
La2O3 0〜15
Ga2O3 0〜40
Gd2O3 0〜10
Al2O3 0〜20
CeO2 0〜10
ZnO 0〜30
他の酸化物 残部
を含む請求項1に記載の酸化ビスマスガラスであって、
M’が、Li、Na、K、Rbおよび/またはCsの少なくとも1つであり、M’’がBe、Mg、Ca、Srおよび/またはBaの少なくとも1つである酸化ビスマスガラス。 - 酸化物含有量基準で、0.005モル%〜15モル%の希土類を含み、好ましくはツリウムを含まない請求項1または2に記載の酸化ビスマスガラス。
- 少なくとも0.01モル%〜8モル%のEr2O3および/またはEu2O3を含む請求項3に記載の酸化ビスマスガラス。
- 少なくとも1モル%のB2O3および/またはSiO2、好ましくは少なくとも2モル%のB2O3を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の酸化ビスマスガラス。
- 少なくとも0.1モル%、好ましくは0.5モル%〜8モル%のLa2O3を含む請求項の1ないし5のいずれかに記載の酸化ビスマスガラス。
- 少なくとも1モル%のZnOおよび/またはBaOを含む請求項1ないし6のいずれかに記載の酸化ビスマスガラス。
- 1モル%〜15モル%、特に好ましくは2モル%〜12モル%のZnOを含む請求項1ないし7のいずれかに記載の酸化ビスマスガラス。
- 1モル%〜8モル%、好ましくは2モル%〜6モル%のBaOを含む請求項7または8に記載の酸化ビスマスガラス。
- 15モル%〜50モル%、好ましくは20モル%〜45モル%のGeO2を含む請求項1ないし9のいずれかに記載の酸化ビスマスガラス。
- 15モル%〜50モル%、好ましくは20モル%〜45モル%のBi2O3を含む請求項1ないし10のいずれかに記載の酸化ビスマスガラス。
- 0.1モル%〜30モル%、好ましくは0.5モル%〜15モル%のNa2Oおよび/またはLi2Oを含む請求項1ないし11のいずれかに記載の酸化ビスマスガラス。
- 1モル%〜20モル%、好ましくは3モル%〜15モル%のGa2O3を含む請求項1ないし12のいずれかに記載の酸化ビスマスガラス。
- 0.01モル%〜10モル%のCeO2、好ましくは0.1モル%〜2.0モル%のCeO2を含む請求項1ないし13のいずれかに記載の酸化ビスマスガラス。
- 酸化性条件の下で融解される請求項1ないし14のいずれかに記載のガラスを製造するプロセス。
- 前記酸化性条件が、前記ガラス溶融物へ酸素をバブリングすることによって形成される請求項15に記載のプロセス。
- 酸化セリウムを添加する際に1000℃超の温度で融解している請求項1ないし14のいずれかに記載の、好ましくは請求項15または16に記載のガラスを製造するプロセス。
- 請求項1ないし14のいずれかに記載のガラスを光増幅器用の光学活性ガラスとして使用すること。
- 前記光増幅器が、平坦性を有する増幅器である請求項18に記載のガラスの使用。
- 請求項1ないし14のいずれかに記載のガラスをレーザー用の光学活性ガラスとして使用すること。
- 請求項1ないし14のいずれかに記載のガラスを非線形の光学ガラスとして使用すること。
- 1つのコア、および前記コアを取り巻く少なくとも1つのクラッドを有するガラスファイバであって、少なくとも前記コアまたは前記クラッドが請求項1ないし14のいずれかに記載のガラスを有するガラスファイバ。
- 前記コアが、請求項2ないし14のいずれかに記載の光学活性なガラスを有する請求項22に記載のガラスファイバ。
- プラスチックで作られているクラッドを含む請求項22または23に記載のガラスファイバ。
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